議会報告
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私は、上程中の決算認定議案のうち、認第1号、認第2号、認第4号、認第5号、認第11号、認第12号、認第14号、認第16号ないし認第18号、認第20号の11件に反対し、以下その主な理由を述べます。
認第1号議案「平成29年度兵庫県一般会計歳入歳出決算認定」についてです。
反対の理由の第1は、社会保障関係費を抑制し、行革で県民のくらしを削減しているからです。
県は、「社会保障の安定財源」を理由に、消費税増税を求めていますが、国は2014年に消費税を8%へ上げる一方で、毎年5000億円もの社会保障費の「自然増」を切り捨てました。公的年金切り下げ、医療では70~74歳の窓口負担を引き上げ、介護では「要介護支援1・2」の保険給付外し、特養ホーム入所を「要介護3以上」に限定するなど「社会保障のため」といって消費税増税を押し進めながら、社会保障を削減してきました。その上10%への増税は許されません。
県も国に倣い、地域医療構想に基づく医療病床の削減や医療費抑制を狙った国民健康保険の都道府県化に向け、国保運営協議会の設置など具体化がすすめられました。
県行革による老人医療費助成制度の廃止、重度障害児、母子・父子家庭等医療費助成なども引き続き対象者を削減し、県民の負担はますます重くなっています。
第2は、大企業呼び込み型の経済政策をつづける一方で、県民の所得・家計をあたため、中小企業、農業を支援し、地域経済を上向かせる内容になっていないことです。
中小企業関連部分でもっとも大きいのは制度融資で、H29年度は3600億円の融資枠が用意されたものの、利用実績は1128億円にすぎません。
中小企業の経営環境は依然厳しく、東京商工リサーチ神戸支店によれば、倒産は29年度449件で、前年度比3.5%増です。
本当に支援を必要とする中小企業への支援は、融資だけではなく、たとえば住宅・店舗リフォーム制度の創設などの直接支援を行っていくことが必要です。
しかし、県は、設備投資補助に全国的にもまれな上限無しの産業立地促進事業費補助を続け、H29年度もパナソニック液晶ディスプレイ(株)に5,000万円、コストコホールセールジャパン(株)に3,569万円等12社で4億5,800万円を支給するなど大企業優遇といわざるを得ません。さらに、不動産取得税や法人税の優遇措置も受けており、H29年度は3億6千万円も減税されています。
農業問題では、中山間地の多い兵庫県で、国の進める「強い農業」のための集約化・大規模化では農村地域の衰退を招いてしまします。農村地域で「暮らせる」農業への支援が必要です。
第3に、過大な需要予測による不要不急の大型開発推進の決算になっているためです。
県は、これまでも過大な需要予測による港湾・空港・ダム・高速道路など不要不急の大型開発を推進してきました。
本決算でも、神戸空港への補助を続け、但馬空港は新型航空機購入費をはじめ羽田空港への就航を目指すなど事業拡大の方向です。
与布土ダム、金出地ダムの建設も進めてきました。私たちは、過大な水需要予測や河川改修との比較が不十分なまま計画が推し進められたことを指摘してきましたが、近年の豪雨災害からも防災対策として河床の掘削や堤防強化など河川整備が急がれるところです。
また、総額6000億円とも言われる播磨臨海地域道路計画や、名神湾岸連絡線、大阪湾岸西伸部の調査費を含め、東播磨南北道路、浜坂自動車道路などに支出されています。南北交通の解消を目的に整備された東播磨南北道路は、開通により、南北交通量は7500台も増加し、加古川バイパス東西交通の渋滞は解消するどころか悪化しています。渋滞対策で新たに道路をつくるのではなく、公共交通充実やモーダルシフトへの抜本的対策が必要です。また、高速道路整備によって沿線の地域は衰退しているうえに、工事を請け負えるのは大手建設業者で、県内業者は限定的で県内業者の育成につながりません。
これからの公共事業は、甘い需要予測による開発型の大型公共事業から、地元建設業者が直接受注のできる防災・減災対策や老朽化対策などへの抜本的転換が必要です。
第4に、教育の問題については、教員の定数削減とともに、引き続く教員の長時間労働も問題です。
