議会報告
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私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程されている請願第19号、第20号、第21号、第22号、第2号について採択を求め、その主な理由を述べます。
まず第19号「百条委員会の設置を求める件」についてです。
先ほど議員提案により百条委員会の設置が決まりました。百条委員会の運営にあたっては、請願趣旨に沿い、県民に対し真実が明らかにされるよう求め、あらためて採択すべきであると申し上げます。
次は、第20号「核兵器禁止条約への署名、批准を求める意見書提出の件」です。
今年は広島・長崎に原爆が投下されて79年、来年は80年です。「生きているうちに全ての核兵器をなくし、平和な世界の実現を」願っている被爆者の平均年齢は、85歳を超えました。ある被爆者は「あの日を知っており、核兵器廃絶を世界に訴える被爆者の運動として、80年はあっても被爆90年はないでしょう」と仰っています。
今世界では、戦争、紛争が続き、ロシアのウクライナ侵略におけるプーチン大統領の核兵器使用威嚇、イスラエルのガザ侵攻においてもイスラエル政府関係者による核威嚇など、核兵器が決して「戦争の抑止力」でもなければ「安全の保証」でもなく、核兵器保有国の戦争の手段であること、それが戦争をエスカレートさせていることをはっきり示しています。核兵器がある限り人類は核兵器使用の危険にさらされているのです。
日本の被爆者が、世界に向け被爆の実相を伝え、核兵器廃絶を訴え続ける長い運動が後押しする中、核兵器禁止条約が、2017年7月7日、122か国の賛同を得、国連で採択されました。2021年1月22日に正式発効され、禁止条約は国際法となりました。現在、国連加盟国の過半数に迫る93か国が署名、70か国が批准し速いテンポで進んでいます。
禁止条約に参加する圧倒的多数は、平和を求めています。その中で唯一の戦争被爆国である日本政府が「核兵器禁止条約に核保有国が入っていない。保有国と非保有国の調整・橋渡しに努力している」とし、署名・批准しないことは世界の平和を求める流れに逆行しています。日本こそ真っ先に条約に参加し、核保有国を説得し世界の平和のリーダーになるべきです。
請願趣旨にもありますが、批准を求める世論は大きく高まっています。日本政府に、署名・批准を求める意見書は、2024年3月現在、676自治体の議会で採択され、1788自治体の38%になっています。県内では29%に当たる12議会が採択しています。兵庫県と県内全自治体は「非核平和都市宣言」行っています。
「核戦争を回避するには、核兵器をなくすしかない。核兵器で苦しむ被害者は、私たちを最後にしてほしい」という被爆者の声にこたえ、「日本政府に対し核兵器禁止条約に署名・批准を求める意見書提出」の請願について、採択を強く求めます。
次に第21号「訪問介護費の引き下げ撤回及び介護報酬の引き上げの再改定を早急に求める意見書提出の件」です。
訪問介護事業所の介護職員は、在宅で介護や支援が必要な方の身体介護や生活援助、通院等乗降介助を行います。介護や支援過程で生活を支えるだけでなく、専門的な見地から、健康状態や精神状態、認知症発症や進行状態を早期発見し、医療や他介護サービスにつなげる役割と自立支援の観点のもと要介護状態の改善に向けた支援といった役割を担います。そして独居の要介護者が増える中でこれら重要な役割を果たしてきましたが、2024年度の介護報酬改定では訪問介護の報酬が引き下げられることとなりました。
訪問介護事業所は報酬が少ないため2023年度の倒産件数は67件と過去最高を更新しました。
厚生労働省は引き下げの理由として訪問介護の利益率が他の介護サービスより高いことをあげていますが、そもそも、他介護サービスの利益率が低いのであり、それを基準にして比べる対象にするべきではありません。又、高齢者の集合住宅併設型や都市部の大手事業所が利益率の平均値を引き上げているもので実態とはかけ離れています。
訪問介護事業所の介護職員は高齢化が進んでいることに加え、人手不足が深刻な状況です。報酬引き下げはさらに深刻な状況に陥らせることとなり、倒産が増え、在宅で介護や生活支援が必要な方への支援ができなくなります。全産業に比べて6万円は少ない訪問介護事業所従事者の給与を引き上げることこそ求められています。
