私は、日本共産党県会議員団を代表して県政を取り巻く重要課題について、知事ならびに教育長に質問いたします。
「日の丸」の本会場掲揚への抗議
■質問■毛利議員
質問に先立ち、一言申し上げます。
それは、今議会から本会議場に「日の丸」が掲揚されたことについてです。
「日の丸」は、日本がアジアと世界に重大な惨禍をもたらした侵略戦争のシンボルとして使われた歴史を持つことから、その掲揚については意見が分かれるところです。そのことを反映して、法制化にあたっても「国旗の掲揚等に関し、義務付けを行うことは考えておらず、現行の運用に変更が生ずることにはならない」との国会答弁がなされたほどです。
本議場は、県民の多様な意見を代表し、その議論を交わす場であり、そこに意見の分かれる「日の丸」を一方的に掲揚することは、言論の府にふさわしくないことを改めて厳しく指摘し、質問に入ります。
県民のくらしを守り、向上させる予算に
■質問■毛利議員
私たちを取り巻く暮らしや経済環境は、出口の見えない厳しい状況にあり、住民の命と暮らしを守るため地方自治体の果すべき役割はいよいよ重要になっています。
日本経済は、バブル崩壊から10年、消費不況・デフレの悪循環が止めどなく続き、小泉「構造改革」はゆきづまりを深めています。さらに、本県では「阪神・淡路大震災」という未曾有の打撃をうけた県民は、さらに深く傷つき、その“痛み”は深刻です。
先日、日本銀行神戸支店は、管内金融経済概況を発表しました。それによると「景気は引き続き厳しさを増し、企業マインドも一段と深刻化している」「個人消費は、全体として弱めの動きが目立ってきている」「生産は減少傾向を続けており、雇用・所得環境も一段と悪化している」と分析しています。
私たちは予算編成に当たって、今日の厳しい経済と暮らしをしっかり見て、経済・雇用の確保、福祉・教育の充実、公共事業の生活密着型への転換などを柱とした重要政策提言と512項目に及ぶ部局要求を知事に提出し、その実現を求めてまいりました。
ところが、発表された新年度予算は、残念ながら県民の暮らしの実態にあったものにはなっていません。
将来見通しのない大規模開発に力を注ぎながら、老人医療費助成や私学助成を削減し、県民の健康と命を守る砦として期待されている県立病院を民間に移譲しようとするなど暮らし・福祉の向上は脇に置かれています。
私たちは、県政の行うべき第一の仕事は、県民の暮らしを守り、向上させることにあり、そこにこそ力点をおくべきであると考えています。そうした立場から、以下具体的な問題について提案を含め質問いたします。
県民の命と健康を守る医療
■質問■毛利議員
質問の第一は医療問題についてです。
誰もが健康でいたいと思うのはあたりまえの願いです。そして「病気になったときには安心してお医者さんにかかりたい」。その条件を整えるのが、まさに行政の責任ではないでしょうか。
ところが先日、自民・公明・保守の政府与党は健康保険3割負担の導入や政府管掌健康保険の民営化を含め「抜本改革」について合意しました。「小泉改革」は行政の役割を投げ捨て、国民にさらに「痛み」を押し付けるものです。それは本県の施策にもいえます。
乳幼児医療助成制度を完全無料に
■質問■毛利議員
その一つが、「乳幼児医療費助成制度」です。
「乳幼児医療費」は、今回の予算案でその対象年齢を就学前まで拡大されました。この問題は、わが党が繰り返し取り上げて参りましたし、何より、女性団体や医療団体など多くの県民が10年来の運動を粘り強く続け、その要望が実現したわけで、私たちは大変嬉しく、おおいに歓迎いたします。
しかし、不況と少子化という深刻な事態の中で、通院患者に医療費の1割を自己負担させるということは認められません。ある若いお母さんは、「不況の中で月収が減り、食費を切り詰めるがそれでも3万円要ります。子供がいつ病気するかわからない。いつもびくびくしています。とくに、給料日前などは祈るような思いで過ごしています」と、その深刻な暮らし振りを話してくださいました。
自己負担額の上限は5000円といわれます。ところが、それも一旦全額を病院の窓口で払わなければなりません。そして償還してもらうためには交通費を使い、わざわざ手続きに出かけなければならないのです。それで、やっと還って来るのですから、まずお金がなければ病院に行けなくなり、子どもを持つ親にとっては大変不安が募ります。
若い世代が「安心して子どもを生み、育てられる」環境を保障することがいま緊急に求められています。ところが、その環境が整っていないために、少子化が急速に進行しているのです。女性が一生の間に平均して生む子どもの数は、人口の維持に必要とされる2.08人を大きく割り込み、兵庫は1.38人で、全国第38位と云う低さです。
これには、経済負担が大きく関係していると思われます。それは、各世帯が自由に使える可処分所得を見ると明確です。全世帯の平均が185万3000円であるのに対し、子どものいる世帯の平均はその4分の3の141万2000円という低さです。
さらに、平均所得金額の対前年増加率を見ると子どもの数が増えるごとに下がっています。例えば、子ども1人の世帯は、前年より0.5%、2人の場合3.8%、3人になると11.7%も低くなっているのです。
