議会報告

  • 2019年10月02日
    本会議

    第345回本会議 一般質問 いそみ恵子

    西宮市選出、日本共産党県議団のいそみ恵子です。7問一括方式で質問を行います。

    相次ぐ豪雨、大型台風で佐賀県、千葉県などに大きな被害がもたらされました。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。防災対策は、兵庫県にとっても、喫緊の課題です。

    1 高潮対策の強化について

    そこで質問の第1は、高潮対策の強化についてです。

    昨年の台風21号で甚大な高潮被害を受けた尼崎・西宮・芦屋市域で、水防法に基づく「高潮による浸水想定区域図」が公表され、「想定し得る最大規模」の予測で、尼崎市域の76%、西宮で21%、芦屋で20%等が浸水するとされ、大きな衝撃を与えています。日本共産党県議団は、昨年来、追及してきましたが、「もっと早くこれが公表されていたら」と被災者の声がでています。県の責任は、重大と言わざるを得ません。

    甚大な被害が想定されている以上、自助・共助で逃げろという避難対策だけでなく、抜本的な高潮対策がますます急がれます。

    県は、国の「大阪湾港湾等における高潮対策検討委員会」のもとに、「尼崎西宮芦屋港部会」で浸水原因の究明等検討を行い、「高波による越波が主な浸水原因」とし、今後の設計に用いる高波条件を見直し、全県下の海岸・河川を対象に新たに高潮対策が必要となる箇所を抽出するとしています。

    年度内には、「兵庫県高潮対策10箇年計画(仮称)」を策定し、優先度の高い箇所から対策を推進し、私の地元の西宮浜・甲子園浜・鳴尾浜などを含む被災した8地区は、緊急対策として2021年度までの完成をめざすとしています。

    護岸高が計画高さよりも大きいところで45cmも地盤沈下していた甲子園浜については、2月県議会で質問し、「再度災害防止の観点から対策を緊急に行う」と答弁があり、対策が検討されていますが、南側の胸壁からの越波、陸閘損壊3箇所からの流入により産業団地内が浸水した西宮浜と、南側及び東側の防潮堤からの越波による浸水で被災した鳴尾浜について県は、浸水原因を「想定外の高波」だとしています。しかし、それは、計画高さより護岸高がそれぞれ30cm地盤沈下し、浸水被害が起こりうる箇所が放置されてきたことが今回の被害を広げたのでは、ありませんか。

    西宮浜、鳴尾浜について、これまでの県の対策不備と瑕疵責任を認め、調査で明らかになった計画高さと護岸高さの実測値、危険箇所を公表し、護岸の嵩上げなどを行う等抜本的な対策を急ぐことを求めますがお答えください。

    〇答弁:濱県土整備部長 高潮対策検討委員会での検証の結果、浸水の主な原因が計画規模を上回る高波であることが明らかになりました。このため、今後の高潮対策は、台風第21号を含む近年発生した高波を加味して見直した設計の基準となります50年確率波と台風21号で実際に発生した高波を比較したうえで、いずれか高い方の波を用いて設計し、防潮堤や堤防の嵩上げ等の対策を行ってまいります。

    浸水被害のありました西宮浜や鳴尾浜など緊急対策を行う8箇所をはじめ、全県下の海岸・河川の防潮堤等について、再測量した現況天端高と、50年確率波等見直した高波による必要高さを比較してまいります。その上で、高さの不足の程度や老朽化の度合、背後地の利用状況等を総合的に勘案いたしまして優先度の高い箇所を選定し、「兵庫県高潮対策10箇年計画(仮称)」としてとりまとめて公表いたします。順次対策に取り組み、西宮浜と鳴尾浜の防潮堤等の嵩上げなどの緊急対策は2021年度の完了を目指してまいります。公表に際しては既設の計画高さ、現況の天端高さも明らかにしてまいります。

    なお、防潮堤の嵩上げ等につきましては、これまでも災害復旧や老朽化対策等にあわせ、天端高を確認のうえ、必要があれば行ってまいりました。西宮浜や尼崎の丸島地区等で実施してきたところでございます。今後は、5年に1回程度点検を行い高さを確認してまいります。

