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本会議の目次へ 第271回本会議一般質問 森田たき子
2002年10月3日

 私は県民の皆さんの切実な願いにそって5点にわたり質問します。

空を危険にする神戸空港の建設を中止に

■質問■森田議員:  まず神戸空港の問題についてです。
 神戸市民にとって大変な財政負担になり、「なんとか中止を」と大きな批判があがっている神戸空港建設に、県は総額75億円を支援するとして、今年度1 億1800万円の予算を計上しました。
 わが党は、「神戸市民はもちろん県民の合意が得られていないこと」また「需要予測が過大で必要性や採算性には問題がある」として「撤回」を強く求めました。しかし、県は「採算性について神戸市が検討すること」「関西圏における航空旅客は順調にのびている」などといって頑なに拒否されました。
 ところが、肝心の神戸市は今年7月「神戸空港の需要予測を、国が示した基準に基づいて早急に見直しする」としてすでにすすめています。
 巨額の県民税を投入するにも関わらず、神戸市の説明を鵜呑みにしてきた県の姿勢は「県民への説明責任を放棄したもの」と言わざるを得ません。
この点を厳しく指摘しておきます。その上で、神戸空港の危険性、特に飛行時の危険性に絞って質問します。
 私は先日、日本の航空輸送に直接たずさわっている「航空安全推進連絡会議」の方にお話を伺ってきましたが、「神戸空港は、非常に危険で安全性を確保するのが難しい」という事でした。 
 神戸空港はポートアイランド沖合に、ほぼ東西方向へ2500メートルの滑走路1本を建設する予定です。が空港の東側はすでに関西国際空港・大阪国際空港の空域があり、北側には六甲山が立ちふさがっています。さらに神戸・大阪の市街地はもちろん、淡路島の上空などは騒音問題などの理由で、飛行できないことになって折り、大変狭い空域となります。
 その上、飛行機は「広い空だから、どこを飛行してもいい」というものではなく、衝突を未然に防ぐための「管制方式基準」に従い、飛行ルートが決められています。神戸空港は離陸するにも着陸するにも、飛行ルートは明石海峡大橋方面への西側空域しかなく対面飛行が裂けられないのです。
 また、管制基準方式に従い高度差をつけるとしても「関西国際空港への着陸機と神戸空港からの出発機」が塩屋または垂水沖付近上空で交差する場合、関空に着陸する飛行機は、この付近で900メートルから600メートルへと高度を下げますが、
 その下を神戸空港からの出発機が「くぐり抜ける」ことになります。
 飛行機間の高度差は300メートル以上確保することことが義務づけられており、
神戸空港を出発した飛行機は、海上300メートルの超低空飛行をしなければならなくなります。本来、離陸にあたっては、早く上昇することが求められますが離陸直後に超低空飛行をしいられ、極めて危険な状況が生じることになります。結局、高度差による分離もつけられません。あとは、時間差しかありませんが、着陸機が上空で待機しようにも空域はせまく、旋回する事もできません。さらにこの空域では「六甲おろし」など風による障害もあります。
 このような危険性の指摘に対し神戸市当局は「広域一元的な管制システムを構築するから心配はない」と主張しています。
しかし、既に「関西国際空港のターミナル管制塔」において、大阪国際空港と徳島空港の空域をすっぽりと包む、広域一元的システムが運行されているのです。国土交通省の調査によっても、昨年1年間だけでも、航空機の異常接近や衝突をさけるための危険回避指示が全国では477件も発生しています。
 その原因は「飛行場周辺の狭い空域に進入・着陸・出発が集中し、交通密度が高くなるため」としています。実際昨年9月大阪湾上空で、2機の間隔が約150メートルに迫るニアミスが発生しています。関西空港の管制官は「処理能力以上に離陸許可を出した非常に危険なケースで、大阪湾の過密ぶりと管制作業の困難さを示すもの」と語っています。今でもこのような危険な状態にあります。これだけ見ても、神戸市の「心配はない」という主張は現実と全くかけはなれています。この上に神戸空港が加われば一層危険な状態になることは明らかです。
 県民の安全に責任を持つ県として、このような危険な空港の建設を認めるべきではありません。
 このように過大な需要予測に加えて安全性からも重大な問題がある神戸空港建設への県費投入は、きっぱりと中止することはもちろん、神戸市に対し空港建設を断念するよう申しいれるべきです。
 知事の英断を求めるものです。

