議会報告

  • 2019年03月18日
    本会議

    第343回本会議 当初予算条例反対討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党県議会議員団を代表し、上程中の議案の内、議案第1号、第2号、第4号、第5号、第10号、第15号ないし第18号、第20号ないし第23号、第25号、第26号、第30号ないし第32号、第37号ないし第39号、第42号、第44号、第49号に反対し、討論を行います。

    7年目を迎える「アベノミクス」により、富裕層や大企業は巨額の利益をあげる一方、県民の所得はふえず、消費も冷え込んだまま、安倍政権は、消費税10%への増税を強行しようとしています。そのうえ連続する社会保障負担増で、くらしはさらに痛めつけられ、格差と貧困がますます増大しています。

    共産党議員団は、先の予算特別委員会で、19年連続となる予算組み替え案を提案し、財源も示し、県民の福祉・くらし、地域の産業・農業を支え発展させる予算編成が可能であることを示したところです。このような立場から以下、反対の理由を述べます。

    まず第1号議案「平成31年度兵庫県一般会計予算」、第15号議案「平成31年度兵庫県国民健康保険事業特別会計予算」、第16号議案「平成31年度兵庫県病院事業会計予算」、第39号議案「兵庫県学校教職員定数条例の一部を改正する条例」、第44号議案「兵庫県行財政運営方針の変更」についてです。

    反対の第1の理由は、消費税10%への増税を大前提としている予算案だからです。

    予算特別委員会でも指摘したように、2014年の消費税8%増税による家計消費や実質賃金の落ち込みが回復しておらず、このまま消費税増税が強行されれば、県民の暮らしは、大打撃をうけます。さらに予算案では、地方消費税収が、県税収入全体の27.8%でトップであり、消費税に頼る税収になっています。わが党はこれまでも、消費税は、逆進性があり低所得者に重くのしかかるとして批判してきていますが、低所得者からむしりとるような消費税10%への増税はやめるべきです。

    しかも、3月7日に内閣府が発表した1月の景気動向指数では、3カ月連続悪化し、内閣府自身が「下方への局面変化」と景気悪化を認めざるを得ない状況になっています。こんな状態で、消費税を引き上げれば、経済の大破綻を引き起こします。

    県として、国に消費税10%増税の中止をもとめ、税収は、業績好調といわれ、巨額の内部留保をため込んでいる大企業から応分の負担をもとめるよう要請すべきです。

    第2の理由は、兵庫県行財政運営方針、国の自然増抑制策のもと、社会保障を大幅に抑制するものだからです。

    社会保障費について、国の自然増抑制策により、自然増分の伸びのうち1200億円が削減され、介護保険料の総報酬割の拡大による加入者負担の引き上げ、生活保護の母子加算引き下げなど、新たな社会保障の切り捨てが行われています。10月には低所得者の後期高齢者医療制度保険料軽減の特例措置が廃止され、さらには、後期高齢者の窓口負担増も検討されています。こうした国の方針にもとづき、県民にもっとも必要な社会保障費を抑制する県財政運営方針は、廃止すべきです。

    また、国民健康保険の都道府県化により、県が行っている納付金算定のシミュレーションでは、来年度は、各市町で軒並み、今年度よりも国保料が引きあがる結果を示しています。協会けんぽの約2倍にものぼる国保料について、県として、引き下げる手立てをとるべきです。わが党が提案した子どもの均等割分の減免制度をただちに創設することを求めます。

    社会保障関連費のなかには、地域医療構想を推進するとして、病床数削減を促進し、在院日数を必要以上に抑制する予算があり、やめるべきです。

    第3の理由は、産業政策の中心が、産業立地促進条例による大企業を中心とした企業誘致に特化していることです。

    企業誘致の推進は地域創生戦略の中でも「兵庫への新しい人の流れをつくり、人材の流出を流入へと転換させる」事業として、予算的にも大きく位置付けられ、企業誘致件数は累計で1098件となり全国2位とのことですが、パナソニックには、131億円もの補助がなされたにもかかわらず、尼崎の3工場は撤退し、姫路工場では、地元からの正社員雇用が確認されていません。「人口流入への転換」といいながら、兵庫県は、毎年、人口流出の上位をあらそうなど、その効果は、発揮されていません。

