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本会議の目次へ 第271回本会議代表質問 宮田しずのり
2002年9月30日
 私は、日本共産党県会議員団を代表して、以下6点にわたって質問します。
 質問に先立ち、北朝鮮の拉致事件について、一言申し上げます。
 わたしども日本共産党は、今回、北朝鮮との国交正常化交渉の再開が合意されたことは、重要な前進の一歩と評価するものであります。
 しかし、北朝鮮が日本人を拉致しただけでなく、わが県の有本恵子さんをはじめ、8人の死亡が公表されたことに、強い憤りを感じると共に、許すことのできない犯罪に厳しく抗議するものであります。
 今後の北朝鮮との正常化交渉の中で、拉致問題の徹底究明と責任者などの処罰等を強く求めるものであります。

井戸知事の政治姿勢と予算編成の方針について

■質問■宮田議員:  質問の第一は、井戸知事の政治姿勢と、来年度の予算編成にあたっての基本方針についてであります。
 いまや、国民生活は、塗炭の苦しみに追いやられています。その上、小泉内閣は、来年度予算で、医療保険、介護、年金、雇用保険、さらに、所得税・住民税などの庶民増税や外形標準課税導入など国民と中小企業には莫大な負担増が計画されています。
 こうした中で、住民生活を守る自治体のあり方が問われています。
 先の長野県や、徳島県の知事選挙の結果は、いま多くの国民が税金の使い方を住民本位に変える、新しい流れを望んでいることを如実に物語るものであります。
 これに対し、井戸県政のこの一年は、どうだったでしょうか。
 就任直後には、アメリカのミサイル巡洋艦ヴィンセンスの姫路港入港を受け入れ、有事法制には事実上賛成の立場を表明しています。また、市町合併問題では、昨年10月に「支援本部」を設置し、強力に推進するなど、国に追随する姿勢が際立っています。また、「県行財政構造改革」計画を本格実施に移し、最も県民が望んでいる、医療・福祉・教育などを後退させる一方、今年度から神戸空港建設に出資をはじめるなど、「開発優先」の姿勢は、相変らずです。
 それでは、県民はいまの井戸県政をどう見ているのでしょうか。
 神戸新聞が去る7月に行った県民へのアンケートでは、「国の方針に従えばよい」という回答はわずか2.1%にたいし、「国政問題に積極的に発言すべき」が65%もあります。また、「井戸県政に不満な点」として、「経済・雇用対策」「公共事業の見直し」「子育て・医療福祉」が上位に並んでいます。
 この結果から見ても、井戸県政の方向は、県民の切実な願いとはかけ離れたものとなっております。
 わが党は、こうした状況を踏まえ、先日、知事に対し、来年度予算編成に対する重要政策提言として、4つの柱で、65項目の申入れを行なったところでありますが、ここで改めてお聞きします。
 まず、国に追随する姿勢を改め、地方自治を守り、「住民の福祉向上」を図る立場に立つこと。そして、来年度予算編成にあたっては、県民サービス切り下げの「県行財政構造改革」を見直し、3900億円の公共投資優先枠を撤廃し削減を図り、震災復興と福祉、くらし、教育、環境優先へ転換すること。
 また、政府の庶民への増税や、外形標準課税の導入にキッパリと反対すると同時に、中小企業支援と雇用対策を抜本的に強化し、県民のくらしを良くしながら、景気回復と財政再建を図っていく予算編成をされることを強く求めますが、いかがですか。

▼答弁▼井戸知事:  私は、21世紀にふさわしい兵庫、成熟社会にふさわしい県政、そのために、県民生活中心の県政を実現する必要があり、生活者としての県民の視点を貫き、県民とともに考え、共に歩む県政をすすめてきているつもりであります。
 日本の縮図といわれている兵庫だけに、安全と安心、自立と共生の理念のもと、新しいわが国のあり方を、兵庫から発信していく気概をもって取組んでおります。
 ご指摘のあった新聞社のアンケート調査結果を見ましても、これまでの取組みは広く評価をいただいているのではないかと考えております。
 中央集権、東京中心の日本の制度自体が、成長経済下におけるシステムであり、もはや制度疲労をおこし、成熟社会にふさわしい制度に変えていかなくてはならないと考えています。それだけに、分権社会システムを構築することが不可欠である旨、強く主張してまいりました。税源移譲や外形標準課税の導入、国、地方を通ずる制度のあり方、道路4公団問題など、兵庫が地方の立場から積極的に主張しているのもそのためであります。
 現在も、県民生活の安心安全の確保、あたらしいふるさとづくり、参画と協働の県政を基本に、21世紀の兵庫の課題に挑戦し続けているつもりであります。
 年度途中でありますが、このたび経済雇用対策や食の安全安心などを確保に対し、当面する課題に対応する緊急対策を実施したのも、このような考え方に基づいたものであります。
 来年度予算編成は、秋口から具体的な作業や検討が始まります。厳しい社会経済状況や財政事情を踏まえつつも、県民生活の安定を目ざして、県議会各会派からのご提言も十分に参酌しながら、鋭意検討をすすめてまいる所存でございます。このページの上へ

介護保険料の値上げをやめ、保険料・利用料軽減を

■質問■宮田議員:  次に介護保険の問題です。
 第一に、高齢者の負担を軽くする対策についてです。
 介護保険制度は、「介護の社会化」「サービスの自由な選択」など、当初政府が説明した理念とはほど遠く、「月5万円の年金ではとても暮らせない。その中から保険料を毎月2300円も取られて、毎日、お金の心配ばかりしている。」などの高齢者の苦悩は大変なものです。
 その上、来年度の保険料は、全国平均で11%もの値上げが検討され、年金の引き下げも予定されています。
 いま必要なのは、高齢者への負担増ではなく、保険料の免除、利用料の軽減をすることであります。
 昨年9月県議会での、わが党の代表質問にたいし、県は、高額介護サービス費制度と3%の特別対策で低所得の高齢者への対策は、十分であるとの答弁でしたが、現実はまったく逆です。
 「高額介護サービス費」制度は、所得の低い利用者、世帯にとっては、はじめから支給限度額いっぱいまで利用すること自体が困難で全く役に立たない制度です。ましてや、利用料を3%に軽減する特別対策は、新しい利用者については適用されず、来年から6%へ、2005年からは、10%負担に引き上げようとしています。
 一方、自治体では、重すぎる負担を軽くする取り組みが、全国に広がっています。

