議会報告

  • 2020年03月17日
    予算・決算特別委員会

    2020年度予算組み替え案 提案説明 ねりき恵子

    日本共産党県会議員団のねりき恵子です。日本共産党の2020年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。

    知事は、予算提案説明で「平成の時代に取り組んだ行財政構造改革。その目標を達成したとはいえ、本県の財政環境は依然として厳しい状況が続きます。予算編成に当たっては、選択と集中を徹底し、取組の重点化を推進しました」とおっしゃいました。
     本予算案は、消費税の10%増税により、10~12月期の国内総生産(GDP)改定値が、実質で前期比1.8%減、年率換算で7.1%減と大きく冷え込み、中小企業の業績悪化、県民の消費も所得も冷え込んでいるもと、何ら有効な施策を示されていません。
     「選択と集中」という掛け声ですすめようとしているのは、パナソニックの破綻で失敗が明らかになった企業誘致のための産業立地補助金を海外企業にも適応できるよう拡充させ、関西万博やカジノを見込んだ海外誘客をすすめようとするもので、県経済の要である中小企業への支援はきわめて不十分です。農業分野では、TPP対応のためと称した大規模化、法人化の促進ありきで、農業の根幹を支える小規模営農への支援が届くものになっていません。
     空港や基幹道路では、新たな投資事業を起こす一方で、社会保障を抑制し、医療・福祉分野をいっそう削減する予算となっています。
     日本共産党県議団は、県提案の2020年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる提案として、20年連続となる、予算組み替え動議を提出するものです。

    組み替えでは、まず全体の規模は、一般会計で見直しが必要な事業85項目、合計369億円(約2%)を減らし、そこから生み出された一般財源、特定財源、基金繰入など約124億円を、新型コロナウイルス感染症緊急対策、気候変動対策、子育て・高齢者への支援、教育の充実、中小企業、小規模農業支援など36項目の増額に充当しています。
     また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、200億円抑制しています。

    それでは、主な内容について説明いたします。
     第1の柱は、新型コロナウイルス感染症対策です。
     知事提案の2020年度当初予算案には、コロナウイルス感染症対策についての予算は、1円も計上されていません。組替え提案では、厚生労働省に名指しされた公立・公的病院の病床数削減、ダウンサイジング支援のための予算、予備費などを削減し、検査・医療体制の充実、医療資材の確保、打撃を受ける中小企業、フリーランス、非正規など労働者への支援、教育環境整備、学童・放課後デイなどでの支援員確保など緊急の新型コロナウイルス対策の手立てを充実させるための予算として、12億6000万円を計上しています。

    第2の柱は、地球規模の気候変動対策です。
     いま、地球規模の気候変動をめぐって、もはや問題の先送りは許されない非常事態――文字通りの「気候危機」に人類は直面しており、2050年までのゼロカーボンへの取り組みは待ったなしの課題です。
     そのために組替提案では、気候非常事態宣言・石炭火力禁止条例検討・調査費を新規で計上し、2020年度中に気候非常事態宣言を行い、県の兵庫県地球温暖化対策推進計画の2030年温室効果ガス削減目標を1990年比50%にして、石炭火力発電の新設禁止など具体的方策を示します。また県の自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費として600万円を計上。
     これまで私たちが求めてきた「家庭における省エネ支援事業」「住宅用太陽光発電設備設置補助事業費」は、それぞれ対象件数を引き上げる増額を行いました。

    第3の柱は、子育て支援を強めるための組み替えです。
     兵庫県は、8年連続社会減が続き、昨年は、全国ワースト4位になるなど、全国でもつねに低い水準になっています。
     明石市は、子どもの医療費の中学3年までの無料化など子育て施策を強めるなかで、合計特殊出生率は、兵庫県の1.42%を大きく上回る1.70%まで(2018年)まで引き上げています。
     こうした取り組みにも学び、こどもの医療費は、県制度として、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化にするため、約61億円の予算を増額しています。
     高すぎる国民健康保険料引き下げるため、子育て施策として、18歳未満の子どもの均等割を県負担1/2、市町負担1/2で減免する制度を創設し、12億円を計上しました。
     また第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、1億7600万円増額しています。 待機児童解消の対策の一つとして、民間社会福祉施設運営交付金を8000万円増額し、保育士の処遇改善などにあてます。

