議会報告

  • 2020年03月25日
    本会議

    第347回本会議 請願採択を求める討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の請願のうち請願第11号、第13号ないし第15号について採択を求め、以下その主な理由を述べます。

    まず、請願第11号「選択的夫婦別姓の導入へ、一日も早く民法改正を求める意見書提出」については、総務常任委員会で自民党以外の賛成で採択され、本会議での採択が強く求められています。

    1996年に、法制審議会が選択的夫婦別姓の導入を含む民法改正の答申を出してから24年がたつにもかかわらず、選択的夫婦別姓はいまだに実現していません。夫婦別姓問題は、ジェンダー平等にかかわる問題です。

    世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダーギャップ指数で、2019年、日本は153か国中121位で過去最低を更新、G7では断トツの最下位です。

    遅れの一つが夫婦別姓問題です。世界で夫婦同姓を義務付けている国は日本だけです。婚姻の際どちらの姓を選んでもよいとされていますが、姓を変える96%は女性です。これは、戦前の男尊女卑の「家制度」に組み込まれた女性差別の構造が戦後も引き継がれている一つの表れです。

    婚姻の際の改姓により、例えば仕事で知名度や信頼度を築いてきた氏名は、知的財産と言えますが、氏名を変えることにより様々な不利益を受け、精神的な負担は大きいものがあります。

    選択的夫婦別姓を求める声は年々大きくなっており、今年1月28日付け朝日新聞の世論調査で69%が賛成。政府の調査では、結婚する人が一番多い30代で84%が賛成で圧倒的賛成という結論が出ています。稲田朋美自民党幹事長代行が室長を務める自民党の「女性議員飛躍の会」も選択的夫婦別姓の実現を求めています。2月27日に行われた「選択的夫婦別姓を求める院内集会」に自民党国会議員も参加し、実現を求める声を上げています。地方議会での選択的夫婦別姓を求める意見書採択数は、3月23日現在、大阪府を含め4府県、87市区町です。3月23日、西宮市議会が採択し、川西市議会は26日に採択の予定です。県議会でも採択が求められており、本会議での採択を強く主張します。

    次に、請願第13号「公立・公的病院424病院への「再検証」要請の撤回を求める意見書提出及び地域医療の拡充を求める件」についてです。

    今年1月に厚生労働省は、地域医療構想実現のため、公立・公的病院の統合再編・病床機能転換のための「再検証」を要請し、兵庫県は県立粒子線医療センターを含め16病院が名指しされました。

    今回、厚労省が名指しした公立・公的病院は、いずれも地域になくてはならない医療機関であり、民間病院では不採算のため受け入れにくい診療科などを担う医療機関も多く、全国一律・機械的な基準で統合再編・病床機能転換の対象として病院名公表を行う「再検証通知」は、地域の実情を全く無視した国からの圧力そのものであり、地方自治や地域主権からも認められるものではありません。

    また、新型コロナウイルス問題の先行きが見えない中で、感染症病床や入院病床確保、帰国者・接触者外来の設置など、改めて地域で急性期医療を担う公立・公的病院への期待と役割がますます高まっています。一律・機械的な基準により統合再編・病床機能転換の対象とされた公立・公的病院に対する「再検証」の要請を撤回するよう国に求め、いつでもどこでも必要な医療が受けられるよう地域医療の拡充を求める本請願の採択を求めます。

    次に、請願第14号「(自家増殖を原則禁止とする)種苗法改定の取り下げを求める意見書提出の件」についてです。

    政府は、3月3日に種苗法「改正」案を閣議決定しました。同「改正」案は、これまで認められてきた種子や苗木の自家増殖を「許諾制」という形で事実上、一律に禁止するもので、農家にとっては種子を毎年購入しなければならないと同時に許諾手続きや費用など、日本の農業を支える圧倒的多数の小規模農家にとっては新たに大きな負担が発生することになります。これは農家の経営を圧迫し、ひいては地域の農業の衰退を招きかねません。「国連家族農業の10年」開始の前に採択された国連の「小農の権利宣言」は、種子の自家増殖や利用などは農民の権利と明確に定めており、「改正」案はその精神に反するものです。

    農水省は今回の「改正」が「日本国内で開発された品種の海外流出防止のため」であることを強調していますが、海外への登録品種の持ち出しや海外での無断増殖をすべて防ぐことは物理的に困難です。有効な対策は農水省自身もかつて認めていた通り、外国のその国の法令に則って品種登録を行うことです。それが育成者の権利を守る唯一の方法であり、日本国内の農家の自家増殖を禁ずる必要性はありません。国内農家の自家増殖(自家採種)を原則禁止にしていくことは、農民の種子への権利を制限し、日本の農家に代々受け継がれてきた在来種による農作物の多様性と持続可能な農業を失わせることにつながります。今やらなければならないのは、伝統的な農業や地域品種など多様な種苗を掘り起こし、広げる援助をすることです。また、地球規模での気候変動による食料不足が心配される中、食料自給率の低い日本においては食料安全保障の観点からも、請願趣旨に賛同し、「種苗法」改正を取りやめることを求める請願の採択を強く求めます。

    最後に、請願第15号「学校給食のパン・うどんに国内産小麦を使用することを求める件」についてです。

    現在、日本の小麦の自給率は農水省によると2018年で14%、大半をアメリカ・カナダなどからの輸入に頼っています。パンに使われている小麦粉の99%が輸入小麦であり、学校給食のパンやうどんも輸入小麦に頼っているのが現状です。

    輸入小麦は、収穫前に除草剤散布されるプレハーベストが続けられてきた結果、除草剤・グリホサートの残留が増えています。農水省が2017年に行った調査では、グリホサートの検出率はアメリカ産で97%、カナダ産では100%でした。国産の小麦からは検出されていません。

    グリホサートは2015年にWHOの専門機関である国際がん研究機関によって発がん性物質に分類されました。オーストリアやチェコでは使用禁止、ベトナムでは輸入を禁止するなど世界は規制の動きを広げています。しかし日本政府は2017年、輸入小麦の残留農薬基準を5ppmからアメリカ基準の30ppmに規制緩和しました。

    2019年4月に農民連食品分析センターが公表した「輸入小麦を使用した食パンのグリホサート残留調査」では、100%グリホサートを検出しました。さらに、新日本婦人の会が同センターに依頼した学校給食パンの調査でも、アメリカ、カナダからの輸入小麦使用のパンからは全てグリホサートが検出され、国産小麦のみ使用のパンからは検出されませんでした。

    学校給食は、子どもたちの健康、成長のために大変大事であり、栄養バランスはもとより安全性の面からも、学校給食のパン・うどんには、国産、兵庫県産小麦を使用することが求められます。よって本請願の採択を強く主張します。

    以上、議員各位の賛同をお願いし、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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