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本会議の目次へ 第268回本会議代表質問 宮田しずのり
2001年11月29日

 私は、日本共産党県会議員団を代表して、以下5つの柱で質問致します。

来年度予算編成にあたっての基本方針について

■質問■宮田議員:  質問の第1は、来年度の予算編成にあたっての基本方針についてであります。
 政府は11月9日、2001年度の実質国内総生産成長率を当初のプラス1.7%からマイナス0.9%へ下方修正し、続く「月例経済報告」でも、個人消費や失業率の悪化、テロや狂牛病などの影響を要因にあげ、「景気は一段と悪化している」と、これまた下方修正し、政府自らがその深刻さを認めているところであります。
 ところが、小泉内閣は、いわゆる「骨太の方針」にもとづき、不良債権の早期処理、医療をはじめとする社会保障制度の改悪、さらには地方交付税の削減などを強行しようとしております。これらが、いっそうの倒産、失業と国民に耐えがたい負担をおしつけ、地方自治をじゅうりんし、ひいては更なる景気の後退をもたらすことは明らかであります。
 補正予算によるセーフティーネット・雇用対策なるものも、一時しのぎの短期雇用を中心とする小手先の対策にすぎません。また、第一次補正予算成立と同時に第二次補正予算編成に着手するなどということは、どれほど経済政策が混迷に陥っているかを示すものであります。
 問題は、このような国の政治のもとで、県政はどうあるべきかということであります。わたしは、このような時こそ、国のいいなりになるのではなく、国に対して必要なことを堂々と要求し、県としてできることは最大限尽くして県民のくらしを守ることに徹しきることであると考えます。
 わが党県会議員団は、この立場から知事に対して、2002年度予算編成の基本を、第1に県民のくらし、福祉、教育の充実を最優先の課題とすること。第2に、産業振興と雇用確保に全力をあげ、県民生活の基盤を確保すること。第3に、投資事業のあり方を大規模開発優先型から、生活密着型に切り替え、くらしの向上と、財政再建の確かな道に踏み出すこと。第4に、県民参加を思い切って広げ、真の地方分権を確立することを求め、重要政策提言とその具体化である512項目の要求・提案を提出いたしました。
 ところが、県の予算編成方針を見ますと、依然として「行財政構造改革推進方策」にもとづき、高齢者や障害者、子育て家庭などをはじめ、県民に対して負担増と行政サービス切り下げを押し付け、一方、投資事業については、国の公共投資関係費の削減方針を留意するとしつつも、3900億円の枠を堅持し、あくまで公共事業優先の姿勢が貫かれています。そして、国による地方交付税削減の動きに対しては、「地方交付税の10%削減がなされれば、県の歳入になおせば400〜500億円のマイナスになる。そのつもりで予算編成にあたっている」などと、知事自身が述べておられますが、全く無条件に受け入れる姿勢であります。
 たしかに県の財政は、歳入面で景気悪化による県民税や地方消費税の大幅な減収が見込まれ、厳しい状況にあることは明らかであります。しかし、これを県民の福祉や行政サービスの切り下げに向けることは認めるわけにはいきません。
そこで、来年度予算編成に当たっては、「行財政改革推進方策」を基本に置くことをあらため、県民のくらしを支援する福祉、医療、教育さらに被災者支援の充実を第一にすえること。また、中小企業と農林水産業の振興を図る予算を大幅増額し、一方、公共事業は不要不急の事業の削減を徹底してすすめ、その内容は生活密着型に切り替えること、を基本にされるよう改めて提案致します。
 知事の答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事
 日本共産党を代表しての宮田しずのり議員のご質問にお答えいたします。
 まず、来年度の予算編成の基本方針についてであります。本県の「行財政構造改革」は、現下の厳しい経済社会状況を見通しながら、財政の健全性と弾力性を確保しつつ、21世紀の新しい時代の県民の要請と社会経済構造の変化に対応するため、従来の制度の見直しを行うとともに、県民福祉のさらなる向上と新規施策分野への積極的なとりくみをすすめようとするものであります。
 このため、中長期にわたる健全な行財政運営を確保しつつ、震災復興、福祉・医療、教育、環境、文化、経済雇用対策等の諸施策を展開するとともに、投資事業についても県民生活を支える社会基盤整備を推進することとしております。こうしたことから来年度の予算編成にあたっては、「行財政構造改革推進方策」の枠組みを見据えながら、限られた財源の重点配分と経費支出のいっそうの効率化をはかる中で、「21世紀 兵庫長期ビジョン」の実現を目指す県民生活重視の施策に意欲的にとりくんでまいります。
 なお、ご指摘の地方交付税については、国の他の歳出と同様に一律削減すると言う性格でないことは申すまでもありません。地方税財源の充実強化の議論なしに交付税の削減のみが論じられることはあってはならないと考えているところであります。

中小企業への経営資金の支援のために
    〜「中小企業安定化保証制度」の再開を

■質問■宮田議員:  次に産業・雇用問題についてであります。
 最初に中小企業への支援について質問いたします。
 日本経済がますます混迷を深める中で、県下でも「不良債権の最終処理」の影響もあって、森真珠、インテルナきたむら、お茶の菅園などを含め、今年1月から10月までの企業倒産はすでに683件にのぼり、前年比で10ポイントも上回り最悪の事態となることは必至であります。
 地域経済を守り、雇用・失業問題を解決するためには、文字どおり県経済の主役である中小企業と中小業者への支援を抜本的に強化することが不可欠であります。

