「有事法制」への明確な反対を
■質問■中村議員:
私は日本共産党県会議員団を代表して知事に質問をいたします。
まず、平和の問題についてです。
今、世界平和の最大の脅威となっているのが米国によるイラク攻撃の計画です。いかなる場合にも先制攻撃を認めないとした国連憲章に基づく平和的解決は世界の声であり、あくまでも「イラクへの先制攻撃も辞さない」というアメリカの「一国行動主義」に厳しい批判の声が圧倒的国際世論となっています。
ところが小泉首相はアメリカに対して「イラク攻撃をやめよ」と言うことが出来ないだけでなく、日本も参戦できるように多くの反対世論を押し切って有事法制を急ごうとしています。武力攻撃事態を「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」に分け、いずれも自衛隊が武力行使や米軍への支援が出来るようにするとともに、本来警察や海上保安庁が対応すべき「テロ・不審船」を「緊急事態」として新たに明記するなど、平和を求める世界世論に真っ向から挑戦する危険な法整備を強行しようとしているのです。
しかも、有事三法案が施行された後二年以内を目標に整備するとされていた「国民の保護のための法制」の輪郭が、前倒しで提示され、すでに全国知事会で説明もされています。
それによりますと、知事による物資の保管命令、収容施設の確保、医療の提供要請・医療施設の確保、交通規制、生活関連施設の立ち入り制限区域の設定、さらに土地の強制使用等々、罰則付きで私権を制限し、土地、家屋の明け渡しを拒否すれば公務執行妨害で逮捕される可能性まで提起されています。
先の6月議会でのわが党の代表質問に対し知事は、「国家を構成する地方公共団体として必要な役割を果たすこともあり得る」と、容認の姿勢を鮮明にされました。
知事、これが国民を保護する内容なのですか。21世紀に有事法制など必要ありません。国民の権利を制限し、海外の戦争に動員する、こうしたことをあなたは地方自治体の役割として進んで行使されるのですか。改めて明確にしてください。
▼答弁▼井戸知事:
有事関連3法案ならびに国民の保護のための法制については、国の専管事項である国防及び外交に関する問題であり、国の安全保障にかかわるものでありますが、一方で、地方公共団体の役割が国民の保護の観点で関連するものであるため、十分な協議の場を設け、地方公共団体の意見を反映しながら明確にしていくべきものと考えています。
私は、有事法制を準備しておくことは、有事の際の国・地方公共団体・国民それぞれが、一定の枠組みのもとに行動する民主的コントロールを、有事にも及ぼすことができる担保措置として、その必要性を十分議論すべきものと認識しています。
今後、国会で十分論議された上で、国の責任において国民的コンセンサスのもとに制定された法律に基づき、国の委任事務であることを基本に、地方公共団体の機能や役割を規定されるならば、現下の法制度においても、県は県民の生命・財産を守る使命をもつものである限り、有事自体が県民の安全に関わる問題であることから、それに基づくそれぞれの役割を果たしていくことが有りうると考えています。
なお、ご指摘の国民の保護のための法制については、法律に規定されると想定される事項の輪郭が示されたもので、具体的な内容を含むものでは現在のところありませんが、今後、地方公共団体の意見を十分反映しうるよう全国知事会等を通じて協議すべきものと考えています。
県民のくらしを守る来年度予算を
■質問■中村議員:
次に、県民のくらしを守るための来年度予算編成についてお尋ねします。
今月17日尼崎市長選挙が行われ、「市の財政が厳しい中でも、普通に暮らしている市民の目線で行政の無駄を見直し、くらしや福祉を大切にする市政」への転換を訴えた白井文新市長が誕生しました。「経営再建プログラム」なるもので291項目の事務事業の見直し、中でも老人・障害者福祉、子育て関連など軒並み市民負担増と市民サービス切り下げという市民犠牲を強いながら、これまでの駅前再開発を中心とした公共投資で借金をふくらませてきたことにまったく無反省の上、「森構想」や「国体」を口実にした臨海西部地域の基盤整備や「緑遊新都心計画」は従来通り引き続き強行する現市長の姿勢にたいし、尼崎市民が見事に「ノー!」の審判を下しました。
長野県に始まり、横浜市、新潟市、熊本市など全国における新しい政治の流れが、兵庫の尼崎でも起こったものです。
大型開発による借金のツケを住民に押し付けるやり方が全国で否定されています。
本県においては、80年代の十年間、災害復旧事業を除いた公共投資は2兆2,600億円でしたが、90年代の十年間では4兆5100億円と大きく膨れあがっています。90年代、国・地方合わせての全公共投資が80年代の1.65倍であることと比較しても、本県の実績が2倍にもなっている異常さは際だっています。しかも、その多くが、県民の生活とは直接関係のないゼネコンを潤す開発事業が中心でした。その結果県債残高も今年度末には4兆円を遙かに超え一般会計の2倍に膨れあがるとともに、現在、本県および公社等が所有している未利用土地は5200ヘクタールにも達しそのほとんどが不良資産化しています。この間、三田国際公園都市や兵庫情報公園都市、宝塚新都市のように知事部局で計画していた事業の見通しが立たなくなれば企業庁事業に移し替えてその失敗を糊塗する手法までとったために、5200ヘクタールの土地の内企業庁に関係する分が3400ヘクタールと3分の2を占めています。わが党が企業庁決算審査で指摘したように宝塚新都市の用地1200ヘクタールだけですでに500億円以上の「含み損」が出ていることから全体では大変な額になると予測され、いずれ県民の税金が投入される恐れがあります。