公立の小中高校の教員には原則として超過勤務は認められていないにもかかわらず、「教員の自発的行為」として常態化しています。早急な改善を求めるとともに、教員の定数削減はやめるべきです。
高校授業料について、国の就学支援金制度に所得制限が導入されてから、2割の生徒に授業料負担が生じたままです。行革による私立高校の経常費補助の県費負担削減を続けていることも認められません。
第5に、行革による無理な職員削減が行われたことです。
兵庫県の、県行革の3割削減によって、10年間の職員定数削減率は全国1位に、人口、面積に有する職員数を示す「定員回帰指標」は、全国で2番目に少ない職員数になりました。
一方で県職場は過酷を極めています。平成29年度の、ある兵庫県職員の超過勤務時間数は、11月192時間、12月230時間、1月321時間、2月108時間にものぼり、過労死基準を数倍も上回る異常な実態です。
県職員課が実施している健康悩み相談では「不安、イライラ」「憂鬱気分・意欲低下」「職場への不適応感」などの相談が多く寄せられており、県職場ではこの10年間、毎年自殺者も出しています。
また、職員応募倍率をみると、好景気不景気に関わりなく県内中核市では横ばい、あるいは上昇傾向ですが、兵庫県採用試験では下降の一途をたどっています。合格者の辞退者数も増加傾向にあり、辞退後の就職先として、その他の国家公務員、地方公務員を選ぶ学生も増えています。県職員の低賃金・長時間労働の実態が就職先として敬遠されているのではないでしょうか。
県職員の3割削減が、過労死水準の数倍にもなる、異常な超過勤務を発生させる事態となっており、適正な職員配置による長時間労働の是正が必要です。
以上の理由から、認第1号「平成29年度兵庫県一般会計歳入歳出決算認定」について反対します。
認第2号「平成29年度兵庫県県有環境林等特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。 本会計は、それぞれ長期保有地の取得費用償還のために公債費を繰り出し、更なる取得目的に積み置いています。
平成29年度は、たつの市菖蒲谷、但馬空港周辺、宝塚新都市、小野市山田、淡路市石の寝屋、三田市酒井畦倉などの取得費用償還のため、約56億3千万円が公債費特別会計へ繰出金として支出されました。
環境林の取得には、有利な交付税措置のある地域活性化事業債が充てられていますが、本来、財政対策を目的とした起債は認められておらず、あくまでも本県での起債目的は環境林として取得し、低炭素社会の実現に資することとなっています。
しかし、これまでの環境林取得費用は1,170億円にもなり、本県最大の環境事業にもかかわらず、環境基本計画にも位置付けられておらず、低炭素社会実現への効果の検証さえされていません。
当初の開発計画の破綻について、県民に説明することなく、用地取得費償還のために公債費を繰り出し、環境林事業として事業を正当化し、過去の事業の失敗のツケを県民に押し付けようとするもので、認められません。
認第4号「平成29年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
平成29年度は、宝塚新都市用地、小野市市場、南あわじ市伊加利・津井の取得費用にかかる約102億円の元金払いと約20億円の利息が支払われました。利用見込みのない土地を取得し、長期保有地となってしまった借金返しのための公債費繰り出しです。
また、本会計には淡路花さじき事業の用地取得も含まれています。花さじき事業については、利用者の増加などを見るとその役割が高まっていることは理解します。しかし、行革によって県有施設を市町に委譲するなど、県有地を減らしている中で、新たに用地を取得することには賛成できません。賃貸料の引き上げを含め、賃貸契約の継続に努力すべきです。
認第5号「平成29年度兵庫県営住宅事業特別会計決算の認定」については、県営西宮浜松原住宅などの管理戸数の削減と、災害復興借上住宅からの退去を求める決算となっているからです。
非正規雇用の増加によって、県民所得が低下し、県営住宅応募倍率は高止まりしている地域も多くあり、低廉な家賃で住宅を賃貸するという県営住宅への期待と役割がますます高まっている中での、管理戸数削減は認められません。