 政府は「不良債権最終処理」と称して、不況にあえぐ中小企業や中小業者へ貸し出した資金の回収を大規模に進めようとしています。
 しかし、いま真面目にがんばっている中小企業にとって必要なのは、資金の回収ではなく、これまでの経験や技術を生かし、新製品や新商品の開発、販路拡大にも取り組み、経営を維持するための資金の支援であります。
 県は今年10月、新たに「特別経営資金貸付制度」を創設しました。今月15日現在で、1710件承諾、約201億円の融資となり、見込みを大きく上回っています。いまの中小企業の経営状況が、いかに大変かを示しています。
 わたしは、さらなる支援として、今年度廃止された「中小企業安定化特別保証制度」の再開が必要だと考えます。この制度は、政府が激しい「貸し渋り」が横行した1998年10月に、特別の融資制度として創設し、中小企業や業者に大変歓迎された制度でした。いままでの融資と別枠に、無担保・無保証で1000万円、無担保・保証で5000万円の融資が受けられ、家族だけ保証人を認めるなど、従来より利用しやすい制度でした。実際に今年3月までに、県下でも7万数千件、1兆円を超える融資実績を残しています。
そこで、中小企業や業者から要望の強い、「中小企業金融安定化特別保証制度」の再開を、国に対し強く求めるべきであると思いますがいかがでしょうか。

▼答弁▼斉藤副知事:  まず中小企業への支援についてのご質問のうち、「中小企業金融安定化特別保障制度」の再開についてであります。
 「中小企業金融安定化特別保障制度」は、御承知の通り金融環境の激変により中小企業等が必要な事業資金の調達に支障をきたさないよう国において創設されたもので、平成13年3月末で終了いたしました。
 県といたしましても特別保証制度の期限の到来を踏まえまして、新たな財源措置を含め必要な措置を講ずるよう国に対して要望を行ってきたところであります。その結果、一般保証における無担保・保証の限度額引き上げ、5千万円から8千万円への引き上げでございますが、および、セーフティネット保証の充実等の措置が講じられたところであります。
 また、こうした中で県としても独自の対策といたしまして、積極的な保証付融資につながるよう県の損失保証を厚くし、利率も0.8%という緊急優遇金利とした「特別経営資金貸付」の創設を始め、制度融資全体の利率を0.5ないし0.2%引き下げるなど、特段の措置をとったところであります。

県の制度融資の拡充

すべての融資制度を2年期間延長し、かけ込み融資の創設を

■質問■宮田議員:  中小企業への支援の第2は、深刻な不況に対応した県の融資制度の抜本的強化であります。県は「中小企業や業者が必要とする資金を円滑に供給することによって経営の安定をはかる」として、中小企業振興資金および中小企業育成資金など合計36種類の融資制度を設けていますが、その利用の実態は、2000年度の実績を見ますと、年度内に1件でも利用されたのは半分以下の14種類しかなく、残りの22の融資は全く活用されていないのであります。その中でも比較的利用されている中小企業振興資金融資・地域活性化資金融資、体質強化資金融資でさえ、総額2000億円の融資目標に対して、62.3%でしかありません。なぜこれほど利用されないのか。それは、利率や返済条件などが中小企業や業者の経営実態に合っておらず、とりわけ短い償還期間では、とても返せないからであります。もっと利用しやすい制度に改善することが求められています。
 埼玉県では1999年11月から、月々の返済額を減らすため、融資制度の期間を2年延長する措置がとられ、現在も継続されています。2000年度上期まで、利用者の約半数が延長制度を利用し、3856件、約409億円の融資が行なわれているといわれています。
 知事、兵庫県でも、中小企業や業者の声にこたえて、一定期間の緊急の措置として、すべての県制度融資の融資期間を、すくなくとも2年延長するという思い切った措置を実施することを提案いたします。いかがでしょうか。

 県の融資制度に対する提案のふたつ目は、セーフティネット融資、「いわゆる駆け込み融資」の創設であります。年末を控えとりわけ零細な業者の資金繰りはいよいよ逼迫することはあきらかです。そこで緊急に必要となった場合に備えて、100万円を限度に無担保・無保証人、無利息、返済期限5年の「駆け込み融資」制度を創設することを提案いたします。そのさい各県民局が受付窓口となり迅速・簡便な審査で融資ができるようにすることも必要であります。
以上深刻な事態に対応した提案について、あわせて知事の積極的な答弁を求めるものであります。

▼答弁▼斎藤副知事:  次に県の制度融資の拡充についてお答えをいたします。
 県の中小企業融資制度の返済条件につきましては、必要に応じて見直し、資金需要に対応してまいりましたほか、中小企業者の経営環境が融資実行時からさまざまな事情変更も生じうることから、信用保証協会におきましては、やむを得ない理由で返済が困難になった契約者に対しましては、状況に応じ融資期間の延長や1回あたりの返済額を軽減することなどにより、条件変更を行う等弾力的な対応を行っているところであります。
 また、ご提案のいわゆる「セーフティネット融資」ということでは、融資利率が0.8%と超低利の特別経営資金貸し付けを本年10月1日に創設したところでございます。現在のところ500億円をこえる信用保証申し込みがあり、年末の資金需要にも対応し十分に成果を発揮していると考えているところであります。なお、ご指摘の融資制度全体の中には、国に制度に伴います貨物自動車ターミナル集団化事業等の高度化資金融資や制度が廃止され償還のみを行っているものなど、必要な項目として残しておくべきものが約半数を占めております。平成12年度で言えば全体の92%を占めているものがいわゆる制度融資としての、中小企業振興資金融資、地域経済活性化資金融資、体質強化資金融資で、ご指摘のようにこれらは融資目標額の62.3%の利用率でありましたが、これは平成12年度の中小企業金融安定化特別保証制度で、別途2735億円の中小企業への資金供給がありこれにシフトした結果であると考えております。このページの上へ

