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本会議の目次へ 第269回本会議議案反対討論 中村まさひろ
2002年3月26日

 私は、日本共産党県会議員団を代表し、ただいま上程中の 平成14年度関係議案について討論を行います。
 知事が提案された来年度予算案は、大幅な税収減の中で「つくる」から「つかう」プログラムを推進する、と言いながら、ほぼ全額を繰り越した2001年度補正を加えると、公共投資は前年比103.4%となるなど、従来の「公共事業優先」の姿勢をいささかも変えるものではありません。しかも、多額の財源不足を震災時を除くと過去最高の起債発行と基金の取り崩しでまかない将来への財政不安を一層押し進めるものとなっています。一方、前年に続く「県行革」は県民の福祉・医療、教育をますます後退させるなど、県民の「安全、安心」からはほど遠い内容と言わざるを得ません。
 こうした中、わが党は、不要不急の公共投資事業を見直し、県民のくらしを守りながら財政健全化へ踏み出すことを柱に、予算組み替え動議を提出しました。
 組み替え予算の規模は一般会計において約513億円の減額となっています。
 歳出においては、下水道事業や急傾斜地対策、河川整備など県民生活に直接影響する緊急性の強い事業を除いて、公共投資予算に平成13年度補正予算を加えた上で10%カットし、さらに国直轄事業などのように本来国が行うべき事業や、同和関連事業予算など614億円の減額としました。その上で捻出された一般財源101億円を30人学級の実現をはじめとして教育予算の外、福祉・医療、産業・雇用など充実するための新規事業および改善事業等に充当いたしました。そして、新たな起債発行額を309億6,200万円減額し、財政健全化に向けての具体的な提案も行ったところであります。 
私はこのような立場から、上程中の議案65件のうち、議案第1号、第3号ないし第5号、第7号、第10号、第13号、第16号ないし第19号 、第21号、第23号、第25号、第29号、第35号、第37号ないし第39号、 第44号ないし第47号、第49号ないし第51号、第56号、第58号ないし第64号、以上、34件に反対し、以下その主な理由をまとめて申し述べます。
 まず最初に、福祉・医療・介護など社会保障についてです。
 その第一は、第37号、第38号議案とも関連する県立病院への公営企業法全部適用についてです。今年2月に策定された「兵庫県立病院のあり方(基本方針)」とそれに基づく「公営企業法の全部適用」について、わが党は、代表質問や予算特別委員会などを通じ、県民の命と健康を守るために県立病院の公的責任を果たすことを求めて参りました。しかし、県当局は、「公共性」よりも「経済性」を優先し県立病院の役割を縮小するものでした。しかも、国の医療改悪に連動して、一般医療の民間等への移譲も視野に入れていることも明らかになり、実に冷たい態度に終始しました。今必要なことは、公営企業法の全部適用を撤回し、県立病院としての本来の役割を発揮するために機能・体制を充実することであります。
 第二に、医療費の公費助成があまりにも不十分なことです。
 老人医療費公費負担助成は今年度に引き続き約3万人分をその対象から外しています。この助成額の減額は、今年10月よりこれまでの定額負担から1割負担と大幅アップとなる上に「償還払い制度」の導入で「もう病院に行けない」と不安にさらされているお年寄りに冷たく追い打ちをかけるものです。また、乳幼児医療費公費負担助成については、対象年齢を6歳未満から就学前に引き上げたことは評価できますが、昨年6月まで無料だった3歳未満児に1割負担を引き続き強いることは認められません。
 そのほか、特別養護老人ホームの待機者がますます増えている中で、施設職員処遇改善費の削減や特養建設のための補助金(44億1,466万円)が増えていないこと、さらに、この不況の中生活困難な人が増えているにもかかわらず生活保護費がほとんど増額されていないことなども問題であります。

