議会報告
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神戸市東灘区選出、日本共産党のきだ結です。初めに、6月大阪府北部地震、7月豪雨災害、台風第20号、第21号、北海道胆振東部地震、台風第24号で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
自然災害を最大限防ぎ、県民の安全・安心最優先の施策を求め、以下6項目質問いたします。
≪災害対策について≫
1、初めに災害対策についてです。
①台風第21号は、猛烈な風と急激な潮位上昇等で、芦屋市、西宮市、尼崎市、神戸市などの沿岸で甚大な高潮被害をもたらしました。
党議員団として調査した潮芦屋では、地域の自治会役員の方から「護岸を超えた波が川のように流れてきて、あっという間に玄関まで水が迫ってきた。避難指示が出されたときは、あたり一帯浸水し車も動かせず、対岸の避難所には行けなかった」と伺いました。
潮芦屋は、20年前から分譲されていった企業庁開発地域であり、高潮浸水ハザードマップでは浸水なしとする「白塗り」で、住民が「高潮が来ても本当に大丈夫か?」とハウスメーカーに何度聞いても「ハザードマップで浸水しないとなっているから大丈夫」とされていた地域です。
しかし台風21号による高潮・高波は護岸を大きく超え、床上浸水17軒、床下浸水230軒という甚大な被害をもたらしました。
高潮ハザードマップは2007年に作られましたが、そもそも高波は考慮されておらず、重大な欠陥がありました。さらに、2015年の水防法改正で、高潮被害の恐れがあり高波や河川流量も考慮に入れた新たなハザードマップを早急に作成すべき地域として国交省が通知を出していたにも関わらず、その作業は進んでいませんでした。同じように通知を受けた東京と福岡は、今年3月末にすでに発表済みです。
知事は先日、「南芦屋浜の住宅地などでは高波の影響が想定よりも大きかったことから、防潮堤を超えて浸水被害が発生した」と答弁されましたが、これは護岸の設計基準のことに過ぎません。そうではなく、高波を考慮したハザードマップ作製を怠ってきたことこそが、対策が講じられず、大きな被害をもたらした要因ではないですか。
Q 地元住民は、浸水以来、地域で安心できる避難施設がなく、台風が来ると不安になり、避難のために遠くの親類を頼ったりしている方もおられるとのことです。
県は今後、「大阪港湾等における高潮対策検討委員会」で国とともに対策を講ずるとのことですが、県の責任を明確にし、十分な調査・検証をふまえ、住民との協働で新たな高潮ハザードマップの策定、安全な避難場所、避難経路の確保を図るとともに、護岸や河川の堤防嵩上げ、防潮門扉や胸壁とポンプの設置、住民の命と財産が守られる万全の高潮対策・防災対策を求めます。
○答弁:県土整備部長 阪神間の高潮対策は、台風第21号で更新しました最高潮位よりも高い潮位、いわゆる設計高潮位といいますけれども、この潮位に高波も見込んだ高さで防潮堤等を整備してまいりました。今回、南芦屋浜の住宅地等で発生しました浸水は、高波の影響が想定よりも大きかったことなどが原因として考えてございます。
このため、国、神戸市等と連携いたしまして有識者が参画した検討委員会を設置し、主要な箇所毎の詳細な潮位・波の高さ等の把握、高潮対策の見直しを行い、順次必要な対策を実施していくこととしております。
一方、平成19年に公表いたしました高潮浸水想定は、設計高潮位を上回る高潮による浸水範囲や浸水深さを把握することを目的に作成したもので、当時の想定最大規模の台風による潮位を見込んでおりますが、高波や河川の影響は考慮していません。このため公表に際しては、利用上の注意点といたしまして「雨や波による浸水は考慮していない」という旨を明示しております。
その後、平成27年5月には、施設では防ぎきれない風水害に備える避難体制の強化充実を図るため、水防法が改正され、高潮については、より強い台風による高潮浸水想定区域の公表等を行うこととなりました。平成27年7月の国からの通知では、大阪湾については、概ね5年程度で公表することとされております。このため、県では、大阪湾沿岸について、高潮・高波とも過去最強台風が最も危険なコースを通過する条件で、平成29年度からシミュレーションを実施し、今年度から関係市と調整をしております。今後順次、高潮浸水想定区域を指定していくこととしております。
