■質問■ 私は兵庫の将来を展望し、福祉の目線でまちづくりを考える立場で質問します。
県営住宅の家賃滞納者問題
「近傍同種家賃」の請求やめよ
■質問■ はじめは県営住宅の家賃滞納者対策についてです。
前回の県議会でも提起したように、家賃滞納で出訴に至った人の中には、独居老人、母子家庭、生活保護受給者そして震災被災者などが含まれています。
生活保護をはじめ、福祉制度の適用を受けている人は、担当のケースワーカもいることから、県の担当者も福祉事務所等との連携を行っているとのことですが、そうでない滞納者に対しては、当事者が相談に行かない限り、福祉の対応はなされません。
当事者が福祉事務所や、サラ金被害の相談窓口、就労相談などに積極的に出向かれたら、未だ救いの道もありますが、そういうケースはほとんどなく、みすみす解決の道を逃しています。被災による心の傷も影響が大きく、やはりケースワーカーが望まれます。
県は来年度予算案で、被災高齢者等の見守り対策としてLSAやいきいき県住推進員などのネットワークをつくるとしていますが、実際に問題を解決するには、専門家が現場に出かけ直接話を聞くこと、できるだけ迅速な対応を行うことが必要です。
問題を解決するためには何より行政の体制として、部局の壁を克服して、まちづくり局、福祉局、商工労働局などによる住宅困窮者対策部門を設け、そこに専任のケースワーカーをはじめとする専門家も配置して、化問題を抱えた県営住宅入居者および、やむを得ず退去となった県民のフォロー体制をとるよう求めますが、知事の所見を伺います。
もう一点、家賃滞納には先程挙げたように様々な理由があります。その中で入居許可取り消しになるのは「悪質滞納者」とされていますが、実際には出訴議決、裁判所からの呼び出しになって、「まさか県がそこまでやるはずがない」と思っていた甘えやルーズさを反省する人も少なくないとのことです。
ところが私たちがしばしば経験するのは、入居取り消しによって周囲にある同程度の民間団地住宅とおなじ家賃、すなわち近傍同種家賃相当額が損害賠償として請求され、その損害賠償金が滞納分をはるかに超える多額になり、これが壁となって、立ち直りの機会を得られないということであり、損害賠償は事実上追い出しを意味しています。
家賃滞納者も住宅困窮者であることにかわりなく、本当に姿勢を改めるというのであれば、チャンスは与えられるべきです。
公営住宅法および県条例の規定は「近傍同種家賃と同等額を請求することができる」のであって、義務規定ではありません。それを県は施行規則で「近傍同種とする」ということにしているだけなのですから、県の裁量で見直せるはずです。
この間、出訴のなかに被災者が増えています。県が被災者の生活再建について、最大限努力するというのなら、被災者・低所得者が家賃を滞納した場合の損害賠償を、実際には払えない近傍同種家賃とするのは見直すべきだと考えますが、答弁を求めます。
なお、住宅明け渡し訴訟を知事の専決事項としようとする検討がありますが、これは議会の行政点検機能を後退させるもので、問題の本質的解決にはなりません。国土交通省の回答および裁判所判例からも、出訴等にあたって議会の議決を得るのは当然です。公営住宅を希望し、その資格を有しながら入居できない状態を解決するのは、供給量を増やすのが筋です。また、空家の回転率を高めるには、募集事務や問題のある入居者への対応力を高めるために職員を増やすことが有効で、生活権にかかわる手続きはリストラの対象とするべきでないことを指摘しておきます。
▼答弁▼山口県土整備部長
県営住宅の家賃滞納者対策のうち滞納者へのフォロー体制についてお答えいたします。滞納者に対する納付指導につきましては個々の状況に応じ柔軟な対応を図っているところでございますが、それでもなお滞納が解消されずに県営住宅をやむなく退去する者には、関係市町の福祉部局に退去者のフォローを要請するなど慎重に対応しているところでございます。特に問題を抱えた滞納者のフォローにつきましては、現在も福祉に関しては民生児童委員や心配事相談所の相談員また就職に関しては兵庫仕事情報広場等の相談員などがきめ細かな相談援助を行っておりまして、今後とも関係部局がいっそうの連係を図りながら対応してまいりたいと考えております。次に、家賃滞納に伴う損害賠償の件でございますが、県ではこれまでから入居許可の取り消しや住宅明け渡し請求訴訟等の法的処置への移行を極力防止いたしますため滞納者に対する日々の納付督励や指導を積極的に行いますとともに県営住宅だよりによる家賃納付義務の啓発など長期滞納の防止に向けたきめ細かな対応を行い、入居者の納付意識の向上にすすめてきたところでございます。納付督励や指導に対して誠意を示さない長期悪質滞納者には入居許可を取り消した時に近傍同種家賃相当額を損害賠償額として科しておりますが、これは家賃納付に対して誠意をもって努力しているものとの公平性の確保の観点から当然の措置と考えておりますので、よろしくご理解をお願いいたします。
