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本会議の目次へ 第271回本会議提案説明 島田しずお
2002年10月3日

 私は日本共産党県会議員団15名が提出いたしました議員提出第13号議案「兵庫県中小企業・地域経済振興基本条例」の提案説明をおこないます。

中小企業の不況を打開し雇用と地域活性化を

 提案理由の第1は、中小企業の深刻な不況打開のためであります。
 今議会でも多く語られましたように、阪神・淡路大震災の被災地はもとより、県下各地で中小企業の倒産や失業が相次ぎ後継者難に悩む事態が業種を問わずすすんでおります。県下51の指定地場産業においても、それぞれ必死の努力にもかかわらず、多くが減産、縮小を余儀なくされています。
 また、雇用問題、特に青年の失業や定職につけない問題が深刻でありますが、その受け皿の役を果たしてきた中小企業の不況がこの深刻さに拍車をかけていることも明らかであります。
 私たちが、この条例案を策定する過程で多くの中小企業団体をお訪ねして、実状とご意見をお聞きいたしましたが、口々にその困難さを訴えておられました。
 神戸市内のある協同組合からは「大企業の横暴を規制でないか。6ヶ月の手形支払いが常態化している。現状や工賃の切り下げなどを考えるとき、中小企業が潰されていると言えると思います。現在ある支払遅延防止法などの法の枠内でもそれを守らせることができるのではないでしょうか」、また、宍粟郡のある町の商工会からは「中小企業への支援なくしては日本経済は死滅する。ぜひ支援策の充実をお願いしたい」などのメッセージも寄せられております。
 これらの原因が消費低迷による長引く不況とともに大企業などの海外移転による産業空洞化、また逆輸入による価格破壊などの構造的な要因にあり、これに見合う本格的、全面的な対策が必要であります。
 私たちは、第1に中小企業予算を抜本的に増額する。第2に中小企業の経営に直接役立つ支援をおこなう。第3に中小企業の事業活動を守るルールを確立する。このことを柱に国と地方の経済・産業政策を中小企業重視に根本的に切り替えることを求めております。
 しかし国の中小企業対策は、今年度の中小企業予算が1861億円、一般歳出に占める比率が0.39%と1963年の中小企業基本法の制定以来最低ということに加え、政府の不良債権早期最終処理という方針がいっそう中小企業を苦しめています。
 この不良債権の処理によって中小企業への「貸し渋り」「貸しはがし」がおこなわれ、県下でもベンチャー企業やあるいは老舗といわれる企業が倒産に追い込まれ、また地元の信用金庫や信用組合がつぶされたことによって、その顧客である何の落ち度もない中小企業者が不当にも不良債権扱いされて、整理回収機構に送られるなどの事態が頻発しています。
 また、赤字の中小企業に課税する外形標準課税や消費税の免税点の引き下げなど中小企業をターゲットにした増税を大企業への減税とセットで導入が検討されるなど、国の対策は中小企業の要求にまったく逆行しております。
 私たちは、国の中小企業政策の根本的な転換と抜本的な充実を求めるものであります。このページの上へ

地域経済振興のため県の役割を果たせ

 提案理由の第2は、県のはたす役割を発揮するためであります。
 地方自治法は、その第1条の2において「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本と」すると定めており、県下の中小企業が苦境にあり、県民がその影響を大きく受けているときに、そして国が役割を果たさない状況のもとで「住民の福祉の増進を図る」立場から、地方自治体として県下中小企業のための独自の施策を実行することは当然の責務であります。
 まして中小企業基本法第6条は「地方公共団体は、基本理念にのっとり中小企業に関し国との適切な役割分担をふまえてその地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し及び実施する責務を有する」と定めているのであります。
 この第6条の規定は1999年の中小企業基本法の改訂によってもうけられ、旧法では国の施策に準じた施策を実行することになっていたものを改めて、地方分権の見地から中小企業施策における県や市町の役割の重要性を定めたものであります。
 しかし兵庫県の中小企業施策の現状は、この法の趣旨に合致していないことは明らかであります。県の実質の中小企業予算、また県単独事業の少なさについては、わが党の代表質問でも述べました。
 また個別施策についても、たとえば、とりわけ深刻な中小建設業にたいして中小企業対策としての位置付けをせず、支援のための予算や担当部局もない状態であります。
 知事は「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」を推進することで、これらの要請に応え得るかのように言われておりますが、このプログラムが、たとえば3年間余で5万人を目標とする「しごと雇用創出」の年次計画が、その実現の保障がほとんどないなど基本的にこれまでの施策の枠を出るものではありません。
 また、このたびの緊急経済雇用対策についても「ようやく停滞から脱却する兆しが一部に見え始めた」などという政府の観測そのままの情勢認識がもとになっていることと共に、その施策の内容も従来型のもので不充分のそしりは免れません。このページの上へ