    今後とも、県民の安全・安心を確保するため、西宮浜や鳴尾浜等、浸水被害があった地区を始め全県下の高潮対策に取り組んでまいります。

    2 津門川の整備と改修について

    次は、津門川の整備と改修についてです。

    津門川は、西宮市中央部を南北に流れ、東川に合流する延長約3.5kmの2級河川です。津門川流域では、1999年、2013年には、上流部で床上浸水等の被害が発生し、住民の命、暮らしが、おびやかされてきました。その浸水被害を解消する対策として、国道171号北側付近からJR神戸線北側付近までの約1.7km区間に、貯留量約3.4万㎥の地下貯留管整備事業が進められています。

    西宮市では、下水道事業による雨水・浸水対策として10年に1度の大雨を想定した時間降雨55㎜への対応を進めていますが、この事業は、集中豪雨などによる浸水被害が依然として多発し、西宮市の都市核の一つである西宮北口駅周辺地域を含め、市南部地域の浸水解消に大きく寄与する事業であり、早期整備が望まれているところです。引き続き事業推進を求めるものです。

    一方、県は、この川の上流部において2003年、川の中に水生植物が生育できる施設を造り、阪急神戸線に近い場所に「階段式魚道」を設置し、天然アユが遡上するなど環境に配慮した川づくりに力を尽くしてこられました。地域住民としても、毎月第一日曜日の「川掃除」に地域の自治会、商店街、学校、幼稚園などから住民が参加し、20年以上も続いています。

    昨年12月5日、JR西日本の山陽新幹線六甲トンネル補修工事に伴い発生した津門川の川魚の大量死。私も、その後、現地調査させていただきましたが、地域の住民に大きな驚きと悲しみを与えており、一刻も早く、川魚・昆虫・水鳥など多様な生物がすむ環境の回復を願うものです。また、県が設置された水生植物が生育できる施設は、いまでは、老朽化し、壊れたものがあり、景観上も好ましくありません。魚道も改修が必要です。

    そこで質問します。都市浸水対策としてすすめられている2級河川津門川の地下貯留管整備事業の1日も早い整備と、水生植物や魚類に配慮した施設の改修・整備を求めますがいかがですか。

    〇答弁:伊藤技監 津門川は、市街化が高度に進展した西宮市南部地域を流れ、ひとたび氾濫しますと沿川住民の生活や経済活動等に甚大な被害が発生する恐れがあります。現在、5年に1回程度発生する規模の流量しか流すことができなく、平成25年8月にも85戸の浸水被害が発生していることから、治水対策として流下能力の拡大が必要であります。

    しかし、沿川にはマンション等が密集し、用地買収を伴う河道拡幅が困難な状態であります。このため、国道171号付近からJR東海道本線付近までの現河川の地下に、延長約1.7km、内径約5m、総容量3.4万m3の貯留管を整備し、豪雨時に津門川の流水を一時的に貯留することにより、流域の浸水被害の軽減を図ってまいります。現在、水理模型実験により流入部等の構造検討を進めております。また、市街地内での大規模な工事となりますことから、周辺住民等への事業説明を丁寧に行っております。年度内には放流部工事の支障となります公園の仮移設工事に着手し、来年度から立坑及び本体工事を進めてまいります。

    また、議員ご指摘の環境に配慮した施設につきましては、設置から16年が経過し老朽化していることなどから改修が必要と考えております。このため、今年度から河川生物の専門家や住民の意見も聞きながら、構造や設置位置等の検討を行ったうえで改修に着手してまいります。

    今後とも、地域の安全・安心の確保を図るため、環境に配慮しつつ河川整備を着実に推進してまいります。

    3 県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編について

    次は、公立病院の統合再編についてです。

    厚生労働省は、9月26日、診療実績が乏しく再編・統合の議論が必要と判断した424の公立・公的医療機関等を一方的に公表。兵庫県内も15の公立・公的医療機関等が示されました。国の統合再編方針を地方に押しつける「地域医療構想」のあり方が、厳しく問われています。

