このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
本会議の目次へ 第272回本会議一般質問 いそみ恵子
2002年12月3日

 私は、子育て、高齢者、NPO活動支援、阪急甲陽線地下化事業、いわゆるピンクチラシの配布規制強化問題について質問します。

「解消」どころか増えつづける保育所待機児童 公立保育所をあたらしく増設を

■質問■いそみ議員:  質問の第一は子育て支援についてです。
 まず、保育所待機児童問題の解決について質問します。
 私は この問題について、一昨年9月議会でもとりあげ、増えつづける待機児童の解
消のためには臨時的な定員増など小手先の対応や民間参入などで公的責任を放棄するのでなく、保育所の新増設で解決すべきと求めてきました。昨年12月議会、わが党議員の質問に知事は、2001年度は 2100人の待機児童解消が見込まれ、来年度には解消すると答弁されています。
 しかし、神戸市と姫路市をのぞいた県所管分だけでみても待機児童数は、昨年1100人、今年度4月1日現在でも、1327人と解消どころか増えつづけており、この問題の解決は急務です。
同時に、その待機児童解消をはかるための手立てが問題です。まず、県がすすめる定員増によるつめこみ保育の問題です。
 昨年度県の計画では、2100人の目標に対し、実際解決できたのはその5割にも満たない990人でしかありません。その内県は、解消策として保育所の新設を計画的にとりくむとしながらも、新たに建設したのはわずか3ヶ所で210人、増設は4箇所で105人です。あとの半分は結局、すでにある保育所の定員増によるものです。
 県は、この問題に対して「余裕室の活用や保育士の配置による適切な保育水準を確保している」と言われますが認識不足もはなはだしいと言わなければなりません。
 現在の保育所施設基準は戦後間もない1948年に定められたもので、実態にあったものになっていません。そのため市町や社会福祉法人など民間も独自の努力で基準をこえた保育スペースを確保し、保育の質を高めてきたのです。
 私が調査させていただいた西宮市のある公立保育所では、定員増によって4歳児の受け入れが20人から29人と1.5倍となり、子どもの発達にとって大事なお昼寝は、布団を重ねてしかざるをえなくなりました。また、保育の中心をなす園庭での遊びも時間制にしなければなりません。遊びを満足に保障できずにどうして良い保育ができるでしょうか。保育士の努力や工夫もぎりぎりで、子どもたちにも保育士にも不要な緊張やストレスがともないます。
 低い施設基準のまま、これまでの現場の努力も無にするような定員を増やすだけのやり方で待機児童解消を図ろうとする県の今の方策では、保育の質は、低下せざるをえません。
 さらに問題なのは、企業による保育所経営をこの機会に拡大していこうとすることです。確かに民間の保育所でも熱意と工夫ですばらしい保育を実施している施設はたくさんあります。しかし、こうしたこれまでの民間保育所と営利を追求する企業主体の保育所とは全くちがいます。
私は、「ちびっこランド」も見学させてもらいました。2階建て民家を改造した一階の10畳ほどのワンフロア―にベビーベッドを2台常設し、0歳児1人、1歳から3歳までが12人、4歳から6歳が5人、計18人を午前は3人、午後2人の保育士さんが保育されています。昨年は30人預かっていたそうです。外遊びは園庭がまったくな いので近くの公園であそばせ、夏のプールは隣接の駐車場を借りてビニールプールを置いて水あそびするそうです。「ちびっこランド」だけでなく全国的には、ベネッセコーポレーションやピジョンなど教育産業、育児産業にかかわる企業が保育所経営に乗り出していますが、保育士は園長を含めて全員が1年以内の臨時職員であったり、園長など一部の管理職は契約社員、それ以外は時給のパート社員という状況だといわれています。今後は、派遣社員も予想されます。
 不安定な雇用形態とマニュアル保育では、実践経験や教訓は蓄積されず、保育士の創意工夫による1人ひとりの子どもたちの個性を伸ばす豊かな保育などできる訳がありません。
 一方、公立保育所を民間に委託しようという動きも県下で進んでいますが、それではあるべき保育水準が曖昧になり、県下の保育水準を示す灯台をつぶすことになります。保育所も学校と同じようにそこを卒園した子どもたちにとっては、かけがえのない思い出の場所であり、これから生きていく上で大きな心の支えとなります。21世紀の兵庫の未来を担う子どもたちの成長に県がその責任と役割を果たすことがどうしても必要です。
 待機児童解消はもちろん、保育の質を確保し、子どもたちに豊かな保育環境を保障するため県が責任をもって公立保育所を基本に新・増設を行うべきとおもいますがいかがですか。ご答弁ください。