兵庫県下の保険料・利用料の減免
2002年4月調査

保険料 9市11町
神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、豊岡市、宝塚市、川西市、三田市
社町、中町、加美町、市川町、福崎町、南光町、山崎町、城崎町、竹野町、出石町、村岡町
利用料 3市14町
西宮市、芦屋市、洲本市
中町、黒田庄町、福崎市、日高町、出石町、津名町、緑町、西淡町、三原町、南淡町、佐用町、竹野町、養父町、八鹿町

 介護保険料の減免を431自治体が実施し、県下でも9市11町に広がり、利用料減免については、実に自治体総数の4分の1にあたる825市町村、県下でも3市14町が実施に踏み切っています。
 さらに、介護保険制度は、施設やサービスを充実すればするほど、保険料がかさむ制度となっており、特養ホームが不足している原因のひとつともなっています。
 わが党は、保険料を低く抑えるために、国の負担を現在の4分の1から、2分の1に増やす独自の提案をしていますが、県としても、「介護保険制度見直し」のこの時期にこそ、国に積極的に働きかけることが必要です。
 知事、国に対し、介護保険料の値上げに断固反対し、国の負担を大幅に引き上げ、住民税非課税者の保険料を免除し、利用料を軽減する措置を制度として確立するよう、強く求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 同時に、県として、全国に先駆けて県独自の低所得者に対する保険料、利用料の減免制度をつくるよう、改めて求めます。
 市町の独自判断と逃げるのではなく、明確な答弁を求めます。

▼答弁▼斉藤副知事:  介護保険制度は、介護を社会全体で支える観点から、社会保険方式を導入しているところでございまして、その財源については半分を公費で賄うこととされております。また、給付と負担の関係を明確にする観点から、サービス利用者からは1割の負担を求めることといたしておりまして、制度を運用する主体である保険者は市町であると定められているところであります。
 現在、市町におきましては介護保険事業計画の改訂作業をすすめているところでありますが、新たに設定される保険料は、各市町の介護ニーズや、それに対するサービスの供給量によって異なるものでございまして、これを据え置くのか、あるいは引き下げ、引き上げを行うかは、当然各市町が住民の意向を踏まえて決定していくもので、国や県が決定するものではないと考えている所であります。
 また、低所得者に対する保険料・利用料の軽減につきましては、制度上の配慮がなされておりまして、国のアンケートや各県内市町のアンケート結果を見ましても、保険料や1割の利用料が負担となってサービスの利用を抑えているとの回答は少数でございます。
 さらに、各市町においては地域の実態を踏まえ必要に応じて条例に減免規定を設けていることから、基本的には制度の枠組みの中で低所得者への対応策が講じられているものと考えているところであります。
 なお、国におきましては、介護保険制度施行5年後に、全体的に検討を加えた上で必要な見直しがなされることになっており、保険料の負担のあり方も含め、その中で議論がされていくものと考えております。このページの上へ

特別養護老人ホームの増設を

■質問■宮田議員:  第二に、特別養護老人ホームなど、施設整備の問題です。
 わが党はこの問題でも繰り返しとりあげ、県計画の抜本的な見直しを求めてきました。ところが、県は介護保険発足当初には、特養ホームと老健施設、それに療養型病床群の3つの施設で、待機者が解消できると答弁してきました。しかし、この3つの施設は、どこも常に満床の状態で、特に、特養ホームは一施設あたり300人から500人が順番待ちをしており、待機者は増える一方です。
 また、先の6月議会でも、わが党が、県当局の調査をもとに、建設増を求めたのに対し、ショートステイ用のベットを特養へ転用し対応するとしてきました。
 その結果、どうなっているでしょうか。尼崎のある在宅介護支援センターでは、「特養ホームへの入所ができない父親の介護のために、娘さんが、東京から週3日帰ってきていますが、体調をくずしたため、回復するまでの間、ショートステイを利用したいと、尼崎中の施設に連絡したが、"空きベット"がなく、途方にくれている」と悲痛な訴えをされました。これでは、いざというときの在宅介護支援のための本来の機能が果たせない深刻な状況となっています。
 また、県は特養ホーム入所希望の増加に対応するため、明日10月から「入所コーディネートマニュアル」を実施しようとしています。これは、現在の申し込み者に、再申し込みをさせ、施設入所の順序を、これまでの申し込み順から、介護の必要度や家族の状況など、施設側が評価し直し入所の順番を決め、入所申し込み者のしぼり込みを行なおうというものです。
 しかし、絶対的に特養ホームが不足している中で、この「マニュアル」によって、2年、3年も待たなければならない問題、家族が施設を探し回らなければならないという問題は何ら解決しません。
 現在の待機者は、1年以内の入所希望者が、神戸市を除く県所管分で3368人となっています。しかし、療養型病床群と老健施設の入所者は、ほとんどが3ヶ月で退所を迫られ、転々としながら、特養ホームの入所を待っているのが現状であります。
 したがって、実際は老健施設や療養型病床群で待機している人を含め、少なくとも約5000人分以上の特養ホームの建設が必要であります。
 このうち、現在の建設計画は1583人分ですから、これに加えてあと3400人分、100人定員にして34施設の増設計画をつくり、前倒しして早期に建設することがどうしても求められております。
 知事、心から長寿を喜び合える環境を実現するという決意をこめて、施設入所を待っておられる県民に応える答弁を願います。

