議会報告

  • 2019年06月25日
    本会議

    第344回本会議 一般質問 入江次郎

    1項目目は、消費税10%への増税中止についてです。

    10月からの消費税増税に、「こんな経済情勢で増税を強行していいのか」と、くらしや商売への不安が高まっています。

    2014年に実施された8%への増税によって、増税前と比較して実質家計消費は、未だ年25万円も落ち込んだままで、労働者の実質賃金も年10万円低下したままです。内閣府の景気動向指数は、6年2か月ぶりに「悪化」となるなど政府自身も景気の悪化を認めざるを得なくなっています。県内の景気動向についても、上場79社の18年度決算で、約6割の45社が減益・赤字になり、製造業を中心に中国の景気減速の影響が顕著に表れ始めたほか、原材料高などが重くのしかかり、非製造業もふくめ、業績の停滞感が鮮明になっています。

    1989年の消費税導入は「バブル経済」の最中に行われ、その後1997年の5%、2014年の8%増税時には政府の景気判断は、「回復」となっていましたが、それでも消費税増税は深刻な消費不況の引き金を引く結果となりました。今回、政府自身が景気悪化を認める中で5兆円近い大増税を強行すれば暮らしも、経済も立ち行かなくなってしまう事は明らかです。

    10月からの増税については、政権与党からも動揺の声が挙がっています。自民党の萩生田光一幹事長代行は、7月の「日銀短観」が示す景況感次第では「増税の延期もありうる」「まだ間に合う」とのべています。
     「軽減制度」という点では、「ポイント還元」は、「複数税率」とセットとなることで混乱と不公平を招くとして、日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会、日本チェーンドラッグストア協会の三団体から見直しを求める要望書が政府に提出されています。
     また、消費税増税そのものについても、元伊藤忠商事会長で元中国大使の丹羽宇一郎さんは、「貧富の格差が拡大する中、今見直すべきは、所得税や金融資産への課税だ」「金持ちに手厚くするのでなく、弱い者、貧しい者に手厚くする税制へと考え直すべき」といわれています。

    いま求められているのは、家計の負担と不安を軽減する家計応援策と、格差と貧困を是正する政策です。日本共産党は、暮らしの明日に希望の持てる社会にするために、消費税増税中止と合わせて、直ちに取り組むべき経済政策として、①段階的に最低賃金を全国一律1500円へ引上げるなど8時間働けば普通に暮らせる社会②大学学費の半減などお金の心配なく、学び、子育てができる社会③マクロ経済スライドを廃止し、将来の年金不安を解消するなど、暮らしを支える社会保障という、三つの提案を行っています。その財源は、消費税増税でなく、内部留保を420兆円以上も溜め込み空前の利益を上げている大企業への優遇税制をあらため、せめて中小企業並みの負担を求めること、富裕層優遇の証券税制をあらため、最高税率を引上げることなどと併せて7.5兆円の財源を確保します。消費税2%増税による5兆円もの国民負担ではなく、大企業、超富裕層などに7.5兆円の負担を求め、それを働き方、学び、暮らしを充実させるために国民に還元します。これは消費税3%引き下げと同様の経済効果も生まれると多くの経済評論家からも高く評価されています。

    Q 景気が悪化するもとで、兵庫の経済をつぶし、県民の暮らしを壊す10月からの消費税10%への増税に対し、県知事として、国に中止を強く働き掛けることを求めます。ご答弁下さい。

    〇答弁:井戸知事 本県経済の現状を見てみますと、一部に弱めの動きがありますけれども、基調としては緩やかな回復基調にあると認識しております。例えば、コンビニ販売額は6か月連続、現金給与総額は9か月連続して前年同月を上回っています。
     このような状況であっても、一部で消費税率引上げによる景気への影響が懸念されていますが、前回と異なり、今回は8%から10%、2%で25%アップです。前回の5%から8%の税率アップは60%アップだったわけでありまして、程度が相当異なるということは言えます。あわせて本県としてもこれまでから景気を腰折れさせないような実効性のある経済対策を国に対して求めてきました。国においても、ポイント還元を行うほか、プレミアム付商品券事業や年金生活者支援給付金の支給等を行うなど、各種の施策が行われることも既に決定されています。
     また、消費税の増税分は、社会保障の安定財源の確保等を図るために充てられるとともに、今回幼児教育や保育の無償化等の施策も消費税率引上げを前提に実施されることになっています。すでに2回も先送りされた消費税率の引上げは、今回は実施して、安定財源の拡充を行うことが今後の日本の財政構造の安定化にとって必要な措置と私は考えています。
     今後とも国地方の安定財源の確保のため、所得・消費・資産のバランスのとれた税制の構築を国に求めてまいります。

