議会報告

  • 2019年03月13日
    予算・決算特別委員会

    2019年度予算組み替え案 提案説明 庄本えつこ

    日本共産党県会議員団の庄本えつこです。日本共産党の2019年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。

    知事は、予算特別委員会でのあいさつで「平成31年度当初予算は、議会に議決いただいた行財政枠の新たな行財政運営方針に基づき編成する初めての予算です。これまでの改革の成果を活かし、財政運営の目標に即して、県民に信頼される適切な行財政運営を目指します」とおっしゃいました。
     しかし、この委員会でも指摘しましたが、本予算案は、国民の消費も、県民の所得も引きあがらず、県民の暮らしがたいへんとなっているなか、消費税10%増税が前提とされ、さらに震災以来、創造的復興と銘打ち、空港や港、高速道路など大型公共事業を促進してきた借金返済のために、県「行革」を引き継ぐ行財政運営方針のもと、社会保障を抑制し、医療・福祉は削り、人件費を抑制させ、深刻な長時間・過密労働で苦しむ教職員を削減するなど、県民の暮らし、福祉、教育をきりすてるものとなっています。
     また、「選択と集中」といわれますが、産業では、大企業に有利な企業誘致のための産業立地補助金を継続させ、効果が未知数である次世代産業に偏重する一方、県経済の基盤である中小企業への支援は不十分です。農業では、TPP対応のためと称した大規模化、法人化の促進をすすめる一方、小規模営農への支援が届くものになっていません。

    日本共産党県議団は、県提案の2019年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる提案として、19年連続となる、予算組み替え動議を提出するものです。

    組み替えでは、まず全体の規模は、一般会計を中心に、ムダ・過大・不急等、見直しが必要な事業を91項目、合計363億円を減らし、そこから生み出された一般財源と特定財源をあわせた約116億円を、子育て・高齢者への支援、教育の充実、中小企業、小規模農業支援、災害対策、地球環境の保護などとともに、井戸県政がすすめてきた行財政改革で切り捨てられた医療、福祉、教育分野の復活など35項目の増額に充当しています。
     また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、200億円抑制しています。

    それでは、主な内容について説明いたします。

    第1の柱は、医療・福祉分野への支援を強めるための組み替えです。
     国民健康保険が都道府県化されましたが、高すぎる国保によって滞納世帯が、102,315世帯・12.9%(2017年6月時点)にひろがるなど、多くの県民が苦しめられています。委員会での質疑もおこないましたが、組替え提案では、人頭税ともいわれる均等割のうちせめて15歳未満の子ども分を減免する制度を創設し、市町と協力して実施するために、約12億円の予算をつけました。
     また、行革で削られた、老人医療費助成制度を復活させ、重度障害者(児)の医療費助成は、所得制限の世帯合算方式をやめる予算に増額します。難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
     老人福祉対策として、12月議会に全会一致で意見書として提出された加齢性難聴者補聴器購入補助について県制度を制定し、1人あたり平均4万円を1万人に補助できるよう4億円を計上しました。
     廃止された看護師学生就学資金貸付金についても、復活する予算を計上しました。

    二つ目の柱は、子育て支援を強めるための組み替えです。
     こどもの医療費は、県全体で、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化するため、約62億円の予算を増額しています。
     中3まで医療費無料の自治体は、ますます大勢となり、現在、県下41市町中35市町で実施されていますが、三田市が、財政状況の変化を理由に、昨年7月から、一部負担を復活させるという逆流も生まれています。
     県の制度として、子どもの医療費無料化をおこなうことが、各市町へ子どもの医療費無料化への大きなメッセージなります。ぜひ実現させたいと考えています。第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、1億6900万円増額しています。
     待機児童解消の対策の一つとして、行革で削減された民間社会福祉施設運営支援事業費補助を9000万円増額し、保育士の処遇改善などにあてます。

    3.三つ目の柱は、教育分野の支援を強めるための増額予算です。
     高校、大学などの高学費によって苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
     国が給付制奨学金の実施をスタートしましたが、対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。そこで県として大学生向けに、年間36万円を1100人分に給付する制度を創設しました。
     兵庫県の私立高校の学費負担は深刻です。今年度の県内私立学校の初年度納入金の平均額は、84万3,794円で東京、神奈川についで全国第3位の超高学費となっています。この負担を軽減することが必要ですが、県は、私立学校経常費補助に対し、国の交付金単価、国庫負担金単価引き上げ分から、授業料補助拡充分として一人当たり900円を削減しています。この単価カットをやめ、1人900円を上乗せするために、私立が公経常費補助に、約3147万円を増額しています。
     本委員会で審議された私立高等学校等授業料軽減補助に対し、奈良、滋賀、和歌山、徳島への授業料軽減補助を高校2,3年生にもつけるための予算も増額しました。
     さらに現在、小学4年生で止まっている35人学級を6年生まで実施するため約11億5000万円を増額しました。本委員会でも指摘しましたが、教職員の長時間・過密労働は過労死、過労自死などを生みかねない深刻な状態です。少人数学級をすすめて教職員数定員をふやし、きめ細かい教育をすすめるとともに、人員増で教職員の長時間労働などの改善につなげていきます。
     なお昨年、外国人学校振興費補助の要件を見直し、朝鮮学校6校などの教育充実分が削減されていますが、県が推進する多文化共生社会に反し、教育内容への不当な介入となっているので、減額をやめ、2700万円を増額する提案をしています。

