議会報告
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私は日本共産党県議会議員団を代表して、上程中の議案の内、第137号、第139号、第140号、第142号、第145号、第148号、第155号ないし第158号、第160号ないし第166号、計17件について反対し、以下、主な理由を述べます。
まず第137号議案「使用料及び手数料徴収条例の一部を改正する条例」についてです。
兵庫県が徴収する一般旅券発給手数料について、書面による申請に基づいて発給する場合は2300円に、オンラインによる申請に基づいて発給する場合は1900円とするものです。オンライン申請はマイナンバーカード所有が条件であり、マイナンバーカードを所有していない人はオンライン申請より400円高くなります。
個人情報保護法制では、「個人情報」の取り扱いにあたって「利用目的をできる限り特定し」、第三者提供は「あらかじめ本人の同意を得る」ことを、原則としているにも関わらず、マイナンバー制度は情報漏洩のリスクがあり、プライバシー権の侵害、利益誘導・官民癒着の拡大、行政の住民サービスの後退、国民に負担増と給付削減を押し付けるなど多くの問題点があるものです。また、マイナンバーカードをつくるかどうかは任意であり、所有している人と所有していない人で差別するべきではないため議案には反対です。
あわせて、第140号議案「警察手数料徴収条例の一部を改正する条例」についてです。
本議案は、マイナンバーカードに自動車免許証を紐づけるものです。
現行の免許証、マイナ免許証、2枚持ちを選ぶことができるとしていますが、新規、更新申請とも、マイナ免許証の方を安く、現行の免許証が高く設定しています。マイナ免許証があれば更新時の講習をオンラインで受けることができるとしていますが、視力検査等は、更新センターに行く必要があり不合理です。
そもそもマイナンバー制度は、日本に住むすべての国民・外国人に生涯変わらない12ケタの番号をつけ、さまざまな機関や事務所などに散在する各自の個人情報を名寄せ・参照できるようにし、行政などが活用するものです。政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険をもつ重大な問題であり、日本共産党はマイナンバー制度そのものに反対しています。
次に第139号議案「兵庫県立高等学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
県立高校教育改革第3次実施計画は、2025年に8校、2028年に6校の合計14校を削減する計画です。本議案は2025年に統合する高校の新高校名を決めようとするものですが、生徒や保護者から不安の声や地域の県立高校の存続を求める要望はいまだに強いものがあります。少子化を理由に統廃合ありきの計画を推し進めるのではなく、学校を存続させ、きめ細やかな教育、教員の負担軽減をすすめることができるよう高校での少人数学級に踏み切ることが求められます。
次に第142号議案「兵庫県立公立大学法人第3期中期目標の策定」についてです。
県立大学の独立法人化については、国の構造改革路線に基づく県の第2次行革プランに位置づけられたものです。日本共産党は、経済的利益を生むかどうかを物差しに競争を押し付けることにつながり、教育・研究を統制し、学問の健全な発展を阻害しかねないこと、教職員の身分が非公務員となり評価制度が持ち込まれ不安定な身分となること、大学運営費の保障が不十分になることなどから反対しています。
公立大学は、「学術の進歩」に貢献し、住民要求に応えた高等教育を行い、地域の文化・経済の発展に寄与するものであり、どのような目標・計画を立てるかは県が決定するのではなく、大学の自主性にゆだねられるべきです。県は「支援すれども統制せず」の立場で、大学の自主性を尊重し財政支援を行うことこそ求められます。その上に立って県立大学の入学金・授業料無償化は、まず県外生にも広げるべきです。
次は、第145号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区美嚢川橋上部工事請負契約の変更」、第148号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区国道175号AB-3ランプ橋上部工事請負契約の変更」についてです。
日本共産党議員団は、高規格道路を整備しても東京一極集中は是正されないこと、災害時物資輸送には既存の県道を使用する計画になっているなどを理由に反対してきました。インフレスライド条項の運用に基づき北工区美嚢川橋上部は4,642万9,900円の増額、国道175号AB-3ランプ橋上部は昨年に引き続き1,384万3,500円の増額となりました。不要不急の事業でありこれ以上の金額増、県民負担は認められません。
つづいて第155号議案「公共施設等運営権の設定」についてです。
本議案は、2030年3月31日まで、但馬空港の運営権者を引き続き但馬空港ターミナル株式会社に決定するものです。
運営権方式にしても採算性を上げることはできず、毎年度多額の赤字補填をしており、県は昨年2023年度、2億6,000万円の補助を行っています。日本共産党議員団は、効率化のもと、人員削減が可能であり、空港の安全性を危うくさせること、利用料金は、0.5~1.5倍の範囲で、運営権者が自由に設定できるなど過大な料金にし得ることなどにより、これまでも運営権者方式及び、但馬空港ターミナル株式会社に決定することに反対しています。但馬空港については、根本的なあり方について再検討すべきことから本議案には賛同できません。
