このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
本会議の目次へ 第271回本会議一般質問 ねりき恵子
2002年10月2日

 私は、文化振興、医療・福祉、市町合併、震災、武庫川、養護学校の問題について質問いたします。

宝塚ファミリーランドの存続のために

■質問■ねりき議員:  はじめに、文化を守り発展させる取り組みについてです。私の地元宝塚では、まちのシンボルのファミリーランドの廃園問題に揺れています。阪急の突然の発表に、多くの市民は驚き、存続を求める住民運動が一気に広がりました。存続を求める署名は10万筆を超え、宝塚市民だけでなく全国各地からも続々と寄せられ、宝塚市議会でも、「請願」が採択されました。
 宝塚出身の国会議員3名が、「共同声明」を行ったのをはじめ、宝塚市自治会連合会も市当局と阪急に対し、「市民を代表する立場から、存続を強く要望」する申し入れを行っています。ファミリーランドは今から90年前の明治44年、「宝塚新温泉」が開かれたのが始まりで、地域住民はもちろんのこと、全国から訪れる多くの人々に親しまれてきました。日本で5番目にできたといわれる動物園をはじめ、植物園や昆虫館、遊園地は、赤ちゃん連れの家族からお孫さんを連れたお年寄りまで、誰もが安心して、ゆったりとくつろげる憩いの場となっています。
 また、ファミリーランドを中心とした地域は、「宝塚歌劇」「宝塚映像」「宝塚温泉」「手塚治虫記念館」などが配置され、文教・観光都市宝塚の地域文化として定着し、全国的にも文化発信の地ともなっています。
この問題は、宝塚市が県の観光動態調査の資料をもとにおこなった試算でも、年間97億6900万円もの経済波及効果があることがわかっており、地域経済へも大きな影響を及ぼすことは必至です。
 県は、この廃園問題について「私企業の経営問題だ」と消極的な姿勢ですが、このまま放置していいはずがありません。県民の文化財産としても観光資源としても守るべきではありませんか。
 県は、ファミリーランドを中心とする一帯の周辺開発に、すでに80億円もの公費を投入し、全体事業費当初150億円にも及ぶ、マイタウン・マイリバー計画をすすめています。しかも、この開発計画の策定メンバーに阪急も加わって決定してきているではありませんか。私たちは、観光ダム開発など阪急言いなりの開発に批判をしてきましたが、開発するときは阪急の意向を受けて税金投入を進めながら、撤退するときは「私企業の問題」などと、黙って見ているのでは、あまりに無責任です。
 また、県の事業で県自らが計画を進めてきたのですから、「宝塚市の問題」などといういい訳は全く通用しません。
 県自ら、阪急電鉄に対して、はっきりと存続を働きかけることを求めますが、ご答弁ください。

▼答弁▼井戸知事:  宝塚ファミリーランドは、長年にわたり家族連れを中心に多くの人々に親しまれ、ピーク時には年間250万人を超える方々の入場があったところであります。しかし近年は、少子高齢化やレジャーの多様化などにより、入場者が減少し、ピーク時の二分の一以下となっております。このような状況のなか、阪急電鉄は経営努力を重ねても、営業継続が困難と判断し、来年度、遊園地事業から撤退することを表明されております。これに対して、地元を中心とするかたがたが、存続要望をされていることは承知しており、私としても心情的には、充分理解しているところであります。
 県としても、観光振興をはかる立場から、年間100万人を超える集客力のある施設でありますだけに、それが廃止されることは、大変な問題だと、この様には受け止めております。
 しかしながら、宝塚ファミリーランド自体は、民間がビジネスとして運営され、それで成り立っている施設でありますだけに、阪急電鉄が事業環境をふまえ、存続が困難と経営判断されたものであり、経営や運営が成り立つ条件整備がない限り、単なる存続要請では、なかなか継続することは難しいと考えられますし、今のままで企業の事業に行政という立場で立ち入ることは適切でない、この様に考えております。
 なお、マイタウン・マイリバー整備事業は、河川改修とまちづくりを一体にすすめ、宝塚市の中心市街地活性化をはかろうとする事業であります。宝塚市の都市河川と都市環境の整備の一環として実施しているものでありまして、市とともに引き続き事業を推進してまいる考えであります。このページの上へ