中小企業を支援し、地域経済の振興を

 提案理由の第3は、中小企業・中小企業者のきわめて大きな役割があります。
 生産・流通を土台から支え、雇用の8割を担い、また地域に密着した存在であることから地域の経済循環の担い手でもあります。そして中小企業者の多くが、地域の24時間市民として、まちづくりや地域文化の振興に、なくてはならない役割を果たしています。
 さらに、これからの日本を考えるとき、大量生産・大量消費・大量廃棄を特徴とする大企業中心の経済システムがゆきづまる中で日本独特の個性を持った文化的な地域性ある経済が展望されますが、中小企業こそが、これを担う適性を持っていることも明らかであります。「中小企業の時代」と言われるゆえんであり、ドイツ、イタリア、フランス、アメリカなど欧米諸国においても、この見地に立った施策がすすめられております。
 中小企業の果たす役割は、過去・現在・将来において、その全国民的、全地域的にきわめて大きなものがあり、全国有数の工業県であり多様な県土を持つ兵庫県においては、なおさらであります。このページの上へ

議会として基本条例制定をめざせ

 以上、3つの理由をふまえ、私たちは、国にたいして施策の充実を求めながらも、県が独自に施策の充実をすすめるため、本基本条例案を提出するものであります。
 基本条例で、県政の恒常的責務として定め、確固とした中小企業施策を確立し、必要な個別の具体的施策を充実することが必要であります。
 また、環境や「まちづくり」など他の県政の重要政策課題については全体的な基本条例があるにもかかわらず、中小企業や地域経済振興のための基本条例がないということは、中小企業政策については、県政の重要課題として明確に位置付けられていないと言われても仕方がないではありませんか。
 わが党議員団は、11年も前から知事にたいする予算要望の場や本会議、委員会などで条例制定を求めてまいりましたが、知事にこれを受け入れる姿勢が見られないため、提出にいたったものであります。
 議会が、県民の暮らしにかかわる条例を提案し、その制定をめざすことは、今日の地方自治体の議会のあり方をめぐる議論の流れからも当然のことと考えます。このページの上へ

条例案の特徴、財政措置・市町と連携・大企業の責任・中小企業者の参加

 最後に条例案の内容にかかわって2、3の点について申し上げます。
 条例案は知事の責務とともに必要な財政措置をとることを明記しました。このことの重要性は繰り返し述べたところであります。
 つぎに、私たちは中小企業施策は中小企業と身近に接する市町が第一次的におこなうことが適切であると考えますが、県下22市66町の財政や体制の現状を見るとき広域自治体としての県の果たすべき役割の大きさは言うまでもありません。市町と共同し連携し支援することが肝要であります。
 また、中小企業問題は大企業との関連抜きには考えられませんが、大企業の社会的地位に即した責任を果たすことを求めることも必要であります。
 そして、中小企業施策は中小企業の現場に即したものでなければなりません。実態調査を重視するとともに中小企業の意見と要求をくみ取った施策が必要であり、そのため協議会の設置を定めております。
 この条例の制定により、県下経済の発展と県民福祉の向上に大きく寄与することを願いつつ地方自治法第112条の議員の議案の提出権にもとづき提出いたします。
 中小企業振興の重要性は今議会においても会派の違いを越えて多くの同僚議員から強調され、その施策の充実の必要性は県議会の総意であると確信するものであります。ぜひ十分な審議をいただき、ご賛同くだいますようお願いし、提案説明を終わります。

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