▼答弁▼井戸知事:  神戸空港の飛行経路については現時点においていまだ設定されてるまでに至っておりませんが、航空交通の安全性が確保できるよう今後国の責任において開港までに決定されることになっております。
 また神戸空港開港後は、関西国際空港、大阪空港および神戸空港それぞれの離発着機に影響を生じないよう、広域一元的なターミナルレーダー官制業務が行われることにより、安全で効率的な航空機の運行が行われることになるとされております。
元々運行に不安があるような空港の設置許可を国が出すことはあり得ませんし安全運行は、私は何の不安を持ってもおりません。
神戸空港については、今回の国の空港分科会中間取りまとめでも300万人を超える後背県の航空需要に対応するとともに神戸市以西の需要に対して伊丹空港の容量制約を緩和し利用者利便を高める役割を持つと位置付けられております。神戸空港は本県の空の玄関口として神戸市民のみならず県民に広く利用され県民の利便に資するそのためには将来に安定的な空港運営の確保が必要との観点から支援を行うこととしております。引き続き神戸空港事業の推進に努めてまいります。このページの上へ

被災者生活支援法の改正の実現を

■質問■森田議員:  次に、震災問題について質問します。
第1は、被災者生活再建支援法の改正を実現することについてです。
阪神淡路大震災被災者の公的支援を切実に求める運動と国民世論の大きな高まりのなかで、98年5月議員立法によって「被災者生活再建支援法」は成立しました。しかし、被災者の実態からみて極めて不十分です。衆議院の付帯決議として盛り込まれた「5年後の見直し」が来年にせまっています。
長引く不況の中で、兵庫県の被災者の実態は年々深刻となり、特に住宅・店舗・工場を再建した被災者は、二重ロ−ンをかかえ、借金返済地獄という事態です。
この生活再建支援法は、適用条件を厳しく限定しているために、全ての被災者に支援金が支給されません。この「法」に基づく「自立支援金」は兵庫県では、全半壊者のうち32%。被災者全体の20%に適用されたにすぎず被災者の生活再建には不十分なものです。
わが党はこれまでも繰り返し、被災者生活再建支援法の見直しを主張し、運動してきました。去る9月5日にも政府交渉をおこないましたが、政府・内閣府の姿勢は、極めて消極的なものです。「法の適用」が行われた全国9災害の実態を把握するとしているものの、未曾有の震災被災地兵庫県の実態は、法が適用されていないことを理由に把握されていませんでした。しかし、政府交渉の中で兵庫県の実態も把握し見直しすることを約束したのです。
 これを実効あるものにするために、県が被災者の実態を把握し法の見直しを強く求めることが国を動かすことにつながるのです。
知事の決意含めご答弁ください。

▼答弁▼上田総括部長:  私から被災者生活再建支援法についてご答弁申し上げます。
被災者生活再建支援法の見直しにつきましては、国におきましてこれまでに法が適用されました三宅島噴火災害等の自然災害での施行状況について様々な課題を整理するほか、都道府県等の意見を幅広く聞きながら見直しをすすめるとしております。
 また、本年7月に開催されました全国知事会議では、この支援法の見直しにつきまして、本県も参画しております知事会の地震対策特別委員会におきまして、財源を拠出しております都道府県の立場から総合的な検討を行い政府に対して改善等を養成していくこととされました。
 本県といたしましては、阪神淡路大震災におけます被災者の生活復興のプロセスや、阪神淡路大震災復興基金事業として支給いたしました被災者自立支援金の経験を踏まえまして、この知事会や国に対しまして意見を申し述べていくこととしております。
 具体的に申しますと、本県の被災者自立支援金は、これまでに約14万5000世帯に対しまして約1405億円が支給されております。被災者の自立した生活の開始を支援するものとして大きな役割を果たしてきましたが、これと比べましても現行法は適用対象地域の考え方、使途制限、申請手続き等につきまして検討すべき課題があると考えております。
 また、第三者機関であります被災者復興支援会議におきましても支援法の見直しにつきまして現在検討が行われておりまして、その提言等も踏まえまして今後具体的な提案を行ってまいりたいと考えております。このページの上へ