さらに、新たな高潮浸水想定区域指定に基づく市による避難場所などの指定と公表を促進しますとともに、安全な避難場所や避難経路、住民の避難行動について、市から市民へ情報発信、周知がなされるよう求めてまいります。
今後とも、県民の生命・財産を守るため、ハード・ソフトの両面から高潮対策に取組んでまいります。
○再質問:きだ 再質問とコメントをさせていただきます。
まず被災者支援ですが、阪神淡路大震災で、被災者も、被災企業も塗炭の苦しみを味わってきたこの兵庫県が、他府県よりも、おとなりの京都府よりも遅れているというのは、あっていいのかということがあります。以前、自助、共助ですませようとしていますが、先ほど述べた点、ぜひ被災者、被災企業への支援をぜひ実現してほしいと思います。
そして、再質問です。高潮対策で、先ほども高波を想定していなかったとおっしゃっています。そのときには、そういうガイドラインだったということだったと思いますが、このときのガイドラインとなった平成16年に内閣府からだされているハザードマニュアルの概要、ここでは、条件設定のなかで、外力設定として台風規模がありますが、台風規模といった時に、潮位だけでなく、高波ももちろん想定できたということでありますし、施設条件の設定とありまして、施設の破壊形態なども考慮にいれるとあり、この条件として高潮と同時に発生する高波による施設の破壊を考慮に入れるとありますので、このときの段階でも、高波を想定するということができたと思います。
それと、2015年の水防法で、5年をめどにということで作業をすすめていたということですが、東京湾、福岡の玄海灘でもすでに設定済みですので、潮芦屋でのスピードはどうだったのか、2007年の時点、2015年の時点、早急に着手していれば、潮芦屋のハザードマップは違ったものになっていたんじゃないか、違ったものになれば、住民の中の警戒もありますでしょうし、不動産の売買にも影響あったと思います。
この潮芦屋の方は、「県の対策に、もし瑕疵があったならまず認めてほしい。そのうえで今度こそ、本気の対策をしてほしい」とおっしゃっています。このことに応えて、もう一度、ご答弁をお願いします。
○答弁:県土整備部長 まず平成19年の浸水想定でございますが、これはあくまで避難を促すという意味で、すべての公共団体が作ったものではございません。全国的に言いますと、だいたい2割ぐらいの公共団体が避難を支援するという意味で策定しております。その上で、どういう設定をするのかというのは作成する者の判断によるということになっていますので、我々は波の影響というのは箇所毎に非常に細かなシミュレーションが必要になってくるということがございましたので、高潮に対してのみ浸水想定を行って、その旨をちゃんと明記して、公開をさせていただいたということが事実でございます。
今回でございますけれども、概ね5年程度ということで大阪湾、伊勢湾、東京湾それから有明海と瀬戸内海が対象になって、5年程度でやれということが通知の中に明記されています。これでいきますと、結構多くの自治体が対象になるのですが、このうち既に対応が終わっていますのが、委員ご指摘のとおり福岡と東京、それも一部を公表したという状況でございますので、我々はすでにシミュレーションも実施しておりますし、関係市町との協議にも入っております。ですので、我々の作業が遅れているという認識は全くございません。
②次に被災者支援についてです。
東灘区では、2級河川高橋川が高潮によって氾濫しましたが、古くからの人によると約30年前も逆流してきた海水が深江橋などから氾濫し対策を求めていた所で、堤防を高くする予定がありましたが間に合いませんでした。
