■質問■日本共産党県議団を代表して、青年の就職支援や雇用の場の拡大、中小企業の仕事おこし、中小企業への金融支援、従来型の事業の見直しと予算の組直しについて提案し、質問します。
従来型の施策から脱却し、県民に希望を与える補正予算に
■質問■昨年末、総務省が発表した都道府県別の完全失業率は、本県の深刻な事態をあらためて示しています。55歳から64歳の年齢層は、全国最悪、45歳から54歳の働き盛りは、ワースト2位、25歳から34歳の年齢層もワースト4位、20歳前後の青年層もワースト9位と深刻な実態です。
また、東京商工リサーチ神戸支店の発表に寄れば、県内企業の倒産も747件、負債総額4462億円と過去最悪の水準であり、販売不振や赤字累積など不況型が原因となっており、景気低迷が中小企業の経営を深刻な状態に追い込んでいます。
さらに、「政治はいったい誰のためにあるのか」と、厳しく問うた阪神淡路大震災から8年目を迎えましたが、この間、発表された幾多の新たな調査の中でも、県民の生活が、たちなおるどころか、ますます深刻さを増している状況があらためて浮き彫りとなりました。
震災と不況、その上に小泉内閣の3兆円に及ぶ社会保障の負担増、「不良債権の早期最終処理」、国民や中小企業への増税は、県民の暮らしと経済をたてなおすどころか、ますます深刻にする一方です。
私たち日本共産党は、これまでも、国民の懐を暖め、仕事・雇用確保など暮らしを支えてこそ経済を立て直せると4つの緊急要求の提案をおこなってきましたが、今こそ、この施策への転換が必要です。
その意味で、今回の補正予算は、従来型の施策から脱却し、県民に希望を与えるものでなければなりません。以下、その立場から提案、質問を行います。
高卒・大卒者の就職確保対策の拡充を
■質問■ 最初に、緊急に対策が必要な今春卒業し、就職を予定している高校生や大学生など青年の就職確保の問題についてです。
厚生労働省の調査では、本県でこの春卒業する高校生の就職内定率は、60.3%と過去最悪の昨年をさらに下回るものとなっています。社会の一員として新しい一歩を踏み出す青年に大きな挫折を味あわせる現状は社会としても大問題です。3月まで2ヶ月を切る状態ですが、緊急に手だてをとって、なんとしても青年が希望のもてる兵庫県にする取り組みが必要です。ところが、今回の補正予算には、緊急経済対策とされながら、このような、差し迫った青年の就職確保に焦点を当てた施策がくまれていません。
昨年4月に県が行った高卒未就職者就職支援プログラムでは、50人規模を想定していましたが、実際は14人が受講し、9人が終了、5人が就職できたにとどまっています。
一方、昨年3月時点で就職できていない高卒者は、492人に上っており、就職希望しながらこの支援プログラムをほとんどの高卒者が受けられていない実態です。
私は、今春高校を卒業し就職希望する若者たちに、同じ苦い思いを経験させないために、緊急に施策の改善をすることを提案します。
まず、実施時期です。昨年度の高卒未就職者へのこの取り組みは、年度が替わった5月になって実施されましたが、一般の社会の就職時期である新年度の4月からの就職が可能となるようにこの就職支援の取り組みの時期を早めることが必要です。さらに対象人数枠も、就職希望しながら就職できない人全員を対象にできるように人数枠の拡大をすべきです。そして、研修受講者への経済的支援です。研修受講者には通勤費程度ということで一日2000円の金額が支給されています。研修生活が保障できるように生活費支援的な金額に引き上げることが必要です。大学、短大卒を対象とした「ひょうごユース・ワークプログラム事業」についても当然、研修手当を同様に引き上げるべきです。
県の未来を背負う青年に希望を与えるためにも、以上の改善を組み入れた緊急の青年の就職支援事業の実施を求めますがいかがですか。
▼答弁▼斉藤副知事:
大学等卒業者の未就職者を対象と致しまして、職場実習を行います「兵庫ユースワークプログラム」を平成11年度から実施いたしております他、高卒者の就職状況の悪化に対応し、今年度新たに「高卒未就職者就職支援プログラム」を5月に実施をいたしたところでございます。両プログラム受講生には、無償での研修機会の提供に加えまして、さらに受講を奨励するため、一日2000円の研修手当を支給していますが、これは、生活支援のための手当とは主旨が異なりますことから、金額は適正なものであると考えております。