 反対の第二は、すべての子どもたちに行き届いた教育を提供するための予算になっていないと言うことです。
 わが党はこれまで、管理主義教育を改めるとともに、すべての子どもたちが安心して教育を受けることが出来るように、教育条件を整備することが教育行政の責務であることを指摘して参りました。
 今議会でも、4月から学校の「完全週5日制」が実施される中で「ゆとり」と「学力の維持・向上」を両立させるために、まず、30人学級に取り組むべきであると繰り返し提案し、予算組み替えの中でも小学校1・2年生と中学校1年生から30人学級実現のために、教員1,600人増員の提案を行ったところです。少人数学級の実施は、全国的にも12県が足を踏み出しているときに、井戸知事のかたくなな態度はあまりにも異常としか言いようがありません。しかも一方で教職員定数を229人も削減したり、神戸第3学区に置いて関係者の猛烈な反対を無視して複数志願制を強行し、尼崎での高校統廃合の準備など、本県の教育がますます後退する道を許すわけには参りません。私学助成費の引き続く削減も多くの保護者、関係者の願いに背くものです。

 反対理由の三番目は産業・雇用対策についてです。
 県民の切実な願いでもある不況克服を実現するために必要なのは、県内産業とりわけ中小企業を活性化するための政策です。ところが国は、中小企業法を改悪して中小企業の育成・強化義務を放棄し、産業活性化法などで地域産業を空洞化させるなど、産業破壊とも言うべき施策を進めています。こうした流れの中で、今回提案されている産業集積にかかわる条例および事業も、外国企業などは優遇する一方、支援が必要な既存産業・中小企業は対象外においています。しかも産業集積事業が投資(額)に比べて効果・見通しの極めて薄いムダ遣いになりかねないことは、これまでの企業誘致実績および今後の見通しを見ても明らかです。事実上県内既存中小企業を切り捨てながら、本事業を進めることは認められません。
 その上、中小企業を支援する重要な役割を果たす工業技術センターの職員を減らし、その役割を後退させることは極めて問題であります。
 雇用についてわが党は、企業の一方的なリストラを規制し、違法な「サービス残業」を根絶することが雇用創出につながること、そしてこの事こそ法を守るべき自治体行政の任務であることを機会あるたびに指摘してきましたが、県はそのための有効な対策を十分とることなく、不安定雇用を増大させる「兵庫型ワークシェアリング」の導入を促進しています。これでは、県下の雇用情勢はより悪化するばかりであります。

 反対理由の四番目は、県民の命にかかわる重大な事件への警察の対応の悪さと不祥事の続発についてです。
 昨年の明石花火大会歩道橋事件では、雑踏警備の警察の責任を回避し、11名の犠牲者を出しても、いまだに真相解明と県警本部長の謝罪も行われていません。また、雑踏警備実施要領の抜本的見直しの計画もありません。今回の神戸市西区の大学院生殺害事件でも、暴力団の犯罪から尊い命を守れなかった警察に対し県民の怒りは頂点に達しています。さらに、警察の不祥事も昨年末までの過去5年間で29件も発生しており、公安委員会の役割も機能しているとは言えず、警察法にある「住民の生命、身体と財産の保護」という警察本来の任務が果たせていません。県民の安心と安全を守る上で、警察行政の抜本的な改善が求められていることを指摘しておきます。

 以上述べたように県民の暮らしに係わる課題には極めて冷たい姿勢でありながら、不要不急の公共投資の温存・継続に相変わらず固執していることが反対理由の5番目です。 冒頭述べたように、投資事業は2001年度補正を加えると前年以上の額を確保しています。とりわけ指摘しなければならないのは、マスコミの世論調査で、県民の67%も反対している神戸空港建設へ新年度から本格的な支援を始めることです。来年度の1億1,800万円をはじめとして、県民の税金が75億円も支出する事を一方的に決めたことは県民に対する背信行為でもあります。その他、関西国際空港株式会社、本州四国連絡橋公団、阪神高速道路公団、そして紀淡海峡にまだ橋を架けようとするなど、不要不急の巨大工事を支援するための出資や貸し付け、調査費等々はまさに必要のない無駄遣いです。
 さらに「税金は使っておりません」と見得を切って巨大開発に走ってきた地域整備事業については、「この社会情勢のもと、造成地の分譲が進まず、厳しい会計見通しであることは認識している」と言いながら、事業の見直しもせず、次々と公共事業を組み込んで、事実上県民の税金投入で赤字を埋め合わせることはやめるべきであります。
 一方、県民がもっとも望んでいる県営住宅については600戸の「建てかえ」だけで、「新規建設」はいっさい行わない、住宅の改築・改善も計画はあって無いがごとし、いつまでかかるのか見通しも立たないなど、まことに貧弱な予算であり、反対いたします。