宝塚映画を生かした文化振興の取組みを

■質問■ねりき議員:  文化の項の2点目は、宝塚映画を生かした文化振興についてです。
宝塚は映画のまちでもあります。1951年、宝塚映画制作所が設立され、当時、日本最大の映画スタジオが誕生しました。「姿三四郎」「若大将シリーズ」など、176本の映画がつくられ、多くの映画ファンを魅了し、日本映画の一翼を担ってきました。
街なかでロケが行われ、大スターが往来し、地域住民もエキストラで出演するなど、人々の暮らしに映画文化が溶け込んでいるまちでした。このようなまちを見直そうと、市民運動が広がり、全国初の公設・民営の映画館「シネピピア」が誕生、3年前からは市民の手による映画祭が取り組まれています。
 今、全国的にフィルムコミッションによるロケ地の誘致が盛んですが、あるフィルムコミッションが誘致したロケでは、キャスト、スタッフ約110人が15日間滞在し、宿泊・飲食・レンタル機材などで、少なくとも2000万円の経済効果があったとの試算もあり、ロケ撮影による新たな「名所」も生まれ、観光産業振興にもつながっています。この不況のときに有効な地域経済の活性化対策となると考えます。
 撮影所のあった宝塚には、スタジオもあり、プロデューサーやカメラマン、録音、美術など、まさに映画のプロがそろっており、フィルムコミッション設置に最適の場です。
また、武庫川の松林や西谷の山々は時代劇のロケに、関西学院のキャンパスやファミリーランドでも映画の撮影が行われていました。小津安二郎監督が、「海があり、山々があり、神社仏閣や教会、洋館から庶民のまちまで何でもある。こんなにロケに適したところはない」と言っているように、宝塚をはじめ、阪神間のまちなみは、ロケーションにも最適です。これらの貴重な財産を最大限に生かすべきだと考えます。
 先に述べた、宝塚映画祭実行委員会では、宝塚で作られた映画を残していこうと、ロケ地マップづくりが進められていますが、宝塚撮影所の縮小・移転で、肝心のフィルムを始め、数々の映画資料が無くなる危機に直面しています。貴重な映画資料を収集し、保存するためにも、行政の支援が求められるところです。
 映像文化を守ることが、地域の文化を守ることや、社会教育、観光産業にもつながるなど、様々な要素を持ったものであり、まさに行政がNPOなどといっしょに取り組むべき課題ではないでしょうか。
 以上、フィルムコミッションの設立をはじめ、ロケ地マップの作成や、映画フィルムを管理し、映像文化に触れることのできる映画ライブラリーの設置など、映画を守り発展させるための取り組みを県として行うよう求めますが、お答えください。

▼答弁▼神田県民生活部長:  宝塚映画を生かした文化振興でございますが、国民の身近な娯楽ということで生活の中に定着しておりましてまた総合的な芸術ということで重要な位置をしめてきたところでございます。兵庫県といたしましても、これまでも文化庁の優秀映画鑑賞推進事業を県内各地で開催するほか、ふれあいの祭典文化事業として、宝塚映画祭を支援してきたところでございます。また、映画ロケの誘致、あるいは支援活動を行うフィルムコミッション事業につきましては、県下で神戸市あるいは姫路市が、地元主導で展開しているほか、例えば神戸百年映画祭のように、NPOによる住民主導で映画鑑賞事業を展開しているものもございます。宝塚市をはじめいたします阪神北地域におきましては、現在、地域ビジョン委員会の検討結果を踏まえまして、県民が主体となって活動する県民行動プログラムの一環といたしまして、フィルムコミッションの設立準備が進められておりまして、こうした動きを受けまして、阪神北県民局では、市とも連携しながらその活動を支援いたしますとともに、県民局独自にもロケーション資源の探索をふくめまして、フィルムコミッションの役割、効果等について調査・研究を進めているところでございます。県といたしましては、今後ともこうした県民行動プログラムの動きをふまえながら適切な支援策につきまして、検討しつつ映像文化の振興に努めていきたいと考えております。このページの上へ