また、高卒未就職者就職支援プログラムの実施時期につきましては、今春卒業予定の高校生の就職内定状況が、平成14年11月末現在において、69.7%と、前年同期を4ポイント下回っていることから、今年度の実施結果を踏まえるとともに、就職内定状況の今後の推移を見守りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
なお、受講者枠につきましても、未就職者が改めて進学したり、独自の就職活動をすることも想定されることから、実績等も勘案しながら、適切な受講者枠を確保してまいりたいと考えております。
災害公営住宅の高齢者対策など、公的な直接雇用の拡大を
■質問■ 雇用確保の2点目として、直接的な雇用拡大の取り組みについてです。
今回の補正予算では、緊急雇用創出事業基金の積み立てが30億円計上されています。緊急雇用創出事業については、一定の評価をするものですが、短期雇用の問題などの改善とともに、一定の長期間の雇用につながる施策の実施が必要です。
一例として、災害復興公営住宅での高齢化の進行に対するマンパワーの拡充です。
災害復興公営住宅では、高齢単身世帯が、全国平均の6倍、35%、世帯主が高齢者の高齢世帯は、一般の2倍57%と突出し、コミュニティの維持にすら問題がおきています。県営復興住宅だけでも、高齢世帯主の世帯数が5100世帯を超えていますが、点在して生活するこういった高齢者に携わる生活援助員、高齢世帯生活援助員は、県は108人としていますが、市営住宅も同時に担当している人数を按分してのぞけば、70人程度で、24時間常駐は、わずか1団地です。高齢者の不安の高い夜間は、警備会社などへの委託にとどまっており、コミュニティの維持確保、安全安心の保障と言う点で大きな欠陥をもったままです。今後もこの高い高齢化率がますます高くなっていく傾向が明らかなとき、高齢者が一番不安を覚える夜間は、警備会社に委託ではあまりにも実状を見ないものです。いっぽう、生活援助員の財源の介護予防・生活支援事業の実施状況を見ると、昨年度は20億円の予算枠に対して、7億円も未執行に終わっており、今年度も同様の傾向にあるといいます。仮にこの7億円を生活援助員の増員にあてれば、300人以上の増員が可能となります。また、高齢世帯生活援助員の財源は復興基金です。この際、県下の復興住宅の際だった高齢化の実態に見合った生活援助員、高齢世帯生活援助員の増員とともに、時代の要請である福祉や環境面での雇用拡大の施策に積極的に取り組むことを求めますが、いかがですか。
▼答弁▼斉藤副知事:
雇用の拡大の取り組みにつきましては、民主導の経済活力再生により雇用機会を創出する一方、個々の求職者に対し、きめこまかい相談・情報提供・能力開発等の支援を行いまして、就職に結びつけることを基本に、福祉や環境面を含めました雇用の拡充に努めているところであります。
ご指摘のLSA(生活援助員)、SCS(高齢者生活援助員)につきましては、これまでから、災害復興公営住宅等におきます高齢者の見守り体制の整備等の観点から充実をはかってきたところでありますが、LSAにつきましては、実施主体であります市町が、高齢者の家族構成や健康状態など、地域の実情を考慮しまして配置することになっており、今年度から配置基準について従来の住宅個数おおむね30戸に一人から、市町の判断で、必要性の認められる範囲で、弾力的に配置できるようになりましたことから、今後市町から協議があれば適切に対応してまいりたいと考えております。
SCSにつきましても、今年度、関係市町とも協議のうえ、人員を倍増したところでありまして、今後とも、市町と十分に協議しながら実情に応じた対応に努めてまいりたいと考えております。さらに、緊急雇用創出事業につきましても、引き続き福祉や環境面での事業を拡充する等、積極的に取り組んでいく所存であります。
県下の中小企業の仕事をふやすために
■質問■ 二番目の課題として、危機的状態の中小企業の仕事をただちに増やす取り組みについてです。
その一点目として、官公需発注の改善です。
中小企業の倒産が県政史上最悪の時、中小企業の仕事を直ちに増やすため、県の発注する事業の中小企業発注率は少なくとも史上最高にする取組みが必要ですが、これは県の決断と努力でできることです。ところが、今年度の県の中小企業発注率をみると目標自体が77.6%と過去最高と比べても5ポイントも下回り、さらに今年度のこの間の実績は、目標よりもさらに4ポイント下回っています。なかでも今回の補正の大半を占める県土整備部は、自らの当初目標とくらべても11ポイントも下回っています。県の中小企業振興への姿勢が厳しく問われる事態です。