災害援護資金の被災者の実状を配慮した対応を

■質問■森田議員:  第2に、県下の被災者5万6000人余が借受人となっている災害援護資金の返済問題について質問します。
本年7月、「阪神淡路大震災救援・復興兵庫県民会議」が被災自治体10市10町に行った「災害援護資金の返済状況の集計結果」が発表され、その実態が浮き彫りになっています。借受人のなかで、既に死亡された方が2043人、自己破産が1259人、行方不明は739人にものぼっております。ところが、「返済免除」された人はわずか67人、「返済猶予」は170人にすぎません。あまりにも実態とかけ離れているのではないでしょうか。
 その返済が被災者である連帯保証人におしつけられ、連帯保証人も失業や病気、高齢などの理由で返済に窮している状況なのです。
震災発生時、急場をしのぐ生活資金として借受けた被災者が大半を占めています。被災者同士が自らの生活苦のなかで連帯保証人になりあい、多くが低所得者や、高齢者であるというのも特徴です。例えば、Aさんは、「震災で家が全壊、夫は住宅再建中に3度の入退院の末、3か月目に死亡しその後は娘逹が支えてくれた。が、今年4月に次女はリストラで解雇され、長女は保証人ですが住宅ロ−ン12万円の返済をしてもらっているので、これ以上の負担は無理です。私は体も弱く高齢で働けません。震災からここまで死闘の連続できましたが、力つきました。」と相談にこられましたが、勇気づけるにも限界があります。
 また破産したHさんの連帯保証人になっていたKさんは、病弱で生活保護をうけていますが、Hさんの返済を請求され納得いきません。保護費から返済金を払い続けなければならないのでしょうか。このような相談は枚挙にいとまがありません。
 被災者救済の立場からこの「法」の運用を弾力的におこなうことによって、事態を抜本的に打開することを求めます。
 その一つは、借受人が死亡した場合、保証人の償還能力を実態に則して弾力的に判断し「償還免除」ができるように、国に「特例措置」を求めること。
 二つめは、国の通達によれば、借受人が失業・求職中や一時的収入ダウンなど著しく生活困難となっている場合「返済猶予」できるようになっています。
 その事を市町に指導すること。
三つめは3%の利子についてです。3%の利子を事務費として借受人から徴収するかどうかは、各自治体に裁量権があることを、2000年春の政府交渉で国は明確に答弁しています。
 事務費を県が負担し、借受け人である被災者の負担を軽減すること。
 災害援護資金に関して以上3点について、借受人の実情を配慮した対応を求めます。あわせて誠意ある答弁をお願いします。

▼答弁▼上田総括部長:  私から被災者生活再建支援法についてご答弁申し上げます。
 被災者生活再建支援法の見直しにつきましては、国におきましてこれまでに法が適用されました三宅島噴火災害等の自然災害での施行状況について様々な課題を整理するほか、都道府県等の意見を幅広く聞きながら見直しをすすめるとしております。
 また、本年7月に開催されました全国知事会議では、この支援法の見直しにつきまして、本県も参画しております知事会の地震対策特別委員会におきまして、財源を拠出しております都道府県の立場から総合的な検討を行い政府に対して改善等を養成していくこととされました。
 本県といたしましては、阪神淡路大震災におけます被災者の生活復興のプロセスや、阪神淡路大震災復興基金事業として支給いたしました被災者自立支援金の経験を踏まえまして、この知事会や国に対しまして意見を申し述べていくこととしております。
 具体的に申しますと、本県の被災者自立支援金は、これまでに約14万5000世帯に対しまして約1405億円が支給されております。被災者の自立した生活の開始を支援するものとして大きな役割を果たしてきましたが、これと比べましても現行法は適用対象地域の考え方、使途制限、申請手続き等につきまして検討すべき課題があると考えております。
 また、第三者機関であります被災者復興支援会議におきましても支援法の見直しにつきまして現在検討が行われておりまして、その提言等も踏まえまして今後具体的な提案を行ってまいりたいと考えております。