    2項目目は、地域創生戦略の見直しを求めてお伺いします。

    国、地方自治体は一体となって、1960年度の第二次池田内閣の「所得倍増計画」から、2015年までの間、国土総合開発法に基づき、全国総合開発計画いわゆる全総計画を第5次まで半世紀以上にわたって推進してきました。全総計画の最大の目的として一貫して貫かれてきたのが「地方において開発を促進すれば地方での企業立地が進み、地方に人口が定着して東京一極集中が是正される」というものでした。
     全総計画は総額ありきで全国各地で大型開発事業が進められ、1969年から1985年の15年間で130兆円~170兆円、その後の3全総計画では10年間で370兆円、中曽根内閣で閣議決定された4全総計画ではアメリカへの完全屈服ともなるプラザ合意をもとに、内需対策として10年間でなんと1000兆円にもなる公共投資が強いられました。その後、無駄な大型開発事業への国民からの強い批判もあり5全総計画では総額を先に示すことができなくなり、2005年には国土総合開発法は抜本改正され国土形成計画法として今日に至っています。
     全総への評価として識者からは「3全総以前までは全総が地域格差の是正や全国のインフラ整備に果たした役割は大きいが、その後は道路を造りすぎるなど罪があった」「官僚が族議員や関係業界との癒着を通じ、非効率な計画にも巨額な予算を付けられるような手段となってしまい、経済や政治・行政の改革を妨げてきた」「日本列島の過疎過密の解消が未だできていないことから全総は失敗であった」との声が次々と挙がっています。
     兵庫県では3全総以降の主な事業として、3全総で但馬モデル定住圏構想、4全総では、西播磨テクノポリス構想はじめ、但馬空港、北近畿豊岡自動車道路、中国自動車道姫路鳥取線、新名神高速道路が、5全総計画では現在整備・計画中の山陰近畿自動車道、東播磨自動車道、大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線、さらには淡路島と和歌山県を紀淡海峡で結ぶ紀淡連絡道路構想が位置づけられ、紀淡連絡道路構想は兵庫県が2018年3月に策定した「ひょうご基幹道路のあり方」に初めて掲載されました。
     この様に、兵庫県では、全総計画に首までどっぷり浸かって推進してきた結果、高速道路の延長距離は全国で2番目、工場立地件数も全国2番目です。しかし、人口減少は全国トップクラスで、平成29年10月1日からの1年間での人口減少数は全国ワースト3位となっています。
     破たんした全総計画で推進してきた不要不急の高速道路整備と企業誘致政策から、予算の使い方を抜本的に転換し、県民の働き方・社会保障・学びを支え、一次産業や、地場産業を抜本的に支援し、地域で安心して働き子育てし、将来不安をなくして地域の暮らしに希望のもてる施策への転換こそ必要です。

    Q 全総計画をモデル的に推進し、今なお5全総計画を推進している兵庫県として、全総計画の一貫した目的でもあった東京一極集中と地域の過疎化、人口減が克服できなかった総括と、地域創生戦略の転換が必要です。答弁を求めます。