▼答弁▼井戸知事:  待機児童の解消については、保育の実施主体であります市町の意向や将来の保育需要を踏まえ、13年度から保育所の新増設を含めた対策により年度当初の待機児童を上回る定員増をはかってきたところです。
 しかし、都市部を中心に求職活動やパート就労を理由として、近時年度途中に保育ニーズが急増する状況にあります。
 そのため、新増設のみでは対応が困難な実情にあり、国の指導も踏まえ「定員の弾力化」でも対応しています。
 また、保育水準の確保については、設備や職員配置基準の遵守はもとより、多様な保育ニーズに応えるため、従来から面積加算や特別保育加配等の導入を指導してきています。
 さらなる保育水準の向上に向け、引き続きこれらの拡充についてまた国へ働きかけていきます。
 なお、保育所創設にあたっては、保育者が社会的信用や経済的基盤を有することと、適正な保育水準を確保される場合にのみ、県は認可しているものであります。
 また、利用者にとって保育環境を多様に選択できることなどが望ましいことから民間のノウハウや人材の活用を含めて公立のみで対応すべきとは考えておりません。このページの上へ

障害児の学童保育受け入れのために、施設の改善と「指導員加算」を

■質問■いそみ議員:  子育て支援の2点目は、学童保育の障害児受け入れについてです。
 私は、この間、障害児の学童保育所受け入れのための条件整備を求め、今年3月、予算特別委員会でも、施設整備と「指導員加算」を県として行うこと。そのためにも担当部署の専任化が必要だと要求してきたところです。
 障害児を受け入れるためには、まず何よりも施設がバリアフリーになっていなければなりません。ところが施設の現状は、学校の倉庫の二階部分を利用していたり、古い民家の空き家を借りた施設が多く、経営もぎりぎりのところでがんばっているため改修もままならないというのが実態です。
 バリアフリー化は、近年、当然の流れとなっており、県も、「福祉のまちづくり条例」をつくり、推進してきましたが、駅前再開発や公共施設整備などに付随しての事業であり、まだまだ進んでいるとはいえません。
その中で学童保育所のバリアフリー化は、障害児が社会に足を踏み出す重要な機会として、その整備は当たり前のこととして行われるべきではないでしょうか。
 また、障害児が学童保育に入所しようと願ってもそれを阻んでいるのが「指導員加算」の問題です。国の現行基準では、学童保育の一施設に、障害児が4人以上通わなければ「指導員加算」はつかず、指導員の配置をふやすことができません。
 しかし、私の地元西宮、また芦屋、宝塚市などで障害児が1人であろうと市負担で指導員をふやし受け入れているのです。
こうした流れが広がり、29都道府県で障害児受け入れのための「指導員加算」が単独事業として実施され、その圧倒的多数は、障害児1人からの対象としています。
 この動きを受け、国もやっと来年度予算の概算要求で「障害児2人以上」に緩和するとし、地域の障害児施設との交流や連携事業への運営などに補助を行うとしています。「4人以上」でなければならないとする県の言い分はあまりにも遅れています。障害児を差別することなく安心して学童保育に通えるよう施設の改善と障害児1人でも受け入れられるよう県が「指導員加算」を行うための財政支援を求めますが、ご答弁ください。

▼答弁▼神田県民生活部長:学童保育の障害児受け入れの問題でございますが、放課後児童クラブは、市町が主体となり運営する事業とされておりました。
 施設整備面においては国、県が4分の3の補助を行う制度が設けられているところでございます。
 また、クラブへの県の補助につきましては、運営費全体の基準額の3分の1、約1億4000万円保障しておりました。
 国庫補助対象外の小規模クラブに対しましては、県単独の補助制度を設け、14年度には約1800万円の支出を予定しているところでございます。
 なお、障害児受け入れにつきましては、国の補助対象外となっている「4人未満のクラブ」に対し、従来から人数要件の緩和や補助基準の充実等、国に対して要望してきたところですが、15年度からその改善が図られる方向で検討されております。
 今後も機会あるごとに要望してまいりたいと考えております。このページの上へ