▼答弁▼斉藤副知事:  特別養護老人ホームは、市町の高齢者ニーズを踏まえ策定いたしました「県介護保険事業支援事業」に基づきまして、特養の新設など計画的な整備を進めているところでありますが、介護保険制度導入後の予想以上の入所希望者に対応するため、市町と協力しながらショートステイ床の特養への転換により、「前倒し」による施設整備に取組んできたところでございます。
 現在の待機者の中には、一つには予約的申込者が含まれていること。二つには、要介護度の低い人が半数近く含まれていること。3つには他府県への入所申し込み者のチェックをしていないことなど、入所の必要性のある人を正確に反映したものとはなっていない面もございます。
 このため、施設関係者の協力も得まして介護の必要の程度や家族等の状況等入所の必要性や緊急性を評価し、入所調整を行う「入所コーディネートマニュアル」の策定に取組んでおり今後この運用を通じまして、真に入所が必要な人のすみやかな入所を支援していく考えであります。
 さらに、今年度「県介護保険事業支援計画」を改訂をいたしますことから、平成15年度から19年度までの5年間における、入所が真に必要な人の数を適切に見込み、特養の新しい整備目標量を設定の上、その着実な整備促進を図ってまいりたいと思っております。このページの上へ

経済・雇用問題、中小企業支援の強化を

■質問■宮田議員:  次に、経済・雇用の問題に関してお聞きします。
 知事は本議会の提案説明において、「ようやく停滞から脱却する兆しが一部に見え始めた」などと言われました。この観測ほど、わたしたち県民の実感とかけ離れたものはありません。
 収入が減り、倒産や失業が増え、生活苦など、経済的理由による自殺が激増しているのに、「なにが"下げ止まり"か、一体どこの国の話か」と思うのは当然であります。
 特に、中小企業は、負債額1000万円以上の企業倒産件数で見ても、本年1月から8月までで、すでに498件に達し、その深刻さを如実に示しています。
 中小企業の不況は、製造業、建設業、販売業など、業種を問わず広がっています。「仕事が10分の1に減ったが、20人いる従業員を、とてもやめさせられない」という鉄工業者、「月に4、5日も仕事があれば良い方で、妻が昼と夜の両方のパートに行っている」という建設業者、「廃業がどんどん増え、通路用クーラーがつけられず、そのためにまた客が減る」という小売市場など、痛切な叫びが満ち満ちています。
 本県の中小企業は、雇用の80.1%を担うとともに、地域内の経済循環を支えており、中小企業が潤えば、地域経済が活性化し、逆に中小企業が不振であれば、地域経済が停滞、疲弊します。
 また、中小企業は日本のモノづくりの担い手であります。東京大田区の中小企業群が宇宙ロケットの製作元であることが知られていますが、本年5月に尼崎市で開かれた、「中小企業都市サミット」での「テクノフェア−」でも、県下のすぐれた技術が展示されました。環境問題や福祉の要求に応えた個性的・文化的な産業、経済が求められている中で、中小企業が、これに応える存在であることも明らかであります。
 しかし、現行の中小企業施策は、この必要に応えていません。
 県の予算は実質の予算支出を伴わない制度融資のための金融機関への預託を除けば、93億円、一般会計の0.4%にすぎず、余りに少ないと言わなければなりません。また、県の中小企業施策が概ね国の施策に準じて行なわれ、中小企業の現場にあっていないことも問題です。
 私たち日本共産党県議団は、今議会に、「中小企業・地域経済振興基本条例」を議員提案いたしますが、ここに県に対して、中小企業の振興を県政の重要課題と位置付け、これに相応しい施策をとることを求めるものであります。
 そのためにまず、県下の中小企業の実態調査が必要であります。「中小企業都市サミット」の一つである東大阪市では、市の幹部が先頭に立って、事業所の調査に参加し、実態を直接つかむことによって、キメ細かい支援策を打ち出し、大きな成果をあげたと言われています。県はかつて、阪神淡路大震災の被災地域の商工業者の調査を行い、いま県下の商店街・市場の調査を進めていますが、これらはいずれも緊急雇用創出交付金を使い、民間委託で行なったものです。
 これでは不充分で、県自らが主体となり、市町と連携して、全ての中小企業・中小商工業者を対象とした調査を行ない、その上に立った独自施策を打ち出し予算の増額を行い、実施されるよう求めますが、いかがでしょうか。

▼答弁▼井戸知事:  県では、地域産業振興施策を立案等をはかるために、産業振興パートナーを委嘱した企業経営者を通じて、県独自の調査を行ったり、あるいは経済関係団体の行う各種調査や、商工会・商工会議所等との情報交換等によりまして、中小企業の実態やニーズ等の把握に努めております。また、「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」推進会議におきましても、中小企業の各分野を代表する方々に参画していただき、その意見をお聞きしております。
 このようにして把握いたしました実態等を踏まえて、県として新しい事業創出を支援する「新産業創造プログラム」を全国に先駆けて実施したほか、再活性化プログラムに基づき厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを支援する「特別経営資金貸し付け」を創設し運用すると共に、本年度もまちづくりと一体となった商店街のにぎわいを創出するための「総合空き店舗対策事業」等を実施しておりますし、県独自の施策を積極的に展開しているところであります。
 中小企業対策予算についても、前年度比約33%の大幅増を本年度確保したことに加えまして、今般、地場産業の新分野進出支援策など、緊急経済雇用対策を実施しました。
 ご指摘のありました商店街等の実態調査につきましては、調査対象が多数にのぼるため外部委託しているわけでありますが、県職員もできる限り調査に赴くことといたします。
 また、調査方法や調査項目を定めるにあたっては、市町等とも協議いたしておりまして、実効ある調査となるものと考えておりますのでご理解を願います。 このページの上へ