    〇答弁:水埜政策創生部長 全総について色々とご評価をいただいたところでございますが、この全国総合開発計画、都市の過度な集中を是正し、国土の均衡ある発展を目指したものでございます。
     その成果として平成の初頭までは、地方分散が実現していたと私ども認識しております。昭和30年代、東京への転入超過、これが毎年10万人規模で続いておりましたが、昭和50年くらいには転入転出均衡、むしろ東京では転出の方が増えてまいりまして、平成の5年くらいまでは5万人くらい東京の人が減っている、転入転出という意味では転出が続いているという状態でした。
     それが今の東京一極集中の加速、これが始まったのは、平成10年を過ぎて、政府が、東京の成長の果実を地方に配分する、大都市重視の政策に転換したことに起因するのではないかと思っております。今は再び10万人東京転入超過という時代が訪れてしまっております。
     本県における全総の効果といたしましては、播磨地区工業整備特別地域の指定によりまして、臨海部に多数の工場が集積。労働者の方々が集まりまして、人口が拡大してまいりました。姫路から明石、加古川、高砂、稲美、播磨、この合計でございますが人口が1.6倍になっております。74万人から120万人に増えてまいりました。GDPは17倍に成長してまいりました。
     また、モデル定住圏に指定された但馬では、豊岡や和田山に工業団地が整備されまして、約30社が立地をしております。雇用創出効果、大きいものがあったと評価をしておるところでございます。
     近年のインフラ整備の効果といたしましては、北近畿豊岡自動車道の開通によりまして、大阪の中央卸売市場へ出荷する、但馬のズワイガニのシェアは、これが18%から42%まで上昇しました。新名神の開通では、開通後1年間の渋滞回数が約75%、事故件数は約35%減少しております。これも効果だと思います。
     また山陰近畿自動車道の整備による、豊岡病院など救急医療機関の速達性もこれは今後期待されておるところでございます。
     兵庫県も含めまして、全国、これから数十年間、確実に人口が減少してまいります。ただその大半は自然減でございます。そのなかで、せめて私ども、社会減は増に転換していきたい、出来るだけ早く社会増に転換していきたいと考えております。
     次の地域創生戦略では、この意味で本社機能の誘致や事務所、事業所の立地促進による若者の定着と環流、それから観光振興の強化などによります、交流人口・関係人口の拡大によりまして地域活力の向上に取り組んでまいります。
     そのためにも、必要な社会基盤整備は引き続き整備していきたいと思っておりますので、ご理解をよろしくお願い致します。

    3項目目は、県庁舎等再整備計画についてです。

    県は、6月3日、県庁舎等再整備基本構想を発表しました。
     基本構想は、阪神淡路大震災により被害を受けた県庁舎1号館、2号館、議場棟などの再整備が必要とし、現在の1号館、2号館、議場棟を集約し、1号館の南側敷地に新庁舎を整備し、70年間の修繕費も含めると約700億円のコストをかけて建設しようとするものです。新庁舎には、県民会館や神戸クリスタルタワー、下山手分室などに設置されている兵庫県青少年本部、県民情報センター、兵庫みどり公社など周辺の県関係機関の集約も検討されています。
     県庁舎建替えとあわせ、交流・共生の拠点づくりとして、元町駅から北側の再整備方針を提起し、現在の2号館、議場棟の敷地には、元町地域のにぎわい創出として超高級外資系ホテル(ラグジュアリーホテル)など民間企業を誘致し、県民会館は民間施設と複合化するなどの計画案が示されています。
     私たちは、耐震補強のための県庁舎の再整備は必要と考えています。
     しかし県「行革」で県民の福祉予算を削っているもとで、県庁舎再整備は、コストをおさえて華美にならないようにすべきです。また、県庁舎とともに周辺関係機関を集約する案も出されていますが、そうなると相当の高層化が懸念されます。地域の景観などにも十分な配慮が必要です。

    周辺整備についてはそもそも、県民の財産である県の敷地に、外国人観光客をターゲットにした超高級ホテル等を誘致することは、県民の福祉向上をすすめる県行政の行う事ではありません。県民の財産は県民の福祉向上に資する施設として整備すべきです。
     また、県民会館は、貸会議室の利用率が71.9%と高く、県民が気軽に利用できる施設として長年活用されてきました。しかし民間商業施設との複合化によって、安くて気軽に借りられるギャラリーや貸室などの部屋数が減少し、利用しにくくなるのでは等、懸念の声も出されています。さらに基本構想・基本計画検討委員会の委員の中からは「県民会館を、商業施設に組み込むという計画があることは知らなかった。私たちは、県民会館を使いやすくしてほしいと意見をいってきたが、計画ありきですすめられているのではと思ってしまう」と、言われている方もおられます。

    Q 県庁舎再整備は華美なものにならないこと、また高層化などによる周辺環境にも配慮することを求めます。周辺整備については、ホテル誘致や県民会館の商業施設との複合化ではなく、地元住民や関係団体の意見をよく聞き、住民福祉向上のための県庁舎再整備及び周辺整備としてゼロベースで検討すべきです。答弁を求めます。