    その中で今回取り上げるのは、地元の県立西宮病院と西宮市立中央病院の統合再編についてです。

    今年1月21日、兵庫県と西宮市は、「基本協定」を締結、新たな県立病院の整備がすすめられています。今年度中の「基本計画」策定にむけ、「検討懇話会」の協議を経て、ようやくこの12月、県民にむけ、パブリックコメントが実施され、来年度以降、基本設計・実施設計が予定されています。9月20日にやっと「基本計画骨子案」が提示されたものの、「審議内容が非公開でわからない」等の声が寄せられています。

    統合病院が、県民の健康や命を守る病院として、その役割を十分果たすことが求められているだけに「基本計画」策定にあたって、県民の声を取り入れ、いくつかの重要な課題に応えていくことが求められています。

    例えば、先の「基本協定」では、「両病院の患者等利用者へのサービスの継続性を確保するとともに、患者等に不利益が生じないよう配慮する」としていますが、一番大事な利用者、市民への説明責任が果たされていません。

    また、「基本協定」で600床程度としていた病院規模を「骨子案」で580床程度に縮小する問題、診療機能では、地域周産期母子医療センター機能をどう継続し、充実させるのか、中央病院の地域包括ケアベット49床廃止にともなう、退院後の在宅医療・介護移行への支援、両病院廃止後の後医療をどう確保するのか等々、様々な課題に応えることが必要です。

    特に、西宮市立中央病院で分娩が休止状況の中、阪神北準医療圏含め、阪神医療圏域における周産期医療の充実は、喫緊の課題です。しかし、分娩できる病院は、尼崎市内では、7医療機関のうち、3医療機関が休止予定。また宝塚市立病院でも休止しているなど、ますます危機的な状況にあります。

    また、西宮市の地域医療の中核医療機関として、後方支援機能を果たしてきた中央病院の機能を新病院が引き継ぎ、充実させること、後医療について民間病院の誘致含め、どう確保するのかなど県民への説明責任が問われています。

    統合病院が、県民の健康や命を守る病院として、その役割を十分に果たすために「基本計画」策定に向け、県民への説明責任を果たし、県民の声を反映するための住民説明会の開催を求めますがいかがですか。診療機能の充実では、とりわけ阪神医療圏域における危機的な状況にある周産期医療など診療機能の充実、西宮市立中央病院の機能を新病院が引き継ぎ、充実させること、後医療について、市任せにせず民間病院の誘致を含め、県としての支援を求めますが答弁下さい。   

    〇答弁:長嶋病院事業管理者 9月20日に公表した基本計画骨子案では、新病院は、地域医療機関との役割分担や連携を強化し、西宮市域及び阪神医療圏域における高度急性期・急性期医療を担う中核的な医療機関として必要な機能の充実を図ることとしています。

    具体的には、救急医療体制の充実・強化に向け、心臓血管外科、脳神経内科、精神科を新設するほか、がんの集学的治療やゲノム医療の提供、地域周産期母子医療センターの機能強化などを図ります。

    このため、病床の規模は、市立中央病院の地域包括ケア病棟は民間医療機関で担っていただくこととしたうえで、今後の人口動態等から将来患者数を見込み、580床程度で検討することとしています。

    また、今回の基本計画策定にあたりましては、これまでの県立病院の統合事例と異なり、計画策定の途中段階で骨子案を示し、住民代表や学識者などで構成する統合再編懇話会や圏域の地域医療構想調整会議で意見をお聞きし、その内容も後日公表いたします。そのうえで基本計画案についてパブリックコメントを実施し、さらに広く県民から意見を求めることとしています。

    なお、市立中央病院跡地の利活用につきましては、基本協定において市が検討することとなっており、市からは、明日(10/3)第1回の市立中央病院跡地にかかる地域懇談会を開催し、地域の意見を聴きながら検討を進めていくと聞いています。

    いずれにしても、新病院が地域の中核的な医療機関としての役割をしっかり果たせるよう基本計画を策定して参りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

