私は、日本共産党議員団を代表して、請願の討論を行います。請願第226号ないし第228号、第232号、第236号の5件は不採択ではなく採択を、第76号、第92号、第212号ないし第214号、第223号ないし第225号、第229号、第233号ないし第235号、第237号の13件は審議未了でなく、採択を求めます。以下、その主な理由について申し述べます。
まず、委員会審査で「不採択」とされた5件の請願についてです。
はじめに、請願第226号及び第227号、年金の支給額引き下げ中止を求める件など、年金に関する請願についてです。年金制度は、自民党政府により改悪が重ねられてきましたが、今回計画されているのは、支給中の年金額を0.9%引き下げようというもので、年金が収入の大半をしめる高齢者にとって、命綱を削るに等しいものです。年金財政の「危機」を理由にしていますが、年金積立金を株式運用し、今年度上半期だけで、2兆1千億円もの損失を出した政府の責任こそ問われるべきです。支給額の引き下げは行うべきではありません。
また、基礎年金は公的年金制度の土台ですが、保険料の負担が重すぎるため、払えない人が増えています。基礎年金への国庫負担を3分の1から2分の1へ引き上げることは、すでに1994年に国会で決議されており、ただちに実施されるべきことです。よって、これらの請願の採択を求めるものです。
次に、請願第228号、乳幼児医療費の無料化を求める件についてです。
日本共産党は、1971年に国会で乳幼児医療費無料化を求めて以来、その実現に力を尽くし、国の制度として小学校就学前までの医療費を窓口無料にすることを求めています。親たちのねばりづよい運動が広がる中で、小学校就学前までの医療費無料化は全国的な流れとなり、兵庫県でも対象年齢の拡大が実現しました。しかし、通院には1割の自己負担が導入され、病気になりやすい小さな子どもを持つ世帯にとって痛手となっています。「少子化」のいっそうの進行をくい止めるためにも、若い父母の経済的負担を少しでも減らし、子育てを支援することは、県としての責務です。本請願の採択を求めるものです。
次に、請願第232号、景気悪化の庶民増税をやめて、景気回復へ消費税減税を求める件についてです。
経済状況が深刻なもとで、小泉内閣による4兆円の負担増が国民に押しつけられようとしています。社会保障の負担増に加え、税金の面では、家計に関係のない企業への「先行減税」を行う一方、庶民増税が行われようとしています。免税点の引き下げなど消費税の特例の縮小は、仕入れに消費税がかかる一方で価格に消費税を転嫁できない零細・中小業者にとって致命的な打撃になります。また、配偶者特別控除の廃止や、酒税・たばこ税の値上げなどが家計に与える影響は重大です。1997年に橋本内閣によって9兆円の負担増がされた際は、所得がわずかながら伸びていた時期でしたが、日本経済は大不況に陥りました。所得が落ち込んでいる今の負担増が、個人消費をいっそう冷え込ませ、日本経済を破綻にみちびくことは明らかです。本請願が、国内総生産の6割を占める家計を温めて景気をよくすることこそ日本経済に必要だと指摘し、そのために消費税減税と暮らし中心の経済政策を求めているのは理にかなっており、当然です。採択を求めます。
次に、請願第236号、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例に各市町長の同意を義務づける項目を追加することを求める件です。この請願は、姫路のパチンコ業者が、宝塚市条例を無視して、パチンコ出店を強行しようとしていることに対し、パチンコ店の営業許可をする際に、県独自の規制をおこなうよう、条例改正を求めるものです。宝塚市は、「パチンコ店等ゲームセンター及びラブホテルの建築等規制条例」により、パチンコ店等風俗営業をする際には市の同意が必要です。それにもかかわらず、今回パチンコ店を出店しようとしている業者は、市の不同意と工事中止命令を無視して工事を強行しているのです。しかも、現場のすぐ隣は市立スポーツセンターで日頃からスポーツ少年団をはじめ多くの小中学生が利用していること。たった125mしか離れていないところに、小学校と児童館があり、通学路にもなっています。また、近隣には県立阪神養護学校やこばと聾学校をはじめ、障害者等の11施設がある福祉ゾーンとなっていることからも、パチンコ業者の横暴を許さず、子どもたちの教育環境、住みよい住環境を守るためにも、本請願はただちに採択すべきです。
次に、委員会審査で「結論を出さない」とされた13件の請願について申し述べます。任期最後の議会となるこの議会で、県民から出された請願に対し、「結論を出さない」として、各党の態度表明を避けることは、政党としての責任を不問に付すものであり、許されません。しかも、これら13件の請願は、県民生活を大きく左右し、重大で差し迫った課題ばかりです。
緊迫している「アメリカによるイラクへの武力行使に反対し、国連の枠組みで平和的解決を図ることを求める」件です。アメリカは、国連決議がなくてもイラク攻撃を行うことを言明、平和を求める国際世論に挑戦し、戦争への道を突き進もうとしています。アメリカの修正決議案は、イラクに対する国連の査察が軌道に乗り始めているときに、無理やり期限を切り、要求に応じなければ武力行使に踏み出すという無法なもので、フランス・ドイツ・中国・ロシアを始め大半の国が反対し、支持を得られなかったのは当然です。ところが、小泉内閣は、アメリカの武力行使を認めるこの修正決議案にはやばやと支持を表明し、マスコミでも、「米英追随鮮明、国際社会で突出」と報道されました。平和憲法を持つ日本の政府が、アメリカの戦争を支持する立場に立つことは許されません。本請願は、日本政府がアメリカに対し明確に「戦争をやめ、国連の枠組みで解決するよう」述べることを求めたものであり、「国連の対応を見守る」などといって審議未了にするのではなく、この願意を積極的に受け止め、採択することを求めるものです。
また、来月から実施されようとしている健康保険3割負担の実施凍結をもとめる件です。深刻な経済・雇用情勢の中、医療費自己負担の引き上げは、家計を直撃し、景気回復どころか、景気をいっそう冷え込ませるのは必至です。そればかりか、患者負担増による受診抑制で病気の重症化が危惧され、県民の健康破壊が一気に広がる重大問題です。こういった深刻な事態をくい止めようと、日本医師会、歯科医師会、看護師協会、薬剤師会が医療費三割負担凍結を求め、共同声明を発表したのをはじめ、全国の自治体で意見書採択の動きが広がり、全国で85万もの請願署名が集められているのです。「国民のいのちを守れ」という切実な願いにこたえ、本請願はただちに採択すべきです。
また、「障害者の介護・福祉制度の利用における親・家族の負担撤廃を求める意見書提出の件」は、2年3ヶ月、11回にもわたって継続が重ねられてきたものです。障害者福祉支援費制度がスタートするもとで、必要なサービスが受けられるかどうかとともに、利用料についての不安が障害者と親・家族にのしかかっています。障害者の自立を保障し、権利を守るため、本請願の採択を求めます。
これらを含め、県民の切実な願いが込められた請願13件を、審議未了で終わらせることなく、責任を持って採択することを強く求めるものです。
平和を守り、福祉を充実して安心して生活したいという県民の願いを実現できる県議会づくりに全力で奮闘する決意を込め、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
|