    〇答弁:井戸知事 基本構想は、第一に、著しく低い県庁舎の耐震安全性の早期確保、加えて、県民会館や神戸総合庁舎など周辺県有施設の老朽化対策といった喫緊の課題に対応するためのものであります。有識者委員会や県議会の再整備協議会のご意見も伺いながら策定したものです。
     こうした課題と方向性を県民と共有する必要がありますので、現在、周辺自治会や商業団体の役員会等に出向き、説明を行っています。
     また、県民会館は、ホールやギャラリーをはじめ貸会議室など、県民福祉と文化向上の拠点として多くの県民に利用されてきました。このように長年にわたり親しまれてきた現会館の機能は、再整備にあたっても引き続き堅持していきたいと考えています。
     一方、県庁周辺地域は、元町駅を挟み南北が分断され、人々の回遊性が低く、県公館や相楽園など優れた地域資源を活かし切れていないという実情にあります。このため、県庁舎の集約建替により生じる2号館跡地等の余剰地に、定期借地権を設定することなどして民間主体の多目的施設を誘致することにより、三宮再整備と連携のもと、県庁周辺地域の活性化や魅力の向上をめざそうと考えています。
     多目的施設の誘致にあたっては、にぎわい交流や利用者増などの相乗効果を期待して、県民会館との複合化も一つの選択として検討していきます。
     今後、基本計画の策定にあたっては、県庁舎の建替については、本県の厳しい財政状況を勘案して、可能な限りコスト縮減に努めるとともに、県庁舎としてのシンボル性を持ったデザインとするよう検討していきます。また、県議会とも十分に協議するとともに、県民からの意見もお聞きしながら、県民サービスの向上につながる整備を進めてまいりますのでご理解いただきたいと存じます。

    4項目目は地域医療構想についてお伺いします。

    県は団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向け「住民が、住み慣れた地域で生活しながら、状態に応じた適切で必要な医療を受けられる」医療提供体制が必要として兵庫県地域医療構想を推進しています。
     地域医療構想は端的に言うと、団塊の世代が75歳を迎える2025年を目標年次とし、医療費削減を目的に入院ベット数を削減し、高齢者の6割が「家族に見守られながら住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と答えたアンケート回答を最大限活用し、現状でも在宅医療体制が十分に整っていないにも関わらず、在宅看取り率の目標設定までして在宅看取りを強引に進めようとする仕組みです。
     2015年に開催された近畿議員交流フォーラムで、厚生労働省の地域包括ケアシステム策定にも携わった奈良県立医科大学の今村知明教授は「現状の在宅医療体制では自宅で亡くなっていても2~3日気付かないこともあり得る」と、在宅医療を担う医師・看護師不足について警鐘を鳴らしています。
     姫路市でも現在・将来の在宅医療を担う医師確保は深刻です。姫路市内の2018年度在宅医療実施件数は4,114件となっていますが、2025年には4,986件へと1,21倍に増加することが予測されています。しかし、姫路市が診療所を対象に行ったアンケート調査では2025年に訪問診療を予定していると答えた診療所数は現在より18箇所も少なくなっています。アンケートでは医師の意見として「訪問診療対象者が爆発的に増加するので在宅専門医の養成が必要」「医師一人の診療所で訪問診療を行うのは難しい」「緊急時に入院できるベットの確保」「一人で24時間は困難。チームを作ってほしい」「訪問診療の診療報酬改善」「独居が多く認知症患者も増えている。近所2~3軒で助け合っている。家族でない他人に病状方針の説明できず、積極的に動くことを控えている」等々、様々な意見が寄せられています。

    Q 医療費削減を目標とした地域医療構想の中止を国に求め、必要なベット数を確保し、高齢者が描いている「最後は住み慣れた自宅で」との思いにふさわしい十分な在宅医療を担う医師確保と、医師が在宅医療に参入しやすい環境整備こそ必要です。ご答弁を求めます。