大型店の身勝手な出店規制を

■質問■宮田議員:  第二に、大型店の出店問題についてです。
 商店街・市場がまちづくりに果たす役割は、顧客への個性的なサービスを通じた文化・コミュニティーの形成、高齢者や障害者などの利便の確保など絶大なものがあります。
 近年この商店街・市場が、大型店の進出によって、衰退の一途にあります。
 わたしの地元尼崎市では、大型店が、平成11年から今年末までの予定を含めて、あわせて9店舗、その面積8万2714平方メートル、さらに来年以降には、アメリカ資本のコストコ、フランス資本で世界第二位のカルフールが提携した3万平方メートルの店舗を含めて、4店舗の進出が計画されています。
 これらをあわせると、13万2000平方メートル、既存の尼崎市内の総売場面積が36万3913平方メートルですから、その恐るべきすさまじさを知ることができます。
 この影響は、尼崎市内だけではなく、広く阪神間の諸都市の商店に対して、破壊的作用をもたらします。これら大型店は、仕入れを中央からの直送で行い、雇用効果も極めてすくなく、地域内経済循環への貢献度が低いこと。万引きなど少年犯罪が増えるうえ、大型店同士の競争激化による大型店の身勝手な撤退を生じ、その跡地の荒廃をもたらすこと。その弊害は、枚挙にいとまがありません。
 また、これら大型店は、交通事故や交通渋滞とあわせて、大気汚染の原因ともなり、時代に逆行するものです。
 このような、大型店進出を野放しにすることは、住民のための「まちづくり」にとって、もはや許すことはできません。
 全国的には、東京都杉並区のように、大型店の進出から住環境を守ることを目的に進出予定の大型店に対して、住民の理解を得ることや、住民から求めがあったときには、協定を結ぶ義務を課し、違反があったときは、出店の延期や営業停止を勧告できるなどを内容とする条例を2年前に制定して、成果をあげている動きもあります。
 そこで、大型店の進出を規制する立法を国に求めるとともに、県として住民の要求にもとづいて、大型店の進出に歯止めをかける措置をとることを求めますが、いかがですか。具体的には、尼崎に今回出店予定のコストコ、カルフールという二つの巨大スーパーによって、交通渋滞、大気汚染、周辺の生活環境にどのような影響を及ぼすのか、広域的な観点から県独自に調査し、必要な規制措置をとる必要がありますが、答弁願います。
 特に、大店立地法が、個々の店舗にのみ適用されるため、地域全体の影響については、全く考慮されない問題があり、広域自治体としての県の役割がとりわけ重要であります。知事の英断を求めるものであります。

▼答弁▼藤本副知事:  商店街市場の振興と住環境を守る問題について、平成12年に地域住民等との生活環境保持のための一定の調整を行うことを目的とする大店立地法が制定をされたわけでございます。
 この法律の施行により、大型店の出入り口の安全対策や騒音抑制、駐車場確保等周辺生活環境の配慮に一定の成果が見られているところではございます。ご指摘の東京杉並区の場合におきましては、対象の拡大が中心でありますが、県といたしましては、今の所、新たな立法措置等は考えていないところでございます。
 尼崎に出店予定のスーパー2店につきましても、両者の商業圏や交通量等の予測結果にもとづく周辺生活環境保全のための対策等についての審査、交通渋滞などについては道路管理者や警察とも協議を行うなど、事業者に必要な配慮を求めているところでございます。
 なお、大型店の出店規制につきましては、基本的には商店街市場の振興や住環境対策を含むまちづくりの観点、都市計画法に基づく地区計画制度や特別用途地区の活用等、その取組みについては、地域の実情に応じて、市が行うところとなっているところでございます。
 県といたしましては、市の計画的な地域づくりを支援してまいりたいと考えています。このページの上へ

高校生の就職問題へ全力を

■質問■宮田議員:  第3に、雇用問題、とりわけ、高卒者の就職問題についてお聞きします。
 今月の17日から来春卒業予定の高校生の就職試験がはじまりました。しかし、昨年にも増して、過去最悪の就職難に直面しています。
 近畿2府4県の高校生の求人倍率は7月末で0.61倍。就職したい生徒の2人に1人分強しか就職先がありません。
 近畿高校教職員組合連絡協議会が行なった調査によりますと、どの学校も、大企業・地元からの求人が減少し、また求人の職種は理美容見習い、飲食・外食産業、ガソリンスタンドが3分の2を占めている学校も出ています。
 本県の来年3月の卒業予定の就職希望者は、約7500人でありますが、このままでは、相当数の生徒が就職が決まらないまま卒業することになります。
 こうした就職難は、高校生の勉強する意欲や、働く意欲を減退させ、生活が荒れる原因ともなっています。
 なぜこれほど深刻になったのか、その背景には、大企業のリストラ、人減らしがあります。
 経済界の努力と共に、国や自治体も、日本社会の未来にかかわる問題として本格的対策に乗り出さなければ打開できません。
 知事の提案説明でも、今年度の対策を述べられましたが、全員が就職するために、わたしは県がさらに踏み込んだ対策をする必要があると考えます。
 まず、第一に、昨年につづき、知事として県下の企業に「訴え」を出すことはもちろん、県下の経済界への働きかけを強化することであります。
 各経済団体の会議等で、高卒者採用について、正面から議論し取り組むよう、知事がヒザづめ談判してでも強力に働きかけるべきだと思いますが、いかかでしょうか。
 第二に、卒業時までの就職対策を拡充しつつ、もし就職が決まらないまま卒業する生徒がでた場合の、県独自の新規施策を創設することです。
 国は最近になってようやく、新卒未就職者むけの職業訓練をはじめましたが、不十分なものです。県独自に、民間職業訓練費を無料にする制度や、訓練期間中の手当ての支給できる制度、そして、高知や沖縄などですでに実施されている、未就職者が小規模企業に就職した際、一部賃金を県が助成する制度をぜひ創設することを求めます。
 兵庫県で育った生徒たちが、社会人として胸を張って羽ばたけるよう希望のもてる積極的な答弁を求めるものであります。