▼答弁▼神田県民生活部長:  災害援護資金の返済につきましては、県はこれまで借り受け人や市町の要望を受けて国と協議を重ねました。月割り償還あるいは少額償還といった弾力的な償還方法の導入や借りられたかたの生活相談等をおこないます償還指導員の設置を実現させるなど償還が困難な方に対しまして負担の軽減と自立支援に努めてきたところでございます。
 この結果平成14年7月末現在で貸し付け額の58%にあたる759億円がすでに償還されてきたところでございます。ご提案の借り受け人が死亡した場合、保証人について償還免除の特例措置及び借り受け人が著しく生活困難となり返済猶予するケースの取り扱いの拡大につきましては、貸し付け条件通りに償還を行った方々とのバランスを欠くことのないよう。また、借り受け人等に過度の負担にならないよう実施主体であります市町が協議いたしまして個別にケースに応じて弾力的に対応しておりまして特段の措置をとらなければならない状況ではないのではないかと考えております。
 次に利子の免除等については、貸し付け条件通りに償還を行った方々とのバランスを欠く事から、基本的には対応が困難と考えております。しかし、県は貸し付け原資の三分の一相当額約178億円の利息約60億円を負担しておりますほか、市の償還指導員の設置費を補助し借り受け人等の自立支援に努めているところでございます。
 今後とも市町や借り受け人との実情を踏まえまして弾力的な法の運用について、引き続き国へ要望してまいりたいと考えおります。このページの上へ

障害者の雇用の改善へ、法定雇用の未達成企業の公表を

■質問■森田議員:  次に 障害者への支援について3点伺います。
 人間は、働くことで人間としての発達をしていきます。どんなに障害が重くても、その障害に応じた労働への参加の場をつくり上げていくことが重要です。「障害者の雇用の促進に関する法律」は障害者の職場の拡大をはかることを目的に、一定の規模以上の企業に対し障害者を雇用することを義務づけています。兵庫労働局が発表した2001年度、県の障害者の雇用状況をみると、雇用されている障害者は7698人となっていますが、この中には重度身体、知的障害者1978人がダブルカウントされており実際の人数は前年に比べ32人も減少しているのです。
 また、1.8%という低い法定雇用率にも達していない企業は、企業規模別でみると300人以上の企業は50%をこえ、1000人以上の大企業は約67%にも達しています。これらの企業は、月5万円の納付金というペナルティーを支払って責任を逃れています。今後、養護学校の新規高卒者も増えつづけいっそう就職は厳しくなってきています。13年度末、ハローワークに就職登録中の障害者だけでも県下で1万8184人います。
 県は、障害者の雇用実績が年々後退していることを真剣に受け止め、職場環境の整備など行政指導の具体策を強化すると同時に法定雇用率の未達成企業名を公表し、法定雇用率を厳守させるようを求めますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:  障害者雇用率は障害者の雇用促進をはかる上での中心的な仕組みであります。
 未達成企業にたいしては国が主体となって雇い入れ計画の作成命令、適正実施等の勧告。さらに特に必要な場合には企業名公表というスキームの元で指導を行い障害者雇用率の達成に努めております。未達成企業の公表はこのようなスキームに基づいて行われているところでありますので、その適正な運用に努めてまいります。
 県としてはこうした国の取組みと相まって、障害者職業能力開発懇の設置運営、障害者多数雇用モデル企業の育成等に加え職場内外での支援を行うジョブコーチの養成や障害者就業生活支援センターの設立支援に新たに取組むなど障害者雇用の促進に資する就業面生活面での一体的な支援を推進しております。
 ご指摘のダブルカウント制度は、重度障害者の就職支援のために必要な措置でありまして、県としてもこの制度は統一性があると考えています。なお仮にシングルカウントつまりひとり一人として試算しましても本県の許容率は全国平均を上まわっており毎年改善しているものであります。
 一方で雇用率未達成企業は、なお4割を超え苦しい状況にありますので県としましては関係機関との連係のもと一人でも多くの障害者の就職の機会が確保されるよう企業に対する指導支援を含め障害者雇用就業率のいっそうの推進を行ってまいります。
 また、アメリカでは障害を乗り越えて就業される障害者をチャレンジと「挑戦者」と呼んでいるそうです。それこそハンディをもちながらも弱者の立場で支援の対象になるのではなく税金を負担できる積極的な生きざまを目ざすと言うものであります。このような新たな動きをも支援していくことも必要と考えております。以上私からの答弁とさせていただきます。このページの上へ

