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本会議の目次へ 第272回本会議議案反対討論 金田峰生
2002年12月19日

 日本共産党県議団を代表し、上程議案のうち、認第1号ないし認第4号、認第6号、認第8号、認第11号、認第12号、認第17号、認第20号の10件と、議案第248号、第250号ないし第252号、第318号の5件に反対し、討論します。

ムダな公共事業をやめ、県民のくらしを支える予算に

 まず、認第8号「平成13年度兵庫県一般会計決算」の反対理由です。
 平成13年度、2001年度は同時多発テロとアメリカのアフガニスタン攻撃をはじめ、国際平和の危機が高まった年でした。国内でも、政府がGDP成長率をプラス1.7%からマイナス1%に下方修正。4月以降の消費は激しい落ち込みをみせ、設備投資も中小企業でマイナス14.3%など、特に後半において経済危機も県民の生活苦も一段と深刻になり、「雇用破壊」「消費低迷」「金融危機」「産業空洞化」など構造的危機の解決が求められた年でした。
 雇用や消費は国民経済の再生産を均衡的に発展させるための基本的条件です。また、産業空洞化に歯止めをかけ、グローバル化への対抗軸を構築するため、とりわけ中小事業者への直接支援が緊急に必要なことも、欧米の例を引くまでもなく、明らかです。
 わが党はこれら情勢を踏まえ、県当局が施策の前提とした経済成長率1.75%は甘い観測であることを指摘しつつ、県民生活・地域経済を直接支援することでこそ不況を克服できること、それが県本来の責務であり、県政運営からも重要として、ムダな大型公共事業を中止・見直し、くらし・福祉優先に転換するよう繰り返し求めました。
 しかし警告にもかかわらず、当局は「福祉を削り県民生活から活力を奪う行革」「地域経済への有効な応援を行わない再活性化プログラム」そして「生活者の視点をもたず、不要不急の大型公共事業偏重で財政破綻」の道を進む行政を続けました。
 国が医療制度の連続改悪をはじめ、社会保障を変質させようとしています。県も行革の名で老人医療費公費助成事業対象者6万人削減計画を進め、乳幼児医療費公費負担事業の一部負担導入を実施するなど、歴史を逆行させようとしています。
 一方、例えば関西国際空港U期工事への出資、武庫川ダム、金出地ダム、この金出地ダムは結局計画の見直しとなったものですが、これら不要不急のムダな大型開発事業は進めました。
 投資的経費を抑えたといっても、普通会計で4149億円、一般会計だけでも3993億円と、いずれもわが党が大幅削減を求める行革枠の3900億円すら超過しています。ちなみに一般会計で行革枠を上まわった93億円分だけをみても、老人医療費公費助成事業の対象者を元の範囲とし、乳幼児医療費窓口負担を無料に戻せる額です。
 県民への負担押しつけは、教育分野でもみられます。
 経済困窮によって学ぶ権利を奪われる子どもが急増しているのに、私学助成金県費負担分を4億3000万円も削減、県立大学と高校の入学費、授業料の値上げは、わが県の未来を摘み取るものです。行革で22億円分の教職員削減。県民の悲願である30人以下学級実現拒否が財政的理由であり、教育を経済で計る姿勢が明らかです。このページの上へ