    第4の柱は、医療・福祉分野への支援を強めるための組み替えです。
     とくに行革で削られた福祉医療制度の復活をおこないます。
     老人医療費助成制度を復活させ、重度障害者(児)の医療費助成は、所得制限の世帯合算方式をやめる予算に増額します。難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
     老人福祉対策として、一昨年、意見書として国に提出した加齢性難聴者補聴器購入補助について県制度を制定し、1人あたり平均4万円を5000人に補助できるよう2億円を計上しました。
     知事提案の新規事業で介護従事者、保育士などの奨学金返済支援を行う社会福祉法人就業者確保支援事業費は、対象人数を40人から100人にするために約355万円を増額しました。
     また看護師確保事業として、看護師学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。

    第5の柱は、教育分野の支援を強めるための増額予算です。
     高校、大学などの高学費によって苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
     国の学費無償化制度がスタートしましたが、対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。
     県として大学生向けの給付型奨学金制度を創設し、年間36万円を750人分に給付するため、2億7000万円計上しました。
     私立高校の授業料軽減補助について、国の私立高校無償化措置に県として上乗せし、年収590万未満世帯者は、兵庫県の平均授業料40万8000円が補助され、730万未満世帯で21万8800円、910万円未満世帯で16万8800円が補助されることになっています。しかし、昨年から総額で約2億2千万円減額されていることから、年収590万世帯~910万円未満世帯にそれぞれ補助を2万円上乗せするとして、1億5450万円を増額します。
     さらに現在、小学4年生で止まっている35人学級を6年生まで実施するため約11億1500万円を増額しました。
     なお一昨年、外国人学校振興費補助の要件を見直し、朝鮮学校6校などの教育充実分が削減されていますが、県が推進する多文化共生社会に反するもので、減額をやめ、2700万円を増額する提案をしています。

    第6の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
     とりわけ中小企業に対し、融資ではなく直接支援が必要と考え、施策の充実をはかりました。
     ひとつは、来年度は男女共同参画プランの改定年度でもあることから、女性の就業者向上と男女賃金格差解消の支援制度として、ワークライフバランス・男女賃金格差解消促進中小企業支援事業費として、2億円計上しました。
     また「兵庫型奨学金返済支援制度」は、京都府との連携が行われているので、1人当たりの支援額を京都なみにするために、4500万円を増額しました。
     また県内市町でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2千万円を計上しています。
     中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
     農業について、兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。とくに中山間地の小規模農家を支援するために、新潟県でおこなわれているサポート事業にも学び、小規模農家公的サポートモデル事業として、5000万円の予算を確保しました。

    第7の柱は、過大性や問題点を見直した公共事業や、大企業呼び込みのための産業立地補助金など削減した予算についてです。
     採算がとれないまま2000m級の滑走路延伸などが検討されている但馬空港など空港事業については、全体で、約10億6000万円を削減、新たに計上された東播丹波連絡道路関連調査費、大阪湾岸道路西伸部整備事業や西伸部展望台、播磨臨海地域道路など基幹道路、園田西武庫線などの道路関連事業費について約140億円、国が負担すべき国直轄の公共事業について約88億円を削除しました。
     本社などの呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退によって、失敗が明らかになっている新規産業立地促進補助約18億円を削除しました。
     また、リーディングプロジェクト推進費、地域創生推進事業費は、一部の事業を見直し、あわせて約3億3000万円減額しました。
     不公正な同和行政が残る事業、部落差別固定化の懸念がある部落差別解消推進法にもとづくパンフレット作成費、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
     県会議員の海外視察についても友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなどの簡素化で半減しました。

    以上が予算組み替え提案の主な内容です。
     今年は、阪神淡路大震災から25年の節目の年です。委員会でも取り上げましたが、被災者生活再建支援法の抜本拡充、防災・減災事業のさらなる充実で、災害に強い日本と兵庫をつくるとともに、コロナウイルス感染症対策に万全を尽くし、県民の命を守り、福祉・くらし、子育てなどを充実させ、だれもが安心して暮らせる兵庫県となるよう委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、日本共産党県会議員団の提案説明を終わります。
     ありがとうございました。


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