議会報告
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■台風21号被害の一部損壊の適用範囲拡大について
庄本えつこ委員 日本共産党の庄本えつこである。
被災者生活再建支援金について、まずお伺いする。
自然災害によって家を失うことは、生活の場を失うことである。住宅再建支援は本当に不可欠であると思っている。そして、半壊であっても一部損壊であっても、行政が生活再建のための応援をすることは、本当に大切だと思っている。
昨年の豪雨や台風による被災者のために、共産党議員団が要望した県独自の生活再建支援金制度を創設したことは、大変評価しているところである。
昨年の7月豪雨災害、台風21号による全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊世帯数と、その支援金の申請数、支援金制度の活用実績を、まず教えていただきたいと思う。
〇答弁:復興支援課長(芳永和之) ただいまご質問にあった昨年度の平成30年7月豪雨水害、それから台風20号・21号の県単支援金の支給実績、支給見込み、それについてお答えする。
支給実績については、県単支援金は事業スキームとして、まず市町で被災者に支援金を支給してもらい、市町が支給した支援金総額の3分の2を県が該当市町に対して補助金として交付する形となっており、昨年12月に各市町に聞いたところである。
平成30年度は、全体で244世帯、支給額は4,315万円を予定しており、次年度以降は、平成31年度であるが118世帯で2,395万円を予定している。
庄本えつこ委員 今お答えいただいたのだが、被災世帯の数からすると、相当、被災世帯がこの支援金制度を受けられないという数字だなと思った。特に一部損壊の場合、損壊割合が兵庫県の場合10%以上というハードルがあるために使えない人が圧倒的だと思っている。
尼崎の実例を紹介したいのだが、例えば台風21号では、一部損壊が尼崎では1,316件あったが、その支援金を受けたのは、たった26件である。
今日もまたパネルを用意したので見ていただきたいと思う。
(パネルを提示)
これが西川にお住まいの方の台風21号で隣の屋根瓦が飛んできて、自宅の屋根の瓦が割れた。風にあおられて瓦がはがれてしまった。これが瓦がはがれたところと、また、こちらはこの部分である、鬼瓦だと思うが。
これにより雨漏りがすごくなり、天井板にも雨がたまるなどの被害を受けた。しばらくすると天井がぶよぶよになって、カビが生えてきそうになったということである。
支援を受けたいと市に申し込んだが、これで損壊割合は4%だということで対象にはならなかった。自費で直された。瓦は隣から飛んできたということもあり、瓦の部分は隣の人が持ってくれたが、それ以外に掛かった費用が17万円だった。瓦の分も入れたら結構なお金が掛かったはずだと思っている。
(パネルを提示)
別の尼崎市今福にお住まいの方は壁がはがれた。こちらは11%で支援金を受けることができた。災害募金と合わせて20万円の支援金を受け取ることができて、大体20万円で直せるということで、大変喜ばれている。
4%損壊でも11%損壊でも補修に掛かる費用はほとんど変わらないし、被災そのものは本当に雨で大変なことなのだが、支援金制度が使えないというのは大変、不公平ではないかと思っている。
そこでお伺いするが、京都府には地域再建被災者住宅等支援制度がある。国の被災者生活再建支援法と合わせて使えるなど、兵庫県の制度と比べると相当優れている。その中でも一部損壊支援に10%条項はない。兵庫県の制度も一部損壊の10%条項はなくして、必要な世帯が使えるようにすべきだと思うが、いかがか。
〇答弁:復興支援課長(芳永和之) この件について、過去にも答弁させていただいたが、被災者の住宅再建の促進については、自助・共助・公助が相まった制度が基本であると考えている。
本県では、ただいまご示唆があった京都府ほか、他府県にはない独自の住宅再建支援制度として実施しており、このような状況も勘案して、公助として県単独の支援金の内容を検討すべきものと考えており、ご理解いただければと考えている。
庄本えつこ委員 理解できない内容なので質問を繰り返しているわけであるが、元鳥取県知事の片山善博さんは、2000年の鳥取県西部地震で個人住宅の再建のために県独自で300万円を支給することを決められた。地震のわずか10日後の決断であり、翌日には記者発表をされている。
当時、国は阪神・淡路大震災の被災者に対し、個人補償は憲法上できないとしていたのを、片山元知事は、憲法の第何条に書いてあるのかと国に問い、憲法のどこにも書いていない。憲法違反ではないと、公費での住宅再建支援をされた。全壊・半壊などの条件を付けず、所得の大小など一切問わないものだった。