    4、第4の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
     ひとつは、わが党ももとめ実現した「兵庫型奨学金返済支援制度」は、来年度京都府との連携を行うということで、予算が若干増額されていますが、連携といいながら、京都府と支援額が異なるというのは、不十分だと考えます。本委員会で提案した、1人当たりの支援額を京都なみにするために、4500万円を増額しました。
     また県内でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2千万円を計上しています。
     働き方改革に関わって、ワークライフバランス推進企業への支援強化を予算化しています。わが党は、この間、一貫して長時間労働規制、過労死の根絶など、県として推進していくことをもとめてきました。その具体化として労働時間短縮、インターバル制を導入し、労働者の働き方への配慮をおこなっている企業に対し、ワークライフバランス促進中小企業支援事業として3億円の予算を計上しました。
     また中小企業において、非正規社員を正社員にした場合、1人あたり100万円を100人分支援できるように、1億円の予算を計上。「過労死ゼロひょうご」実現のために、促進事業費として1000万円計上しています。ぜひ、連動した取り組みにしていきたいと考えています。
     中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
     農業について、兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。とくに中山間地の小規模農家を支援するために、新潟県でおこなわれているサポート事業にも学び、小規模農家公的サポートモデル事業として、5000万円の予算を確保しました。

    5.第5の柱は、防災対策、環境対策再生可能エネルギーなどをすすめる施策についてです。
     東日本大震災から8年、阪神淡路大震災から24年となりますが、震災の教訓をふまえた施策をすすめていくことがもとめられます。南海トラフ地震が予想されるもとで、防災・減災対策を急がねばなりませんが、県内の民間住宅の耐震化の直近の調査では、約85.4%(2015年度)です。今回の予算提案では、民間住宅の耐震改修を一気に促進するために事業費を5億円増額しました。
     神戸製鋼による石炭火力発電所の増設工事がはじまっています。世界の流れを見ても、石炭火力発電の見直し・廃止は待ったなしです。本予算案では、地球温暖化対策を兵庫県が、先頭に立ってすすめる施策への決意として、石炭火力発電所の立地禁止を定める政治指針策定のための調査費を新設しました。
     福島原発事故は、大きな被害をもたらし、いまだに収束しておらず、全容解明に至っていないなか、福井県の大飯原発、高浜原末など再稼働がすすめられています。福島原発事故の教訓は、原発ゼロを実現するということです。組替え提案では、石炭火力発電、原発をやめ、自然エネルギーへの転換をすすめるために、「住宅用太陽光発電設備設置補助事業費」を復活させ、7500万円を、自然エネルギー地域ポテンシャル調査事業費に600万円をそれぞれ計上しました。

     

    環境対策、鳥獣被害対策として、シカ有害捕獲促進支援事業、狩猟期イノシシ捕獲拡大事業予算を増額しています。

    第6の柱は、過大性や問題点を見直した公共事業や、大企業呼び込みで地域経済の発展につながらない産業立地補助金など削減した予算についてです。
     神戸空港への補助、但馬空港関連予算などで約9億5000万円、大阪湾岸道路西伸部整備事業や西伸部展望台、播磨臨海地域道路、など高規格道路の調査費、園田西武庫線など不要・不急の道路関連事業費について約109億円、大規模森林基幹道で約1億6600万円を減額し、国が負担すべき国直轄の公共事業については約93億7000万円を全額削除しました。
     本社などの呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退によって、その効果に疑問がつきつけられている産業立地補助金約16億円を全額削除しました。
     関西広域連合分担金3億1600万円の削減や、「裏金疑惑」のある警察の報償費、不公正な同和行政が残る事業、部落差別固定化の懸念がある部落差別解消推進法にもとづくパンフレット作成費、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
     県会議員の海外視察についても友好都市訪問の公式行事のみとし、人数も限定するなどの簡素化で半減しました。

    以上が予算組み替え提案の主な内容です。

    私たちの提案は、憲法に定められた地方自治の本旨にもとづき、「住民福祉の増進」を何よりも大切にした提案です。 県民の福祉、くらし、命を守り、子育て・教育を支え、地域の産業、農業を発展させる兵庫県予算となるよう、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、日本共産党県会議員団の提案説明を終わります。

    ありがとうございました。


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