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本会議の目次へ 第269回本会議一般質問 井村ひろ子
2002年3月1日

私はハンセン病問題など人権とくらし、安全な地域社会のための施策の充実を願って質問いたします。

ハンセン病の患者・元患者の切実な願いに応えて

■質問■井村議員:  最初に、ハンセン病問題についてです。熊本地裁のハンセン病国家賠償訴訟で、昨年5月11日原告全面勝訴の判決を、政府が控訴断念したことは、原告の皆さんの命がけの闘いと、国民世論の大きな勝利であり、日本中が大きな感動につつまれました。私も原告団の喜びの涙に胸を熱くした一人でした。
先日、岡山県の「ハンセン病療養所長島愛生園」で、兵庫県出身の入所者にお会いし、その壮絶な体験と社会復帰への希望をおききしました。一見穏やかなこの地で、なぜこんなにもひどい人権侵害が続いたのか、その事実の重さにしばらく言葉を失いました。訴訟原告の方や、療養所退所者・関西連絡会の兵庫の皆さんなどと直接お話をし、改めて国への怒りと、患者と元患者さんのこれからの闘いの重要性を認識しました。兵庫県出身の患者と元患者さんの人間回復を願って質問します。
政府のハンセン病政策は、普通の人が普通の衛生状態で生活すれば感染する恐れのないハンセン病を、恐ろしい伝染病であるとあやまった宣伝をして、患者全員を、療養所という名の収容所に終生隔離する法律を成立させ、すすめてきたのです。
強制隔離収容は、戦前は警察が、戦後は自治体が担い、患者と国民両方に恐怖心と不安を植え付ける「患者狩り」でした。県から患者を一掃するために山間僻地に至るまで探しだして収容するという「無らい県運動」を全国で展開し、1996年の「らい予防法廃止」まで90年にわたる苦難の生活が続きました。患者に強制労働、断種・堕胎など、死に絶えるのを待つという残酷そのものでした。すでに全国で2万2700柱の遺骨が眠り、現在も13の国立療養所で4400人が生活しておられます。
昨年の判決後、患者と元患者の名誉回復、社会保障支援の基本合意書が交わされ、和解一時金や退所者給与金制度など、今やっと社会復帰への暮らしが始まろうとしています。
 国の施策とはいえ、これに加担をし、実行してきた県の責任は重大です。特に兵庫県の「無らい県運動」は、全国でも突出し、長島愛生園の入所者の出身県のなかでも、多くを占める県のひとつです。昨年の和解後、長島愛生園には、鳥取や大阪の知事が直接謝罪に来られたとのことです。兵庫県は部局長や係長などが知事の謝罪メッセ−ジを届けたにすぎません。井戸知事、自らが直接訪問しその責任を認めて謝罪することが、問題解決の前提となります。
 また、本県でのハンセン病施策、とくに「無らい県運動」の実態と歴史を検証することは、国と県に責任のある差別と偏見を取り除く上で、第一歩となるものです。大阪府ではすでに直接担当した元職員や、患者と元患者さんへの聞き取りを終了し、近く「検証報告書」が発表されるとのことです。ところが、兵庫県では具体的にすすめる体制になっておりません。
 知事自ら、直接ハンセン病患者にお会いして、謝罪すること。そして、本県の「無らい県運動」の実態を検証する担当部局を設置し、強力に推進することを求めます。明快な答弁を期待します。
この問題の二点目は、入所者の社会復帰と退所者に対する社会生活の保障についてです。現在、県出身の入所者は7園に138名がおられ、「里帰り事業」や「訪問活動事業」を行い、毎年1〜2園を訪問しているとのことですが、入所者の声を聞いて、社会復帰実現への抜本的な施策の展開が必要です。
神戸出身で長島愛生園に64年間入所されている阿部さんは、次のように話されました。「私たちの望みは一般社会との交流です。「里帰り事業」は団体行動なので視力障害者や、重い後遺症の人は参加できない。一人一人の希望にあわせ、不自由な人も参加できるよう、乗用車やボランテアの付添がほしい。」と。また「わたしは病が治って、これまで実家に帰ったのは2回でした。いずれもが家族に迷惑がかかることを実感するもので、周囲の偏見があり、愛生園に戻るしかなかった。家の敷居を再びまたぎたいという思いはありません。ただふるさと故郷のやまかわ山河がなつかしく思われるのです。十代の時に発病し、学歴も職歴もない、家族との復縁ができないことが最も残酷」と言われました。
 また、療養所退所者の神戸在住のAさんは、再発のために長年にわたり足のシビれがあったが、2度と療養所には帰りたくないという不安と恐怖から、病名を医師に打ち明けられず、ずっと適切な治療が受けられなかった。昨年の判決が出て、やっと専門医のいる大学病院に通うようになった。」と言われました。
 ハンセン病患者・元患者の苦難の大きさを思うとき、県の施策が引き起こした人権侵害と差別偏見の責任は、甚大です。
患者・元患者の生活保障の願いをかなえるために、当面、つぎの具体的支援を求めます。 
 一つは、香川県でも実施を決めている、医療費自己負担分の補助と、県立病院で安心してハンセン病の治療が受けられるように医師の研修を行い、専門医を配置すること。
 二つは、県営住宅への入居を希望する場合、即時入居と家賃の減免をすること。合わせて民間賃貸住宅の家賃補助を行なうこと。
 三つは、県の相談窓口を開き、ハンセン病の専門的知識を持ったソ−シャルワ−カ−を配置し、医療や生活、仕事などの様々な相談に対応できる体制をとること。
 以上三つの具体的施策は、入所者の社会復帰にとっても不可欠のものであり、知事の決断があればすぐにでも実施できることばかりです。患者と元患者の顔を真っ直にみて、知事の人間味のある答弁を強く求めます。