小規模作業所への仕事支援と補助金増額を

■質問■森田議員:  つぎに、小規模作業所に対する支援について伺います。
 1995年阪神淡路大震災では、被災地にあった105ヵ所の作業所のうち37ヵ所が全半壊という大変な被害をうけましたが、障害のある人達の「働きたい」という願いを実現するため、多くの困難にも関わらず、関係者や地域住民の皆さんの努力によって作業所づくりがすすめられ2年後には200ヵ所を超える数が設置されました。現在、県内には約300ヵ所の小規模作業所があり多くの障害者がはたらいています。
 しかし、長引く景気低迷の下、これらの施設においても、一般企業等からの仕事が激減し、自主製品の販路拡大も低迷するなど、障害者の働く場としての基盤が揺らぎ深刻になってきています。しかも、一ヵ月必死で仕事をしてもある作業所での給料は、わずか7000円以下。これでは到底生活できません。
 ある作業所では通所者19人のうち15人は、一般企業でリストラにあい、仕方なく作業所へこられています。「せめて一人で暮らせる給料がほしい」というこの願いは切実です。これまで福祉の面から位置づけられていた作業所が、今、失業者の受け皿的役割を果たさなければならなくなっています。小規模作業所への安定的・計画的な仕事の支援がどうしても必要です。例えば、市町の公的施設の清掃を1年間、作業所に委託するなどの取り組みもされています。
 県としてもそれぞれの作業所にふさわしい仕事をつくって委託するなど、積極的に仕事支援をしていただくことを求めます。同時に通所者に対して訓練手当を支給することを検討して頂きたいと思いますがいかがですか。
 また、小規模作業所への補助金について伺います。
 これまでも我が党は補助金の増額を求め再三質問をしてきました。確かに、この間多少の増額はあったものの、依然として他府県にくらべると立ち遅れています。昨年、共同作業所連絡会がまとめた全国の補助金比較表を見ても、兵庫県の身体・知的障害者への補助金は県がいう8つの類似府県の中でも最低で、おとなりの大阪府は本県の約2倍と大きな格差です。私も地域の作業所の実態をいろいろお聞きしてきましたが本当に経営は大変です。ある作業所の指導員さんの給料は、何年経験されていても12万円以下と極めて低くなっています。運営費の不足分は家族の方やボランティアの方々の協力でバザーやカンパを集めたりと善意によって支えられているとの事でした。ちなみに、京都・神奈川・千葉など、多くの都道府県ではすでに1000万円を超える助成が行なわれています。いつまでも「毎年、補助金の増額に努める」として600数十万円の補助金にとどまっています。こうした県の姿勢は早急に改めるべきではないでしょうか。
 不況のため、「仕事も減り、バザーでも収益がなかなか上がらない」という厳しい状況に応えせめて先進他府県なみに補助金を引き上げることを求めますが、いかがでしょうか。

▼答弁▼神田県民生活部長:  近年まさしく厳しい経済状況の中で小規模作業所や授産施設におきましては、企業等からの受注量の減少や単価の切り下げ等に伴いまして通所者の工賃も低迷している状況にございます。
 そのため、本年度から小規模作業所等におけます新たな受注先や販路を開拓しようということで、私自身も商工会あるいは商工会議所などを通じまして様々なお願いをしているところでございます。が、仕事開拓推進員や製品の品質向上のための指導を行う作業技術アドバイザーを配置いたしますとともに指導員の研修や、ワークショップの開催、製品コンテスト等を通じまして、小規模作業所等におけます受注販売体制の強化をはかっているところでございます。
 また、授産施設や小規模作業所におきましては、相互に連係をして共同受注、共同販売のための体制づくりを行うなど、受注確保に向けた新たな取組みもすすめられているところでございます。県としても支援してまいりたいと考えております。
 訓練手当てにつきましては、求職者の知識、技能の取得を容易にするために職業訓練を受けている求職者に対して訓練期間中に支給されるものでございます。日常生活訓練等が主体の小規模作業所の支給についてはなじみにくいと考えております。
 県といたしましては、本年度小規模作業所の受注先として県および市町を含め多様な発注主体を確保して様々な方策を検討しているところでございます。合わせて、ジョブコーチの養成等を通じた就業支援を行い、障害のある人の働く場づくりをすすめまして収入の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、小規模作業所への補助金の問題でございますが、小規模作業所につきましては企業等での雇用が困難な障害者等まさしく身近なところで日常生活訓練、軽作業等を行える場としてこれまで指導員の人件費等の運営費などについて補助を行ってまいりました。
とともにその設置を積極的に推進してまいりました。
 また、先ほども申しましたが仕事開拓推進員の設置など総合的な対応をはかっているところでございます。設置個所につきましては、これまで障害者等の要望にきめ細かく対応するために身近な場での設置促進に努めました結果、平成8年度116個所に対しまして平成13年度では245個所と2.1倍に増加しているところでございます。補助金も年々増加させました。
 平成13年度には総額約7億8900万円で全国5番目ということになっているところでございます。また平成12年6月の法改正によりまして新たに小規模通所授産施設制度が創設されました。1100万円の定額補助による有利な運営ができることになりましたためこれへの移行ということで本年度は5個所の小規模作業所を小規模通所授産施設に移行するようすすめているところでございます。今後とも市町の意向を踏まえつつ必要に応じて補助基準の見直しを行いますと共に小規模作業所から小規模授産通所施設への移行を積極的に促進するほか。さきほども申し上げましたような総合的な対策をすすめまして小規模作業所が安定して運営できるよう支援してまいりたいと考えております。このページの上へ