高齢者医療制度の改善について

■質問■ねりき議員:  次に、医療・福祉問題についてです。1つ目は、老人医療についてです。
 政府・与党は先の国会で健康保険法等の一部を改悪し、この10月から高齢者医療費窓口負担を大幅に引き上げました。
 今回の医療改悪に反対する署名は全国で3000万筆を上回り、日本医師会・歯科医師会をはじめ数々の関係団体もいまだに反対と抗議の声を上げています。
ところが、県は、国の改悪に追随し、県事業である「老人医療費公費負担助成制度」についても、窓口負担を改悪するだけでなく、今後さらに所得制限を強めて、県下で対象者をあと3万人も減らそうとしています。県民の健康を守る立場に立ち、医療改悪中止を国に求めるとともに、県の「老人医療費公費負担助成制度」の対象者削減はやめるべきではありませんか。
 また、「償還払い制度」の改善も急がれます。「償還払い制度」では、窓口負担はいったん全額負担し、あとで手間のかかる手続きをして返金してもらわなければなりません。財布にいったいいくらあればいいのかわからず、大きな不安が受診抑制につながります。国も大きな批判を受けて、手続きの簡素化をはかるとし、県にもその旨が通達されたところです。そこで、県の制度にも早急に適用するとともに、市町が病院に限度額を超える分を直接支払う制度を導入するなど、思い切った改善を図るよう求めます。
 さらに、在宅医療患者の負担は一層大変です。
 例えば、「在宅酸素療養」をされている70歳の男性は、これまで月2550円だった医療費が、一気に約2万2000円にもはねあがります。そもそも酸素ボンベがなければ生きられないという重いハンディキャップをもった人々に、障害者医療と同様、せめて県独自の医療費助成制度を設けるよう求めるものです。
 以上、3点について、安心して医療を受けたいと願う県民の声にこたえるよう、知事の暖かい答弁を求めます。

▼答弁▼神田県民生活部長:  医療福祉問題について、まず老人医療でございますけれども、このたびの医療制度改革は、中長期的に安定した制度の確立にむけて必要な措置であると認識しております。本県の老人医療費公費負担助成制度は、国の高齢者医療制度の対象とならない65歳から69歳を対象といたしまして、国の制度に準じた自己負担となるよう、医療費の助成を行っているところでございます。こういった趣旨から、このたびの国の高齢者医療制度にあわせ、自己負担限度額を改正したところでございます。また、所得制限につきましては、昭和48年、約4半世紀前の制度発足以来、高齢者を取り巻く環境が、身体面・所得面で大きく変化していることから、一般所帯と高齢者所帯との間の負担の均衡をはかるために、総所帯の中間的な水準の所得を下回る高齢者を対象として、平成15年度から受給者率を約50%とすることとしておりますが、依然として全国のトップであると認識しております。二点目の償還払い制度の改善につきましては、国の老人保険制度においては、医療機関からの医療費の請求はすべて市町のもとにあげられます。このため、市町は高齢者の医療費の支給状況をすべて把握することが出来るということで、再度の手続きを省略するというような方式が今回とられたわけでございます。ただ、窓口では、やはり限度額の把握ができないということで、こういった簡素化につながったものでございます。一方、県の老人医療費公費負担助成制度では、受給者の医療費の支給状況これは保険者が様々ございまして、本人と、そのさまざまな保険者しか知ることができません。窓口である市町は、各保険者によりまして、高額療養費の支払い状況を確認する必要がございまして、受給者からその都度申請をもとめることとしているものでございます。三点目の在宅の酸素療養患者への医療費の助成につきましては、2万2000円と言うお話もございましたが、負担限度額は1万2000円ということにされておりまして、また、県単独の制度といたしまして、重度心身障害者の医療費公費負担助成制度を設けておりまして、重度障害者につきましては、この制度の活用をはかってまいりたいというように考えております。このページの上へ

