議会報告

  • 2024年03月22日
    本会議

    第366回本会議 請願討論 久保田けんじ

     私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程されている請願、第10号、第14号、第15号、第18号について不採択ではなく採択を、第2号について継続審査ではなく採択を求め、その主な理由を述べます。

     第10号「障害・高齢福祉サービス等報酬の改善を求める意見書提出の件」についてです。  

     国は昨年の補正予算で介護職員処遇改善に364億円を計上しましたが、これは常勤介護職員の数に6千円をかけた数字であり、事業所の実際は、パートなどの非常勤雇用の方もたくさんいるため、全ての介護職員に6千円が手当てとして支給されるわけではありません。全ての介護職員に6千円を支給するためには事業所が持ち出す必要があり、経営に負担をかけます。処遇改善手当支給のために処遇改善加算取得ではなく基本報酬を引きあげることが求められます。

    来年度の介護報酬改定1.59%引き上げ、障害福祉サービス報酬改定1.12%引き上げでは、慢性的な人手不足改善のための賃上げ、物価高騰による支出の増加等で厳しい運営状況の改善には至りません。訪問介護に関してはマイナス改定であり存続が危ぶまれます。

    事業所の安定した運営を確保するため日額報酬制を見直し「利用者個別給付報酬」と「事業運営報酬」とする報酬方式に切り替える内容の「障害・高齢福祉サービス等報酬の改善を求める意見書提出の件」については不採択ではなく採択を求めます。

    次に第14号「選択的夫婦別姓の導入へ、一日も早い民法改正を求める意見書の提出の件」についてです。

     現在、世界で夫婦同姓を法律で義務づけている国は、日本だけです。国民世論では、すでに7割以上が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成しています。経団連は今年の1月17日に選択的夫婦別姓を政府に求め、国連の女性差別撤廃委員会も日本政府に対して繰り返し、法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだと勧告してきました。国連人権理事会等の国際機関も同様の勧告を繰り返しています。

     家族のあり方は多様化し、夫婦・家族のかたちはさまざまです。個人の選択に寛容な社会をつくっていくことが急務です。地方議会では選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書が383件可決されています。

    姓の変更を強制していることは、仕事や社会生活を送る上での様々な不便・不利益をもたらし、自分のアイデンティティを奪われると感じるなど、個人の尊厳を脅かしています。この間、夫婦同姓を求める現行規定は「法の下の平等」「婚姻の自由」をうたう憲法に反するとして、多くの裁判がたたかわれてきました。

    望まぬ改姓、事実婚、通称使用などによる不利益や不都合を強いられている多数の方の尊厳回復のため、婚姻後の姓の自由な選択のためにも「選択的夫婦別姓の導入へ、1日も早い民法改正を求める意見書の提出の件」の採択を求めます。

    次に第15号「女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書提出の件」についてです。世界の圧倒的多数の国が、ジェンダーギャップ指数を改善しているもとで、日本は男性を1として女性は0・6のままと全く改善されていません。2023年度のジェンダーギャップ指数は146か国中、125位と最低レベルです。男女賃金格差、選択的夫婦別姓や同性婚の未実現など、圧倒的に女性の側にさまざまな不利益がもたらされている実態は間接差別です。                               1979年に国連で採択され1985年に日本が批准した女性差別撤廃条約は、女性に対するあらゆる形態の差別撤廃をうたい、固定化された性別役割分業の変革を図り、国家だけでなく、個人、団体、企業の差別を禁止する画期的な内容です。1999年に国連で採択された選択議定書は2023年10月現在条約締約国189か国中115か国が批准しており未批准国はOECD諸国で日本を含めたわずか5か国です。          今年は、国連女性差別撤廃委員会で日本政府の報告書の審査が行われます。女性差別撤廃条約の全面的な実施、条約の実効性を強化する選択議定書の早期批准へと進めるためにも女性差別撤廃条約選択的議定書の速やかな批准を求める意見書提出を求めます。

    次に第18号「学校給食への公的補助を強め、給食無償化の推進を求める件」についてです。憲法26条で「義務教育は無償とする」とされていますが、実際に無償なのは授業料と教科書のみです。義務教育期の子どもがいる家庭の保護者の経済的負担は大きいものがあります。文部科学省の「令和3年度子どもの学習費調査」を参照すると子ども一人を公立小学校に通わせる学校教育費が約6万6000円、中学校は約13万2000円。これに学校給食費の平均額小学校の年間約5万円、中学校の約5万6000円を足すと公立小学校で年約11万5000円、中学校で約18万9000円となります。行政による予算が十分でないために保護者の負担がなければ、学校は運営できない状況です。

    請願趣旨にあるように、2021年の厚労省調査で、日本の子どもの貧困率は11.5%、特にひとり親家庭の貧困率は44.5%です。OECDの平均は31.9%で、日本は43か国中8位です。その上、物価高騰でどれだけ子どもたちの日々の食事に変化が出たかについて、NPO 法人キッズドアが困窮世帯を対象としたアンケートによると、2021年に比べ2023年の春には、子どもに十分な食事を与えられないが14ポイント上がり60%、子どもに栄養バランスの良い食事を与えられないは5ポイント上がり88%になっています。この点からも学校給食は子どもの成長にとって大切です。

     「給食費の無償化、安心安全の給食を」の願いは切実です。全国的にも無償化が広がっています。兵庫県下では、小・中学校とも無償の相生市、加西市、香美町、新温泉町に続いて加東市が小・中学校給食無償化の予算を計上、中学校のみの明石市、たつの市に続き、伊丹市が中学校給食を無償化の予算を計上しています。また、青森県は全県での小中学校給食費無償化のための全国初の交付金制度創設を表明しています。

    「学校給食を生きた食材として活用し、食育支援活動の支援や地産地消の推進にとりくむ」とSDGsの観点で「県食育推進計画」を進める兵庫県として、給食費の無償化を進めるべきであり、本請願の採択を求めます。

    次に第2号「子どもの医療費を所得制限なしに18歳まで無料にすることを求める件」ついてです。日本共産党県会議員団が「子どもの医療費無償化」を求め続けてきた中で、県は、2013年に対象年齢を中学3年生までにするなど、制度を拡大してきました。現在県下では41市町中37市町が、県の制度に上乗せし、中学3年まで通院・入院とも無料となっています。高校3年生まで通院・入院とも無料なのは27市町に広がっています。県として子どもの医療費無料化に取り組むことで市町の財政負担が軽減され、市町は他の福祉事業に財政を投与できます。

    県は人口減への対応、子育て世帯の転入・定住促進、生活支援としての若者・Z世代支援パッケージには高等教育の負担軽減や不妊治療支援を打ち出しましたが、安心して子育世代が子どもを育てるためには医療費支援も必要です。

    お金の心配がなく必要な医療を受けられるよう、子どもの医療費を所得制限なしに18歳まで無料にすることを求める請願を継続審査するのではなく採択することを求めます。

     

    以上、本請願の採択を進める立場で議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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