▼答弁▼井戸知事:  ハンセン病問題については、国が平成13年5月にハンセン病国家賠償請求訴訟に関し控訴を断念し、患者・元患者の方がたに対し謝罪をしたことを受け、長期にわたり国立療養所への入所等国の機関委任事務として法律の施行を行ってきた県知事の立場からおわびを申し上げました。
 また言葉に尽くせない思いをされてきた患者や元患者あるいは家族の方々に対し、哀悼の誠を捧げたところであります。これを知事談話として発表させていただきました。また、県の幹部職員を兵庫県出身者が入所している全国7ヶ所に派遣し、入所している方々に直接県知事としてのおわびのメッセージを届けさせていただき、お堂に献花し亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたところです。
 改めて、国の機関委任事務として法律の施行にあたってきた知事の立場として、心からおわびを申し上げたいと存じます。

▼答弁▼後藤理事:  「無らい県運動」検証部局の設置について、まずお答えをいたします。
 ハンセン病対策の検証につきましては、ハンセン病問題に法的責任を有する国におきまして「歴史的事実検証会議」が設置され、これまでのハンセン病対策の歴史や実態について他方面から科学的に検証を行い、今後の疾病対策及び再発防止に資することを目的として事実検証を調査を行うこととされておりますので、県といたしましては担当課である疾病対策室を中心にこの調査にできる限りの協力をしたいと考えております。
 次に、具体的支援についてお答えをいたします。ハンセン病患者の医療費自己負担分の補助に関しましては、国のハンセン病問題対策協議会において、国立病院を受診した際の自己負担分の補助について現在協議されております。県としましてはその動向を注視するとともに、他の医療費補助助成制度との整合性についても考慮しながら研究をしてまいりたいと存じます。
 また、ハンセン病の診断治療につきましては、県立病院にも習熟した医師がおられますが、現在ではこの治療方法が確立し完治が期待できることから、県内の多くの医療機関で診断治療が行われるよう、ハンセン病の正しい理解の促進に努めてまいります。
 県営住宅につきましてはハンセン病療養所入所者等に対する特例措置として、単身入居基準の緩和や県外の療養所に入所されている方でも県営住宅の申し込みができるよう条例の一部改正をこの県議会に上程しているところでございます。募集にあたっての優先枠の活用や家賃の支払いが困難な場合の一般減免制度の活用についても検討してまいりたいと考えておりますが、民間賃貸住宅の家賃補助について、ハンセン病療養所入所者等に特化した制度を設けることは、住宅政策としてはなじまないものと考えております。
 また、療養所退所者の方々などからの相談につきましては、これまでも担当課において個別に対応させていただいておりますが、療養所入所者の方が社会復帰される場合に地域で安心して暮らせるよう県内の健康福祉事務所などにおいても、医療や生活などの相談にきめ細かく応じてまいる所存でございます。このページの上へ