こうした中での乳幼児医療費窓口負担は、それでなくても苦しい若い世帯に重くのしかかってきます。
いま、全国的に国に対して「乳幼児医療助成を国で制度化する」よう世論が高まり、政府も3割の自己負担を2割にする方向を打ち出しています。このことにより、県の負担が軽減されるわけですから、ぜひとも「通院患者も無料にする」ように改めて求めますが、知事の、心のこもった答弁をお願いします。
▼答弁▼斉藤副知事
乳幼児医療公費負担助成制度は、少子化対策の一貫として、子どもを安心して生み育てられる環境を整備のため、平成13年7月より通院について一部負担を導入の上、対象を6才未満児まで拡大した。さらに、平成14年7月からは、対象を入院通院とも義務教育就学前まで拡大する。
一部負担は、老人保健法や介護保険法においても、世代間の負担の公平性、給付と負担の公平性の確保、医療費等にたいするコスト意識の喚起などをはかるため、一割負担が導入されている。
このような観点から、乳幼児医療費公費負担助成制度につきましても通院に医療費の一割を負担していただくこととしている。乳幼児一人が同じ月に複数の医療機関にかかった場合でも、月額上限を5000円に設定し、無理のない範囲での応分の負担となるよう配慮をしている。
老人医療費助成の拡充を
■質問■毛利議員
医療問題の二点目は、老人医療費の助成制度についてです。
県は行財政改革で、これまで65歳から69歳の高齢者のうち約7割の方が対象であったものを、所得制限を強めるなかで約6万人をその対象からはずし、わずか5割にまで狭めようとしています。見通しもなく、急ぐ必要もない大規模な開発に明け暮れながら、戦後の厳しい状況の中、今日の日本を築いて来られた高齢者にこんなにも冷たい仕打ちは許せません。
県は、その理由として「高齢者は裕福だ」と云われます。果たして実態はどうでしょう。圧倒的な高齢世帯は、「もしもの時、せめてお葬式代だけは迷惑かけたくない」といって、節約に節約を重ねているのです。また、国民年金受給者の平均月額は約4万5000円といわれています。その中で、介護保険の保険料やその利用料は年金生活者に大きな負担を押し付けています。こんな実態こそ直視すべきではないでしょうか。
また、県は最近「老人は元気になってきた」ということを理由に挙げておられます。
ところが、発表されているデータを見ると、有訴者、いわゆる心身に何らかの異常を訴える方が56.7%で、全国平均より3.7%も高くなっています。これらの方々が、医療費を心配せず、病院にかかり、「早期に発見し、早期に治療する」体制を整えることこそ県の大切な仕事ではないでしょうか。そのことが、県民の健康と生命を守り、医療費を抑えることにもなるのです。この立場にたって、老人医療費助成の対象を減らすのではなく、さらに充実すべきだと思いますが、知事の誠意ある答弁を求めます。
▼答弁▼斎藤副知事
老人医療費公費負担助成制度は、昭和48年の制度発足以来、高齢者を取り巻く状況は平均寿命の伸び、高齢化率の上昇、定年の延長、受療率のピーク時の上昇など、身体面あるいは所得面等で大きく変化をし、単に高齢者であるとの理由で老人医療費についての公費負担をする必要は低下しているものと考えています。
こうしたことから、一般所帯と高齢者所帯との間の負担の均衡をはかり、所得税制限を見直し、総所帯の中間的な水準の所得を下回ります高齢者を対象とすることとしまして、平成15年度から受給者率を約50%とし、平成13・14年度は新制度への円滑な移行期間として、受給者率を約60%とするものであります。
なお、従来本県と同様にトップクラスでありました3都府県のうち、東京都では平成19年度には制度を廃止し、また大阪府におきましては所得制限の見直しによりまして平成15年度には受給者率が約20%となると聞いておりまして、見直し後において本県の水準は全国トップを維持しております。
県立病院の切り捨てやめ、県民のための充実を
■質問■毛利議員
医療問題の三点目に、県立病院の改編についてお尋ねします。
県は行財政改革の一環として、県立病院の一般診療部門を民間病院に移譲する準備をはじめようとしています。
県立病院は、患者さんはもとより、民間病院のお医者さんからも「必要な検査など県立病院との連携で、安心して治療が進められる」と大きな期待が寄せられています。
また、がん治療や痴呆症の研究、周産期医療や東洋医学など高度・専門、特殊医療、そして、救急、特に子どもの救急医療といった不採算部門など民間では担えない重要な役割があります。さらに、研修医を受け入れ、地域医療に立派に貢献するお医者さんを育てることも県立病院の重要な役割です。県民の望む良質な医療を提供し、県民の健康を守ることよりも採算性を優先し、県立病院の役割を縮小することは、県民の理解など得られません。この計画を直ちに中止するよう求めます。
知事は、昨年の就任以来「参画と協働」をスローガンに「ともに知り、考え、取り組み、確かめあうパートナーシップ」を強調されています。ところが、この県立病院の改編問題については、県民に十分知らせることなく、パブリックコメントも年末・年始をはさむわずか25日間のみで、一方的に結論を出したのです。これでどうして「ともに知り、考え、取り組み、確かめあうパートナーシップ」といえるのでしょうか。密室の協議を県民に押し付けるのではなく、まずこの基本方針を撤回し、改めて県民参加の議論の中で県立病院の一層の機能充実を図るべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。 ▼答弁▼井戸知事