また、UR借上住宅推進費を計上し、震災から20年目を迎える入居者に対し、年齢などの基準で線引きをしていますが、原則・退去を求めるやり方は認められません。入居可否判定については、年齢で線引きしないこと等、きめ細かな柔軟な対応を求めるものです。
認11号「平成29年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
福祉的な対応が必要な貸付にもかかわらず、債権回収を民間の債権回収会社へ委託しており、個別の事情を配慮しない取り立てが行われていることは認められません。また、保証人がいなければ実質借りることができないなど、必要な人に必要な時に貸し出す制度になっていないことも問題です。
認第12号「平成29年度兵庫県小規模企業者等振興資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
これまでも指摘していますが、地域改善対策高度化資金貸付分の地域改善分の未償還、焦げつきについて具体的な処分状況、今後の見通しなどが明らかにされないまま、総括もされておらず賛同できません。
認14号「平成29年度兵庫県基金管理特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
本認定議案にある基金管理特別会計は、これまでの「公共施設整備基金」、「地域振興基金」、「国民健康保険事業広域化等支援基金」、「県債管理基金」を廃止・集約し、「地域創生基金」としたものです。基金の管理・活用はその用途に限定した基金として活用すべきであり反対です。
認第16号「平成29年度兵庫県病院事業会計決算の認定」については、行革による人員削減があり反対です。
人員削減により、長時間労働が余儀なくされている実態があります。昨年度、県立病院での「三六協定」、月45時間、医師の場合は100時間までですが、これを超えて残業した職員数は、医師職で145名、医療技術職で181名、看護職で36名、事務職で154名もいます。労働組合のアンケートには、「超勤申請しても勝手に削減、削除される」、「超勤は申請しにくい雰囲気」など、切実な声が寄せられています。過酷な労働実態が、ドクターやナースたち職員の犠牲的な献身で成り立つ職場であってはならないこと、また、医療事故の温床とっていることも懸念されます。健康で働き続けられる職場になるよう、是正を求めると同時に、定員増を求めます。
認第17号「平成29年度兵庫県水道用水供給事業会計決算の認定」は、過去の過剰な水需要予測や二部料金制等により、全国でも有数の高い県営水道料金を市町に押し付けていることから反対します。
認第18号「平成29年度兵庫県工業用水道事業会計決算の認定」については、主に新日鐵広畑製鉄所など、大企業に供給している工業用水は、1トン当たり4円30銭で、50年前より2円10銭しか値上げしていません。工業用水道事業法による「著しく不適当な状態」と言わざるを得ず、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。
認第20号「平成29年度兵庫県地域整備事業会計決算の認定」についてです。
平成26年度から会計制度の見直しによって、進度調整地を除く時価評価処理が行われたことにより、69億9,000万円もの純損失となり、利用目的もなく土地を買い集めたツケが、一部ではあるものの、明らかになりました。
しかし、進度調整地については、約30年間塩漬けのままで、会計制度の変更にもかかわらず、時価評価もせず、プロジェクトごとの収支も明らかにしていません。
また、企業庁の地域創生事業で新たに民間事業者を活用して地域介護福祉拠点の整備を進めています。その事業用地として元県立鈴蘭台西高校跡地の整備がすすめられていますが、公共性の高い高齢者福祉施策は、県の福祉部局など専門職がかかわるべきです。私たちは経済性の発揮を目的として設置された企業庁事業の縮小を求めており、企業庁事業を拡大することに反対です。
以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。