一方で、2001年度決算を見ると、県税収入は193億円の大幅減、中でも地方消費税は清算金を考慮しても約50億円の減と県民の消費購買力が大きく落ち込んでいることを示しています。この様なとき、3年目を迎えた「行財政構造改革」はこの間、老人医療費で12億3000万円、在宅老人介護手当で6億円、民間社会福祉施設職員処遇改善費27億円、私学助成6億円等のほか、障害者介助手当補助や空き店舗対策費など県民の暮らし・福祉・教育に直接影響する予算を276億円も減らしてきました。このまま「県行革」を続け県民に冷たい措置を押しつければ、国による国民攻撃の上に追い打ちをかける内容となり、県民のくらしに大きな影響を与えることは間違いありません。
尼崎市長選挙の結果について知事は「現市長を支持されている方々が、本当に支持者としての行動をとられたのかな」とあたかも選挙戦術が原因であるかのように言われていますが、尼崎市長選挙が問いかけていることを厳しく受け止め、今何をすべきか、県民の目線に立って県政全体を見直すことが求められています。
国の攻撃から県民の暮らしを守る「防波堤」の役割を果たすため、県が進めている「行財政構造改革」の中止と、県民の暮らしを守るために新年度の予算編成方針の見直し、とりわけ医療・福祉、くらし、教育などの削減をやめ、県民生活に直接役立たない開発事業等投資的経費の大幅削減に重点を移した予算編成を求めるものであります。
▼答弁▼井戸知事:
本県の行財政構造改革は、平成12年から平成20年までの間において中長期にわたる財政の健全性と弾力性を維持しつつ、21世紀の新しい時代の県民の要請と社会経済構造の変化に対応するため、既存制度の見直しを行い1兆600億円を縮減するとともに、県民福祉のさらなる向上を目指す新規施策分野への積極的な取組みに対して1000億円の財源を新規に生み出して対応しようとするものです。
財政危機が目前に迫る中、前もって対策を講ずることができたものと考えています。来年度の予算編成にあたっても「行財政構造改革推進方策」を基本として、限られた財源の重点配分と、経費支出の効率化を図る中で、震災復興・経済・雇用・福祉・医療・教育文化・環境対策など「21世紀ひょうご長期ビジョン」の実現を目指す、県民生活重視.県民生活の安定を目指す施策に意欲的に取組みます。
また、投資事業についても、事業の必要性や効果等を十分に評価検証するとともに、「つくる」から「つかう」の視点に立って、既存の社会資本ストックの有効活用にも取組みながら、多彩な交流社会の実現に必要な社会基盤の整備を着実にすすめてまいります。
なお、財政収支フレームにおきまして、税収と地方交付税の動向を注視する必要があり、この動向いかんによっては、さらにメリハリをきかしていく必要があるものと考えているところです。
中小企業への「貸し渋り」「貸しはがし」防止へ
■質問■中村議員:
次に、中小企業支援と雇用問題についてです。
県下の中小企業の倒産は、10月までですでに631件と、過去最悪の更新が懸念される状況ですが、特に中小企業の資金繰りが深刻です。日銀の調査によると、国内銀行の9月末の中小企業向け貸し出しは、前年比マイナス10.3%、なんと23兆円も減らされました。
この中で、いま大問題となっているのが、強引な銀行による「貸しはがし」です。UFJ、みずほ、三井住友などの大手銀行の「内部マニュアル」でも明らかになっていますが、「金利の引き上げに応じなければ、融資は打ち切る。」こんなおどし・圧力で、中小企業つぶしとも言える銀行の「貸しはがし」が行われているのです。 小泉内閣の「不良債権処理の加速」策が、異常な「貸ししぶり」「貸しはがし」を引き起こしています。日本総合研究所の試算では、倒産などによって、332万人もの新たな失業者が生まれると試算しています。政治が中小企業つぶしを進めることに強い憤りを覚えます。
また、現在国会で審議中のいわゆる「地域金融合併促進法案」は、信用金庫や信用組合などの合併に伴う店舗の廃止やリストラを促進し、不況で苦しむ地域経済にさらに追い打ちをかけ、収益力の強化どころか、地域金融の基盤を掘り崩し、地域の金融システムそのものを弱体化させることは明らかであります。
いまやるべきことは、地域・中小企業向けの金融機関を立て直し、地域経済と中小企業に責任を負う、まともな金融の再生を図ることであります。
わが党県議団が、去る9月県議会に提案した「中小企業・地域経済振興基本条例」案でも第4条で、「地域金融の保護育成」の規定をもうけましたが、今、地方自治体が地域金融を守るための行動をより積極的に起こすべきと考えます。
今、金融行政は国に権限が集中していますが、この様な中でも知事が地域金融の実情の調査を行って金融機関の地域の活性化への貢献度を評価し、これに基づいて必要な要請と公表を行うなど可能な内容を定める条例を制定することを提案しますがいかがですか。地域経済の振興に大きな意義を持つものと考えます。
「このまま国の経済失政にまかせておいて良いのか」「目の前でつぶされる中小企業にたいし、県がだまっていていいのか」という県民の声に応えるため、是非前向きの答弁を求めるものであります。
▼答弁▼斉藤副知事:
地域金融機関との情報交換などによる連係協議をはじめ、中小企業への資金供給の円滑化に支障をきたさないために、国の金融制度の弾力的な運用を全国知事会を通じて国に提案してきたところでありますが、そのような地方の提案もございまして、国では、地域経済にもっとも影響をうけやすい中小企業への資金供給の円滑化やセーフティネットの拡充等を、今後の対策に掲げているものと考えております。
県も、中小企業への資金供給に支障をきたさないよう、今後とも適切に対応していきたいと考えているところであります。
なお、条例の制定、地域金融機関を評価するということにつきましては、顧客・出資者をはじめ、市場がさまざまな観点から行うべきものであると考えておりまして、県が一律の基準により行うのは適当でないと考えているところであります。
年末にむけ、苦しい中小企業資金繰り支援へ
「返済に余裕ができる」借換融資制度をつくれ!
