私は、日本共産党県議団を代表して、有事立法問題、医療、介護、中小企業振興、サービス残業問題、学校5日制、武庫川ダム問題などについて質問をいたします。
有事法制への反対表明を
■質問■つづき議員:
福田官房長官の非核三原則見直し、大陸間弾道ミサイル所有可能発言、さらに、防衛庁の国民監視の情報収集活動と、きな臭い動きが一気に政治の表面に現れてきました。まさに有事立法の道を進めばどのようなことになるのか、如実に示しています。
ところが、知事は、先日の伊丹の第3師団創立40周年式典で、第3師団長の有事法制を待ち望む発言に続いて、「最近やっと本来の議論がされる、そういう日本という国になりつつある。」と有事立法上程を歓迎するかの発言をし、さらに記者会見では「地方団体も国の国家統治機構の一員ですから、その国家統治機構のあり方として法制度を整備されて、その範囲内で地方団体に何らかの機能を果たすことを制度化されるという事はありうることだ」と、有事法案を認める主張をされています。
しかし、アメリカ軍支援のためのインド洋に派遣している自衛隊の給油艦を「わが国」と見なし、自衛隊の海外での武力行使を可能にする、しかも先制攻撃を禁止の対象としていません。アメリカが行う戦争に直接参加する国になる、危険極まりない法案であります。憲法を真っ向から否定する法案を歓迎するというのでしょうか。
さらに、有事法案は、「武力攻撃の事態」の際、首相が「内閣を代表して行政各部を指揮監督する」だけでなく、地方自治体などに対して「指示」権を持ち、国の代執行、国の直接執行もできる。新自治法で規定している国と地方との事務区分、国の関与の仕組みも全く無視し、憲法の地方自治の原則を真っ向から否定するものであります。
しかし、地方自治は、日本があの侵略戦争に突入したという戦前の過ちを繰り返さないために、戦後初めて、憲法とともに誕生したのであります。
地方公共団体は内閣や首相の指示にただ従うだけの単なる実施団体になる、国民を強制動員するための組織になる、これを知事は当然だと言うのでしょうか。
隣の韓国からもアジアからも聞こえてくるのは、福田発言への抗議の声、軍事大国化に危惧する声であります。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」するとはっきりと明記したこの憲法の道を進むことこそ、日本の国と国民を守る道、アジアの人々の平和を求める声に応える道であります。
神戸港には、軍需産業が集中し、六甲山には現代戦に不可欠なIDDN通信基地もあります。有事には、神戸は、戦場と直結するのです。この戦争法案は、まさに県民生活に直結した問題であり、知事の姿勢が問われる問題であります。
知事は、昨年8月に就任するや姫路港に核兵器積載可能なアメリカの軍艦の寄港を認め、今度は、有事立法に歓迎の態度をとる、平和を願う県民の心をふみにじる態度であります。
知事、憲法を名実ともに守る立場に立ち、国民と県民を危険な戦争の道に引きずりこむ有事立法に明確に反対することを求めるものであります。知事の明確な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:
有事法制については、国の専管事項である、国防及び外交に関する問題であり、国の安全保障にかかわることでありますから、まず、国が、第一義的に判断すべきであります。国として国会での議論を通じて、国民的理解のもと、有事法制を準備しておく必要があると、国民全体が考えるならば、その必要性はあるということになるものだと認識しております。
今後、国民的コンセンサスのもとに制定された法律に基づき、その範囲内で、国家を構成する地方公共団体として、必要な役割を果たすとことは、ありうると考えておりますが、その具体的な役割については、現段階では明確にされておりません。
県は、県民の生命、財産を守る使命を持つものであり、「有事事態」が県民の安全に関わる問題でありますことから、国の責任において法律に基づき地方団体の機能と役割を規定されるならば、現下の法制度において、それに基づく役割を果たしていくことがあると考えます。
したがって、有事の際における、国と地方公共団体の役割と機能分担について、協議の場をもうけ、地方公共団体の意見を十分に反映しながら、明確にされる必要があります。全国知事会とも連係しつつ、国に要請を行うなど適時適切な対応を行ってまいる所存でございます。
県立西宮病院はじめ、県立病院の機能縮小やめよ
■質問■つづき議員: 次に県立病院問題についてです。
小泉医療改悪で、国民の負担がますます増え、医療機関側は、診療報酬が削られ、サラリーマンの本人負担が3割になる来年には、中小病院は廃業に追いやられ、地域医療がずたずたになるのではないかといわれています。こういうときにこそ、国の医療改悪から、県民を守る立場で取り組むことが自治体に求められます。ところが、この4月から県は、県立病院への地方公営企業法の全部適用を行い、各県立病院では採算性至上主義による変質が急ピッチで進んでいます。
県立加古川病院では、内科循環器の医師が昨年2人から1人に減り、この7月には常勤がゼロになる。小児科医も一昨年減ったまま、365日たった一人の医師で診ている状況であります。
成人病センターでは今年中に診療科目を見直す動きも起きています。
さらに私の地元、県立西宮病院では、救急医療センターからすでに2名の医師が減らされ、7名から5名となり、一般診療に当たっている内科や外科の医師で穴埋め当直をさせるとしています。そして、「当直時の患者依頼に対して、基本的に受けるか否かは医師が決定する」と当直医師によっては、受け入れを断ることもあるとし、これではいずれ、「多発性外傷など重症患者は受けない方向」と、重症救急患者の受け入れからの撤退をせざるをえなくなるとの危惧の声もおきています。
