議会報告

  • 2018年12月14日
    本会議

    第342回本会議 請願採択討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、本会議に提出された請願第65号、第67号ないし第70号について、不採択ではなく採択を主張し、以下その主な理由を述べます。

    まず、請願第65号「消費税増税中止を求める意見書提出を求める請願」についてです。

    安部首相は、来年10月から予定通り消費税を10%に増税すると宣言しています。

    政府は、消費税増税は「社会保障のため」と言いますが、社会保障は充実どころか、年金支給額は削られ支給開始年齢は引き伸ばされ、医療費の窓口負担は増やされ、介護保険料は2倍以上にもなり、社会保障は、改悪の一途をたどっています。所得の少ない人ほど負担が重い“弱い者いじめ”の消費税を増税し、その増税分を立場の弱い方を支える社会保障の財源にするという政府の言い分は本末転倒です。

    さらに、消費税を増税すれば、必ず「増税不況」が起こります。2014年4月、5%から8%に上げたとき政府は「景気悪化は一時的なもの」と言いましたが、今でも消費は冷え込んだままです。また、景気動向について、内閣府は10日、GDP年率換算で2.5%減となる大幅な下方修正を発表しました。2年前のGDP成長率はプラス1・7%でしたが、世界経済が不透明だと消費税増税は見送られました。今度はマイナス2・5%で、個人消費だけでなく設備投資も落ち込んでいます。しかも世界経済は2年前とは比較にならないほど不透明です。こんな状況で、来年10月に消費税増税を行えば日本経済がさらに悪化することは火を見るより明らかです。

    消費税が導入されてから30年が経過し、国民が納めた消費税の総額は372兆円ですが、同じ時期に法人3税の税収は累計で291兆円も減っています。つまり、消費税税収の約8割が、大企業を中心とした法人税減収の穴埋めにまわされたのです。

    「消費税頼み」では、社会保障の充実も財政健全化の展望も開けません。「消費税ではない別の道」を進むべきです。一つは、税金の集め方です。税は応能負担が原則です。

    この間のアベノミクスのもとで富裕層と大企業は空前の大儲けをしています。例えば、時価総額が1000億円以上の超大株主が保有する株式の時価総額は、安倍政権の6年間で3.5兆円から17.6兆円へと5倍にも膨れ上がり、大企業の純利益は、この5年間で19兆円から45兆円へと2.3倍にも膨れ上がりました。

    さらに、法人税の実質負担率は中小企業が18.1%も支払っているのに対して、大企業は様々な優遇税制があるために、資本金10億円以上の大企業は平均で10.4%しか払っていません。大企業に中小企業なみの負担を求めれば4兆円の財源が生み出されます。 また、株で利益を挙げた時の証券課税が低いために、年収1億円をこえる超富裕層では所得税の負担率が極端に下がっています。この不公平を正すことで1.2兆円。大企業と超富裕層に応能負担を求めることで消費税2%分の財源は十分に捻出できます。

    もう一つは、税金の使い方です。軍事費や不要不急の大型公共工事の歳出を減らし、くらしや社会保障、地域経済振興優先に税金を使い、内需拡大で家計を温める経済政策をとることで、社会保障の拡充も財政再建の道も開かれます。

    軽減税率については、飲食料品などを8%に据え置きするだけで決して軽減ではありません。また、キャッシュカード決済での還元や住宅ローンなどの減税案も出されていますが、複雑であり国民からも不安・不満が噴出しています。そのことも合わせ、消費税増税はきっぱり中止し、国に対し「消費税増税中止を求める意見書」の提出を求める請願について採択を求めます。

    次に請願第67号「『子ども・子育て支援新制度』に関わる学童保育に対する請願」についてです。

    本請願は、兵庫県福祉4団体、外242団体から寄せられたものです。

    学童保育は、2015年から施行された「子ども・子育て支援新制度」のもと、市区町村事業として実施されています。学童保育児童支援員・指導員の資格と配置の基準は、2014年4月に策定された厚生労働省令「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」のなかで「全国的な一定水準の質」を保障するものとして「従うべき基準」を設け、自治体に義務付けています。

