議会報告

  • 2019年03月20日
    本会議

    第343回本会議 平成30年度繰り越し、補正予算議案反対討論 いそみ恵子

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の議案の内、第181号議案、第184号議案、第186号議案、以上3件について反対し、以下、主な理由を述べます。

    まず第181号議案 「平成30年度兵庫県一般会計補正予算」についてです。

    今回の繰越には、東播磨南北道路、浜坂道路、園田西武庫線など不要不急の道路関連事業が含まれているからです。

    東播磨南北道路は、2004年から2014年までの約10年間で南工区が整備されました。南工区は総延長5.2㎞のうち75%にあたる3.9㎞が高架区間です。これまでも述べてきましたが、高架区間は特殊技術を必要とする橋梁上部工事を伴いますが、県内で橋梁上部工事を施工できる業者は1社しかなく、高規格道路を施工した実績はないとのことです。南工区は総工事費279億円のうち、約55%にあたる約153億円が橋梁上部工事にあてられ、JV共同事業体を含めその全てを県外業者が受注しています。浜坂道路もこれまで指摘した通り同様の傾向です。

    今、行うべき公共工事は、不要不急の大型公共工事ではなく、地元建設業者も直接受注できる防災・減災型公共工事を中心に行うべきです。河川整備率59%、土砂災害警戒区域の整備率26%と、遅れている減災・防災・老朽型の公共工事こそ必要です。

    また、園田西武庫線は、三菱電機敷地内を含め、尼崎市内を東西に走る道路で、総事業費約198億円かけて整備するもので、今後、整備をすすめる東園田側では、用地問題などで住民合意が得られていないなどの問題をかかえています。この事業については、三菱電機の敷地用地買収や物件移動の補償費などで約124億円にものぼり、総事業費の約6割が三菱電機関連にあてられていることなど、そもそも事業そのものに反対です。 以上、いずれも繰越してまで進める必要はありません。

    次に、第184号議案 「平成30年度兵庫県営住宅事業特別会計補正予算」についてです。本議案には、伊丹市の県営野間住宅などの整備事業の明許繰越が含まれています。野間住宅は、第4期ということで、最終となりますが、管理戸数は、もともと、9棟390戸あり、それが3棟316戸となり、74戸削減されることになります。低廉な家賃で住宅を提供する県営住宅の役割がますます高まっている中、管理戸数を減らすことに反対です。

    最後に、第186号議案「損害賠償請求控訴事件に係る出訴」についてです。

    重度の知的障害者である原告が、兵庫県西宮警察署の警察官らによって、同署に連行されたうえ、その取り調べをすると共にDNAを採取されました。その際に合理的な配慮をしなかったことが違法であるとの主張により、兵庫県に対し、損害賠償請求の裁判がおこされました。本議案は、3月13日の判決により、原告の請求が一部認められ、11万円の損害賠償金が発生していることを県が不服として、控訴しようとするものです。

    しかし、裁判の判決文において、警察によるDNAの採取について、「(原告が)プライバシー及び遺伝情報という抽象概念の内容及び価値を理解する能力を欠いていたことは明らかである。したがって、原告は、その当時、自己の遺伝情報を提供することの意味を理解する能力を有していなかったというほかはない」として、違法な捜査と言わざるを得ないと断じています。また、同行した父親が、DNA採取に対し、同意の意向を示したとされていますが、判決文では「(父親が)原告の法定代理人(成年後見人)ではなかった以上、そのことをもって、本件採取につき法的に有効な同意があったということはできない」とし、「本件採取それ自体が違法であると判断される以上、その際に原告に対して合理的な配慮がされたか否かについては、判断するまでもない」とされ、合理的な配慮が欠けていたと断じています。

    この判決による判断は、妥当であり、県は、判決を受け入れ、原告を控訴すべきではありません。県警は、障害者に対する取り調べ等において、障害者権利条約にもとづいた、合理的配慮を行うべきです。よって、第186号議案には、賛同できません。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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