しかし、現在、県立西宮病院は、阪神間だけでも年間500人以上の救急患者を受け入れ、兵庫医科大学病院救命救急センターや関西労災病院と並ぶ重症患者に対応した高度な救急医療活動を担い、西宮・芦屋市内ではこの3病院の救急患者の55パーセントを受け入れています。西宮の救急患者搬送を担当している西宮消防署は、「県立西宮病院は、町の中心にあるし、3次的救急の受け入れとしてこんなにいい立地の病院はない。もし、県立西宮病院に3次的救急を受けてもらえず、他にまわすとなれば、一秒を争う救急患者にとって、命にかかわる問題だ」と語っておられます。
県は、県立病院のあり方基本方針の中で、「県立病院が担うべき医療」として「高度救命救急医療体制」を掲げられていますが、西宮病院では逆の方向が進んでいます。
採算性のために県民の命に関わる3次的救急を放棄する、県民の命よりも採算性を優先する、これが県立病院が進むべき道でしょうか。3次救急が赤字であるならそれこそ、民間でなく、県立病院でこそ、行う意義があるのではありませんか。
県民不在の県立病院の改悪縮小を中止し、県立西宮病院の3次的救急を維持し、県民の命を守る病院として充実させるよう求めますが、知事の誠意ある答弁を求めます。
▼答弁▼後藤病院事業管理者:
県立西宮病院の「救急医療センター」は、昭和45年の開設以来、外傷を種たる対象とした救急医療センターとしての特色を生かしまして、多数の頭部外傷や多発骨折患者を受け入れ、阪神圏域の救命救急センターであります兵庫医科大学病院の機能を補完するとともに、西宮市消防局のドクターカーシステムにも積極的に参加するなど、地域の救急医療の充実に大きく貢献してまいりました。
しかしながら最近、病院長を中心に関係大学に対して、救急医療専門医の継続派遣を強く要請したにもかかわらず、元々専門医が少ないこともございまして、その確保が必ずしも容易ではなくなってきましたので、他診療科の医師を増員し、救急医療センターの当直医にも協力を求めるなど、救急業務に支障が生じないよう努め、引き続き多発性外傷等の重症患者受け入れを確保することといたしました。
また、昨年度、策定された「県立病院のあり方基本方針」は、経済性と公共性を確保しながら、県立病院においてより良質な医療を提供することをめざしており、救急等特殊な医療を担当する医師の確保方策や県立病院の役割分担に着目した診療科目の見直し等についても、広く県民のご意見もうかがいながら検討していくこととしております。
今後、西宮病院の救急医療につきましても、県立病院として果たすべき役割を踏まえ、また他の医療機関との機能分担や地域の医療事情も勘案し、その充実について検討してまいりたいと考えております。
県立病院での、高い薬価の改善を
■質問■つづき議員: 次に、県立病院改革の一つとして、薬剤費問題であります。
医療費に占める薬剤比率は、ドイツやアメリカが10%前後に対し、日本は21%という実態で、その改革が求められてきました。ヨーロッパでは後発品いわゆるジェネリック医薬品を使うことが多いのに比べて、日本では割高になる先発品の使用が多く、これが、薬剤費を高くする一因でしたが、今年度から、厚生労働省は、後発品使用には、診療報酬を加算する措置をとり、ようやく後発品使用拡大に手をつけはじめました。
しかし、県は、この3月に、薬事専門委員会を開きながら、私たちが、資料請求するまで、調査すら行っていませんでした。ようやく先日、実態調査を行い、昨年度県立10病院で、後発品の使用状態は、全体の薬の内、金額ベースで1.4%であったことを明らかにしました。
県は、後発品は、「薬の構造が同じでも、先発品と同等の効き目があるか分からない」などと言いますが、まったくの認識不足です。すでに後発品の品質については、1995年時点で厳格な再評価に切り替えられ、厚生労働省が品質の担保を行っています。
私ども日本共産党県議団は、県立10病院で使われている薬の内、内服薬、外用薬について、代替後発品があるものを後発品に切り替えれば、薬剤費をどれだけ節減できるか独自に調査をしました。その結果、昨年度分で1769品目中、409品目が後発品に切り替え可能であり、年間、約11億2700万円の医療費の節減が可能となることが明らかになりました。注射薬、検査薬も含めれば、相当な医療費節減となり、医療保険会計の改善、何よりも県民負担の軽減に大きく貢献することになります。
先発品から後発品への転換の本格的検討を行い、後発品の使用拡大を進め、県民と医療保険会計の負担の軽減に取り組むべきであります。知事の明確な答弁を求めます。
▼答弁▼後藤病院事業管理者:
本年4月からの診療報酬の改訂に伴い、3月末に厚生労働省から保険診療に用いられる先発、後発医薬品の一覧表が示されました。
これを参考にした県立病院における後発医療品、医薬品の使用状況は、平成13年度実績で品目比率では4.5%、金額比率では1.5%となっており、国立病院などにおける比率がそれぞれ0.68%、0.64%であることに比較して、かなり高い状況にございます。
これら後発医薬品については、臨床試験が行われておらず、経口固形剤の溶質性等、その品質に不十分なものがあるという指摘があり、また、医療情報の提供、安定供給の確保などに不安もございます。さらに患者自身が、後発医薬品を2級品と考えることにより、それを処方した病院に対する信頼が損なわれる恐れがあるなどの課題がありますし、高度先進医療を担う県立病院では、後発医薬品の使用割合が、どうしても低く留まるといった傾向も見られます。
しかしながら、後発医療品は、先発医療品と比べ薬価が低廉であるため、医療費抑制・患者負担の軽減につながること、また、厚生労働省において来年度中を目途に医薬品の溶質試験規格を順次策定し、品質再評価を実施することとしておりますことから、病院局におきまして、薬剤師に加え医師も含めた「後発薬品研究会」を設置し、その扱いについて検討をすすめていくこととしているところでございます。
引き続き県民の信頼に応え、良質な医療を提供するとともに、安心してかかれる県立病院の実現に向け努力してまいる所存でございます。