▼答弁▼井戸知事:  新規高校卒業生の内、就職を希望する者について、その職場を確保することは、本人の将来はもとより地域社会の安定を確保する意味でも重要な課題であります。
 すでに、県内主要経済団体および企業6000社に対し、新規高校卒業者を対象とした求人枠の拡大要請を行っております。
 また、就職指導教員等を対象としたセミナーの実施や、就職開拓員の配置など、高校の就職指導体制の強化にも努めております。
 しかしながら、景気の低迷や企業の人材ニーズの変化等によりこうした取組みによっても、まだ来年春の高卒者を対象とした求人倍率は、前年を下回る水準にあるなど厳しい状況にあります。
 今般策定した、緊急経済雇用対策の一貫として、県内主要経済団体に対して私からも新規高卒者に活躍の場を与える意義について訴えさせてもらうほか、「高校生就職支援セミナー」、「カウンセリングの新規実施」、「合同就職面接相談会」の早期開催や回数の追加、企業・高校生それぞれに対する働きかけを通じまして、新規高卒者の就職機会の確保に全力をあげることといたしております。
 その上で、仮に就職決定に至らないまま卒業をする高校生が生じた場合には、職場体験など実践的な職業訓練も活用した、きめ細かい就職支援の実施についても検討していく所存であります。このページの上へ

国道43号、阪神高速道路の環境対策の強化を

■質問■宮田議員:  次に、国道43号及び阪神高速道路の環境対策について質問します。
 尼崎の大気汚染訴訟は、尼崎の公害患者とその遺族約500人の原告団による12年におよぶ裁判闘争の末、ついに一昨年の12月8日、大阪高裁において和解が成立。その和解条項の実施について協議するために原告団と国土交通省、公団による「連絡会」を設けるなど、画期的な内容でした。
 ところが、その後、和解条項の実施の段階に入り、第一回の連絡会が行なわれた昨年八月、国側は突然、この連絡会は「何かを決める場ではなく、意見を聞くだけ」と発言し、まさに態度を豹変させ、原告側を無視する状況が今日も続いています。
 また、最大の目玉であった、自動車からの粒子状物質の排出のほとんどを占める大型車の交通規制については、本来環境対策として、道路管理者である国などが方針を決め、行なうべきであるにもかかわらず、国は「交通規制は道路交通法に基づくもので、警察の管轄」であるが、「警察はできないと判断したので大型車規制の話は終わった」などと主張し、和解条項を反故にする態度をとりつづけているのです。また、県も国に追随し、全く同じ姿勢をとっております。
 こうした国や県の態度は断じて容認できないものであり、公害患者の中から、新たな怒りがわき起こっているのも当然であります。
 県下の大気汚染は、今なお深刻な状況にあります。公害患者は現在、国の法律にもとづく認定患者が尼崎・神戸の両市で4265人、その外、自治体独自に実施している救済策を受けている患者や、年齢制限を超えたため、何の救済策も受けられない患者を含めると1万人を超えていると言われます。
 公害患者は毎日毎日呼吸が苦しく、一刻も待ったなしの課題であります。
 その第一は、国道43号と阪神高速神戸線を通行する大型車の台数を減らすことについであります。和解条項にもとづき、大型車の交通量を減らすことを検討するために行なわれた2001年2月の交通量調査で、尼崎市における国道43号と阪神高速道神戸線の平日の1日交通量は、15万3528台、内大型車は3万8557台で、大型車が実に25%を占めています。
 気管支ぜん息や発ガン性、花粉アレルギー症など、健康への影響が指摘されている、大型ディーゼル車の削減に直ちに本腰を入れた取り組みが必要であることは言うまでもありません。
 そこでまず、知事が地元自治体としての責任と役割を発揮し、大型車削減計画(案)をつくり、国・公団に強力に働きかけ、警察とも協議すべきだと思いますが、どうでしょうか。
 また、緊急対策として、国道43号などの大型車を迂回させる目的で試行的に実施されている環境ロードプライシングは、10ヶ月の実績を見ても、通行料2割引きという現行ではきわめて効果は薄いことが明らかであり、湾岸線の料金をゼロ、ないしは大幅引き下げによって、実効ある対策に転換すべきと思いますが、あわせて答弁願います。
 さらに、当面の単体対策として、ディーゼル車に粒子状物質の除去装置の装着を義務づける対策が急務であります。県は除去装置を装着した民間の運送業者等にその費用の一部を補助していますが、平成13年度の実績は31台、14年度は36台の予定です。
 東京都など首都圏では、来年10月から除去装置の装着義務付けと環境基準を満たさない車の都内の通行禁止の対策が実施されます。大気汚染対策で本当に効果をあげるためには、首都圏などのように、条例にもとづく強力な対策が不可欠です。
 ただちに近畿圏でも再度他府県によびかけ、兵庫県が先頭に立って、除去装置の装着義務づけなどの実施に、踏み切るべきだと思いますが、明確に答弁願います。