国民健康保険の高すぎる保険料の引き下げと減免制度の充実を

■質問■ねりき議員:  2つ目は、国民健康保険についてです。
 国保税を払いきれない加入者が急増、保険証の取り上げで、診療を受けられないという深刻な事態が広がっています。
 本県でも「短期保険証」の交付が3万4494世帯で、前年比9642世帯の増加。「資格証明書」の発行は昨年の1301世帯から今年の6266世帯と4.8倍に激増しています。
 しかし、「資格証明書」が1986年末に導入されて以来15年間、滞納者は増える一方で、全国平均で20%、5世帯に1世帯が滞納という状態です。保険証取り上げは逆効果こそあれ、収納率の改善にならないことは明らかです。
市町は、国の定めた率に達しなければ調整交付金が下げられるというペナルティーが課せられ、国保財政を確保するため保険料を値上げする。すると、さらに払えない人が増える…という悪循環に陥っています。
 兵庫県商工団体連合会の調査でも、不況で営業収益があがらず、やむなく保険税を滞納していた46歳の女性は、腹部に異常を感じ、受診したいとなんとか保険料を納めましたが、保険証はもらえませんでした。全額自己負担はできないと、がまんにがまんして、最後に病院へかつぎ込まれたときは、腹水がたまりすぎていて即入院、複数の臓器を摘出しなければならず、莫大な医療費負担となってしまいました。
 まさに、高い国保税と保険証の取り上げで、医者にかかれない深刻な事態をひきおこし、医療費が増大するという、二重、三重の悪循環となっているのです。今こそ、安心して払える保険税と、安心して医療が受けられる窓口負担にすることが求められています。
 事態は深刻です。県は、被保険者一人当たり約700円の補助額を全国でもトップレベルなどといって言い訳をするのではなく、高すぎる保険料の引き下げと減免制度充実のため、市町への補助額を抜本的に増額することを改めて求めますが、知事の誠意あるご答弁を願います。

▼答弁▼神田県民生活部長:  県は、市町保険者に対しまして、平成14年度予算におきまして、低所得者に対する保険料の負担軽減のための国民健康保険基盤安定負担金として約40億円の予算措置をとっております。また、県単独事業といたしまして、事業の健全な運営を確保するための国民健康保険事業費補助金約14億円の支援を行うこととしております。また、今回の医療制度改革におきまして、保険事業を支援しようということで、国民健康保険法の一部が改正されまして、まず、低所得者を多く抱える市町保険者の財政安定化をはかるために、中間の所得者層を中心に被保険者の保険料の負担の緩和を図る措置がとられることになっております。また、市町の国保の広域化の際の保険料平準化等を支援するための基金をつくることになっております。さらに、高額医療費の発生によります国保財政の急激な影響の緩和をはかるために、高額医療費の共同事業の拡充制度化についても規定されておりまして、保険事業への支援がより一層充実されることが予定されております。県といたしましても、今後必要な対応を行ってまいりたいというように考えているところでございます。このページの上へ

市町合併への異常な県の押し付けをやめよ

■質問■ねりき議員:  次に、市町合併についてです。兵庫県下でも何らかの合併に向けた協議会や研究会を立ち上げている自治体は、88市町のうち61市町、約7割にのぼっています。
 こうした中で、全国のモデルケースといわれる篠山市は、合併してちょうど4年目を迎えました。住民サービスの面では、2001年3月に「行政改革実施計画」を発表。その内容は、「市内19の小学校を13校に統廃合し、通学区の見直しを行う」「公立保育所9園を5園にし、民間委託も検討する」などとされ、合併協議会が当初言っていた「住民サービスは高く、負担は低く」という約束は反故にされ、市民の不安は広がっています。
一方、合併特例債を使ったハード事業が目白押しで、合併当初1998年に235億円だった地方債残高は、来年には506億円と約2倍にも膨れあがり、公債費比率は、合併時の16.3%から、一気に20%を超え、今年度見込み21.2%と、財政悪化をはっきりと示しています。
 このことに対し、篠山市長自身、「ハコモノについては見直しを行っている。計画通りやっては大変なことになる」と発言されています。それは、合併特例債の償還が10年から15年先にピークを迎える一方、地方交付税は合併特例の期間を過ぎ、大幅に削減され、市財政が深刻な危機を迎えるからに他なりません。
 合併の最大のねらいは、世界的にも異常といわれる財政危機のもと、年間20兆円といわれる地方交付税を4兆円から5兆円削減するためであることは明らかで、各地ですすめられている合併論議は、財政面からの枠組みだけが先行し、産業や暮らしをどうよくするのか、合併すればこれらが解決するのか、それぞれの町の将来像についてはほとんど話し合われていません。
 その上、国や県は、「住民の意志を尊重する」としながら、実際は押しつけているのが実状ではありませんか。
 片山総務大臣が全国の市町村長に送った異例とも言われる手紙は、「まるで脅迫状だ」と言われており、県下でも、副知事自らが県下各町を訪問し、「法の期限が迫っている」からと、早期合併を迫っているではありませんか。
 また、再編強化された県民局が合併の先頭に立っていることも問題です。
 合併のメリットしか言わないこうした異常な「合併の押しつけ」を直ちにやめ、あくまでも「住民の自主性を基本」に、将来のまちづくりを含め、徹底的に議論するための環境を保障すべきであると思いますが、お答えください。同時に、県の言うとおり合併を促進しなければ今後「県の支援が受けられなくなる」と真剣に考えている市町の担当者もあります。これも異常な圧力をあたえていると言わねばなりません。各市町が、安心して住民と議論できる環境を保障するためにも、そうしたペナルティーは考えていないことを明言していただきたいと思いますが、合わせて真摯なご答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:  市町合併は、将来の財政的な困難さを克服するという視点よりはむしろ、21世紀の成熟社会における住民本位の行政をすすめていくにあたって、適正な市町の規模や、まちづくりの方向など、その市町のありかたについて、住民レベルで充分に議論を展開し、建設的な意見交換により、自ら方向づけをしていただくことを、基本とすべきであることは、私も何度もご答弁申し上げてきたところでありますし、県としても、これを基本スタンスとしておりまして、決して、県や国が押しつけるものではない、このように考えております。ご指摘の副知事が各市町を訪問して、働きかけたと言うお話がございましたが、それは、特例法の期限との関連もあり、充分当事者である市町や住民が議論をしていただく必要性を訴えたものでありまして、方向性を県が示唆したり、あるいは指導したりするものではないことを明言させていただきます。県内市町においても、合併にむけた協議の中で、住民と市町などによる地域単位でのきめこまかな意見交換会の開催や、アンケート調査など、様々な取り組みが重ねられており、自らの市町の将来のあり方について、真摯な議論がなされているものと理解しております。さらに法定協議会の設置後においても、協議の場の住民に対する公開や、住民の意向を充分ふまえた、新市町建設計画の策定に向けた検討などがすすめられるわけであります。県としては、地域におけるこうした取り組みがより深まるよう、助言や情報提供などの支援を行っているわけで、今後とも市町の自主的な検討のうえで目指すこととされる合併に期待されるまちづくりがすすめられるよう、支援をしてまいる所存であります。なお、合併するかしないかの如何にかかわらず、県内市町の振興に県が応援することは、当然でありまして、市町を包括する広域的団体である県の責務として当たり前のことであります。今後とも、住民に一番身近な市町を広域団体として補完する立場に徹しながら、県内市町と相携えて成熟社会にふさわしい地域社会の実現に取り組んでまいります。このページの上へ