県立病院はこれまで県民の医療ニーズに対応して良質な医療提供に努めてきております。しかし、近年、疾病構造や医療環境が変化してきており、これらの状況に的確に対応していくため、昨年度来、県立病院の今後のあり方について検討を加えてまいりましたが、本年2月にその基本方針を決定いたしました。
その基本的な考え方は、経営原則であります「経済性」と「公共性」に沿った運営を確保するため、地方公営企業法の全部適用を行い、高度・専門医療の充実や、安全且つ安心な医療提供など医療内容を充実する観点から、診療機能の充実、優秀な人材確保、患者サービスの向上、地域の医療機関との連係強化等を通じて、より良質かつ適切な医療を、効率的に提供するとともに、安心してかかれる県立病院の実現を目指すものであります。
基本方針の決定には、インターネットだけではなく各病院に資料を備え付け、意見箱を置くなど、広く県民に周知しました。また、医療を受ける県民の代表も構成員となっている医療審議会の答申を得て決定した。
今後とも県民の参画と共同の下、より良質な医療の提供や、安心してかかれる県立病院の実現に努めてまいります。
「国連」勧告を真摯に受けとめ、被災者への支援の拡充を
■質問■毛利議員
質問の第二は震災被災者への支援についてです。
昨年9月議会で、私たちが「国連社会権規約委員会の勧告」について質したところ、知事は「国連は事実誤認をしている」と答弁されました。とんでもありません。
国連の勧告は、この間の日本政府や自治体の努力について「兵庫県により計画、実行された大規模な再定住計画」をそれなりに評価しながら、「住宅ローンの返済のため、再建した住宅を手放さざるを得なくなっている被災者がいる」との実態を挙げ、これへの真剣な対策を日本政府と兵庫県にもとめており、圧倒的な被災者の気持ちを代弁するものです。
私たちが、「しごと開発事業」に従事されている方々に行ったアンケートでも、切実な声がぎっしり書かれ、一刻の猶予も許せないことを痛感しています。たとえば、64歳の女性は「家が全壊し、銀行に二重ローンがある。この仕事が打ち切られたら生活が出来ません。早くローン返済への援助をしてほしい」と悲痛な声を寄せられました。
また、1月26日の『神戸新聞』社説は、「現実に即して、公的支援のあり方を見直す必要があるだろう」とも述べられています。
人と人との付き合いを壊され、ローン返済に苦しむ被災者の現状は、住宅再建に対する公的支援制度の創設を強く求めています。昨年末、全国知事会は共済制度だけでなく、公的資金も含め住宅再建の支援策を幅広く議論する考えを打ち出しました。また、鳥取県ではすでに300万円の公的資金による住宅再建支援策が実施されています。
これは、アメリカや台湾、イタリアなど外国でもすでに実施されているものです。
こうした状況のもとで、知事は、国連の「勧告」を真摯にうけとめ、世界的にも常識となっている公的資金による「住宅再建支援制度」の確立に全力をあげるべきではないでしょうか。明確な答弁をお願いします。
▼答弁▼井戸知事
住宅再建支援制度について、昨年秋、超党派の「自然災害から国民を守る国会議員の会」から、「被災者住宅再建支援法(案)骨子」が発表されましたが、負担金の徴収方法等について、全国市長会・町村会から様々な課題が指摘され、その打開策の模索が続いているところです。
このような中で、自由民主党の災害対策特別委員会・地震対策特別委員会合同会議で、全額公的資金による「住宅再建支援制度の試案」が示されました他、昨年末、全国知事会においても共済制度を含め、他の支援策についても幅広い観点から支援するという方針が打ち出されたところであります。
こうした制度実現に向けた新しい動きを、さらに押し進めていかねばならないと決意をしている。
ご指摘の、全額公的資金による制度とした場合、同じ納税者である住宅を所有していない国民との公平を欠くことなど課題があり、国民的なコンセンサスを得るためには、本県がかねてから提案している、住宅所有者間の相互扶助を基本としつつ住宅再建の公共性の観点から一定の公費負担を組み合わせる「自助、共助、公助」あいまった制度が望ましいと考えております。
本県としては、全国知事会の場でさらに議論を深め、国民的な賛同を得られる住宅再建支援制度の早期実現に最大限の努力をしてまいります。
なお、国連の社会権規約委員会の勧告に対する考え方については、これまで被災地における住民同士、多くのボランティアの取組み、そして県を始め市町が一体となって実施してきた生活支援対策、あるいは住宅再建が困難な被災者に大量の災害復興公営住宅を提供、家賃の特例、住宅整備の促進、二重ローン対策など、多種多様な施策を行ってきたことが、認識あるいは十分に理解されていないのではないか。そういう点を心配しております。本県としては、今後とも被災者等の実態等に即して適時適切な施策を講じてまいります。
企業の異常なリストラの抑制
■質問■毛利議員
次に、深刻な経済・雇用問題についてお尋ねします。
