議会報告
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PCR検査の対象者拡大、それに伴った医療・保健体制の強化を求めてお伺いします。
中国の疫学検査数は約32万件、韓国は25万件、イタリア8万件に対し、日本は3万2千件と、報道されています。
国内で検査件数が少ない理由は検査対象者が制限されているからです。厚生労働省は3月12日に「積極的疫学調査実施要領について」を都道府県に周知しました。この要領では「原則として無症状の濃厚接触者は新型コロナウイルスの検査対象とはしない」としています。兵庫県も原則としてこの立場です。
しかし、国内では、新潟県が濃厚接触者であれば症状が出ていない場合でも積極的にPCR検査を行っています。院内クラスターが発生した国立病院機構大分医療センターでは、センター職員や入院患者ら計約600人全員のPCR検査を順次実施する。と発表しました。院内クラスター封じ込めに成功した和歌山県でも濃厚接触者の経路を徹底的に追求しPCR検査を実施しました。
一方で、日本医師会は新型コロナウイルスの感染が疑われる患者の検査について、医師からの依頼を保健所に拒否されるなど不適切な事例が、26都道府県で計290件、兵庫県でも27件あったことを明らかにしています。共産党県議団に寄せられた相談には、「感染者の家族であり濃厚接触者であっても、症状がなければPCR検査の対象にはならない」と、検査を断られたとの事です。この相談者は介護従事者でもあります。もちろん自宅待機にはなりますが、感染拡大を防ぐには、こうした濃厚接触者の検査が必要です。
国内でPCR検査が進んでいない理由として、「濃厚接触者であっても症状が出ていない状態では反応が出にくい、感染しにくい」ということが一つに挙げられています。しかし、イギリスの国際研究グループは米科学誌「サイエンス」に研究結果を発表し「中国でコロナウイルスが急速に拡大したのは無症状や、症状が軽くて感染者であることが見逃されていた人からの感染が主な原因だった」との、研究結果を発表しています。同様の研究結果は米テキサス州大学でも発表されています。
検査が進まない二つ目の理由に、検査機器、検査人員の不足、また軽症でも陽性反応が出た場合には入院が必要となるため、陽性反応者の入院病床不足などが挙げられています。
PCR検査は6日から保険適用されましたが、6日から16日までに行われた検査1万4275件のうち、保険適用の検査は19日現在で1日平均37件、に留まっています。民間や大学での検査が進んでいないという事です。本議案では、新型コロナウイルス感染症対策協議会を設置し、「検査体制の広域間調整ルール」を検討する。とあります。しかし広域間調整に、民間医療機関は含まれていないと伺っています。民間医療機関も含めた調整会議が必要です。
安倍首相は18日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、ウイルス検査について「2種類の簡易検査機器の開発が本日終了した。これまで6時間かかっていた検査を1時間程度に短縮する」と明らかにしました。こうした新たな検査機器を導入し、民間医療機関も含めた検査体制の整備、既存検査機関の充実も併せた検査体制の強化が必要です。
県は感染者の入院病床確保目標を254床としていますが、18日時点で確保した病床は154床、感染入院者は84名と伺っています。県病院局は18日夜、ICU病床が感染者によって満床となったとして県立加古川医療センターの救急受け入れを制限しました。県立尼崎医療センターでもICU病床が埋まりつつあるとお伺いしています。通常の医療にも大きな影響が出ています。重症、軽症、無症状のそれぞれ陽性患者の棲み分けと病床確保が必要です。県有施設、閉鎖病院の活用なども含めた、早期の病床確保が必要です。
爆発的感染を防ぐためには、陽性患者を速やかに見つけ出し囲い込むことが何よりも有効です。検査体制の強化を速やかに行い、少なくとも感染による重症化が指摘されている高齢者、或いは医療・介護・福祉関係スタッフ、また集団感染が確認された施設の利用者、スタッフについては症状が出ていない場合であっても濃厚接触者についてはすべて検査対象とすべきです。
そこでお伺いします。
爆発的な感染者拡大を防止するためにも検査対象者の拡大を求めます。それに伴い民間医療機関も含めた広域的な検査体制の整備、既存検査機関の充実・強化を求めます。また、県有施設や閉鎖病院なども活用した無症状・軽症感染者の病床確保など抜本的な体制強化を求めます。
答弁:井戸敏三県知事 検査について、これまでは肺炎患者や流行地への渡航履歴のある人等を対象としていたが、現在、基本的に医師が新型コロナウイルス感染症を疑った場合は検査対象としており、重症化リスクを考慮にいれた優先順位を判断して、県内4カ所の研究所で実施するほか、状況に応じて他の検査機関とも連携して必要な検査を行っている。検査試薬についても、すでに確保した1,000人分に加え、今回14,000人分の予算を確保し、順次追加購入を行うなど検査体制の強化も図ることとした。
また、医療体制については、感染症専用病床54床に加え、一般病床でも入院対応できるよう重症化対策や感染症予防策が講じられた病床を既に150床確保した。今後の患者の増加に備え、更なる病床を確保するため人工呼吸器の整備や個人防護具等の配備支援を行っていく。
患者が増大し、重症者等に対する入院医療の提供に支障をきたすことも想定しておく必要がある。ご提案の県有施設や閉鎖病棟等の活用については、入院医療体制を守るという意味において一定の役割がある。しかし、閉鎖病棟については職員や機器等の受入体制を構築する必要があり、県有施設の活用はそれに加え、風評被害の発生やその対応、休業補償など様々な課題もあるのではないと考えている。
県では、そのような状況に備え、国とも協議のうえ、無症状者及び軽症者については、自宅での療養も視野に入れ対応していく。
引き続き、関係機関と連携し、新型コロナウイルス感染症の早期発見を進める検査体制と医療体制の充実に取り組んでいく。