議会報告

  • 2024年03月11日
    予算・決算特別委員会

    2024年度予算特別委員会 土木部 庄本えつこ

    ○委員(庄本えつこ)  共産党県会議員団の庄本えつこである。どうぞよろしくお願いする。

     播磨臨海地域道路について、小問三つお伺いする。

     神戸市から播磨臨海地域を連絡し、太子町に至る延長約50キロメートルの高規格道路である播磨臨海地域道路計画は2013年に国交省が優先区間の絞り込み手続を開始、2016年に第二神明から広畑間を当面、都市計画、環境影響評価を進める区間に決定、2017年国交省が計画段階評価手続を開始、2020年6月に近畿地方小委員会において4ルート案から内陸加古川ルートが選定され、2020年11月に国交省がルート帯を決定した。そして、2022年国交省が兵庫県神戸市にルート計画案を提示して、2023年10月から該当地域に都市計画手続による説明会が順次開催された。

     説明会の中では、寝耳に水だ、以前聞いた計画はもっと南の工場の中を走ると聞いていたので、自分たちには関係ないと思っていた、道路の下で暮らさなければならない私たちの気持ちを考えたことがあるのか、ついの住みかだと思っていたので、これからどうしたらいいのか、人口減少が進行する中、車は減少するのではないか、なぜ新たな高規格道路が必要なのかなど様々な意見や疑問が出されたとお聞きしている。

     私有地などを通過する新たな道路の建設を進めるためには、当該周辺住民たちの合意が必要なのは大前提だと考える。

     そこで、この道路事業の必要性について、まず伺いたいと思う。

     交通量などを踏まえた道路の必要性についてである。必要性の一つに、国道2号バイパス等主要幹線道路の慢性的な渋滞を緩和し、物流の効率化を図るとしている。しかし、渋滞しているとされている姫路・加古川バイパスの交通量は2005年をピークに減少している。国の道路交通センサスによると、姫路バイパス6車線区間は2005年が12万2,000台、一日に対してである。2021年は10万5,000台。加古川バイパス4車線区間は2005年の10万3,000台に対し、2021年は8万3,000台となり、16年の間にそれぞれ日量2万台、約2割が減少している。県が全体の交通量、例えば阪神高速3号線なども大幅に交通量が減少しており、この地域で増えるという見込みはない。

     人口減少、交通需要の減少などが更に加速し、その必要性が問われる中、莫大な予算のかかる新たな道路を建設する必要があるのかが問われている。渋滞解消というならば、当面、東西の幹線道路、関連する一般道路やその交差点の拡幅など別の対応を検討し、迅速性や経済性を踏まえて精査すべきではないかと考えるが、いかがか。

    ○道路企画課長(草野真一)  今後に人口減少などが進む中で、播磨臨海地域道路の必要性についてご質問があった。

     まず、県内の交通量と人口の関係、平成22年と平成27年の比較について説明するが、兵庫県内の発生集中交通量は、平成22年が1,101万トリップエンド、平成27年が1,096万トリップエンドと0.4%の減少となっている。一方で、兵庫県の人口は、平成22年が558万8,000人、平成27年が553万5,000人と1%の減少であり、人口よりも交通量の減少率のほうが若干小さい結果となっている。

     交通量の増減の要因は、人口だけではなくて鉄道や自動車などの交通機関の選択や、県内企業や沿線企業の経済活動、観光振興による地域間交流など様々な要因が絡んでくるものである。当該播磨臨海地域ではカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組が進められており、広畑地区ではバイオマス発電所が昨年12月に運転開始、妻鹿地区ではLNG発電所が令和8年に運転開始予定など、今後の更なる活性化が期待される地域である。