    「従うべき基準」では指導員の役割・資質として、子ども・保護者と信頼関係を築くことのできる大人としての豊かな人間性と倫理観を身に付け「学童保育に通う子どもの遊び・生活とその家庭への理解に基づいて子どもたちの保育を行う」上での専門的な知識と技能が求められています。そのため、放課後児童支援員の資格を習得するには、保育士や社会福祉士、教諭の資格を持つ者、大学で社会福祉学などを履修した者が、都道府県が実施する「放課後児童支援員都道府県認定資格研修」を受講し修了することが必要とされています。

    また、支援員の数は基本的に「支援の単位ごとに2人以上とする」と定められました。放課後児童支援員は、地域・学校、地域の子育てに関わる諸組織などと信頼関係を構築していくことが必要であり、他の仕事と兼務するのではなく専任として常時複数配置されるべきだからです。

    しかし、政府は2017年度に閣議決定し、2016年度から集められた指導員確保に苦しむ地方からの「提案」を口実に「従うべき基準」を拘束力のない「参酌すべき基準」に変更しようとしています。そうなれば、自治体が条例変更を行って支援員数などを自由に決められるようになるため、現行資格のない支援員が一人で学童保育を担うことも可能になり、子どものいのちと安全を守ることができなくなります。

    支援員不足の背景には、支援員の約半数が年収150万円未満であるとか、社会保険加入が6割にとどまるなど、支援員の処遇の改善の不十分さがあります。こうした支援員の処遇の抜本的な改善こそ行うべきです。

    補助金については、国、都道府県、市区町村がそれぞれ3分の1ずつの負担で、財政状況が厳しい市町村にとっては重荷であり、保護者にも大きな負担になります。

    以上の理由から「従うべき基準」を堅持し“支援員の資格と配置の基準”を参酌基準に緩和させないこと、地方自治体や事業主・保護者負担を軽減する方向で国の財政支援の大幅増額を行うこと、保育の質の確保と学童保育支援員不足解消の施策を講じることを求める本請願の願意に賛同し、採択を強く主張いたします。

    次に請願第68号「障害児者の豊かな教育と生活を求める件」についてです。

    本請願には、兵庫県の障害児教育をゆたかにする会の代表者外1万4,825名の署名が添えられています。

    障害者権利条約につづき障害者差別解消法施行により、合理的配慮の提供が国や自治体に義務付けられ、すべての人が住みやすいインクルーシブな共生社会の実現に向けて、社会全体の意識は変わりつつあります。本県でも「兵庫スマイル条例」が策定されました。その一方で、近年、障害者の命や尊厳が傷つけられる事件が兵庫県も含め起こるなど、まだ多くの課題が残っています。教育においては、養護学校の義務制実施から40年を迎え、改めてすべての子どもがそれぞれの発達に応じた教育を受け豊かな人生を送れるよう課題を改善していく必要があります。

    年々、一人ひとりを支援する多様な学びの場を求め、特別支援学校への入学希望者が増加しています。西神戸高等特別支援学校の開設や分教室の新設が進められているものの、阪神間・東播地域の学校は教室不足と過密状況は解消されておらず、長時間通学を余儀なくされている学校も少なくありません。プレハブ教室を建てたり特別教室を普通教室に変えたりしていますが、豊かな教育を保障することにはほど遠く、教育条件の悪化は深刻です。また、40年前につくられた学校の施設設備の老朽化や児童生徒増による設備不足は、安全安心な学校生活や教育活動に支障をきたしています。学校の新設や建て替えが必要です。

    寄宿舎についても、教職員は一人ひとりにきめ細かい指導を進められていますが、設備面ではトイレの手すりがなかったり、防犯設備が不十分なところがあり、夜間でも安全で安心して生活できるよう施策を充実すべきです。

    劣悪な教育環境が改善されないのは、そもそも特別支援学校には、小中学校や高等学校にある面積など施設の設置基準がないからで、施設基準を設けるべきと考えます。

    また、通常の小中学校でも特別支援学級で学ぶ児童生徒数は増え続けていますが、定員が1学級8人であるため、一人の担任で丁寧な指導を行うことに大変苦労されています。通級学級については、今年度から高等学校でも通級指導が始まり、より多くの子どもが必要な支援を受けられる体制が進みつつありますが、合わせて教職員を確保するなど、教育環境を整えることが必要です。

