議会報告

  • 2018年10月11日
    予算・決算特別委員会

    2017年度決算特別委員会 企画県民部 ねりき恵子

    私学高校授業料無償化の実現へ

    ■ねりき恵子■ 日本共産党県会議員団のねりき恵子である。

    今日は、高校授業料無償化と私学助成拡充について、まずお伺いする。

    一つ目は私立高校授業料無償化の実現についてである。

    日本共産党県議団は、これまでも私学授業料軽減補助の増額をはじめ高校授業料無償化の実現を求めてきた。国は、2020年度から年収590万円未満の世帯を対象に、私立高校の授業料の実質無償化をするとの方針を発表した。

    県は今年度、兵庫県の平均授業料上乗せ上昇分1万8,000円と、年収250万円から年収590万円未満世帯について、国の取組を先行実施するとして、3ヵ年計画で段階的に授業料軽減補助を拡充したところである。

    2020年度までに授業料無償化を実現することには大きな期待がある。実現の見通しがあるのか、具体化がどう進んでいるのか、国の動きについてお伺いする。

    また、国の動きにかかわらず、県としても無償化の実現に向けて取り組むべきと思うが、お答え願う。

    ■私学教育課長(一幡孝明)■ 国は昨年12月に発表した新しい経済政策パッケージの中で、消費税率引き上げに伴って、2020年度から年収590万円未満世帯の実質無償化の方針は打ち出しているが、その後、まだ今の段階では、具体的な拡充措置を行う動きというのはない。

    このため、先ほども先生がおっしゃったが、県は国に先行して、国による実質無償化が開始される2020年度までの間の経過措置として、今年度から新たに、段階的に年収250万から590万円未満世帯の負担軽減を行うこととしたところである。

    授業料の実質無償化については、国と県の補助を合わせた形で実現されるべきであると考えており、国・県の責任範囲を2分の1ずつというふうなことで、平成30年度から3年間かけて無償化を実現するために、30年度は、まず県は6分の1を独自に拡充したといったところである。

    いずれにしても、今後も国の実質無償化の動向なども注視しつつ、県としての補助のあり方について検討を重ねてまいりたいと考えている。

    ■ねりき恵子■ 今お答えの中に国と県の補助を合わせて実質無償化を実現していきたいということであったが、いずれにしても、無償化に向けた取組を進めていっていただきたいと、これは強く要望しておきたいと思う。

    県の授業料軽減補助の制度の過去を振り返ってみると、2010年に授業料無償化の考え方が入ったときに、国の就学支援金制度が導入されて県としても全体としては拡充してきたのだが、県独自の予算は逆に減らされてきたというふうに思っている。

    近隣府県は独自の予算をそのときに増額したのに対し、兵庫県はそれまで支出していた授業料軽減補助の対象の見直しを行って、対象も大幅に削減したし、予算もそれまでの約12億円から6億円へと半減をしてしまった。

    一方で、兵庫県内の私学の授業料の負担というのは、まだ大変重いものがあるというふうに思う。県は今年度、先ほどもお話があったように、国の2020年を見越して段階的に拡充をされたが、実際に兵庫県内の私学の授業料を学園別に見てみると、52校ある私学のうち16校、約3分の1が平均授業料より高い授業料である。

    さらに授業料と施設整備費、入学金を合わせた初年度納付金合計額は平均で87万7,363円と全国4番目で、学費負担は非常に高いという実態は依然変わりない。更に授業料軽減補助の拡充が求められているというふうに思う。

    現在の県の授業料補助の対象年数は、先ほどもご説明があったが590万円までとしているが、国の就学支援金対象の910万円まで拡充していくべきと考えるが、いかがか。

    ■私学教育課長(一幡孝明)■ 私立高校の学費負担の軽減については、平成22年度に国の就学支援金制度が創設され的に、それまで県の授業料軽減補助の対象としていない所得階層の世帯についても国制度の対象ということにしており、国・県を合わせた補助額はいずれの所得階層も大幅には増額されているところである。

    ただ一方で、先ほどもあったが、授業料以外の費用も実際いろいろかかっているのも現実であり、午前中の答弁でも若干お伝えしたが、県は授業料以外にも、奨学金給付制度であるとか、あるいは入学金の貸付制度、あるいは無利子貸し付けなんかも行って、授業料以外の部分についてもいろいろ負担が軽くなるような形で制度は組んでいる。

    現在、県の授業料軽減補助は、国の就学支援金に上乗せするという形で実施しており、補助水準は、国と県を合わせた額に基づいて、所得に応じて段階的に措置することが基本であるというふうに考えているところである。