特別養護老人ホームの必要な数の増設を
■質問■つづき議員: 次に介護の問題についてであります。
その第一は、施設介護、特別養護老人ホームについてであります。
県が、すでに今年1月に把握しながら、私たちの求めに応じてようやく発表した特別養護老人ホーム入所待機者数調査結果は、特養待機者問題が極めて深刻な事態になっていることを示しています。
調査結果では、入所待機者の実数は、県全体では、1万2804人、県所管分で、8593人に上っています。一方、これから2004年までに増やされる特養は、県所管分で見ても1583人分しかありません。このままでは、今年1月の調査時点で1年以内に入所したいと在宅で待ち望んでいる人、3368人に限っても、3年経ってもその半数も入れないという状況であります。
しかも、高齢者人口そのものが、県所管区域だけでも3年後には5万5000人以上増加すると県自ら予測しており、特別養護老人ホームが全く足らないことは明らかであります。
ところが、県は、必要数を建設しようとせず、介護度などをもとに入所優先順位を決める、事実上の入所制限をしようとしています。
これが、介護保険導入時、国や県が約束した「介護保険になれば必要なサービスを自由に選べる」という中身ですか。県は、介護保険事業支援計画で「選択の自由の尊重」、「自らの意思でサービスを選択し、いつでも、どこでも利用できる」とうたっていたではありませんか。
昨年の調査で、すでに、特別養護老人ホームが決定的に不足していることが、明らかになっていたのです。
特養希望率を低く見積もった県の計画を改めるべきです。自らの間違いを改めずに、基準を設けて入所希望者をふるい落とそうというのは、県民にますますの犠牲を強いるもので、絶対に許されません。
国の入所希望者ふるいわけの方針に追随せず、実態に見合った特別養護老人ホームの建設計画に見直すとともに、いまただちに手を打たなければならない3368床の建設に直ちに進むことを求めるものであります。
知事の明確な答弁を求めます。
▼答弁▼斉藤副知事:
特別養護老人ホームにつきましては、市町の高齢者ニーズを踏まえ策定しました「県介護保険事業支援計画」に基づき、計画的な整備をすすめているところでありますが、介護保険制度導入後の予想以上の入所希望者に対応するため、市町と協力をしながらショートステイ床の特養への転換など、前倒しによる施設整備に取組んできたところであります。 現在の待機者数の中には、予約的申込者が含まれていること。要支援・要介護度の低い人が半数近く含まれていること、他府県への入所申込者のチェックをしていないことなど、入所の必要性のある人を正確に反映したものとはなっていない面もあります。このため現在、市町と連係し、個々の高齢者の状況に応じた適切なサービスを把握するため、さらに詳しい調査を実施しているところであります。
また、介護の必要度や家族等の状況など、入所の必要性・緊急性を評価し、入所調整事務の標準化をはかる「入所コーディネイトマニュアル」を、施設関係者の協力を得て策定するほか、最適な住宅施設サービスの利用・助言が受けられる総合的な相談窓口の整備を市町へ働きかけることとしております。
さらに、今年度、県介護保険事業支援計画を改訂することから、入所が真に必要な人の数を適切に見込み、特養の新しい整備目標量を設定の上、その着実な整備促進をはかってまいりたいと考えております。
高齢者・障害者むけの住宅改造制度の改善を
■質問■つづき議員: 次に在宅介護に関わる問題です。
施設介護だけでなく、在宅介護を行う条件もあまりにも遅れた状態であります。
介護の必要な高齢者が在宅で安心して暮らせるためには、利用料負担の軽減、介護サービスの量・質の拡充、など解決しなければならない問題が山積していますが、ここでは、在宅介護の基盤整備の問題の一つとして住宅改造についてお聞きします。
今、県が、進めている「人生80年、いきいき住宅助成事業」は、県と市の協調事業で、財源は、県、市、基金が、一定の割合で負担する形になっています。当初、寝たきりゼロ作戦として進められた高齢者・障害者向けの特別型住宅改造は、在宅介護の改善が焦眉の課題となっているとき、一層の事業の拡大が求められています。
ところが、昨年の実態を見ますと、例えば、私の地元西宮市に対して県と基金負担分が本来2323万円にもかかわらず、実際の交付は600万円も削っています。さらに芦屋市については、4割も削るなど、県下市町全体では、本来、県と基金が負担すべき額の20%、6700万円も削っています。
需要に見合う財源確保をしないで、市町に負担を押し付けるでは、いつまでたっても、在宅介護の基盤はできません。
県が行った在宅の要援護高齢者の調査で、住宅がバリハフリーでなく困っていると答えた高齢者は36%にのぼり、トイレや浴室の改造の要望が一番多い状態です。しかし、トイレや浴室のバリアフリー化は費用がかさみ、介護保険の20万円枠では困難です。
介護保険制度の住宅改修は、いったん高齢者本人が負担しなければならない償還払い制度になっているため、20万円の一時負担が重く、住宅改造制度全体が利用しにくい原因となっています。
中小業者の仕事おこしにもなる住宅改造助成制度の一層の普及を図るために、市町の実施に見合う必要な財源負担をすること、目標と計画を持つこと、介護保険制度の償還払い方式の改善をはかることなどの改善策を実行することを求めるものであります。知事の誠意ある答弁を求めます。 ▼答弁▼斉藤副知事:
高齢者が住み慣れた家庭で安心して自立した生活を行うためには、高齢者の心身の状況に応じた住宅改造も重要なものの一つであると認識をいたしているところであります。
このため、県では、かねてから「人生80年いきいき住宅助成制度」を実施し、平成12年度からは、県介護保険事業支援計画において、改修の目標値を設定の上、介護保険制度と一体的に運営をしているところであります。
