議会報告
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おはようございます。西宮選出、日本共産党県会議員団のいそみ恵子です。7問一括方式にて質問を行います。
1、行財政運営方針と教職員の多忙化解消について
2019年度県予算案は、暮らしが大変な中、消費税10%増税が前提とされ、不要不急の高速道路予算、大企業に有利な産業立地促進補助等は温存しながら、新たな行財政運営方針のもと、国と一体となり社会保障は抑制、人件費も抑制されるなど、県民の暮らし充実に対し、逆立ちした予算となっています。
人件費抑制では、教員の多忙化が大きな問題になる中、教職員数は前年比173人削減される計画となっています。
教職員からは「過重業務によって、子どもたちに向き合う時間がない、教員定数を増やしてほしい」などの声が数多く寄せられています。県が行っている「教職員の勤務時間適正化推進プラン」でもその効果は限定的で、教員定数の増員が今なによりも求められています。
文部科学省の2016年度の教員勤務実態調査結果によると、月80時間超の目安の「過労死ライン」を超えているのが小学校教諭で33.5%、中学校教諭で57.7%に上ることが明らかになり、教員の過重労働が改めて浮き彫りになりました。
中央教育審議会が本年1月25日に発表した「学校における働き方改革に関する総合的な方策について」の「中間まとめ」では、全国学力テストや自治体独自の学力テスト、行政研修の増大、土曜授業、教員免許更新制、人事評価、学校評価など多くの施策を学校に押し付けてきたことを、国の問題として「反省」を述べています。
にもかかわらず、答申は働き方改革という名のもと教員の過重労働を助長する月100時間未満の超勤を認め、その分を夏休み期間中などに振り分ける1年単位の変形労働時間制の導入を提言するなど、長時間労働の実態を覆い隠し、助長する内容となっています。昨年12月に実施された答申素案と「勤務時間上限ガイドライン案」に対するパブリックコメントには合わせて5400もの意見が寄せられ「最も効果があり、現場が望んでいるのは教職員定数の改善であり、強く打ち出すべき」などの意見が多数寄せられています。教員の長時間労働・多忙化解消のカギとなる正規教員の抜本増こそ必要です。
教員定数を初めて法律で定めたのは、1958年の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」です。法案作成に携わった文部官僚は、定数の算定について次のように説明しています。
「一教員あたりの標準指導時数」は、「1日平均4時限となるが、これは1日の勤務時間8時間のうち、休憩時間を含めた4時間を正規の教科指導にあて、残り4時間を教科外指導のほか、指導のための準備整理、その他校務一般に充当するという考え方である」としています。
しかし、実際には、1日5時限、6時限の授業をこなし、法律通りに45分間の休憩をとれば残る時間は25分程度しかありません。そのなかで、授業準備や採点、各種打ち合わせや報告書づくりなどの校務が終わるはずがなく教員の長時間労働は必至です。
そこで質問します。所定の勤務時間内に仕事を終えるには教員の持ち時間上限を、当初の教員定数算定通り1日4時限を目安に定め、それに必要な教員定数の増員こそ必要です。答弁を求めます。
〇答弁:西上教育長 本県では、これまでから、教員が子どもたちと向き合う時間を増やすことを目的に、教職員の勤務時間適正化プランなどを策定し、その取り組みを進め、一定の成果を上げてまいりました。また、国に対しては、現行の学級編制基準の引き下げや、いじめや不登校など学校が個別に抱える課題に対応するための加配教員の充実等を求めてまいりました。