冒頭でも触れましたが、日銀の調査でも県下の経済雇用情勢は深刻です。また、帝国データバンク神戸支店は1月の県内倒産企業が件数、負債額とも過去最悪となったと発表しました。さらに、県信用保証協会の代位弁済も、保証先の倒産などでこれまた過去最高となっており、いずれのデータも悪化の一途をたどっています。
このことを反映し、新年度の経済見通しについて、政府の「年度後半から緩やかに動き出す」との希望的観測とは裏腹に、48ある民間調査機関の中で43までが、実質成長率はマイナスになるとの厳しい見通しを発表しています。とりわけ本県は、経済の面でも、雇用の面でも類似府県に比べより深刻であり、格別の対策が強く求められているのです。こうした深刻な経済・雇用情勢のもとで、いかに県民生活を守り、県民に安心感を与えるか、知事の政治手腕が鋭く問われているのです。
そこで私は、いくつかの提案を交え質問いたしますので、まとめて簡潔にお答え下さい。
その一つは、民間企業の異常とも言えるリストラの名による首切り・人減らしをいかに抑制するかという問題です。
県は、業界や労働界の代表、知識人13名で「ひょうご経済・雇用戦略会議」を開き、『活性化プログラム』を策定。新年度予算で具体化したとされています。
しかし、その『プログラム』は、容赦なく展開されている人員削減の抑制については一言も触れていないのです。これでは深刻化する失業問題を解決することはできません。
一方で、「労使が雇用の維持・確保を何より最優先する」ことも掲げておられるわけですから、知事自身、これまでの「雇用の維持は労使間の問題」などとの姿勢を改め、県下の企業にたいし雇用の維持・確保を強力に働きかけ、これ以上の失業不安を県民に与えないようにすべきだと思いますが知事の決意をお伺いいたします。
また、『活性化プログラム』で提起されている「雇用拡大策」についても合わせてお尋ねします。
『活性化プログラム』では、「未来を拓く創業と成長産業の育成」によって新たな雇用拡大をはかることを掲げ、ベンチャービジネスやフロンティア産業の育成が謳われています。その一方、公的部門での雇用拡大は、政府の「緊急雇用創出事業」の実施をいっているのみです。
この「緊急雇用創出事業」は、まさに緊急・臨時的で、わずか半年間だけの雇用であり、雇用の安定などとは到底言えません。
これまでわが党が繰り返し提案してきた老人福祉、保育所など県民要求に応える施設を整備・充実する事によって県民の願いにも応え,雇用も拡大させる施策こそがいま求められているのではないです。緊急に実施すべき課題と考え再度提案いたしますが、合わせてご答弁ください。
▼答弁▼井戸知事
産業経済・雇用問題についての、民間企業のリストラ抑制について、経済のグローバル化が進む中、産業雇用構造が大きく変わろうとしており、その中で、企業のリストラクチャリングに伴い、多くの方々が働く場を失っておられることは、労使の問題とはいえ、懸念すべき課題であります。
このため、県としてはリストラクチャリングが即人員減であってはならず、雇用の維持安定を最重点とすべきであるという認識の元、関係団体等への協力要請や個別の相談援助等に努めております。
昨年11月26日に、「ひょうご経済雇用再活性化プログラム」を実施するにあたり、県経営者協会は雇用の確保維持に努める、失業者の発生を抑制するよう企業に働きかけること、県は5万人の仕事雇用創出の実現に努めることなど、雇用の安定に全力をあげて取組む旨の合意を、県経営者協会、連合の3者で行ったところであります。
また、経済社会の構造変化等に伴い、雇用の流動化や雇用の多様化が進むなかで、労働環境をめぐる紛争を防止する等の観点から、厚生労働省の労働政策審議会において解雇基準やルールの明確化について検討がすすめられていると承知しています。県としても、動向を注視したい。
さらに、雇用確保のための臨時雇用調整金などの活用を徹底し、企業を理解していただくほか、連合・経営者団体で、春闘でもワークシェアリングなど、雇用の安定が第一義とされていることについても期待をしているところであります。
▼答弁▼斎藤副知事
公的部門での雇用拡大についてお答えをいたします。事業所統計によりますと県内事業者数約249万人のうち、国および地方公共団体の公的部門の事業者は約20万人8%に過ぎず、民間が大層を占めていることから、経済の活性化を通じて民主導により雇用機会の拡大をはかることが基本でありますが、現下の厳しい雇用情勢の元では、公的部門における雇用拡大を必要であると考えております。
そのため、職員の超過勤務縮減により雇用を生み出す「兵庫キャリアアッププログラム」や、学校におきます非常勤講師の活用等により公的雇用の創出に取組んでいるところであります。
さらに、昨年12月に平成16年度までに実施すべき対策をとりまとめました「ひょうご経済雇用再活性化プログラム」を策定し、これに基づき「緊急雇用創出事業」を実施、臨時応急の雇用創出を実現するとともに、その委託先での事前研修や情報提供など、再就職に結びつく支援に努めている。
また、福祉・教育といった県民生活と密接関連する分野におきましても、積極的な雇用をすすめることとし、特に、福祉分野におきましては、介護保険事業支援計画や、すこやか兵庫こども未来プランなどに基づき、老人福祉施設や保育所等の整備にあわせ、介護職員等の雇用確保に努めている。