高潮が発生した当日の夕方、阪神深江駅周辺の深江北町、深江本町を訪問しましたが、多数の床下・床上浸水のお宅で、家でひざまで海水が来た、タンスや畳、冷蔵庫などが廃棄に、室外機が海水に浸かりエアコンが故障。車も海水に浸かり廃車など甚大な被害を見聞きしました。住吉南町のあるお宅では、地面から48㎝床下浸水し100L以上の海水を業者に汲みだしてもらい、今後、消毒や流されたシロアリ防除剤の再施工が必要ですが、床下浸水で火災保険もおりません。別のお宅では、同じような作業で45万円かかったとお聞きしました。
また事業所の被害も深刻です。魚崎南町3丁目の浜側は、神戸陸運局が近いこともあり、多くの自動車整備工場を始め、約50軒の会社が立ち並んでいますが、高潮によりひどいところで約1.6m浸水しました。電気工具や、資材、コピー機、お客様の車、帳簿なども海水に浸かり、大きな損害を受けました。ある運送会社では15台あったトラックが全て海水で故障。事業所の車両保険は高く、ほとんどの会社が入っていないとのこと。現在、被災中小企業に対する支援は、融資しかなく、「お金を借りても、返していけるのか」と皆さん、頭を悩ませています。
Q 県独自の被災者生活再建支援金がありますが、額が少なすぎること、床下浸水への支援がないことなど、とても生活の再建に見合うものではありません。京都府の「地域再建被災者住宅支援事業」では、被災者生活再建支援法の適用外地域でも住宅再建経費の1/3を対象に、全壊で最大300万円、半壊で最大150万円、一部損壊・床上浸水で最大50万円補助されます。せめて京都府並みに額を引き上げることとともに床下浸水への支援も強く求めます。
被災中小企業への支援では、西日本豪雨災害を受けた広島県、岡山県では中小企業庁の「グループ補助金」「持続化補助金」に県が上乗せ、2007年の能登半島地震で石川県は、「被災中小企業復興支援基金」を設けて、地場産業に1社最高200万円を復旧費用として助成する等、営業再建への公的支援、支援金支給が各地ですでに行われています。災害が起こるたびに本県でも求められてきましたが、今度こそ行うべきです。
機材の復旧や購入、設備投資など営業再建への十分な支援金支給、水光熱費・各種税の軽減など事業継続のための思い切った支援を求めます。
○答弁:防災監 「災害対策について」のうち、被災者支援についてお答えします。
被災者の生活再建は、自助、共助、公助が相まって実現されることが基本です。生活再建に関する本県の独自の支援も、これらのバランスを考慮して支援額・対象範囲を設定しています。
このため、被災者生活再建支援法の不備を補完する「全壊、大規模半壊」に対する支援につきましては、全壊等の被害に対して法が適用された場合の地方負担にあたる支援金の1/2を支給することとしています。また、法が対象としない「半壊、一部損壊・床上浸水」部分については、これらとのバランスを勘案して支給額を設定したところであります。なお、住宅再建支援は建物被害の程度に応じて対応内容を設定しており、建物被害が軽微な床下浸水については支援の対象とはしておりません。
被災中小企業対策につきましては、自らが主体的に対応策を講じていくという中小企業振興条例の理念を基本に、被災された中小企業の再生を支援するため迅速に緊急対策を実施しています。
台風第21号災害に対しましては、復旧や売上減少に対して、通常の1/2となる0.4%という低金利の災害対応貸付を新設いたしました。さらに、県の本庁や県民局・県民センターに金融特別相談窓口を、また、ひょうご産業活性化センターに経営再建や税などの専門分野にも対応できる特別相談窓口を設置いたしました。
これらの対策により被災地の早期再生を支援してまいります。
≪県行革について≫
2.次に県行革についてです。
本議会で、これまでの県行革を検証し、新たに10年間の方針「行財政の運営に関する条例(案)」「兵庫県行財政運営方針(案)」が提案されています。
我が党議員団は、これまでの県「行革」について、震災復興に名を借りた大型開発による財政悪化のしわ寄せを福祉・医療、教育、県民サービス切り捨て、県職員削減によって県民に押しつけるものだとして中止を求め、新たな方針策定についても、これまでの県「行革」による県民生活への影響を検証し、検討すべきだと主張してきました。