県下中小企業の危機を救うためにも、今年度の中小企業発注率を史上最高にする目標に変え、分離分割発注などを駆使して今回の補正の事業はすべて中小企業に発注をする決断が必要です。そのための執行体制も整える必要があります。
▼答弁▼斎藤副知事
中小企業発注率の向上についてお答えいたします。県におきましては、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨をふまえまして、庁内体制についても、庁内に連絡協議会を設置し、毎年度中小企業者に対する官公需確保の推進方針を定め、さらに目標率を設定し、その進行管理をはかる体制を整備しておりまして、このような取り組みは全国47都道府県のなかでも本県のみであります。
また、公共工事の発注に当たりましては、効率的な事業執行の範囲内で、可能な限り分離分割発注を行いますとともに、技術的に施工可能な工事で、競争性が十分確保できるものにつきましては、極力地元中小建設業者の受注機会の拡大をはかっているところであります。
14年度におきましても、13年度の目標率と同じ77.6%と高い水準に設定し、その進行管理に努めているところでありまして、上半期における実績につきましては、年度目標率を若干下回るものの、13年度の同期実績を1.8ポイント上回る実績を確保しておりまして、引きつづき目標達成に向け努めていきたいと考えております。
なお、今回の補正予算に関わります県発注工事につきましても、分離分割発注の推進や、入札参加者を可能な限り県内中小企業者に限定することなどにより、中小企業向け発注比率86.0%と設定し、中小企業の受注機会の確保に配慮することとしておりますので、ご理解を賜りたいと思います。
中小の建設業の仕事おこしで、県民の消費購買力の活性化を
■質問■ 二点目に、中小企業の仕事おこしについてです。
先日、東京都信用金庫組合が都内の1万以上の事業所を対象に実施した調査で、2003年に政府がとるべき施策は何かとの問に、消費税の税率引き下げが39.6%という高い率でトップになっています。消費税が国民の購買力活性化におおきな障害になっていることを示しています。
さて、補正予算案では、この肝心の購買力の活性化につながる施策が盛り込まれていません。
今、中小企業の中でも建設関連業界は、極めて深刻です。この深刻な実態を打開するために、修繕事業の拡大、前倒し発注等のように県からの中小企業への直接的な発注とともに、民需を活性化する、県民の中にある購買力を活性化、引き出す施策が必要です。ところが、緊急経済対策といいながら、今回の補正予算には、国の施策を踏襲するだけで、こういった県民の潜在的購買力を引き出す施策がありません。県民の購買力を活性化する施策や観点の欠如は、県の経済施策の大きな弱点ですが、この際、この点の改善がぜひとも必要です。
私はこの点で、総合産業としてさまざまな業種への波及効果のある住宅の耐震化補修などへの助成事業を提案したいと思います。
まず、住宅の耐震化助成についてです。
刻一刻と近づいている南海沖地震の発生に対して、県民の命を守る対策は十分でしょうか。
住宅統計では、県下の住宅の内、現行の耐震設計以前に建設された民間の住宅は、33万戸をこえ、民間住宅の4割に上っています。阪神淡路大震災での6000余名もの死者の大半が住宅の倒壊によるものであることを考えれば、南海沖地震が近づいた今、大量に存在している民間住宅の耐震化は政治の責任です。
個人財産だから民間住宅の耐震化に公費をつぎ込めないなどと言う議論がありますが、耐震化された住宅は、貴重な安全安心の社会的ストックであることは誰も否定できない真理です。あの大震災で6000余名の命を失った上に、恒久施設でもない仮設住宅に1世帯400万円、総額1900億円も投入しましたが、住宅の耐震化への公的支援は、これらの費用の何十分の1で済むといわれています。そのことによって多くの人命が守られる、住宅耐震化への助成は、無駄な投資、やってはならない投資どころか、行政として当然やらねばならない有用な投資であります。最近知事は、「住宅耐震改修促進利子補給事業」の失敗の批判を受けて、耐震設計への助成という考えを出されていますが、中途半端なやり方でなく、住宅の耐震化に効果がはっきりしている民間住宅耐震化助成制度にふみきるべきです。