公的分野における雇用の拡大を

■質問■宮田議員:  次に雇用・失業問題についてであります。
 完全失業率がついに5%台にのり、潜在失業者も含めると10人に1人と言う史上最悪の事態を迎えています。雇用・失業問題の解決は、県政にとっても喫緊の課題となっています。
 わが党は、これまで雇用・失業問題の根本的解決のために、不当な解雇を規制すること。サービス残業の根絶と長時間労働の規制、休暇の完全取得など労働時間の短縮による真のワークシェアリングによる雇用の創出。また、公的分野における雇用の拡大、さらに失業手当の支給日数の延長など失業者に対するセーフティネットの強化など、具体的提案をくり返し行なってきましたが、ひきつづき実現に全力をあげるものであります。

 さて県は先日、ひょうご経済・雇用戦略会議から、「ひようご経済・雇用再活性化プログラム(案)」の提言をうけ、今年度から2004年度までの間に新たに5万人の雇用を創出するとして、「地域産業の元気回復と新たな活力創造」、「未来を拓く創業と成長産業の育成」、「多様な選択と再挑戦を支える雇用・就業システムの構築」の基本方向を示しています。しかし、どこでどれだけ雇用を確保するのか肝心の具体的数値は、裏づけをもったものではありません。中身は民間支援による雇用への波及効果を中心としたものです。今日の厳しい失業問題を解決するという緊急課題から見れば、雇用創出に直接つながる対策の具体化が求められており、そのために、県民生活に密着した、公的分野の計画を思い切って拡大することが求められています。
 さらに、先の9月県議会では「公的分野での雇用の拡大」を求めるわが党議員の質問に対し、「県民生活に密着した福祉・介護・教育等の分野における雇用拡大も含め、適時適切な対策を講じることにより、県民の雇用の安定に向けて最大限の努力をしてまいりたい」と答弁されています。
知事、今日の雇用・失業問題の解決の上で、ますます重要になっている公的分野で、例えば少人数教育のための教員や学校図書館の司書も含め教育分野、保育士、ホームヘルパー、看護婦など福祉・医療分野など広く雇用を創出するための具体的施策を、さらに踏み込んで打ち出すべきだと思いますがいかがでしょうか。積極的な答弁を求めるものであります。

▼答弁▼井戸知事:  雇用失業問題であります。まず、公的分野での雇用創出でありますが、就業雇用の場という見方からいたしますと、もとより民間部門が大部分を占めております。県内の就業者数約249万人の内、国および地方公共団体の職員は約20万人、8%に過ぎません。雇用就業の場の確保にあたっては、経済の活性化を通じて民間主導による充実をはかっていくことが基本になるわけであります。しかしながら、現下の厳しい経済雇用情勢のもとでは、公的分野における雇用の緊急かつ臨時的な導入をはかることも、緊急の対策として必要と考えられ、これまでも、学校における情報教育補助員の配置や非常勤講師制度の活用、さらには兵庫キャリア・アップ・プログラムの実施など、幅広く取り組んできております。
 このような中、国の補正予算で新たな「緊急地域雇用特別交付金制度」が創設されました。本県としても補正予算で基金を設置し、高校生への求人開拓や福祉人材の就職支援など教育福祉分野をはじめ安全安心等幅広い分野で地域の実情に応じた雇用の創出に取り組みたいと考えています。
 また、先の兵庫経済雇用戦略会議から提案された最終提言におきましても、「明日の兵庫をになう青少年教育の充実」や「子育てサービス分野や介護サービス分野における雇用創出に積極的に取り組むこと」が提案されております。今後、この提言を受けて「経済雇用再活性化プログラム」を確定し、公的分野を含めた5万人仕事雇用創出に全力をあげてまいります。なお、平成11年に策定した現行の「雇用創出安定プラン」の実施状況でありますけれども、県が所管している「緊急地域雇用特別交付金」の活用による雇用応求者数については、既に10月末で1万6000人近くと大幅に上回っておりますことを申し添えておきます。このような成果を上げておりますので、今後の「緊急雇用対策特別交付金制度」にも期待をしているわけであります。