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県としてマンションの実態把握など積極的な対策を
■質問■ 次に、マンション問題についてです。
県内の分譲マンションは98年に20万戸、現在は25万戸と推計されています。
増え続けるマンションが抱える問題は、一概に個人財産の問題として片付けられない、社会問題としての対応が必要となっています。言い換えれば、マンション問題の解決は、まちづくりや国民生活の向上にとっても、重要です。国もマンション法を改定しましたが、問題点が多く、改正が求められると共に、県独自の対策を強化するべきです。
県は「ひょうご住まいサポートセンター」で、専門家のアドバイザー派遣や住まいの情報提供事業、民間団体のネットワーク化支援などを推進していますが、これは時代のニーズに逆行していると言わざるを得ません。
今後有効なマンション対策を講じるために、まず、マンションの実態をきちんと把握することが必要です。
横浜市では、96年度から、20万戸ある市内全分譲マンションと管理組合の状況を把握する分譲マンション実態調査を行い、実態を分析して、特徴を把握し、ニーズにあった標準管理規約をつくり、普及に取り組んでいます。また、大規模修繕や管理組合支援などにも、実態に合わせた施策を実施するとしています。東京都でも98年に実態調査を行っています。
もう一点、行政として業者に対して当然負うべき責任や義務をきちんと問うことを実態調査と並行することです。
例えば、販売に有利なように修繕積立額を過小に設定し広告する業者があります。管理組合ができた時に、実際必要な積立金額を試算し、「話が違う」ということになる、まさに詐欺まがいの行為です。これを、業者の都合もあるなどと免罪することは認められません。しかも購入者は専門家ではないのですから、かなり後になって問題点に気づき、解決が必要以上に困難になって不要なトラブルとなったり、手遅れになったりという例もあります。
したがって、兵庫県も問題を可能な限りスムーズに解決し、また、管理組合の育成を進めるなどの施策に生かすためのマンション実態調査を行うこと。また、新規マンションについては、管理組合設立時に第三者による勉強会の開催を業者に義務付けること、また、業者に、マンションの仕様や構造はもちろん、長期修繕見通しも提出させ、管理費・修繕積立金の設定などについても適正であるかどうか県が点検し、その情報を消費者に公開する、いわゆる「パブリックレポート制度」を導入することを提案しますが、積極的な答弁を求めます。
▼答弁▼山口県土整備部長
マンション問題についてですが、県におきましては今年度兵庫住まいサポートセンターを設置したところでございまして、適正な管理費や修繕積立金の設定などこれらについて勉強する介護へのアドバイザーの派遣や情報提供を実施するなど、管理組合の活動を支援する独自の方策を展開してきております。また、今後分譲マンションの実状の把握を検討するなど適正な管理について市町と共同の上、推進を図ってまいりたいと考えております。消費者への情報提供につきましては、宅地建物取り引き要綱に基づき販売時の重要事項説明が義務付けられております。また、住宅性能表示制度が活用されるようその普及啓発にもすすめているところでございますのでよろしくお願い申しあげます。
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視聴覚障害者への支援強化
(1)点字ブロックの整備
■質問■ 次は視聴覚障害をもった方々への支援についてです。
障害者が安心して出かけられる街づくりというのは、バリアフリー事業の基本中の基本ともいえますが、その一つが点字ブロックの設置です。
点字ブロックは日本で発明されたもので、視覚障害者が一人でも街にでかけられるように、一人でも街を歩けるようにとの願いが込められています。