    憲法並びに障害者権利条約にあるように、個人として尊重され、等しく教育を受ける権利が守られ、障害があっても豊かな教育が保障されるよう、本請願の採択を強く求めます。

    次に、請願第69号「全ての子どもたちへの行き届いた教育を目指し、35人学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善を求める件」についてです。

    本請願には、行き届いた教育を求める全国署名兵庫県推進委員会代表ほか2万3671名の署名が寄せられています。

    35人学級については、わが党のねりき議員が一般質問で取り上げたところです。兵庫県は全国に先駆けて2004年に小学1年生に35人学級を導入し、2008年に小学4年生まで拡充しましたが、それ以降は止まったままです。近隣府県では、鳥取、岡山、香川、徳島、滋賀、京都、和歌山で一部30人学級も導入しながら小1から中3まですべての学年で少人数学級になっています。奈良県では小1から中3まですべて30人学級です。いわゆる「中1ギャップ」が問題になっていますが、中学1年の少人数学級を実施していないのは、全国で大阪、広島、熊本、兵庫の4府県だけです。欧米ではOECD平均で小学校が21.6人、中学校が23.7人であり、少人数学級は世界の流れです。国会でも全会一致で「小中学校の35人学級の全学年実施」を決議しました。

    少人数学級については、文科省も「よりきめ細やかな指導が可能になり有効な施策」だとしています。新設された「少人数指導等の推進のための基礎定数」を活用するなど、県として早期に小学5,6年生、中学、高校の35人学級の実現を求めます。

    また、教育費の負担は、学費をはじめ教材、制服、修学旅行、学用品、部活動など大変重く、公立小学生で年平均約10万2000円、公立中学生は約16万7000円です。教育は子どもが人間らしく生きてゆくための重要な権利であり、家庭の経済力に関わらずすべての子どもたちに豊かに保障されるべきです。

    教育の機会均等を謳った憲法26条の立場、2012年に高校や大学の無償化を求める国連人権A規約を承認したことからも、教育費の負担軽減、公立私立問わず高校の学費無償化を具体化すべきです。国へ制度的保障を求めるとともに、県として予算を保障し、お金の心配なく学べる教育環境を整えることは喫緊の課題です。

    私学助成の拡充、返済不要の給付型奨学金制度の創設、特別支援教育の充実も非常に重要です。全ての子どもたちに行き届いた教育環境を求める本請願に賛同し、採択を強く求めます。

    最後に、請願第70号「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。

    本請願には、兵庫私学助成をすすめる会会長外7万9025名の署名が添えられています。

    私立学校は、その独自の建学の精神に基づき設立され、特色ある教育を行い県民の教育要求にこたえると同時に、公立学校とともに公教育の一翼を担っています。しかし、教育条件整備等の多くは、保護者の学納金負担に因っており、私学の学費負担は大変重いです。2010年から始まり、2014年度に加算支給額と対象世帯を拡大した就学支援金制度と2014年度から実施された「奨学のための給付金」により、学費の公私間格差は一定程度縮まりました。しかし、兵庫県では、入学金も含めた私立高校の初年度納付金の平均額は2017年度約84万円弱で、全国4番目に高く、また、2017年度の学費と施設整備費による納付金の平均額は約60万1300円で、国の就学支援金や県の授業料軽減補助を引いても学費負担が引き続き残り、生活保護世帯でさえ、授業料以外の納付金をカバーすることができません。

    政府は昨年、私立高校の授業料無償化を含む「新しい政策パッケージ」を閣議決定しました。兵庫県でも独自措置として国の取り組みを一部先行する形で段階的に授業料軽減額を拡充しましたが、依然として近隣の大阪府、京都府に比べ兵庫県は低い減免制度となっており、同じ私立高校に通う生徒でありながら居住する場所によって学費負担が大きく違い、県民の大きな負担、不満となっています。

    現在、約36,000人の高校生が兵庫の私立高校に学んでおり、私立高校への学費減免事業予算や経常費補助予算の拡充が必要です。公教育の一翼を担う私立学校への助成を求める本請願の採択を強く求めます。

    以上で私の討論を終わります。

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