議会報告

  • 2024年12月13日
    本会議

    第369回議会 請願討論 久保田けんじ

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程されている請願、第2号、第21号、第26号、第31号、第32号、第33号、第35号について不採択ではなく採択を求め、その主な理由を述べます。

     まず第31号「選択的夫婦別姓制度を直ちに導入することを求める意見書提出の件」についてです。夫婦同姓制度が現存するのは世界で唯一、日本だけです。その日本で望まぬ改性、通称使用などによる不利益、不都合が強いられる人が多数存在します。女性差別撤委員会は2003年以降、繰り返し、民法及び戸籍法における差別的規制の廃止を日本政府に勧告しており、2024年の勧告でも2年以内に実地状況の報告を強く求めています。導入を求める地方議会の意見書も次々採択され11月時点で427議会、12都道府県議会が採択しています。結婚して別姓、同姓を選べる、人としての当然の権利を行使できるよう、選択的夫婦別姓制度をただちに導入することを求める意見書を国に提出する本請願の採択を求めます。

     次に第32号「2024年度の障害福祉サービス等の報酬改定の撤回及び再改定を求める意見書提出の件」についてです。各国GDPに占める障害福祉予算の割合のOECD平均は2%であるのに、日本はわずか1%にとどまっています。この水準は20年間ほぼ同様で予算規模が小さすぎるにもかかわらず、2024年度の障害福祉サービスの全体の報酬改定率はわずか1.12%の引き上げです。基本報酬は減額です。加算の多くが、要件や事務量を課せられ、小規模な事業所ほど受けられない現状にあります。配置に必要な職員を募集しても応募自体がない。こうした現状を放置したままの基本報酬の減額は、事業所運営と支援体制に多大な影響を及ぼしてしまいます。報酬改定に伴う影響調査を実施し、改定の即時撤回と、職員の賃金向上を含めた処遇向上を保障する基本報酬の大幅増の再改定が必要です。また、成果主義による加減算により、就労継続支援A型、B型の平均工賃15,000円未満の報酬単価は引き下げられました。平均工賃15,000円水準の多くを占めているのは、障害の重い人や精神障害のある人、高齢の人など、支援度のより高い人たちを受け入れている事業所であるにもかかわらず、その報酬単価を減らすことは、支援の水準を引き下げてしまうだけです。収支の悪い事業所の補助金が減額されたことから2024年3月~7月の間に129の自治体で5000人近くの障害者が解雇ないし退職するという事態に陥っています。そして、生活介護等の通所サービスを利用する方々は、障害の特性から、日によって体調に差があったり、他者と長時間いることが難しかったりするため、それぞれの利用者によって利用時間の長さはまちまちで、5時間未満の利用が半数余りに上る事業所もあります。短い時間でも毎日通うことが利用者の生活の支えになります。生活介護等への時間制は撤回するべきであり、本請願の採択を求めます。


     次に第33号「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。兵庫県の授業料軽減補助制度の拡充で、年収590〜730万円未満世帯と年収730〜910万円未満世帯への新たな所得区分への補助や多子世帯への加算創設がなされました。しかし兵庫県の私立高校の学費は平均64万9659円で入学金23万4044円を加えた初年度納入金は88万3703円になり、全国で高い方から3番目の水準です。また同じ私立高校に通う生徒でありながら居住する場所によって学費負担が違います。そして兵庫県の教育費支出(一人当たり、県と市町合計)は47都道府県中41位です。教育予算を増やして私立学校への経常費補助金を増額し、年収590万円以上世帯の学費負担軽減と私学の学費負担の自治体間格差解消、年収590万円未満世帯への前年度授業料平均額の支給をして授業料無償化世帯、支給対象拡大することが求められます。北欧の教育大国のスウェーデンは私立高校の学費が無償です。小学校から大学まで授業料が無料で、学生の居住費や、低収入の家庭の学生の生活資金をカバーする奨学金制度も充実しています。子どもたちにゆきとどいた教育のため教育負担の公私間格差をなくす本請願の採択を求めます。


     次に第35号「全ての子どもたちへ行き届いた教育を目指し、35人以下学級の前進、教育費の軽減、教育条件の改善を求める件」についてです。兵庫県における少人数学級35人学級は中学校の1学年に限り実施することになりましたが、実態は実施している中学校は少なく、小学校6年、中学校、高校は40人学級のままです。また、県立高校28校を14校に再編する計画を発表しましたが、子どもや保護者、地域住民と合意形成がなされておらず、反対や不安の声が上がっています。少人数学級であるほど学習意欲が積極的になり、子どもたちの人格形成や人間的成長にとっても効果があることは世界的にも実証されており、世界の標準は20人~25人です。スウェーデンでは平均24人学級、教師が2人のところもあり、平均で1人の教員当たりの生徒数は12.1人です。35人以下学級の前進、教育費の軽減、教育条件の改善により全ての子どもたちへ行き届いた教育を行うために、本請願の採択を求めます。

     第2号「子どもの医療費を所得制限なしに18歳まで無料にすることを求める件」についてです。これまで各自治体の努力によって医療費の助成が進み、兵庫県下では41市町中37の市町で中学校3年生まで通院・入院とも無料になりました。18歳まで通院・入院無料は16の市町に広がっています。一方で兵庫県は2013年に対象年齢を中学3年生までにするなど制度を拡充してきましたが、それ以降、制度拡充は進んでいません。病気の早期発見、早期治療が健康原則であるにもかかわらず、子供の貧困化が進んだ結果、病院受診控えが起こっているのが現状です。全ての子どもが健やかに成長し健康に暮らす権利を保障するために医療費を無料にするべきであるため、本請願は採択することを求めます。


     次に第21号「訪問介護費の引き下げ撤回及び介護報酬引き上げの再改定を早急に行うことを求める意見書提出の件」についてです。2024年度の介護報酬改定で訪問介護の報酬は減らされ、懸念されていた通り、訪問介護事業所の倒産が相次いでいます。これまでも小規模の訪問介護事業所や通所介護事業所は経営が厳しく倒産件数が多かったが、2024年度前期の全国の訪問介護事業所の倒産件数は55件で前年同期比29%増です。訪問介護費引き下げ撤回と介護報酬引き上げの再改定を早急に求める請願陳情は10月29日現在、全国151自治体で採決され、国に対する意見書は149本まで広がりました。都道府県議会では9議会で意見書が採択されました。訪問介護は在宅の要支援者、要介護者や家族を支える事業の要であり倒産を促進させてはいけません。安定した運営のため介護報酬の引き上げが必要であり、本請願を採択することを求めます。

     次に第26号「PFASの実態把握の徹底調査をし、国の基準見直し、対応策を求める件」についてです。国の調査によると田井簡易水道組合、西脇市、宝塚市上下水道局、豊岡市水道事業など水道事業管轄内からもPFASが検出されました。兵庫県も河川、土壌、大気の調査を行っているところであるが、発生源の特定、発生源の防止が必要です。IARCの専門家たちが審議した結果、PFOAについて「発がん性の可能性がある」から「発がん性がある」と断定するに足る証拠が揃ったと公表。アスベストやカドミウムと同じ、最もランクの高い「グループ1」に分類されました。PFOSとPFOAの合算で同50ナノグラムとする日本の暫定基準は世界基準とはかけ離れており、科学的根拠に基づいた暫定基準値を設定し、第2の水俣病にしないためにPFAS被害の防止、命を守る対策は早急に行うべきであり、本請願を採択することを求めます。

    以上、本請願の採択を進める立場で議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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