▼答弁▼藤本副知事:  国道43号線等の環境対策につきましては、国の責任で対応すべき課題であります。
 したがって、国が事務局となっている国道43号阪神高速神戸線環境対策連絡会議のもと地元自治体として、県および県警も参画し、関係機関と連係して取組んでいるところでございます。
 大型車対策としては、交通分散をはかる道路ネットワークの整備をすすめるほか、湾岸線への迂回要請、夜間の大型車等の車両通行帯規制、交通公害低減システムの整備運用、共同溝排そうの社会実験等、種々の取組みを行っているところでございます。県といたしましては、大型車削減にかかるとりうる対策として、湾岸線への転換がもっとも有効であると考えております。
 このため、ハーバーハイウエイの活用にもより、神戸線との乗り継ぎ利便性の向上、環境ロードプラシング、さらには、湾岸8・9期の早期整備に取組んでいる所でございます。
 環境ロードプラシングは、昨年11月の試行開始以降、継続的な広報活動や経路情報板の設置による誘導の強化等を行っているところでございますが、公団におきまして、今年の10月中旬に交通量調査、環境調査等を行い、学識経験者を含めた検討会で評価を行うこととなっております。
 県としては、その結果を踏まえて、さらなる対策を講ずるよう関係機関と協議をしてまいりたい。

▼答弁▼斉藤副知事:  昨年6月に自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法が改正され、規制対象物質に粒子状物質が追加されるとともに、地域も従来の阪神から播磨地域にも拡大されたところでございます。
 この法律に基づきます車種規制は、本年10月から施行されることとなっておりまして、粒子状物質の主要発生源でありますディーゼル車につきましては、一定年数を経過すると対策地域内で登録できないという厳しいものでございます。今後、粒子状物資の排出の少ない最新規制適合車への代替が急速に進むものと考えているところであります。
 県では、この車種規制等を踏まえまして、新たな自動車排出窒素酸化物および粒子状物質総量削減計画を策定中でございまして、今後とも低公害車の導入促進事業、粒子状物質除去装置の装着に対する補助事業、最新規制適合車等購入にかかる融資制度など単体対策のいっそうの推進をはかりますとともに、合わせまして、交通需要の調整低減対策、交通利用対策等を総合的に実施し環境改善に取組んでいくことといたしております。
 なお、粒子状物質除去装置の装着の義務付けにつきましては、本県における浮遊粒子状物質が、中期的には低減傾向にあり、東京都を中心にした関東地域の環境濃度に比べ、低い濃度で推移しておりますことから、法に基づく車種規制等の実施状況を見極めつつ、必要性を判断したい。近畿の各府県に対し、改めて実施可能性の検討を呼び掛けていきたいと考えております。このページの上へ

「高校教育改革」、神戸・第3学区における来年4月の複数志願選抜の実施中止を

■質問■宮田議員:  次に教育問題について質問いたします。その第一は「高校教育改革」についてです。
 県教育委員会は「県立高校教育改革第一次実施計画」に基づき、神戸第3学区において「特色選抜」および「複数志願選抜」を実施するとしています。
 昨年3月に導入を発表してから、地元の中学生や保護者、学校関係者などから不安の声が次々とあがり、この制度についていまだに理解されていない現状が明らかになりました。
 7月9日に神戸市教委が県教委を招いて神戸第3学区の中学校関係者を対象に「説明会」を開催し、参加者から40数項目にわたる質問が出されましたが、県教委は「後日回答する」とまともな答弁ができなかったではありませんか。このようにまともに説明できない理由は、制度そのものに重大な問題点が含まれているからであります。
 その問題点は、まず、第一に、「高校入試への不安を軽減」するとのことですが、どの高校に行けるかわからない、どの高校にも行けなくなるかもわからない、志願変更が認められない等、逆に不安をかりたてていることです。
 第二に、「過度の受験競争の緩和」を言いながら、中学卒業生の減少に合わせて毎年学級減を行い、また「特色選抜」として推薦入学の枠を広げることによって一般入学定員の枠が狭められており、「受験競争」は何ら緩和されていません。
 第三に、今回の複数志願制は、第一志望校に限り試験の点数に50点を加算して合否判定が行なわれるため、「学びたい学校」選びよりもこれまで以上に「行ける学校」選びになってしまいます。
 「多様な教育」「特色ある教育」ばかりを追求する今の県教委が進める「高校改革」は、学校教育の基本である「基礎学力の向上」を軽視し、入試の段階で受験生を混乱に陥れ、不本意入学を多数生み出していることは、高校生の中途退学者が年々増加していることからも明らかです。
 単独選抜制が抱えている問題の解決どころかより混乱を招き、いまだに県民の「不安・疑問」に答えられない今回の複数志願選抜については中止し、真に受験競争の緩和に役立つ総合選抜制への移行を検討することを求めますがいかがでしょうか。

▼答弁▼武田教育長:  複数志願選抜は、過度の受験競走の緩和と学校間の序列の是正をはかりますため、生徒が各学校の特色を十分理解した上で、学びたい学校2校まで志願できるという点で「単独選抜の長所」、また、本人が希望すれば総合得点によっては、いずれかの公立高等学校に合格できるという点で「総合選抜の長所」をそれぞれ取り入れて入るものでございます。
 神戸第3学区は、総合学科や単位制高校、環境防災科の設置など、学区全体として特色ある学区づくりが進んでおり、特色選抜も含めた新しい選抜制度を実施する環境が整っているところでございます。
 昨年以来、新たな選抜制度を具体化していく各段階に応じまして、必要なリーフレットやビデオを作成し、きめ細かな広報に努めますとともに、中学校長や進路担当者に対する説明会を開催いたしましたほか、各中学校におきましても全体保護者会等で説明がなされ、制度の趣旨や内容の周知がはかられたと考えている。神戸市からは新しい選抜制度の理解が得られていると聞いているところであります。
 なお、現在9月1日の進学希望調査について取りまとめがすすめられているところでありますが、一部に懸念されておりました特定の学校への偏った志望は神戸第3学区では見られないと聞いており、県教育委員会といたしましては、新しい選抜制度の主旨によって着実に実施してまいりたいと考えている。
 なお、質問で7月9日に実施いたしました40数項目の質問に「後日回答すると、まともに答弁ができなかった」というご指摘がございましたけれども、この点につきましては当日事前に通告を受けておりました39項目当日新たに受けました5項目の合計44項目について、全質問について回答する予定ですすめておりましたが、約半数程度回答した時点で、司会進行しておりました神戸市教委の方から「予定の時間になったため用意していただいている残りの質問の回答については、神戸市教育委員会を通じて質問があった当該中学校へ回答する」ということで、その後神戸市教育委員会を通じて回答されたものでございまして、「まともに答弁できなかった」ものではございません。このページの上へ