不要・普及の地域整備、偏った「産業再活性化プログラム」のあやまり

 なお、過大な計画で不要不急の事業を進め、県民負担を増大させたことは、認第6号「地域整備事業会計」で象徴的です。事業ごとの経理公開も未だに行わず、国の動向を見ている中で土地の含み損など、今後多大な損失を県民にもたらします。この他認第2号「水道水供給事業会計決算」、認第3号「工業用水水道事業会計決算」、認第11号「公共事業用地先行取得事業会計決算」も同様で、認められません。
 産業政策では、小泉改革の「不良債権早期処理」は「貸し渋り」や「貸しはがし」を増大させ、さらに国内金融や産業をアメリカ資本に明け渡すもので、地域経済ひいては日本経済破壊を進めています。県もこれに追従し、一点突破主義と称して一部企業に支援を集中、それ以外は事実上切り捨てるなどの「経済再活性化プログラム」も掲げました。中小企業への直接対策費が一般会計比わずか0.4%というのも認められません。なお、認第20号「産業開発資金会計」も同様に認められません。
 雇用対策では、失業を労働者の自己責任と描く「ミスマッチ論」や、リストラと不安定雇用増大を容認する「兵庫型ワークシェアリング」など、県民生活に安定と安心を保障するという基本から外れた施策が推進されており、容認できません。
 そして県民生活の視点をもたない県政が、自らの危機も深めました。
 歳入では県税が前年比マイナス3.2%、法人事業税も先行きが非常に心配です。明らかに消費購買力の低下が原因です。県財政の縮小傾向は改善せず、財政基金を18億円取り崩しても6億8000万円余の赤字。しかも10年前に240億円あった財政基金が、今は24億円、10年前の1割しか残っていません。
 県債依存度は10.9%に上昇。全体の県債残高は4兆92億円に膨れあがっています。
 県民生活、経済、財政の3つの危機をかえって深める県政を進めながら、外形標準課税導入を急ぐなど責任を県民に転嫁するのは、言語道断です。
 この他、終局するべき同和行政に相変わらず予算執行があり、逆差別温存につながっていること。明石歩道橋事件、神戸市西区大学院生殺傷事件など市民生活の安全を守る任務を果たすべき県警の責任と体制が問われましたが、真摯な説明と反省がないこと。決算は県警運営全般を表しておらず、情報公開と説明責任が果たされていないなど問題です。このページの上へ

公正な医療機器の購入を

 認第1号「兵庫県病院事業会計決算」では医療機器購入契約に地方自治法施行令第167条の2および病院財務規則第77条違反がありました。
 当局は「適正な会計処理を指導する」と言いますが、これは単なる会計処理上の誤った取り扱いで済む問題ではなく、「公正な取引を失する恐れがある」問題です。従ってわが党は県当局自身が全例調査を行うなど自ら襟を正すよう求めましたが、自浄意志はみられませんでした。看護学校授業料値上げとあわせ、認められません。
 認第4号「電気事業会計決算」は、関西電力への売電料金がもともと低いのに、さらに値引きされており、不適切です。
 認第12号「県営住宅事業会計決算」は、住宅困窮者および生活困窮者が増加するなど、むしろ一般会計からの投入も必要な事態が進行しているにもかかわらず、新規の県営住宅建設を計画しないこと、近隣府県に比べても不十分な家賃減免制度を改善していないこと、県営住宅の工事・管理等すべてを住宅供給公社に丸投げし、県行政責任を著しく後退させたことなど、認められません。このページの上へ

県営住宅の家賃滞納 被災者をはじめ配慮は不可欠

 なお、県住運営に関わって議案第254号ないし第314号で家賃滞納者に対する出訴60件が提出されています。被災者25件、生活保護受給者8件などがあり、5件の母子家庭の子どもたち、2件の65歳以上独居老人は心配です。このあとどうするのか。県も部局を超えてフォローアップ策を講じるべきであることを一言申し述べておきます。
 認第17号「自治振興助成事業会計」は、自治振興を下水道事業に特化し、地域間格差の是正など必要な総合的市町支援を展開せず、その不十分な支援のもとでの市町の財政難を逆手に合併を事実上強要する流れをつくりだしており、認められません。
 条例等に関する議案に移ります。このページの上へ