住宅の耐震化に力が入っていない要因として、県において、南海沖地震への受けとめが極めて不十分であると指摘せざるを得ません。
例えば、私の地元の武庫川堤防はあの大震災の時は、堤防を構成する土砂の流動化現象が起き、大雨で水位が高くなれば極めて危険な状態でしたが、今度の南海沖地震は、堤防が流動化現象を起こした後、間違いなく津波が押し寄せてくる、いわば海からの大洪水が確実に押し寄せてくるわけです。ところが、堤防がいまだに補強されていないだけでなく、このような危険の存在が県民に知らされもしていません。武庫川堤防が出来てこの80年近くの間、大雨による水害は起きていませんが、南海沖地震による洪水の危険は、極めて現実的問題です。ダムでなく、堤防補強策こそ一刻も早く急がねばならない問題です。南海沖地震対策という点で、行政の姿勢の転換が必要です。
さて、経済活性化の効果の点でいえば、民間住宅の耐震化助成や住宅リフォーム助成制度は、民間需要の活性化、購買力の引き出しの点で大きな効果があります。例えば、住宅リフォーム助成事業が、県や市が支出した金額以上の工事を引き出し、公的投資額の20倍近い民間需要の引き出し効果を発揮することは、昨年の6月議会で指摘いたしました。また、民間住宅耐震化助成は、先に示した33万戸の民間住宅耐震化の必要性からみても、年間数万戸以上の工事となり、中小建設会社の大量の仕事を喚起することは明らかです。そして、それは、建設会社にとどまらず、さまざまな県民の購買力の引き出しに効果を発揮します。一石二鳥にも三鳥にもなるこのような施策に県が公費で取り組むのは当然のことです。知事の英断を求めます。
▼答弁▼藤本副知事
ご指摘のありました民間住宅の耐震化助成につきましては、「住宅耐震改修促進利子補給制度」を本年度に創設したばかりでございます。今後ともPR等に努めるとともに、必要があれば、活用がはかられるよう、今後、制度改善をはかりながら、推進をしてまいりたいと考えております。
ご提案の「住宅リフォーム助成制度」につきましては、震災復興や耐震改修のほか、今後ますます必要となる高齢者住宅等のバリアフリー対策として、「人生80年生き生き住宅助成事業」など、市町と連携し、必要な予算措置を講じているところでございます。
なお、一般的な住宅対策につきましては、住宅金融公庫等での融資制度によって実施をされているところでございます。今回の補正予算は、地域経済の即効性が高い公共投資の促進による需要の創出等をはかるものでありまして、住宅対策も含め、午前中からもご答弁申し上げておりますように、中小企業への発注を前提として、編成したものでございます。
なお、武庫川の堤防強化につきましては、既存の堤防の安全性評価とその対策につきまして、学識経験者を入れた「武庫川堤防技術検討委員会」で検討を行っているところでございます。
実効ある中小企業むけ「借換融資制度」へ
■質問■ 三番目の課題として、中小企業金融支援の強化についてです。
今回の借り換え融資制度の創設は、わが党がこの間要求してきたものであり、評価するものですが、現状のままでは、今回の借り換え融資制度の創設が十分その所期の目的を果たすこととなりません。
まず、融資期間についてはいずれも5年となっていますが、昨年より実施されている京都府の借り換え融資制度では、融資期間を7年としていることと比べても見劣りする内容であるばかりか、これでは、借り換え融資を受けようにも期間が短すぎるために返済見通しが立たない業者も生まれてきます。現行の厳しい経済情勢からも5年ではあまりにも短すぎます。返済期間の延長を求めるものです。
次に、融資対象を既往の県の制度融資にしぼっていますが、県保証協会の保証のついた融資はすべて対象にすべきです。また、震災で負担する必要もなかった借金を抱える被災業者はより深刻であり、震災融資も当然対象にすべきです。埼玉県ではせっかく借り換え融資制度をつくっても、肝心の金融機関がなかなか応じないために、実際は、対象者の10%しか利用できていないといいます。つくった施策を実効あるものにするためには、金融機関への厳しい指導が必要です。
現在の施策のままでは「器作って魂入らず」になりかねません。
以上、指摘した点を盛り込んだ借り換え融資制度に改善するとともに、金融機関への厳しい実効ある指導を求めるものですがいかがですか。 ▼答弁▼井戸知事
