議会報告

  • 2019年10月25日
    本会議

    第345回本会議 2018年度決算認定議案反対討論 きだ結

    私は、上程中の決算認定議案のうち、認第1号、認第2号、認第4号、認第5号、認第10号、認第11号、認第15号ないし認第18号、認第20号ないし認第23号、計14件に反対し、以下その主な理由を述べます。

    認第1号「平成30年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」、認第16号「兵庫県病院事業会計決算の認定」について

    まず、認第1号「平成30年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」、認第16号「兵庫県病院事業会計決算の認定」についてです。

    反対の理由の第1は、低所得者ほど収入に占める負担割合が大きくなる消費税を、県税収入の中心に据えてきたことです。2014年の消費税8%増税以降、消費税収の割合が大きくなり、2018年度決算では、地方消費税収が県税収入の27.8%を占め、法人税収を上回っています。

    5%から8%への引き上げによる増税負担額は、2018年度・1人当たり約6万円にものぼり、増税後の累計では26万円もの負担で、県民に重くのしかかっています。実質賃金も低迷する中、消費税が家計消費を落ち込ませ、小売店などの倒産が相次ぐ結果となっています。

    さらに10月の10%増税強行が、県内で私たちが把握しているだけでも老舗の喫茶店、雑貨店、イタリアン店、鉄工所の廃業など、中小企業の営業を直撃しています。

    税収の中心に消費税を据える国の施策への追随をやめ、県民の暮らしと県経済回復のための緊急課題として、消費税10%増税の中止、さらに5%に引き下げること、税金は、応能負担の原則に基づき、研究開発減税などの大企業向け法人税優遇制度を改め、大企業にも中小企業と同等の法人税課税とすること、富裕層の株式等譲渡益課税を欧米並みに引き上げることなどで、税収を確保することを国に強く要請することを求めます。

    反対の第2の理由は、国のくらし・社会保障切り捨て政策と一体に2008年、全国で初めて「行財政構造改革の推進に関する条例」を策定し、それに基づく新行革プランで、県民の福祉、暮らし、教育を犠牲にしてきたことです。

    国は、消費税を8%へ上げる一方で、本来約1兆円必要とされる社会保障費の「自然増」を毎年約5,000億円に圧縮し続け、社会保障の充実どころか、介護の要支援外し、地域医療構想にもとづく医療病床の削減、医療費抑制をねらった国保の都道府県化をおしすすめてきました。さらに厚労省が地域の実情を考慮せず、統合・再編すべき病院を名指しするなど、地域医療の再編・縮小を狙う露骨な姿勢も浮き彫りになっています。

    新行革プランでは、老人、重度障害者(児)・母子家庭等の医療費助成の制度改悪を次々とすすめ県単独予算を縮小させるなど、国の悪政と一体に、県民の命に係わる部分を切り捨てていることを容認できません。

    また、2004年に、当時健康局長であった細川裕平医師が県立こども病院OB看護師らを組織し立ち上げた「兵庫県小児救急医療電話相談(#8000)」が、昨年度、東京の民間コールセンターに委託されました。予算時に、相談員を一方的に雇止めした点、質の低下を招くという点から反対をしましたが、実際、「#8000から医療機関の紹介はこちらで聞いてほしいと言われた」という電話が、市が行う「小児救急医療電話相談」にかかってくることを聞いています。#8000を民間委託したことについて認められません。

    さらに、高校授業料について、国の就学支援金制度に所得制限が導入されてから、2割の生徒に授業料負担が生じたままとなり、新行革プランによる私立高校の経常費補助の県費負担削減を続けており、認めることはできません。

    反対の第三の理由は、新行革プランによる職員3割削減、経費削減をすすめ、県民へのサービスを大きく後退させてきたことです。

    2018年度は、新行革プランの最終年度、行革の総仕上げで、一般行政部門職員を133人削減、新行革全体で、事務事業の廃止・縮小や組織の再編と一体に、一般行政部門職員を2007年度8,279人から2018年度5,795人へ、11年間で2,484人と大幅に削減しました。そのために、県職員の業務量の増加、担当地域の広域化など職員の負担がふえ、県民サービスに影響を及ぼしています。

    また教育委員会では、2018年度に高校の事務員・技術員11人が削減されており、新行革全体では、事務職で156人30.5%、県単独教職員で236人30.1%が削減されています。教職員の多忙化が大問題になるなか、定数による削減とともに、県独自の教職員・事務員の削減は、多忙化に拍車をかけてきたと言わざるを得ません。