    4 阪神南県民センターと阪神北県民局の統合について 

    次は、県行財政運営方針による阪神南県民センターと阪神北県民局の統合についてです。

    この問題では、現地解決型行政をめざし、2001年4月から県民局の総合事務所化と10県民局体制が作られ、阪神県民局が南県民局と北県民局に別れた経緯があります。その後、県「行革」が推し進められるなか、県民局体制も再編され、1県民局1圏域事務所の体制となり、健康福祉事務所、土木事務所等の統廃合が推し進められてきました。

    健康福祉事務所は25ヶ所から13ヶ所へ、土木事務所は22ヶ所から13ヶ所へ。人員では、例えば土木事務所の職員数では、2007年の1,254人から2018年には918人に削減され、事務所の統廃合、特に専門職の人員削減は、県民サービスの後退、職員の労働強化へつながっています。21人もの犠牲者が出た2009年の佐用町豪雨災害では、佐用土木事務所を廃止した直後で、初動の対応が遅れことを忘れてはなりません。

    異常気象による集中豪雨などの災害は、頻度も規模も大きくなり、阪神南北管内は、土砂災害警戒区域の集中や、武庫川や猪名川、沿岸部をかかえ津波・水害の危険が想定され、災害対応の一層の強化が求められています。

    現地解決型だといって、決め細かな住民サービスを行うことを目的としてきたのに、県「行革」をおしすすめ、土木事務所や健康福祉事務所等を統廃合し、今回新たに県民局と県民センターの統合を進めるのは、土木事務所などのさらなる縮小につながるのではないかと危惧されています。

    8月20日、9月19日に行われた「検討委員会」でも、災害が多発する中、十分な災害対応や、道路・橋梁の安全対策等、土木事務所の対応強化を求める意見が共通して出され、特に住民代表の委員からは、「災害時など迅速な対応ができるのか」「大きな組織になって、細かいところまで手が届くのか」「福祉の観点から考えてほしい。児童虐待、高齢者虐待に対応するのは、県の健康福祉事務所などの役割が大きい。」「170万人を1つの県民局で対応できるのか。行政サービスの低下になったりしないか」「県民局が2つになったメリットがあるはずで、今回1つにする事への整合性が成り立つのか」など、不安や懸念の声が相次ぎました。

    行財政運営方針に基づく阪神南センターと阪神北県民局の統合は行わないこと。

    住民、関係機関への説明会を開くとともに、住民はもちろん県職員の専門職などの意見も十分くみ取り、土木事務所、健康福祉事務所などの機能縮小は行わず、さらに専門職を増やし、体制強化を求めます。ご答弁ください。

    〇答弁:井戸知事 現地解決型の県政を進めるため、平成13年に地方機関を統合再編し、総合事務所として10県民局体制を導入いたしました。その後、阪神南県民局は、管内2市の中核市移行を踏まえ、平成26年度に本局組織をスリム化した県民センターへ移行しました。

    この度の阪神南県民センターと阪神北県民局の統合は、平成13年の状況と比較すると、まず、管内の2市が中核市に移行して10年が経過し、環境、保健・福祉行政などを中心に、県と中核市との役割分担、連携が定着してきました。2つに、武庫川、猪名川等の総合治水対策、南海トラフ巨大地震等に対する広域防災体制の確立、若者の県外流出対策など阪神地域全体で取り組む課題が増加してきていると言えます。3つに、各分野の地域活動団体等も阪神地域全体を対象として活動を展開している実態があります。こうした状況に的確に対応するため、「阪神県民局」としての統合を目指すこととしたものです。このことは、昨年10月に議会の議決をいただき策定した行財政運営方針にもこの方向性を明記しました。

    現在、地域の意見を丁寧に聞きながら統合を円滑に進めるため、県議会、地元自治体、経済・福祉団体、有識者など各分野の参画を得て「阪神地域における県民局・県民センターの在り方検討委員会」を設置し、統合に向けての議論をいただいています。

    阪神南県民センターと阪神北県民局の統合は、先ほども触れましたように阪神南県民センターが2中核市と1市の所管となったこと等を踏まえて、他の県民局の権能も比較して、もとの阪神県民局となる方がかえって課題解決力を高めるのではないかとの認識で行うものです。また、住民サービスの確保の観点からは、現在、本局で行っている事務や組織について低下することがないよう、そのあり方を検討してまいります。