国民健康保険の改善のために、補助増額を

■質問■井村議員:  次に、国民健康保険の改善について質問します。
 戦後56年、日本の医療はこれまで幾度となく危機に見舞われてきました。しかし、現在の医療をめぐる状況はこれまでにない厳しい局面をむかえ、小泉内閣のすすめる「医療改革」はこれに拍車をかけるものであり、絶対に許せません。
国民健康保険全体の職業構成の変化を見ますと、職業を持っていない人の割合が30年前の6.6%から46.7%%に増え、農林水産業は42%から6.8%へと激減。自営業も減少しています。長期不況と大失業、国による農業つぶしの影響によるもので、その結果、保険財政の土台が危機に瀕しています。
こうした深刻な事態をつくった原因は明確です。84年に国保への国庫負担率が大幅に引下げられたことにつづき、80年代後半から自治体へのペナルティ−を強めたこと。95年に保険料算定を改悪したことにより、低所得者と家族の多い世帯ほど保険料率が高くなったことです。
その結果、国保料が払えない、保険証がもらえない人が増えています。
 兵庫県の国保世帯数は、96年から5年間で17%しか増えていないのに、滞納世帯数は実に4万4000、43%も増えています。また、兵庫県の短期保険証の発行数は96年比で6倍にもなり、全国平均を大きく上回り、保険証の未交付数も約6万世帯にまで増え、深刻です。
先日も、生活相談にみえた女性の話をききますと、子どもが学校で保険証が必要になった。保険料を滞納していて保険証がもらえない。そこでサラ金で借金して保険料を支払い、保険証を子どもにもたせました。ところが、毎月のサラ金への返済ができなくなり、多額の借金をかかえて相談にこられたのです。「金の切れ目が命の切れ目」となっています。
また、県下のある小さな町では、国の助成が大幅に削減され、国保料が高くなり、滞納者が増えています。役場から滞納している家庭を訪ねると、払える状況ではなく、保険証をとりあげることはとても出来ないと話しています。
市町の努力にも限界があります。しかも、兵庫県の市町への補助は、全国平均の3分の2、大阪府の6割という低さで、市町を見捨てているも同然です。
 憲法25条は、国民の生存権と国の保障義務を定め、この目的を達成のため、健康保険法で、国と自治体の役割を定めているのです。
知事、高すぎる保険料を引き下げるため、国庫負担率の引き上げを国に要求することを求めます。せめて元の45%に、兵庫県では単年度で130億円の国庫負担が増え、1世帯当り、年額平均1万6000円の保険料引下げが可能です。
 そして、市町が、低所得者減免の拡充や不況対策減免などの措置がとれるよう、県の財政的援助が必要です。知事の誠意ある答弁を求めます。