青年、特に高校生の就職を最後のひとりまで

■質問■宮田議員:  次に青年に対する支援であります。
 青年の雇用・失業問題は、今や大きな政治問題、社会問題となっております。青年の失業率は約10%と全世代の2倍になっています。定職が無くアルバイトなどで暮らしをつなぐ「フリーター」は約200万人、実に青年の5人に1人まで急増し、その平均月収は、わずか12万円程度でしかなく、青年が自立した生活をいとなむことが困難になっています。こうした事態は青年の未来だけでなく、日本の企業、産業の将来にとっても重大な事態をもたらすことになります。若い世代の不安定就労の増大は、仕事や技術の継承を断ち切ることにもなり、青年に対する特別の対策が求められています。
 ここでは、県が直接責任を担っている来春卒業予定の高校生の就職問題について質問いたします。
 本県の就職内定率は9月末現在50%で約3500人が未定であり、前年同期と比べ6.7ポイント下回り過去五年間でも最低となっています。このままでは、就職が決まらないまま卒業を迎える生徒がでることは必至の状況であります。そこで、ひとつは、卒業時まで就職希望者が全員内定できるあらゆる手立てをつくすことです。そのために「新規採用の削減を行なわず積極的に採用するよう」大企業をはじめ全ての県内企業に要請することであります。すでに県を含めて3者連名による要請が行なわれておりますが、企業訪問も含め、今度は知事自ら企業に要請し、強い決意を示すべきであります。
 また、大きな効果をあげている「就職面接会」を、兵庫労働局と連携しつつ連続的に開催し、面接会場も例えば県民局単位など各地域で実施するなど、執念をもって追求すべきであります。
 もうひとつは、卒業時点で仮に就職できなかった場合は、職業訓練の機会を保障するとともに訓練手当を支給し早期就職への支援を行なうべきであります。
 以上、来春卒業予定の高校生の就職支援について、知事の決意をお聞かせください。

▼答弁▼井戸知事:  高校生の就職支援についてであります。来春の高校卒業者の円滑な就職促進のため、兵庫労働局、県教育委員会と連係して、この8月から9月にかけて主要経済団体等に対する求人枠の拡大要請を行いました。
 この結果、求人倍率は8月末では0.78倍でありましたが、9月末には0.89倍、10月末で0.96倍まで改善し、また、就職内定率についても9月末50%が10月末には、66.8%と着実に改善をみております。しかし、昨年に比べると若干厳しい状態にあります。
 このため、再度の求人枠拡大に向けた要請について準備をすすめておりますし、「就職面接会」につきましても、すでに今月中旬に神戸地域で開催した他、阪神地域、西播磨地域でも計画しております。今後の内定状況を注視しつつ、必要に応じさらに開催回数を増やしてまいります。
 なお、学卒未就職者の訓練は、県が実施する6カ月のOA事務科や国の3カ月や6カ月の委託訓練を実施しているところであります。また、経済的理由により訓練の受講が困難な者に対しましては、国の技能者育成資金等が活用できます。
 この度の雇用戦略会議におきましても、「高卒未就職者に対する接遇・職場体験実習等社会人教育の実施」が提言されておりまして、県としてもこれを踏まえて積極的に取り組んでまいりたいと考えます。

政府の医療大改悪に反対を

■質問■宮田議員:  第3の柱は、福祉・医療についてであります。
 その1つは、小泉内閣がすすめる医療「改革」についてです。医療制度「改革」をめぐっては、厚生労働省や財務省が「試案」を発表。医療制度「改革」関連法案を次期通常国会に提出するとしています。
 その内容は、高齢者医療制度の対象年齢を現行の70歳から75歳以上にし、また、健康保険の患者負担2割を3割に引き上げ、政管健保の保険料値上げ、高齢者医療の総額抑制などその影響は、国民のほとんど全ての階層、年代にわたり、戦後の歴史の中でも前例をみない過酷なものとなっています。とりわけ、10月から介護保険料の倍額徴収がはじまった高齢者にとっては耐えがたいものです。
 今回の医療大改悪に、県民の不安は日増しに高まっています。兵庫県保険医協会がこの9月に70歳以上の患者を対象に行った調査では、政府の医療改悪方針が実行された場合、「受診を手控えがまんする」というお年寄りが7割に達しています。受診抑制は、早期発見、早期治療を困難にし、病気の悪化、進行をまねき社会的費用を押し上げるだけです。
 政府は負担増の根拠として、高齢化による医療費の急増で「国民所得の伸びや経済成長率を大きく上回って急速に増加しており、これを抑えるためにやむをえない」といいます
 しかし、日本の医療費は異常に肥大化しているのでしょうか。対国内総生産比で見ても経済協力開発機構29カ国の中で20位と、その経済力に比べて決して多いとはいえません。医療保険を赤字にした最大の原因は政府が医療費に占める国庫負担の割合を大幅に減らし、老人医療費でいえば1983年の44.9%から、31.9%へ、13%も国の負担を削ってきたからです。これらをあらため、国庫支出割合を元にもどすことが健康保険の赤字を解消する道ではないでしょうか。
 こうした事態をうけ、兵庫県医師会は10月21日、第124回代議員会を開き、医療改悪反対の運動に取り組むことを確認。“社会保障の基本的あり方を無視した医療制度改革に反対する”など3点にわたって特別決議を採択、神戸新聞への一面意見広告、11月4日には県看護協会、薬剤師会など11団体、また、県連合婦人会、歯科技工士会などの後援をえて約1000人が参加する“総決起大会”を開き28万人の署名が集められています。また、全国では署名が500万人を超え、国会請願として提出されています。
国民の生存権と国の責任を明らかにした憲法第25条を否定し、日本社会の基盤をほりくずす小泉内閣の暴挙を何としてもくい止めるため、知事、“「医療改革」を中止せよ”この広範な県民の声を国に届けていただきたいと思います。知事の積極的な答弁を求めます。

