私は,日本共産党県会議員団を代表して、ただいま上程中の平成15年度関係議案67件中議案第1号、第4号ないし第7号、第10号、第16号、ないし第19号、第21号第23号ないし第25号、第31号、第41号、第45号、第51号ないし第53号、第55号、第57号、第59号、ないし第66号以上、30件に反対し、討論をおこないます。
ムダな公共事業をつづける県予算
まず、予算全体についてであります。
知事提案の新年度予算案は、県税収入が15年前の水準以下に減少したもとで、震災の年を除き過去最高の3254億円もの県債を発行し、借金依存体質を一層強めております。
県債残高、つまり借金総額は約4兆2000億円。県民一人あたり76万円にものぼり、将来の県財政をさらに圧迫することは明らかであります。
このような財政状況のなか、知事が「公共事業をいくら確保するかが焦点だった」と述べられたように、全国的にはじまっている大型開発見直しの流れや、県民の声に背を向け、公共投資事業に一月補正予算を含め、対前年比6.7%増の3742億円を確保し、一方で、社会保障関係費は前年度より減額し、公共投資事業予算のわずか73%に過ぎません。
無駄な公共投資事業を思い切って削減するという姿勢になっていないから、多額の財源不足が生じるのです。「税収不足」と「財源不足」とは、根本的にちがうものです。そのことをしっかり認識していただきたいと思います。
公共事業の中身も「景気」や「雇用」に役立たない無駄な開発が多く含まれています。
多くの県民が反対する神戸空港、関西国際空港2期工事に、あわせて12億円も出資するのをはじめ、全く見通しのない宝塚新都市計画やひょうご情報公園都市の事業推進、本四公団への出資、阪神疏水構想、紀淡連絡道路などの調査費を計上。さらに但馬空港や「淡路夢舞台」の国際会議場など赤字経費の補てんのため5億円もの予算を投入するものです。当初の過大な投資にさらに毎年税金を投入する。何の反省も見直しも行わないまま、無駄に無駄を重ねていると指摘せざるをえません。
また、震災関連予算が縮小しているのは、被災者の実態を見ないもので、被災地兵庫の責任者としての姿勢が問われるところであります。
市町合併においても、「住民の意思を尊重する」といいながら、国に追随し合併支援策は矢継ぎ早に追加されており、住民の自主性を損なっています。
日本共産党の予算組み替え動議 3年連続
このような公共事業優先、県民犠牲の知事予算案に対し、わが党議員団は3年連続となる予算組替え動議を提出しました。
予算組替え提案の内容は、空港や高速道路建設など不要・不急の公共事業を中心に一般会計、特別会計合わせて849億円縮小し、それによって捻出された一般財源117億円を老人医療費助成対象を改悪前にもどし、乳幼児医療費は一部負担をなくし、完全無料化を実施する。教育では小中学校における30人以下学級を3ヵ年計画で実施する。また、中小企業支援策等の強化など33件を盛り込んでおります。 わが党のこの提案は、小規模であっても弱者切り捨ての小泉内閣の下で苦しむ県民に対し、暖かい手をさしのべる予算組替え案である事を強く確信するものであります。
以下、いくつかの具体的な問題について述べます。
その第一は、福祉、医療、介護など社会保障についてであります。
老人医療費公費負担助成は、新年度に所得制限を現行145万円から125万円に20万円も引き下げられることによって助成対象を2万3000人も減らし、予算額を7億6000万円も減額しています。
これは、昨年10月からの窓口における一割負担と「償還払い制度」の導入によって受診率が大幅に低下した状況にさらに追打ちをかけ、「早期発見、早期治療」を後退させるものであります。
乳幼児医療費公費負担助成については昨年から、対象年齢を就学前まで拡大したことは改善ではありますが一昨年まで無料だった3歳未満児に1割負担を導入。新年度も継続、しかも国の負担割の拡充が行われ、本来患者負担の軽減を図るべきところを逆に県費を5億5500万円も減額しております。
我が党議員団は、予算組替え案の中で、約17億円を増額し完全無料化を提案したところでありますが、知事の予算案は子育て世帯の切実な願いに背を向けるものであり、到底認めることは出来ません。
また、特養の入所申し込み者が1万3000人近くにも達しているのに、特別養護老ホームなど、老人福祉施設整備費補助を8億6000万円も減額し、さらに拡充こそもとめられている「のじぎく療育センター」職員費の削減も問題であります。
