議会報告

  • 2019年12月13日
    本会議

    第346回本会議 請願討論 きだ結

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の請願のうち請願第7号ないし第10号について、不採択ではなく採択を求めて、討論いたします。

    まず、請願第7号「社会福祉事業の職員配置基準の抜本的引上げを求める意見書提出の件について」です。

    請願要旨にある通り、福祉職場では長時間、過密労働から離職者が後を絶たず、募集しても応募がないために、長期間に渡る欠員状態が広がっています。

    これでは、利用者の安全・安心を守ることはできず、憲法第25条で保障されている「健康で文化的な生活を営む権利」が奪われています。

    また社会福祉事業を担っている労働者も長時間労働のため家庭生活の時間が奪われ、低賃金で将来の見通しがもてず、「健康で文化的な生活」を営む権利が奪われています。さらに、訪問介護事業などではいわゆるワンオペ状態で、ハラスメントを受けている介護労働者が多いことが社会問題になるなど、労働者の人権も守られていないのが現状です。

    兵庫県でも、保育士・介護士など福祉職場の人手不足と離職率の高さは深刻です。

    根本的な解決には、国が、社会福祉事業に関わる職員の処遇の改善と配置基準の引き上げによる労働環境の改善が必要です。

    よって、社会福祉事業に関わる職員配置基準を抜本的に引き上げ、それに見合う予算措置を講じることを求める本請願の要旨に賛同し採択を強く求めます。

    次に、請願第8号「障害児の豊かな教育のため条件整備を求める件」についてです。

    本請願には、子どもたちの豊かな発達を願う会代表ほか1万3216名の署名が寄せられています。

    障害者権利条約につづき障害者差別解消法施行により、合理的配慮の提供が国や自治体に義務付けられ、すべての人が住みやすいインクルーシブな共生社会の実現に向けて、社会全体の意識は変わりつつあります。本県でも「兵庫スマイル条例」が策定されました。その一方で、近年、障害者の命や尊厳が傷つけられる事件が兵庫県も含め起こるなど、まだ多くの課題が残っています。教育においては、養護学校の義務制実施から40年を迎え、改めてすべての子どもがそれぞれの発達に応じた教育を受け豊かな人生を送れるよう様々な課題を改善していく必要があります。

    年々、一人ひとりを支援する多様な学びの場を求め、特別支援学校への入学希望者が増加しています。西神戸高等特別支援学校が開設されましたが、阪神間・東播地域の学校の教室不足と過密状況は依然解消されておらず、長時間通学を余儀なくされている児童、生徒も少なくありません。プレハブ教室を建てたり特別教室を普通教室に転用したりしていますが、豊かな教育を保障することにはほど遠く、教育条件の悪化は深刻です。

    また、寄宿舎についても、教職員は一人ひとりにきめ細かい指導を進められていますが、設備面ではトイレの手すりがなかったり、防犯設備が不十分なところがあり、夜間でも安全で安心して生活できるよう施策を充実すべきです。

    劣悪な教育環境が改善されないのは、そもそも特別支援学校には、小中学校や高等学校にある面積など施設の設置基準がないからで、施設基準を設けるべきと考えます。

    通常の小中学校でも特別支援学級で学ぶ児童生徒数は増え続けていますが、定員が1学級定員8人であるため、一人の担任で丁寧なかかわりを持つことは困難です。よって障害があっても、豊かな教育が保障されるよう、特別支援学校の新設や建て替え、寄宿舎の安全対策、安全な通学に寄与するスクールバスの配置、通常学校の特別支援学級の1クラス当たりの定員を減らすなどを求める、本請願に賛同し、採択を強く求めます。

    次に、請願第9号「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。

    本請願には、兵庫私学助成をすすめる会会長外6万8121名の署名が添えられています。

    私立学校は建学の精神に基づき設立され、特色ある教育を行い県民の教育要求にこたえると同時に、公教育の一翼を担っています。現在、兵庫県内の私立高校で学ぶ生徒は、約36,000人となっています。