    ■ねりき恵子■ 済みません。910万円まで対象を拡充してほしいというお答えはなかったというように思うのだが、いかがか。

    ■私学教育課長(一幡孝明)■ 910万円までということだが、いずれにしても、国のほうも無償化に向けての補助のあり方を検討している訳だがそういった動向を踏まえつつ、県としての補助のあり方ということを考えていくということを基本に考えているので、その点ご理解いただければというふうに思う。

    ■ねりき恵子■ これから国の動向も見ながら、あり方を検討していくということだったが、もう既に実際に京都や大阪では、県独自の補助の対象年収を910万円に引き上げているところもあるし、愛知でも840万円と引き上げているということがあるので、ぜひ兵庫県としても、910万円というのは県立高校、公立高校の対象の年収だというふうに思うので、一つの目安ではないかというふうに思うので、ぜひ拡充を求めておきたいと思う。

    もう一つ、私立高校の県外通学者への授業料軽減補助についてである。

    兵庫県からは、本年度、大阪府へ5,434人、京都府へ1,068人、岡山県へ884人、鳥取県へ144人、奈良県へ277人、そのほかにも若干あると思うのだが,進学されている。

    県外通学者に対して兵庫県は、県内私立高校通学者への補助制度がある京都府私学への通学者には2分の1補助、県内私学への補助制度のない大阪府・岡山県・鳥取県私学への通学者は4分の1の補助しかない。

    また、県外私学への授業料補助制度は、従来から隣接する4府県のみが対象であり、奈良県などは288人進学しているが、現在は対象となっていない。

    兵庫県は従来から、あいての自治体に補助制度がないので仕方がないという対応だが、しかしそれは行政の都合でしかないと思う。同じ兵庫県民の生徒に対して、県外の私学だからと格差をつけるべきではないと考える。次代を担う兵庫県の子供たちをどう支援するのか、今までの支援の対象外であった奈良県なども対象とし、県外通学者の授業料軽減補助も県内通学者と同額に引き上げるべきと考えるが、お答え願う。

    ■私学教育課長(一幡孝明)■ 先ほど委員のほうからもご指摘があったが、兵庫県から各府県への県外通学者というのは、一定いることは事実である。

    県外通学者への授業料軽減補助については、地理的要因によって、どうしても県外へ進学せざるを得ない生徒もいるといった圏域地域の実情も踏まえて、昭和45年から総合主義の見地から、県外私立高校への通学者に対して、補助を行う、隣接県の私立高校への通学者には、県内通学者の2分の1、それ以外の隣接県については4分の1というふうなことで実施をしている。

    いずれにしても、子供たちにとっては、住所地により近い場所で教育を受けることが望ましいとは考えているが、交通環境の変化なども踏まえて、補助対象の範囲については、今後の検討課題であるというふうに考えている。

    ■ねりき恵子■ 補助対象の範囲は検討課題ということであるので、これは本会議質問の答弁にもあったので、ぜひ対象を広げるということでご検討いただきたいというふうに思うし、やはり県内、県外と分けるということ自体が問題だというふうに思っているので、この格差をなくすように努力をしていただきたいと、重ねて要望しておく。

    次に、私立高校経常費補助の拡充についてである。私立高校生の1人当たりの経常費補助単価は、平成30年度で見ると34万9,213円、その内訳は国庫5万5,704円、交付税25万9,245円、県税3万4,264円である。

    これを平成19年度からの推移を見ると、1人当たりの補助単価は1万3,403円増額しているが、その財源内訳を見ると、国庫が3,744円の増額、交付税が1万7,645円の増額、その一方で、県税は7,986円減額している。この10年間に経常費補助における県費は2億5,000万円も減額となっている。それは、経常費補助を行革プランに位置付け、地方交付税単価から授業料軽減負担分を段階的に削減するなどとして予算を削ってきたからである。

    今後の経常費補助単価については、この第3次行革プランも今年度で終了するということであるので、今後は授業料軽減補助の重複分解消などによる県費負担分の減額は、もう辞めるべきだというふうに思うが、お答え願う。

    ■私学教育課長(一幡孝明)■ 私立高校経常費補助における交付税の授業料軽減補助分との重複解消の措置については、従前、授業料軽減補助分としての交付税措置を経常費補助に重複して算入していた分を解消したというものである。これによって交付税措置の本来の対象である授業料軽減補助事業の財源に措置の全額が充当されているというところになっているのでご理解いただければと思う。