    兵庫県の産業を支え、人口の流出をおさえるためには、県内の地場産業、中小企業を直接支援し、地域の産業、企業に若者が従事できる対策を抜本的に強めるべきです。

    第4の理由は、農林業政策の中心が、TPP対応のための大規模化、法人化をすすめる予算が中心となっているからです。農業では、法人化促進総合対策事業や、企業の農業参入の推進などの予算のほか、基幹的地域農業法人の確立支援として、JAに法人化を促進させるための事業も加わり、あまりにも、大規模化、法人化ありきの事業に偏重しています。

    国連では、2014年を「国際家族農業年」とし、小規模農業の重要性を訴え、2019年から28年までを「家族農業の10年」と位置付け、各国政府に小規模家族農業に関する施策を推進するよう求めています。県の農業政策は、こうした世界の流れに逆行するものです。農林業支援というならば、こうした国連の提起をふまえ、小規模家族農業に光をあてた、支援こそ求められます。

    第5の理由は、大阪湾岸道路西伸部整備、大阪湾岸道路西伸部海上橋展望施設計画、播磨臨海地域道路計画、北近畿豊岡自動車道の調査費、園田西武庫線など不要・不急の大型公共事業予算が含まれていることです。また空港関連では、当初の需要予測を大幅に下回っている神戸空港への整備補助金、但馬空港管理・運航費など9億5千万円も計上しており、空港の廃止も含め事業計画の見直しが必要です。

    兵庫県の高速道路整備延長距離は、あの広い北海道に次いで、全国2番目であるにもかかわらず、「高速道六基幹軸計画」から、「基幹道路八連携軸」へと、新たに115kmの高速道路整備をすすめようとするものです。

    北近畿豊岡自動車道、山陰近畿自動車道、東播磨道、大阪湾岸道路西伸部、但馬空港などわが県の大型公共事業を位置づけてきている全国総合開発計画は、「所得倍増計画」の掛け声のもと、今日の国土形成計画に至るまで、その目的を「人や企業の東京一極集中を是正する」としていますが、いくら高速道路や空港をつくっても、東京一極集中は加速されており、期待される効果は、何も発揮されていません。

    破たんした過剰な高速道路整備や空港整備をすすめるのではなく、公共工事は地元建設業者も直接受注できる防災減災型公共工事を中心におこなうべきです。

    第6の理由は、行財政運営方針にもとづき、教職員数を137人も削減する計画だからです。行財政運営方針では、人件費の抑制も掲げており、その柱に少子化による教員定数の減をあげています。しかし予算特別委員会でも指摘しましたが、中学では月80時間の過労死ラインを超える長時間労働をしている教員が、約半数に上るなど、教員の働き方は深刻です。教員の働き方改革、子どもの教育環境充実のためにも、教員定数の抜本増こそ求められています。

    以上の理由から第1号、第15号、第16号、第39号、第44号議案に反対します。

    第2号議案「平成31年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」、第4号議案「平成31年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」についてです。

    提案されているそれぞれの議案は、県有環境林の取得、原資のためなどとして一般会計から環境林特別会計へ繰り入れを行い、環境林特別会計からは、これまで反対してきた石の寝屋緑地用地などの借金返済のために公債費特別会計へ繰り出しを行おうとするものです。

    また公共事業用地先行取得特別会計予算として、小野市場(いちば)と宝塚新都市事業の土地売却の費用などが公債費特別会計に繰り出されているものです。

    これまでも述べてきた通り、過去の用地先行取得事業の失敗や未利用地の時価評価について県民に明らかにすべきです。県民に何ら説明もなく、環境林事業という曖昧な事業のための新たな予算付けを行うことは認められません。

    また、これまで取得した環境林取得費1170億円分に対する事業効果も県民に明らかにすべきです。

    第5号議案「平成31年度兵庫県営住宅事業特別会計予算」についてです。

    老朽化した県営住宅の建て替えや大規模改修などの促進は求めていますが、今回は小林住宅が宝塚御所の前住宅に、明石金ヶ崎(かながさき)住宅が長坂寺(ちょうはんじ)住宅にそれぞれ建て替えに伴い集約化、管理戸数の削減も含まれており、賛成できません。また、震災復興借り上げ住宅の住み替えについても、きめ細かな対応と希望者全員の継続入居をあらためて求めるものです。

    第10号議案「平成31年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算」についてです。福祉的な対応が必要な事業であるにもかかわらず、貸付金の回収を民間に託していことに反対です。

    第17号議案「平成31年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」についてです。

    10月からの消費税10%増税を前提に、水道料金に転嫁し、料金を値上げするもので認められません。過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制などにより、全国でも有数の高い県営水道料金を市町に押し付けていることからも反対です。また、市町の水道事業の課題に応えるための水道事業の広域化がすすめられていますが、命の源である水を確保するには、水源の広域化ではなく身近な生活圏に整備することが重要であり、そのための市町への人的・技術的支援、財政支援が求められています。

