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本会議の目次へ 第272回本会議請願討論 島田しずお
2002年12月19日

 私は、日本共産党県会議員団を代表して、請願の態度について討論を行います。
私は、第204号ないし206号、第209号ないし211号、第217号ないし219号、第221号及び第222号は不採択ではなく採択を、第76号及び第92号は継続ではなく採択を主張し、以下その理由を申し述べます。

年金制度の改悪やめ、「最低保障年金制度」の創設を

 まず、第217号の年金に関する請願についてでありますが、政府は制度発足以来初めて、現在支給中の年金を引き下げようとしています。高齢者をとりまく環境は、老後に備えた預貯金は超低金利に置かれ、加えて、先の通常国会での医療制度の改悪による医療費負担増、さらに来年4月には介護保険料の引き上げが予定されるなど、きわめて厳しいものがあり、これに追い討ちをかけるような年金引き下げなどは行うべきではありません。
 社会保険庁の「事業年報」によると、国民年金の実質収支は1995年度から五年間の平均で年6,440億円の黒字であり、その積立金の累計は10兆円を超え、厚生年金のそれと合わせると140兆円の巨額に達しています。この国民の貴重な財産を、本来の目的に反する投融資に注ぎ込んできた歴代政府の責任は重大であり、これを正して国民のために有効活用することが肝要です。失政のツケを現在と将来の高齢者におしつける年金支給額の引き下げや、2004年の改定にあたっての制度改悪などはあってはなりません。
 また、基礎年金への国庫負担を現行の3分の1から法が定めるとおり2分の1にすることが急務であります。これによって願意にある掛け金なしで誰でも受け取れる「最低保障年金制度」の創設への道が開かれます。すべての高齢者が安心して暮らせることをめざす本請願は採択すべきであります。このページの上へ

乳幼児医療費の完全無料化を

 次に、第218号、県の乳幼児医療において通院時1割の自己負担をなくし、無料化を求める件についてです。少子化対策の必要が叫ばれる中、本来、国の責任で乳幼児医療を無料にすることが求められていますが、この度、3歳児未満の医療費については、国の給付が7割から8割へ引き上げられました。これによる負担軽減を生かせば、本県で通院時の1割負担をなくし、就学前までの乳幼児医療費の完全無料化を実施することは十分可能と考えます。よって本請願の採択を求めます。このページの上へ

介護保険の保険・利用料の減免制度の創設を、障害者への負担軽減を

 次に、第219号、介護保険の保険料・利用料の県独自の減免を求める件であります。
全日本民主医療機関連合会が22,000人を超える人を対象に行った聞き取り調査によれば、介護保険の実施によって「負担が増えた」という人74.5%に対して、「負担が減った」という人は4.9%でしかありません。また、介護にかかる月々の費用の平均は、実施前の5,594円から、介護保険制度の実施によって14,640円と2.6倍にもなっています。
 この結果、年収100万円未満、つまり、月8万円そこそこの収入のお年寄りが、月額1万5000円近い負担を強いられる状況があり、これに加えて、見直し作業の中で予定されている保険料値上げにより、いっそうの負担がのしかかろうとしています。
 こうしたことから、本県でも、保険料については神戸市など9市11町、利用料についても西宮市や芦屋市など3市14町で、限られた財源の中から減免が行われています。
 この取り組みを県下全ての市町に広げ、県下のどこに住んでいても、より安心して介護サービスを受けられるようにするため、介護保険法第128条に基づいて、県による減免制度の創設を求める本請願は採択すべきであります。
 関連して、継続中の請願第92号、障害者の介護・福祉制度の利用における親・家族の負担撤廃を求める国への意見書提出の件でありますが、緊急切実な要望内容であるにもかかわらず本請願が出されて2年も経過しています。
 しかも、障害者福祉サービスは、来年4月から、現在の措置制度から支援費制度に移行することが決まっており、本請願が継続となることは願意の意義を失わせることとなり、県議会として、不誠実とのそしりは免れません。
本請願は継続でなく採択を求めます。
 また、同じく継続中の第76号、ビスフェノールAなどの実態を明らかにし、その安全基準の見直しを求める件についてです。これも提出されて2年6ヶ月も経過していますが、食の安全性が厳しく問われているときに、国民の命と健康に関わる内容の本請願をいたずらに継続を続けるのは、適当ではありません。直ちに採択すべきであります。このページの上へ

神戸空港の建設中止を

 次に、第221号神戸空港への県の補助金を中止することを求める件についてであります。神戸空港の建設については、わが党は、本県議会においても、再三、その重大な問題点を指摘し、県としてその中止を神戸市に働きかけることを求めてきました。
 空港そのものの必要性のなさ、過大な需要予測による採算性の欠如、また、飛行の安全性に対する危惧や瀬戸内海の汚染を始めとする環境破壊、加えて地域経済効果がきわめて小さいことなど、数々の重大な問題をかかえているからこそ、多くの神戸市民が反対しているのであり、このような神戸空港に県が補助を行うべきではありません。
現在と将来を展望し、豊かな地域経済への発展をめざす立場からの本請願は採択すべきであります。このページの上へ