しかし条例案、運営方針案の内容は、人件費の枠を決め、すすめてきた県職員削減と給与抑制の継続、社会保障費を抑制し、こども、ひとり親家庭、重度障害者らへの医療費助成のカットを継続し、さらに県営住宅、病院、警察の統廃合、水道事業の広域化、阪神南県民センターと阪神北県民局の統合など、県民サービスの新たな切り捨てを進めるものです。
一方で、この間の借金をつくってきた高速道路整備は、全国で北海道に次ぐ2番目の供用延長になっているにもかかわらず、「ひょうご基幹道路のあり方」で「基幹道路八連携軸」を定め、新たに115kmの基幹道路を位置づけています。また、三宮巨大開発への参画、元町山手地区の再整備で多額の予算を使い、一極集中、住民置き去りの開発が進められようとしています。
Q 条例案、運営方針案は、県民生活にかかわる経費を抑えようというもので、憲法と地方自治法に基づく「住民福祉の向上」の役割を発揮することができません。
県「行革」は、今年度で中止し、「行財政の運営に関する条例(案)」、「行財政運営方針(案)」の撤回を強く求めます。お答え下さい。
○答弁:井戸知事 本県の行革の目的は、将来にわたって県民ニーズに的確に対応できる行財政構造基盤を確立することです。この11年間、行革条例をもとに、県民の理解と協力をいただきながら、構造的改革を進めてきました。
組織、定員・給与、事務事業、投資事業、自主財源の確保など行財政全般にわたる改革に取り組んできました。またその一方、防災・減災対策の推進、子育て環境の整備や医療介護の充実、教育の進展など県民の安全安心を第一に、活力ある兵庫を築く施策を積極的に展開してきたと言えます。この結果、財政運営の目標を概ね達成するとともに、各分野の構造改革を成し遂げ、行革は一区切りを迎えたと言えると評価しています。
一方、今後も本県を取り巻く財政環境は予断を許しません。ひょうごの未来「すこやか兵庫」を実現するためにも、これまでの改革の成果を生かした適切な行財政運営が欠かせないと確信しております。このための行財政運営条例と行財政運営方針を、今議会に提案させていただいております。
行財政運営方針では、持続可能な行財政構造の保持、選択と集中の徹底、安全安心の確保、すこやか兵庫の実現に向けた施策の展開、県民の参画と協働と、5つの基本方針を掲げ、分野別の取組方針をとりまとめています。ご指摘の事項については、まず、行政課題等に的確に対応できる人員の配置に努めます。管理職手当を除く給与抑制措置は解消します。社会保障関係事業の適切な推進を図ります。県営住宅については、計画的な建替え・集約と多様な住宅需要への対応に努めます。県立病院では、良質な医療の提供を行って参ります。高度化・複雑化した犯罪への効果的な対応できる体制として進めて参ります。水道用水の安定供給に努めます。地域課題に対応した県民局の再編を行います。県土の均衡ある発展に向けた社会基盤整備を推進します。今後の県行政の推進と災害対策の拠点となる本庁舎の再整備の検討を進めて参るなど、県民ニーズを踏まえつつ適切に行財政運営を行うための取組方針としています。
今後の10年は県政にとって大きな変革期です。すこやか兵庫の実現を目指し、県民に信頼される行財政運営を推進する基本的な枠組みでありますので、ご理解いただきたいと存じます。
≪国民健康保険について≫
3.次は国民健康保険についてです。
国民健康保険は、今年度から都道府県が財政運営の責任主体を担い、市町村と都道府県が保険者となりました。
政府は、制度移行による保険料(税)の急騰を避けるため、3400億円公費を投入し、市町村の法定外繰り入れも認めたことで、今年度は、保険料を据え置いた自治体や引き下げた自治体も生まれました。
しかし、低所得者である年金生活者・無職と非正規労働者が加入者の8割を占める医療保険でありながら、国庫補助の相次ぐ減額で、払えないぐらい保険料が高いという制度の構造的矛盾は解決されていません。
2017年6月時点の兵庫県内の保険料滞納世帯数は、10万2315世帯(加入世帯の12.9%)、内、短期被保険者証・資格証明書は3万4776世帯です。ある医療機関の全国組織の調査では、正規の保険証を持たず手遅れになった痛ましい事例が、全国でも県内でも発生しています。