■質問■中村議員:
緊急対策の二点目は、県の制度融資の改善とりわけ借換融資制度の創設についてです。
わが党はこれまで、この制度の創設を繰り返し求めてきましたが、県は「信用保証協会が弾力的な対応を行なっており、同様の効果をあげているのではないかと考えている」と答弁されています。しかし、この厳しい経営環境のもとで、融資の返済に苦しんでいる中小企業者は、その創設を切実に望んでいます。
こうした中で、京都府・京都市につづいて、この11月から埼玉県が借り換融資制度を実施しました。それは、平成13年度以前に制度融資を借り入れ、現在融資残高があり、最近3ヶ月の売上げが前年同月よりも減少した中小企業者を対象としています。赤字企業でも利用でき、納税証明も不要ということで、「返済の余裕ができる」と大歓迎されていますし、東京や富山県でも同様の制度が実施され、全国的な広がりを見せています。なぜ他府県で出来て兵庫県では出来ないのでしょうか。信用保証協会の弾力的対応といっても限界があり「同様の効果がある」などとは到底言えません。
ぜひ、本県においても、年末、年度末に危機に直面している中小企業者に借換融資制度をつくり、あたたかい手を差し伸べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁願います。
▼答弁▼斉藤副知事:
本県の中小企業金融制度は、中小企業へ長期安定的な資金供給を主眼として積極的に推進をしております。例えば資金繰りを支援するため昨年10月に創設をいたしました、超低利の「特別経営資金」はこれまでに1400億円を超える融資実績をあげるなど、年末等の資金需要にも十分に対応してきているところであると考えております。
また、ご質問のいわゆる「借換」は、新たな貸付契約の形式をとりますことから、償還条件変更に比べ諸費用がかさむ一方、償還条件変更と本質的な効果としては変らないと考えているところでありますが、本県の信用保障協会ではやむを得ない理由で返済が困難になった契約者に対しましては、状況に応じ融資期間の延長や1回あたりの返済額を軽減することにより、条件変更を行うなど弾力的な対応を行っているところであります。
ご指摘の4都府県の制度につきましても、調査をいたしましたが、返済困難者に対し返還条件の変更に弾力的に応ずることにより、実質的に遜色のない対応が可能であると考えているところでございます。
なお、国の総合デフレ対策を見極めつつ、県としても金融面のセーフティネットについて適切に対応してまいりたいと考えております。
特養ホーム、保育所増設、学校・県営住宅の改修など、中小企業の仕事おこしと雇用の確保を
■質問■中村議員:
次は、地元中小企業者の仕事と雇用を確保する対策についてであります。
現在、県が行なっている「5万人の仕事雇用創出をめざす再活性化プログラム」では、直接雇用が増えるのは、「緊急雇用創出特別交付金事業」が中心で、しかも、6ヶ月ないし、一年の短期雇用であります。
そこで、わが党がかねてから提案を続けてきた公共投資の内容を生活密着型に切り替えることを、改めて提案いたします。
具体的には、いま問題となっている特養ホームの入所待機者を全県的に解消するために必要な施設増や、ケアマネージャーやホームヘルパーの処遇改善と人材確保、ますます深刻になっている待機児童問題に対応した保育所の増設など、福祉の充実を図りながら、雇用も確保していくことです。雇用効果として試算すると、特養の建設でのべ175万人(日)、保育所の建設で6万5000人(日)の効果が地元に生まれ、施設職員として新たに7500人の雇用が見込まれます。
また、学校施設や県営住宅の建て替えや改修を思い切って進めてはどうでしょうか。
特に、県営住宅については、毎年3千数百戸の空家が発生し、できるだけ早く補修をおこなって入居者募集を行なうことが必要ですが、その予算があまりにも少なすぎます。 業者の方にお聞きしますと、「クロスや水周りなど、次の人が入居できるようにするには、一戸あたり60万から70万円かかる」とのことですが、予算書をもとに試算してみると39万円程度しか予算化されていないことがわかりました。結局、予算の制約から補修の発注が翌年度回しになり、ひいては次の入居者募集が遅れることになります。
この補修費も思い切って増やし、補修を早めて回転を早くすれば、入居を待っている多くの県民に住宅を提供することが出来るとともに、地元中小建設業者の仕事づくりと雇用の確保にもつながることは確実です。
そこで公共事業の生活密着型への切り替えをすすめ、中小企業の仕事づくりと雇用拡大の対策として、福祉施設の増設や学校改修、県営住宅の空き家補修のための予算を大幅に増額することを求めますが、明確な答弁を期待いたします。
▼答弁▼斉藤副知事:
中小企業の仕事と雇用の確保対策についてお答えをいたします。
平成14年度当初予算におきましても、投資事業費総額、対前年度比90%に抑制する中で、社会福祉整備費は108%、大規模建築を除き県立学校整備費は175%、県営住宅修繕費は97%と所要財源の確保を図りながら、着実に整備をすすめ、中小企業への発注率につきましても工事で73.5%と前年度を上回る目標としているところであります。