    第18号議案「平成31年度兵庫県工業用水道事業会計予算」についてです。

    主に、新日鉄広畑製鉄所など、大企業に供給している工業用水は、1トン当たり4円30銭で、不当に安い価格に据えおいていることから認められません。

    第20号議案「平成31年度兵庫県地域整備事業会計予算」についてです。

    2014年度からの会計制度の見直しによって、進度調整地を除く時価評価が行われたことで純損失が明らかとなり、一部ではあるものの利用のめどがなく土地を買い集めたつけが明らかとなりました。しかし、進度調整地について時価評価はいまだ行われず、プロジェクトごとの収支も明らかにしていないことから反対です。

    第21号議案「平成31年度兵庫県企業資産運用事業会計予算」についてです。

    神戸市がすすめる新バスターミナルを併設する再開発ビル整備のうち、Ⅰ期(雲井通り5丁目)を再開発会社施行の市街地再開発事業として整備するのに、企業庁がサンパルの地権者として再開発会社へ出資により参画しています。神戸市がすすめる三宮駅周辺の再開発事業は、地域の中小業者や住民置き去りの巨大再開発事業で、新たな負担を強いるものであり反対です。

    第22号議案「平成31年度兵庫県地域創生整備事業会計予算」についてです。

    一昨年から新たに小野産業団地事業を進めていますが、ここは小野長寿の郷構想の一部であり、一部はすでに医療・福祉機関が進出していることや、構想の見直しの報告もないまま産業団地事業を進めるのは問題です。

    また、昨年度から「地域介護福祉拠点整備事業」があらたに加えられました。超高齢化社会に向けて民間事業者の運営・ノウハウ・人材等を活用して事業を行うため、提案コンペを行い高齢者向けの地域介護福祉拠点を整備するものですが、公共性の高い高齢者福祉施策を進めるのに、県の福祉部局など専門職がかかわることが重要であり、企業庁事業を拡大していくことは認められません。

    第23号議案「平成31年度兵庫県流域下水道事業会計予算」、第42号議案「流域下水道事業についての市町負担額の決定」についてです。

    2018年4月から流域下水道事業会計は、特別会計から、地方公営企業法の財務規定等を一部適用し公営企業会計となりました。地方公営企業法は独立採算が原則ですが、流域下水道事業は経済性を発揮するためだけの事業ではなく、採算が取れなくてもやらなければいけない事業であり、今までと同様に一般会計からの繰り入れは行われるといいますが、地方公営企業法の財務規定が適用されれば、一般会計からの繰り入れが制限されていく懸念があります。また施設整備費などが新たに市町の負担として上乗せされことから反対です。

    次に条例などの議案についてです。

    第25号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」についてです。消費税10%への増税に伴い、兵庫県民会館、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター、西播磨総合リハビリテ―ションセンター、県立病院の特別室の室料、及び診断書、証明書など文書料金、工業技術センター、農林水産技術総合センター、道路占有料、水道用水給水料金、明石公園第1野球場、文化体育館多目的ホールなど、県有施設などの使用料や手数料などをひきあげる条例改定ですが、第1号議案でもふれたように、そもそも消費税10%への増税に反対しており、それに伴う値上げは、認められません。

    さらに受益と負担の適正化を図るとし、介護支援専門員実務研修受講試験手数料が7000円から7900円まで大幅に値上げされ、そのうえ、10月1日の消費税増税に伴う値上げも行う二重の値上げが予定されており看過できません。

    また「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特措法」制定に伴い、裁定申請手数料が新たに加えられていますが、この特措法は、道路などの公共事業の際に行う土地収用法の手続きを簡素化し、収用委員会による裁決を都道府県知事の裁定に代える特例などを盛り込んでおり、憲法29条の財産権に基づく土地所有者の手続保障の権利が不当に奪われるもので、この法律そのものに反対しており、それに伴う申請手数料の設定は、認められません。

    次に第26号議案「兵庫県税条例等の一部を改正する条例」についてです。

    本議案では、自動車取得税、自動車税に関わる改正案が提案されています。消費税増税後の自動車販売の落ち込みを防止するため、増税後の10月1日以降に新規登録する自家用乗用車の自動車税を減税する一方で、エコカー減税率は大幅に縮小され、新規登録車の減税と、登録済み車のエコカー減税等の縮減をトータルで比較すると、今後6~7年は県民負担増となります。8%への消費税増税によって未だ家計消費が回復していない中で、さらなる消費税増税と自動車取得税の増税は認められません。