 次に、今定例会には数多くの条例が提案されていますが、その中で反対する主なものについて意見を述べます。
(25号議案)すなわち「職員の特殊勤務手当に関する条例および職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例制定の件」は、衛生研究所と公害研究所の統合、さらに但馬水産事務所と県立水産試験場を統合して農林水産技術総合センターに名称を変更し、職員をへらすなど「行革」の観点で本来の役割を後退させることは認められません。公共性や信頼性を確保し、十分な研究水準を持つ組織として拡充するべきであります。

(第35号議案)「兵庫県立笠形山自然公園センターの設置および管理に関する条例の一部を改正する条例制定の件」は、今年4月から供用開始となる当センターの管理について、県立でありながら委託料や運営費の補助もしないまま八千代町に全面的に管理運営を委託しようとするものであり反対であります。

(第44号議案)「都市計画法施行条例制定の件」および(第45号議案)「兵庫県開発審査会条例の一部を改正する条例制定の件」については、過疎対策や住民の要望に応える一定の前進面はありますが、一方で、高速道路出入り口などでミニ開発が行われるなど乱開発を許す可能性があるため、その部分で賛成できません。

(第46号議案)「兵庫県本人確認情報保護審査会条例制定の件」および(第47号議案)「国の機関等に対する本人確認情報の提供に係る手数料に関する条例制定の件」です。
 憲法第13条では、自己の情報をコントロールする権利が保障されています。しかし、包括的個人情報保護法も個人情報オンブズマン制度もない日本の現状のもとで、氏名・住所・生年月日・性別などの個人情報と住民票コードを全国ネットで結ぶこのシステムは、今でも後を絶たない個人情報漏洩事件がさらに広がり、大量の個人情報が流出する危険性が飛躍的に高まることは間違いありません。全国民に共通背番号がつけられることへの国民的合意がはかられていないことも大きな問題です。その上、この制度が地方自治体を主体とする分権型システムではなく、政府・総務省主導の中央集権型・情報一元化を意図したものであると言うことについて審議そのものがあまりにも不十分であります。しかも、本県では「個人情報の保護に関する条例」の中で「オンライン結合による提供の制限」をする条項を持っていますが、これらの条例はこの法によって廃棄されるのではありませんか?
 地方自治体としてこれまで築いてきた個人情報保護措置が水泡に帰することにもなり、この事を推進する審議会を設置することと合わせて反対いたします。

(第49号議案)「阪神・淡路大震災 人と防災未来センターの設置および管理に関する条例制定の件」ですが、わが党議員団は当センターについてその必要性は認めつつ、「時期尚早」との態度をとって来ましたが、現実に建設が進みオープンする今、管理条例制定そのものには反対しませんが、大震災の教訓を幅広く国民に知っていただくためというその趣旨からして、観覧料金が高すぎると判断いたしました。「無料」またはごく低料金に設定すべきであります。

(第58号議案)「環境事業団に対する出えんの件」は、中小企業のPCB処理に対する負担軽減のための助成は必要なことでありますが、PCB処理のノウハウを持たない環境事業団に処理を任せることは問題です。

(第59号議案)「財団法人公園緑地管理財団に対する出えんの件」についです。国営明石海峡公園の完成に伴い5,000万円を出えんしようとするものであります。この財団法人は、国営公園の所在する道府県が出えんして財団法人を設立、管理・運営を委託すると言うことですが、本来国営公園は国の責任で管理するものであり、自然公園法にも基づかない、明確な根拠もない財団に出えんすることに反対であります。

 以上、主な議案について述べましたが、その他の件についてはこれまで、再三にわたりその理由を述べて参りましたので省略させていただき、議員各位のご賛同を期待いたしまして私の討論を終わります。
 ご静聴ありがとうございました。

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