今後とも「再活性化プログラム」のきめ細かいフォローアップをすすめ、公的部門も含めた雇用対策のいっそうの充実をはかってまいります。
賃下げ・リストラすすめる「兵庫型ワークシェアリング」の見直し
■質問■毛利議員
つぎに、「兵庫型ワークシェアリング」の見直しについてです。
最近、深刻な雇用情勢のもとで、ワークシェアリングが注目されています。ところが、県が提起された「兵庫型ワークシェアリング」は事実上、大企業のリストラを応援し、常用雇用から不安定雇用への切り替えや低賃金を押し付ける指針となっています。多くの労働者も、国民も「賃下げをともなうワークシェアリングには反対」を表明しています。また、この「兵庫型ワークシェアリング」を提唱されたお三方のうちの一人である石井連合兵庫会長は、県の「行財政構造改革推進委員会」で「賃金ダウンを伴うワークシェアリングは承認できない」と語気を強めて明言されています。
このように、本来ワークシェアリングは、賃下げなしの労働時間の短縮であって、そのことによる雇用の拡大と生活の安定を確保するものでなければなりません。まして、わが国では、依然として不払い労働が横行しており、これを根絶するだけで約90万人の新規雇用が創出されるのに、その努力もせず、賃下げ、リストラにお墨付きを与える「兵庫型ワークシェアリング」を全面的に見直すことを求めますがいかがでしょうか。
▼答弁▼斎藤副知事
「兵庫型ワークシェアリング」は、そのガイドラインにも明示しておりますように、企業にとって事業の継続発展のために構造改革に取組むことは必要であるものの、その際、リストラ即人員整理であってはならず、雇用の維持確保を最優先するという企業労使の共通認識を持ち、お互い協力して局面を切り開いて行くことを、その前提条件としているところであります。
さらに、ガイドラインでは、雇用を守るためにやむなく一定期間労働時間の短縮と見合いで賃金の抑制を行うことも、緊急避難型ワークシェアリングとして位置付けているところであります。
従いまして、ご指摘のような「常用雇用」から「不安定雇用」への切り替えや、低賃金化をいたずらに促進するものではないと考えているところであります。
こうした考えの下に、県としても「兵庫型ワークシェアリング」が仕事を分かち合うことにより雇用を確保するとともに、勤労者の職業生活、家庭生活、地域生活の充実が実現できるものとして、推進に努めているところであります。今後も労使双方の意見も十分に踏まえ、アドバイザーの派遣や導入モデル事業の実施等、ワークシェアリングに関する県内県外への普及啓発や、導入の際に必要となる各種情報提供等を実施することにより、県内での導入支援や全国的な機運の醸成をはかっていきたい。
地域経済を守り、中小商工業への支援の強化を
■質問■毛利議員
この項の三点目は、厳しい経営環境におかれている中小商工業者への支援についてです。
県信用保証協会の代位弁済が過去最高になったことに示されているように県下の中小商工業者は大変きびしい状況におかれています。過去最高と言われる倒産の理由を見ると、明らかに不況型であり、金融面で貸し渋り、貸し剥がしが容赦なく展開されている姿を見ることが出来ます。県は、予算案で「融資枠の拡大」や制度の延長をはかることを提案されています。しかし、現実はそれだけで解決しません。
先日、私のところに建設業を営む方から「一生懸命働き続けてきたがもうだめです」と悲痛な訴えがありました。その方は、「最近仕事がなく、制度融資の返済もできない、もう打つ手がない、限界です。長い間お世話になりました」と自殺をほのめかす電話でした。私も、懸命に励まし、一緒に努力する約束をしましたが、現状で有効な策はなく、自己破産の道を選ばざるを得ませんでした。こうした事例が急増しているのです。こうした方々が、低利で、安心して借り替えることのできる新たな制度を急いで作るべきではないかと痛感いたします。
さらに私が、心配するのは信用金庫や信用組合のあいつぐ破綻問題です。制度融資が、どれほど拡充されても中小商工業者が最も利用されている信金・信組がつぶれてしまえばその方々の窓口がなくなり、取引できず、倒産に追い込まれてしまいます。
ある工務店の社長さんは「わたしどもの仕事は、注文を受け完成させるまでに多額の経費を準備しなければならない。通常は、そのお金を信金・信組を通じ借りている。繁盛すればする程、借り入れが多くなる。そして、返済条件の緩和や変更なども増え、煩雑なんです。信金や信組はそれでも親切に応じてくれる。本当にありがたいことです」と話してくださいました。
この信金や信組にたいし、小泉内閣の「不良債権の早期処理」のため、金融庁が都市銀行と同等のマニュアルで、引当金を積ませ、遂に破綻に追い込むという事態が急速に強まっています。この事態を放置して、どのような融資策を講じても中小商工業者は利用できず、県経済の破綻にもつながることは火を見るより明らかです。
こうした立場から、中小商工業者が安心して利用できる借り換え制度の創設とともに、国に対し信金・信組を潰すマニュアルの適用を直ちに止めるよう強力に要請すべきだと思いますが、知事の誠意ある答弁を求めます。 ▼答弁▼斎藤副知事
