このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
本会議の目次へ 第272回本会議議案反対討論 井村ひろ子
2002年12月19日

国と同様に職員に犠牲を押し付ける条例に反対

 私は、日本共産党県議団を代表して、第326号議案及び第327号議案に反対の立場で討論を行います。
 まず、第326号議案「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例制定の件」についてです。
 兵庫県人事委員会は、10月16日、県職員の給与について、4年連続の一時金引き下げに加えて、史上初の給与引き下げ勧告を行いました。これは、人事院勧告に追随するもので、国と同様に、兵庫県でも県民と県職員に犠牲を押しつける県「行革」路線と軌を一にするものであり、容認することはできません。
 第1に、県人事委員会は、本年4月時点の県職員と民間の給与格差が、給与月額で2001円、率にして0.46%県職員が民間を上まわっているとしてその分の賃金引き下げを平成15年1月1日から実施するよう勧告しています。
 ところが、兵庫県の場合、「行革」の一環として、昨年4月から12ヶ月の昇給延伸措置を行ってきました。この昇給延伸により定期昇給がなかったにもかかわらず、定期昇給がなされたものと見なして生じた格差分、月額6683円(1.55%)まで含めて、結局、月額で8684円、率にして2.01%の格差分を本年4月から12月までの9ヶ月分の給与と12月の一時金分を来年3月の期末手当から引き去ろうとしています。
 これは、「行革」による12ヶ月昇給延伸を具体化するために、いわば支給していない給与を支給したことにして民間との差額分を取り立てるという不当なものです。 さらにこれに加えて、「不利益不遡及」の原則に反し、本年4月に遡って差額を取り立てるのは、まさに不利益の遡及適用であり、二重・三重に不当・不法なものです。
 病院事業関係については、具体的な給料表や手当の額、支給方法等の内容は、管理改定で知事部局の給料表などに沿って決めると県はしていますが、これは二重の意味で違法行為を重ねるものです。病院事業職員の給与等の労働条件は、条例事項でなく、労使協定で確認すべきものです。労使の合意ができていないと、病院当局自身が認識し、委員会でも答弁しながら、これまでの労使確認された給料表を破棄し、さかのぼって減額するなどということは、地方労働関係法を踏みにじる行為です。

 第2に、賃金のマイナス勧告の影響は、県職員、県教職員、警察職員1万1000人、県立病院職員を含め合計6万8000人におよび、不況と震災で苦しむ県内の経済に、大きな打撃をあたえることは明白です。
 国民の懐をあたためてこそ、景気回復への第1歩です。ところが民間と公務員が、賃下げ競争をやれば、ますます経済破綻の悪循環を生み、さらに県民のくらしは、疲弊してしまい、不況に拍車をかけることになります。もし今回、県職員の給与を2.01%切り下げる措置を強行するなら、兵庫県経済に654億円のマイナス効果をもたらすとの試算もあります。これは、神戸ルミナリエの経済効果172億円の4倍にも相当するもので、県税収入もさらにマイナスとなることは目に見えています。
 又、県職員の給与引き下げが、来年の民間労働者の賃金に悪影響を与え、仮に2%マイナスになれば、さらに、659億円のマイナス効果となり県内総生産を0.7%引き下げる重大事態となります。

 第3に、今回の給与改定は、財政危機を口実に県職員に犠牲を押しつけものです。むしろ不用不急の公共事業を徹底して見直すとともに、個人消費を引き上げ、地域経済を活性化することによって県税の増収を図るなどの方法で財源確保に努めるべきです。労働者や県民に犠牲を押し付けるべきではありません。
 しかも今回は、憲法で保障された労働基本権の中心をなすストライキ権がはく奪されているもとで、これまで培ってきた団体交渉権に基づく労使慣行を県当局が踏みにじり、妥結をみない異常事態のまま、県当局の一方的判断で人事委員会のマイナス勧告を悪用して、給与条例を改訂しようとするもので、認めることはできません。

 次に、第327号議案「一般職の任期付き職員の採用等に関する条例制定の件」について反対理由を述べます。
 これは、昨年12月議会で追加議案として出された「一般職の任期付き研究員の採用等に関する条例制定」に続くもので、その時にもわが党は反対したように、公務員の任用に当たって期限を切らないという現行の地方公務員制度の根幹に関わる問題で総合的に検討を必要とするものです。例えば教育委員会は、「対象職員について想定しがたい」と答弁されており、制定の必要のない条例です。部分的、なし崩し的に扱うべきではありません。特に短期の有期雇用を将来の地方公務員制度全体に広げる突破口にされる危険性があります。県民全体の奉仕者として、なによりも継続性と安定性が求められる公務員のあり方としても、このような有期雇用制を認めることはできません。
 しかも県民にも重大な関係をもつ公務員制度にかかわる問題を議会の会期末に追加議案として提出し、県民合意のないまま拙速に条例制定を急ぐべきではありません。
 以上のとおり両議案に反対する理由を述べました。みなさんのご賛同を心からお願いして討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団