今後とも現下の厳しい中小企業の状況を踏まえまして生活関連投資の推進や中小企業への発注率の向上に努めますとともに地元産業の求める需要の創出、短期対策をはじめ不良再建処理の本格化に対応した金融対策や、意欲と成長可能性をもつ企業への重点支援など中小企業対策のさらなる充実に取組んでまいりたいと考えております。
失業者の生活支援の充実を
■質問■中村議員:
次に、失業者の生活支援についてであります。
今兵庫では約13万人の有効求職者のうち、雇用保険の受給者数は、8月で5万5000人で、半数以上の7万5000人が収入がない状況に追いやられています。
その上、厚生労働省は、雇用保険の保険料を連続値上げし、わずか2年の間に倍加。一方失業した時の給付は、大幅削減というセーフティーネットどころか、失業者の生活をますます窮地に追い込んでいます。
失業の長期化のために、ローン返済や子どもの教育費などはもとより、日常の生活費にも窮し、ついサラ金に手を出して泥沼に陥ったという例も少なくありません。
ところが、県が実施している、会社都合により失業した労働者にたいして緊急・臨時に必要な資金を融資する「失業者支援資金融資制度」の実績は、2001年度が16件、2002年度が13件。もう一つの日常の生活資金に融資する「離職者生活安定資金融資制度」の実績も2001年度が5件、2002年度が10件。なんとこの制度で2年間でわずか44件、当初予定していた予算4億4000万円のわずか1割にも満たない実績しかありません。
どうしてこんなに利用者が少ないのか、その理由は、この制度についての周知と受付・審査の複雑さがあります。ハローワークや県民局などの窓口にパンフが置いてあるというものの、失業者の多くが知らないというのが実態です。
もう一つの理由は、いずれの制度も連帯保証人が必要ですが、その確保は失業者にとって至難の問題です。また、返済までの据え置き期間が10ヶ月または1年以内となっていますが、この間に再就職できるかどうかも保障がありません。
さらに、審査は近畿労働金庫などの内部的用件で諮られるため、相談に行っても窓口で断られ利用しにくい状況にあります。
そこで、案内パンフレットをわかりやすいものに改め、ハローワークの窓口で離職者全員に手渡すなど周知徹底をはかること。保証人が無くとも借りられるような思い切った条件緩和、再就職できるまでの据え置き期間延長など、真にセーフティーネットの役割を果たすことが出来るように直ちに改善することを求めます。
▼答弁▼斉藤副知事:
失業者の生活支援についてお答えをいたします。
失業者の対策につきましては、「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」に示されました、第1の基本視点に、県民生活の安心を確保するセーフティネットをはる一貫といたしまして「離職者生活安定資金融資」の融資利率の引き下げによる条件緩和をはかりますとともに、昨年11月からは住宅ローンや姉弟の教育費等を対象とした「失業者支援資金融資」を実施しているところであります。
これらの制度は類似の融資制度を実施しております府県と比較いたしましても、利率・据え置き期間等、いずれも利用者に有利な融資条件となっているところでありますし、連帯保証人につきましては、返済能力を担保するためのものであり、他の融資制度でも適用されているところからご理解をいただきたいと存じます。
今後とも、分かりやすいリーフレット等による金融機関、ハローワーク等関係期間と連係した広報に努めるなど利用の促進を図ってまいる所存であります。
老人医療費公費助成の3万人カットの中止を
■質問■中村議員:
次に、社会保障に関わる問題についてお尋ねします。
兵庫県における国民健康保険被保険者数はこの5年間で26万人も増え、同じ期間の県人口の伸び14万7000人に比べて約2倍という異常な伸びです。社会保険から切り替えすなわち世帯主の失業者が増加していることを如実に物語っています。一方、国民健康保険料滞納世帯はこの間40%も増加し、すでに14万世帯に達しています。
ところが追い打ちをかけるように今年10月から高齢者医療制度の対象年齢を70歳から75歳以上への引き上げが始まり、新たに往診診療時の薬代を1割徴収するなどの負担が押しつけられました。
ある86歳の寝たきり状態の男性は、医療制度の改悪で長期入院が出来ず「在宅医療」を余儀なくされ、医師による往診や訪問看護、および介護保険サービスを受けています。1ヶ月にかかる費用は今年9月までは1万6023円だったのが、10月から同じ診療、同じサービス内容で4万4564円と3倍近い負担増になったと訴えられています。
訪問診療専門のクリニックでお聞きしますと、在宅患者の負担額は、10月から全員が2.5倍から4倍、中には7倍近くにもなって高齢者を中心に診療辞退や、「医療費が払えない」と食事まで切りつめるという深刻な事態が起こっているとのことです。
その上、来年度からは医療保険だけで1兆5100億円にも及ぶ大改悪が行われ、9200億円もの年金給付の切り下げをはじめ介護保険料の引き上げ、雇用保険料の値上げなど社会保障の分野だけで総額3兆2000億円を超える「国民大収奪」が強行されます。さらに、来年7月から県「行革」の一環として老人医療費公費負担助成制度の対象者を3万人も減らす計画が実施されようとしています。
