議会報告

  • 2018年10月15日
    予算・決算特別委員会

    2017年度決算特別委員会 産業労働部 ねりき恵子

    保護観察対象者の就労・協力雇用主への支援を

    ■ねりき恵子■ 日本共産党のねりき恵子である。よろしくお願いする。

    初めに、保護観察対象者への支援の拡充についてお伺いする。

    保護観察対象者雇用者導入支援事業を行っているが、その実績についてお伺いするわけだが、何らかの事情で犯罪や非行を犯した人たちが、その罪を償い、再出発しようとするとき、人生の立ち直りを導き、社会復帰を助け、再び犯罪や非行に陥らないよう、保護司をはじめ協力雇用主などさまさまな更生保護活動が行われている。

    犯罪を犯した人たちが立ち直るためには、仕事を確保し、職場に定着して、責任ある社会生活を送ることができるよう、サポート体制の強化が求められているところである。

    保護観察終了者のうち、仕事のある者の再犯率は7.7%に対して、無職者の再犯率は25.2%と、有職者の約3倍にも上る統計があり、刑務所再入所者の約7割は、再犯時に無職だということである。再犯や再非行を防止するためには就労支援が必要不可欠であることからも、保護観察対象者を積極的に雇用し、立ち直りに協力する協力雇用主の役割はとりわけ重要である。

    兵庫県は、神戸保護観察所と連携しながら、全国的にも先進的な取り組みを進めてきていて、平成22年からは、協力雇用主が保護観察対象者を雇用した場合、県の公共工事の入札に加算がされる制度を導入されている。

    平成24年度には保護観察対象者等雇い入れた協力雇用主に人件費等を支援する更生保護協力雇用主応援事業を全国で初めて創設された。

    その後、現在の制度になっているわけだけれども、平成27年度からは、国の就労支援金制度が導入されたことに伴って、国の制度の上乗せ助成として、新たに保護観察対象者を雇用する民間事業者に対し、最大4ヵ月間の給与、研修費の一部を補助し、支援していらっしゃる。

    そこで、その実績をお伺いしたいと思う。

    その結果、現在の協力雇用主の登録数に対し、実際に保護観察対象者を雇用している雇用主がどれだけあるのか、あわせてお答えいただきたい。

    ■労政福祉課長(竹谷昭宏)■ 保護観察対象者等雇用導入支援事業については、平成27年度から実施している。過去3年間の支援実績については、平成27年度が12名、平成28年度12名、平成29年度11名ということでの新たな保護観察者の雇用について、雇い入れた協力雇用主に対して、各年度それぞれ約315万円、280万円、295万円を助成しているところである。

    協力雇用主の登録数については、現在約650社である。そのうち実際に雇用している雇用主については26社である。

    ■ねりき恵子■ ありがとうございます。この3年間で、35人の新たな雇用者が増えたということで、一定の成果はあるというふうに思うわけだが、今お答えいただいたように、県下の協力雇用主の登録数が約650社に対して、実際に雇用を受け入れている企業は26社という程度にとどまっている。

    一方で、県内の保護観察者は約1,700人いるというふうに聞いているけれども、さらなる、やはり雇用主に対しても支援の強化が求められているというふうに思っている。

    政府が保護観察者を実際に雇用する企業の数を平成32年までに3倍、全国で1,500社にするという目標を掲げ、そして平成28年には再犯防止推進法が成立して、その法14条で、協力雇用主について、初めて法律に規定された。そして、その役割は一層重要になっているというふうに思う。

    私の地元宝塚でも宝塚市保護司会が中心になって準備を進め、宝塚市協力雇用主会アトムの会を立ち上げる準備を進めていらっしゃる。11月には設立総会が予定されているわけだけれども、さまざまな努力をして保護観察者を雇用しても離職者が多いという実態も一方であります。雇用の継続、職場への定着も課題である。

    そこで、協力雇用主に対して、さらなる支援の拡充が求められているというふうに思うわけである。先ほど言ったように、650社に対して26社ということでは余りにも少な過ぎるというふうに思う。ここに何らかの課題があるというふうに思うわけだが、手続の簡素化であるとか、さらなる周知の徹底であるとか、今の制度をさらに拡充して、支援金を増やすとか、そういった意味で支援策の拡充が求められていると思うが、お答えいただきたい。

    ■労政福祉課長(竹谷昭宏)■ 委員ご指摘のとおり、本県では約650社の登録があるが、協力雇用主、実際に雇用している数というのは、確かに三十社に満たない状況である。

    一方で、保護観察者の雇用拡大については、刑務所出所者等の事情を理解した上で雇用し、改善、更生に協力する協力雇用主の存在はもちろん不可欠である。

    こうしたことから、現実の雇用定着といったものをどのように促進していくのか、協力雇用主をどのように増やしていくというのが喫緊の課題であるというふうに認識している。そのため引き続き、当事業の推進することはもちろんだが、これに加えて、更生保護の理解と協力を求める、例えばシンポジウムの開催といったことや情報誌の発行等によって、協力雇用主への意識醸成といったものを一層図ってまいりたいと思っているとともに、兵庫県の就労支援事業者機構に配置した就労推進員の職場訪問とか、あるいは就労相談による定着の支援を図ってまいる。

    また、あわせて今年度から法務省のモデル事業を活用して、保護観察者等を対象にビジネス基礎研修や職場体験を行う就労支援事業も実施することといたした。

    今後とも、こうした取り組みを重層的に実施して、協力雇用主の意識醸成などを積極的に推進して、現実の雇用増加につなげてまいる。よろしくお願いする。

    ■ねりき恵子■ 重層的なさまざまな取り組みをしていただけるということで、それとあわせて、先ほど言った直接支援ということの拡充も改めて求めておきたいというふうに思う。よろしくお願いしたいと思う。