中小商工業者への支援について、県の制度融資は県内中小企業者の事業資金を安定的に供給するため設けた制度です。いわゆる「借り換え」は従来から対象としていませんが、信用保証協会では、従前の資金使途が事業資金であることが明らかであり、新たな資金が金融機関ではなく中小企業者のとって有益と判断される場合は、返済能力等審査の上で弾力的に取り扱っているところであります。
また、国のマニュアルの中では、検査に際しましては、金融機関の規模や特性を十分踏まえ機械的・画一的な運用に陥らないように配慮する。あるいは、チェック項目についてマニュアルの言葉通りにされない場合でも、金融機関の規模や特性に応じたものであれば不適切など、信金・信組等への配慮すべき留意事項が示されていると承知しています。
県としても、従来から全国知事会を通じて、国に対して中小企業の経営安定のために金融制度の弾力的な運用を要望している。このような中、中小企業を取り巻く金融環境は今だ厳しいことから、昨年10月から低超利の「特別経営資金貸し付け」を実施しているが、現在のところ、9000件・1100億円を超える信用保証申し込みがあるなど、資金需要に大きく応えている。この度、取り扱い期間を1年間延長することにしている。
今後とも県制度融資の充実に努め、信用保証協会ともタイアップして、県内中小企業者への円滑な資金供給に努めていきたい。
ムダな大型開発やめ、30人学級の実現こそ
■質問■毛利議員
つぎに、教育問題についてお尋ねします。
日本と兵庫の未来を担って立つ子どもたちを巡って、いま深刻で重要な問題が山積していますが、今回は、30人学級の実施と高校の入試制度の二点に絞ってお伺いいたします。
まず、30人学級の実施についてです。
今年4月から本格実施される、学校の「完全週5日制」に伴い学習指導要領が改定・実施されます。これは、実施前から「基礎学力・基本学習が低下しないか」と各方面から指摘され、文部科学省自身も認める結果となっています。これまで文部科学省は、学習内容を3割減らすことによって「ゆとりある教育が実現できる」と云いつづけてきました。
私たちは、「ゆとり」と「学力の維持・向上」を実現するために、他のあれこれよりも、まず、30人学級に取り組むべきであると繰り返し提案してきました。全国的にも、山形県、福島県、長野県など府県レベルで「30人学級」の実施を決める状況になっています。
知事も、昨年の11月県議会で、わが党の代表質問に「30人学級実施は検討項目だろうが、これだけ厳しい財政事情の中で、踏み切ることは困難だ」と答弁されました。
県の試算によると30人学級を全面的に実施するには小・中学校の教諭4790人が新たに必要とのこと。私たちの試算では約190億円あれば完全実施できるのです。これが本当に、困難な話なのでしょうか。利用予測すらつかない空港や橋、自然を破壊して進められるニュータウン建設などムダな公共事業を後回しにしてでも、将来のある子どもたちの教育に税金を回すべきではありませんか。
山形県知事は、30人学級実施を決意した記者会見で「30人学級が担任の先生、あるいは教科の先生が生徒を把握しやすい人数だろう。全教科にわたって実現することが望ましい」と発言をされ、さらに、財源問題では、「30人学級にするためには、橋の一本、二本は倹約しなくてはならない」と決意されています。いまや、これこそ普通の考えになっているのです。
知事も、無駄な開発事業を抑えてでも、30人学級の早期実施に踏み切るべきだと思いますがいかがですか。30人学級の実現は、いま、増え続ける「いじめ」や「不登校」「学級崩壊」などを解決する糸口になることは間違いありません。
現場の先生方は、「複雑になった社会情勢が子どもたちに様々な形でストレスになって」おり、「不況、リストラが子どもたちに暗い影をおとしている」とも指摘されています。また、「受験競争の激化が小学校低学年からはじまり、子どもの心を殺伐とさせている」とも指摘されています。
そして、「本当一人の子どもたちと触れ合い、成長を助けるには30人学級がどうしても必要です」と言い切られています。現に、ヨーロッパ諸国ではすでに20人から30人の学級、アメリカではもっと教育効果をあげるとして、18人学級に踏み切りました。まさに、少人数学級は世界のながれ、日本の流れになっているのです。
知事の決断を求めますが、いかがでしょうか。
▼答弁▼武田教育長
少人数学級のあり方等について、従来から国等において様々な調査研究がなされてきたが、現在のところ「決め手」がない。
引き続き、国は次年度から少人数指導、少人数学級のほか、チームティーチングの効果について、よりきめ細かな調査研究がされると聞いている。そうした中で、ご案内の通り本年度から国の第7次教職員定数改善計画を最大限に活用し、一律に学級編成基準を引き下げるのではなく、少人数学習集団の編成を主な内容とする「新学習システム」を5カ年計画でスタートさせた。
また、ご指摘のようないじめや不登校、学級崩壊などの学校毎の課題に対しましては、生徒指導不登校などに対応する教員の加配だけではなく、スクールカウンセラーや緊急雇用創出事業を活用した、不登校等指導補助員を配置し、あわせて学校生活全般にわたって、きめ細やかな指導が行われるよう努めてきたところです。