この度、中教審で示された教員の勤務時間の上限に関するガイドラインによりますと、土曜日と日曜日の部活動などを含め、いわゆる超過勤務時間の上限を月45時間としており、労働基準法で定められた土曜、日曜除きの月45時間を上回る厳しい内容となっています。一方、合わせて示された、教員業務の見直しにつきましては、残念ながら、教育的な観点からの検討は先送りされております。年間の授業時間数が定められていることに加えまして、生徒指導、家庭訪問、部活動など、直ちに削減が難しい実態を考えますと、中教審の答申や文科省通知等では、いずれも抜本的な対策とは言いがたいと思っています。
ご質問にありました教員1人あたりの授業時間数について、国において議論されていることは承知していますが、県教育委員会としましては、教育の質の向上の観点を重視し、大胆な少人数学級編制や少人数教育の実現や、いじめや不登校など喫緊の課題に対応するための教員の増員、さらには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家の配置などへの支援などを、総合的に検討すべきと考えております。
国に対しては、勤務時間の上限そのものの再検討を含めまして、ただいま申し上げましたような総合的な対策を求めていきたいと思っています。
2.こどもの医療費助成について
「安心してこどもを産み育てたい」誰もの願いです。私は、子育て支援の大きな柱の一つとして、中学3年までのこども医療費無料化を求め続けてきました。
子育て世帯のこども医療費無料化の要望は強く、県も、乳幼児医療費助成制度に加え、こども医療費助成制度を設け、対象年齢を未就学児から中学3年生まで拡大してきました。
この県の制度を土台に、今では県下35市町で中学3年までの医療費無料化が実施され、県下85%と広がっています。残る6市町でも、中学3年生までの医療費無料化の実現が切望されています。
一方、県の制度には、負担の公平性を理由に所得制限が設けられているうえ、県行革の見直しで、所得判定が世帯合算へと強化され、全国的にも厳しい要件のもと、乳幼児では対象がピーク時から約45,000人削減されています。
中学3年生までのこども医療費無料化が実施されている市町では、やっと無料化が実施されることになったのに、所得制限によって受けられない世帯があるのです。
共働き世帯など、子育て支援が最も必要な世帯が受けられず、西宮市では、昨年3月末時点で中学3年までの子ども73,631人中、17,097人、23%の子どもが対象外となっているのが実態です。
そんな中、14市町が所得制限をなくし、小野市では、対象を高校3年生までひろげています。県として、所得制限をなくし、すべての中学3年生を対象に医療費無料化を実施すべきです。
また、子どもの健康にとって各種予防接種も重要です。しかし、予防接種の経済的負担は大きく、公的助成が求められます。
インフルエンザが猛威を振るっていますが、インフルエンザワクチンの接種料は、ある民間調査では、平均3,500円程度で、多子世帯ほど負担が重く、あるお母さんは、「予防接種をしたくても、費用のことを考えると躊躇してしまう。こどもの命とお金を天秤にかける自分が情けない」と、苦しい胸の内を語っています。
国では、12月に成育基本法が成立し、胎児期から思春期まで一貫してこどもとその家族を医療・保健・心理の面から支援を行う「成育医療」を提供するため国や地方自治体の責務が規定されました。
まさに、こども医療費助成は成育医療であり、予防接種も成育基本法に位置づけられています。
兵庫の未来を担うこども達を育てる子育て支援は、社会全体で担うべきです。
県は、こどもの医療費助成について、負担の公平性などと切り捨てるのでなく、所得制限を無くし、すべてのこどもたちをこども医療費助成の対象とすること。予防接種も含め、こども医療費助成の完全無料化へ踏み切るべきです。こどもの命と健康を守るための知事の英断を求めます。
〇答弁:井戸知事 本県の乳幼児・こども医療費助成は中学3年生までを対象としています。助成の対象年齢は全国トップクラスの水準となっています。
自己負担は、受益と負担のバランスを確保し制度を持続的で安定的なものにするために必要だと考えます。また、この制度は、支援を必要とする方への医療費の自己負担軽減を目的とすることから、支援を必要とする方の定義上、所得制限は必要と考えています。