高い介護保険料 高齢者の滞納にたいする支援制度を

■質問■いそみ議員:  質問の第2は、高齢者への支援、とりわけ介護保険についてです。
 「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与した者として敬愛され、健全で安らかな生活を保障されるものとする」老人福祉法は、今日の日本を築いてこられた高齢者に生き甲斐のもてる老後を保障することを定めています。
 ところが現実は、どうでしょう。先の通常国会で医療改悪が強行され、来年度には介護保険料の値上げ、年金の減額も予定され、県も「老人医療費公費負担助成制度」の対象者をさらに3万人も削減しようとしています。
 高齢者に生きがいのもてる老後を保障するどころか「小泉改革」、県「行革」が高齢者にさらなる痛みを強いるものであることがいよいよ明らかになっています。
 先の9月県議会、本議会でも日本共産党は、こうした国の医療改悪、県「行革」の中止を求めると同時に、介護保険についても県独自の低所得者に対する保険料・利用料の減免制度創設が緊急、切実に求められていることをただしてきました。しかし、その答弁は、「各市町が必要に応じて減免規定を設けている」「制度の枠組みの中で低所得者への対応策が講じられている」などという高齢者の実態を見ない実に冷たいもので納得できるものではありません。介護保険スタートから3年目を迎え、介護保険料滞納は、じわじわと増え、「保険料滞納者の制裁措置」がいよいよ現実の問題となっている中で本日は、この問題に絞って質問します。
 この保険料滞納者の制裁措置は、無年金もしくは年金月額15,000円以下の普通徴収の高齢者も対象にされ、保険料滞納が1年を少しでもこえると、給付制限が行われ、介護サービスの利用料をいったん全額自己負担し、9割分の払い戻しを受けるというものです。さらに滞納がつづくと払い戻しすら差し止められ、そこから保険料が差し引かれることになるのです。しかも過去の滞納分についての時効はなく、滞納期間に応じて7割給付となるペナルティーが一生ついて回る過酷なものとなっています。
 県下では、この普通徴収の第1号被保険者は、300,492人、この内、保険料滞納者は、24,300人となっています。
 月額数千円の保険料を支払うことも困難な高齢者がどうして1ヶ月数十万円もの介護サービス利用料の全額を払えるでしょうか。結果的に低所得者の高齢者から介護サービスの利用を奪うことになるのです。このような過酷なペナルティーは撤回せよと国に強く求めるべきです。
 こうした最悪の事態をさけるため全国で様々な緊急支援策がとりくまれています。例えば秋田県では、今年の4月から「介護支援金貸付事業」を創設し、現金収入が少なく介護保険料や利用料の支払いに負担を感じている高齢者に対して、介護にかかわる費用を最高5年間無利子で貸付を行っています。また、同じ秋田県の鷹巣町では介護保険「応援します」基金条例をつくり、介護サービス利用に要する自己負担金、介護保険料の支払い、国民健康保険療養給付の一部負担金など支払いに必要な資金を無利子で1回につき35万円以内で貸し付け、返済もその人の条件に応じて猶予を設けたり、小口にするなど柔軟に対応するというもので大変喜ばれているといわれます。
 こうした全国の施策も是非参考にしていただき、この兵庫県でも連帯借受人のない無利子の仮称「高齢者応援します制度」の創設を求めるものです。月額15,000円以下の年金で、生きていくことさえままならない高齢者、支え合う力さえない高齢者からも容赦なく保険料をとりたて、滞納するとペナルティーを課す。このような過酷な制度のもとで苦悩する高齢者を勇気づける上からもぜひ、市町が実施主体の県制度創設を求めますがいかがですか。知事の暖かい答弁を求めます。

▼答弁▼神田県民生活部長:  介護保険についてでございますが、給付制限の措置につきましては、保険料を滞納している者が、一方で保険給付を受け続けることは、社会保険方式をとる介護保険制度の主旨に反することから、被保険者間の公平性を確保するため規定されたものと理解しているところでございます。
 第1号被保険者の保険料は、所得段階別に定められているほか、市町の判断によりまして減免措置が行われることとなっておりまして、低所得者に配慮した対応が可能となっているところでございます。
 ちなみに、ご指摘の給付制限を受けている方は、県下で二人おられますが、いずれも介護サービスを受ける必要がないとされておられる方でございまして、現在のところ対象になるというような人はございません。
 また、低所得所帯等で保険料の負担や介護サービスを受けるのに必要な経費を負担するのが困難である場合には、社会福祉協議会が行っております生活福祉資金の貸付制度の中で5年間無利子で50万円以内の貸付を行っているところでございます。このページの上へ

