議会報告

  • 2024年10月23日
    本会議

    第368議会 2023年度決算認定議案反対討論  久保田けんじ

    私は、日本共産党議員団を代表し、上程中の決算認定議案のうち、認第1号議案、認第5号議案、認第7号議案、認第10号議案、認第11号議案、認第14号議案ないし認第17号議案、認第19号議案、認第21号議案、第22号議案、計12件に反対し、以下その主な理由を述べます。

    まず、認第1号議案「令和5年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    反対の第1の理由は、一般会計決算が、県民の暮らしを支えるものになっていないからです。2023年度決算における県税等の収入は9213億円と過去最高とされており、社会活動の正常化や円安、インバウンド需要増加などの影響といいますが、県民の暮らしは深刻です。消費者物価指数は2022年の101.3から急激に上がり2023年には104.7となっている一方、実質賃金指数は2020年の年平均を100とすると、2022年の98.5から2023年は97.8に引き下がり、家計消費支出(神戸市)は月平均、2023年29万6889円で2022年の30万6990円から3ポイントも下がっています。激しい物価高騰のなか、賃金があがらず、消費税増税の圧迫により、さらに家計消費は落ち込み、実体経済は深刻なものにならざるを得ません。

    一方、大企業は、法人税減税などにより、内部留保がこの10年間で200兆円近く増え539兆円にも膨れあがっています。世界では、コロナ禍に加え物価高騰に対し110か国以上が消費税を減税、大企業や富裕層、金融資産などへの課税強化に進んでいます。

    県の県税収入は、2019年の消費税10%増税後、地方消費税が最大税目になっていますが、税収を消費税収に頼るのではなく、大企業への法人税減税をやめ、大企業の儲けに応分の負担を求めるよう国に求めるべきです。

    経済対策の中心は、中小企業も含めて賃金をいかにあげるかです。岩手県は、時給をあげた中小業者への支援を実施し、15,000人以上の賃上げを実現しています。兵庫県として、中小企業への賃上げ支援を実施すべきです。

     

    反対の第2の理由は、県政改革方針に基づく決算になっていることです。

     県政改革方針では、県税収入の好調が続き、投資的事業、事務事業等を見直し、2028年度までの財源不足を255億円から215億円までに抑えられる見通しとしています。さらには、財政調整基金が30年ぶりに100億円を超え、127億円となったとされています。 

    しかしその中には、ひょうご地域創生交付金、地域再生大作戦、障害者小規模通所援護事業、100歳高齢者祝福事業、老人クラブ活動強化推進事業、音楽療法定着促進事業、県立障害者高等技術専門学院の運営体制の見直し、商店街の活性化施策、バス対策費補助、一般型人生いきいき住宅助成事業など、高齢者、福祉施策、業者支援の廃止・見直しなどが含まれており、「誰も取り残さない県政の推進」とも矛盾するものです。

    一方、投資的事業を見直すとしながら、過大な需要予測による不要不急の開発型の大型公共事業工事を継続しています。2023年度も「基幹道路八連携軸構想」による播磨臨海地域道路事業、大阪湾岸道路西伸部事業など全国2位と言われる不要不急の高速道路網をさらにすすめられています。人口減少はさらに加速し、都市部でも自動車交通量は減少に転じている中、「基幹道路八連携軸」計画の抜本的見直しを求めます。不要不急の大型開発の公共工事ではなく、地元建設業者が直接受注できる防災減災型の公共事業へ転換するべきです。

    県が推進する大阪・関西万博については、会場となる夢洲でガス爆発事故が起こり、招待する学校に対しても、爆発事故のことなどをまともに周知していないことがあきらかになりました。また南海トラフ等の災害時の対応もずさんであり、「こんな危険なところに子どもたちを連れていくのか」との声がひろがっています。2023年度は、万博関連予算9億円、周辺誘客の機能強化などに3億円が計上されましたが、県として万博そのものから撤退すべきです。国に対して、万博中止を求め、能登地震、水害からの復興、復旧の支援を強めるべきです。

     