    ■ねりき恵子■ 今のお答えは、また今までどおり考えていくということだというふうに思うが、やはりそこは私学助成を拡充していくという観点から、行革方針であった訳であるから、もう一度、原点に立ち返って検討をし直していただきたいということを強く要望したいというふうに思う。

    いずれにしても、私学助成、私学は建学の精神に基づいて、それぞれが豊かな教育を作って教育を支える公教育の期間として重要な役割を担っている。私学そのものの運営を支援することと併せて、学費を無償化していくという、その経常費補助、そして授業料軽減補助、国の就学支援金と併せて、やはり無償化に向けて、その実現をするために兵庫県としても一層の拡充を求めて、この私学に関連する質問は終わりにしたいというふうに思う。

    LGBTへの正しい認識と理解を

    ■ねりき恵子■ 次に、LGBT問題の職員研修の位置づけについて、質問する。

    自民党国会議員が月刊誌「新潮45」に「「LGBT」支援の度がすぎる」と題して、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。」と記事を書き、LGBTの当事者はもちろん、支援者を初め多くの識者からも批判が集まり、発言の撤回を求める抗議が全国に広がっている。

    毎日新聞の社説でも、「日本に暮らす全ての人が対象となるのが行政サービスだ。そこからLGBTだけを外せと言わんばかりであり、これはもはや主義・主張や政策の範疇ではない。特定の少数者や弱者の人権を侵害するヘイトスピーチの類いであり、ナチスドイツの優生思想にもつながりかねない。」と厳しく批判している。

    LGBTをはじめとするセクシャルマイノリティの方たちの人権も当然、尊重されるべきものである。それは憲法第11条の基本的人権、第13条の幸福追求権、第14条のあらゆる差別の禁止で、全ての国民に保障されているからである。

    LGBTの当事者の方は、人と違う自分は何か、信頼する自分を受け入れてくれるか、信頼している家族でさえ自分を受け入れてくれるかどうか分からない。また、学校や社会から自分たちの存在が抜け落ちているのではないか悩み苦しんでいる。

    「いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」の実態調査でも、当事者の約7割が学校でいじめや暴力を受けたことがあり、そのうち約3割が自殺を考えたという深刻な結果が明らかとなっているなど、周囲の無理解や偏見が生きづらさを生む大きな要因であり、正しい知識の普及、啓発が重要かつ急務である。

    このような深刻な実態の解消を国連も呼びかけるもと、日本政府も2008年6月、性的思考と性自認に基づく差別を撤廃する措置を求める国連人権理事会勧告を受け入れ、行政や企業も取組を進めている。

    そこで、兵庫県行政としても、LGBTについて、人権問題として深く理解をし、人権尊重の観点から、きめ細かな配慮が求められている。

    県行政として職員研修が果たす役割は大きいと考えるが、LGBT問題について、職員研修の実施状況について、現状をお答え願う。

    ■人事課長(和泉秀樹)■ 本県では、これまでから職員一人ひとりが、さまざまな人権課題についての理解を促進するための取組を進めてきた。最近では、LGBT等の性的マイノリティの人権など、新たに取り組むべき人権課題も出てきており、これらの課題に対しても適切に対応していく必要があるというふうに考えている。

    職員研修としては、管理職などを対象とした人権研修において、平成14年度から身近な人権課題として、性的マイノリティの人権問題を取り上げている。また、今年度からは、県職員になって最初に受講する新任職員研修であるとか、あるいは各所属での職場研修リーダーとなる管理職などを対象とした研修において、性的マイノリティに対する配慮やハラスメントの未然防止について、職員の認識と理解の促進に取り組んでいるところである。

    加えて、平成11年6月に「セクシュアル・ハラスメントの防止等について」の通知を発出して、ハラスメントの防止に取り組むとともに、平成29年1月には、性的マイノリティがセクシュアル・ハラスメントの対象となるということも明記し、先ほど申し上げた管理職がリーダーとして行う職場研修で、職員に対する周知徹底を図っているところである。

    今後とも研修などの機会を通じて、性的マイノリティをはじめとしたさまざまな人権課題に対する正しい認識と理解を深め、より一層、職員の人権意識を高める取組を進めてまいりたいというふうに考えている。

    ■ねりき恵子■ 今ご説明があったが、さまざまな取組をされているのだが、やはり全職員を対象にしたLGBT研修というのは非常に大事だというふうに思うのである。そういった意味で、改めて職員研修の拡充を求めて、質問を終わりたいというふうに思う。ありがとうございました。

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