中小企業金融支援の強化について、今回の「資金繰り支援貸付」は、既往の県制度融資の借入れ債務につきまして、借り換え一本化が可能になることにより、毎月の返済負担が軽減され、資金繰りが改善されることを期待しているものであります。
ご指摘の融資期間についてでありますけれども、運転期間としての県下中小企業の借り入れ実態や、既存の貸付制度との整合性を考えますと、5年という期間と設定したものでありまして、当面十分な融資期間を確保したと考えております。
また、このたびの、「資金繰り支援保証制度」(国のあたらしい信用保証制度)は、既往の県制度融資の借り入れ債務以外の金融機関プロパー等の保証付融資についても、対象とされえますので、借り換えが可能と考えております。
震災融資については、据え置き期間・融資期間が延長されており、金利水準や利子補給など、特別に優遇された制度であります。これを、資金繰り支援貸付として利用して、借り換える等を行う実益が乏しいと考えられますので、対象とすることは適当でないと考えたものです。
今回の緊急の金融対策の円滑な運用につきましては、金融機関・信用保証協会等の協力が必要でありますので、積極的な対応を働きかけてまいります。
不要・不急の公共事業への予算を削除し、組み替えて再提案を
■質問■ 最後に、従来型経済対策からの脱却についてです。
暮らしや地域経済を守るには、国民には「痛み」を押し付けながら、大企業には減税、大銀行には税金で支援、公共事業は今までどおりという、逆立ちした税金の使い方を改善することが不可欠です。税金の使い方を改善してこそ、暮らしと経済の建て直しが可能です。
さて、今回の県の補正予算は、国の補正予算を追随する弱点もありながらも、中小企業の仕事となる事業の前倒し実施や、「借り換え融資制度」の創設など一定の改善がなされている面ももり込まれています。もちろん、先に提案したように一層の改善が必要です。
しかし一方、公共事業予算をみると、相変わらず、無駄な事業や不要不急の事業などへの投入が計上されています。
例えば、これまで幾度も指摘してきた県営広域基幹林道 千町・段ヶ峰線整備事業、香住東漁港ルネッサンス事業などが盛り込まれています。さらに、用地買収が計上されていますが、これがどうして、「緊急経済対策」になるのでしょうか。あまりにも安易な補正予算の編成であるといわなければなりません。
また、緊急経済対策としての補正予算であるならば、当然、当該年度事業の執行状態などのチェックを行い、緊急経済対策の実施とそのための財源作りを優先させた検討がなされなければなりません。しかし、今回の補正予算では、そういった形跡は一切見られません。現在の県下の状況が深刻であると見るのであればあるほど、そのための緊急経済対策の施策と体制、財源を優先させた補正予算の編成をすべきです。それは当然、当該年度の本体予算についての見直しという作業も必要となってくるものです。
私は、そういった観点から今回提出された補正予算の「見直し」が必要と考えるものですが、この際、少なくとも無駄な事業や不要不急の事業への予算は補正予算から削除し、組み替えをやり直して再提出されることを知事に求めるものです。知事の英断を求めて質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
▼答弁▼井戸知事
補正予算の見直しについてご指摘がありました。本県の経済情勢を見たとき、公共投資が減少を続けるなど、内需が依然低調となっており、県内経済の実情に即した需要の創出・喚起対策が必要であり、そのために、社会資本整備の前倒し実施に取り組むことにしたものでありまして、県内の需要創出に一定の効果を発揮してくれるものと期待しております。
今回の公共投資の促進に当たりましては、県民生活の安全・安心基盤の構築や、都市の再生と新しい地域づくり、地域情報化・環境対策の推進など、地域経済への即効性が高い事業に重点を置き、緊急性の高い生活関連施設、公営住宅、県立高等学校等の維持・修繕の促進にも、意を用いております。
ご指摘のあった公共事業でありますが、魅力ある地域環境の整備や、交流の促進等に必要な事業であり、用地取得についても、その促進が事業の早期着手に不可欠であると考えています。
また、事業のうちには、政策目的を達成するための枠組みを用意しているものもありますし、ご指摘の執行状況のチェックも致しながら、今回も補正予算の編成を行ったものであり、年度内発注に懸命の努力をしてまいりたいと考えております。