▼答弁▼井戸知事:  続きまして福祉・医療問題についてお答えをいたします。
 まず医療制度改革についてであります。国民の生命と健康を支える医療制度は年金制度と並ぶ社会保障の基盤でありまして、これまで世界最高の平均寿命や高い保険医療水準を実現した基本でありました。
 近年の急速な少子高齢化や、厳しい経済状況、医療技術の進歩、医療に関する情報を求める国民の意識の変化など医療をとりまく環境は大きく変化してきております。このような環境変化に対応して良質で効率的な医療を国民が享受していけるようにするため、医療制度を構成する各システムを大きく転換していくことが求められているのではないか、このように認識しております。
 このため少子高齢化社会に対応した医療制度の実現に向け、広く国民の議論に供するため「保険医療システムの改革および持続可能で安定的な医療保健制度の構築」を内容とする「医療制度改革試案」が公表され、その後政府与党「社会保障改革協議会」において関係団体の意見集約を行い、近日中には最終報告が決定される予定となっております。
 いずれにしても年末の予算編成までに成案が得られることとされております。県としては、これまですべての国民が将来にわたり安心して良質な医療サービスを受けることができるよう、国にかねてより要望してきました。今回の改革においても、人口の高齢化に伴って医療費が増大し財政危機に瀕している医療保険の実情を踏まえながら、長期的に国民の安全安心システムの根幹として、国民皆保険制度を維持しつつ、国民のコンセンサスを得ながら適正な負担と給付が確保される本格的な医療保険制度が構築されることを期待しているものであります。このページの上へ

障害者の支援費支給制度

基盤整備をすすめ、サービスを低下させないために

■質問■宮田議員:  この項の2点目は障害者に対する支援費支給制度についてです
 2000年6月、「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する法律」が成立し、社会福祉基礎構造改革の1つとして、2003年4月から、障害者福祉サービスが「措置制度」から新たに利用契約制度、いわゆる支援費支給制度に移行することになりました。
 その内容について政府は、「障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本」とし、「障害者自らがサービスを選択し契約により利用する仕組み」と説明しています。しかし、そのねらいは、介護保険と同様、「措置」から「契約」とする事で、民間企業の参入を促進し、障害者福祉への行政の責任をあいまいにする一方で、国の負担を将来的に削っていこうとするものであります。
 支援費支給制度への移行が迫るにつれ、県下でも障害者、家族の間に「サービスはこれまでどおり受けられるだろうか」など不安の声が広がっています。現状のままでは、介護保険と同じように多くの問題が噴出しかねません。とりわけ懸念されるのが、基盤整備の問題です。
 事業の実施主体である市町の計画が必要なサービスを確保出来るものになっているでしょうか。現在、障害者支援計画の数値目標をもっているのは、市段階では神戸、西宮、芦屋市など7市だけであり、町段階では全くもっていないのが現状です。
 数値目標を持って推進しなければ施設整備、ホームヘルパーの増員の具体化は困難といわざるをえません。市町での障害者計画の策定、推進をはかるうえで、国、県の財政支援は不可欠だと考えます。
 県は、この間「すこやかひょうご」障害者福祉プランを改定しましたが、その到達状況は1999年末現在、例えば市町障害者生活支援事業は、2005年度の目標27カ所に対してわずか3カ所、障害者関係ホームヘルパーについては現在2168人の登録者があり、対応できると言われますが、その内、半分は高齢者等の兼任ヘルパーであり、不足することは明らかです。
 この障害者福祉プランの目標は、1995年に国が定めた低い目標に準じているため、仮に達成しても十分な水準ではありません。
 兵庫県では、身体、知的、精神障害の手帳所持者が20万人を超え県民20数人に障害者1人の割合となっています。しかも障害の重度化、重複化、高齢化がすすみ親の介護力の低下、長引く不況、社会保障制度の連続改悪等によって将来への不安はいっそう増しています。
 支援費支給制度開始にあたって、県として施設整備、ホームヘルパーなどの必要な基盤整備をすすめ、同時に、市町への思い切った財政支援を行い、これまで行なってきた障害者への福祉サービスを絶対に低下させないことを明確にして頂きたい。答弁を願います。

▼答弁▼井戸知事:  障害者に対する支援費支給制度についてお尋ねがありました。
 「すこやか兵庫障害者福祉プラン」の改定を本年9月に行いましたが、これは総合的な障害者施策を展開するため、社会福祉基礎構造改革の一貫として支援費支給制度が導入されることや、障害者の在宅指向の高まり、障害の重度化・重複化、障害者や保護者の高齢化など、新たなニーズや課題に対応した取り組みが求められていることに対応する必要があったからであります。
 「数値目標が低い」とのご指摘でありますが、同プランにおきましては、広域的見地から、市町間のサービス供給体制等の調整をはかる圏域として、県内10の「障害保健福祉圏域」を定めまして、国市町等の推計や障害者のニーズ等を踏まえて施設整備やホームヘルプサービス等についての数値目標を設定したところであります。
 なお、ホームヘルパーにつきましては、養成研修修了者が約5万人にのぼることから、必要数の確保が可能と考えております。今後、圏域ごとにアクションプログラムを定めることとしておりまして、市町ごとに設定することが適切な在宅サービス等については、市町毎の目標も明らかにしながら、その推進にとりくむつもりでございます。
 平成15年4月からの支援費支給制度の導入によりまして、利用者本位のサービスの提供が期待されるところであります。市町と緊密な連係をはかりつつ、今後とも国庫補助制度の活用による財政支援を行い、利用者の選択に応えられるよう基盤整備をすすめいっそうのサービス水準の充実に努めてまいります