    障害者雇用促進のための企業支援を

    ■ねりき恵子■ 次に、障害者の雇用促進についてである。

    中央省庁の障害者雇用の水増し問題が明らかになり、この民間事業者に指導する立場の国や行政のこの水増し行為は許されるものではないし、その原因究明と再発防止、雇用率達成への取り組みをさらに求めるものである。

    そこで、兵庫県として、障害者雇用促進法などの目的を実現するため、障害者がそれぞれの能力を発揮して、働くことのできる体制整備、施策の充実を求める立場から質問する。

    兵庫県では、知事を本部長とする兵庫県障害者雇用就労推進本部を立ち上げ、障害者の雇用対策に全庁的に取り組んでいるが、この水増し問題を受けて、何らかの対策など検討されているのかお聞きしたいというふうに思う。

    また、具体的な障害者の雇用、就業の促進については、障害者の方への直接支援として、障害者就業生活支援センターを置いて、それぞれに配置された支援員が就職相談や現場実習、就業後の定着支援などが行われている。

    また、障害者の方を雇用する企業に対する支援としては、障害者雇用率の算定特例が適用される特例子会社事業協同組合を設立する場合やその特例子会社事業協同組合が2名以上障害者を新たに雇用することが前提の施設整備費に経費の一部を助成するなどの支援を行っている。

    このような支援策のもと、平成29年度の兵庫県内の事業所の障害者雇用の法定雇用率、先ほどご答弁あったので、達成しているということだが、改めて法定雇用率が達成しているのか、また、その企業の規模別に、達成している企業の数と割合を教えていただきたい。よろしくお願いする。

    ■労政福祉課長(竹谷昭宏)■ 障害者の能力と適性に応じた就労については、障害者の自立した生活、社会参画を促進するため重要である。このため、障害者支援、企業支援、こういった取り組みや制度の普及啓発といった総合的な施策を進めていて、結果として、県内事業者における障害者の雇用数は、平成29年6月1日現在の雇用率は、県全体で2.03%ということで法定雇用率の2%を達成している。

    また、達成企業の割合については、全県で52.7%であって、全国平均の5%は上回っておるところである。詳細に見ると、従業員が1,000人以上の企業では68.5%ということであるのに対して、50人から99人の企業については47.1%というふうになっている。これについても、それぞれ全国平均の62%、46.5%については上回っているところである。

    ■ねりき恵子■ お答えいただいた。実際には、全体では法定雇用率が達成しているけれども、企業の規模別とか企業の割合を見ると、まだまだ達成していない企業が残されているというか、多いという実態だというふうに思う。全国平均よりも若干上回っているというところでは、支援を頑張っていただいているのかなと思うわけだけれども、それでもやはり50人から100人規模の法定雇用率達成企業は47.1%と低い状況にあるので、やはりこういった規模の小さい企業に対する支援の充実が求められているのではないかというふうに思っている。

    そこで、先ほども紹介した特例子会社の設立だけれども、この設立は、法定雇用率の特例が認められているということで、一定の雇用率を確保するというメリットはあるというふうに思うが、設立のためには条件があって、障害者の雇用が5人以上でないといけない。かつ雇用者数の全体の2割は障害者を雇っていないといけないというような規定があるので、やはり大きな資本力のある企業でないと難しいのかなというふうに思う。そういった意味で、もう少し規模の小さい企業に対して支援を求めるものである。

    この啓発支援の拡充はもちろん、啓発だけでなく、こういった中小の事業者に対して、直接支援するような取り組みも必要だと思うが、その点についていかがか、お考えをお聞かせいただきたい。

    ■労政福祉課長(竹谷昭宏)■ 委員ご指摘のとおり、障害者雇用促進のためには、中小企業への支援というものは重要であるというふうに考えている。

    県では、特例子会社等の設立時の支援など、中小企業を直接支援する事業に取り組んでいて、こうした取り組みの結果、雇用率が年々上昇して、先ほどのとおりであるし、平成29年度には、県内中小企業による初めての特例子会社といったものが設立されたところである。

    一方で、中小企業で雇用が進まない原因としては、コストや手間がかかるといったことや知識、あるいは経験の不足といったものが考えられる。このことについては、平成30年度から精神障害者の雇用が義務化され、法定雇用率が引き上げられたといったことも考慮すれば、見逃せない課題ということで認識をしている。

    このため、こうした特例子会社への支援など、企業支援の取り組みを一層促進する企業向けガイドブックの配布とか、あるいは先進企業の見学会、兵庫県雇用開発協会の専門員による個別支援などの啓発事業や、あるいは障害者就業生活支援センターによる就業訓練、就職後の定着支援や、あるいは企業が試行的に障害者の受け入れを行う障害者体験ワーク事業といったものなど、雇用者、障害者双方への支援を推進しているところである。

    今後ともハローワーク等関係機関と連携して、中小企業への支援施策の充実と、そしてその効果的なPRといったものに努めて、障害者雇用機会の拡大と雇用率の向上に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えている。

    ■ねりき恵子■ お答えいただいたが、さまざまな施策やっていただいているわけだが、先ほども指摘したように、特例子会社、一定の事業規模でないと受けれないということあるので、さらなる中小企業への支援策の充実を求めて、そして障害者の皆さんが働きやすい環境整備を求めて、質問を終わる。ありがとうございました。

ページの先頭へ戻る