▼答弁▼清原県民生活部長:  国民健康保険の改善について、現在国においてすすめられている医療制度改革の中において、「給付と負担においては公平がはかられ国民の納得が得られることが重要である」との観点から、医療保険制度のあり方、保険料のあり方、患者負担のあり方、そして公費のあり方について検討がなされており県としたしましても全国知事会を通じて抜本的な改革について要望をしているところでございます。
 また、県は市町保険者に対して、低所得者に対する保険料負担軽減のための国民健康保険基盤安定負担金等の助成や、県単独事業としての事業の健全運営を確保するための国民健康保険事業費補助金による支援等を行っております。
 ご指摘のこの補助金を直近の平成の12年度で見ますと市町に対する被保険者一人当りの支出額は制度実施している38都道府県の平均支出額を上回っており第7位となっております。また、災害や失業などによる減免についてはこの制度の実施主体である市町保険者が主体的に判断するべきものと考えておりますが、低所得者の多い保険者への支援につきましては、今後国において医療保険制度改革の一貫としてその充実等に取組むこととしており、県としてはこれらの制度を積極的に活用し、市町保険者に対する支援を行うこととしております。このページの上へ

被災者の生活再建への支援を

■質問■井村議員:  つぎに、阪神淡路大震災の被災者の生活再建支援についてお聞きします。
人口が2万5000人減ったままの長田区で活動する「震災復興長田の会」が実施した「被災者アンケ−ト」は、被災者の生活の深刻な実態を示しています。
 「復興していると思わない」が59%。震災前に比べ「収入が減った人」が78.6%、「街が震災前に比べ暮らしにくくなった」63.5%、困っていることの第1位は「収入」54%となっています。また、県が、今年1月に発表した「生活復興調査」によると、「全壊全焼」による被害額は年収の2倍以上が一番多いこと、生活していくためのお金のやりくりに苦しむ被災者の生活が続いていること、また被害が大きい人ほど仕事の転職や失業が多くなっているなどを示しています。
被災者に対するこの間の各種の公的融資は17万7000件、総額では1兆4000億円に達し、被災者のかなりの人が利用しています。すでに災害援護資金や生活復興資金融資などの据置き期間が過ぎ、本格的な返済が始まる中で、生命保険を解約したり、新たに、商工ロ−ンやサラ金を借りたりする被災者が増え、実態はいっそう深刻になっています。
 昨年の自己破産の申立は県下で6000件近くに増え過去最高を更新し、全国平均を大きく上回っています。その内7割の4000件が借金を理由にしており、被災地で多くなっています。
ある被災者は、災害公営住宅に入居できましたが、震災が原因でできた借金がもとで、サラ金苦に陥り、夫との離婚、退職に追い込まれ、家賃の支払いにも、ことかく有様。このままではホームレスになりかねません。このように、被災者の生活再建はきわめて困難な状況にあり、公的支援の充実の必要をあらためて痛感するものです。
 98年5月に成立した「被災者生活再建支援法」は、直接支援制度という点で評価できても、年齢や年収などの条件が厳しく、金額も低いため被災者の生活再建に役立つというには程遠いものです。その後、各地の災害被災地への適用は、全壊世帯の7割、半壊世帯を合わせると2割ほどの被災者しか適用されていません。全ての被災者に、生活再建できる金額を支給する法改正が、どうしても必要です。
 知事、2004年の見直しにむけて、未曾有の大災害をうけた兵庫から、震災8年目をむかえても、なお深刻な被災者の実態を発信し、支給金額の引き上げ、所得・年齢・使途などを大幅に緩和して、全ての被災者に支給すること。そして、阪神淡路の被災者に遡及適用することを、国に強く要求することを求めます。
また、借金返済に苦しむ被災者のために、せめて災害援護資金の貸付を、無利子・無保証人の制度とし、返済期間の延長、返済猶予、返済免除の措置をとるため、災害弔慰金法の改正を国に要求することを求めます。知事の誠意ある答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:  被災者生活再建支援法の見直しについては、法成立時に衆議院の付帯決議で、「この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行状況を勘案し総合的な検討を加えその結果に基づいて必要な措置を講ずること」とされております。
 支援法は、これまでに有珠山噴火災害や三宅島噴火災害、鳥取県西部地震災害等、9つの自然災害に適用されています。基本的には国においてこれらの法の適用を受けた都道府県及び市町村でのこの法律の運用についての様々な課題が整理され見直しがすすめられると考えております。県としては、阪神淡路大震災における被災者の生活復興のプロセスや阪神淡路大震災復興基金事業として支給した被災者自立支援金の経験を踏まえて、政府における法の見直し過程において意見を申し述べてまいりたいと考えております。
 また、法改正が行われて場合には、一般的には今後の災害対策に適用されることになると存じますが、既に法適用された被災地への取り扱いの動向を見きわめながら、阪神淡路大震災の被災地の実態等を踏まえて、本県としても必要な検討を行ってまいります。