ところが、長年、地域や区域によってブロックの規格がバラバラだったため、混乱が生じ、慣れない人には危険ですらありました。
一昨年に、やっと全国統一規格ができた訳ですが、現状では、神戸市でも統一規格に敷き変えるには10年以上かかると言っています。民間事業者はそれ以上に消極的です。
例えば神戸・三宮区域では、神戸市、JR、阪神電鉄、阪急電車がそれぞれ違う点字ブロックを敷いていまが、これがすべて統一規格に換えられず、一部にだけ敷き変えられたということになれば、全部で五種類の点字ブロックが混在することになります。
さらに、地域によって駅が無人になってしまっていますが、そういう駅ほど点字ブロックも不備になっている傾向があります。こういった状況では、かえって混乱が増し、視覚障害者が安心して街を歩くことが難しくなるばかりか、事故の危険性も増大します。
また、点字ブロックの材質は定められず、屋外の点字ブロックをゴムやリノタイルなどにしたため、磨耗や劣化で役に立たなくなっているものや、すべりやすくなっているところが少なくありません。敷き方も施工業者によってまちまちで、ひどいところは、とりあえず敷いておけばいいだろうとばかり、歩きにくいところにおざなりな敷き方をしています。市町の敷き換え事業も進捗がまちまち、民間事業者は取り組み自体もままならないというのが実態です。
もちろん、国土交通省の姿勢は問われるところですが、全国に先駆けて「福祉のまちづくり」条例を制定し、バリアフリーにも積極的に取り組んでいることをアピールしている兵庫県なら、自ら点字ブロック整備を促進させ、むしろその成果を全国に発信する役割を積極的に果たすのは当然ではありませんか。
敷き方についても、材質についても、視覚障害者からは具体的な改善提案が出されています。企画から施工確認まで、利用者と共同し、統一規格をより整備すると共に、その設置を県下で計画的に進めるよう、県が率先して、補助制度創設を含め、先導性を発揮することを提起します。答弁願います。
▼答弁▼山口県土整備部長
次に、視聴覚障害者への支援のうち点字ブロックの整備促進についてでございますが、本県では歩道での視覚障害者誘導用ブロックの形状につきまして、今年度から全国統一規格を採用し、設置にあたっては視覚障害者の意見などを踏まえまして作成された国のガイドライン等により行っているところでございます。今後は利用者の視点からの歩道のリニューアルをめざし、現在実施中の総点検の結果に基づきまして福祉のまちづくり重点地区など緊急性の高いところから順次整備をすすめますとともに神戸市をはじめ県下の市町に対してもなおいっそうの設置指導につとめていきたいと考えております。また、民間での整備につきましては、鉄道事業者も含め、各管理者が対応すべきであり、県としても統一規格での整備を強く働きかけているところであります。なお福祉のまちづくり重点地区におきましては、誘導用ブロック設置等に対する補助を行って整備促進を図っているところでございますのでよろしくお願い申し上げます。
(2) 交差点の音声案内システムを
また、秋田県など他の自治体で「交差点音声案内システム」のモデル事業が取り組まれています。交差点等での音声案内を二種類の音で信号の状態を知らせるだけでなく、視覚障害者が携帯する装置と連動し、その地点の住所や向かっている方向なども音声で案内するものです。体験者に感想を聞いたところ、二種類の音で信号の状態を知らせる方式は、スクランブル交差点では役に立たないことや、情報量が格段に違うこともあって、音声案内システムの導入は、出かけたときの安心度が高まり、行動範囲も大いに広がったとのことです。
ただし、携帯する装置が大きく重いとか、案内音声が聞こえにくいなど、まだまだ改良の余地はあります。例えば、携帯電話にプログラムを組み込めないかなど、「福祉のまちづくり工学研究所」などでの研究とあわせて、交差点音声案内システム事業を推進してはどうかと考えますが、答弁を求めます。
▼答弁▼岡田検察本部長
交差点の音声案内システム事業についてお答えを申し上げます。警察庁では平成13年、18都道府県20地区において信号交差点での視覚障害者の安全な歩行を確保するため歩行者支援システムのモデル運用をいたしました。これは専用の携帯端末装置を用いるものと白い杖にはった反射テープを検知するシステムとがあるようでございますが、共に音声により信号の状態等を知らせる機能を有しております。県警におきましても視覚障害者の歩行の安全性、利便性の確保は重要なことであると認識しておりますので警察庁が実施したモデル運用の結果を踏まえ平成15年度から国の補助事業による歩行者支援システムの導入を検討しているところでございます。