社会保障は何のためにあるのか、知事の率直な考えを聞きたい気持ちです。病気、老齢、失業など困難にぶつかったときに、命と暮らしの支えになるのが社会保障ではないでしょうか。「負担の公平化」を口実に所得の少ない人に、より負担を求める、この様な国のやり方に対して自治体としての県の責務こそ果たさなければならないときに、県民負担押しつけをさらに強化することはとうてい許されないことです。
わが党はこのたび、深刻な経済危機から国民の暮らしを守るために「社会保障での3兆円の負担増を中止すること」をはじめ「4つの緊急要求」を発表して国民的な共同と運動を呼びかけましたが、本県においてもその声はますます大きくなってきています。
そこで、社会保障の国民負担増を中止するよう国に求めると同時に、県による社会保障改悪を中止することを求めます。中でも「老人医療費公費負担助成事業」については対象者の削減をやめ、せめてもとの基準にもどすべきと考えますがいかがですか。 ▼答弁▼井戸知事:
社会保障制度全般についてのお尋ねもありました。社会保障は、個人の自立を社会の全体で支えるセーフティネットとしてその機能を十分に発揮することが必要であると考えており、今回の医療保健制度改革も、すべての国民が、安心して良質の医療が受けられるよう、中長期的に安定した制度の確立に向けた必要な措置、やむを得ざる措置であると認識しています。
また、県は、県民の生涯にわたるセーフティネットの形成という観点から、社会保障関連施策について独自の取組みもすすめていますが、老人医療費公費負担助成事業の所得制限の「見直し」については、一般世帯と高齢者世帯の間の、「負担の均衡」を図るため、県民の理解を得た、「行財政構造改革推進方策」の一貫として実施しております。
それでも、50%の者が老人医療の対象となりますし、この水準は全国一であり、これを維持しようとしているものであります。
なお、国民の将来不安を解消するためには、国に対して医療制度・年金制度をはじめ社会保障制度が、今後とも中長期的に安定する必要があること、負担能力に応じた負担と給付とが行われる仕組みをつくることを基本に検討されるべきものと考えています。
障害者が安心できる制度へ、県の責任果たせ
■質問■中村議員:
この項の二点目は、障害者支援費制度についてです。
来年4月から、障害福祉サービスの仕組みが変わり、現在の「措置制度」から、「支援費制度」に移行します。自分でサービスを選んで自分で契約するとして、これまで憲法25条の理念にもとずいておこなわれてきた「福祉施策」に対する公的責任をあいまいにする制度に軸足を移そうとするものであり、弱い立場にある障害者の人たちから不安の声があがっています。
昨年11月のわが党の代表質問で「必要な基盤整備を進め、市町への財政支援」を求めたとき、知事は「市町と緊密な連携を図りながら、財政支援を行い、基盤整備を進め一層のサービス水準の充実に努める」と答弁されていますが、あれから1年、どう対処され、どう改善されたのでしょうか?
兵庫障害者連絡協議会が、県内22市61町から回答を得たアンケート調査では、「支援費制度」への移行について「見通しがない」とか、「制度実施の延期を希望する」と答えた市町が52%にも達し、全国平均の36%を大きく上回っています。
その理由の第1は、専門的な知識を持った職員が少ないのに、財政面から増員できない自治体が46%もあり、ケア・マネージャーの専門家は配置しないと決めている自治体も48%にのぼっていることです。ある施設職員の方は「ケア・マネージャーのなかで、障害者についての専門家が少ないため、申請のための聞き取りをしても通り一遍のことしか聞くことが出来ず、書類不備となる可能性が大きい。そこで施設の職員が代わりに書類作成をしなければならず困っている」と訴えておられました。
第2に、障害者が利用する施設があまりにも少ないことです。本県の障害者援護施設の整備率は、知的障害で全国32番目、身体障害で39番目と低く、施設不足のため約500人の障害者が入所を待っています。その外やむなく県外の施設に入っている方も472人に上っているにもかかわらず、「基盤整備」の推進計画がある自治体はわずか17%にとどまっています。
さらに、国の基準では事業者の収入が確実に減るため、職員削減やパート職員への振り替え等でサービスの後退につながる心配があります。また、知的障害者の施設入所者には、従来認められていた必要経費が認められないため、全国的に10万1000人が負担増となることを厚生労働省も認めています。本県では3600人前後になるのではないでしょうか。「介護保険」の二の舞にならないためにも県の責任は重大です。
そこで、基本的に障害者の自立生活を支援できる制度にするため、県の市町に対する指導責任を果たすことを求めます。その上で、サービス供給基盤整備の促進。利用者への減免措置、指定事業者や市町が認定する基準該当事業者への職員配置基準の改善も含めた財政支援を行うこと、などを求めます。午前中に「説明会、研修会などを行い、計画的に基盤整備を行なっている」旨の答弁がありましたが、それでも現実はただ今申し上げた通りの不充分さです。
ぜひ、前向きで誠意ある答弁を期待いたします。
▼答弁▼井戸知事:
支援費制度の導入に向け、県としては、平成13年度から市町にたいする説明会やケアマネージメント従事者要請研修等を行うとともに、特に本年7月以降、国から障害程度区分や支援費基準案が示されたのを受け、改めて全市町に対しきめ細やかな指導助言を行っており、市町においては着実に準備がすすめられていると認識をしています。
ご指摘のアンケート調査時点では、まだ制度の詳細が不明であった時点でありましたために、そのような回答になったものと承知します。
また、サービス供給基盤の整備については、「すこやか兵庫障害者福祉プラン」に基づき、圏域毎に市町への働きかけを行いながら、計画的に整備を図っておりますが、必要に応じて見直しも行ってまいります。
利用者負担については、障害者の負担能力に応じて定められており、「居宅サービス」については住民税非課税者には負担を求めないとか、「施設サービス」についても現行制度の負担額と同程度となるよう設定されております。
事業者等の職員配置については、障害程度区分に応じた支援費基準が設定されることにより、基準人員に加えて必要な従事者を確保することとされています。
今後とも市町と密接な連係を図りながら制度の円滑な導入に努めてまいります。
真の復興ができる「3ヵ年計画」を
■質問■中村議員:
次に震災問題について質問します。
県は現在「阪神・淡路震災復興計画最終3カ年推進プログラム」を策定中です。「残り3カ年で重点的に取り組むべき事業をまとめたもの」としていますが、問題は、どのような「重点」「しぼり込み」をしているかです。知事は記者会見で、「現時点で残されている課題は、被災高齢者問題・市街地再開発など街づくりの問題・地域活性化の問題の3課題である」と発表されました。その他の復興は終了したという認識でしょうか。
わたしたちは、震災からの真の復興とは、被災者が人間らしく生活できる住宅や営業の基盤を再建し、元の暮らしを取り戻すことが最終目標であると考え、これまでも、復興計画の問題点や課題の提起をしてきました。
しかし、今回の「3ヵ年推進プログラム」は、関西国際空港2期工事や第2名神などの大規模開発、約3兆円を一般施策に移しただけで、「上海・長江交易促進プロジェクト」や「医療産業都市構想」「特区構想」などの産業拠点や「阪神疏水構想」「第2期・人と防災未来センター」など、被災者支援に直接つながらない大きな事業が多数含まれています。 私は、「3ヵ年推進プログラム」を以下の点を重点に、抜本的に修正することが必要であると考えます。
第1は、被災者の肩に重くのしかかっている借金返済の問題です。住宅・店舗・工場の再建のための二重ローンに苦しみ、折角再建した住宅の売却や、生命保険を解約したり、あげくの果てに自己破産や倒産する被災者が増えており、「家無し、貯金無し」で借金に追われ、自殺を本気で考える時があるという被災者。生活再建支援法の見直しを来年に控え、未曾有の震災被災地の知事として、住宅再建支援法の実現と生活再建支援法の抜本改正を正面にすえ、共済制度ではなく、公的支援を国に強く働きかけることです。
第2は、被災高齢者への対策の充実です。
わが党神戸市議団が、今年10月に災害公営住宅の居住者のアンケート調査を実施しました。まだ中間集計ですが1000人以上から回答がよせられています。その中で、現在の暮らしに「不安がある」と答えた人が75%もいます。不安なことの第一に「病気やケガ」、第二に「収入」、第三に「家賃」となっています。主な収入は「年金」が62%、「家賃滞納がある」と答えた人も16%もあります。そして一人暮らしが46%、団地内に友人・知人がいないが43%。年々減っていた弧独死が一昨年、昨年と連続で増えて47人にもなっています。災害公営住宅の実態がどんなに孤独で不安か、被災高齢者が人間関係を絶たれ、全てを失ってさびしく年月を重ねていることが如実に表れています。
不安をなくし安心して余生を送っていただくために高齢者の福祉総合対策は急務です。
特にLSA、SCS、いきいき県住推進員などの配置水準の引き上げにより、見守り体制を抜本的に強化することと同時に、災害公営住宅の家賃低減対策が入居後10年でうち切られ、家賃値上げになる不安を訴えている被災者を安心させることも重要です。
第3に「復興基金事業」の全面的見直しを行い、財源の拡大を行うことです。住宅ローンや、災害援護資金の利子補給など生活支援の事業の見直しや延長をおこうこと。また就労希望の被災者の願いに応え「被災地しごと開発事業」の再開拡充を行うこと。
第4に、再開発・区画整理事業で行き詰まっている「北淡町富島」や「新長田駅南地域」の計画を、根本的に見直し、希望する被災者が元の町に戻れるようにすること。又公営住宅の住み替えや民間借り上げなどの抜本的措置をとり、被災者の元の街に戻りたい願いを実現することや、「ケミカル」「灘の酒」「淡路瓦」等の地場産業や中小企業、商店街対策への支援を拡大する事が必要です。
そこで、「最終3カ年推進プログラム」は以上の4点を中心とした計画に抜本的に見直すことを求めますが、知事の決意をお聞かせください。
▼答弁▼井戸知事:
現在策定作業をすすめている「阪神淡路震災復興計画最終3カ年推進プログラム」では、被災者や被災地の実情、これまでの取組みの検証等を踏まえまして、残された3年間で、重点的に取組むべき課題やその対応の方向性を整理し、このプログラムにそって3年間の推進を図ってまいろうとするものです。