県民の真の「参画」にならない条例 5つの理由で反対

 第248号「県民の参画と協働の推進に関する条例制定の件」は、真に県民の参画を促進する内容になっておらず、修正にも耐え得ません。主に以下5点の理由で反対します。
1。県当局は本条例をつくる過程で、いったん発表した骨子案をどの公的議論にもかけず、新しい骨子案を出しました。パブリックコメントを踏まえていると主張しますが、パブリックコメントの整理は県当局の手によるものであり、作業も公開で行うというパブリックコメントの原則を逸脱しています。非公式、個別折衝、情報操作など作成過程の問題はマスコミからも指摘されているところです。こうした県民参画のない手続きでつくられた本条例案は、参画の名を呈する資格もありません。
 2。「参画は県民の権利」、「協働は行政側の義務」、これを明確にしなければなりませんが、本案にはその明記がありません。むしろ「地域社会の利益実現のためには県民が自律してこれにあたらなければならない」とするなど、県民への参画強要と県行政の責任後退につながる内容となっています。本条例案が参画だけでなく協働を求め、そこに力点を置いていることも、県民が要求する「参画」とは似て非なるものになっている要因です。
この点で当局は条例案第3条「県行政は県民の積極的な参画及び県と県民との協働により推進されなければならない」などが、県の責務規定であり、その裏返しで権利規定になるなどと説明しますが、条例文を「裏読み」しなければ憲法が保障する権利が読みとれない条例案がまともな条例になるはずがありません。
3。情報公開、情報提供が十分保障されていません。
県民が行政に参画するために情報公開は必須条件です。しかし現在の「情報公開」は公文書以外の公開に道を閉ざしています。これを拡充するべきですが、本案はむしろ第7条2項で「登録をした地域づくり活動に対して、情報提供その他の必要な措置を講ずるよう努める」とするだけで、県民の参画権利保障に後ろ向きになっています。
 4。参画主体に営利を目的とした企業を含むかどうかは県民の中でも議論は分かれているにもかかわらず、一方的に「県民」には企業を含むとした問題があります。また、「県民」に外国人が含まれるかどうかの見解が1日で変わるなど解釈がいかようにもなされたこと、「地域づくり」が県の基本政策も含めた全般を対象にしているのかどうかも全く明快になっておらず、県民参画の範囲をかえって限定しかねない内容になっています。
 5。市町との関係でも「役割分担に配慮」し「市町の施策を尊重する」にとどめ、市町や県民の要求を県として積極的に実現するという姿勢にはなっていません。
 細かくは他にもありますが、主に以上の理由により、本案は撤回し、再度一から県民的議論を尽くすよう求めます。このページの上へ

教育の問題解決にならない「高校改革」や中高一貫教育

 次に第250号ないし第252号議案です。
 「県立高等学校教育改革第1次実施計画」が、教育環境の充実対策を示していないこと、教育現場の問題の科学的な解明もないこと、経済効率と競争原理の強調で受験競争の激化や教育現場の荒廃をもたらすものであることなどはこれまで指摘してきました。この実施計画に基づく3つの議案に反対します。
 第250号「兵庫県立高等学校の設置および管理に関する条例の一部を改正する条例制定の件」は、県立武庫工業高校と県立武庫之荘高校、県立豊岡実業高校と県立豊岡南高校をそれぞれ統廃合するもので、地元県民の反対も依然強く、合意なき強行に反対します。
 第251号と第252号は、「中高一貫教育」を実施する県立学校を設置しようとするものですが、受験競争の低年齢化が起こります。当局は「学力検査を行わず」「個性や特色に応じて選抜方法を検討する」「作文、面接、抽選などになるだろうから受験競争の低年齢化にはならない」といわれますが、何ら歯止めにはなりません。
 まず希望する児童全員が入れる訳ではないのですから、学力検査はなくても校長推薦のために複雑で問題の多い選抜が小学校児童に持ち込まれ、激しい競争が生まれます。抽選などは論外です。
 また、「中高一貫教育」は橋本内閣時代の改革メニューですが、「多文化、共生への対応」などと言いながら、その目的は集中して人材育成を実施するために早い段階でエリートとそれ以外を振り分けようというものでした。この路線を実現化しようとするのは危険です。今求められるのは教育基本法を真摯に実現するための努力であって、学校制度複線化や受験競争の低年齢化ではありません。すべての子どもに高校教育を保障することこそ県民の要求です。本条例案は認められません。このページの上へ

下請にしわよせする業者との契約に反対

 最後に第318号「三木震災記念公園学習・訓練ゾーン、教育・宿泊施設建築工事請負契約締結の件」ですが、改札結果では税抜きの入札平均価格約5億6000万円に対して、落札価格は3億9900万円です。実際入札の際も、あまりに低価格であるために一旦保留したのち、落札決定となっています。
 仕事を得るために無理な事業予算で落札し、下請業者や労働者にしわよせをする。そのために潰される事業所も発生しているなど、社会問題化しています。本件当該事業者2社のうち1社は、過去に下請業者に無理な見積もりを強要しており問題があります。
 この際、契約は保留し、経済モラルの確立と下請業者、労働者の保護などを目的にした調査項目を追加し、万全を期すべきだと考えます。そういう主旨で本議案に反対します。
 以上、議員のみなさんのご賛同をお願いし、討論を終わります。

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