(3)聴覚障害者支援センターの早期設立を
聴覚障害者支援については、現在、国の制度として情報提供施設がありますが、これだけでは非常に不十分です。
まず、得られる情報量は聞こえる人とは比較にならないほど少なく、特に言葉であれば伝えられる微妙なニュアンスが伝えきれません。私も聴覚障害の知人と2人だけで10日間程の旅行をしたことがありますが、そのときに感じた彼とのギャップは、軽いカルチャーショックを覚えたといっても過言ではありません。それを克服することは、お互いにとって重要な課題です。
かなめとなるのが手話通訳者ですが、手話ができる人はそれなりにいても、実際に手話通訳ができると認定され、いつでも派遣できる人というのは県内に50人もいないといわれています。手話通訳というのは、単に声を手話に、手話を声にかえるだけではなく、先ほど言ったように、小さくないギャップを克服する役割をもっています。技量はもちろん、倫理観、そして聴覚障害者への深い理解が求められるのです。聴覚障害者から学び、相互理解を深められる、手話通訳者養成のための環境と体制、施設は必要です。
また、聴覚障害相談体制を設けるべきです。
利用できる制度の情報と実際の手続き、経験者でなければわからない様々な悩みの相談など、障害者とその家族のニーズに対応できる体制が求められます。そうした相談窓口を希望している方々は、少なくありません。
聴覚障害は一部の人たちの問題ではありません。高齢になれば、多くの人が難聴になったり聞こえなくなったりします。医師には治療などに関する相談はできても、生活全般の相談はできません。聞こえないことのショックは想像以上です。会話ができない、話の内容がわからないなどストレスも高まり、とじこもりがちになる人も少なくありません。こうした方々も気軽に相談できる体制が必要です。
この他、装置があれば、聴覚障害者が映画や音楽、舞台芸術も楽しめるところまで技術は進歩していますが、街の映画館やホールで、そうした装置があるところは極めて希です。
京都市には、総合的な聴覚障害者支援センターがあり、そこで聴覚障害者の方々と映画を見ましたが、ご一緒した聴覚障害者と多くの情報を同時に共有でき、大きな感動を覚えました。以上のような理由から、手話通訳者派遣、情報提供施設はもちろん、研修設備、相談・研究機能などを備えた総合的な聴覚障害者支援センターを県都である神戸市内に早期設立するよう知事の英断を求めますが、答弁願います。
▼答弁▼井戸知事
視聴覚障害者への支援についてのうち、総合的な聴覚障害者支援センターの整備等についてお答えします。先日、本県を訪ねられました世界聾連盟のリサ・カナピレン理事長が私のところにもお出でにもなり、お話をする機会がございました。とても立派なフィンランドの女性であられましたが、すばらしい会話をさせていただきました。さて、総合的な聴覚障害者支援センターの整備等についてでありますが、聴覚障害者への支援としましては相談窓口の設置や障害者生活支援事業等による相談支援、身体障害者相談員の配置のほか、兵庫手話通訳センターにおける手話通訳者派遣のコーディネート、手話通訳者の要請研修等実施をしております。劇場・ホール等に難聴者補聴設備を設置することにつきましては昨年福祉のまちづくり条例を改正し、義務づけておるところであります。聴覚障害者情報提供につきましては、字幕手話入りのビデオの製作とか貸し出し上映、手話通訳者の派遣等のコミュニケーション支援を行っておりますが、これらを一体化して研修相談機能等も備えた施設の設置が提案されたわけでありますが、さらにより効果的な支援や情報提供体制のあり方等を検討していくなかで、これも一つの検討材料として検討させていただきます。なお県民誰もが支援が必要な障害に積極的に手助けを行うよう呼び掛ける障害のある方への声掛け運動を展開することとしております。人と人とが地域を作る県民一人一人のご協力をお願い申し上げる次第であります。
このページの上へ 子どもの専門医師の確保を
■質問■ 次に、子どもを守る体制について質問します。
ひとつは小児救急医療体制の構築です。