     

    第30号議案「特別職に属する常勤の職員の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

    特別職に属する知事、副知事、教育長の給与、期末手当の減額率を縮小し、給与・期末手当を引き上げようとするものです。行革によって県民の福祉・暮らしが削られているもとで、特別職の給与・期末手当の減額率の縮小は認められません。

    第31号議案「統計調査条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案は統計法の一部改正を踏まえ、県が行う統計調査に係る調査票情報を、相当の公益性を有する者にも提供できるように条例改正しようとするものです。

    これまで、県統計調査票情報の提供範囲を公的機関に限っていましたが、相当の公益性を有する一般の者として、株式会社にまで拡大しようとしています。公的・公益に資する統計データや個人情報でもある調査票データが、これまでの学術研究の発展に資する活用だったのが、企業の商品開発、市場分析など民間に活用される方向に向けた改正で、提供範囲も際限なく拡大する恐れがあり、問題です。

    さらに、毎月勤労統計の不正データが明らかになっていますが、統計制度は、これまでの予算・人員削減による専門職員の弱体化で質の低下が深刻です。県統計課においても、行革期間中に統計課正規職員数を57人から47人に削減しています。

    公文書や統計データの扱いに対する国民・県民の信頼回復のためにも、また統計知識や技術を継承するためにも、現状職員数でのこれ以上の業務拡大は認められません。

    次に第32号議案「兵庫県立生活創造センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案はJR神戸駅前の神戸クリスタルタワー内にある神戸生活創造センターを、JR新長田駅付近に建設計画中の新長田合同庁舎へ移転しようとするものです。

    神戸生活創造センターは県下広域の県民が利用しており、障害をお持ちの方も利用されています。これまで神戸駅から歩いて3分で行けていたのが、新庁舎までは、新長田駅から10分もかかるなど随分と不便になるとの声が寄せられています。

    生活創造センターはじめ県施設の新長田庁舎への移転は、共同利用する神戸市からの意向が強く働いたと聞いています。公共施設の移転は県民の声をよく聞き慎重に進めるべきです。

    第37号議案「森林環境事業基金条例」についてです。

    国は、人工林が放置され、間伐作業が進んでいない森林に対し、地球温暖化防止や、災害防止・国土保全、水源涵養などの機能が発揮されるよう整備するための財源を確保するために、森林環境税を創設し2024年度から課税するとしました。

    その課税に先立って、国から譲与される森林環境譲与税を、人工林の間伐や県産木材の利用を促進するため、市町が行う森林整備の事業の支援や、人材の育成・確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発などの事業の財源として事業を進めるために、基金をあらたにつくるものです。

    私たちは、森林の整備が、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や涵養など森林の持つ公益的機能を発揮させるために重要だと考えます。しかし、輸入自由化で木材価格が下落し、林業経営に積極的になれないなかで、未整備で放置される森林が増えているのです。その林業経営を支援する林野庁の一般会計予算は、1990年代には6000~7000億円ありましたが、今では3000億円台にまで削減されてきました。森林の整備を促進するというならば、この削減された林野庁の一般会計予算を増やすことが必要です。

    また、造林林道整備も含めて森林整備に携わってきたのは都道府県ですが、今回の森林環境税の仕組みは、市町の役割を重くしています。人材も財源も不十分で課題解決にはつながりません。事業内容は重要ですが、住民に課税することも含め今回の森林環境税の仕組みそのものに賛同できません。国の役割を発揮させるべきです。

    第38号議案「建築基準条例の一部を改正する条例」についてです。

    国の建築基準法が改正され、階数3階の200㎡未満の建物が、ホテルや旅館、民泊施設等への用途変更する場合に、耐火構造等の義務を除外されることに伴う条例の改正というものです。火事によって安全性が脆弱な共同住宅などで多くの人が命を落とすケースが後を絶たないなか、小規模であっても、命の安全に関わる規制の安易な緩和はやめるべきで、耐火対策などを規制緩和するもので反対です。

    第49号議案「公の施設の指定管理者の指定」については、兵庫県立兎和野(うわの)高原野外教育センターを地元の香美町へ指定管理するものですが、利用料金制を伴い、議会のチェックなく一定の範囲で値上げなどが可能となることから反対です。

    以上で私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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