本県の福祉医療制度は、全市町共通の基盤の制度として実施しているもので、それ以上の制度拡充については、地域の実情に応じ市町の判断により実施されているものと認識しています。
また、福祉医療は保険給付が行われた場合に医療費の自己負担の一部を助成する制度です。予防接種はこの福祉医療に含まれていないため、対象としていません。
なお、インフルエンザ等の感染症に対応した成人やこどもに対する予防接種費用の助成については、県としても国に対し財源措置を要望しています。インフルエンザの予防接種の費用については、現在、県下14市町で助成制度を設けています。
県としては、乳幼児・こども医療費助成事業は、子育て支援策として、若い世代が安心して子育てをできる環境の整備に大きな役割を果たしていると考えています。今後とも、持続的で安定した制度として維持して参ります。
3、高齢者の補聴器購入への公的補助について
年を重ねると耳が遠くなる加齢性難聴は、高齢者の日常生活を不便にし、コミュニケーションを困難にすること等、生活の質(QOL)が落ち、うつや、認知症の危険因子になることも指摘されています。認知症の発症では、聴力の低下に伴い、脳に届く音の刺激が減少することで、脳での認知機能が低下する恐れがあることは、よく知られています。
2015年に政府が策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」でも難聴等が認知症の危険因子とされていることから、難聴の早期診断および早期対応による補聴器を装用した活発なコミュニケーションが発症予防につながるとの可能性が示唆されています。
難聴者の補聴器所有率は日本と海外を比べてみると、難聴者率に大差がないにも関わらず、日本は、14.4%、欧米は、30%~50%弱(イギリス42%ドイツ35%アメリカ30%)と大きく水をあけられています。欧米諸国の多くで、補聴器の交付に行政が支援し、医師に相談した時点で、国家資格を持つ補聴器と聴覚の専門家が耳鼻科医と連携し、補聴器使用の調整などにあたっています。日本には、民間の認定補聴器技能者の制度はあるものの国家資格制度は、ありません。
日本では、補聴器は、日本補聴器工業会などの調査で、片耳あたり1台15万円~50万円と高額です。全額自己負担で、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者となる高度・重度の難聴では、補装具費支給制度により1割負担、保険適用がないため中度以下の場合は、購入後に医療費控除を受けられるものの、対象者もわずかで、約9割の方が自己負担で購入しています。
欧米では、補聴器購入に公的補助制度があり、日本でも宇都宮市など一部の自治体で補聴器購入に補助を行っています。兵庫県議会は先の12月県議会、全会一致で国への意見書を採択しました。
加齢性難聴による補聴器購入にあたって、国の補助制度創設を求めること。同時に、県としても助成制度を創設し、さらにより性能が高く、低価格の補聴器の普及に向けて研究も行い、必要な方に普及できるよう支援を求めますがいかがですか。お答えください。
〇答弁:柏福祉部長 高齢者は、一般的には加齢に伴いまして身体能力が徐々に低下し、日常生活に様々な支障が生じます。このため、介護保険制度により、要介護状態等の高齢者に対しまして介護サービスや福祉用具に係る給付等を行っています。
介護保険制度の福祉用具といたしましては、日常生活の便宜又は機能訓練のために、車いすや歩行器、腰掛便座や入浴補助用具などが貸与等の対象とされ、その受給者数は年々増加しています。補聴器については、眼鏡や義足などと同様に、身体の一部の欠損又は低下した機能の補完を主たる目的とするものであることから、貸与等の対象とはされていません。
なお、身体障害者手帳の交付対象となる、一つには、両耳の聴力レベルが70デシベル以上や、二つには、一方の耳の聴力レベルが90デシベル以上かつ他方の耳の聴力レベルが50デシベル以上などの高齢者に対しましては、障害者総合支援法等に基づきまして、補聴器の購入助成が行われています。