国道43号、阪神高速道路の環境対策を強化せよ

■質問■宮田議員:  質問の第4は、国道43号及び阪神高速道路の環境対策について、おたずねいたします。
 尼崎の大気汚染公害裁判は、昨年1月末、神戸地裁における、自動車による汚染物質の排出差し止め判決に続き、大阪高裁では、わずか1回だけの裁判で結審し、ついに昨年12月8日、原告団と国・公団による和解が成立し、12年間に及ぶ裁判闘争は公害患者ら原告団の勝利で終結しました。
 私は、昨年2月県議会において、県当局に対し神戸地裁判決を真摯に受け止め対策を実施されるよう求めました。
 これに対し当局は、「有料道路のロードプライシングについては建設省、公団と連携をとって実施に努め、排ガス浄化装置の装着義務付けについては近畿府県に呼びかけ、実施手法について検討する」と答弁されました。しかし、それ以後、1年余り、抜本的な対策とは程遠い状況であります。
その1つは、この11月1日から緊急対策として試行実施された環境ロードプライシングについてであります。それは、国道43号及び阪神高速神戸線の大型車を湾岸線に誘導するために、湾岸線の通行料を引き下げるというものですが、その下げ率はわずか20%、つまり現行1000円の通行料をわずか200円値下げして800円にするというものです。しかも、対象地域は鳴尾浜料金所以西だけで、それも、大阪方面と通しで通行した場合のみ割引くというもので、尼崎地域は対象外です。
 これでは、現在、国道43号を無料で通行している大型車は湾岸線に迂回すれば逆に800円の負担増となり、その上、迂回に要する時間や燃料の損失も含めるととても出来ないと批判の声が運輸業界などからあがっているのも当然であります。これでは国道43号等における汚染物質削減の効果を期待できないのは明らかではないでしょうか。
こうした、国、県、公団の内容に対して兵庫県と大阪のトラック協会、港湾、建設、運輸に関係する労働組合、尼崎公害訴訟原告団及び弁護団など8団体は現在、5号湾岸線の無料化を求める要望署名に取り組まれております。
 そこで、この環境ロードプライシングについては、真に実効あるものとするため、湾岸線の通行料は、無料化を含め劇的な料金引き下げが必要であり区域も5号湾岸線全域を対象とするなど思い切った対策への転換が必要だと思いますが明確な答弁を求めます。

▼答弁▼斎藤副知事:  国道43号および阪神高速道路の環境対策についてのご質問の内、まず環境ロードプライシングの改善についてお答えをいたします。
 国道43号および阪神高速神戸線の自動車公害に対処するためには、道路構造対策、交通量の抑制、低公害車の普及促進等、関係機関が連係して総合的に推進していくことが必要であると考えておりますが、このたびの「環境ロードプライシング」は、そのとりくみの一貫として、阪神高速神戸線の大型車を湾岸線に誘導する施策の実効性を検証するため試行されているところであり、県としてもわが国初の試みとして注目をしているところであります。
 尼崎市におきましては試行開始以降における、11月の1日あたりの大型車交通量は前月に比べて神戸線は約700台減少、湾岸線は約1000台増加となっております。なお今回の試行におきましては、尼崎市域ではETC搭載の大型車のみが割り引き対象になっています。利便性から見ても今後ETCの大幅な普及が予想されることから、さらに割引きの効果も高まるものと考えております。
 環境ロードプライシングにつきましては、仮称ではありますが「湾岸線の有効利用にかかる検討会」で効果の分析を行うこととされておりまして、県としましては、この結果も見ながら地元行政・住民の意向も踏まえ、阪神公団に具体的な改善策について申し入れをしてもらいたいと考えております

■質問■宮田議員:  この項の2点目は、現在使用されているディーゼル車の粒子状物質の除去装置の装着義務付けについてであります。
 これについては、国土交通省など政府部内に設置されたディーゼル車対策技術評価検討会が今年5月「一律に除去装置装着を義務付けることは困難」との結論を出し、ディーゼル車の所有者が自主的に装着するものについては、国・県で費用の2分の1を補助するという方針をだしました。
 これを受け、兵庫県も入った「京阪神6府県市自動車排出ガス対策協議会」は、「どの車種にも合うオールマイティーな除去装置はない」などとして国の方針に追随した結論を出し、何ら積極的な対策はとろうとしておりません。
 一方、東京都では、昨年12月都議会においてこれまでの公害防止条例を全面改正し「環境確保条例」を制定。粒子状物質に係わる都独自の排出基準を設け、基準に満たないディーゼル車の通行を禁止する措置を規定し、低公害車への買替えや、粒子状物質の除去装置装着を義務付けて都民の健康を守るとしています。2003年10月の施行に向けて粒子状物質除去装置を指定するための審査会もスタートし、すでに適切な除去装置として5社、8件を指定しています。
 また、埼玉県が今年6月議会で条例を制定、千葉県は来年2月議会に条例提案を予定。神奈川県も条例化を含めて検討中と言われ、首都圏では足並みをそろえて強力に進められております。東京や埼玉で出来ることが、兵庫でなぜ出来ないのでしょうか。
 それはまさに知事が、住民の健康と安全を守る立場に立っているかどうかの姿勢の違いであると言わざるを得ません。
 県下の大気汚染は依然として深刻な状況にあり1万人を超える公害患者が現に苦しんでおり、新たな患者も増え続けております。こうした状況をふまえ、先日、尼崎、西宮、芦屋の3市長は連名で県に対して、自動車の公害対策を要望されたところであります。
そこで知事、県が独自にあるいは近隣の自治体と共同して、環境改善に極めて実効あるディーゼル車の粒子状物質の除去装置の装着義務付けを実施するため条例改正を行ない、実施に踏み出して頂くことを強く求めるものですが、明確な答弁をもとめます。