県は対策を「輪番制の拡大・充実」「内科医による小児科対応」とし、そして神戸市内の小児救急体制が基本的に整ったという認識のようですが、とんでもないことです。
二次救急病院群輪番表の小児科をみると、本年2月の体制では、神戸市東部は5回ある日曜・祝日のうち4日が空白など、応需体制はとれていません。しかも、一部の病院に負担が集中しており、もし、輪番の主軸となっている病院の小児科医が退職でもすれば、たちどころに小児救急体制は崩壊してしまう、危うい状況が続いているのです。いま県がやるべきことは、自らが率先して小児救急医療体制確保の努力を行うことです。
もちろん何より必要なのは、小児科医の確保です。
小児科医の減少は、少子化や治療の苦労に対して、診療報酬が不当に低いことなどが原因ですから、国に対して適切な診療報酬への見直しを引き続き要望することが必要なのはいうまでもありません。
同時に「医師の育成・確保は基本的に国の責任」という考えに固執していては、現実に子ども達の命は救えません。県民に対して責任ある態度が期待されます。
小児科医を志す学生への援助を、奨励金制度の創設、県立病院等への就職確保などに拡大し、県独自の小児科医養成・確保対策を講じてはどうかと考えますが、いかがですか。
▼答弁▼井戸知事
小児科医の養成確保対策についてでありますが、本県の小児科医数は全国平均と比べて遜色はなく、また昨今の社会的関心の高まりもあって小児科を志す医師は近年増えてきております。一方最近の小児科の傾向としては、昼間の一般的な入院が減りまして外来、救急患者が増加しております。県としましては医学生を支援して小児科医を増やすこともご指摘のように必要だとも考えますが、まずは小児科医の救急も担えるような人材とすることが必要であるのではないか。加えて内科医師等が小児科にも対応できるようにすることが必要ではないか。このように考えております。こうしたことから小児救急医療体制の確保の充実を図っていくため県下各地域で内科医等に対する小児救急に関する研修を実施しているほか、小児科医をめざす研修医に対しまして大学等関係機関との連係のもとに小児救急研修を実施するなど小児救急医の養成を行うことについても検討してまいります。
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小児救急体制の充実へ
■質問■ また現場の実態をうかがうと、二次救急病院に一次も三次も集中しており当番病院の負担が一層重くなっていました。この改善をはかること、すなわち、初期診断をおこない、応急処置と後方病院転送を迅速に行える医療機関を多数確保することが重要で、そのことによってはじめて二次救急病院も、その機能を十分に発揮できることになります。
県は、内科開業医も初期救急対応をするべきだと言いますが、子どもは大人のミニサイズではありません。内科と小児科には、大きな専門性の違いがあります。だからこそ専門医としての小児科医が存在しているのです。したがって、県としても小児科医確保に全力をあげるべきです。
本来、小児救急は三次医療機関が最初に対応するべきとの議論すらあります。この観点からすれば、予算案にある電話による救急相談窓口の設置だけでは間尺にあいません。
また休日・夜間の救急応需体制を民間診療所に依拠できる状況にはほど遠いのが実態であり、小児救急はまさに行政が直接的に担当するべき分野です。
県立子ども病院付属診療所の展開など、県として救急初期診断を行う体制を整備することが必要です。知事の積極的な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事
小児救急初期診断を行う体制整備についてであります。小児科輪番病院の過重な負担の緩和を図るためには、小児初期救急医療をさらに充実させるほか小児三次救急医療を確保することも必要であります。このため県は昨年10月より県立こども病院におきまして、小児三次救急医療を開始したところでありますが、小児初期救急につきましては休日夜間急患センターの充実について関係者と協議をしておりますほか、北播磨のように開業医が輪番病院に執務して小児初期救急に対応するなどの方策を取り入れることによりその充実を図ってきております。さらに来年度からは実施する小児救急医療相談を将来は全県に広げることによりまして受診の要否や適切な受診先などの助言を行って効率的な小児救急医療体制の構築につとめていきます。なおこども病院は全県の小児医療の拠点病院でありますので第三次救急を受けもっているものであります。