ご指摘の、県として加齢性難聴者に補聴器購入の補助等を行うことや、県自ら低価格等の補聴器の普及に向けての研究を行うことにつきましては、地域社会の変化等に伴って高齢者の生活支援ニーズが多様化しておりまして、一層、見守りや移動支援などに対応する必要があるなどの課題がある中、慎重に検討する必要があると考えております。
国に制度創設を求めることについては、県議会の意見書も踏まえまして、介護保険制度の運営主体である市町と協議した上で、今後対応していきます。
〇いそみ再質問 高齢者補聴器については、要望も強い。これは、ぜひ前向きに検討していただきたい。ぜひ、知事に積極的な答弁をお願いしたい。
〇再答弁:井戸知事 国に対して、県としてもしっかり制度化するように要請をしてまいります。その要請の状況を見定めた上で判断すべき課題だと思っています。
4.高潮対策について
本年1月17日で、6434人が犠牲になられた阪神・淡路大震災から24年が経過しました。災害から命と財産を守ることは、わが県最大の使命です。昨年は、相次ぐ災害による大きな被害が生まれました。なかでも台風第21号によっておこった深刻な高潮被害は、対策の脆弱さを浮き彫りにしました。
県は、国とともに高潮対策検討委員会を立ち上げ、対策の検討を行っているとしています。そのなかで、「想定を超える規模で」とか「計画規模を上回る高波で」などとして、想定外の台風被害だったことが強調されていますが、それでは、想定し得た高潮に対して万全の対策をとっていたのでしょうか。
大きな浸水被害のあった南芦屋浜は、阪神・淡路大震災の直後に県企業庁自身が「災害に強い」として売り出し、2011年の東日本大震災をふまえた南海トラフに対しても「大丈夫」だとされていた地域でしたが、護岸高の計測誤りが見過ごされ、でたらめな浸水想定区域図によって安全神話がふりまかれていたことは、重大な県行政の過失です。
しかも2007年には国が、「大阪湾高潮対策協議会」を設置し、2009年、潮芦屋も含めて大きく浸水する想定が行われていたのです。ところが、実際の浸水想定には反映していませんでした。少なくとも、この時点で台風による浸水被害の警鐘をならし、防止策を検討する必要がありました。
さらにわが党の要請で提出された資料では、県がおこなった2012年の津波対策のための護岸高調査によると、地盤沈下により潮芦屋も含め県内の埋め立て地などでほとんどが設計高さを下回っていることがあきらかになりました。驚くべきことです。
今回、台風第21号で大きな浸水があり車両火災なども起きた私の地元、甲子園浜では、護岸高が設計高さより大きいところで45cm下回ったまま放置されていたことがわかりました。甲子園浜は、今回の被害を受けて、災害対策等緊急事業推進費によって護岸整備が予定されていますが、計測した護岸高さと設計高さを突合せもせず、浸水被害が起こり得る箇所が放置されていたことは、県行政の怠慢と言わざるを得ません。
県は、兵庫県高潮対策10箇年計画(仮称)をまとめ、浸水箇所における緊急対策をすすめるとしていますが、これまでの対策不備と瑕疵責任を認め、調査であきらかになった計画高さと現在の護岸高さの実測値、ならびに危険箇所をただちに公表し、対策を示すとともに、県民の命と安全を最優先に、護岸の嵩上げだけでなく、最新の知見もふまえ、消波施設など含め、従来の延長線上ではない抜本的な対策をとるべきです。答弁を求めます。
〇答弁:濱県土整備部長 国の検討委員会のもとに設置した尼崎西宮芦屋港部会での詳細な潮位・高波の再現シミュレーション等の結果、台風第21号による浸水被害の主な原因は、計画規模を上回る高波によるものであることが明らかになりました。このため、今後県下の高潮対策に用いる高波の設計条件を見直すこととしております。
防潮堤の嵩上げは、これまで越波対策のほか、老朽化対策を行う際に、天端高を確認して必要があれば実施してまいりました。