▼答弁▼清原県民生活部長:  次に災害援護資金貸付金制度の改正について、災害援護資金の償還につきましては、県は借り受け人や市町の要望を受けて国と協議を重ね、月割り償還や少額償還といった弾力的な償還方法の導入や借りられた方の生活相談等を行う償還指導員の設置を実現させるなど、償還が困難な方に対して負担の軽減と自立支援に努めてまいりました。
 この結果、平成13年9月末現在で、貸し付け額の過半数約52%にあたる約679億円が既に償還されたところでございます。ご提案の法改正は、貸し付け条件通りに償還を行った方々とのバランスを欠くこと、また支払い猶予については個々の方の実情に応じて既に実施しておりますことから困難ではないかと考えております。
 県としては、償還が困難な方に対して償還に向けたいっそうきめ細かな生活支援を行うよう市町を指導いたしますとともに、市町や限られた方の実情を踏まえ、国に対して弾力的な法の運用について引き続き要望していきたいと考えております。このページの上へ

災害危険地域の対策、特に兵庫区・清水町を早急に

■質問■井村議員:  次に、土砂災害対策についておたずねいたします。
 県下の、土石流や地滑り、急傾斜地などの危険箇所は7602箇所、そのうち整備に着手し一応完成しているのは、1356箇所で約18%の到達です。
中でも、急傾斜地崩壊危険箇所は、県下で3500箇所のうち、605箇所、17%しか整備出来ていません。確かに、震災前よりも前進していますが。結局、全県でまだ2900の危険箇所が放置されています。
 私の地元・兵庫区でも、急傾斜地崩壊危険箇所44箇所のうち、まだ17箇所しか手がつけられていません。しかも、県当局が「整備は終わった 安全だ」としている所でも、その後、災害で危険な状態になっています。
兵庫区・北部の清水町もその一つです。長年にわたって「崩壊」の危険にさらされ、74年に「急傾斜地崩壊 危険区域」に指定され、翌年に「よう壁」工事が行なわれました。ところが、83年の台風10号により、崖崩れが起こり、被害に遭いました。
 その2年後、崩壊対策事業が実施され、崩壊危険地域70mのうち西側55mは、コンクリートで固定した、フリー・フレーム工法でおこなわれ、崩壊の心配はなくなりました。ところが、残りの東側15mは、高さ3mの防護壁と、高さ1mのフェンスを設置しただけであったため、新湊川大洪水がおこった99年の大雨で斜面が崩れ、樹木や土砂がフェンスを越えて、すぐ下の文化住宅を直撃し、住民は再び恐怖におそわれました。
 住民の再三の要請にも関わらず、県土木事務所は具体的な対策をとらず、現地は大変危険な状況にあり、私も何度か現地を調査して参りました。
 すでに「安全」としながら、危険な状態にある兵庫区清水町の急傾斜地対策を早急におこなうことを求めます。あわせて、県下の土砂災害危険個所の調査と早期解消のための計画をたて、整備をすすめることを求めますがいかがでしょうか。誠意ある答弁を求めます。