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のじぎく療育センター
■質問■ 最後に、のじぎく療育センターについてです。
県はのじぎく療育センターの将来を、肢体不自由児施設の枠内でしか考えず、縮小委譲を意図していると感じずにはいられません。看護職員をはじめ必要な人員配置を遅らせるなど、責任を放棄するような姿勢をただちに改めるよう強く抗議し、この項の質問に入ります。
のじぎく療育センターはこれまでに、子ども達をとりまく新たな疾患でも、これまでに成果を挙げています。被虐待児に対する療育・支援はその一つです。
昨年春の新聞記事で、全国の肢体不自由児施設に入所している障害児のうち、保護者に虐待を受けた経験を持つ子どもが入所児童の4.4%にあたる145人にのぼり、のじぎくでも、過去10年で15例が報告されています。肢体不自由児施設という制限があっても今挙げた数字です。
虐待の結果で障害が起こった児童は24%、その中でもっとも多い疾患は、頭に大怪我を負った後遺症だということですが、外科・整形外科を得意としてきた、のじぎくの特色を生かせる点ではないでしょうか。
また、のじぎくによる被虐待児対応の実際の記録をみると、虐待によって発育障害をおこし、打撲、皮膚の乾燥、歩行は全くできない、ものを噛めない、言葉も片言でオムツをしたままという4歳の女の子が、歩行開始はもちろん、食事、排泄など発達を順調に回復させており、瞳に光が灯ったと報告されています。のじぎくでは保育的看護機能があり、生活訓練など刺激も多く、対応と改善が期待できます。ここに臨床心理士やケースワーカなどが加われば、被虐待児治療が展望できます。先ほどの新聞記事も、肢体不自由児施設に被虐待児が入所している現実を踏まえた対応を期待する医師のコメントを紹介して記事を結んでいます。
さらに兵庫県は、低出生体重児問題にも積極的に取り組むことが求められます。
2500グラム未満の新生児を低出生体重児といっていますが、県立こども病院で周産期医療に積極的に取り組み、2000年実績では低出生体重児が323人、そのうち295人の命を救えています。
しかし、各国のレポートなどで、そうした低出生体重児が、全員ではありませんが、酸素欠乏その他で障害をもつことがあると報告されています。出産時に命を助けることはもちろん、その子の育成をしっかりフォローできる体制が必要です。のじぎくは、その中心となり得る施設ではありませんか。
その気になれば、のじぎくをもっと充実発展させる方向性はみえてきます。のじぎく療育センターあり方検討委員会でも、すでに小児科の充実や精神科の確立など、私が提起した方向性を示唆しています。ところが県当局は、この部分についてはみるべき努力をしていません。
県は、のじぎくが40周年を迎えたときに、「今後とも培ってきた経験と蓄積を最大限に活用しつつ、急激な社会情勢や医療情勢の変化のなかで増加する行動発達障害への対応など、さらに充実した取り組みを展開していく」と決意表明されているではありませんか。わずか3年前に言ったことを忘れたのでしょうか。
18歳までしか診ないという枠を緩和させ、せめてOBはフォローできるようにすること、そして被虐待、低出生体重児問題、多動性障害いわゆるADHDなどにも積極的に対応できるよう、のじぎく療育センターを総合療育センターとして入院機能、診療機能の充実・発展をめざすよう提案し、答弁を求めて、質問を終わります。
▼答弁▼神田県民生活部長
私からのじぎく療育センターのご質問についてお答えを申し上げます。のじぎく療育センターにつきましては、近年の疾病構造の変化あるいは医療の進歩等に伴いまして入院患者数が現象傾向にありますことから脳性麻痺等の患者への対応等も進めてきたところでございます。しかしながら入院患者の減少傾向が依然続いておりますこと。また、肢体不自由児施設と病院機能とりわけリハビリセンターでありますとか、こども病院との関係こういったことが問われておりますこと。また、重度あるいは重複障害など新たな課題も生じておりますことから、専門家等の意見を踏まえましてこれら諸課題への対応方策やセンターのあり方についてさまざまな観点から幅広く検討しているところでございます。なおOBを含めまして18才以上の方につきましては、基本的には他の医療機関への紹介ということをやっておりますけれども当センターでの治療の経緯あるいは効果が認められる、こういった場合には適宜対応しているところでございます。