自宅で暮らすことを保障することは、高齢者等の人権と尊厳を守ることです。本請願は、老人福祉法に謳われているように「生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障」のためにも訪問介護費の引き下げ撤回と、介護報酬引き上げの再改定を早急に行うことを求めるものであり、採択を強く求めます。
次は、第22号「高等教育の学費無償化に向けた教育予算拡充を求める意見書提出の件」についてです。
日本共産党県議団は、かねてより、高等教育の無償化に向かって、当面、学費半額や給付型奨学金のさらなる充実、入学金の廃止を求めると同時に、兵庫県独自の支援が必要と県に求めてきました。
本年4月から始まった、県立大学の県内学生への学費無償化は、高すぎる学費負担軽減策の第一歩として歓迎するものです。党県議団は、それだけでは不十分であり、さらに県外学生に対しても無償化を求めています。
憲法は14条の「法の下の平等」、26条の「教育を受ける権利」で「教育の機会均等」=どんな経済的条件でも平等に教育を受ける権利があることを保障しています。日本も批准している国際人権規約は「高等教育は…無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとする」としています。学費を値下げして無償にすすむことは世界標準の教育政策であり、日本政府の国民と国際社会への公約でもあります。
しかし、日本の学費は請願趣旨にあるように、世界でも異常に高く、学生や保護者の負担能力を超えています。また、奨学金は貸与が中心で半数は有利子であり、アルバイトなしには学生生活が成り立っていません。少しでも割高のアルバイトをやらなければならないため「深夜バイト」、「徹夜バイト」をしている学生。「バイトで疲れて勉強に集中できない」という学生。授業期間中にも日常的にアルバイトをする学生は、全学生の4分の3になっており「一番つらいのは授業に出られないこと」との声が寄せられています。
デンマークは大学受験がなく、高校時代の成績が学科ごとの基準を満たせば入学が許可され、学費は無料です。大学で勉強に集中できるよう、学生給付金制度により、政府から全ての学生に自宅、自宅外での金額の違いはありますが、月平均約10万円が支給されています。返済は不要です。デンマーク政府は、「将来、国を背負う学生の一番やらなくてはならないことは勉強であり、生活をしていくためにアルバイトをしなくてはならないことは、国として恥ずべき事」を理由にしています。将来への投資という考え方です。
日本では「受益者負担論」により、学生、保護者が教育費を負担することを当然としていますが、受益者とはだれでしょう。将来、学んだことを生かし社会のために働く人が作る豊かな国こそが受益者であり、国は将来への投資としても教育予算を大幅に拡充すべきです。
よって、「高等教育の学費無償化へ、教育予算拡充を求める意見書提出」の請願について、強く採択を求めるものです。
最後に第2号「子どもの医療費を所得制限なしに18歳まで無料にすることを求める件」ついてです。
兵庫県は、2013年に対象年齢を中学3年生までにするなど、制度を拡大してきました。日本共産党県会議員団が「子どもの医療費無償化」を求め続けてきた中での拡充です。
県は人口減への対応、子育て世帯の転入・定住促進、生活支援として、高等教育の負担軽減や不妊治療支援を「若者・Z世代支援パッケージ」として打ち出しましたが、安心して子育世代が子どもを育てるためには医療費支援も必要です。
現在県下では41市町中、通院・入院とも高3まで所得制限なしで助成を行っているのが31市町です。また、37市町が、県の制度に上乗せし、中学3年まで通院・入院とも無料となっています。高校3年生まで通院・入院とも無料なのは27市町へと広がっています。県として子どもの医療費無料化に取り組むことで市町の財政負担が軽減され、市町は他の福祉事業を充実することができます。
福祉事業の従事湯とともに、お金の心配なく必要な医療を受けられるよう、子どもの医療費を所得制限なしに18歳まで無料にすることを求める請願を継続審査するのではなく採択することを求めます。
以上、議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。