    さらに警察でも2018年度、事務職員4人が削減、11年間で107人30.1%が削減されています。警察業務の対応の縮小につながっており、職員削減に同意できません。

    また信号機、横断歩道の白線など、十分な対策がとれているとはいえません。県民のニーズに正面からこたえる予算が必要です。

    病院局でも、長時間勤務が慢性的になっているにも関わらず、2018年度には、20人の職員削減、全体では160人を削減しました。

    一般行政部門、教育委員会、警察職員、病院局などあらゆる分野で、職員3割を削減してきましたが、その結果、県民サービスの低下と職員の長時間・過密労働をまん延させる結果となっています。あらためて職員削減の影響を検証し、県民サービスの充実、とくに災害時の機敏で的確な対応、適切な労働環境等を保障するための適正な職員配置をもとめます。

    第4の理由は、大企業呼び込み型の経済政策を続ける一方で、県民の所得・家計を温め、中小企業、農業を支援し、地域経済を上向かせる内容になっていないことです。

    県の設備投資補助は、全国でもまれな上限がないなど、大企業立地のための補助金であり、2018年度も設備基準補助として住友化学(株)に5,630万8千円、旭硝子(株)高砂工場に5,345万6千円、三洋電気(株)洲本工場に5,244万8千円、(株)神戸製鋼に3,709万1千円と、それぞれ支給していますが、いずれも力のある大企業に支給する必要のない補助金です。中小企業も使えると言いますが、まとまった投資が前提で、外からの呼び込みで大企業が儲かれば中小企業にも利益がまわるというトリクルダウンの発想は、変えるべきです。

    また、ITカリスマ誘致など次世代産業への支援に偏重し、県経済の基盤としてがんばる中小企業への支援が十分といえません。経済対策を抜本的に転換し、「中小企業振興条例」の趣旨にそって、例えば、店舗・住宅リフォーム助成制度などの仕事おこしや、中小企業の賃上げにつながる支援策にもっと力を注ぐべきです。

    農業問題では、中山間地の多い兵庫県で国の進める「強い農業」のための農地の集約化・大規模化、企業の農業参入を推進する方向へ偏重しています。これでは、農村地域の衰退を招いてしまいます。国連は、農業の規模拡大や自由化一辺倒の農業施策に警鐘を鳴らし、2030年までを「家族経営の10年」と定めていましたが、兵庫県でも小規模農家。家族営農へも目を向け、地域で暮らせる農業への支援が求められています。

    第5に、過大な需要予測による不要不急の大型開発を継続していることです。

    大阪湾岸道路西伸部整備事業費や、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路計画、北近畿豊岡自動車道などの調査費が計上されるなど不要・不急の高速道路整備計画が進められています。

    2018年度にはあらたに「ひょうご基幹道路ネットワーク整備基本計画」が策定されました。新たな計画では、これまでの6基幹軸道路ネットワーク整備計画803km(供用中、事業中、未着手併せて)から,8連携軸916kmへと整備計画が大幅に延長されました。さらに驚愕するのは、淡路島と和歌山県を結ぶ紀淡連絡道路構想や、神戸空港と関西空港を結ぶ道路構想も、今回の整備基本計画で初めて位置づけられたことです。しかし、高速道路整備の大きな目的である、東京一極集中是正や地域創生、渋滞緩和や地元業者の仕事興しについては、その巨額の費用に対する効果は極めて限定的であることはこれまでも指摘してきた通りです。

    不要・不急、また巨額の費用に対して極めて限定的な効果しか発揮していない高速道路整備から、限られた予算を地元業者も直接受注できる防災・減災対策、老朽化対策など、地域循環型、生活密着型の公共事業へ転換すべきです。

    以上の理由から認第1号「平成30年度兵庫県一般会計歳入・歳出決算の認定」、認第16号「兵庫県病院事業会計決算の認定」について認められません。

    認2号「平成30年度兵庫県県有環境林等特別会計歳入歳出決算の認定」認4号「平成30年度年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算の認定」について