これらにより、児童生徒の発達段階や教科の特性等に応じて、多くの教職員が一人ひとりの児童生徒と関わり、より柔軟に多面的できめ細やかな指導を推進しています。
今後は、各種の調査研究等の推移を見守りつつ、この「新学習システム」を着実に推進してまいる所存でございますので、ご理解を賜わりたいと思います。
神戸第3学区での「複数志願制」の白紙撤回を
■質問■毛利議員
教育問題の二点目は、高校の入試制度についてです。
県教委は、来年3月にも、長田・須磨・垂水・西区を校区とする神戸第三学区で「複数志願制」を導入し、順次全県に広めようとしています。
神戸第三学区は、マンモス学区で、受験競争が激しく、子どもたちを成績で細かく輪切りにし、大変なストレスを与え、全国を震撼させた「神戸高塚高校・校門圧死事件」や「須磨事件」などの背景にもなっています。地域でもその解決が強く望まれています。
そこで県教委は今回、「複数志願制」を導入、受験競争の緩和と高校間のランク付けを解消し、「いける学校から 行きたい学校」が選ばれるなどと説明されています。
しかし、この制度は、自ら第一希望を出し、第一希望校がだめな場合、第二希望校またはその他の高校を含め「回し合格」させると言う複雑なシステムです。先日開かれた説明会でも多くの疑問が出されましたが、県教委ですら住民が納得できる説明ができなかったほどです。
県教委は、もともと「受験制度はシンプル・イズ・ベスト」といいながら、住民に説明できないほど複雑な制度をなぜ急いで導入しようとされるのですか。この制度は、1990年3月の「高等学校教育問題調査研究会報告」で検討され、「受験競争の緩和や事務的な面で問題がある」として検討対象から外され、1994年の「高等学校教育に関する懇話会」でも、検討の対象にもされなかったいわく付きの制度です。
しかも、全国的にもすでに導入している愛知県や千葉県、埼玉県などが、「序列化が激しくなった」「子どもの心に重い負担となっている」などとして最近、見直しが求められているなど、問題の多いものです。県教委は、これらの事例に謙虚に学ぶべきではないでしょうか。
今回提案されている制度では、第一志望校については始めから「50点の加算点」を与えるとしています。この制度が導入されれば、今でも有名校とそうでない高校と言うことで大変な高校間格差がある中で、その格差をますます広げることになり、受験競争の緩和どころか、一層激しいものにすることはまちがいありません。
結局、本人の希望に添わない、いわゆる「不本意入学者」を急増させ、いまでも高校2校分に相当する2274人にもなっている高校中途退学者をさらに増やし、未来のある青少年を路頭に迷わすことは明らかです。関係住民の理解すら得られていない「複数志願制」の導入は白紙に戻し、高校間格差を無くし、高校進学希望者が身近な高校に入学できるよう高校を整備し、そのうえで、県民との協議を重ね、単純明快な入試制度を真剣に考えるよう求めますが、教育長の見解を求めます。
▼答弁▼武田教育長
複数志願選抜は、生徒が各学校の特色や自分の適正、進路希望に応じて、学びたい学校を、第2希望まで志願できること。また、総合得点が一定の基準以上であることを条件に、本人が希望するならいずれかの公立高等学校に合格できることなど、単独選抜と総合選抜の長所を取り入れ、過度の受験競争の緩和をはかるとともに、本人の希望をできるだけ尊重しようとするシステムです。
また、各学校の個性化、多様化を推進することで、各校の活性化を目指し、第一志望を「加算点」により、学びたいことが学べる学校への入学を支援しようとするものです。
なお、複数志願方式は、平成2年「高等学校教育問題研究会」の報告での案の一つでありますが、当時、課題となっていた件につき、いわゆる受験学力のみによらない学校選択を促すための各校の個性化多様化の推進、第一志望を優先する合否判定の実施、入試事務におけるコンピューターの活用等により、この課題は克服できたと考えている。
現在、全日制の異なる学校学科間で複数志願を認めている愛知、千葉、埼玉の3県につき、いずれも本県の複数志願制とは制度・方法が大きく異なっていますが、実質的な受験機会の複数化という点で、それぞれの県において一定の評価定着を見ており、「見直しは考えていない」と聞いています。
本県においても、複数志願選抜の神戸第3学区への円滑な導入と定着を目指し、今後とも神戸市教育委員会と連携し、中学校関係者への説明会の開催や、広報用リーフレット等の作成配布など、この制度の理解と周知をはかっていきます。
神戸空港など、不要・不急の公共事業の中止
■質問■毛利議員
最後に、公共事業のあり方について知事に提案いたします。
新年度予算案は、厳しい財政事情の中で、県民生活関連予算を削りながら、大震災という特殊事情を除けば過去最高の2千258億円もの借金をし、何と借金残高はついに4兆円を超え、毎日銀行に8億4000万円も返済しなければなりません。利用目的も定かでなく、企業誘致の見通しもない中で、「ひょうご情報公園都市」や「宝塚新都市」を自然豊かな三木や宝塚の山を削って建設しようとしています。また、第一期分ですら利用しきれていない関西国際空港を拡張するための出資額を増やしたり、大赤字が明らかになっている本四連絡橋の問題を解決しないまま和歌山と淡路をつなぐ紀淡海峡連絡道路を建設しようとしています。このような厳しい財政事情を省みず、無駄な大型開発事業に熱中する姿勢を改め、県民サービスをこそ充実すべきではありませんか。