第二は、教育関係の予算についてであります。
新年度も私学助成費の県費3億2400万円を削減。また、夜間定時制高校の生徒の給食費も減らしています。また、ますます要望が強まり全国で実施自治体が増えている30人以下学級についてはわが党がかねてから提案しているように、一般会計のうち教育予算の割合を1%増やすだけで実現できるわけですから、知事が一刻も早く快断されることを強く求めるものであります。
「行革」による県民向け施設の廃止・市町移管に反対
次に、条例提案の主なものについて述べます。
今回の条例の特徴として行革での施設廃止や市町移管が多くあります。
第25号「勤労者総合福祉施設運営基金条例の一部を改正する条例制定の件」、第31号「兵庫県西播磨青少年館の設置及び管理に関する条例を廃止する件」です。この建物は築20年の建物であり、地元では「利用しづらい建物」と言われており、大規模修理などは市負担となります。よって市に譲与するには財政支援が不十分であり、賛成できません。
第45号は県立介護福祉高等技術専門学校を廃止し、民間業者に任せるものですが、低料金の授業料で提供する公的役割があり、高齢社会の中で福祉の役割はますます強まっていることから、定員の削減も行われる事は県民の要望に背を向けるもので賛成できません。
第55号「兵庫県立丹波林間学校の設置及び管理に関する条例を廃止する条例制定の件」は丹波林間学校を廃止するもので、本来充実すべき教育施設を廃止すると言うのは地元の意向を尊重せず、県民の願いに反するもので認めることは出来ません。
第52号「兵庫県立高等学校設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例制定の件」は 温泉高校の生徒がすべて卒業するから廃止するというものですが、県立高校の統廃合に伴うもので認めることは出来ません。
また、第24号「使用料・手数料徴収条例の一部を改正する条例制定の件」については、 県立大学授業料を年額2万4000円を値上げし、入学料とあわせて初年度負担が県内入学者で80万2800円にもなります。県立淡路景観園芸学校の授業料の値上も含め、賛成できません。
第53号は「兵庫県学校職員定数条例の一部を改正する条例制定の件」で職員の定数を削減しようとするものです。中学校教職員65名、高校教職員148名を削減するとしたもので、「30人学級を実現してほしい」という県民の願いに逆行するもので、認められません。
このように、教育の場にも「子どもたちを育てる・はぐくむ」という観点はなく、「行革」の一環として切り捨てようとする姿勢は許せません。
次に、第41号は「産業の集積による経済及び雇用の活性化に関する条例の一部を改正する条例制定の件」については、H14年12月制定された構造改革特別区域のうち、特別地区と位置付けたところに一定の不動産取得税の減免を適用しようとするもので中小企業対策にもならず、一部の企業を優遇するもので認められません。 ピンクチラシ規制の条例、産廃防止条例へ改善を指摘
なお、第56号「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為の防止に関する条例の一部改正する条例制定の件」は、「ピンクチラシ」の規制強化について、わが党もくり返し要求したものですが、警察常任委員会での修正案で提案したように「迷惑ビラ」という規定は、概念が曖昧で、拡大解釈で「表現の自由」を侵す余地を残すものであり、東京都などの条例でも用いられている「ピンクビラ」と表現すべきであることを指摘しておきたいと思います。。
また、第40号「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例制定の件」については届け出制にした点で一歩前進との立場で賛成しますが、一時堆積や悪質業者の「抜け道」が懸念される点、市町の上乗せ規制が出来ない点について、今後の改善を求めておきます。
日本共産党県会議員団は今後も県民の福祉、医療、教育、安全などを充実し、県民の生活を守る県政への転換をめざし引き続き全力で奮闘することを表明して私の討論を終わります。
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