知事の決断で、小中学校での30人以下学級の実現を

■質問■森田議員:  次に30人以下学級の実現について質問します
 不登校は、全国で約13万9000人、県下でもこの10年間で2倍近くにも増え、いじめや学力低下、学級崩壊や校内暴力など教育の危機がひろがっています。 
 こうした中で本年度から学校五日制にふさわしい新学習指導要領になっていないため、教育現場に混乱をまねいています。児童・生徒は詰め込み授業で「ゆとり」どころか基礎基本の学習が保証されず、教師も多忙でこどもとむきあう事も難しくなっています。これまで以上に少人数学級を望む声が強くなってきています。
新1年生を持つお母さんは、「5時間授業が週4日もの時は、わが子は精神的、体力的に負担で毎日学校からぐったりして帰ってきます。そして学校に行きたくないと泣くようになってしまいました。」とこれから先が不安だと嘆いておられます。
また、小学校高学年や中学校になると、学校行事の削減や土曜日の補習授業などで、こどももストレスやいじめも増えています。
 どの子にも「学ぶ喜び」を実感できる、ゆきとどいた教育が求められます。
 兵庫県は、昨年から新学習システムを導入し少人数集団の教育を実施しました。本年3月にこれまでのまとめをだされています。まとめでは「わかる授業の実現により学習不適応生徒が減少しつつある」また「個々の児童との対話が増加することにより、児童の情緒が安定し、より深い内面的理解ができる」ときめ細かな生活指導についても評価されています。
 このように、学習と生活の両面からも少人数学級は必至の課題です。
 人格の完成という憲法と教育基本法の目的の達成を望む声は、今大きな流れとなっています。その基本の教育条件整備の中心が、「30人以下学級の実現」にあります。
県段階で昨年の12県から本年4月では21県にひろがり、全国の半数近くにおよんでいます。
 ところが井戸知事は、本年3月のわが党の予算総括質疑で「義務教育費国庫負担法があるなかで、一人なぜ兵庫県だけが先行しなければいけないのか」と全国の流れに逆らう答弁をされました。このままではむしろ一人兵庫県だけが取り残されてしまうのではありませんか。
 わが党はこれまでも何度も財源も示し、その予算が県予算のわずか1%を捻出するだけで可能であることも明確にして要求してきました。
 知事、県の「新学習システム」5年計画をただちに見直し、未来に生きるこどもたちの願いに応え、30人以下学級を段階的にでも実施することを強く求めます。
 あとは、知事の決断だけです。明確な回答を求めます。

▼答弁▼武田教育長:  30人以下学級の実現についてでありますが、ご承知のように少人数学級のあり方については、従来から国等におきましても様々な調査研究がなされているところでございますが、現在においてもなお決め手がないのが現状であります。
 引き続き国におきましてよりきめ細かな調査研究がなされているところでございます。
 なお、議員から学級人数の激変緩和などで一部実施しております弾力的学級編成研究校からの報告書の内、少人数学級集団のメリットの部分について御紹介をいただいたわけでございますが、この報告書の中には、この関係でまず一つに教師相互の協力指導がないため学級の閉鎖性が解消されないこと。二つには児童生徒の教師への依存性が高くなる場合があることなどの、問題点も合わせて記述されているところでございます。
 一方、新学習システムとして展開をしております複数担任制や教科担任制および少人数学習集団の編成等に対する報告書では一つに複数の教師が指導に関わることによりひとり一人の児童生徒に対する多面的な理解と協力指導体制の充実がはかれるようになったこと。
 二つ目には、学級の壁が取り除かれることによって教師間の連係や情報交換がいっそう緊密になり学習面だけでなく生活指導面でも効果が表れてきていることなどの成果が記述されているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、こうした成果や課題を踏まえつつ各種の調査研究等の推移も見守りながら国の第7次職員定数改善計画を最大限に活用し、一律に学級編成基準を引き下げるのではなく児童生徒一人ひとりの実態に応じた新学習システムを5カ年計画で着実に推進してまいりたいと考えているところでございます。このページの上へ