ご指摘のあった個別の課題については、ローンの返済問題については復興基金になどにより引き続き支援するとともに住宅再建支援制度は、共助と公費負担を組み合わせた制度を基本として、取組みを推進すべきだと考えております。
被災高齢者については、高齢世帯生活援助員をはじめとする見守り体制の充実等により実際に即したきめ細やかな生活の支援を進めていくこと。
復興住宅家賃は、円滑に減免制度に移行していくことなどを推進すべきと考えます。
復興基金事業については、適切な点検見直しを行いながら、住宅・生活・産業各分野の施策を引き続きすすめていきます。
北淡町富島や新長田町駅南地区などの復興市街地整備事業については、権利者の意見を尊重しつつ、事業の早期の進捗を図ること等の取組みを、このプログラムにしたがってすすめていくことにしているのです。
このプログラムを早急に取りまとめ、それに基づき創造的復興の仕上げに向けて全力で取組んでまいります。
いまこそ、30人以下学級の実現に足を踏み出せ
■質問■中村議員:
最後に教育の問題、30人以下学級の実現についてです。
国が「内容を厳選」したという「新学習指導要領」の実態は「大事な内容が削られ、つじつまあわせの時間削減」となって、こどもたちにとって勉強が「おもしろくない」「わかりにくい」ものにさせています。また、学校完全週5日制も、真の「ゆとり」とはほど遠い現状が多くの関係者から報告されています。
ところが、先日発表された中央教育審議会の答申は、「教育の深刻さの原因に教育基本法が対応できていない」と一方的に決めつけ、「競争力強化」と「愛国心」などを教育現場にもちこむため「教育基本法を見直す」とする中間報告をまとめました。このような立場では、教育にあらたな混乱と困難を持ち込むことになります。
私は、いまの深刻な教育の問題を解決するためには、現教育基本法で言われている、すべての個人の「人格の完成」をめざし、こどもの発達段階に則し、基礎的なものを系統的に十分に時間をとって、すべての子どもがわかるようにすることが必要であり、そのために30人以下学級の実現が不可欠であると考えます。
わが党県議団は、これまでその実現を繰り返し要求してまいりましたが、県は「一律に学級編制基準を引き下げるのでなく、『新学習システム』を着実に推進する」とし、教育委員会がまとめた冊子でも、「新学習システム」を「大きな成果」と賛美されています。
しかし、「新学習システム」は、2年間の実践の中でその限界が明らかになっています。
第1に、すべての子ども達を対象としたシステムではないことです。5年間で、約2000人の教員を「推進教員」として各学校に配置しますが、全部達成しても各学校に1人か2人の配置にしかなりません。
第2に、教育に不可欠な系統性・継続性がない問題です。
このシステムでは、特定の学年のみで実施されており、「進級してこのシステムからはずれたとき、児童への影響が大きい」という問題点があります。
第3に、生活面での改善のとりくみの弱さです。
「システム」導入の過程では「いじめや不登校の問題点の解決」をかかげながら、実際には学習の面での取り組みが重点となって、生活面・生活集団の指導の問題は後景に追いやられているのが現状です。
私は、これらの解決のためには、30人以下学級の実現しかないと確信しています。
30人以下学級を実現すれば、教員の配置は1年間に限定されず、時間を区切られた非常勤ではなく、正規の教員が配置でき、すべての学校・生徒にゆきとどきます。先にあげた3つの問題点は、ほとんど解決が可能です。
国は「7次改善」で30人学級への編制基準を見送ったのに加え、さらに義務教育国庫負担制度を放棄する方向を出していますが、全国の自治体では、少人数学級がますます広がって、主流になりつつあります。それを否定し、拒否する論拠は、ますます弱くなっています。これまでの県の「調査・研究中で決め手がない」「国ですべき」という姿勢は、もはや「時代おくれ」と言わざるをえません。
知事、「新学習システム」に固執するのでなく、30人以下学級実現に向けて来年度から足を踏み出すことを強く求めます。かつて、40人学級の実現を全国に先駆けて実施した兵庫県が、今、全国的流れに遅れない決断をされることを強く期待いたしまして、私の代表質問を終わります。
▼答弁▼武田教育長:
現在の「新学習システム」では、単に推進教員だけではなく他の多くの教員も関わり、学校全体で主体的に創意工夫をこらした取組みが行われておりまして、小学校低学年では複数担任制や高学年での教科担任制、小中学校全体に行きわたっての少人数学習などの導入が着実に進んでいるものと受け止めております。
いじめや不登校などの課題に対しましては、「新学習システム」とは別に生徒指導、不登校等に対応する教員を別に加配するほか、スクールカウンセラーや生活指導補助員などの配置も行い、学習面だけではなく、ご指摘の「生活面」、「生活指導面」におきましても、適切な指導に努めているところであります。
これらにより、児童生徒のそれぞれの発達段階や教科の特性等に応じて、多くの教員がひとり一人の児童生徒とかかわり、より柔軟に多面的な指導を推進しているところであります。