この事業に要する経費につきましては、これまでから厳しい財政状況の中、その確保に努めるとともに、市町にたいしては、住まいの改良相談員等が、住宅改造の必要性や緊急性等を評価の上、計画的・効果的に執行するよう指導しているところであります。
また、この度、申請窓口の一元化、申請様式の共通化、工事見積書様式の共通化など、申請手続きの簡素化をはかったところでありますが、今後とも60才以上の高齢者向けの一般型、あるいは高齢者との同居者向けの増改築型、さらには、住宅金融公庫による高齢者向け返済特例制度等の利用も勧奨し、高齢者の住宅改造を支援してまいりたいと考えております。
なお、介護保険の住宅改修費につきましては、「償還払い方式」とされておりますが、利用者の負担軽減をはかる「受領委任方式」を、現在15市町が採用しており、今後、住宅助成制度・特別型も含め、実施主体である市町にその採用を積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
県下の中小企業の振興を
■質問■つづき議員: 次に県下の中小企業振興についてです。
政府が「景気の底入れ」宣言を行いましたが、実態は、一部の大手の輸出増による生産増加があるだけで、国内総生産の1位、3位を占める個人消費と民間設備投資は、依然として落ち込んだままで、経済界からも「一体どこの国か」との声がきかれます。
特に、兵庫県は、4月の県内有効求人倍率は0.4倍と全国平均を大きく下回り、近畿のなかで最低の状況です。また、震災と不況のダブルパンチで、失業や中小企業の倒産も相次ぐなど、深刻な状況です。
このような状況の打開には、地域にお金が循環する仕組みをどう作るか、従来の枠を超えた地域経済の活性化の緊急対策が求められます。
リフォーム助成で、中小零細建設業者へ支援策を
■質問■つづき議員: 県下には建設業従事者は17万人といわれ、特に中小零細建設業従事者は、不況の影響をまともに受けて仕事が激減し、雇用や地域経済にとってもゆるがせにできない問題となっています。
ところが、こういった県民の生活基盤整備や、伝統的な木造建築技術の継承・発展など住文化の向上、地域経済の発展に寄与している県下の中小零細建設業の疲弊について、県では、正当な関心すら払われていない実態です。
わたくしは、先日、この零細建設業への緊急支援をいち早く実施した、明石市の産業活性化緊急支援事業の取組状況をお伺いしました。この事業は、「市内の施工業者を利用して住宅の修繕、補修などの工事を行う場合にその工事費の10%、限度額10万円を助成することで、多岐にわたる業種に経済効果を与え、市内産業の全体の活性化をはかる」ことを目的にした事業で、2000年度から実施されています。お聞きしますと、これまで住宅の修繕や補修を手控えていた市民が、この助成制度が後押しとなって、次々と住宅の修繕・補修の工事を発注する効果が生まれているとのことでした。2001年度には、総額2110万円の助成をするだけで、その15倍に当たる3億円以上の住宅修繕工事を起こしています。大型公共事業と違い、助成の対象を明石市内の業者に限っていますから、助成額の15倍に及ぶ事業が確実に市内に起き、市内をその金が循環しているのであります。さらに、住宅を直すついでに他の家具を買うとか、クーラーを付け替えるとか、波及効果を生み出し、市の調査でも、一人当たり19万円の物品を購入し、その購入先は90%が市内となっています。
通常大型公共事業の波及効果は、高くないといわれ、多くが地域外へ流出していることと比べて、この事業は極めて有効な不況対策ではないでしょうか。
いま、この明石市の取り組みは、福崎町、加古川市へと広がっています。県としてもぜひ、深刻な中小零細建設業者への支援を担当する部局を設けるとともに、不況対策の緊急事業として、この取り組みを行うことを求めますが、いかがでしょうか。知事の英断を求めます。
▼答弁▼井戸知事:
現下の中小企業振興についてお答えします。
まず中小零細建設業への支援についてであります。県としては、建設業をはじめ県下の中小企業をとりまく厳しい経営環境に配慮し、「中小企業経営革新支援法」に基づき、金融支援を行うほか、経営の安定をはかるため、昨年10月に創設し半年間実施することになっていた「特別経営資金」の取り扱いを、さらに1年間延長するなど必要な措置を講じてきたところであります。
また、中小建設業者の支援を行うため、公共工事の発注にあたっては、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨に基づき、事業の効率的執行、コストの縮減の要請の範囲内で、可能な限り分離・分割発注を行うと共に、技術的に施工可能な工事で、競走性が十分確保できるものについては、極力地元中小建設業者への指名選定をするなどの配慮を行っております。平成14年度の発注目標も工事費で73.5%と前年を上回る目標としているほか、単独事業全体では、前年対比91%とする中で、例えば、県営住宅は97%、県立高校については101%の修繕費を確保するなど、全体としてもほぼ前年なみとしたところであります。
今後とも引き続き、県内中小企業建設業者への配慮を努めてまいります。
なお、ご指摘の民間の個人住宅の一般的な修繕や補修について、一般的な助成を行うことは、現下の私有財産制というもとにおきましては、なかなか難しいと考えておりますが、震災復興や耐震改修など特定の政策目的を持つものについては、今年度から、耐震診断後の住宅につきまして、耐震工事を行う際の資金の利子補給制度を制度化したところでありますので、この制度の周知徹底をはかり、住宅の改善に資するようにしてまいりたいと考えております。
ものづくり支援へ 工業技術センターの充実を
■質問■つづき議員: 次に中小企業の技術力向上の支援についてであります。