その結果、もともと住んでいたところでの住宅再建ができ、1人もその地を去ることもなく、孤独死とか自殺もなかったということである。翌年の2001年には、この支援に液状化復旧も補助対象に追加して、早期復旧を図ったとのことである。
片山元知事は、誰のために何の目的で仕事をするのかということだとおっしゃっている。つまり、前例がなくても、あるいは既存の施策がなくても、切実で痛切な要求があれば、それを実現するために、ありとあらゆる法等を探り出して道を付けていく。これが知事を含め政治家の使命だということではないだろうか。
そこでお伺いする。今回の被災で一部損壊がこれだけの規模であったのに、支援を受けられないままであるのは本当にいかがなものかと思う。片山元知事のように、前例がなくても、あるいは既存の施策がなくても、切実で痛切な要求があれば、それを実現するために、ありとあらゆる法等を探り出して道を付けていくことこそ、阪神・淡路大震災を体験した兵庫県がやるべきことではないだろうか。
改めてお聞きするが、一部損壊の損壊割合が低くても、支援の強い要望に応えていただきたいのだが、いかがか。県民の生活再建のために、切実な要求を実現する立場に立ってお答え願う。
〇答弁:復興支援課長(芳永和之) 県としては、基本的な考え方として、いわゆる住宅再建等については、自助、共助、公助が相まって進めることが必要だと考えている。
今、話のあった一部損壊の世帯については、自助の範囲と基本的には考えている。
一部損壊といっても、1%から20%ということで被害程度はかなり幅広い。そういった中でも、一部損壊の被害程度の多い住宅が多数出るような災害では、やはり速やかな地域の復興が必要と考え、県では必要に応じて、いわゆる半壊の下限の2分の1である10%以上の住宅を対象に、県の施策として支援しているということである。
ただ、自助・共助・公助、それぞれについて、限界があるので、そのミックスで進めていくことが肝要だと考えている次第である。
庄本えつこ委員 10%条項をぜひなくしていただきたいということをもう一度、申し上げたいと思う。
次に、国の被災者生活再建支援法について、お伺いする。
自然災害による住宅被害は、一部損壊が本当に多い。兵庫県の7月豪雨、台風21号の被災世帯数は、先ほどの答弁にあったが、2016年の熊本地震では20万6,000棟の住宅被害のうち、一部損壊が78.8%、大阪北部地震では5万8,000棟のうち、実に99.1%が一部損壊だった。
国の被災者生活再建支援法では、全壊、あるいは大規模半壊世帯が支援対象で、半壊、一部損壊は対象外。先ほども申し上げたが、一部損壊への支援が国にはなく、兵庫県は10%条項があるということで、いまだに尼崎でもブルーシートが外されていない家がある。
阪神・淡路大震災で被災住宅の調査に当たった神戸大学大学院の平山洋介教授は、「近年、多発する災害を超高齢化がより深刻なものにしている。一部損壊でも暮らしへの影響は大きい。現実には年金しか主な収入がないお年寄りが高額の修繕費を賄うのは難しい。それが住宅再建を遅らせている要因だ。今後ますます超高齢化が進む。国は一部損壊の修繕費へも支援を検討する時期に来ている」とおっしゃっている。大変貴重な指摘だと思う。
一部損壊も支給対象にすべきであると国に対し求めていただきたいけれども、いかがか。
〇答弁:復興支援課長(芳永和之) 国に対して一部損壊まで対象に含めたらどうかというご質問にお答えする。
本県では、被災者生活再建支援法の礎となった総合的国民安心システム、いわゆる平成9年当時であるが、そういったものを当初、提案していた。その頃から、半壊以上を対象とした控除の制度を施行してきたところである。
また、全国知事会の議論においても、一部損壊については、損害割合が極めて低い場合があるなど、住家の損害が甚だしいとは必ずしも言えないとされ、一部損壊のうち、特に配慮を要する世帯への支給の検討のみが今後の検討課題として整理されているところである。
したがって、本県でも半壊世帯については国に従前から対象を拡大するように求めているところであり、現在のところ一部損壊まで対象を広げる予定はない。
庄本えつこ委員 全国知事会についても、私たちは知っている。昨年11月の全国知事会は、半壊世帯までの支給拡大を提言している。国と継続的に意見交換を行っていると聞いているが、私は知事会と事務方の意見交換ではなく、被災者、被災地の市長、そして専門家が入った検討会を作る必要があると思っているところである。
そして、半壊世帯までではなく、一部損壊も支給対象にすべきだと考えている。実態調査をすると同時に、国に対し、やはり一部損壊についても支給対象にすることをしっかりと求めていただきたいということを申し上げて、質問を終わる。ありがとうございました。