▼答弁▼山口県土整備部長:  土砂災害対策についてお答えいたします。
 兵庫区清水地区の急傾斜地対策に関しては、ご質問にある施行済み区間の東側15メーターにつきまして神戸県民局が土地所有者また隣接者の方々と協議を行ってきておりまして、協議が整い次第、則面(?)工事に着手する予定でございます。
 県下における危険箇所の調査につきましては、現地調査による危険箇所カルテを作成し状況を把握しております。
 また豪雨などによる状況に変化が生じた場合には、その都度市町と連係し正確な現状の把握に努めておるところでございます。土砂災害対策は1箇所毎の事業費が多大でございますし、また近隣地元との調整が必要でございます。さらに加えまして最近では環境への影響が求められていることなど、事業をすすめる上での課題も多く、また公共事業費も削減というようなことで苦しい状況ではございますが、各箇所の緊急性も踏まえながらできるだけの整備を行っていってまいりたいと考えております。
 なおハード対策に加えまして、危険箇所の周知や警戒避難体制の強化などのソフト対策によりまして、よりいっそうの土砂災害防止につとめているところでございます。今後とも御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。このページの上へ

明石花火大会歩道橋事件−警察の責任を認め、再発防止のために

■質問■井村議員:  最後に、明石花火大会歩道橋事件の警察の責任と再発防止について質問します。
昨年7月21日の事故から6カ月が経過した本年1月30日、「明石事故調査委員会」が報告書を発表しました。その内容は、事故原因の調査及び判断、技術解析、再発防止策の提言で、精力的な調査と分析がおこなわれ、今後の予防策をするどく指摘しています。原因と責任を究明し、二度とこのような惨事を起こさせないという被害者や遺族の痛切な願いにこたえるために、いま、警察がこの報告書をどう受け止めるかが大きく問われます。
 しかし、警察は真相解明どころか、それを阻む役割をしてきたと言わざるを得ません。
 しかも、調査委員会報告は、「警察は『捜査中』であることを理由に、事実関係を照会しても限られた回答しか帰さず、調査委員会への出席要請にも応じなかった」としています。なぜ、調査委員会に積極的に協力しなかったのですか。「捜査中」であると言うのなら、「明石市」も「警備会社」も同じです。警察だけに特権でもあるとお考えなのでしょうか。全く納得いきません。
 さらに、調査委員会は、「事故の7ヶ月前のカウントダウンイベントでの歩道橋における、混雑・混乱の経験から、事故が容易に予測できたにもかかわらず、歩道橋上に群集を流入させたことは、信じ難いほどの無謀さ」と指摘し、しかも、「事故が起こった場合の責任は最終的には雑踏警備のプロである警察にある」と、警察の最終的責任を明確にしています。
 この調査委員会報告を、警察本部長はどのように受け止められたのですか。そして、再発防止のための自己点検、雑踏警備の改善策をどう考えておられるのか、明確な答弁を求めます。
 今回の事件は、直接のイベント会場内でなく、「公道」である歩道橋で起きています。公道上における警備の責任は警察にあるにもかかわらず、警察は、「雑踏警備実施要領」に規定している「主催者側の自主警備の原則」をくりかえし主張していますが、法的根拠は何もなく、全国でも、このように明文化しているのは、兵庫県だけという異常なものです。警察の責任をあいまいにする、この規定は、きっぱりと削除し、改正することを強く求めます。県警本部長の答弁を求めます。
 また、今回の事件から、緊急対応の教訓を引き出すことも重要です。関係機関との協議が事前に全くされていなかったことが、事故の緊急対応を遅らせたことは、明らかになっています。調査委員会報告のにも、警備計画とともに救急医療計画の策定が提案されています。
 警察は、今回の事件の教訓を生かして、事前に医療・消防など関係機関との連携を主催者と合意し、緊急事故対策を含めた「警備実施計画書」の策定をすることを求めますが、どのように検討されているのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 以上3点について、県警本部長の誠意ある回答を求めて、私の質問を終わります。