    さらに、土木事務所や健康福祉事務所については、現行の組織や機能を維持していくことを基本に検討していただくことになりますが、委員会でもご指摘のあった芦屋健康福祉事務所については、そのあり方を含めて検討する必要があると考えています。

    今後、委員会からの提案を踏まえて、県としての統合案を作成し、パブリックコメントで県民の意見も広く募りながら、統合後の県民局が阪神地域の実情に応じた機能を十分発揮できるように取り組んでまいります。

    5 警察組織の再編整備計画について

    次は、警察組織の再編整備計画についてです。

    8月26日、兵庫県町村会は「兵庫県警察組織の再編整備」について、①全容を明らかにすること②関係自治体住民や機関等との十分な意見調整を行い再編整備を進めること」とした緊急要望を出しました。

    8月2日の兵庫県町村会政務調査委員会では、浜上勇人香美町長から「村岡・香住の両警部派出所の廃止は到底受け入れられる提案ではない」との意見が、佐用警察署の廃止が提案されている庵逧典章佐用町長からは「一番の問題は、県議会で議論されていないこと」として「関係市町に対する事前説明もなく警察組織の中で決めて、関係市町に説明したら終わりという乱暴なやり方は受け入れられないと突き返した」と述べています。

    また、再編整備の対象自治体となっている佐用町議会、新温泉町議会からは「警察組織については現状を維持すること」、香美町議会からは「香住警部派出所が廃止されると、常時配備される警察官はほとんどいなくなり、犯罪の抑止力が低下し、地域に甚大な治安悪化を招くことになる。不審船や不審者に対する沿岸警備に関して住民の不安が増幅する」等、見直しを求める意見書が強い文言で提出されています。

    兵庫県警察は、2017年5月に「兵庫県警察の組織の在り方を考える懇話会」を設置、同年12月に懇話会からの答申を受け取り、県議会への説明もないまま、対象となる市町への説明を繰り返してきました。しかし、市町村会からの緊急要望などを受け、9月18日の警察常任委員会で「警察署などの再編整備素案」が報告されました。素案では豊岡北、養父、佐用警察署を廃止し、それぞれ豊岡南、朝来、たつの警察署へ統合し、県下に9か所ある警部派出所も廃止し、役割を縮小する案となっています。

    「在り方懇話会」では、各委員から「行財政構造改革が行われているが、警察は現状よりも縮小してもらいたくない」「警察署の再編は、住民の「説得」ではなく「納得」というキーワードに向ける意識改革が必要である」等々、統合再編に危惧する声が多く挙がっています。

    警察組織の統合再編については、市町村会からの要望書や町議会からの意見書、また懇話会からの意見にもあるように、住民合意のない再編整備は、中止することを求めます。お答えください。

    〇答弁:加藤警察本部長 警察署等の再編整備につきましては、懇話会における様々な観点からの議論を経てとりまとめられた答申を踏まえまして、このたび、答申でも指摘されていた警察署と警部派出所の再編整備について素案を作成し、公表したところです。

    素案では、複雑・大規模な事件・事故等への事態退所能力等の強化を目的として、小規模警察署3署を隣接警察署と統合し、統合される警察署は分庁舎として、必要な範囲で運転免許更新事務等の継続や、地域との連携を担う連絡調整官の配置、また、事件・事故及び災害発生時の初動対応を担う部隊を配置することとしています

    また、9か所の警部派出所のうち、交番併設のものは、交番として存続させ、交番のないものは、連絡調整官を配置した上でパトカーの活動拠点とすることなどで、警戒力を維持し、住民の安心感と利便性の確保を図ることとしています。

    答申においても、「県民、関係機関等と十分は意見調整を行い、三者が協働して地域の治安対策に取り組むことができる警察組織にすることが求められる」と指摘されているところであり、再編の方針や効果につきましては、改めて関係自治体等に丁寧に説明することで理解を深めていただきつつ、地元の意見や要望を踏まえた再編整備の計画案をとりまとめてまいります。

