議会報告

  • 2019年10月04日
    本会議

    第345回本会議 議案反対討論 入江次郎

    日本共産党議員団を代表して第69号議案、第70号議案、第73号議案、第77号議案ないし第79号議案、第86号議案、第90号議案について反対の立場から討論を行います。

    第69号議案「会計年度任用職員の給与等に関する条例」第70号議案「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」について

    はじめに第69号議案「会計年度任用職員の給与等に関する条例」第70号議案「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」についてです。

    本条例案は、地方自治体における特別職非常勤及び臨時的任用の実態が地方公務員法の規定と乖離しているとして、臨時、非常勤の任用要件を厳格化し、増大した臨時・非常勤職員の受皿として新たに有期雇用契約である会計年度任用職員制度を新設し、期末手当などの支給を可能とするものです。兵庫県では知事部局で2300人、教育委員会で5346人、警察部門で617人、病院局で1900人、企業庁で40人の非常勤職員が会計年度職員へと移行する予定です。

    反対の第一の理由は、恒常的業務には、正規職員を配置するという根本的な改善策が示されていないことです。

    三位一体改革や集中改革プランなどによって国から正規職員の定数削減を迫られる中で行政需要の増大に対応した結果、地方自治体の臨時・非常勤職員が急増しました。

    さらに、地方自治体の臨時・非常勤職員は民間の非正規雇用労働者に認められた解雇法理の適用による無期転換の対象外とされ、司法の場でも歯止めが掛からなかったことで、不安定、低賃金な臨時・非常勤職員が自治体職場で一貫して増え続けてきました。

    しかし本条例案は、低賃金と非正規雇用を固定化し、正規職員化への道を開く内容にはなっていません。

    本条例案は、会計年度任用職員の任用について、会計年度ごとに「新たな業務に改めて任用する」という新しい考え方を導入し、わざわざ会計年度ごとに1か月間の条件付採用期間を設け、5年目の任用替え時には一般公募をした上で試験もしくは選考によって再び任用し、年度ごとあるいは任用替えのたびに区切りを設けることによって、実態は連続任用であるにもかかわらず、実質は連続任用とはカウントせず、不当に雇い止めに遭った場合に任用継続への期待権や既得権が認められにくくする制度を導入しようとしています。

    かつて自治体非常勤職員が十年以上の反復更新の末に雇止めにされた事例がありましたが、裁判所の判断は自治体職員は雇用関係ではなく任用行為であるとして地位確認を認めませんでした。しかし、再度任用してもらえるという期待権は発生しているとして原告である非常勤職員の訴えを一部認めています。この判決は、たとえ自治体非常勤職員であっても反復更新すれば期待権が発生することを認め、任用行為の矛盾を指摘し法整備を求めています。しかし、改正地公法でも本条例案でも、その矛盾の解決は示されていません。この矛盾解決には、恒常的業務には正規職員を配置するしかありません。恒常的業務には正規職員を配置すべきです。

    反対の第二の理由は、会計年度職員の待遇などが不十分なことです。

    会計年度職員は、繰り返し任用されたとしても給与表に上限設定が設けられているため正規職員の様に経験年数に応じた賃金とはなりません。これでは、低賃金を固定化することになってしまいます。

    さらに、現在、土木技術員や薬剤師など専門的業務を担っている非常勤職員については、給料表通りに会計年度職員へ移行した場合、現行の年収から下がる例もあります。ただ、当局からは「調整によって下がらないようにする」との答弁がありましたが、具体的な制度設計は示されていません。改正地公法の付帯決議には「会計年度職員への移行にあたっては、不利益が生じることなく適正な勤務条件の確保が行われるよう適切な助言を行う」と決議しています。会計年度職員への移行によって不利益・不公平が生じることのないよう公平な制度設計を求めます。また、組合交渉の場では「たとえ年収が上がっても月額報酬が下がるのは納得できない」という声も根強くあったことも指摘しておきます。

    自治体における常勤、非常勤格差は今や民間以上となっており、ワーキングプアの製造場所となって、日本全体の格差拡大を進める結果となっています。

    不安定雇用と、低賃金の固定化でなく、恒常的業務には正規職員を配置する状態を公務職場でこそ実現することを強く求めます。

    第73号議案卸売市場条例を廃止する等の条例について

    第73号議案卸売市場条例を廃止する等の条例についてです。

    これは、国の卸売市場法、食品流通構造改善促進法の一部改正で、地方卸売市場に係る「許認可」手続きが「認定」手続きになるとともに、中央卸売市場と同様に法律・政省令に規定されたことに伴い条例廃止するものです。