学校給食の安全確保のために

■質問■森田議員:  最後に、子ども達の「学校給食の安全確保」についてです。
 今年2月に農民連食品分析センターは、スーパーなどで市販されていた中国産の冷凍野菜について分析を行いました。調査した結果、発癌性があり毒性がつよいため、国土交通省の審議会においても「使用禁止すべき」との答申を出しているクロルピリホスが基準値の9倍も検出されたのをはじめ基準を上回る残留農薬が相次いで検出されました。冷凍輸入野菜についてはフリーパスの状態になっているからです。「毎日、家族の健康を第一に考え食事を作っていたのに信じられない」「売れれば何でもいいのか」と怒りの声が上がるのも当然ではないでしょうか。それまで「基準がない」「検査はしなくてもいい」などといっていた政府も世論に押され、やっと輸入冷凍野菜の検査にふみきりました。しかし、1割のモニタリング検査で、きわめて不十分です。これでは、国内に農薬に汚染された冷凍野菜が出回っていることは明らかです。
 当然、国もしっかりとチェックすべきです。同時に県独自の監視体制の強化も求められています。
 とりわけ残留農薬の被害を一番受けるのは成長盛りの子ども達であることは言うまでもありません。そこで心配されるのは学校給食の食材の安全性です。
私は、昭和46年に県の認可を得て発足した「兵庫県学校給食総合センター」を尋ねました。センターは、米や小麦粉をはじめ200数品目もの給食用食材を県下の給食センターや小中学校、約1000箇所へ配送をしていると伺いました。
 驚いたことに、神戸港に生鮮野菜で入り食品衛生法違反とされて処分対象とされた中国産の「きぬさや」や「スナックえんどう」などが、センターでは冷凍野菜として食材の中に含まれていたんです。輸入冷凍野菜の取り扱い実績もお聞きしましたが、昨年度は16品目、2万2252kgにも及び、今年度は4月から7月までの4ヵ月間にすでに15品目、7828kgも配送されていました。
 センターでは、冷凍野菜の残留農薬検査は全く行われていませんし当然、輸入した商社の検査データーの残留農薬検査からは結果は示されていません。細菌検査が一部行われているだけです。そうした中で山南町では、来年度から地元産野菜を学校給食に全面的に取り入れる事となり、地元のみなさんから大変喜ばれています。「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資すこと」を目的に制定された学校給食法第5条にも県の責務がうたわれておりますが、本来、学校給食は子どもたちの健やかな心身の発達にとって大切な役割をもち「安心・安全でおいしい学校給食」を教育の一貫としてよりよいものにしていくことが望まれています。これは、子ども達の命にかかわる問題です。
 質問の一点目は輸入食品の安全を確保するために、水際検査の復活、検査率の引き上げをおこなうよう国に対し厳重に申し入れをおこなうこと。
二点目には県は学校給食への輸入冷凍野菜の使用を中止し、安全第一を考え、県内で採れた新鮮で安全な野菜を供給することを強く求めて私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

▼答弁▼神田県民生活部長:  輸入食品の残留農薬の問題でございます。輸入食品につきましては、国の検疫所によりまして品目毎の年間輸入量あるいは過去の違反実績こういうものを勘案いたしまして、10%50%100%というような形で3段階の頻度でモニタリング検査を行っておりますほか。食品衛生法違反の可能性の高いと判断されるものにつきましては、輸入者に実施されます検査命令によりまして残留農薬あるいは食品添加物などの試験検査が実施されているところでございます。
 この内検査命令対象品目につきましては、検査結果等で違法と判断されるまで通関手続きができないというような仕組みとなっております。さらに、違反品が相当程度認められる場合にはこのたび検査をせずに特定の国や地域からの輸入を厚生労働大事が解除するまで禁止できるというような制度が創設されたところでございます。
 県におきましても県内に流通する輸入野菜の残留農薬等の検査を毎年実施いたしました。違反品が発見された場合は、回収措置を講じることとしているところでございます。
なお本年10月から実施いたします緊急対策におきまして9個所の健康福祉事務所に食品衛生監視補助員を配置いたしまして、監視体制とともに残留農薬等に関する輸入野菜の収去検査も強化することとしているところでございます。
 これらの検査結果は国に速報いたしまして検疫所における検査強化が図られるという体制になっているところでございます。県としたしましては県民の安全安心な食生活を確保する立場から従来より国に輸入時の監視検査体制の拡充強化を求めてきたところでございまして、今後とも引き続き要望してまいりたいと考えております。