今後、激変緩和措置をやめ、保険料平準化、市町の一般会計繰り入れがなくなっていけば、さらなる保険料の高騰で、深刻な事態をひろげかねません。
今、必要なことは、“社会保障及び国民保健の向上に寄与する”という国保法第1条の精神に照らし、高すぎる国保料を軽減させる手立てです。
家族の人数に応じて保険料が増える「均等割」は国保にしかなく、全国知事会も「均等割軽減措置の導入」を政府に要請しており、均等割の子ども分を減免する自治体が、拡がっています。
また国は、子どもの医療費助成を行う自治体に対する交付金の減額を就学前までは廃止しましたが、小学生以上についても廃止すべきです。
Q そこで、国庫負担の抜本的引き上げ、子どもの均等割廃止、自治体独自の医療費助成に対する交付金減額措置の全面廃止、激変緩和措置の継続を国に求めるとともに、県として子どもの均等割減免、交付金減額分の全額補てんなど独自の繰り入れを強め、保険者として高すぎる国保料引き下げを行うことを求めますが、いかがですか。
○答弁:福祉部長 高齢化の進展等によりまして医療費が増嵩する中で、保険料を抑制し、将来にわたり国民健康保険制度の安定運営を図っていくためには、被保険者の健康づくりを推進し、医療費の過度な増大を抑えるとともに、保険料収納率の向上等を図ることが重要でございます。
このため、県では、国民健康保険運営方針に基づき、特定健診・特定保健指導等の保健事業の充実強化や口座振替制度の推進による収納率向上対策等によりまして、保険料の伸びの抑制を図ってきたところでございます。
ご指摘の国への要望につきましては、1つには、将来にわたる医療費の増嵩に対応できる更なる財源の確保、2つには、子育て支援策としての子どもの均等割保険料の廃止、3つには、国庫負担金減額調整措置の廃止、そして4つには、激変緩和措置に必要な財源の全額国費による確保を提案しているところでございます。
なお、全国知事会等を通じた要望の結果、就学前までの子どもの医療費助成につきましては、平成30年度から国庫負担金の減額が廃止されましたが、更なる減額措置の廃止を要望しているところでございます。
子どもの均等割保険料を減免する場合の財源につきましては、制度設計とそれに伴う財源確保の責任、権限を有する国が対応すべきものであると考えております。
また、福祉医療の実施に伴う国庫負担金減額措置の補塡につきましては、全国的に見ますと、補助をやっていない都道府県が半数近くある中で、本県におきましては、県単独事業といたしまして国民健康保険事業費補助を実施いたしまして、減額分の2分の1を補助しているところでございます。なお、福祉医療は市町との共同事業でございますことから、全額県費で補塡することについては適切ではないと考えております。
県といたしましては、今後も、国に対しこれら提案の実現を強く求めますとともに、保健事業の推進等によりまして、国民健康保険制度の持続的で安定した運営を目指してまいります。
≪学校施設のエアコン設置について≫
4.次に学校へのエアコン設置についてです。
今年の災害級の酷暑で、愛知県の小学1年生の児童が熱中症で亡くなるなど、各地で痛ましい事故が発生しました。子どもたちが学校で命と安全が脅かされることは、あってはならないことです。
あいつぐ豪雨や過去最大級の台風、災害級の背景に、地球温暖化の影響が指摘されるもとで、酷暑は今後も続くと考えられ、学校のエアコン設置が急がれます。
文科省によると、県下の小中学校のエアコン設置状況は昨年4月時点で、41市町の内、小学校普通教室で設置率10%未満が12市7町、うち0%は1市4町もあります。中学校普通教室では、10%未満が11市8町、0%は4市5町となっています。
文科省は、自治体に積極的な対応を促す通知を出し、「来年夏までに、希望するすべての学校にエアコンを設置できるようにしたい」として、概算要求で「学校施設環境改善交付金」を2432億円を要求。先日我が党議員団が行った文科省レクでも、「自治体・設置者の要望に応えたい」「体育館も教室と同じ扱い」との表明があり、さらに先日発表された文科省の概算要求分のうち、エアコン設置とブロック塀対策に対応する部分を補正予算として、臨時国会に提出するとのアナウンスもあります。