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■再質問■ 県営住宅の問題についてそれから医療体制について再質問させていただきます。
私も家賃滞納を是認するわけではありません。滞納者にはせめられてもしかたのない点はあります。しかし、この損害賠償の額としての近傍同種と、いきなりポンと跳ね上がるわけですね。払うに払えないという状況がある。やはりここはですね、額が適切かどうかという検討を改めてしていただきたい。
今の対応のままですとね、県がホームレスをつくることになるんです。県営住宅で実際には家賃減免がされていても免除ってのはありませんよね。そういう状況で今のシステムとしては一番弱い人を結局社会の枠の外においてしまうという状況になってしまうわけですから、そこはやはり最低限のセーフティネットをどこにつくるのかということはぜひ検討していただきたいというふうに思いますけれどもどうですか。
しかもその際、フォローはされているということですけれども私が担当者に伺いますとやはり権限的には「相談に行きなさいよ」とは言えるけれど、もう一歩踏み込んで本当に相談を受けるというところまでは行けないというふうに言われているわけです。ですから、それをちゃんとフォローできるようにオール県庁で対応をしていただきたいということですので改めて答弁を求めます。
そして、医療体制ですけれども、でしたらね、いつまでに小児救急体制を整備しようというのか。その小児科医や内科医の協力を全県的にしていただくための計画とその見通しの根拠をぜひ明らかにしていただきたいというふうに思います。そして、のじぎくについては総合科についてはお答えがなかったわけですけれども先程提案をしております私の総合療育センター化ということについても検討の対象として入れていただきたいというふうに思いますけれどもその点の答弁も改めて求めます。
▼答弁▼井戸知事
失礼しました。小児医療救急体制の整備あるいは小児科医の確保等の課題でありますが、ご指摘のように、計画的に目標年次を立てて順次すすめる必要があるのではないかと私も思いますけれども、これは生身の人間の確保の問題あるいは体制の整備は関係者のたくさんいることでありますし、県一人でやれることではありませんので現時点では先程申しましたように電話による相談体制を2カ所整備いたしましてこれをできるだけ早く全県化していく。併せまして小児科医の確保について内科医等の小児医療に対する研修の強化を図らしていただきながら小児救急のシステムの運用の質的向上を図っていくこのようにつとめさせていただきたいと考えております。
▼答弁▼山口県土整備部長
家賃滞納に伴う賠償総額の件でございますが、収入の少ない方々、非常に家賃をお支払いになりにくい方々には、議員もよくご存じですが、応能応益、減免措置制度こういった制度を導入してできるだけ家賃は支払いやすいような制度をとっております。その上に我々としては滞納のあったケースにつきまして、先程私が申し上げたように、十分な事前説明をした上での対応でございますのでご理解をいただきたい。また、この近傍同種家賃の解釈でございますが、法律条例では2倍まで可能と書いております。我々としてはそれを同種としておることにつきましても我々の裁量としてとった処置であることをご理解いただきたいと思います。また、退去後のフォロー体制でございますが、これにつきましては、それぞれ個々の事情が異なっておりまして、今ここで一般論として申し上げにくいこともございます。もしよければそれぞれのケースにつきまして我々の担当にご相談いただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
▼答弁▼神田県民生活部長
のじぎく療育センターの問題でございますけれど、先程申し上げましたように、現在の機能であります肢体不自由児機能というものがどんどん減っております。そういう中でこれまでいろいろ対応してきたわけでございますけれども、今申し上げましたように、重度重複障害等の新たな課題もございますので、そういった点も含めまして専門家のご意見も踏まえながら検討しているところでございます。
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