需要の創出・喚起対策と、雇用・中小企業のセーフティーネット対策とを併せて講じることによりまして、県民の安心基盤を構築し、本県経済に適切な効果をもたらすことを期待しているものでございます。ご理解をお願いしたいと存じます。
県として、夜間常駐の高齢者対策の強化を
■質問■ 知事から答弁をお願いします。1つは、若者や中・高年者のどのように雇用を拡大するかということで、高齢者対策の問題を取り上げましたが、この点について市町から要請があればというお話もありました。
しかし、問題は、夜間、地域としても手が薄くなるときに、行政の支援策もすべて引き上げてしまうというところに大きな問題があるわけで、これは単に「市や町から要請があるかないか」ではなく、県として「夜間常駐の問題も視野に入れて体制の整備を図って行こうという立場に立つかどうか」ここが問われている。
その点の知事の考え方、夜間常駐も対象に入れて検討していく、市町と協議をしていくという立場に立つことを求めますが、答弁をお願いします。
▼答弁▼井戸知事
まずLSAの夜間常駐化の問題ですが、LSAにつきましては、被災者復興公営住宅やシルバー仕様の住宅を中心に配置をされているわけですが、夜間常駐も必要に応じておこなっているところもたくさんあるわけで、その辺の必要性を十分市町において検討していただいた上で対応すべきであろうと考えております。
SCS―基金で置いている単独の設置でありますが、この方々については夜間の人的確保が難しいということで、夜間対応が現実にはやられていないところが多い。
SCSについて夜間対応をどうしていくかということもふくめて、その必要性も十分勘案しながら、相談をしていくべき課題であろうと考えております。
民間住宅の耐震化助成制度の創設に踏み切れ
■質問■ もう一点は、住宅耐震化助成の問題で、直接そのことにふれた答弁がなかったように思うが、「必要があれば制度改善をはかる」という答弁のなかに、この住宅の耐震化助成ということが入っているのかどうか。
私は、大震災を経験した兵庫県がもう一度同じように、住宅が耐震化されていなかったために、何千名もの県民が命を奪われるということになってはならないという立場に明確に県・知事が立つことが必要だと思います。経済力に乏しい県民がお金がないために犠牲になるという事態は絶対に起こさないという立場に立っていただきたい。
静岡県や横浜市では、私たちの大震災の教訓を正面から受け止めて、耐震化についての助成に取り組んで実際に成果をあげてきている。そういう点からも肝心のこの兵庫県が、「のど元過ぎれば、熱さを忘れる」というような対応になってはならない。横浜や静岡県の取り組みを研究して、住宅の耐震化助成制度を県としても検討に踏み切ってほしいということを質問し、答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事: それから、耐震化の促進の問題でございます。これは、それこそ第8回目の「1・17」を迎えたわけでありまして、今後の東南海・南海地震にどう備えていくかというのも被災地としての大きな責務であります。
そういうなかで、耐震調査を3万5000の計画で実施しておりましたところ、3万9000という実績がこの3年間であがりました。耐震調査をしまして、耐震度がわかっても、なかなか耐震補強なり改修にふみきっていただけない理由は何なのかというところがありまして、その場合私どもとしては踏み切るための契機付け・動機付けがさらに必要だという意味で、設計促進等につきまして助成ということも含めて検討していったらどうか。これが当初予算の大きな一つの課題と致しております。
改修工事それ自体の費用負担につきましては、いろんなやり方や対応によりまして、金額がずいぶん異なります。現実に、ある調査では、100万円程度だという調査もありますし、ある調査では1000万円かかるという調査もあったりしますが、それは個性のある対応をせざるをえない課題だろうと思っております。
だからこそ私は、わずかな助成金をだすというよりも、改修のための資金を用意してその資金を活用していただき、そしてそれに必要な場合には利子補給をしていくという制度をつくっているわけであります。単に助成金を出すというのは、その人の所得能力あるいは負担力を全く無視してしまうことにもなりますので、私はいかがかなと考えております。
ただ、いずれにしましても、耐震化を進めていくという課題に対して、ご指摘のような他の地域の事例等も十分踏まえながら検討を進めていきたいと考えております。 |