ボランティア、NPO活動への県として直接支援の強化を

■質問■いそみ議員:  質問の第3は、NPO支援についてです。
 阪神・淡路大震災の未曾有の経験からボランティア活動促進の契機となった兵庫県ですが、その教訓が生かされ、全県に広めることとなっているのでしょうか。
 まず一点目は、県によるNPOへの直接支援が、被災地における被災者対象の活動に限定され、被災地以外の県内地域でがんばるNPOには、なんら財政的支援がなされていないことです。これは、現行施策が一般施策によるものではなく、「阪神・淡路大震災復興基金」からの補助事業に限定され、これでは本当に震災の教訓を全県に活かすことにはなりません。「特定非営利活動促進法」および県の条例も、支援対象を被災地や被災者対象に限定するなどは前提にしていません。ただちに融資だけでなく被災地以外でがんばるNPOへの財政支援も創設するべきです。答弁を求めます。
 この項の二点目は、行政からNPOへの直接の財政的支援を拡充することです。
「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針」では「直接的な支援」については「活動の自発性や自律性が損なわれることもある」として、未だ考慮・検討するとしているだけです。
 当局はこの問題について、「単に資金をばらまくのではなく、マネージメントや人材育成が有用だ」「資金調達にはビジネスを起こす方法もある」「企業・団体から支援をもらえばいい」などとしてますが、非営利活動を支えるために、営利を目的とする企業からの調達や団体自らが営利活動を行うことは、ボランティア活動に条件や制限が加えられたり、いわゆるスポンサーへの「配慮」という名の強制力が働いたりするなど活動の本質や大切さがゆがめられることが十分に考えられます。それを基本とせよとするなどはボランティア活動を理解していない発想だといわざるを得ません。
 私は実際に誠意と熱意をもって活動に取り組まれている様子を見学し、お話をうかがって参りました。
 例えば西宮市で、一人ぼっちで食事をされている高齢者に元気を出してもらおうと昼食会に取り組んでいる「あったかハウス」というボランティア団体があります。やはり人間は、食卓を囲み、お話をしながら食事をとることがエネルギーを何倍にも高めます。この日を本当に楽しみにして、首を長くしてまっておられる方がどれほどおられるか。
 しかし、神社のご好意で会場をお借りし、食材も安くておいしいものをと工夫に工夫を重ねても、この食事会は、経済的に月1回しか開催できないのです。「みんなに早く会いたい」「こんな楽しい食事がもっとできたらいいのに」とのお年よりのつぶやきが胸に堪えます。
 宝塚市内で宅老所を開いたNPO法人は、介護認定を受けた6〜7名を常時介護しています。スタッフは常勤3名とパート8名。民間からの寄付を募っても、どうしても赤字になります。家賃1ヶ月8万円が厳しい状況です。実際にNPO活動を担う人材養成、啓発、ネットワーキングなどを行うNPO法人の役員さんにも話を伺いましたが、税制面での優遇措置、運営費補助、活動拠点の提供などを、営利団体ではなく行政・公共団体が行うことが必要だときっぱり指摘されました。これが現場の意見です。
 ボランティア活動・NPO活動を大いに推進するため、先に述べた活動拠点確保や立ち上げ資金などの直接支援拡充と、税制面で、法人県民税の均等割り減免措置だけでなく、法人県民税、自動車取得税、不動産取得税の減免措置を求めますが、知事の積極的な答弁を求めます。

▼答弁▼神田県民生活部長:  NPOへの財政支援についてでございますが、団体、NPO等に対しましては、「条例」に基づく「基本方針」で、「活動団体等と行政との間の相互の自立した協力関係を踏まえた共同を積極的にすすめる」と規定しておりまして、団体、NPO等の自発性、自立性の尊重を基本として、活動助成や貸付等の財政的支援を行っているところでございます。
 身近な地域で活動拠点が確保できるよう、「生きがい仕事サポートセンター」など、地域毎の中間支援組織づくりをすすめております。
 また、さらには、団体、NPO等の立ち上げ期の活動基盤強化に向けた支援制度を設けることとしているところでございます。
 税制面では、収益事業を行っていないNPO法人につきましては、法人県民税均等割りの減免を行っているほか、自動車取得税、不動産取得税につきましても一定要件を満たす場合には個別に減免を行っているところでございまして、さらに、社会福祉事業に供する自動車にあっては、自動車税の課税免除を行っているところでございます。このページの上へ