▼答弁▼斎藤副知事:  続いてディーゼル車の粒子状物質除去装置の装着義務付けについてお答えをいたします。
 本年6月に「自動車から排出される窒素酸化物および粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」が公布され、対策を行う対象物質に粒子状物質が追加されたところでございます。この法律に基づきます車種規制は、平成14年5月から施行されることとなっておりまして、一定年数を経過したディーゼル車を対策地域内で登録できないという厳しいものでございます。粒子状物質の排出の少ない最新規制適合車への代替が急速に進み、環境が改善されることとなるものと考えております。
 また、本県におきます浮遊粒子状物質の環境濃度は、近年改善の傾向にございまして、東京都を中心とした関東地域の環境濃度に比べまして、3分の2程度の低濃度で推移をしておりますことから、法に基づく実施状況を見極めた上で改めて判断をいたしたいと考えております。
 県といたしましては、今後この法律に基づきまして平成14年7月に、新たな「自動車排出粒子状物質総量削減計画」を策定いたしまして、低公害車の導入促進事業、粒子状物質除去装置の装着に対する補助事業、最新規制適合車の代替促進事業等の単体対策、および物流、人流、交通流対策等を総合的に実施をする所存でございます。このページの上へ

いまこそ、30人学級編制の実施に足を踏み出せ

■質問■宮田議員:  質問の第5は、教育問題、とりわけ30人学級編制の実施についてであります。 いじめや不登校、学級崩壊、学力の低下、さらに今の不況下での大規模なリストラによる家庭生活への影響など、子どもをとりまく深刻な実態は待ったなしの状況です。
 こうした教育問題を解決するひとつの重要な方策として、少人数学級の有効性がさまざまな実践・研究の中から明らかにされ、全国各地で少人数学級のとりくみが急速に強まっています。
 まず、教育効果を立証したものの1つに、文部科学省が設置している国立教育政策研究所が、今年六月に発表した「学級編制及び教職員配置等に関する調査研究」の報告があります。
 これは、学級規模が生徒の学習状況やクラスでの生活意識にどのような影響をおよぼすかを、全国1万人以上の小中学生の実際に行なった筆記試験やアンケートなどで調査・分析したものです。
 この報告で、注目される1つは、学級規模がもっとも小さな20人以下のクラスが小学校の算数と理科、中学校の数学と理科のいずれでも平均点が最も高かったことです。

 2つ目は、学級生活についてのアンケートで、学級規模が小さくなるほど、「自分はのけ者にされていると感じる」「争いやいじめを見ることがある」と答える子どもが、すくなくなっていることです。
 少人数学級の学習・生活両面にわたる教育効果を裏付けた報告として、マスコミでも大きくとりあげられ、「小規模学級が将来の重要な検討課題として浮上した」と社説で報道したのであります。
 こうした中、全国で、小規模学級を実施する自治体が次々と広がっています。
 山形県知事は、県内すべての小中学校で来年度から30人学級を実施すると発表しました。
 秋田県知事は、多様な個性をもつ子どもたちに対応するため少人数化をすすめると、小学校1・2年の学級を30人学級にしています。
 その他、新潟県、広島、愛媛、鹿児島でも知事がイニシアティブをとって少人数学級の実施にふみ出しています。
 一方、兵庫県では、学級の少人数化でなく、教科の授業を少人数ですすめる「新学習システム」が今年度からスタートしています。
 「わからないところがすぐ聞ける」などの子どもたちの感想や、児童のつまずきが把握しやすく「基礎・基本の確実な定着」ができるという教師の報告など、少人数での学習効果は明らかになっています。
 しかし、問題点も同時に明らかになりつつあります。
 今年2月の県議会で、わが党は“生活集団と学習集団を切り離すシステムでなく、30人学級の実現を”と主張しました。この主張は、先にふれた国立教育政策研究所の調査報告にも合致するのではないでしょうか。
 また、このシステムは、今後5年間の計画で、非常勤をふくめ2000人の教員の加配を計画していますが、計画どおり実現したとしても、小中学校1校あたり、多くて2人、だいたいは1人の教員の配置です。これでは質的にも量的にもごく部分的な改善にならざるを得ません。
 来年度からは、学校週休2日制が完全実施され、さらに短時間で多くのことを教えなければなりません。抜本的な改善としての少人数学級、30人学級編制の実施が、いまこそ、急がれます。
 兵庫県は、これまで“国の動向を見守る”として、教育問題の解決を遅らせてきましたが、全国の経験に学び、国の対応待ちでなく、兵庫県として独自に足を踏み出すべきです。小中学校全体に30人学級編制を実施するには、およそ5500人の教員増が必要といわれていますが、これを3年間で段階的に実施、つまり小学校を低学年から2学年づつ、中学校を1学年づつ実施すれば、初年度は教員増が1800人となり、新任教員を採用すれば、1人400万円で、初年度は72億円の予算で可能です。また、当然一定の施設整備の必要も伴いますが、空き教室等が多数生じていることを考慮すれば、十分に実施できるものと考えます。
 また、このような教員の採用増は、不況下での雇用対策とともに、教師をめざす大学生や高校生に大きな希望と熱意をよびおこすことは、まちがいありません。
ぜひ、この年次計画による30人学級編成の実施への決断をもとめます。これは予算を伴うものであり、教育条件整備に責任をもつ知事の答弁を求めます。