しかし、市町の設置計画には差があり、宍粟市、三田市、市川町などは来年夏頃までにエアコン設置の完了をめざすとする一方で、来年度から4年計画の相生市、2年計画の加古川市・稲美町、完了時期が未定の姫路市、太子町、新温泉町などとなっています。
これは学校施設環境改善交付金の補助率は1/3であり、市町の財政負担が重いためです。
また、体育館のエアコン設置も、補助率は教室と変わらない1/3であり、高額になるため、設置計画そのものが進んでいません。体育の授業や全校集会、始業式、災害時の避難所になる事も考慮すると、体育館へのエアコン設置は急務です。
Q そこで、子どもたちの命と安全を守るために、全ての教室と体育館への100%エアコン設置を促進するために市町への県の上乗せ補助を求めます。また避難所指定の体育館については、「緊急防災・減災事業債」を活用するなど、あらゆる手立てを尽くすことを求めます。ご答弁ください。
○答弁:教育長 県内市町立小中学校の空調整備率を本年9月1日現在で見ると、普通教室については、小学校は66.7%、中学校は71.1%。また、特別教室については、小学校は54.3%、中学校は55.9%。体育館については、ほとんど整備がされていない状況である。このうち、普通教室について、まだ未設置の教室をもっている28市町については、既に早急に整備を行う方針を示している。
市町立学校の施設整備の経費については、学校教育法で設置者である市町が負担することとされている。これに対して、国の学校施設環境改善交付金に加えて、残る地方負担には地方交付税措置のある起債を活用することができることとなっているので、県教育委員会としては、独自の補助制度を創設することは考えていない。
空調整備のための国の交付金については、既に県内市町の要望をとりまとめ、新たに33市町で503事業、交付金額にして44億円の計画を国に報告している。あわせて、市町の整備計画に対応できる予算総額の確保、補助単価の引き上げ等の要望に加えて、この9月には、来年の夏に間に合わせることができるよう、交付金決定前に着工したもの、また、リース方式で整備するものについても国の交付金対象にすることの要望を行った。
普通教室への整備が完了すれば、次は、特別教室への整備を市町に対して働きかけていくこととしている。また、指定避難所となっている体育館については、ご質問のように緊急防災・減災事業債の対象となるので、必要に応じ、その活用を市町に働きかけていく。
今後とも、市町立学校の空調整備が計画どおり進むよう、引き続き国に対して要望していく。
≪学童保育について≫
5.次に学童保育についてです。
1950年代に民間保育所や親の共同運営により始まった学童保育は、1997年、児童福祉法改正によって法制化され、現在、「子ども・子育て支援法」のもと、厚労省省令である「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」に基づき、市町村が条例を定め、学童保育の実施、施策の拡充が図られています。また、児童福祉法の改正で、対象が小学6年までになりました。
働く保護者達と保育に携わる指導員の、「子どもたちに生き生きとした放課後を」という強い願いと取り組みによって、学童保育は発展してきました。
子ども・子育て支援新制度がスタートした2015年度と2017年度を比べてみても、兵庫県では学童保育数990箇所から1,278箇所に、入所児童数は40,745人から47,621人に増加し、期待と需要が極めて大きいことを示しています。
同時に学童保育はまだ発展段階であり、保護者の切実な願いに応えていくためには課題が山積しています。
一つは過密とそれに関わる問題です。放課後児童健全育成事業実施要綱や省令では、1学童保育所につき、児童数は概ね40人されていますが、大規模・過密化しています。
例えば、神戸市の公設学童保育は179ヶ所ありますがこの内、基準を超える児童数41人以上の学童が全体の84%を占め、さらに71人以上の大規模学童が43%にのぼります。ていますが、これは施設整備が遅く、定員を設けず、今ある施設で受け入れを増やしているからです。それでも小学6年まで受け入れているのは、まだ69.8%にとどまっています。