    次に、認2号「平成30年度兵庫県県有環境林等特別会計歳入歳出決算の認定」認4号「平成30年度年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    これらの議案には、平成30年度用地先行取得事業会計から宝塚新都市玉瀬用地約70ヘクタール、南あわじ市津井用地33ヘクタール、南あわじ市伊加利用地57ヘクタールの用地を、一般会計と起債合わせて約127億8千万円を支出し県有環境林として取得して、県有環境林特別会計からは、その売却収入を借金返済のための財源として公債費特別会計へ繰出そうとするものです。また、旧グリーンピア三木周辺用地については、過去に環境林として取得した県有環境林取得事業債のうち、2千3百万円を公債費特別会計へ繰り出そうとするものです。

    反対の第1の理由は、県民に十分な説明なく新たな起債を行おうとしていることです。そもそも、今回、県有環境林として取得する宝塚新都市玉瀬用地含め3用地は、105億7000万円を投入して取得したものですが、この間、何ら整備されず塩漬け土地となったままです。これまで3用地(の何?)に支払った利息は13億4,000万円、管理費は8億8,000万円にもなり、用地取得費用105憶7千万円に対し、簿価は127億9,300万円にまでなりました。過去の用地取得事業の失敗を県有環境林事業という曖昧な事業のもと、県民に十分な説明なく新たな借金を作ることは認められません。

    第2の理由は、起債目的でもある環境林事業の効果の検証が全く県民に明らかにされていないことです。

    当局は、県有環境林としての取得理由について、有利な交付税措置のある地域活性化事業債に借り換えるためと、この間、説明をしてきました。しかし、本来、財政対策を目的とした起債は認められておらず、あくまでも本県での起債目的は、環境林事業として取得し、低炭素社会の実現に資するということになっています。しかし、これまで環境林取得には1,170億円が充てられ、本県最大の環境事業であるにもかかわらず、環境基本計画にさえ位置付けがされていません。

    第3の理由は、平成28年・29年度に公共事業用地先行取得特別会計で取得した淡路花さじき用地を一般会計で買い戻し、起債元金の償還も含まれていることです。

    淡路花さじき用地は、当初限定的な事業で土地所有者からの賃貸契約が続けられてきましたが、県は当初見込みを上回る利用者の増加によって恒久的な事業へと変更するため、64筆38名から約13.6ヘクタールの用地を約9億7,500万円で買い取りました。県行革で県有地を減らしている中で、もともと国のパイロット事業の失敗の土地の一部でもあり、投機目的と思われる売買も繰り返されていた土地を買い取る必要はなく、賃貸料の変更も含めて賃貸契約の継続を努力すべきです。

    認第5号「平成30年度兵庫県営住宅事業特別会計歳入歳出決算の認定」について

    次に、認第5号「平成30年度兵庫県営住宅事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    兵庫県は県営住宅管理戸数を平成28年度の52,685戸から平成37年度には48,000戸へと削減することを目標にしています。

    2018年度は51,667戸から50,794戸へと873戸削減しました。物価上昇に賃金上昇が追い付かず、実質賃金が増えていない中で、低廉な家賃で住宅を供給するという県営住宅への期待がますます高まるもとでの管理戸数削減は認められません。

    また、阪神・淡路大震災被災者が入居するUR借り上げ県営住宅からの転居を進める「UR借上県営住宅住替支援金支給事業費」が含まれ、URと県との契約期間満了を理由にした入居者原則退去という方針が改められていません。しかし同時に、継続入居の申請が出された入居者については第三者機関である判定委員会で、年齢などの機械的な線引きはせず、柔軟に判定され継続入居が認められています。よって、この際、入居者は原則退去という方針から、年齢に関わらず希望者は継続入居とする方針に転換することを改めて求めておきます。

    認第10号「平成30年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定」について

    次に、認第10号「平成30年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    福祉的な貸付の償還金回収を、民間回収業者に委託しているものです。回収困難な事例が増えています。機械的な徴収強化ではなく債権者の生活実態に見合った丁寧な対応が必要なことから反対です。

    認第11号「平成30年度兵庫県小規模企業者等振興資金特別会計歳入歳出決算の認定」について

    次に、認第11号「平成30年度兵庫県小規模企業者等振興資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    地域改善対策高度化資金貸付分の2018年度未償還残額は、1,307,139,000円にのぼり、不納決損額は、2018年度だけで47,440,000円となっています。これまでも指摘していますが、未償還、焦げつきについて具体的な処分状況が明らかにされていないなど、総括もされておらず、賛同できません。