    反対の第3の理由は、コロナ禍のもとでも地域医療構想の名のもと急性期病床削減など、医療、社会保障を切り捨てているからです。

     県は地域医療構想に基づき、2014年度には2万9840床あった急性期病床を毎年減らし続け、2023年度までに約7000床を削減し、2万2874床となっています。さらには、コロナ禍の2021年度から2023年度までは、908床を削減。コロナの蔓延期には、病床が足りなくなり、クラスター発生の病院に留め置かれ、命を失われた方も少なくありません。コロナ禍の教訓は、突発的な新興感染症が流行したときでも、十分対応できるように、平時からゆとりを持った病床体制にしておくことです。地域医療構想による病床削減はただちに中止し、思い切って病床確保をすすめるべきです。また2021年度からは消費税を財源に病床削減を行っていることも認められません。

     

    反対の第4の理由は、少人数学級を前進させることなく、生徒数の減少を理由に県立高校統廃合を進める決算になっているからです。

    兵庫教職員組合の調査によると2024年5月1日時点で、神戸市を除く小中学校の未配置は184人と、前年度よりも16人増となっています。年度当初から担任がいないなど教員不足が発生し、それがまた教員の多忙化を強め、病気休職者、年度内退職者を生むという悪循環を起こしています。

     少人数学級を早期に実施するために教員を増やし、教員の負担軽減とともに子どもたち一人ひとりに丁寧な教育を行うことを求めるものです。

     県立高校教育改革第3次実施計画は、2025年に9校、2028年に6校の合計15校を削減し、110校にするとし、2025年には、14校を6校に統合することが決められ、生徒や保護者から不安の声や地域の県立高校の存続を求める要望が相次いでいます。

    少子化を理由に統廃合ありきの計画を推し進めるのではなく、学校を存続させ、きめ細やかな教育、教員の負担軽減をすすめることができるよう高校での少人数学級に踏み切ることが求められます。

    反対の第5の理由は、産業立地条例等大企業呼び込み型の経済政策を続ける内容になっていることです。産業立地の促進については、2023年度、条例も改定し、全県域で成長産業の補助率を最大10%に引き上げ、投資促進地域にベイエリア地域を設定し、重点的に支援するとしています。例えば、体力のある大企業が1000億円の投資をすれば、100億円が補助されるというもので、大企業の投資事業をさらに優遇するものです。

    2023年度の、産業立地補助金の支出は、大企業8億6906万円、中小企業5億8334万円の補助で、約6割が大企業、本事業トータルでは、大企業237億円、中小企業等49億円で8割が大企業への支援となっている。それでは、県の経済の主力を担っている中小、個人事業主などの支えにならない。産業政策の中心を、大企業中心の産業立地支援から、中小、個人事業主などの営業を支える直接支援への転換が必要です。

    以上から、認第1号議案「令和5年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」に反対します。

     

    次に認第5号「令和5年度兵庫県営住宅事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    県は、2021年7月、「ひょうご県営住宅整備・管理計画」を改定し、2020年4月1日時点で49,950戸あった県営住宅管理戸数を2025年度に48,000戸へ、2030年に45,000 戸へと削減する計画を決定しています。

    2023年度は、伊川谷などの建替えで372戸増がありました。建て替えは必要であり、管理戸数が増えることは大事です。しかし明石舞子北や加古川西などで建替除却、集約除却などが行われ、全体で1032戸削減、管理戸数は47,309戸から46,227戸になりました。貧困と格差が広がる中、また、子育て支援などの観点から、低廉な家賃で住宅を供給するという県営住宅の役割がますます高まるもとでの管理戸数削減は認められません。

     

    次に認第7号「令和5年度兵庫県庁用自動車管理特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。職員が退職などで15人から12人へ減員していますが、不補充の方針は変わりません。タクシーなども利用するとしていますが、直接雇用を減らすことは認められません。庁用自動車の運転は、ただ人を運ぶというものでなく、自動車の中で執務を行うこともあるなど直接雇用の職員が担当するべき部署であり、不補充という人員削減には賛成できません。

     

    次に認第10号議案「令和5年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。県は、福祉的な貸付の償還金回収を民間債権回収会社に委託しています。回収困難事例が増えており、令和5年滞納繰越分の回収率は67.3%となっています。福祉的な貸付であることを考慮し、返済の意思がありながらも返済困難な人に対しては、民間債権回収業者による機械的な徴収強化ではなく、返済アドバイスをしたり、少額返済や減免措置をしたりするなど、生活実態に見合った丁寧な対応を行うことを求めます。