    〇答弁:薮本健康福祉部長 地域医療構想は、住民が住み慣れた地域で生活しながら、状態に応じて適切で必要な医療を受けられるよう、病床の機能分化と連携、在宅医療の充実など地域完結型医療体制の整備を目指すものであり、2025年に向けたもので、医療費や病床の削減がその目的ではございません。
     現在、各圏域の地域医療構想調整会議において、これは昨年度全県で46回開催しましたが、それぞれの医療機関の自主的な経営判断のもと、関係者間で具体的な検討を行い、病床の機能分化と連携が進められています。
     一方、在宅医療の需要が、2025年には、2017年の1.4倍となると見込まれており、その対策は急務です。このため県内40の在宅医療圏域に設置した在宅医療推進協議会で、医療や介護の関係者参画のもと、それぞれの地域の課題に応じた対応方策の検討を行っており、在宅看取りを強引に進めているものでもありません。
     在宅医療の推進に向けては、在宅医療に従事する医師の確保や養成とともに、医師が在宅医療に参入しやすい環境整備も、また重要です。
     そのため、県では在宅医療を担う医師の確保・養成に向けては、国の在宅医療指導医研修会等への派遣や各地域においてかかりつけ医を対象として在宅医療従事者育成研修等を行っています。また、医師が在宅医療に参入しやすい環境整備に向けては、主治医不在時でも当番医が対応する仕組みづくりや、看護師や薬剤師等の多職種の連携を推進するため、24時間対応が可能な機能強化型訪問看護ステーションの整備促進、ICTを活用した在宅医療・介護の情報共有化の推進等に取り組んでいるところです。
     県としては、今後とも関係機関と連携し、地域医療構想の推進と在宅医療提供体制の充実に努めてまいります。

    5項目目は給食費の無償化を求めてお伺いします。

    義務教育は無償というのが、世界の流れであり、日本でも、憲法第26条で義務教育の無償を定め、「授業料は徴収しない」としています。
     しかし実際には、学用品、給食費、修学旅行積立金等、家庭の経済的負担は重いものがあります。
     例えば、姫路市の中学1年生では平成30年度の実績で、学用品、修学旅行の積立金、それに給食費を含めると保護者の負担は年間218,910円にもなります。中でも、年間を通じて家計負担で最も重いのが給食費で、姫路市では、中学校で51,612円と、なっています。

    保護者負担が慣例とされている給食費(食材費)ですが、文科省の事務次官通達では、食材費の負担を必ずしも保護者に求めなくてもいい旨が記載され、政府も国会で「(憲法の)義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現したい」「学用品、学校給食費、できれば交通費」も無償対象にと答弁をしています。
     しかし、未だ履行されていません。
     その様な中、経済的負担の軽減、食育の推進、子育て支援のため、独自に給食費の軽減・無償化に踏み出す自治体が増えています。
     平成30年に文科省が初めて行った、全国の学校給食費の無償化・軽減実施状況調査では、1740自治体の内、小中学校とも無償化が76自治体、小学校のみ無償化が4自治体、中学校のみ無償化が2自治体、第2子以降など一部無償化や、一部補助などの給食費軽減を実施しているのが424自治体、合わせて506自治体、全国の3割にあたる自治体が無償化・一部補助を行っています。県内では、相生市が小中学校とも無償化、養父市、市川町、神河町、佐用町で軽減補助を行っています。
     実施した後の成果について、多くの自治体が、子育て世帯の経済的負担の軽減とともに、生徒では栄養バランスの良い食事の摂取や残食を減らす意識が向上、保護者では、親子で食育について話し合う機会が増えたこと、学校では食育の指導に関する意識が向上した、と食育にいい影響があったと回答しています。
     以前、私たちは給食費の無償化を本会議で求めた際、教育長は、学校給食を「生きた教材として活用した食育を今後とも推進して」いくと答弁するとともに、給食費を県が補助することについて、否定していません。
     先日、知事は本会議で「子育てにかかる経済的負担の軽減は大切だ」と、答弁されたように、子どもの医療費助成を県の制度として創設したことで、県内8割の市町が上乗せ拡充をしています。

    Q そこで、子育て世帯の経済的負担を軽減し、食育推進の効果が上げられている給食費の無償化・軽減を、教育無償化の国の動向に先んじて、ぜひ県の制度として創設することを、求めますがいかがでしょうか。

    〇答弁:西上教育長 学校給食は、学校給食法第4条で学校設置者の任務とされている。その経費については、同法第11条で施設、設備の費用及び運営費のうち、修繕費と調理業務従事者の人件費は設置者の負担とされ、それ以外の経費は、児童・生徒の保護者の負担とされている。
     ご質問の義務教育における学校給食の無償化については、義務教育の無償化であれば、国が行うべきである。また、設置者として実施すべきということであれば、市町で判断すべきものである。県教育委員会として実施することは、考えていない。
     なお、経済的理由で就学が困難と認められる児童・生徒の保護者には、国の財政支援を受け、市町の就学援助による助成が行われている。
     また、独自に学校給食の無償化を実施している市があるが、これは子育て支援、若者の定住促進の一環として実施していると聞いている。