    認第15号「平成30年度兵庫県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定」について

    認第15号「平成30年度兵庫県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    2018年4月から国民健康保険事業の都道府県化がスタートしました。2018年度と19年度の調定額による比較では、1人当たり保険料額は、兵庫県全体で3.1%の負担増となりました。

    また新制度では医療費抑制や保険料徴収強化の取り組みを行った市町に高得点を付与する「保険者努力支援制度」が導入され、加算点数が多ければ特別交付金を手厚く交付する仕組みとなっています。加算点数は体制構築加点含み850点満点で、直近の実績を見ると、最も点数の高かった宍粟市で650点、最も点数の低かった三木市では287点となっています。その結果、三木市は被保険者の数が宍粟市の2倍以上いるにもかかわらず、特別交付金支給額は宍粟市より少なくなっています。市町からはマンパワーが足りず保健事業に十分に取り組めないなどの声が挙がっています。さらには、収納率を上げた市町等には、点数が手厚く加算されるなどあまりに無慈悲な制度です。

    国保の都道府県化は、地域事情があるにもかかわらず、将来的には、県下統一の保険料をめざし、市町の法定外繰り入れをやめさせることに目標を置いています。これではますます保険料が高くなることは明らかです。国費投入による均等割りの廃止など、制度の抜本的見直しこそ必要です。

    認第17号「兵庫県水道用水供給事業会計決算の認定」について

    認第17号「兵庫県水道用水供給事業会計決算の認定」についてです。

    過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制などにより、2018年度で、例えば尼崎市では、1トン当たり、県水では、159.67円、市水道料は、78.38円、西宮市では、県水で126.04円、市水道料は、63.26円となっており、ほぼ倍額となっています。高い県水を市町に押し付けていることから認められません。

    また、市町の水道事業の課題に応えるとして水道事業の広域化が進められていますが、命の源である水を確保するには、水源の広域化でなく、身近な生活圏に整備することが需要であり、そのための市町への人的・技術的支援、財政支援こそ必要です。

    認第18号「平成30年度兵庫県工業用水道事業会計決算の認定」について

    認第18号「平成30年度兵庫県工業用水道事業会計決算の認定」についてです。

    日本製鉄㈱広畑製鉄所など、大企業に供給している工業用水は1トン当たり4円30銭で、50年前より2円10銭しか値上げしていません。工業用水道事業法で指摘されている「著しく不適当な状態」と言わざるを得ず、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。

    認第20号「平成30年度兵庫県地域整備事業会計決算の認定」について

    認第20号「平成30年度兵庫県地域整備事業会計決算の認定」についてです。

    2014(平成26)年から会計制度の見直しにより、進度調整地以外の時価評価処理が行われましたが、進度調整地(ひょうご情報公園都市、播磨科学公園都市)は簿価評価のままであり、時価評価を行うべきです。またプロジェクトごとの収支を明らかにすべきです。

    認第21号「平成30年度兵庫県企業資産運用事業会計決算の認定」について

    認第21号「平成30年度兵庫県企業資産運用事業会計決算の認定」についてです。

    神戸市がすすめる新バスターミナルを含む再開発ビル整備に対し、企業庁がサンパルの地権者として、「雲井通5丁目再開発株式会社」に出資をし、神戸市と一緒に巨大再開発を行うというものです。総額がいくらになるか不明な民間主導の再開発に公費をつぎ込む必要はなく認められません。

    認第22号「平成30年度兵庫県地域創生整備事業会計決算の認定」

    小野長寿の郷構想の一部に構想の見直しの報告もないまま小野産業団地事業を進めていることは問題です。

    また、元県立鈴蘭台西高校跡地に、企業庁が民間事業者を活用し「地域福祉拠点整備」を進めていますが、公共性の高い高齢者福祉施設は、県の福祉部局など専門職が関わるべきであり、企業庁事業を拡大していくことは認められません。

    認第23号「平成30年度兵庫県流域下水道事業会計決算の認定」

    2017(平成29)年12月に流域下水道事業会計は特別会計から企業会計に変更されました。公営企業は独立採算が原則であり、地方公営企業法の財務規定の適用がされることで、いま行われている一般会計からの繰り入れも制限されていく可能性があります。

    施設整備に係る費用負担が市町負担に上乗せされることも当初予算時に、反対理由としてあげましたが、昨年度は、これに関わる元利償還金の利子分122万円を市町に負担させたことは認められません。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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