特定優良賃貸住宅で、オーナーへの負担押しつけでなく、行政の責任で家賃減免を

■質問■ねりき議員:  次に特定優良賃貸住宅についてです。
 震災から7年と8ヶ月が過ぎた、今なお、災害公営住宅への入居については、平均14倍、最高43倍もの応募があります。震災で住宅を失った被災者が震災から7年過ぎてもいまだに適切な住まいを確保できないでいるのです。
 ところが一方、特定優良賃貸住宅制度を使って建設された、県住宅供給公社の借り上げ方式の災害準公営住宅は、入居率7割となり、空家が続々と増えてきています。もともと公社借り上げ方式の特優賃住宅は、震災前4年間で、わずか13団地、290戸が建設されたのみで、特に、震災前半年間は建設ゼロ、事実上の募集停止状態であり、しかも右肩あがりの家賃体系で被災地の実態に合わないにもかかわらず、災害公営住宅の数合わせのために災害準公営住宅として大量に建設した県の責任は明らかです。
 私たちが、先日政府交渉を行った際、国はようやく、特優賃住宅の空き室を公営住宅に転用できるなどの改善策を明らかにしました。ところが県公社は、すでにこういった改善措置が行われることを知っていながら、実施目前に、家賃を引き下げるためと称して家主へ支払われる借り上げ料の大幅減額の契約変更を強行しました。借り上げ料が減額されれば、融資返済ができない、と契約変更に応じない家主に対しても、あくまで契約変更を強要し、裁判にすると脅しともいえる態度をとっています。
 県や公社の負担軽減だけを考え、震災復興施策の失敗を被災者である家主に押しつけるものであり、責任転嫁もはなはだしいものです。
 しかも、家主には近傍同種の家賃と比較したと説明しますが、西宮のある方の場合、鉄筋コンクリート作りの建物なのに、家賃比較の対象にした住宅は、震災前に建設され、しかも被害を受けている住宅とか、鉄骨作りの住宅とかです。これでは、近傍同種でなく単なる近傍の住宅だ、結論先にありきのあまりにもひどいやり方だと、家主の方は怒りを表明しておられます。
 また、県公社自ら行ったシミュレーションでも、借り上げ料を減額すれば返済のめどが立たなくなる家主が出てくると認めているように、借り上げ料減額は、家主を破綻に追い込んでいくものです。
 家主への責任転嫁をやめ、震災復興施策として、国や県の責任で新たに家賃減額補助を行い、入居率の向上、被災家主への財政支援を行うべきと考えますがいかがですか。また、空家をただちに公営住宅に転用し、今なお適切な住宅が確保できないでいる被災者や県民に住宅を保障すべきです。合わせて知事の答弁を求めます。