教育予算の増額、老朽校舎の建て替え、30人以下学級実現など、教育の切実な県民要求の実現を

 次に、教育問題に関する請願7件について採択を求め、意見を申し上げます。
 まず第210号、「教育基本法の見直しを中止することを求める意見書提出の件」です。11月26日の中央教育審議会に教育基本法の見直しが諮問されました。遠山文部科学大臣は、教育基本法の「基本理念」から「教育行政のあり方」まで全面的に見直しの対象としています。一方、中教審会長は再三にわたり「教育勅語礼賛」発言を行っており、また、憲法改悪の動きと「歩調」を合わせるべきとの危険な意見も自民党国会議員を中心に出されています。今回の見直しは、国家戦略に役立つ人材育成を教育目標とし、「愛国心」や「倫理観」などを強制する目的で教育基本法を変えることをねらうものとして、国民は危惧しております。今日の子供と教育を巡る困難な状況を解決するためには、現行の教育基本法を生かすことによってこそ道が開けることを訴える願意はまことに当然であり、本請願を採択することを強く求めるものであります。

 次に、第204号ないし206号、第209号、第211号、第222号の6件の請願は、いずれも教育条件や教育のあり方に関するものであり、わが党県議団もこれまで常に要請してきた内容でありますので、まとめて意見を述べさせていただきます。
 まず、第1に教育予算の増額を求めることについてであります。30人以下学級の実現は、子供たちに行き届いた教育を行う上でもっとも求められている施策であります。今議会の代表質問でも指摘したように、現在、県教育委員会が実施している新学習システムでは数々の限界があり、30人以下学級に代わるものではありません。今、全国的に少人数学級が進んでおり、本県が時代遅れになってはなりません。今後、計画的に教職員の定数増をすすめ、30人学級の実現をはかるべきであります。
 また、「教育復興担当教員」の継続配置など、当面必要な教職員の定数増もかかせません。
 教育環境の整備については、老朽化した校舎が「いつ改善されるのか」との声が全県的に起こっております。具体的な改修計画を立て、普通教室への冷暖房設備の設置と合わせ、必要な予算を確保し、早急に具体化することが重要であります。
 また、長期にわたる不況のもとで、子供たちの学習権を保障するために、現在実施している就学援助や授業料減免、奨学資金制度などを拡充し、必要な家庭すべてに適用出来るようにすることを求めるこれらの請願の願意は当然ではありませんか。

 第2に「高校教育の改革」と称して、全県学区の単位制や総合学科を拡大し、学区制や総合選抜制をなし崩し的に解体していく県の姿勢が県民から批判されています。また、学校の統廃合や、生徒減少を口実にした学級減をすすめるのではなく、願意にあるように希望するすべての子どもたちに高校教育を保障するために、募集生徒数を増やし、開門率を引き上げることこそ必要であります。
 また、高校卒業生の就職内定率が最悪の事態にあることを厳しく受け止め、具体的施策をとることは、喫緊の課題であります。

 第3に「私学教育」に関してです。
 私学に通っている高校生で、学費滞納者が急激に増え、経済的理由による退学者も増加し、ここでも、生徒たちの学ぶ権利が脅かされています。また、多くの私立学校も経営の危機に直面してさらなる県の支援を求めているときに、県の私学への経常費補助を、国庫補助や交付税が増額された分を、減額している県の姿勢は関係者の強い反発をかっています。県負担をせめて前年並みに据え置くことによって、願意にある「子どもの未来にかかわる教育予算の増額」が実現するではありませんか。
 また、公立高校と比較して、授業料負担だけで2.45倍、それに各種の経費が加わる私学生徒の家庭負担を少しでも軽減するための措置を求める声は切実であります。

 第4に豊かな障害児教育の実現を求める件についてです。
 中・西播地域に新しい養護学校が設置されますが、しかし、阪神間をはじめ、県内各地域での「過大・過密校」が深刻であり、養護学校新設の強い要求にこたえる新設校設立計画が求められます。
 同時に、現在ある障害児学校の改修整備も焦眉の課題となっています。文教常任委員会審議の中で、県教育委員会は「平成20年までに改修する計画」と言いながら、各学校毎の具体的な改善・改修計画を持っていないことが明らかになりました。急ぎ学校施設改善計画を策定し、行き届いた教育を保障すること、そして、障害を持つ子供たちの健康管理の上からも、エアコンを設置することを求める願意を真摯にくみ取り、これらの請願の採択を強く求めるものであります。
 以上、議員各位のご賛同を心からお願いし、私の討論を終わります。

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