先日、地元新聞で、内橋克人氏が、「日本はモノづくりを軽んじるな」と警鐘を発しておられましたが、大企業の海外進出などで産業空洞化は深刻で、日本からものづくりの力がなくなるのではとの危惧の声が広がっています。中小企業の生きる道を確かなものにするためには、高付加価値を付け、競争に勝てる力、技術をもった中小企業や地場産業を育てていく、県の工業技術センターの役割は重要です。
私は、先日、県下の中小企業の経営者組織で、中心的にがんばっておられる方からお話をお聞きする機会を得ました。その方も、「中小企業にやる気を引き出させ、中小企業と一緒になって手取り足取り、製品や技術開発し、教えていく、そういった工業技術センターが必要だが、技術者が100人ぐらいでは話にならない、工業技術センターを行革の対象にするなどはもってのほかだ」と語っておられました。
中小企業に力をつける仕事をおこなう工業技術センターの技術者は、さし詰、蓄えてきた技術の切り売りをするようなものだと言われています。そのためには、受託研究や企業との共同研究だけでなく、自らの技術を補充する、技術を蓄える日ごろからの経常的な研究が欠かせないといわれています。
ところが、現状はどうでしょうか。
県は、今回、工業技術センターの内部組織を再編し、「技術支援機関としての機能充実」「コーディネート機能の強化」「一貫したものづくりの開発研究」などを掲げられながら、今年で4人、10年間では16人の技術職を削減しました。
また、技術者の力を育てる上で重要な経常研究の予算はどうでしょうか。一人当たり年間10万円見込んでいるとの事でしたが、工業技術センターでお聞きすると、実際は、一人ひとりの研究費として保障されるのでなく、施設の光熱費など維持費に消えている実態で、経常研究は、他の受託研究などにぶら下がって何とかやりくりする状態だといわれています。
さらに、工業技術センターがおこなう試験分析業務は、年間3000万円以上の収入になるとともに、分析業務を通じて新たな中小企業とつながりができ、製品開発や新たな技術指導の場を作るきっかけにもなる大切なものですが、これも196項目にわたって廃止しようとしています。また、県の資料を見ると、検定の費用も計上されず、これら分析機器の検定がきちんと行われている形跡がありません。
結局、人減らし先にありき、です。
しかし、深刻な不況の中で、全国で、各地の公設試験場への期待が中小企業の中で広がり、役割の発揮がいまこそ求められています。
工業技術センターの縮小方針を見直し、経常研究を保障する財政的措置や技術者などの人員の大幅増員、試験分析業務の継続など、工業技術センターの充実こそ、行うべきであります。
知事の明確な答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:
工業技術センターは、これまで中核的技術支援機関として、重要な役割を果たしてきました。
民間の研究機関との役割分担をどのようにしていくか、このような見地も含めまして、引き続きその機能を工業技術センターとして適切に果たしていくためには、「県立試験研究機関中期事業計画」に基づき、行政サービス機関としての機能強化を目ざしていく必要があると考えております。
したがいまして、企業ニーズが強く、必要化に重点を置いた研究開発の推進や、県内企業等への技術支援機能の強化、そして研究評価の実施など研究マネージメント機能の強化等を基本方針として、本年4月に再編整備を行ったところであります。
ご指摘の経常研究については、本格的な研究に取り組む前に、基礎的・事前研究的な性格を持つものでありますが、本格的研究につながるよう適正な評価を行い、効率的な研究に努めるとともに、研究に支障がないよう材料費や機器運転に必要な光熱水費等、研究に必要な経費は必要な予算を計上しているところです。
また、体制については、民間からの人材確保をはかりつつ、適正な評価を行った業務量に応じた人員配置に努めております。この4月にも、工業技術センターの所長として民間の活発な活動を行っておられる方にお願いをしたところであります。
さらに、依頼試験についても、民間では提供が不可能なものを継続実施することとし、試験業務に支障をきたさないよう、機器の保守点検を実施しております。
今後ともIT化への対応や既存企業のものづくり技術の蓄積を生かした新たな展開などの技術支援機関として、機能を十分果たせるよう、施設整備やそれに伴う態勢について検討をすすめております。
違法なサービス残業の根絶を
■質問■つづき議員: 次にサービス残業根絶についてです。
私たち日本共産党は、これまで、国会で、サービス残業根絶すれば90万人の雇用拡大と、追及し、昨年ついに、国は、違法なサービス残業根絶の通達を出すに至りました。この通達を受けて、一定の改善が進む一方、逆にさらに巧妙なサービス残業隠しが横行しているとも言われています。
先日も、会社側が残業ゼロ宣言をし、残業申請をやりにくくする、残業をしても書き直させる、三菱電機伊丹工場での巧妙なサービス残業隠しの実態が職場の労働者の告発を受けて、労働基準監督署によって摘発されました。
しかし、これは、民間の職場だけでしょうか。
県教育委員会は、昨年、新学習システム導入にあわせて、非常勤教員を100人以上も配置しました。これら非常勤教員の方は、週30時間勤務とか、週24時間勤務とか、あらかじめ週単位の勤務時間を契約して採用されています。
ところが、実際の勤務時間を見ると、週30時間勤務の契約の方が、実働週45時間勤務とか、週24時間勤務の方が実働週45時間も仕事をしている実態が組合の調査で明らかになりました。ところが、この非常勤教員の方々は、誰一人として残業代を支払われていません。このことについて、県教育委員会は、残業の命令はしていないとされています。
しかし、県教育委員会が昨年3月出した「新学習システムに関わる非常勤職員の勤務などについて」という文書で、非常勤教員の勤務例を示しておりますが、1週間あたり、学習準備は数時間、教材研究や授業準備の時間はほとんど見込んでいない勤務モデルとなっています。