来年度の「兵庫県高潮対策10箇年計画」策定にあたっては、見直した高波の設計条件で改めて設定した防潮堤の必要高さと、測量した現状の防潮堤高さを比較します。10箇年の対象箇所は、天端高不足の度合い等を勘案して優先度の高い箇所を選定してまいります。対策工法は、嵩上げを基本に、周辺の土地利用状況、景観、費用、新技術導入の可能性などを総合的に勘案して決定してまいります。また、防潮堤の必要高さや現状の測量結果は公表してまいります。今後は、5年に1回程度の定期点検の際に高さも確認してまいります。
一方、高潮浸水予測区域図については、水防法に基づき、想定しうる最大規模の高潮により作成することとしており、尼崎西宮芦屋港沿岸は年度内に公表いたします。
今後とも、県民の安全・安心を確保するため高潮対策に取り組んでまいります。
5.高塚町開発計画について
私の地元、西宮市高塚町に、6世紀から7世紀初頭に築造された貴重な文化遺産である「高塚一号古墳」が長年にわたって地域で受け継がれてきました。小鳥のさえずり、蝉の声、新緑が輝き、秋には紅葉と、住民がなれ親しんだ高塚山で甲子園球場のグランド約3個分、4ヘクタールもの広さの樹木を伐採し、山を削り取る大規模な宅地開発がすすめられてきました。
住民は、山がなくなり、高塚町の町名の由来である古墳がなくなると、「高塚の緑を考える会」をつくり、市議会での決議、5千筆をこえる署名を集め、計画を中止するよう求めると共に、「まちづくり」は、行政と事業者のみが行うものではなく、住民には、人格権としての「まちづくり権」があるとして、今も開発業者を相手に裁判に訴えています。
住民は、「山が削られれば、降雨時における山の保水力が失われ、大量の出水、土砂の流失が発生する危険性がある」と、開発許可権者である西宮市に再三にわたり指摘、住民説明会でも、開発業者は、県の「総合治水条例」「要綱」にもとづき、宅地造成に伴い、山が保水していた雨水の流出による洪水は、「工事着手当初に2か所の重要調整池を設置する…から大丈夫」と言明してきました。
ところが住民の反対を押し切り、本格的な造成工事が一気にすすめられ、住民の指摘どおり、昨年の4月25日、7月6日の豪雨で、造成地東側側溝に泥水が流れ込み、8月、9月の台風でも、付近のマンホールから泥水が噴き出し、下流の皿池貯水池では、あわや溢水寸前となり、大量の土砂が堆積し、住民を恐怖に陥れました。
総合治水条例第10条では、「浸水による被害を発生させる可能性が高まると認められる場合、雨水の流出を抑制する調整池を設置するようにしなければならない」とし、県の「重要調整池の設置に関する要綱」第8条によれば「開発者は、開発行為の着手により、ただちに雨水流出量が増加することを考慮し、原則として、開発行為の着手当初に、・・・・調整池を設置するものとする」と定めています。にもかかわらず、開発に伴う「重要調整池」設置の指導権限を持つ県が「市が開発許可をした時点から、想定している雨に対しては、高塚池への放流を認めているから、調整池の設置時期は、工事着手当初でなくても構わない」と判断したことがこのような状況を招いたのでは、ありませんか。
二度とこのような事態が引き起こされないよう、現在、開発地内で着手されている二か所の調整池の一日も早い稼働を急ぎ、住民の不安を取り除くことを求めますがいかがですか。誠意ある答弁を求めます。
〇答弁:濱県土整備部長 高塚町開発計画は、市街化区域内の約4ヘクタールの樹林地を住宅地として整備するもので、平成29年9月に西宮市の都市計画法に基づく開発許可がなされ、同月造成工事に着手いたしました。
総合治水条例では、雨水の流出増をともなう1ha以上の開発を行う開発者に対して、技術基準に適合する調整池の設置を義務づけており、市の許可に先立つ28年11月に、西宮土木事務所において、本件の調整池が概ね30年に一度の降雨に対して適切な計画であることを確認しました。