▼答弁▼武田教育長:  学校給食への安全な野菜供給についてで、ございますが残留農薬が疑われているとご指摘のありました中国産輸入冷凍野菜「きぬさや」や「スナックエンドウ」につきましては、先程県民生活部から説明がありましたように現在食品衛生法による検査命令の対象食品となっております。この対象になりますと安全性が確認されない限り市場にでまわることはないと受け止めておりまして、この度のご指摘のありました食材はこの検査に合格した食品でありますが、念のため検査結果通知書等を確認いたしましたところ安全性に 問題がないという結果を得ているところでございます。
また、冷凍食材は、大量調理を前提とした学校給食において季節を問わず調達できること調理の効率性、価格の安定性等から全国的にその普及がすすんでいるところでございまして、以上のような観点から全面的に中止するということは困難ではないかと考えているところでございます。
 また、同センターにおきましては、食材の購入にあたりまして従来から納入業者から現地での農薬管理体制の報告や残留農薬の検査結果証明書を可能な限り聴するなど、より安全で安心できる食品の確保に努めている所でございますが、今後ともその徹底を図ってまいりたいと考えているところであります。
 なお、同センターでは地域で調達できる生鮮野菜については取り扱いを行っておりませんが、県教育委員会は、市郡町教育委員会に対しまして地元で採れる生鮮野菜などの地場産物を学校給食へ活用することで児童生徒が地域の文化や農業食品流通等を学ぶ絶好の機会となり地元産業への理解も深まることにつながることになり関係部局とも連係をしながら積極的に取り入れるよう働きかけているところでございます。

■再質問■森田議員:  知事に伺います。まず1点目ですが神戸空港の問題については先日からのマスコミ報道を見ておりましても扇国土交通大臣も近畿3空港のありかたについて触れました。そして狭い空域の中で3空港の生存は安全性に自信があるとは思えない。こういうふうに述べられています。危険性を私の質問の中でいくつか指摘もさせていただきましたが、こういう中で本当に知事は十分活用できると思っていらっしゃるのかどうか。
 そして、2点目には、30人学級についてですけれども、先ほども教育長から答弁もありましたけれども知事、この新学習システムのまとめこれだけありますが、これ是非しっかり読んでいただきたい。この中には子ども達の声として授業が本当に良く分って楽しみ、教師の声としてもひとり一人に目が届き、さらに父母のみなさんの中からも「クラスの人数を少なくしてもらったらいいのに」という声がたくさん上がってきています。
 もう様子を見ていると言う状況じゃないと思います。21世紀の兵庫を担う子どもたちのためにも今お金をかけてかけすぎるということはありません。
 このことを是非分ってください。せめて、一番基礎学力をつけ学校生活に慣れるという意味でも小学校低学年からでも実施をしていただきたいと思いますが、この点についてもご答弁お願いします。
 最後に学校給食についてですが、危険性の面で教育長が言われましたけれどもこれについては明らかな根拠がいまだに示されていません。これについても冷凍輸入野菜を学校給食に使用することを禁止していただきたいと思います。

▼答弁▼井戸知事:  簡潔にお答えいたします。神戸空港の安全性につきましては、私ももう20年近く前になりますが、航空局環境整備課長の時に議論が出ました。
 その中で3空港の広域一元的なターミナルレーダー官制で対応できるという見通しがたったがゆえに先ほどもお答えしましたように空港の設置許可を国が出すことになった。
このように経過を承知しております。
 それから第2番目の30人学級ですが、学級編成のような義務教育の基本に関わるような問題を国が地方自治だからと言って地方にゆだねるというのは私はいかがかと思っています。こういう基本的な学級編成の問題は国が財源措置もきちっとした上で地方の共同運用をしているわけですから、共同運用をしましょうと言ってくるべきだと私は考えております。3番目の学校給食の食品については、教育長答弁されましたように安全確認をしたうえでの食品でない限り出回らないことになっていることを私も説明を受けております

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