議会報告

  • 2018年10月16日
    予算・決算特別委員会

    2017年度決算特別委員会 農政環境部 ねりき恵子

    地元住民合意のない風力発電設置計画は見直しを

    ■ねりき恵子■ 日本共産党のねりき恵子である。よろしくお願いする。

    私は、環境影響評価方法書への知事意見について伺う。

    兵庫県は、合同会社インベストメントが計画している総出力9万2,000キロワットの新温泉町に風力発電事業にかかわる環境影響評価を行っている。

    予定されている風車の大きさは、3枚羽根の直径が130メートル、高さ150メートルで、出力最大4,500キロの巨大な風車を21基も建設、事業の想定区域も約2,800ヘクタールと国内最大級の風力発電計画である。

    地元住民は、この計画に対し、地滑りなど土砂災害など危険地域であること、イヌワシなど希少猛禽類をはじめ、希少動植物の棲息地であること。低周波シャドーフリッカーなどの健康被害など不安の声が出され、同企業が発表し、縦覧した方法書に、20通63件の環境保全にかかわる厳しい意見を提出し、発電所の建設中止を求めている。

    兵庫県も7月18日に発表した環境影響評価方法書に対する井戸知事意見では、大型の風車の設置工事、大規模な土地の造成及び取付道路の建設工事等施設の供用に当たって、地域環境に対して、これまで想定し得ない重大な影響を及ぼす可能性があるとして、地元住民への説明、計画塾度の低さ、イヌワシやツキノワグマなど希少種の生態系、景観や騒音、防災などについて厳しい意見を述べ、経済産業省に送られている。

    この知事意見書の中に、全体的事項(1)というところに、重大な環境影響を回避、または提言できない場合には、事業規模の縮小をはじめ、その他必要な事業計画の見直しを行うとあるが、この見直しの中に、事業中止ということも含まれているのか、お伺いする。

    ■環境影響評価室長(上西琴子)■ 環境影響評価法では、免許権者は免許等に当たり、環境配慮についてアセス図書に基づき審査しなければならないというふうに定められている。

    今後の環境影響評価手続においても、厳しく審査した上で、知事意見を形成し、経産大臣宛て提出することが事業の見直し、中止ということは明言できないが、事業の見直しも含めて環境影響の回避・低減につながると考えているので、よろしくお願いする。

    ■ねりき恵子■ 中止ということは明言できないけれども、厳しい意見を言っていきたいということであるので、ぜひお願いしたいと思うわけであるが、やはりこういった環境影響評価の仕組みとして、厳密に中止を求められないということがあると思う。そういった中で、やはり厳しい基準というものが一定要るのではないかというふうに考えている。

    そこで、今、まちづくり部において、太陽光発電施設等と地球環境との調和に関する条例の改正が検討されているけれども、これに風力発電施設を条例の対象に追加しようとするものであるが、やはりこの環境部局としても、検討に加わって風力発電を設置する際に、地球環境との調和という観点から、厳しい基準を提案すべきだと思っているけれども、この条例の検討について、他部局のことではあるが、繰り返しになるが、自然環境を守るという観点からの意見をどうされているのかということで具体的にお聞きする。

    ■自然環境課長(岩原直子)■ 大規模な風力発電施設の設置については、自然環境に大きな影響を及ぼす可能性があると認識している。

    自然公園法や県立自然公園条例で指定されている自然公園では、自然環境保全レベルが高い特別保護地区等で風力発電施設の設置を禁止するとともに、それ以外の地区では、許可制度等によって生物多様性への影響回避・軽減など設置に関する基準の遵守を求め、自然環境の保全を図っている。

    このたびの太陽光条例の改正に当たっては、自然環境保全の観点から、自然公園法等に基づく許可基準などを踏まえ、まちづくり部局と連携して設置基準を現在検討しているところである。

    ■ねりき恵子■ 具体的な検討の中身は今ご答弁なかったように思うが、改めて、その設置基準に対して厳しい基準を設けるべきではないかという意見であるが、それについてはお考え、いかがか、ご答弁お願いする。

    ■自然環境課長(岩原直子)■ ご質問の現在検討している内容についてであるが、まだ、現在の太陽光条例の改正に当たっては、パブリックコメントの最中であり、現在、まちづくり部局と環境部局において、先ほど申し上げた自然公園区域で設定している許可制度などの基準について、さらにはその他のまちづくり部局で新たに設定されている設置基準なども踏まえて、全体で検討を行っているところである。

    ■ねりき恵子■ ぜひ、環境部としても専門的な観点から、厳しい規制ができるようなものにしていただきたいと思うわけであるが、地元の今回の新温泉町の風力発電というのは、日本最大級と言われていて、兵庫県の意見書自身でも、今までの兵庫県の対象区域一帯が山陰海岸ユネスコジオパークに認定されていて、地質学的のみならず、考古学的にも文化的・歴史的な価値を有していること、コウノトリやイヌワシ、ツキノワグマだの貴重種を含む多様な動植物が生息し、豊かな生態系が残されていて、事業が進められれば、重大な影響があると認識をして、その見直しも求められているということである。

    こういった観点から、やはり今まで以上の厳しい設置基準というのを決めていく必要があると思うわけであるが、そこで、今考えられているのはまちづくり部の条例であるが、環境部局として新たな設置基準というか、一定の基準を作るべきだと思うわけであるが、その点についてはいかがか。

    ■自然環境課長(岩原直子)■ 自然環境保護の観点からの規制について質問をいただいた。

    まず、新温泉町風力発電の環境影響評価手続の中では、「専門家の指導のもと動植物に関する綿密な現地調査を行うこと」を知事意見として示し、環境影響を回避・低減させることを事業者に求めている。

    また、先ほどご答弁させていただいた自然公園法等で指定されている自然公園では、許可制度を設けており、生物多様性への影響回避などの設置基準を設け、自然環境の保全を図っている。

    風力発電施設への規制については、こうした環境影響評価手続や自然公園の許可基準なども勘案し、自然環境保全の観点から、規制のあり方について総合的に検討してまいりたいと考えている。

    ■ねりき恵子■ 長野県で計画出力50キロワット以上、ハブ高さ25メートル、または風車直径15メートル以上の中・大型風力発電設置に際して、自然環境保全の観点から、環境影響評価とは別に住民の意思が適切に反映できるように、関係市町村の同意を要する長野県内の風力発電施設の建設に関する手続のガイドラインというのを策定している。

    また、中大型風力発電施設に関する影響想定地域マップというのも作られて、その中では自然環境や災害などを考慮して、原則、立地から除外すべき地域、特に慎重に検討すべき地域などの制限をかけて適正な立地を図るようにされているところである。

    やはりこういった目に見える形で具体的にこの地域はこうだというような規制、ある程度の基準が要ると思うが、その点についてはいかがか。

    ■自然環境課長(岩原直子)■ 風力発電の規制についてご質問をいただいた。

    県としては、環境影響評価手続であるとか、先ほど申し上げた自然公園の許可基準、それから大規模開発要綱、さらには今回の太陽光条例の改正なども含め、総合的に規制のあり方について検討していきたいと考えている。

    ■ねりき恵子■ いずれにしても、地元住民の意見、そして兵庫県自身が非常に環境に影響があると思われている地域であるので、中止を強く求めて質問を終わる。ありがとうございました。

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