調整池は開発行為着手当初に設置することが望ましいが、本件の場合、一部区域について、盛土工事が完成しなければ調整池との接続が困難であったことから、市は、この区域の流出分について、適切な措置を講じるよう指導し、市が管理する直下流の高塚池への放流を認めていたことから、県は調整池の設置時期が着手当初でなくても構わないと判断したところでございます。
なお、工事中の泥水等の対策については、開発者の責任で行うもので、土砂流出防止措置や高塚池等の土砂撤去について、市の指導を受け、開発者が、沈砂池の容量拡大と吐口のフィルターを細かい粒子の砂も除去できるものへの改良、さらに、高塚池、皿池の土砂撤去を行いました。
開発区域内の2箇所の調整池は、東側が昨年7月に、残る西側についても本年3月上旬には稼働する見込みとなっております。
今後は、住民の不安を取り除くことができるよう、早期の調整池完成について、西宮市との連携を密にして、開発者を指導してまいります。
6.名神湾岸連絡線について
国土交通省は、名神湾岸連絡線について、名神高速道路西宮インターチェンジと阪神高速5号湾岸線を西宮浜で結ぶ延長約3キロ、片側1車線の2車線の高架案とする計画を決定しました。総工費は約600~700億円と言われています。
昨年8月、国による環境影響評価概要書の説明会が今津小学校など3会場で計4日間開催されましたが、参加者はわずか48名です。
高架の橋脚建設予定地・詳細ルートは未定ですが、現在示されているルート帯から今津社前町、今津久寿川町、今津水波町、今津二葉町、今津大東町、今津巽町、今津出在家町、東浜町、朝凪町、西宮浜1丁目・2丁目など、少なくとも18町に影響があるとされていますが、参加者はあまりにも少なく、関係住民には十分な説明が行われていません。
しかも、説明会の参加者からは、「道路が4層にもなるジャンクションになれば、広範囲に立ち退きになるのではないか」「橋脚によってコミュニティが寸断されるのではないのか」「酒蔵への影響はどうなのか」「実施区域の学校などで環境調査をしてほしい」などの意見が多数出たと聞いています。地元の懸念は大きく、理解は全く得られていないと言わざるを得ません。
しかし、昨年12月7日、県は、環境影響評価概要書について、環境影響評価に関する条例に準じて審査意見書を事業者へ送付して、国の意向通りに事業を進めようとしています。
兵庫県は、総延長距離681km、北海道に次いで2番目に長い高速道路を保有するなど過大なインフラを抱え、生活道路、橋梁などの老朽化対策、維持費に今後、莫大な予算が必要です。土砂災害特別警戒区域の指定がこれからも進められますが、砂防関係施設の整備率は、今でも26%にとどまっています。
住民合意が得られておらず、また何より、優先させるべき生活道路や橋梁などの老朽化対策、防災・減災対策にこそ予算を振り向けるべきです。名神湾岸連絡線計画は、中止すべきと考えます。ご答弁下さい。
〇答弁:井戸知事 名神湾岸連絡線は、大阪湾岸道路西伸部と一体となり、高速道路ネットワークを形成し、阪神高速3号神戸線等の渋滞を解消し、沿道環境の改善を図る効果があります。また、3空港の一体運用や阪神港等の物流拠点へのアクセスの改善に資する重要な道路と考えています。
計画段階評価の際に実施された地元住民や企業に対するアンケートでは、阪神高速3号神戸線の渋滞緩和など地域の交通課題に対して、「名神湾岸連絡線の整備は有効である」と、8割の方が回答されています。地域ニーズの高い道路で早期整備が必要と認識しています。
国は昨年8月に環境影響評価手続きに基づき、これまで4回の地元説明会が行われております。開催に当たっては、県条例アセスと同様に、沿線の福祉協議会等に個別でお知らせし、記者発表と併せ、全国紙5紙及び地方紙1紙に公告掲載し、西宮市の広報誌や国及び県のホームページにも掲載するなど周知を図ってまいりました。
また、県は環境影響審査会答申を踏まえて、国に対し、「地域住民にわかりやすく説明し、理解を得るよう努めること」等の意見を付した審査意見書を送付しています。