障害児は「自力入退館」の原則と過密であるため、入所が難しい現状があります。
また、過密な公設を敬遠して民設を考えたが、保育料が高く入所できず、働くことを諦めたなどの事例もあります。過密状態を解消し、需要に応えられるだけの施設整備が必要です。
もう一つの大きな問題は、放課後児童支援員・指導員の賃金が低すぎることによる深刻な指導員不足です。
全国学童保育連絡協議会が2014年に行った調査では、半数以上の指導員が年収150万円未満です。「放課後児童支援員等処遇改善等事業」「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」など処遇改善の国の助成制度ができましたが、国・県・市1/3ずつ負担があることから、活用している学童保育は県内で2割にとどまっています。これではいつまでたっても指導員不足は解決しません。
さらにもう一つの問題は、保育料の負担です。公設も保育料が上がってきていますが、運営主体による保育料の差を縮めていく必要があります。
2012年の調査では、公設、社協、法人の学童保育の保育料は平均月6,000円前後であり決して安くはありませんが、市町からの助成を受けて保護者会が運営している学童保育は月10,000~20,000円で、高い保育料です。運営助成金が少しずつ増額されてきたとはいえ保護者会運営の学童保育は、家賃が10数万円かかり、指導員の処遇改善を図りつつ運営を維持するには、保護者に大きな保育料負担がかかります。
また、質に関わる支援員の資格と配置を「従うべき基準」から「参酌基準」にしようとする動きもあります。
Q そこで、過密解消と受け入れ児童を増やすため施設整備を進めるとともに、施設整備費補助や支援員の処遇改善加算の引き上げと継続を国に求め、県として国補助への上乗せや、保育料軽減のための県独自の補助を求めます。
同時に、質の保障のために、支援員の資格と配置はこれまで通り従うべき基準を堅持するよう国に求めるとともに市町にも助言することを求めますが、いかがですか。
答弁:福祉部長 放課後児童クラブにつきましては、県下全ての市町で運営され、この5月1日現在で、箇所数は1,351箇所、登録児童数は50,433人でございまして、いずれも昨年と比べまして、73箇所、2,812人増加したところでございます。一方で、待機児童数は851人で、昨年と比べ46人減少いたしました。県では量的・質的な拡充をさらに進めているところでございます。
まず、量的な拡充に向けましては、待機児童が発生している市町に対しまして個別に協議を行いまして、受入児童数の拡大や大規模クラブの過密化解消のため、クラブを2つに分けることなどを働きかけております。これにより、今年度も、54箇所の放課後児童クラブを新たに整備・拡張いたしまして、約2,000人の受け皿を確保する予定でございます。
また、質の向上につきましては、放課後児童支援員の認定資格研修会を年11回開催いたしまして、これまでに3,168人を支援員として修了認定いたしますとともに、中堅支援員などを対象とした質の向上研修を開催し専門性の向上に取り組んでいるところでございます。さらに、国補助金を活用した支援員の更なる処遇改善を市町に働きかけるほか、その改善を国に要望いたしております。なお、開所時間を午後7時半まで延長する場合につきましては、県単独で賃金の上乗せを行っております。また、支援員の資格や配置等に関する基準の取扱いにつきましては、現在、地方分権改革有識者会議において議論されておりますので、その動向を注視いたしております。
利用料につきましては、実施主体であります各市町において、生活保護世帯・ひとり親世帯・非課税世帯に対する免除など独自の軽減策を実施いたしておりまして、県は全国知事会を通じまして利用料の無償化について提言を行っているところでございます。
≪核兵器廃絶と憲法9条について≫
6.最後に平和と憲法についてです。
今、平和と核兵器をめぐり世界は劇的に変化しています。