▼答弁▼山口県土整備部長:  特定優良賃貸住宅の一部において、空き家が見られますことや、近傍賃貸住宅の家賃低下から、オーナーに対して、公社が借り上げ料の低減を協議していますことは、ご指摘のとおりでございます。オーナーの方がた、また公社にとりまして、最優先課題は空家解消であると考えられますので、そのために根本的には制度の改正が必要であることから、機会あるごとに国に対して、要望をつづけてまいりました。その結果、入居者負担額の年上昇率の低減や、用途廃止、また用途変更に関し、緩和がなされたところでございます。県といたしましては、現下の社会経済情勢の変化も踏まえまして、国へのさらなる制度改善の要望をつづけて参りますが、借り上げ料の低減は、近傍の一般民間賃貸住宅の家賃におきましても、同様な状況でございまして、オーナーの方々にもご理解いただきまして、ご自身の経営努力もお願い申し上げたいと思います。また、このたびの制度改正で、空き室の状況等一定の要件を満たすものにつきましては、特定優良賃貸住宅の用途廃止を行いまして、公営住宅などへの活用の道が開かれたところでございます。この制度改正を受けまして、県といたしまして、現在公営住宅に転用する場合どのような課題があるのか、こういったことについて、検討を行っているところでございます。このページの上へ

武庫川の河川敷の整備について

■質問■ねりき議員:  次に武庫川についてです。
 はじめに、武庫川の整備についてです。武庫川の河川敷は、日頃市民が散策を楽しむなど憩いの場となっています。しかし、宝塚市と西宮市境の仁川合流点で、この遊歩道が途切れているため、かねてよりここをつないでほしいという強い要望があります。
 早期実現を求めますが、お答えください。その際、環境に配慮した工法にするよう求めます。

▼答弁▼望月理事:  武庫川の整備については、河口から順次、護岸整備や河床掘削を進めてきており、完成したコウズイ敷は、沿線各市による運動広場や、遊歩道等の整備により、都市部における貴重な市民の憩いの場となっております。仁川合流点における遊歩道の連続性の確保については、かねてより県も地元から強い要望を受けているものでございます。また、仁川合流点では、治水上の観点から、河床の床止めコウが必要であることから、現在、これを活用して、遊歩道の連続が確保できるよう、構造物の設計を進めているところでございます。今後、具体的な案がまとまった時点で、市や地元の意見も聞き、できるだけ早く早期に工事着手できるよう努めてまいりたいと考えております。このページの上へ

武庫川ダム、「白紙からの検討」にふさわしい住民との議論を

■質問■ねりき議員:  さて、環境を守る点からも重要な問題である武庫川ダムについてです。長野県の知事選挙の結果、今あらためて、公共事業のあり方、個々の事業の必要性の本格的な検討を求める声が広がっています
 県下でも今問題になっている武庫川ダム計画は、4年前の事業評価委員会で、足踏みダムが解かれ、建設へとゴーサインが出されました。このままで来年を迎えると、5年を経過しても工事未着手のダム計画として再び事業評価委員会にかけられ、武庫川ダムが必要なのかどうかあらためて公的に問われることとなります。
 このような中で、県は、早急に、仮称「武庫川委員会」を設置し、新河川法に基づく武庫川の整備計画作りを進めたいとされています。その際、県は、「白紙からの検討」「ダムの必要性の有無も含めて検討」と説明しています。しかし、住民が一番疑問に思っているのは、県が本当に白紙からの検討を保障する姿勢にたっているのかという事です。
 県は、これまで武庫川ダム計画そのものを白紙に戻したとは一度も言明したことはありません。それどころか、武庫川ダム計画は、2000年3月に武庫川ダム環境影響評価概要書の審査、いわゆる第一次アセスメントが終わった段階であり、このまま次の環境影響評価準備書面の審査を終え、さらに環境影響評価書の作成が進めば、すぐにでも建設に着工できる状態となっているのです。
 もともと、この第一次アセスメントは、県が武庫川ダムを建設するための第一段階なのですから、これを白紙に戻さない以上、いくら「白紙からの検討」などといっても、武庫川ダムが建設途上である状況は全く変わらないのではありませんか。事実、県は、住民からの第1次アセスメント撤回の要求に対して、拒み続けるばかりか、第1次アセスメントを撤回したら、武庫川ダムにゴーサインが出たときにもう一度同じことをしなければならない、二度手間になるから白紙にできないとの考えを示しています。
 一方で「白紙から検討する」と言いながら、もう一方でダム建設工事の準備はそのままにしておくという、住民をあざむくようなやり方は、今すぐ改めるべきです。
 この際、真に白紙からの検討を保障するためにも、第1次アセスメントを撤回するとともに、宝塚市など関係4市と結んでいる「レクリェーション多目的ダム事業 武庫川ダム建設工事に関する協定書」を白紙に戻すべきだと考えますが、知事の真摯な答弁を求めます。

