議会報告
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日本共産党議員団を代表して請願第72号、第74号ないし79号について不採択ではなく採択を求め、請願第66号、第73号については結論を出さないのではなく採択を求めて討論を行います。
請願第72号「日本政府に核兵器禁止条約の調印・批准を求める意見書提出の件」についてです。
2017年7月、国連会議は核兵器禁止条約を、国連加盟193カ国のうち63%にあたる122カ国の賛成で採択しました。人類史上初の核兵器禁止条約の採択は、日本の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める世界各国と市民社会の多年にわたる共同のとりくみが結実した、文字通り、歴史的な壮挙です。
条約の前文では、核兵器の非人道性を厳しく告発し、国連憲章、国際法、国際人道法にてらして、核兵器は違法だという太い論理が述べられています。また、条約の中身でも核兵器の「開発、実験、生産、保有、使用」の禁止、そしてなによりも「核兵器による威嚇」までもが、禁止されています。
「核兵器の使用の威嚇」という点では、核兵器保有国や同盟国は「核抑止力」論という議論を唱えています。これは“いざというときには核兵器を使うぞ”という脅しによって安全保障をはかろうという考え方です。
しかし、「核抑止力」論に対して、国連会議では、さまざまな角度からの批判が集中しています。
例えば、オーストリアの代表は「核兵器が安全保障にとって有益なら、多くの国が核兵器を持てばより安全な世界になるということになる。全ての国が持てば、一番安全ということになる。しかし、そんな議論は通じるはずがない。核兵器は少ないほうが、そしてない方が、世界にとって一番安全なのだ」と、述べています。まさにここにこそ、真理があるのではないでしょうか。
核兵器禁止条約が「核抑止力」論という核兵器にしがみつく最大の口実を禁止したことは大きな意義をもつと考えます。
核兵器禁止条約は、抜け穴を許すことなく、核兵器の全面的禁止とともに、核兵器に「悪の烙印(らくいん)」を押すものとなりました。核兵器は、非人道的で、反道徳的なものであるだけでなく、ついに人類史上初めて違法なものとなりました。
また国内・県内でも、請願要旨にある様に、広島・長崎の被爆者が「核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます」とする、いわゆる「ヒバクシャ国際署名」は政治信条の違いを超えて広がり、兵庫県でも井戸知事とともに26市長12町長が賛同しています。県議会でも2017年12月「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」を、全会派一致で採択しました。
この立場から、日本政府に対して核兵器禁止条約に署名・批准し、被爆国として核兵器全面禁止のために真剣に努力するよう求める本請願の採択を求めます。
次に請願第74号「幼児教育・保育の無償化、待機児童解消、保育士の処遇改善のための必要な措置を求める意見書提出の件」についてです。
請願要旨にもあるように今年10月から幼児教育・保育の無償化が実施されますが、対象は3歳から5歳児が中心で、0歳~2歳児については、住民税非課税世帯のみが対象で、この拡充が求められます。
給食費はこれまで、公定価格に組み込まれ保育料として払っていたものが、保育無償化に伴って今年10月からは実費払いに切り替えられ無償化の対象外になります。
全国の認可保育所の90%以上が加入する全国保育団体連絡会などは、「食への取り組みは教育・保育の大切な役割だと」無償化を求めています。
さらに、保育の最低基準を満たす認可保育所の増設や保育士確保の上で急がれる保育士の処遇改善が求められています。無償化によってそれらが後景に追いやられないかという懸念も請願要旨にもある通りです。そしてこれらの財源を消費税に求めていることも問題です。施策を充実させようと思えば、今後、消費税を上げ続けることになります。日本共産党は、社会保障の財源については、所得の低い人ほど負担が重い消費税増税分を充てるのではなく、様々な優遇税制によって実質課税率が10.6%にまで低くなっている大企業の法人税実質課税率を中小企業並みに引き上げること、株の売買で多額の資産を築いている超富裕層に対し証券課税を欧米並みの30%に引き上げて税収を確保する提案をしています。
幼児教育・保育の無償化、待機児童解消、抜本的な保育士の処遇改善のための必要な措置を求める本請願に賛同し、採択を主張いたします。
次に、請願第75号「後期高齢者の窓口負担原則1割の継続を求める意見書提出の件」について採択を主張いたします。
請願の要旨にもあるように、高齢者は現在でも経済的理由で受診を差し控えるという状況があります。総務省の「平成29年家計調査」では、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、生活費が実収入より約5万5千円不足し、貯金を取り崩して生活していることが伺えます。
また、本請願を出された兵庫県保険医協会が2015年12月に行った「受診実態調査」によると「この半年間に、経済的理由によると思われる治療の中断があったか」という問いに対して、「あった」と答えた割合は、医科・歯科合わせた全体で48%にもなり、前回2010年の調査37%と比較すると10ポイント増加しています。そして、「75歳以上の患者窓口負担の2割への引き上げについて患者さんの受診に影響があると思うか」との問いには、「受診抑制につながる」と回答した医科・歯科医療機関は8割にのぼりました。これが、医療機関・開業医の実感だと思います。