県教育委員会といたしましては、一律に学級編成基準を引き下げるのではなく、昨年度から5カ年計画でスタートさせました「新学習システム」を核といたしまして、きめ細やかな指導を市郡町教育委員会と連係をはかり、また学校現場の声を反映させながら、今後とも着実に推進してまいる所存でございます。
■再質問■中村議員:
非常に簡潔な答弁はいただいたのでありますけれども、内容的には従来と全く変っていない。そういう答弁であります。
特に、知事の答弁で、「行革」についての回答というのは、3年前に作った「行革」方針、この3年間で社会情勢、経済情勢は大きく変っております。県民を取り巻く情勢も変っております。
そういう中で、同じように「1000億円を打ち出してそれを別の事業に移すんだ」という言い方でした。今こういう緊急の事態に、県民に対して負担を押し付けるというやりかた。これは断じて容認できません。
90年代に4兆5千億円もの金を公共投資に注ぎ込みましたけれども、不況回復にはつながりませんでした。これ以上県民に負担をかぶせて、くらしを悪くすれば、さらに税収減となり、県の財政を直撃するような「悪循環」に陥ることは明らかです。
この「悪循環」を止めるためには、県民の負担を少しでも軽くすることが必要であり、県民の「ふところ」を温かくするような、消費購買力を高かめることこそが今求められております。
そういう意味で1千億円削減そしてそれを別にまわすんじゃなくて、「今やらなければならないこと」「緊急にやらなければならないこと」に焦点を当てるべきだと思います。
そのために「行財政構造改革」の中止を私は求めたのでありますけれども、この老人医療費公費負担助成制度の対象者削減、これはぜひ「やめる」あるいは「延期」をしていただきたい。「負担の公平化」を口実にしながら結局低い層、低い層へどんどん、どんどん負担を押し付けてきているのには間違いないところであります。そのことを強く要求したいと思います。
また、二つ目には同じ考えなんですけれども、中小業者への「借換制度」の問題についてであります。先程「借換には諸費用がかかる」いろいろなことをおっしゃいました。
しかし、本当に今中小業者の人が求めている「借換制度」というのを研究すれば諸費用のいらないやりかたもあるはずです。「他府県の動向を調査した」と副知事から答弁されました。しかし、一体それならば、直接それらの実施している県に行って調査をされたのかどうか明確にして下さい。
11月から実施している埼玉県は、はじめ兵庫県と同じように「必要ない」と言っていたんですけれども、京都へ調査に行って、その効果があることに確信をもって、実施したと私どもは聞いております。
直接他府県へ何人の方が何時間かかって、何日かかって調査をした上で、あるいは業者の人たちから直接声を聞かれたのかどうか、そういうことも含めて答弁をしていただき、そして必ずこの「借換制度」、そんなに大きな苦労をかけなくともできると思います。年末を控えて、是非実現を求めたいと思います。以上です。
▼答弁▼井戸知事:
私も答弁で申し上げましたように、今兵庫県が、まがりなりにもこのように各県が財政危機で悩んでいる中で、21世紀の新しい時代に対して対応できる「対応力」をもっておられるのは、3年前からすでに県議会のみなさんのご審議も賜わって策定させていただいたこの「行財政構造改革」の推進のフレームに預かって大きいと思っております。
問題は、予算編成のたびに、適切などのような対応をしてきたか、ということに関わってくるのだろうと思います。例えば、今ご指摘いただいております失業者に対する融資制度についても、昨年の11月にいち早く打ち出したわけであります。特別経営資金につきましては、昨年の10月から1年間で1400億も活用されております。私はそれだけでも、いかにセーフティネットをはる努力をしていたか。ほめられてもいいのではないか、このように思っているぐらいでございます。
ただ、どのような具体的な現時点における対応をさらに考えていくか。必要な検討や必要な検証をした上で、存分に予算編成の過程で検討をすすめてまいりたい。このように考えているところでございます。
ただ、老人医療費の公費負担の県単独事業の「見直し」措置につきましては、計画通りすすめたとしても、まだ老人の皆様方の50%の方々が医療費の対象になるわけでありまして、それを前提に考えまして、しかも23県しか老人医療費の単独措置はやっておりません。他の県はやっておりませんけれども、本県はその23県の実施の中で一番水準が飛び抜けて高い措置をがんばってやろうとしていることを申し添えさせていただきます。
中小企業の金融円滑化を図ります対応につきましては、いろんな議論があります。
いまおっしゃられました「借換制度」を入れていくことも、一つの提案だと承知しています。だた「借換」という言葉の定義が、人によっていろいろ異なっておりまして、私としては、単に過去の債権をそのまま移し替えるということが、本当に適当なのかどうかということも含めて、今ご指摘の他の県でも実施されておられるわけですので、そのような実態も十分踏まえた上で検討する必要がある。このように考えているところでございます。
いずれにしても、何がこれからの中小企業対策で必要なのかということを十分に踏まえた上で、適切な対応をしていきたい。このように考えております。 |