    今回の法改正で、知事の指導、検査、監督権限は、これまでと同様知事にあるということですが、卸売市場の「許可制」が「認定制」へと緩和されることにより知事の指導監督権限は弱まります。

    また、卸売業者が仲卸業者以外と取引をする事を禁じた「第3者販売禁止の原則」が廃止されましたが、地方卸売市場もこの原則が慣例として行われてきており、例えば、大手スーパーなどの買い占めで品質と需要でなく、仕入れや販売力の高い大手との力関係で価格が決まる、買いたたきで生産者が被害を被ることなどが懸念されています。

    卸売市場は、売り手である卸売業者と買い手である中卸売業者によるセリが行われる中で、力関係や投機的要素が介入しない公正な価格形成がされてきました。多様な取引が広がっているからと、この仕組みをなくす規制緩和は、市場の機能、日本の食文化の多様性を支えてきた機能を壊すことにつながり認められません。

    第77号議案国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市長負担額の決定について

    第77号議案国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市長負担額の決定についてです。

    国が行う水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について、市町と農家に負担を求めるものですが、本事業は、もともと公益的な事業であり、本来、国で一元的、総合的に行うべきであり、市町負担そのものに反対です。

    第78号議案「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」について

    第78号議案「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」についてです。

    園田西武庫線は、三菱電機敷地内を含め、尼崎市内を東西に走る道路で、総事業費約198億円かけて整備するもので、今後、整備を進める東園田側では、用地問題などで住民合意が得られていないなどの問題を抱えています。

    この事業については、三菱電機の敷地用地買収や物件移動の補償費などで約124億円にも上り、総事業費の約6割が三菱電機関連に充てられていることなど、事業そのものに反対です。

    第79号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」について

    第79号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」についてです。

    これは総事業費約958億円を投じ、神戸地区と淡路地区合わせて330ヘクタールに及ぶ巨大な公園整備を進めるものです。

    これまで、国が3分の2、兵庫県、神戸市がそれぞれ6分の1ずつ負担し、30年度末までに総額820億円が支出され、県負担として235億円、神戸市負担として84億円が支出されています。

    本議案では神戸地区の森ゾーン設計測量費として、総額約3憶1千万円が計上され、そのうち兵庫県、神戸市負担分としてそれぞれ約5千2百万円が支出されます。しかし、神戸地区には隣接して、しあわせの村という広大な公園があり、公園整備事業として必要性のない国直轄事業に地元負担を求めるべきではないことから反対します。

    第86号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区下村(しもむら)第一高架橋上部工事請負契約の締結」について

    第86号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区下村(しもむら)第一高架橋上部工事請負契約の締結」についてです。

    これまでも指摘してきましたが、東播磨道路は、破綻した第5次全国総合開発計画に位置付けられた高規格道路です。全総計画は半世紀にわたって「東京一極集集中の是正」を最大の目的として全国、県下に高速道路を張り巡らせてきましたが、東京一極集中はますます加速するばかりです。政策の抜本的転換が必要です。

    渋滞対策という点でも、東播磨道路南工区は平成26年に供用開始されましたが、それによって南北交通量は7,500台増加し、南北から加古川バイパスに車を呼び込んだことによって、加古川バイパス東西交通の渋滞は以前に増して悪化しました。

    また、高規格道路整備は地元建設業者の仕事興しにもその効果は限定的です。

    東播磨道路南工区は既に供用開始されていますが、総工事費のうち約55%が橋梁上部工事に充てられましたが、その全てを県外業者が受注しています。高架区間は、橋梁上部工事を伴いますが、県内で橋梁上部工事を施工できる業者は1社しかなく、高規格道路を施工した実績はありません。

    本議案でも高架橋上部工事が発注されていますが、受注業者は東京に本社を置いています。

    今、行うべき公共工事は、災害が多発する中で、河川整備率59%、土砂災害警戒区域の整備率26%と遅れている減災・防災型の公共工事への転換こそ必要です。

    第90号議案「県営宝塚山本住宅第三期建築工事請負契約の締結」について

    これは、現在、管理戸数310戸ある宝塚小林県住の集約化に伴うものですが、集約することによって宝塚山本県住は、300戸から333戸へと管理戸数が増えますが、宝塚あくら住宅は300戸から242戸へ、宝塚御所の前住宅は100戸から85戸へ管理戸数が削減されてしまいます。物価上昇に加え、消費税増税や社会保障の負担増などによって実質賃金が下がっているもとで、低廉な家賃で住宅を供給するという県営住宅への期待がますます高まるもとでの管理戸数削減は認められません。

    以上で討論を終わります。ありがとうございました。

ページの先頭へ戻る