しかし、きちんとした授業をしようと思えば、教材研究、授業の準備、試験採点、宿題指導など、実際の授業以外の時間が、授業時間と同じぐらいいるといわれ、事実、文部科学省は、先日の国会でもあらためて、1時間の授業に1時間程度の準備が必要と認めています。
残業しなければ成り立たない勤務モデルを押し付けながら、残業を命じた覚えはないなどというのでは、悪質企業と同じではありませんか。非常勤教員のサービス残業を無くすとともに、民間の違法なサービス残業を根絶する取り組みを行うべきです。知事の答弁を求めます。
▼答弁▼武田教育長:
サービス残業根絶のうち、非常勤教員の問題について答弁を申し上げます。
「新学習システム」にかかわる非常勤職員につきましては、実施要項におきまして勤務時間の3分の2程度の時数の授業を担当するよう示しているところであります。なお、この3分の2程度の指導時数は、小学校の場合は、1単位時間45分で換算することといたしております。これは、平成12年度の調査研究において、「非常勤職員が授業を行うにあたって他の教員との打ち合わせ等の時間を確保することが必要である」との報告を受け定めたものであり、適正なものであると考えております。県教育委員会といたしましては、今後とも非常勤職員の勤務の実態に応じ、適切な運用に努めてまいる所存でございます。
▼答弁▼斉藤副知事:
民間のサービス残業根絶への取組みについてお答えをいたします。
いわゆる「サービス残業」につきましては、労働基準法に反するものであり、国において同法や昨年新たに策定した「使用就業時刻の適性な把握に関して、使用者が講ずべき措置を明らかにした基準」「所定外労働時間の削減の意義と目標を明らかにした要項」に基づき、的確な指導監督を行っているものと承知をいたしております。
県といたしましても、兵庫労働基準局と連係しつつ、こうした国の基準の周知を含めた普及啓発をはかるため、企業等を対象とした独自の啓発用パンフレットの作成配布をはじめ、兵庫仕事情報広場や県民局に設置をいたしております地域労働相談「しごと情報広場」において、綿密な相談、情報提供に努めているところであります。
今後ともゆとりある勤労者生活の実現や雇用創出のため、所定外労働時間の削減を重点といたしました労働時間の短縮に努めてまいりたいと考えております。
学校五日制 こどもたちの居場所づくりを
■質問■つづき議員: 次に子どもを主人公にした学校5日制への改善についてです。
完全学校5日制が、4月から始まりましたが、すさまじい忙しさやあわただしさから子どもが解放され、真に豊かな生活を送ることになっているのかどうか、今、改めて問われるところです。
日本が進めてきた学校5日制は、大人も子どもも休日やゆとりの保障されたヨーロッパの先進諸国と比べて極めて特殊な学校5日制になっているといわれています。
本来、学校5日制は、大人と子どもの生活のゆとりの拡大、余暇の権利から進められねばならない問題です。
政府が批准した「子どもの権利条約」第31条には、「休息・余暇・遊び・レクリエーション・文化的生活・芸術への参加」への子どもの権利が明記されていますが、子どもにとっての休息や余暇や遊びは、大人とは違って特別な重要な意味があるといわれています。子どもにとって、睡眠や休息、余暇や、遊びは、クリエイトの時間、人間として豊かに成長する時間、子ども固有の権利であるといわれています。
果たして4月より進められてきた完全学校5日制は、この「子どもの権利条約」が生きるものになっているのかどうか、現状の検討をし、改善をはかることが必要ではないでしょうか。
子どもたちが、休日を安全かつ自由に、豊かに暮らす上で、こどもたちが自ら選択しながら、活動を展開できる居場所づくり、地域の環境作りが必要です。
知事は、目玉事業として「まちの子育てひろば事業」を実施するとされていますが、主に子育て話し合い事業で、完全学校5日制で求められる子どもの居場所作りとはなっていません。児童福祉法で位置付けられた、地域のすべての子どもを対象にした公的施設である「児童厚生施設・児童館」や、放課後の子どもの居場所としての「学童保育」の充実、拡充にこそもっと力を入れるべきです。
しかし、児童館の県の建設計画は、年間2館程度で、極めて不十分なものになっています。
また、学童保育は、学童保育連絡協議会の方の中間調査でも、土曜日が閉鎖されている市町が25もあり、開所率が全国平均を大きく下回っています。これらの市町では、完全学校5日制が、子どもの生活を豊かにすることと逆になりかねません。また、障害児の場合は、対策がなければ一層深刻なことになりますが、実際に障害児の受け入れを行っている学童保育は、22市の中で半数以上となっていますが、そのほとんどが、国や県からの財政支援がないままです。結局、完全学校5日制に向けて、本来取り組むべき児童館や学童保育への県独自の新たな財政措置は組まれていない実態です。
学童保育については、すべての施設で土曜日開設が行えるようにするとともに、障害児の受け入れへの県独自の財政支援をただちに実施すべきです。また、児童館そのものを少なくともすべての中学校区に配置するなどの計画を立て、その実現を図るべきであります。知事の誠意ある答弁を求めます。
▼答弁▼井戸知事:
本県では、昨年6月に改訂した「すこやか兵庫こども未来プラン(行動計画編)」において、推進目標に「放課後児童クラブの設置促進」、「児童館、児童センターの整備」を掲げ、拡充・整備をしていくととしております。
いわゆる学童保育、放課後児童クラブについては、国において本年度から補助対象基準が、1クラブあたり10人以上までと緩和されたところでありますが、あわせまして土曜日、日曜日開設補助等も増設されております。
この5月1日現在、前年の193クラスから、221クラスに増加しており、うち土曜・日曜の開設クラブは、149クラブとなったところであります。