▼答弁▼望月理事:  武庫川ダムの環境影響評価については、平成12年5月に、環境影響に関する調査、予測、評価の項目を絞り込む、概要書の手続きを終えた段階でございます。武庫川ダムについては、総合的な治水対策の観点から、河川整備基本方針を一から検討することとし、そのための取り組みを進めているところでございます。環境影響評価の進め方は、その結果によって、ダムが変われば改めて検討することになるとも考えております。また、武庫川ダム建設工事に関する基本協定書の取り扱いについては、今後の河川整備基本方針の検討状況をふまえ、ひきつづき、共同事業者である4市と協議を行ってまいりたいと考えております。武庫川ダムについては、ダム不要の声がある一方、ダム建設を望む声もございます。いずれにしましても河川整備基本方針策定に当たっては、はばひろい角度から様々な意見を聞くため、仮称でございますが「武庫川委員会」なるものを設置すべく現在準備をすすめており、その中で、ダムの必要性の有無も含めて、議論されることになると考えております。武庫川の治水対策を早急に進めるためにも、いわゆる武庫川委員会の早期立ち上げにご協力いただければ幸いだと思っております。以上でございます。このページの上へ

阪神間の障害児教育の充実のために

■質問■ねりき議員:  質問の最後は、障害児教育の充実についてです。
 ここ数年来、県下の養護学校では、大規模化、過密化が進み、教室不足や長時間通学が深刻な問題となっています。阪神間においても、その改善が早急に求められています。
こやの里養護学校は、現在、全校生徒数243人、64クラスです。もともと80人規模でスタートしましたが、今では3倍にも膨れあがり、昨年特別教室棟が新築されたものの、学校全体の敷地が狭く、建ぺい率ぎりぎりで、もうこれ以上校舎を広げようにも広げられないという、まさにパンク状態となっています。
 スクールバスも、過密状態が日常化しています。県教育委員会はバスの乗車率がおおむね84%を超えたらバスを1台増やすという基準を持っています。発作やパニック、他傷行為など緊急時の安全確保のため、寝かせる席を空けておく必要があるのに、33人乗りのバスに31人が乗り、乗車率94%で往復2時間半もかけて通学しており、いつ事故が起きてもおかしくない危険な状況となっているのです。
 また、阪神養護学校では、全校生徒269人、74クラス、教職員201人と大規模問題が慢性化し、教師集団も小学部36人、中学部31人、高等部64人と大集団で、学部内の意志疎通も困難となっています。とくに、学部の違う児童・生徒の顔がわからないことも出てくるなど、指導面、安全面でも大きな問題を生んでいます。
 養護学校は、どんな障害を持っていても教育の権利を保障する場であり、障害が重ければ重いほどきめ細かな行き届いた教育環境の整備が必要なのは当然のことです。
 ところが、現状は今述べたとおりです。40クラス以上が大規模校と言われているように、適正規模をはるかに超えているのですから、その改善は待ったなしの課題です。
 この問題では、すでに16年前から、機会あるごとに改善を求めてきたところですが、その都度県教育委員会は、「児童・生徒数は減少傾向に移るので、現状の施設でも充分受け入れることが可能である」旨の答弁を繰り返し、養護学校の新設をしてこなかったことが、現在のような過密で危険な状況を生んだのではありませんか。
 ただちに、スクールバスの基準を超える過密状態を改善するとともに、一日も早く、阪神養護・こやの里養護の超過密状態を解消するため、養護学校の整備計画を見直し、阪神間に養護学校を新設することを求めますが、教育長の誠意ある答弁を求め、私の質問を終わります。