学校校舎の早急な改築・改修を

■質問■宮田議員:  教育問題の2番目は、子どもたちの教育環境の改善のために、老朽校舎の早急な改築・改修についてお尋ねします。
 私は先日、地元にある県立尼崎高校へ行って参りました。創立80周年を来年迎える歴史のある学校です。敷地が狭い上に校舎自体も古くなり、以前から改築を願う声が挙がっておりました。3つの棟が連なっている校舎のうち、築後37年を経過している真ん中の校舎は、震災の影響もあって、東側が沈下し、素人目に見ても傾いているのが確認できる状態です。どう見ても「快適な教育環境」とはほど遠い現状で、一刻も早く建て替え、もしくは大規模改修が必要な状態になっています。
 このような老朽校舎は県内に多数残されています。建築後30年以上経っている本県の校舎や体育館は、高等学校で25.5%と、全校舎の4分の1以上がいわゆる「老朽校舎」という現状です。
 わが党はこれまで機会あるごとに「校舎等の改築・整備」を求め、県教委もその必要性を認めて参りました。ところが「老朽校舎」は減るどころか増加する一方です。
 これは、老朽校舎の建て替え・大規模改修の計画がないことやそのための予算があまりにも少ないことを如実に示しております。

▼答弁▼武田教育長:  学校施設は児童生徒が一日の大半を示す学習の場生活の場であり、かつ、非常災害時には避難所としての役割を果たすものでありますことから、施設を安全且つ適切に維持保全していくことは必要であると考えているところであります。
 県立学校校舎、体育館等の改築につきましては、一律に施設の経過年数のみを目安として改築の必要性を判断するものではなく、コンクリート強度および鉄筋の腐食による体力度の調査結果等に基づき、老朽度合いや緊急度を勘案して計画的に改築を進めているところでございます。
 また、改築までに至らない場合であっても、校舎等の整備等については外装の改修、屋上防水、内装の改修、トイレ改修、バリアフリー化などを重点的に整備をすすめ、環境改善に努めているところであります。
 さらに、雨漏り漏水などの緊急を要する工事につきましては、学校と調整を行いながら優先的に整備を行っているところでありまして、今後とも計画的に教育環境の改善に努めていく所存でございます。

■質問■宮田議員:  さらに、耐震性強化のための改修も急務です。県下の高校などの建物の内、6割は耐震基準を満たしていません。しかも、そのうち8割は耐震診断も実施しておらず、必要な改修は事実上これからで、避難場所としての役割も果たせない状況になっています。
 そこで、少なくとも築後30年以上経過した県立高校の校舎の改築を10年間で完了させる位の計画を持ち、実行すること。また、耐震診断は直ちに全校において実施し、計画的に耐震性強化のための改修を具体化し、教育条件整備に全力を挙げることを求めますがいかがでしょうか。

▼答弁▼武田教育長:  本県といたしましても、全国都道府県教育委員長協議会あるいは全国都道府県教育長協議会等を通じまして、この必要性について国へ要望しているところであり、また文部科学省におき、各学校の設置者に対し、耐震診断実施計画の策定を求めるとともにその財政負担についての特別交付税措置を総務省に要求している所であります。
 県としては、国の措置状況をも見極めながら、この計画の策定につとめるとともに、診断の結果、耐震性の確保が必要と認められるものについては、緊急度を考慮しながら計画的に実施してまいる所存でございます。このページの上へ

公共事業の見直し、今後の大規模開発を中止せよ

■質問■宮田議員:  次に公共事業のあり方、とりわけ大規模開発の見直しについてであります。
 本県では、1966年の「県勢振興計画」にはじまり、30数年にわたり、広大な山や土地を買収し、産業団地やニュータウンなどをはりめぐらせ、瀬戸内沿岸は埋め立てられ、企業に提供されてきました。
 ところが、こうした事業が、ことごとく行き詰まって、現在、県が工業団地などに造成して、売れ残っている土地や、買収したまま未利用地として抱えている土地は、実に全部で5200ヘクタール、甲子園球場の1300倍、これは尼崎市を超える面積です。当面売れる見込みはほとんどなく、長く持てば持つほど利子がかさみ、県財政をさらに圧迫する訳であります。