阪急甲陽線地下化事業を「白紙」にもどし、住民とともに再検討を

■質問■いそみ議員:  質問の第4は、道路整備のあり方と阪急甲陽線地下化事業についてです。
 私の地元、西宮市には、毎年春には桜色に染まり、初夏には緑の潤いを、また秋・冬にも豊かな情緒を見せてくれる夙川の堤があり、また木々の枝による緑のトンネルを抜けて通れる山手線もあります。阪急甲陽線は単線を3両編成の電車が時折、コトコトと通る鉄軌道ですが、この車窓からのすてきな景色も知られています。
 ところが県と西宮市は、県道大沢西宮線いわゆる建石線整備事業をすすめ、桜や松を伐採して、阪急甲陽線を地下化するとしています。これに対して地元住民から「環境破壊やめよ」「186億円という過大な投資ではなく、適切な安全確保対策を」と、
計画に対する反対の声が根強く寄せられています。環境破壊という指摘に対して当局は、「緑地は最終的に2倍になる、植林も最大限行う」と説明しています。
 しかし、「地域の環境」とは、緑を確保すればよい、環境基準をクリアしていれば良いというものではありません。この事業でいくら緑化をはかっても、長年地域に親しまれてきた甲陽線沿線にある緑のトンネルはなくされ、あとにつくられる緑地は、地域の顔ではない、どこにでもある緑地でしかありません。県が「人間サイズのまちづくり」でも掲げている、「その地域の顔をもったまちづくり」とは程遠い画一的なものです。
 また、桜の移植が時折マスコミで取り上げられるのは、それが巨大な古木だからというだけでなく、そもそも桜の移植自体が難しいからです。もともと繊細で、弱い樹である桜は、基本的に移植をするべきではありません。
 環境を守りたい。子どもの頃から親しんできた地域の情景、他府県の方々からも残して欲しいといわれる風景を大切にしたいという住民のみなさんの願いを退けての事業計画は認められません。
 では安全確保の点ではどうでしょう。西宮北部開発と西宮北有料道路南伸計画に連動した建石線4車線化は、いたずらに通過交通量を増やすだけのもので、街の分断とあわせて、真の安全対策といえるのか非常に疑問です。しかも仮に鉄道地下化事業を今からはじめても、完成には10年近くかかり、それまでの安全確保は不可欠です。この課題でも、住民のみなさんは、186億円という莫大な投資で鉄道を地下化するなどという長期の事業ではなく、ただちに踏み切りや周辺道路の歩道を確保して欲しい。その方がよほど実効性のある安全対策だと言われています。
 先日も地元でシンポジウムが開かれました。300人近くの住民のみなさんが参加されましたが、道路整備事業をはじめ、行政による住民参画が実質保障されていないことが皆さんの一致した意見でした。説明会は開いても、必要な資料をほとんど提供しない、行政側の計画が先にありきで、住民と共に事業計画をたて、進めようという姿勢になっていません。行政がこうした点を正すことが先決です。
 地元の強い要望である当面の安全対策として、緊急に周辺道路と踏切内に双方向とも一定幅員の安全な歩道を設けることとし、建石線4車線化および阪急甲陽線地下化事業については、この際「白紙」に戻し、文字通り住民主導で、この地域の景観の一部を構成している甲陽線の活用をはじめまちづくりの広い観点から、思い切って再検討するべきだと思いますが、いかがですか。答弁を求めます。