▼答弁▼武田教育長:  県内の知的障害養護学校の児童・生徒数の推移は、平成2年度にピークとなり、その後、小中学校の障害児学級に就学する児童・生徒が増えるに伴い、減少傾向にありました。しかし、平成8年度に、中学校の通常の学級からの進学が可能になりましたことから、知的障害養護学校高等部の生徒数が増え、その結果、全体として増加傾向となったところでございます。ご指摘の阪神間におきましてもこの傾向は同様でございまして、阪神養護学校とこやの里養護学校の児童・生徒数が618人にのぼり、さらに増加することが見込まれましたので、平成2年度に110名の尼崎分校を開校し対応をさせていただいたところでございます。その後児童・生徒数は減少傾向をたどっておりましたが、全県と同様、高等部が増加傾向となり、現在では、両校合わせまして、500人程度となっておりますが、この数値は先ほど申し上げました尼崎分校開校後の両校の児童・生徒の規模と同程度になっておりまして、ご指摘のような特に過密で危険という状況になっているものとは受け止めておりません。また、こやの里養護学校のスクールバスにつきましては平成14年度の増員を見込んで、中型を大型バスに変更いたしましたけれども、その見込み以上に児童・生徒が3名増えましたことによって、一部に乗車率が高くなる状況が生じたものでございます。このため、それぞれのルートごとに、子どもたちのトイレ需要に対応するため、トイレ提供協力点をお願いするほか、パニック時等の医療需要に対応いたしますために救急車両との連携等によって対応させていただいているところでございます。今後は、学校教育法施行令の一部改正により来年度入学者から、障害のある児童・生徒に対する就学基準の見直しがはかられることになっておりますので、児童・生徒数の変動が考えられます。その推移をも見守りながら、市町教委とも連携をはかり、児童・生徒数を的確に把握し、適切な学習環境や通学環境の確保につとめてまいりたいと考えているところでございますので、ご理解をたまわりたいと思います。このページの上へ

■再質問■ねりき議員:  どれも納得のできるご答弁はいただけませんでした。
 特に市町合併について、いくら自主性を強調されても、もともと3000の自治体を1000に減らしていくという数が先にあるわけです。目標先にありきで言っているわけですから、合併を押しつけているという状態があるということは指摘をさせていただきます。もう一点、ファミリーランドの問題ですが、これは経営問題だから今口を出せないと言っていらっしゃるのだと思いますが、それは当たり前だと思うんです。けれども、県民・市民の財産として今まで果たしてきたファミリーランドの役割、そして県が、阪急も含めて行ってきた税金投入の考え方も含めて、県民のファミリーランドを残してほしい、憩いの場を残してほしいという思いを真摯に受けとめて、その願い実現に努力することを県民に見せてほしいと思います。その立場に立ってもう一度答弁願います。

▼答弁▼井戸知事:  合併につきましては、私も従来からいつも申し上げていますとおり一定の目標にしたがって、自主的な検討をすべき合併問題を誘導したりあるいはそちらのほうに導くような指導をしたりはいっさいいたしているつもりはありません。これからの21世紀の住民のみなさま方が、地域をどう自らの手で作り上げていくかということを考えたときにどのような規模なりが適正なのかということをまずは議論していただこう、その議論のうえで、一定の方向を自主的に当事者間で導き出してほしいということをお願いしているものでございますので、ご理解いただきたいと思います。宝塚ファミリーランドにつきましては、私も、心情的によく理解しておりますということを申し上げた通りでありまして、さて、一般企業が経営をしておりましたのを、破綻を生じたからといって、じゃあ税金をつぎこめばそれでいいのかというと、それ以外の皆さんの納得が得られるかどうかという問題があります。だから単に、私が申し上げたのは単に要請活動を行うだけではなくて、それぞれのどれだけの努力をして維持をしていくかという条件整備をきちっと、まずされることが大事なんではないかということを申し上げたつもりでございます。いずれにしましても、民間の経営されている事業の経営にただちに今、県がなんらかの関与をしていくということはいかがかと考えております。

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団