▼答弁▼岡田警察本部長:  明石花火大会事故の責任と再発防止についてお答え申し上げたと思います。
 まず、明石市事故調査委員会の報告についてでございますが、短期間にこれだけの報告書をまとめられた事故調査委員会の方々のご努力に敬意を表しているところであります。
 事故原因の究明と責任の所在につきましては、事実を客観的に積み上げて適正に判断してまいりたいと考えております。
 雑踏事故の再発防止につきましては、警察署長会議や地域官、地域課長会議などにおいて的確な警備計画の策定や現場の掌握、指揮の徹底などについて指示してきたところでありますが、雑踏警備に関する研究・教養などが不十分なことも反省点として認められますことから、警察本部地域部における雑踏警備指導体制を強化し、雑踏事故に関する基礎資料の収集、発生メカニズムの解明、雑踏に関する調査研究、さらには雑踏形態に応じた警備基本計画の策定、雑踏警備実施マニュアルの作成等々行って、署長副署長を始め幹部に対する継続的な教養を実施してまいりたいと考えております。
 また、一定の規模以上の行事などにつきましては、所轄署と警察本部との協議、主催者との事前協議における指導等の徹底や合同実査の実施などを内容とする「本部長通達」を近日中に派出し、このような事故は二度と起きないよう雑踏警備に万全を期したいと考えております。
 次に、「雑踏警備実施要領」の見直しについてでありますが、行事等の開催により雑踏を生じさせる主催者が、まずその行事の参加者の安全を確保する手段を講ずるべきことは当然であろうかと思っております。そのことから、各県の規定では、“第1次的には主催者の責任”という表現が用いられることが多いようでありますが、兵庫県では「主催者側の自主警備を原則」という表現を用いております。
 警察も、県民の生命・身体の安全を確保するという警察法上の責務に基づいて、主催者と連係しつつ、犯罪の予防検挙、交通規制、その他事件事故防止上必要な措置を重点として対策を講じていかなければならないと考えております。
 3点目は、関係機関と連係した警備実施計画の策定についてでありますが、従来から必要によって交通機関、救護機関などの関係機関等の協力を要請するものとされておりますが、今後さらに各種行事等の主催者や内容規模に応じた救急医療体制、緊急輸送計画の策定について、関係者間で協議するなどによって、関係機関に必要な対応をお願いしてまいりたいと考えております。このページの上へ

■再質問■井村議員:  2点について再質問させていただきます。
 1点は、まず井戸知事にお尋ねいたします。(ハンセン病問題で)いろいろおわびを申し上げたりメッセージを届けたり、私ども先程いいましたように知っております。しかし(ハンセン病国立)療養所の方々は井戸知事が直接来てほしいということをずっと願ってらっしゃいます。あなたはなぜ国がこんなにも明確に謝罪をしているのに、直接行って謝罪をするということが言えないのですか。もう一度、直接入所者のところへ行って、大阪や鳥取知事のように謝罪をしていただきたい。そのための表明を是非ともしていただきたい。そのことをもう一度ご回答下さい。
 そして、いろいろな施策については、「検討する」というのが到達点だと私はお聞きをしました。特に検証活動について、「国がやれば協力する」という、国は本年度予算でも14年度予算でも予算をつけていますからやるでしょう。兵庫県の積極的な体制をつくるということも合わせて知事に答弁をお願いいたします。
 そして、もう1点、県警本部長にお答えいただきたい。私がお聞きしました雑踏警備実施要領の改正について、検討が始まっているのか始まらないのか、そこのところを明確にお答え下さい。

▼答弁▼井戸知事:  私は国の機関委任事務を法律に基づいて執行する知事の立場として、先ほどもおわびを申し上げました。
 ですから、私としては、国の具体的な方針等を踏まえた機関委任事務としての国の対応が明確になったら、それに対して機関委任事務を処理した知事としての立場を明らかにしたいと存じております。
 県民のために、県民の付託を受けた立場としての知事として、どのような行動を取るべきかは、十分考えてみたいと考えております。

▼答弁▼岡田警察本部長:  先ほど申し上げましたように、表現としては、第1義的に主催者の責任というような言い方、あるいは兵庫県警では、「主催者側の自主警備を原則」という言葉を使っておりますが、基本的な思想は同一であろうと思いますので、その点についての改正は検討いたしておりません。

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