一方、社会基盤施設については、これまで「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」や「第3次山地防災・土砂災害対策計画」等の計画に基づいて、老朽化対策、防災・減災対策などを積極的に推進してきています。さらにこのたびの国の3か年緊急対策も活用して、これら対策を加速することにしています。
今後も国、西宮市と連携しつつ、環境影響評価、都市計画手続きを進めてまいりますが、この手続きの中で、住民に対して不安解消につながる丁寧な説明を行っていくなど、合意形成に努めてまいります。そして、少なくとも大阪湾岸道路西伸部事業と同時には開通できるよう早期事業化を図ってまいりますので、どうぞご理解をいただきたいと存じます。
7.災害援護資金について
24年が経過した阪神・淡路大震災において、いまだ解決されていない課題の一つが災害援護資金貸付金の返済免除要件の拡大と、返済事務にかかる補助金制度の創設です。
災害援護資金は、兵庫県内13市で、56,422件、約1,309億円が貸し付けられました。返済が終了した姫路・三木市を除き、昨年9月30日現在、11市で、計3,730件、約53億円、このうち私の地元西宮市では、549件、約7億8,300万円余りが未返済となっています。神戸市を除く12市の県への返済履行期限は、当初2006年度となっていましたが2020年度まで延長が認められています。
災害援護資金貸付金の返済免除については、2015年4月22日に内閣府通知が出され、従来、返済免除の対象にならなかった破産免責や、生活保護受給者等の低所得者で、返済が困難と自治体が判断する方が免除対象に加わり、被災市は、内閣府の通知に基づき免除を行ってきたところです。
ところが、内閣府から貸付金の返済免除に対する慎重姿勢が示され、免除要件の拡大部分の処理が滞り、さらに、2015年度より返済事務にかかる国庫補助金まで打ち切られ、被災市から悲鳴の声があがっています。
そうした中、内閣府から兵庫県と神戸市に、昨年11月26日には、借主と保証人の双方が生活保護受給者の場合、返済免除の対象となること、12月7日には、借主と保証人がともに自己破産や民事再生により免責されたケースなどについても返済免除の対象となることを示した通知が出されたところです。日本共産党県会議員団は、機会あるごとにこの問題を取り上げ、私も、直接国に対し、つよく要望してきたところです。
少額返済者など生活困窮者は、すべて返済免除対象者とするなど、被災者の実態に見合った返済免除がすすむよう、国にねばり強く求めるとともに、同じ被災自治体の神戸市のように県が決断し、返済免除をすすめること。被災市の負担になっている返済事務にかかる費用についても補助制度を設けるなど、支援を行うことを求めます。知事の決断を求めます。
〇答弁:柏福祉部長 阪神・淡路大震災にかかる災害援護資金貸付金の償還免除につきましては、少額償還者の償還免除基準や保証人の債権の取扱い等につきまして、各市とも連携し国と協議を進めている状況でございます。これを踏まえまして、平成30年11月及び12月には、無資力者のうち、生活保護受給者や破産免責者等を免除対象とする国通知が出され、現在、各市及び県において免除の手続きを進めているところでございます。
引きつづき、1つには少額償還者への免除対象の拡大など免除基準の明確化、2つには行方不明等により回収が困難なケースについても免除対象とすること、3つには保証債権の放棄、4つには国への貸付原資の償還は現に借受人等から返還があったもののみとすること、などにつきまして、現在、国と協議を進めているところでございます。
また、償還事務に対する支援といたしましては、県では未償還額の多い6市に対しまして、滞納者への償還指導や行方不明者への所在確認等を行う償還指導員10名の設置費を助成しておりまして、来年度も引き続き助成する予定でございます。
いずれにせよ、阪神・淡路大震災にかかる災害援護資金貸付金は貸付から24年が経過し、債権管理の長期化に伴う様々な課題が生じておりますことから、国等の動きを注視しつつ、最終的な解決に向けて取り組んでまいります。