▼答弁▼武田教育長:  私から30人学級編成の実施についてお答え申し上げます。
 学級規模と教育上の効果については、すでに諸外国においても様々な調査研究がなされておりますが、「低学年での学級規模の縮小は有効である」という見解があります一方で、「学級規模と学習効果との間には単純なつながりはない」という調査結果もあります。現在のところ“決め手”となるものがないのが現状でございます。
 また議員ご指摘の国立教育政策研究所によります調査研究におきまして、「学級規模が小さくなることによりまして一定の効果的な傾向は見られるが、教育効果を高める適正な学級規模については、さらに研究検討が必要である」との報告が出されたことは、承知をいたしているところであります。
 県教育委員会といたしましては、こうした国内外の調査研究なども踏まえ、一律に学級編制基準を引き下げるのではなく、児童生徒の発達段階や教科の特性等に応じて、多くの教職員がひとりひとりの児童生徒と関わり、柔軟に多面的なきめ細かな指導を推進するといった観点から、小学校低学年での平均学級規模が30人をこえる学年に副担任を配置することや、高学年での教科担任制の導入また小中学校全体にわたっての少人数学習集団の編成などを内容とする「新学習システム」を、本年度から計画的にすすめているところでございます。
 今後は、各種の調査研究等の推移を見守りつつ、この「新学習システム」を着実に実施していく所存でございますのでご理解いただきたいと思っております。

■再質問■宮田議員:  一点だけ絞って質問します。
 30人学級の問題ですけれども、いま答弁もらいました。
 ひとつは、この決め手になる調査結果がないということで、教育効果を認めようとしないと。ここが問題だと思うんですよ。
 県が今実施している「新学習システム」の今年から始まったわずかな期間の経験でも、子どもたちの感想を見ても、また教師の報告でも「まことにこれは良い」という結果が出ているんですよ。
 だから、そういう報告を真正面から受け止めようとしないことが問題だと思うし、意識的に避けている。私は効果の点では今の実践の例をですね率直に認めるべきだということを指摘したい。
 もう一つは、「新学習システム」でやっていくということですが、これから5年間全部実施をしたとしても、一つの学校に一人ないしは二人しか教員は加配されないんです。それでどうして全学年すべての子どもたちに、きめ細かな教育ができるんですか。これは物理的にも今の新学習システムでは、今の教育問題の解決にはならないということを私は指摘したいと思います。
 それからもう一つ、予算の問題で、平成元年度の予算の一般会計に占める割合を見ますと28.7%を占めている。ところが13年度は22.1%と、6.6ポイントも10年あまりの間に教育予算が割合が下がってきている。これを仮に平成元年度なみに割り合いを増やすとすればですね1400億円も教育予算が増えることになるんですね。そこまで増やさなくても、今の教育予算の割合を、ほんの数%増やすだけで、30人学級は十分にできるんですね。
 ここは知事の決断です。全国でもこういう経験がどんどん生まれてますので、知事がこの30人学級について、真正面から真剣に検討してみるということを、是非お答えいただきたいと思います。

▼答弁▼井戸知事:  30人学級の基本的考え方については、教育長の方からご答弁をしたところであります。
 私、財政的な措置の観点からしまして、ご指摘の点は、財政的な制度の裏打ちがあった上で教育予算が計上されていたわけでありまして、いま宮田しずのり議員がご主張されている点は、財政的制度の裏打ちのない中で、「県独自に実施せよ」ということをおっしゃっておられるわけでありますから、検討項目だろうとは存じますけれど、これだけ厳しい財政事情の中で、なかなか踏み切るには厳しいということを申し上げたいと存じます。

▼答弁▼武田教育長:  ご質問のありました調査結果を認めたらどうかという質問でございますけれども、議員からご指摘のありました「国立教育政策研究所の調査結果」は、確かに学級規模が小さくなることによって、一定の効果これについてはその部分については確かに論及がございますが、調査結果の該当の部分を読んでみますと、「20人以下の学級が他の規模よりも比較的高得点であったり、学習状況やクラスでの生活において望ましい状況がより多く見られるといった調査結果から見れば、現在文部科学省がすすめている基礎学力の向上ときめ細やかな指導を実施するために基本教科で20人程度の少人数指導を可能にする第7次改善計画の推進は、児童生徒の学力向上および望ましい態度形成に資するものである」と書いております。いま文部科学省がやっている第7次改善計画、これをさらに一歩すすめたものが、先ほどから説明している兵庫県の「新学習システム」でございます。これの実施が調査結果で裏打ちをされているのであります。
 「この結果について認めない」というのはおかしいと言うのは、「まだ引き続き調査する」と言っておりますから、われわれはそれを見守りたいと、こう申し上げておりますので、ご理解をいただきたいと思います。

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