▼答弁▼井戸知事
公共事業のあり方についての提案・「大規模開発から生活密着型投資への転換」について、お答えをいたします。
新年度予算はきびしい財政環境の中で、県民生活の安全・安心の確保などの課題、当面する課題に的確に対応することとし、県民生活の安定をはかることを基本に編成したものであり、ご指摘のような「大型開発事業に片寄ったもの」とは考えていません。
投資事業は、総額を対前年度比・約90%に抑制する中で、県民生活に密着した事業への重点化をはかるため、県単独枠事業については対前年度比・95%を確保し、「つくるから使うプログラム」に基づく渋滞交差点の解消や、「新兵庫の森づくり」など森から海の再生プランなどにも取組むとしています。
また、投資事業費を抑制した結果、県債発行額は地方一般財源の不足に対処するための「臨時財政対策債」を除くと、実質ベースで前年度を下回る1776億円にとどまっています。
■質問■毛利議員
また、神戸空港の建設に、県民が納める貴重な税金から75億円も投じようとしていることは問題です。神戸空港建設をめぐっては、先の神戸市長選の出口調査でも市民の6割が反対を表明、粘り強い運動を展開していますし、最近、石原行革担当大臣の「『すでに工事は始まっているが、こんなものを本当につくる必要があるのか』の声がある」という発言をはじめ、自民党中央幹部や扇国土交通大臣、さらに、大阪府知事までが神戸空港建設に疑問を表明されるなど多くの国民・県民が批判と疑問の声を強めています。こうした声に耳を傾けず、あえて予算化する知事の姿勢は、到底認められません。
こうした大規模開発が、景気回復に何らの効果をもたらさないことはいまや衆目の一致するところですし、何よりも財政破綻をもたらし、さらに貴重な自然を破壊し、取り返しのつかない事態を招くことも明らかです。
私たちは、こうした不要不急の事業はいったん凍結し、日常県民が利用する生活道路の整備やそのバリアフリー化、特別養護老人ホームや保育所など福祉施設の建設、県営住宅や学校施設の整備など県民の要求が強く、暮らしに役立つ公共事業にこそもっともっと投資すべきだと考えます。そうすれば、いま仕事がなくて困っている県下の中小業者に仕事を保障することができ、景気回復にも、また、県財政の健全化にも役立つことは間違いありません。
知事の誠意ある答弁を期待して、日本共産党を代表しての私の質問を終わらせて頂きます。
ご静聴ほんとうにありがとうございました。
▼答弁▼井戸知事
神戸空港については、21世紀の大交流時代の中で、関西国際空港は国際空港、大阪国際空港は国内基幹空港、神戸空港は地方空港として、それぞれの役割と機能に応じて整備をはかるべきと考えています。
県として、神戸空港が神戸市民のみならず兵庫県民にも広く利用される交流基盤として、地域の発展に大きな役割を担うものとの観点から、空港整備等に対する支援を行い、決して不要不急のものではありません。
さらに、新年度予算において、被災高齢者の見守り対策や、経済雇用対策、子育て支援の強化、介護基盤、福祉施設の整備、くらしの安全対策、新しい時代にふさわしい兵庫教育の推進など、県民生活全体の質的充実を目指す施策を最重点に編成を行っております。
561件726億円の新規施策は、これらが中心となっており、県民生活重視の県政を展開していく基本姿勢としたところです。
■質問■毛利議員
いったいどちらを向いた答弁なのか。県民の実態を本当に見つめていただきたい。今の雇用とか経済だとか福祉、医療、教育、すべてにわたり、本当に県民は困っています。それに対し、知事は本当に冷たい答弁としか言いようがありません。
せめて今の不安、これを取り除くのはもちろんのことです。例えば、雇用の問題でも企業に赴いて身体を動かして話し合うのではなくて、リストラがこれ以上進まないように指導していただきたい。
もう一つ、30人学級の問題です。財源問題ですから知事にお答えいただきた。少人数授業で手当てするのは、100人・200人の単位の数です。実際に県下にある小学校や中学校すべてに一人ひとりに行き届いている、加配が行き届いているわけではありません。30人学級にする必要な人数、小学校が2850人、中学校が1940人合わせて4790人配置するということは、若い先生方を雇用することもできます。財源は約190億あれば足りる。神戸空港は「もういらない」と誰もが言っています。世論はと反対に、空港支援をするのではなく、30人学級に対する財源手当てを、お答えをいただきたいと思います。
▼答弁▼井戸知事:まず、今年度の予算編成にあたりまして、私は県民生活の安心・安全を確保するための、安定確保を一番の柱にして編成をしたつもりでありますので申し上げておきたいと思います。
30人学級に伴う財源措置については、現在のところ国の手当てはなされておりませんし、この厳しい財政状況の中、県独自でこれを生み出す「あて」もありません。そのような状況でありますので現在におきましては、一律に学級基準を引き下げるのではなく、適切な少人数教育をすすめようとしているものだと考えております。 |