    次に認第11号議案「令和5年度兵庫県小規模企業者等振興資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。本制度は、同和対策特別措置法等の認定にもとづく事業計画であり、無利子での貸し付けを行うなどの特例を設けてきたものです。地域改善対策高度化資金事業は11億円の未償還があります。過剰な貸し付けを行い、長年にわたって資金回収できていない状況は看過できないため賛成できません。

    次に認第14号議案「令和5年度兵庫県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。県は2026年に標準保険料率を示し、令和2030年には完全統一保険料にするとしています。1人当たり保険料調定額の県平均は年々高くなり、2024年度は10万2502円です。一般会計からの繰入の減額を市町に競わせる保険者努力支援制度、加算点数が多ければ特別交付金が手厚く交付される仕組み、市町の納付金の算定に医療費水準を反映させないことは、県内の市町全体に痛み分けとして負担を課し、県下の保険料の水準統一を目指すためのものです。これではますます保険料が高くなることは明らかであり、保険料の水準統一の方針撤回が必要です。高齢化の進展により避けられない医療費の増加は、国庫負担の増額により支え、保険料の引下げ、均等割の廃止など、制度の抜本的見直しが求められます。

    次に認第15号議案「令和5年度兵庫県病院事業会計決算の認定」についてです。病院事業に企業的手法を導入した公営企業会計の全部適用が行われ運営されています。公営企業としての独自性の名のもとに、賃金、労働条件が一般行政職と切り離され、水準の切下げが可能な仕組みになっています。その結果、県立病院の給与抑制方針により給与費比率は2022年度63.2%、2023年度は60%に下げられています。また、在院日数の短縮、稼働病床率の引上げが追求され、急性期で入院しても、退院、転院が急がされています。災害時や2次救急の受け入れのために、分散立地が望ましいにもかかわらず、市立病院や民間病院と、県立病院との統合再編を進められています。最優先するのは経費の節減、効率ではなく、命と健康を守るという医療理念をもとに事業展開することが求められます。

    次に認第16号議案「令和5年度兵庫県水道用水供給事業会計決算の認定」についてです。

    過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制などにより、高すぎる県営水道料金は、改善されていません。2023年度の県水の平均供給単価は1トン当たり約118円で、尼崎市は145.74円、西宮市では120.09円となっています。

    一方で、阪神水道企業団の平均供給単価は1トン当たり尼崎市は、77.96円、西宮市は63.44円で水道を供給しています。高い県水を市町に押し付けていることから認められません。

     

    次に認第17号議案「令和5年度兵庫県工業用水道事業会計決算の認定」についてです。

    工業用水道事業は、日本製鉄株式会社など、大企業に供給している揖保川第1工業用水の水道料金が、1トン当たり4円30銭で、50年前の1971年から2円しか値上げされていません。工業用水道事業法でうたわれている「社会的経済的事情の変動により著しく不適当」な料金状態であり、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。

     

    次に認第19号議案「令和5年度兵庫県地域整備事業会計決算の認定」についてです。社会経済情勢の変化にとどまらず、兵庫県の過大な開発により土地購入等を推し進めた結果、多額債務に陥りました。計画性がなく用地取得をして大規模化したうえに、資産状況を明らかにしてこなかったことは反省するべき点であります。また、進度調整地は簿価評価のままであり、時価評価を早期に実行されることを求めます。

     

    次に認第21号議案「令和5年度兵庫県地域創生整備事業会計決算の認定」についてです。神戸市が中心となって行っている三宮東再整備事業は、呼び込みを強化し、人口減少に歯止めをかけるために、巨大なバスターミナルを建設し、三宮への一極集中の街づくりをすすめようとするものですが、そのために地域社会を縮小・疲弊させ、人口減少を助長させるものでしかありません。三宮一極集中・地域疲弊のための巨大開発に県予算を投入する本事業に賛同できません。

    次に認第22号議案「令和5年度兵庫県流域下水道事業会計決算の認定」についてです。2017年12月に、流域下水道事業会計は特別会計から企業会計に変更されました。公営企業は独立採算が原則であり、地方公営企業法の財務規定の適用がされることで、これまで行われていた一般会計からの繰入も制限されました。施設の維持管理に係る費用負担について市町負担が上乗せされ2023年度までに、約2,357万円の市町負担増となりました。22年度から1,363万円も増えています。市町に負担を課すべきではなく賛同できません。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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