    一方、私立学校の教育条件整備等の多くは、保護者の学納金負担に因っており、私学の学費負担は大変重いものがあります。2010年から始まり、2014年度に加算支給額と対象世帯を拡大した国の就学支援金制度と2014年度から実施された「奨学のための給付金」により、学費の公私間格差は一定程度縮まりました。さらに、2019年度には、県補助制度の一部を見直し、年収590万円未満世帯までの県単独加算を増額するなど制度の改善がはかられてきました。しかしながら、兵庫県においては、2018年度の私立高校の学費は、平均60万5.929円、入学金を加えた初年度納入金は、平均84万3,814円で東京、神奈川についで全国第3位の高学費となっており、国の就学支援金と県の授業料軽減補助が支給されても学費負担が引き続き残り、生活保護世帯でさえ、授業料以外の納付金をカバーすることができていません。年収500万円未満程度の世帯まで授業料がほぼ無償化され、さらに納付金の9割がカバーされている隣の京都府に比べても学費負担が非常に重いものとなっています。

    請願の要旨にもあるように、2020年4月から、国の高等学校など就学支援金制度が大幅に拡充され、590万円未満世帯まで、私立高校授業料相当額が補助される見通しであり、これを機会に、兵庫県ではこれまでの県単独予算を減額しないことはもちろん一層の拡充が強く求められています。

    よって、県に私立学校の学費減免補助制度の拡充や経常費補助の増額を求め、国に私立中学校等修学支援補助金の制度的拡充を求める本請願に賛同し、採択を強く求めます。

    最後に、請願第10号「全ての子どもたちへの行き届いた教育を目指し、35人学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善を求める件」についてです。

    本請願には、行き届いた教育を求める全国署名兵庫県推進委員会代表ほか2万3671名の署名が寄せられています。

    35人学級は、わが党が本会議、委員会などで繰り返し求めているものです。兵庫県は全国に先駆けて2004年に小学1年生に35人学級を導入し、2008年に小学4年生まで拡充しましたが、それ以降は止まったままです。近隣府県では、鳥取、岡山、香川、徳島、滋賀、京都、和歌山で一部30人学級も導入しながら小1から中3まですべての学年で少人数学級になっています。奈良県では小1から中3まですべて30人学級です。いわゆる「中1ギャップ」が問題になっていますが、中学1年の少人数学級を実施していないのは、全国で大阪、広島、熊本、兵庫の4府県だけです。欧米ではOECD平均で小学校が21.6人、中学校が23.7人であり、少人数学級は世界の流れです。国会でも全会一致で「小中学校の35人学級の全学年実施」を決議しました。

    少人数学級については、文科省も「よりきめ細やかな指導が可能になり有効な施策」だとしています。新設された「少人数指導等の推進のための基礎定数」を活用するなど、県として早期に小学5,6年生、中学、高校の35人学級の実現を求めます。

    また、教育費の負担は、学費をはじめ教材、制服、修学旅行、学用品、部活動など大変重く、公立小学生で年平均約10万2000円、公立中学生は約16万7000円です。教育は子どもが人間らしく生きてゆくための重要な権利であり、家庭の経済力に関わらずすべての子どもたちに豊かに保障されるべきです。

    教育の機会均等を謳った憲法第26条の立場、2012年に高校や大学の無償化を求める国連人権A規約を承認したことからも、教育費の負担軽減、公立私立問わず高校の学費無償化を具体化すべきです。国へ制度的保障を求めるとともに、県として予算を保障し、お金の心配なく学べる教育環境を整えることは喫緊の課題です。

    私学助成の拡充、返済不要の給付型奨学金制度の創設、特別支援教育の充実も非常に重要です。全ての子どもたちに行き届いた教育環境を求める本請願に賛同し、採択を強く求めます。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。

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