高齢者が必要な医療を受けられず、疾病を悪化させることがあっては、健康長寿社会・1億総活躍社会は絵に描いた餅になるのではないかと警告する、本請願の願意は当然と考えます。よって、75歳以上後期高齢者の窓口負担原則1割継続を求める本請願の採択を強く主張いたします。
請願第76号 最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書提出の件についてです。
アベノミクスによって、大企業の内部留保は過去最高になる一方で、働く人の実質賃金も消費支出も低迷したままとなっています。非正規雇用労働者は全労働者の4割に達し、労働者の4人に1人が年収200万円以下に陥っています。
2018年改定による地域別最低賃金は最も高い東京都で時給985円、最も低い鹿児島県では761円で、兵庫県は871円となっています。この賃金だと毎日フルタイムで働いても月11万円~14万円程度」の手取りにしかなりません。これでは健康で文化的な最低限度の生活さえ保障されません。
最低賃金法には「労働者の生計費と賃金」を保障し、事業者側への配慮として「通常の事業の支払い能力」に応じた支払を求めています。また、労働基準法には「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきでなくてはならない」と、しています。また、最賃の地域間格差は労働力の地方からの流出を招き地域経済を疲弊させる要因にもなっています。
よって、働く人の健康で文化的な生活を保障するためにも最低賃金を1000円以上に引き上げ、地域間格差をなくし地域経済活性化のためにも全国一律最賃制度を確立し、併せて中小企業に対しては負担を軽減するための支援を実現することを求める本請願の願意に賛同し採択を求めます。
次に請願第77号、第78号「青年の働き方に関する件」について、同趣旨の請願ですので一括して討論を行います。
近年「ブラック企業」という言葉が広く知られるようになりましたが、未だ青年の働く実態は深刻です。民主青年同盟兵庫県委員会が街頭で行ったアンケート調査でも「睡眠時間・食事の時間がとれない」「有給休暇がとれない」と、多くの青年労働者が回答しています。一方で、働きやすく生活を豊かにするためには「基本給を上げる」「最低賃金を1500円以上にする」「残業時間の上限を設ける」と回答しています。
よって、青年労働者が主体的に労働条件を改善していくことができるよう、労働者の権利に関する広報を青年労働者に周知し、その内容は青年労働者をエンパワーメントする内容とすること。また、県立高校などで労働者の権利や労働組合について学ぶ授業を実施することなどを求める本請願の採択を求めます。
次に、請願第79号「学校給食の無償化に向けて県の財政支援を求める件」についてです。
本請願は、2015年の内閣府調査により、子どもの貧困率が13.9%、7人に1人が貧困のなかでくらし、とりわけ1人親家庭の貧困率は、54.6%となるなどのなか、子育て支援策として学校給食の無償化が、喫緊に求められているとして、県の財政支援を求めるものです。
請願趣旨では、貧困が広がる中、朝食を食べてこない子どもがふえ、「夏休みが明けると子どもが痩せている」という実態や、給食1食分で一日の栄養バランスを支えているというケースも報告されているとし、バランスのとれた栄養豊かな給食は、育ち盛りの子どもたちにとってかけがえのないものとしています。
戦後文部省は、“学校給食費も無償化することが理想”としてきており、学校給食法で保護者負担とされている食材費について、自治体等が全額補助することも否定されないことが1947年の事務次官通達でも確認されています。文科省の2017年度調査では兵庫県内の佐用町をはじめ、82自治体が無償化に乗り出すなど、無償化は国民・県民の共通した願いになっています。
こうした状況をふまえ、県としても学校給食無償化にむけた、財政支援を行うべきです。
よって、本請願の願意に賛同し採択をもとめます。
次に請願第66号、「日米地位協定の抜本改定を求める意見書提出の件、第73号「米軍基地負担の軽減と日米地位協定の見直しを求める意見書提出の件」については、結論をださないのではなく採択を求め、同趣旨なので一括して討論を行います。
日米地位協定は1960年に締結されてから、日本政府が改定を提起したことがなく、在日米軍基地のある他国と比較しても異常なほど不平等なものとなっています。
本請願にもある様に、全国知事会は昨年7月27日、日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択しました。提言では、米軍機の低空飛行訓練等についての実態調査、訓練ルートや訓練時期の事前情報の提供、米軍への国内法の適用など、日米地位協定の抜本的見直し、基地の整理・縮小・返還の促進を求めています。画期的なことです。
先月、沖縄で新基地建設の賛否を問う県民投票が行われ、投票総数の7割という圧倒的多数の県民が新基地建設反対の意思を示しました。同時に、新基地建設に賛成した人も含めて「米軍機がいつ落ちてくるかと不安」「騒音が激しく赤ちゃんが泣いて寝ない」など、安心して暮らせないという思いを述べています。
本請願にもある様に、現在の日米地位協定では米軍が事故・事件を起こしても日本側が立ち入り調査することや裁判することができず、住民の命が脅かされている状態を見過ごすことはできません。
兵庫県議会は、2003年「日米地位協定の見直しを求める意見書」を全会一致で採択しています。
全国知事会や兵庫県議会の総意、沖縄県民の思いを重く受け止め、日米地位協定の抜本改定に取りくむよう、国に意見書を提出することを求める本請願の採決を強く求めます。
以上、議員の皆様方のご賛同を心よりお願い申し上げて討論を終わります。