    6 国民健康保険料引き下げについて

    次は、国民健康保険料引き下げについてです。

    国民健康保険が都道府県化されて2年目。都道府県化による保険料値上げ抑制のため、国の激変緩和措置が行われていますが、保険料値上げの自治体が相次いでいます。

    市町別の2018年度と19年度の調定額による比較では、1人当たり保険料額は、兵庫県全体で3.1%増、神戸市7.2%、私の地元西宮市でも3.4%など24自治体で値上げされています。ある医療団体の調査では、高すぎる国民健康保険料など経済的理由で、治療が手遅れになり、死亡した例が2018年度、全国で77例、兵庫県でも3例あることが明らかになっています。また、「国保料の滞納で子どもの学資保険を差し押さえられてしまった。仕方なくサラ金から借金をして国保料を払い、さし押さえを解除しなければならなかった」など深刻な声が寄せられています。

    西宮市は、30代で給与収入400万円、夫婦と子ども2人の世帯では国保料だけでも394,784円と収入の約1割となっています。

    またある医療団体の調査では、2018年度12月1日時点の兵庫県の滞納者は149,303世帯、国保加入世帯の19.8%で5世帯に1世帯の割合です。国保証未交付は31,589世帯、4.2%、差し押さえは、7,114件と昨年度より500世帯も増えています。

    国保料が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高くなっている大きな要因は、世帯の人数に応じてかかる「均等割」、各世帯に定額でかかる「平等割」という、国保独自の保険算定式です。

    世帯の子どもの人数が多いほど国保料が引きあがる「均等割」は、「まるで人頭税」そのものだとの批判があがり、全国知事会も、子どもに係る均等割保険料軽減措置の導入などを国に要求しています。子どもの均等割額の全額免除を含め、独自に減免する自治体も全国で25に広がっています。

    日本共産党も、1兆円の公費負担を行えば、国保料を協会けんぽ並みに引き下げられると主張してきました。国は、「法定外繰り入れの解消」の号令をかけ、実際の国保料(税)を「標準保険料率」に合わせることを市区町村に求めるために国保の都道府県化を行いました。そのことがこれまで国保料(税)の値上がりを抑えてきた自治体や、子育て世帯や低所得者、障害者、ひとり親家庭など、それぞれの自治体が実情に合わせて独自の減免をしてきた自治体に対し、繰り入れを解消させ、大きな値上がりを強いることになっています。

    しかし、この国の方針に従う義務はありません。県が、市町の法定外繰り入れ、独自の減免措置などを促進する立場をとり、国保料引下げのために手立てを尽くすことが求められます。

    国民健康保険は、国民皆保険の最後の砦です。国に国庫負担金を大幅に増額することを求め、県として「均等割」減免制度を設けること、また独自の国保料減免制度をつくること、市町独自の繰り入れ、減免制度を妨げないこと等で、国保料を抜本的に引き下げる道に踏み出すべきです。答弁を求めます。

    〇答弁:井戸知事 国民健康保険制度は、被保険者全体の相互扶助で成り立っておりますので、受益に応じ保険料を負担してもらうことを基本としております。このため、均等割保険料自体は、制度として必要なものと考えられますが、所得のない子どもにまで賦課されている実情から、県としては、子育て世帯を支援する観点もあり、子どもに関する均等割保険料については廃止するよう、国保の制度設計とそれに伴う財源確保の責任、権限を有する国に対して要請しています。

    また、県による独自減免制度については、今回の制度改革の目的の一つが、法定外繰入に頼らずとも将来にわたり持続可能な国保制度を確立することにあるとされていますので、法定外繰入による制度を設けることは、今回の改革の趣旨から妥当ではないと考えます。

    市町による法定外繰入や独自減免制度については、新制度においても保険料の賦課決定権を有する市町の政策判断とされています。実施の要否を適切に判断されているものと認識します。

    県としては、今後も国に対して要請の実現を強く求めてまいります。それとあわせて、保健事業の推進や収納率向上対策を行うことにより、医療費の低減や保険料の確保により、法定外繰入等を行うことなく、収支均衡を目指すことで、国民健康保険制度の持続的で安定した運営を図れるよう努めてまいります。