    6項目目はオスプレイ緊急着陸に関わる問題です。

    2019年4月1日14時頃、MV22オスプレイが伊丹空港に緊急着陸し、滑走路の一部が閉鎖され、民間旅客機の遅れが生じるなどの被害が起きました。翌2日、緊急着陸の原因などを一切明らかにしないままオスプレイは離陸していきました。さらに同月8日には三田市などでCV22オスプレイ機が飛行しているのが目撃されています。
     わが県議団は、知事にオスプレイの飛行訓練中止を求める申し入れをし、防衛省、国交省にも要請を行いました。また、大阪国際空港周辺都市対策協議会、いわゆる10市協も今回の緊急着陸に対して「遺憾」を表明し、国交省に抗議文を提出しています。

    オスプレイは、過去繰り返しトラブルや墜落事故を起こしています。そのためアメリカ国内での訓練は、人家のない砂漠地帯で行われています。日本国内でも、2012年10月普天間基地に配備されて以降、2回の墜落事故、6回の民間空港への緊急着陸を繰り返しています。しかし、米軍側からは、日米地位協定を盾に、事故の原因などは日本政府、国民には全く明らかにされていません。事故や緊急着陸を繰り返しているにもかかわらず、その原因すら明らかにしないまま、危険な米軍機が県内の住宅地上空を我が物顔で飛ぶことは許されません。
     2012年のオスプレイ初配備の際の米軍「環境レビュー」によると、全国の低空飛行訓練ルートで年間333回の訓練がされることになっています。兵庫県にはブラウンルートがあるといわれており、低空飛行訓練が、地域住民に不安を与えてきました。この地域は全国で最も多くドクターヘリが運行しているにもかかわらず、米軍側からはオスプレイの事前飛行通告さえされていません。いつ衝突など重大事故につながるかわかりません。

    米軍機は、日米地位協定に基づく航空法特例法による特権をもち、オスプレイも全国どこでも飛び回り、住民に騒音と危険をもたらしています。
     住民の不安を踏まえて、全国知事会が「米軍基地負担に関する提言」において日米地位協定の見直しに言及したのは当然のことです。

    Q 私たちは、2012年のオスプレイ配備がされる際、「配備の中止」を県に求める申し入れを行い、知事は、「県民への影響がない対応をとるよう働きかけること」と、防衛大臣に要請しています。大阪国際空港への緊急着陸についても県民の安全を守る立場から毅然とした対応をとるべきです。米軍に対しオスプレイをはじめとする米軍機の市街地での訓練中止を政府として求めるよう強く要請するとともに、今回の緊急着陸の原因、飛行目的、ルートを明らかにさせ、すべての飛行訓練の事前情報を関係機関へ確実に知らせ、ただちに県民に公表すべきと考えますが、いかがですか。

    〇答弁:山口企画県民部長 外交・防衛に関する事項は専ら国が責任を持つ分野であり、国防に関わるオスプレイの配備・飛行訓練については、国において米国政府との間で協議しながら、適切に判断されるべきものと考えています。
     オスプレイについては、平成24年度の配備時に、県民の安心安全を守るという県の立場を踏まえ、防衛大臣に対して、本県を経路に含む訓練について米国政府の公表や情報等が得られた場合の本県への説明、そして、危険や騒音など県民への影響がないよう米国政府に対して働きかけることを要請したところです。
     4月1日の伊丹空港における緊急着陸時には、発生直後に防衛省から本県等に状況報告がありまして、米軍に対して安全管理の徹底、追加的・継続的な情報提供を求める要請がなされるなど、平成24年度の本県からの要請に沿った対応が取られています。引き続き国に対し適切な情報提供を求めていきたいと考えています。
     ご指摘のオスプレイの飛行情報については、県民への情報提供を進める立場から、今年度の5月分以降、本県を通過する可能性のあるルートの飛行について、防衛省から提供された情報があれば、直ちに県のホームページに掲載することとしたところです。
     今後とも、県として住民の安全安心を守るために必要な取組みを行っていきたいと考えています。

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