▼答弁▼山口県土整備部長:  道路整備のあり方と、「阪急甲陽線地下化事業」についてご答弁申し上げます。
 県道大沢西宮線は、西宮市の北部地域と南部地域を連絡する主要幹線道路でございます。その拡幅整備につきましては、地元西宮市の都市計画決定を受けまして、現在国道2号から神原小学校までの間、約1.6キロメートルにつきまして、地元住民の方々の理解と協力をえて整備促進をしております。
 おかげさまで用地取得率は80%近くになっております。厚くお礼を申し上げたいと思います。
 阪急甲陽線と交差いたします西宮六甲線踏み切り部では、1日あたり約1万3000台の交通量となっておりまして、踏み切りに隣接して市道との交差点があることから、慢性的な交通渋滞と通学児童等の歩行者の安全確保が大きな課題となっております。
 これらの課題の解消のためには、周辺の地形条件から西宮施行の都市計画道路山手線と併せまして阪急甲陽線を地下化することによる踏み切り除却が最適な工法であると考えております。また、環境面でもすぐれた工法であると考えております。
 この計画につきまして、議員の「踏み切り道のままでいいのではないか」というご意見。また、周辺住民の方々から、「桜の木の保存」など意見が出されているということは、承知しております。
 けれども、この事業は地域の住民の方々や、また近隣の通学の子どもたちの安全の確保のためにも、是非とも必要な事業でございます。
 今後地元の方々や西宮市関係機関とよく協議をいたしまして、われわれといたしましては早期整備に取組んでまいりたいと考えております。
 また、道路計画に関する住民の方々の参画につきましては、われわれも大いに歓迎しておりますのでよろしくご協力をお願いしたいと思います。このページの上へ

「青少年愛護条例」の改正で、ピンクチラシの配布規制強化を

■質問■いそみ議員:  最後にいかがわしいピンクチラシの配布規制の強化についてです。
 青少年の性非行を助長するテレフォンクラブなど性を売り物にする営業や、各種メディアによる性や暴力に関する有害情報の氾濫など、これらが最近の少年非行に深刻な影響を与え、犯罪被害増加の一つの要因ともなっています。青少年の健やかな成長を願う多くの方々がこのことに胸を痛め、青少年をとりまく環境浄化と健全育成のための努力が日々、積み重ねられているところです。
 ところが、その願いとは反対に、私どものところにたくさんの苦情が寄せられている問題があります。派遣型風俗店がその宣伝のために女性のみだらな写真を載せたいわゆるピンクチラシがマンションなどのポストに配布されている問題です。
 先般、風俗営業法の改正が行われ、今年4月1日からテレフォンクラブの新設と、このピンクチラシの配布は禁止されています。ところが罰則がないため実効性に欠け、地域の自治会長さんやマンション管理組合の役員さんなどから「何とかならないか」「見るに耐えない」、とりわけ青少年への影響を心配される苦情が絶えません。
 こうした状況の中で県警は、「迷惑防止条例」を改正し、取り締まりを強化したいとの方針を示されています。
 これは、この間の県民の要望に応えたものですがただ、「迷惑防止条例」による対応については、法曹界などから他の宣伝物などに拡大解釈のおそれはないのかなど、様々な問題が指摘されています。迷惑ビラの定義を厳格に規定するなど、乱用を防止するための規定を設けるといいますが裏を返せば、そのこと自体が運用による危険性をはらんでいるということです。県には「青少年愛護条例」があります。この間、テレクラなどを規制してきたのは、本条例であり、この条例の改定により実施することこそ青少年の健全育成を保障する立場からの改正ということが、明確になります。全国では、秋田、岩手、滋賀、長崎県などで「青少年による性風俗関連特殊営業の利用行為等を規制する条例」にもとづいて、違反した場合6ケ月以下の懲役、もしくは罰金を課すことになり、しかも配布者だけでなく営業元も罰せられる両罰規定があり、実効ある内容となっています。
 知事、青少年の健やかな成長を願う観点から私は、「青少年愛護条例」をピンクチラシの配布禁止と罰則のある実効性の高いものに改正することを提案するものです。知事の積極的な答弁を求めます。

▼答弁▼神田県民生活部長:  「ピンクチラシ」の配布規制の強化についてでございますが、さきほど警察本部長からも答弁いたしましたけれども、ピンクチラシの悪影響が青少年に対するものだけではなく、大人が見ても不快で、県民全体に著しい迷惑と嫌悪感を及ぼしているため、条例による規制の対象範囲あるいは罰則適用の実効性などから、その有効性と効果を総合的に判断いたしまして、「青少年愛護条例」の改正による対応ではなく、「迷惑防止条例」の改正による対応がもっとも適切であると考えています。
 同様の主旨により、東京都、大阪府においては迷惑防止条例の改正を行っているところでございます。
 青少年保護の観点からは、この条例改正による規制と一体となった「ピンクチラシ」追放に向けての地域住民の主体的な取組みが必要でありまして、青少年を守り育てる県民スクラム運動等を通じまして、機運の醸成に取組んでまいりたいと考えているところでございます。このページの上へ