    7 保育での給食副食費の無償化について

    最後は、幼児教育・保育の一部「無償化」の問題です。

    昨日から、幼児教育・保育の一部「無償化」事業がはじまりました。

    しかし、保育の給食費は、無償化の対象外です。主食費は、これまでどおり別途徴収され、これまで保育料の一部として徴収されていた3~5歳児の副食費は、年収360万円以上の世帯で第2子まで、無償化の対象とならず、保護者負担として、施設が実費徴収することになっています。保護者や保育士などから、「無償化といいながら、なぜ副食費を徴収するのか」「副食費の徴収業務は、保育園にも保護者にも新たな負担となる」などの声があがっています。

    給食は、保育から切り離すことができない保育の一環です。厚生労働省が発表した「保育所における食事の提供ガイドライン」では、乳幼児の給食については、“食育”であり、子どもの健全な成長・発達に寄与・貢献するという視点を持ち、取り組むことが大切とされています。こうした趣旨もふまえ、給食費も無償化すべきです。

    全国では、100を超える自治体が、副食費の無償化方針を打ち出しています。秋田県は、幼児教育・保育の一部無償化にあわせて、多子世帯の副食費を助成する県と市町村の共同事業を立ち上げることをきめ、この助成事業に、市町村が独自に上乗せすることによって、25自治体中、半数以上の14自治体がすべての対象児童の副食費を無料にします。兵庫県下でも、明石市、高砂市、加西市、三木市、朝来市は、10月からの保育無償化とあわせ、副食費の無償化をきめています。

    これまで市独自に第2子以降の保育料を無償化していた明石市の担当者は、「副食費を実費徴収すると、逆に負担がふえる家庭がでてくる。そこで国の無償化にともない、生まれる財源も活用しながら、副食費についてすべての3~5歳児と、第2子以降の0~2歳児について無償にします」と述べています。保育料をこれまで国基準よりも低く設定していた高砂市の担当者は、「2020年度の副食費無償化の費用見込みは約7600万円。新たな市の負担はあってもわずかな額でとどまる」と話しています。各市町では、こうした努力がすすめられています。

    兵庫県も、これまでも第2子以降への保育料軽減策をおこなうなど、独自に、子育て支援をおこなってきています。国の保育料無償化の措置にともない、給食は保育の一環との立場から、さらなる財源も確保し、市町と協力すれば、副食費の助成や無償化は可能です。

    保育の一環としての給食副食費に対し、県として助成制度を確立し、市町と協力して3~5歳児のすべての子どもたちを対象に無償化することを求めますがいかがですか。

    〇答弁:入江福祉部長 これまで保育所等における副食費は、保育料の一部として保護者が負担してまいりました。このたびの幼児教育・保育の無償化におきましてもこの考え方は維持されまして、副食費は、これまでどおり徴収される主食費と併せて施設による徴収金として引き続き保護者が負担することになったものでございます。

    これは、給食に係る費用が、一つには、在宅で子育てする場合でも生じる費用であること、二つには、義務教育の学校給食や介護保険施設など他の社会保障分野の食事も自己負担とされていることを踏まえた取扱いであるというふうに考えております。

    議員ご質問の副食費の助成につきましては、幼児教育・保育の無償化の一環として対応すべきということであれば、国において全国一律に行うべきものであるというふうに考えます。今回、無償化に併せた全国的な対応としましては、国・県・市町で財源負担をしまして副食費への支援対象世帯をこれまでより拡充しまして、年収360万円未満相当世帯まで広げたところでございます。

    また、県下の複数の市町におきまして実施する副食費への支援につきましては、地域の特色や独自色を出すための少子化対策・子育て支援施策として実施しているものというふうに認識しているところでございます。

    繰り返すようですが、今回の副食費の取扱いの変更は、保育料に含めた徴収から、主食費と併せた徴収にするものでございまして、新たな負担を求めるものではございません。県としましては、今後とも市町と連携・協力しながら保護者への丁寧な周知・説明を行いまして、今回の取扱いの変更につきましてご理解を得た上で無償化の円滑な実施を図っていくということにいたしておりますので、よろしくお願いいたします。

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