1980年代から県民のみなさんと日本共産党県議団が求めてきた「非核平和兵庫県宣言」決議が、昨年12月14日、全会派一致で採択されました。
この夏、兵庫県原爆被害者団体協議会が作成した「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」推進のポスターに、「わたしたちも賛同しています」として知事をはじめ、県下14市町の首長が写真入りで掲載されました。被爆者団体の方々からも大変喜ばれています。
国連では「核兵器禁止条約」が採択され、署名国が69カ国にひろがり、条約は発効できる」、核兵器廃絶は必ずできるというのが世界の大きな確信になりつつあります。
また朝鮮半島では、4月の南北首脳会談、そして6月の米朝首脳会談を契機に、非核化と平和構築への努力が始まっています。これを成功させることが日本にも世界にも求められています。
しかし安倍政権は、国民の願いと世界の努力に逆行し、核兵器禁止条約への署名を拒否し、大軍拡とともに世界に誇る憲法9条を変えようとしています。
安倍首相の狙いは、2015年9月に成立した安保関連法により、アメリカと一緒に世界で、武力行使ができる部隊に変わった自衛隊を書き込み、9条の制約を取り払い自由にアメリカの戦争に参戦できるようにすることです。この危険なたくらみをゆるすわけにはいきません。
自民党総裁に3選された安倍首相は「さらに3年間強力なリーダーシップを発揮せよと力強く背中を押していただいた」とまるで国民全体の信任を得たかのように強弁していますが、国民の世論は自民党改憲案を秋の臨時国会に提出することに対し「反対」が51・0%、「賛成」の35・7%(共同通信20日、21日世論調査)を大きく上回っているように9条改憲へのフリーハンドを与えたわけではありません。
9月30日の沖縄県知事選で、辺野古新基地建設反対を高く掲げた玉城デニ―氏が圧勝しました。亡くなった翁長雄志知事とその遺志を継いだ玉城新知事は、県民の平和と安全のためには国とも正面から対峙する姿勢を貫いています。これこそ県知事の本来の姿ではないでしょうか。
Q 知事、世界に誇る憲法9条を守り、平和行政に生かす立場を表明していただきたいと思いますが、いかがでしょうか?また、政府に対し、被爆者、そして県民の大きな期待ともなっている、「核兵器禁止条約」への批准を要請すべきだと考えますが、いかがですか。
以上、知事・当局の県民に寄り沿った答弁を期待し、質問者席に移ります。
○答弁:井戸知事 昨年12月に県民の代表である県議会において「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」が全会派一致で採択されております。このことは、県民の総意として恒久平和と各兵器廃絶を望むものであり、県としましては、宣言の趣旨を重く受け止め、次世代に平和で安心な兵庫を引き継いでいくため、弛まぬ努力を重ねていかねばならないと決意しています。
憲法9条については、日本国憲法前文及び9条に示されている恒久平和主義は、憲法の基本原理の一つであり、戦後日本が誇るべき崇高な理念であると考えます。この理念の下、我が国が世界平和の確立に積極的に貢献すべきであることは、全ての国民の願いであります。外交・防衛に関する事項は専ら国が責任を持つ分野でありますが、現在の自衛隊は国際平和貢献、大規模災害への派遣など重要な機能を果たしていることに加え、国の安全を守ることを任務とする存在です。今後、憲法改正にあたっては、この9条に加えて、地方自治の条項も含めて国会をはじめ、県民、国民の間において十分な議論や検討がなされるべきであり、このことを期待しております。
また、核兵器禁止条約については、核兵器国と非核兵器国の協力を得て、現実的かつ実践的な取組を積み上げ、核兵器のない世界を実現させていくという政府の基本的な考え方がありあますが、これに基づき、外交・条約締結の責任を有する国が適切な判断をされるべき問題と考えております。
県としては、経済、文化、防災など多様な分野において、草の根の地域間交流による相互理解を深めることにより、多文化共生社会づくりを進め、引き続き地域から国際平和に貢献していくべく努力を重ねていきたいと考えております。