■再質問■いそみ議員:  それでは、私再質問させていただきます。どのご答弁も本当に納得できないものですが、私は2点の問題について質問させていただきます。

介護保険料の滞納者の実態の調査と公表を

 まず、介護保険の保険料滞納者の制裁措置の問題です。無年金あるいは年金月額1万5000円以下、そういう支え合う力のない高齢者からもこの保険料を取り立ていく。滞納すればペナルティを課す。ほんとうにむごい制度だと思うんです。
 この12月からいよいよこのペナルティが始まりますが、すでに滞納所帯にはその通知が送られております。督促状が送られています。
 また居宅介護支援事業者などには、給付制限の措置についての通知が送られています。
 この質問を取り上げるにあたりまして、私2万4300人のこの普通徴収の滞納のその内の何人が介護認定を受けていらっしゃるのか。それからその内、実際にサービスを受けている人が何人いるのかと県にお聞きをしましたが、その実態すら把握をしていないという実態です。
 それで私も調べてみましたけれど、西宮市では725人の滞納者の内、認定を受け介護サービスを受けている人が8人、芦屋市では103人の内サービスを受けている人が2人、川西市では551人のうち9人という状況です。氷上町では96人のうち5人です。
 この方々が、いよいよペナルティを受けるという事態になるわけです。
 私は現状を認識するというところに真の対策があると思うんですが、先程「2人」ということでご答弁がありました。
 その点では、私は市町ごとのすべての現状をこれを公表していただきたい。ご答弁をいただきたい。

阪急甲陽線地下化を白紙にもどし再検討し、緊急の安全対策を

 それから阪急甲陽線地下化事業についてです。今いろいろ事業の必要性について言われました。
 渋滞の問題について私も早朝、実態を調査をさせていただきました。
 8月27日の交通量調査もいただきましたけれど、最長でも560メートルです。
 当日の現地説明でも「渋滞というのはあまり言えない」というのがこの証言でございました。
 安全面の方ではどうでしょうか。建石線にある六甲踏み切り、それからその北側にある水道路踏み切り、私も危ないからというのでこの踏み切りも調査をさせていただいたんです。地下化によってそれを解消していくということですが、この二つの踏み切りの人身事故が、西宮警察でお聞きをしますと、水道路踏み切りの方は、去年も今年もゼロです。そしてこの六甲踏み切りでは、今年前半で3件ありました。しかも踏み切り内ではなく南北の立石線道路上でおこっています。
 「危ない危ない」というふうに言われるのであれば、ここにこそ私は安全対策を行うべきだと思います。
 そのことを放置して、「地下化先にありき」ということを言われるのであれば、地域のみなさんは納得しないと思います。
 緊急に、踏み切りや周辺道路の歩道を確保するなど、安全対策を求めたいと思います。
 また、用地取得率80%だというふうに言われました。しかし、踏み切りから北側は一切すすんでないんです。ですからそういう中で莫大な費用を費やすこの地下化事業計画などは、この際、「白紙」に戻して、住民のみなさんといっしょになって街づくりの観点から再検討すべきだとこのように思いますが、再度知事の答弁を求めます。

▼答弁▼神田県民生活部長:  わたくしから給付制限の数字を申し上げさせていただきました。
 その二2人がどこの市町に属するかということについては、今手元にございませんが、後程提供させていただきたいと思います。

▼答弁▼山口県土整備部長:  誤解のないようにお願いしたいと思いますが、地下化があるためにやっているんではないです。あの道路をよくするためにやっているんです。
 その時に踏み切りがあるので、ちょうど阪急電車と交渉が整ったので地下化する。
 それと、鉄道の地下化というのは、法的にはなかなか難しいことで、地形的な条件がそろわないとできません。
 一般的に議員は以前も「私は道路を上に上げた方がいいんじゃないか」とか、いろんなことをおっしゃいましたが、
 一般的には普通は鉄道を地下化せよというのが一般でございます。
 それから「以北の道路の事業をなされてないじゃないか」ということでございます。当然のことながら、南部地域から事業をやっております。踏み切りが解消されれば、北部に向っても事業を続けてまいります。

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団