さらに、国の補助対象とならない県単独支援事業による開設が、33クラブから40クラブに増加しております。市町においても昼間保護者のいない児童の実情に応じたクラブ開設の取組みが行われているところであり、今後ともその拡充に努めてまいります。
なお、障害児受け入れについては、国の放課後児童健全育成事業で対応することになりますが、障害児の受け入れが促進されるよう、人数要件の撤廃や補助基準額の充実等、引き続き国に協議してまいります。
また、児童館の設置については、既存の小地域単位での児童の健全な遊びや体力の増進などの場の設置状況も勘案しながら、主体となる市町が総合的に判断されるべき課題でありますが、県としてはその要望等を踏まえ、引き続き地域の実状に応じた計画的な対応をやってまいります。
また、県民局長会議でも、こどものたまり場「青少年交流コミュニティプラザ」について「研究・検討していくこと」と決められたところであります。この1年の検討結果をも参考にしながら、検討をすすめてまいる所存でございます。
いずれにしましても、ご指摘のように、「まちの子育て広場」に対応するこどものたまり場の重要性については、十分認識しているつもりでございます。
過大な洪水予測でない、武庫川流域の治水計画を
■質問■つづき議員: 次に武庫川ダム問題についてであります。
県は、先日、基本高水(治水計画の対象とする洪水)のピーク流量検討結果を発表し、今後、武庫川河川整備基本方針と河川整備計画を策定するとし、これまでと同じように基本高水中心の計画作りを進めようとしています。
今回、100年確率の洪水量予測として、最大が毎秒6884立方メートル、最小が毎秒1586立方メートルと発表しましたが、どれが本当の数字なのか、なんとも幅のあるものとなっております。
結局、100年一度の洪水量予測は、科学的に絶対これと確定できるものでないということです。基本高水は、治水計画を検討する資料として扱うべきで、主客を逆転させてはならないことを示しています。
巨大な基本高水から出発するやり方は、流域の現実の各河川と一致しない矛盾を引き起こしていることはこれまでも指摘してきました。ところが、今回の検討書では、相変わらず、上流に降った雨がすべて、武庫川に流れ込む架空の前提に立っています。武庫川ダム計画は、100年に一度の洪水対策としていますが、上流の各河川は、三田市内の武庫川本川も含めてすべて10年に一度の洪水対策しか行っていません。県自身、当分改修の計画はないとしています。本当に100年に一度の洪水がおきれば、三田市内の各河川はあふれ、市内は大洪水。武庫川は三田市内は半盛土堤防のため、洪水は三田市内に滞留し、想定した洪水が武庫川ダムに流れ込まないことになります。ダムは100年確率、河川は10年確率と、ダムだけが巨大洪水を想定する矛盾です。
結局、100年確率の基本高水から治水対策のすべてを決めるやり方は、現実から遊離した治水対策となり、ただちにできる治水対策をおろそかにしています。
その一つが、武庫川下流の対策です。今回、県が発表した現在の武庫川の流下能力のデータでも、武庫川ダムがなくとも、現行計画の30年確率の洪水量に見合う武庫川にすることが可能であることが明らかになりました。現行計画では、30年確率の場合に甲武橋下流では洪水流量は毎秒3000立方メートルとしていますが、川底の高いところを除けば、流下能力の不足する箇所は、阪神電車橋梁と武庫川橋の二箇所のみで、結局、数百メートルにわたって河床の掘り下げをし、阪神電車と武庫川橋の橋梁を架け替えれば、ダムがなくとも3000立方メートルの洪水が起きても安全な河川にできるということであります。
実は、このことは、これまでにも検討する機会がありました。昭和58年水害の際、県は、武庫川の流下能力の調査を行っているのではありませんか。しかもその時、県の100年確率の洪水量予測について当時神戸大学の土木工学の権威が、この洪水量予測は、過大ではないか。再検討が必要と、指摘しているのです。このときも現在も武庫川治水問題は同じコンサルタントが担当しており、報告書がなくなったなどと言うごまかしは通りません。
これまで県が進めてきた武庫川ダム計画の根拠は崩れました。住民とともに治水計画を協議するというのであれば、まず、武庫川ダム計画は全面的に白紙撤回すべきです。
下流の対策については、武庫川南部の住民にとって、水量が増えたときに武庫川の堤防が決壊しないかが大きな不安です。先の大震災の時、武庫川の堤防は各所で亀裂が発生し、大雨が降れば、堤防決壊による大水害がおきかねない状態でした。武庫川堤防の補強を行えば、安心できる川となります。武庫川の堤防補強を実施するとともに、二つの橋梁の改築、河床掘り下げについては、計画河床に基づく不等流計算を行い、本格的検討をはじめるべきです。
2つ目に、これまで再三問題になったリバーサイド地域の問題です。今回の流下能力チェックでは1000立方メートル程度の流下能力しかないことが示されています。現在の武庫川ダム計画は、10年に一度の大雨でもダムの穴から1000立方メートル以上の流量が流れ、リバーサイドの流下能力を超えます。ダムは役に立たず、集団移転など緊急対策が必要です。
3点目に放置されてきた西宮市街地の水害対策です。たとえば、西宮の新川は、満潮のとき、大雨が降れば溢れるのではないかとの指摘に対して、いまだ具体的な検討結果が示されないままです。満潮時の流下能力、ポンプ場能力についての詳細な検討を直ちに行い、必要な改善をすべきです。これは、総合的検討以前の緊急の問題です。
武庫川の治水計画の検討にあたっては、現実の水害危険箇所をただちに無くし、治水レベルを順次引き上げていく治水計画に切り替えるべきです。
以上、3点の緊急対策の実施を含めた治水計画に切り替えることを提案します。
知事の英断を求めて、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
▼答弁▼藤本副知事:
武庫川の改修事業につきましては、「昭和58年洪水」を安全に流下させることを当面の目標とする計画に基づきまして、下流からの川床の掘削、阪急神戸線の橋梁の改築等を実施し、確実に武庫川の治水安全度の向上をはかっているところでございます。
さらに、堤防の安全性についても、必要な調査をすすめることとしております。武庫川の長期的な治水計画につきましては、治水安全度や基本的な降水量の設定、ダムなどを含めた数々の対策などを組み合わせた、総合的な治水対策のありかたについて検討をすすめているところでございます。今後「武庫川委員会」(仮称でございますが)、これを設立いたしまして地域の意見を聞きながら、河川整備基本方針の策定をすすめてまいります。 リバーサイド地区につきましては、地元の意見を踏まえ暫定的な対策を実施しているところでございますが、今後はさらに改修をすすめていく。地元にはさまざまな意見があることは十分承知をしておりまして、それらを聞きながら、西宮市とも連係し改修計画をまとめてまいりたいと考えております。
西宮市の南部地域の治水対策につきましては、総合的な取組みが必要であることから、県・市の関係部局からなる検討会を設立し、検討開始をしておりまして、新川ポンプ場につきましては、施設の総合診断を実施し、その結果、対策等を実施しているところであります。
有事法制へのはっきりとした意志表示を
■再質問■つづき議員: 知事の答弁を始めとして、どれもまともに答えていない、ほんとうにひどい内容になっております。いくつか再質問させていただきます。
有事立法の問題ですけども、「国の専管事項」と言い逃れをしていますが、(これまで)自衛隊の展開だとか、有事立法を歓迎するような態度をとってきている。ここの知事の態度が今問われているわけです。知事として、この有事法案について、「賛成」なのか「反対」なのか、はっきりとした態度を示していくことが必要です。
しかも、われわれ、日本の国民の大きな経験として、「平和の問題と地方自治というのは、車の両輪だ」ということで、戦後の憲法がつくられたんです。そういう意味から地方自治を担う知事として、平和の問題について明確に主張すると、態度を示すということが問われている。その点もう一度、はっきりと要求したいと思います。
特養ホームの増設計画、住宅改造の充実、武庫川の危険箇所の改良を
■再質問■つづき議員: もう1点は、やはり国民、県民のくらしの問題で、さきほど中小企業の業者の問題について答弁がされました。「特定の政策目標についてならやっている」と。それもまさしく住宅改造と一緒で、特定の政策目標にかかわるこの問題に、もっと力を入れることが大事だと思う。特別養護老人ホームの問題でも、住宅改造の問題でもどっちもちゃんとやるという姿勢がない。施設介護も在宅介護もお金をちゃんと出さないと。施設介護は絞る一方。在宅介護は金ださないと。こういうことで、どうやってこれから県民と高齢者が過ごしていけるんですか。
施設介護の問題でいいますと、「特養(の入所者)を絞っていく」というのは、いわば公約違反です。仮に絞って、今すぐ緊急の人だけ入所するとしても、県自身の予測でも、高齢者はこれからどんどん増えるが、介護の必要な人は増えるという考え方を持っていない。だから待たしている間に、入所希望する方はどんどん累積をしてくる。どんどん外で待っているものが増える一方です。
ですから、「足らないものはちゃんとつくる」という立場で、まずはじめるということを求めたいと思います。
それから、在宅介護の住宅改造の問題ですけれど、この点について、市町ががんばって住宅改造やろうと、在宅介護の体制をつくっていこうということに応えているのに、県が本来負担をしなければならない、市町と約束した負担分をまともにやっていない。ここが一番求められている問題なんです。ここの点について、「本年度は市町が実施した分については、県の負担分をちゃんと持つ」という回答をぜひお願いをしたい。
最後、武庫川の問題。武庫川堤防が危ないということは、県当局も言ってきた。この問題について、すぐ補強して改良していくことを最後に求めたいと思います。
有事法制の「反対」を政府に言えない知事
▼答弁▼井戸知事:
まず、有事立法でありますけれども、お答えしたように、有事立法の問題については、地方公共団体の首長である知事の意見を申し上げる立場ではなくて、国会において国民の代表である国が、存分に議論をなさっていただいて、その枠の中で、決められたら、そのわれわれとしての立場なり役割なりを、県民の安全・生命を守るために実行していくという立場である。
いずれにしても、冷戦構造が崩れて、全く日本だけが世界秩序の中で枠外におられるかどうかということを、冷静に判断する必要があるのではないかとこのように思っております。
もう一つ、住宅の一般的な補修改造について、助成をなんでもすればいいというようなご主張に聞こえましたけれども、そうではなくて、特定の目的を実現するために改造するということであるならば、私どもも積極的に対応させていただきたい。そのような検討もすすめております。また現にそのような制度もつくりましたということをお答え申し上げたところでございます。
特別養護老人ホームは、どういう定義で作られているかといいますと、「常時介護を要する者を収容する施設」として作られているわけでありまして、その運用を適正に行おうとするのが「なぜ不適当」なのかということが、私には全く理解できないことであります。
▼答弁▼藤本副知事:
武庫川の問題につきましては、いろいろな意見があるということは、さきほども答弁した通りでありますが、武庫川の委員会の中で十分に検討させていただきたいと思っております。
▼答弁▼斉藤副知事:
特別養護老人ホームについては、真に入所が必要な者のために目標数を設定して適切に見込んだ上、整備目標を設定したいと考えております。
また、住宅改造事業につきましては、厳しい財政状況の中で、留意をした予算を獲得しておりますので、ご理解を賜わりたい。 |