兵庫県が所有している未分譲土地の総面積(2002年9月30日現在)
所有部局 面積(ha) 備考
産業・労働部   229 8団地
土地開発公社 地域整備事業用地(*) 1,341 6地域
事業用地 39  
企業庁 各プロジェクト未分譲地 263  
各プロジェクト未竣工地 440  
播磨科学 第2・3工区 1,188  
情報公園都市 第2〜4工区 182  
県土整備部 住宅供給公社 住宅用地販売中 7  
住宅供給公社 その他 227  
産業用地(姫路港) 3  
住宅供給公社所有 宝塚新都市 1,276  
合計 5,195  
(*)震災復興事業用地134haは除く
一方、こうした大規模開発を中心とした公共事業によってつくられた県の借金は、4兆円を超え、一世帯あたり約200万円にも達しています。
 こうした結果、困難に陥った県財政を乗り切るため、福祉・医療・教育予算をバッサリ削り、県民にそのツケを押し付ける「県行財政構造改革」を進めておりますが、これこそ、逆立ちしたやり方ではないでしょうか。
 いま県民が求めているのは、ムダな開発をやめることであります。
 その一つ、紀淡海峡連絡道路は、淡路島、和歌山を結ぶ11キロメートルの海峡に、また巨大な橋をかける計画ですが、明石海峡よりも海峡幅が2.8倍、水深も20〜40メートルも深いため、建設費は明石海峡大橋の数倍もかかり、大変な事態になることは目にみえています。
 本州四国連絡橋公団は、同時に3本の橋をかけたため、3兆8000億円もの借金をかかえ、利息だけでも年1250億円も支払っております。しかし、通行料収入は、利息の6割程度、870億円しかなく、今後さらに借金が増えることは確実で、経営はもう破綻しております。
 この本四公団にたいして、兵庫県は、現在まで556億円、今後、決まっているだけで、10年間で520億円、合計で1100億円近い県民の税金が投入されるわけであります。
 これだけあれば、特別養護老人ホームなら50施設も建設でき、現在の待機者問題が一挙に解決できるほどの金額であります。
 一方、県民の生活はどうなったでしょうか。
 淡路では、38団体による組織がつくられ、明石海峡大橋並びに自動車道における通行料の値下げを求める署名運動が取り組まれています。
 この署名では、「あまりにも高額な通行料のため、地域産業の低迷や一般道路での交通事故の多発など、地域社会に深刻な影響を与えている」と悲痛な声が述べられています。
 このように、一挙に3本の巨大橋をかけた失敗のツケが国・地方の財政難をまねき、地域産業や住民生活まで圧迫しています。
 この上、紀淡海峡連絡道路で莫大な借金をかかえれば、その結果どうなるかは、推して知るべしです。
 井戸知事、県は93年から調査費だけでも約10億費やしていますが、このような失敗を繰り返さないために、勇気をもって直ちに紀淡海峡連絡道路の調査を打ち切り、国に対し、建設計画の撤回を申し入れるべきだと考えます。
 また、県がいま、同時に検討をすすめている新神戸駅から、関西国際空港を海底トンネルで結ぶ総事業費5300億円とも言われる大阪湾横断鉄道、さらには、大阪の淀川水系から神戸市須磨区の妙法寺川まで2000億円かけて導水して、その間の県内15の中小河川に放流し、防災用に備えるという阪神疏水構想も、全く必要のないものであります。
 これらの巨大事業で、壮大なムダをうみ出さないために、調査も直ちに中止し、構想そのものを白紙にもどすよう強く要求しますがいかがでしょうか。知事の明確な答弁を求めるものであります。

 井戸知事、安心して子育てができ、みんなが生き生きと働ける、生活や健康を心配せずに老後を暮らせる、こんな安心安全の世の中こそ県民みんなが待ち望んでいる兵庫県ではないでしょうか。
 最後に、重ねて知事に県政運営の転換を求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

▼答弁▼井戸知事:  公共事業は、外部経済効果をもたらすものでありますので、本来料金や民間事業になじまない性格があります。そのために公共事業として実施されているものであり、いまだ未整備の社会的な基盤を地域間、分野間の均衡をはかりつつすすめていく必要があると認識しております。
 この場合に、県民の安全安心の確保を基本に体系的に取組むとともに、事業評価システムを確立し透明性の確保をはかり、効率的・重点的に推進していかねばなりません。
 紀淡連絡道路は、大平洋新国土地区及び大阪湾環状道路の基幹施設として国が主体となって調査を進めております。兵庫県は、関係府県とともに補完調査を行っています。
 今後の調査については、国や他の団体の取組み動向も見ながら、対応方針を決めてまいります。
 なお事業化は今後の厳しい経済情勢を踏まえ、十分な必要性の検証や厳密な事業評価が行われる必要があり、また、国民の理解を得なければならないもと考えております。
 大阪湾横断鉄道構想や阪神疏水構想につきましては、兵庫県の将来にとっておおきな役割を担うものでありますが、現在構想の段階であります。まだ事業の実現性・経済性等検討すべき課題が多くあると認識しております。
 今後とも、県民の意見を十分に踏まえながら幅広い検討を行い取組んでまいる所存でございます。


■質問■宮田議員:  どれもこれも本当に県民に対して冷たい答弁だということをまず指摘をしておきたいと思います。
 まず、大型店の進出規制の問題について一つだけ再質問しますが、先ほどの答弁では、「地域づくりは市の責任だ」、「新たな立法措置は考えない」という答弁でしたが、その答弁では地域は守れないということを、再度申し上げたいと思います。
 大型店が出店しますと、その時点で地元の市場や商店街は大きな打撃を受けて、あるいは潰されたり、さびれていくという被害を受けます。そして今度は、大型店が行き詰まって撤退をする。今回のようにダイエーが6店舗も県下から撤退をするということがありましたけれども、このような状態の時にはまたその地域がさびれると。
 だから、大企業大店舗が進出したり撤退したり、その都度地元は大変な被害を受けるわけです。ですから、最初に出店をするときにきちっと規制をしなければ地域は守れない。今のように県の施策は大スーパーが来る時にはどんどんこれを支援する。しかし撤退した時に今度は緊急雇用対策とか経済対策としてその新たな商店街対策をやる。これではもう大スーパーの後追いばっかりをやっている、後始末をしている。これが今の県がやっている仕事です。これではダメなんですね。
 ですから、本当にこの地域を守るために今の大店立地法を活用するとか条例を作るとか厳しい規制の措置をとって、そして地域を守っていくとこういう姿勢に立たなければ地域は守れないということを、再度申し上げて答弁を求めます。

▼答弁▼藤本副知事:  その大店舗が進出する場合、県といたしましては大規模小売店舗立地審議会において、十分議論をいただきまして、それに基づいて県としての意見を申し上げている訳でございます。
 また、立地の対象外であるこういった施設につきましては、やはり本来市町がまちづくりの観点から取組むべき課題であるというふうに考えております。
 県といたしましてはそれに対して指導なり助言なりをしていくとそういう立場で進めていきたいと思っております。

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