次に第156号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立神戸生活創造センター)」、第157号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立総合体育館)」、第158号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立海洋体育館)」、についてです。
これらの議案は、いずれも利用料金制により、議会の承認を経ることなく利用料金が値上げになることから反対です。
地方自治法第96条は「使用料の徴収については議会の議決事項であり、公の施設の使用料については、それぞれの施設管理条例によって議会の議決が必要」としています。しかし、県の指定管理の利用料金制は、議会で議決した使用料に対し、指定管理者が0.5~1.5を乗じた額の範囲内で知事の承認さえあれば、議会の議決がなくても利用料金を設定することができるとしました。これでは議会のチェック機能が果たされず県民の負託にこたえることはできません。
次は第160号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立フラワーセンター)」、第161号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立公園あわじ花さじき)」についてです。
両施設とも公募制にしましたが、その事業計画書によるとそれぞれ人員の削減が伴うものになっています。県立フラワーセンターは従来からの園芸・公園協会が指定され、総括・業務部門で2人の減員体制となりました。
また、県立公園あわじ花さじきは、従来の園芸・公園協会に加え、株式会社金岡光輝園(かなおかこうきえん)、淡路日の出農業協同組合とJV を構築し、管理運営を行いますが3人の減員があります。運営費上限を実態に見合ったものにするとのことで、補充することなく減員のままになる可能性があります。
いずれも職員の業務負担の増、サービスの低下などにつながりかねず反対です。従来のサービスが保障しうる体制の担保を行うべきです。
次に第162号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立舞子公園)」、第163号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立西猪名公園)」、第164号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立播磨中央公園)」、第165号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立赤穂海浜公園)」についてです。
これら議案は、兵庫県立舞子公園、西猪名公園、播磨中央公園については、5年間、兵庫県園芸・公園協会を指定管理者に、兵庫県立赤穂海浜公園は、20年間、兵庫県園芸・公園協会を代表者にした民間企業も入ったJVを指定管理者に指定するものです。
資料として求めた事業計画書について、それぞれの経費見込みや、それぞれの施設等の基準額、利用料金など、事業計画を検討する中心的な部分が黒塗りとなっており、事業評価をすることができません。とくに赤穂海浜公園については、新しい事業者が入り、新たな施設の設置も検討されていますが、それらの建築面積、構造、利用料金、概算費用などが黒塗りになっており、20年間の長期にわたる管理者を選定するにあたり、十分に慎重に検討しなければならないのにもかかわらず、必要な情報が開示されていません。
地方自治法244条には、「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するものに、当該公の施設の管理を行わせることができる」とありますが、これら黒塗りの事業計画書では、施設設置の目的を効果的に達成し得るかが判断できません。事業計画の中心的な部分については、きちんと開示・提示すべきです。
最後に第166号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県営住宅(北播磨地区・西播磨地区・但馬地区・丹波地区・淡路地区))」についてです。
この議案は、公募により、これまで県の密接公社である住宅供給公社から、株式会社穴吹ハウジングサービスに指定管理者を変更するものです。
公営住宅法第1条は、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、…国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」とされており、福祉分野も含めて、きめ細かい対応が求められています。現に、県営住宅は、県民や入居者からは、入居や家賃、施設環境などさまざまな相談が寄せられています。そうした対応を行うためには、県営住宅の管理は県や公社が直接責任を負うべきであることから認められません。
以上、議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。