     また、委員のご質問の中に、国道2号バイパスの交通量について触れられているが、令和3年の国道2号バイパスの交通量、明石から太子までの区間を加重平均すると、日当たり約9万1,000台となっている。ここの区間の交通容量についてであるが、車線数を決定するために用いる設計基準交通量というものがあるが、4車線区間では日当たり4万4,000台、6車線区間では日当たり6万6,000台となるが、現在でも東西交通の車線数が不足しているという状況である。

     なお、仮定の話ではあるが、今後、兵庫県の人口と同じ割合で単純に交通量が減っていくと仮定した場合であるが、30年後の2050年、7万3,000台と算出されるところである。現在の交通容量が不足している状況と大きくは変わらないと想定される。

     播磨臨海地域道路は、動脈である国道2号バイパスの慢性的な渋滞を解消するとともに、周辺に立地する企業の更なる成長や、水素などの次世代エネルギーの集積など播磨臨海部の未来を支える道路として必要であるので、引き続き早期整備に向けて取り組んでいく。

    ○委員(庄本えつこ)  いろいろ述べられたけれども、再質問する。

     同じセンサスの中で混雑度という指標がある。混雑度というのは、道路の交通容量に対する交通量の比ということであり、これが高砂北ランプ辺りでは、2005年が1.59だったものが2021年には0.97と1を割り、場所によっては0.80程度になっているところもある。混雑率が1.0を割っているということで言えば、その混雑もさほど深刻ではない状況になってきていると思う。そういう点でも、やはり、そもそも新しい道路が要るのかが問われていると思うが、いかがか。

    ○道路企画課長(草野真一)  まず、播磨臨海部においては基幹的な道路が国道2号バイパス1本というところであるので、混雑度といったところで、一日の総量の交通量で見ると部分的にはそういったところはあるかもしれない。全体の流れと見て、先ほど申したとおり、加重平均で9万1,000台といったところがあるので、全体で見ると1を超えるというか、混雑度というところで1を切らないといったところであって、また、利用者からすると、やはり渋滞が著しい区間というふうに見られている等ある。

     また、今後のこの地域での企業の投資などを踏まえると、必ずしも将来にわたってこの地域で新しい道路が必要ないと言い切れる状態ではないかと考えている。

    ○委員(庄本えつこ)  結局、この道路は、産業界からの要望によって設置が検討されているということではないかと考える。そもそもの必要性について現況を踏まえ、改めて検討すべきだということを重ねて求めて、次の小問に移る。

     次は、住民説明会等での意見に対する対応についてである。

     事業を進めるに当たり、冒頭でも言ったが、住民の理解というのは重要な課題である。用地買収などにおいても計画の根本に関わる問題が出てくる可能性がある。それらに応えられなければ、決まったとしても事業はできない。民地の真上、あるいは小中学校や高校の上や近隣を通るようなルートは納得できない。地域の分断を生む。そして、道路整備の用地にかかるところに住む住民にとっては、何十年も住んできたついの住みかが奪われるとして、事業の中止などを求めている。整備促進大会やオープンハウス、ヒアリングを行って道路整備の機運や意見収集を行っているようであるが、幅広い県民や直接利害関係のある住民と対話した経緯は認められない。都市計画決定を経過すれば、裁決収用などで強行できると考えるのは許されないことだと思う。

     そうした住民の声を受け止め、一旦中止し、事業の在り方を再度見直すべきではないかと思うが、いかがか。

    ○道路企画課長(草野真一)  昨年11月から12月にかけて、播磨臨海地域道路の本線のルート案をお示しして、沿線の6市町において合計32回の住民説明会を開催し、延べ約2,500名の方々にご参加いただいたところである。

     ルート案については、地域への影響を極力小さくするために、水路や緑地などの公共空間や建物が比較的少ない区域を活用するとともに、経済性や交通の安全性などを国、県、沿線市町で総合的に検討した上で選定しており、地域への影響が最小限となる最適なルート案というふうに考えている。

     しかし、住宅が密集している地域では、一部やむを得ず住宅地などを通るルート案となっており、そのような地域では、騒音や振動など環境に対する心配の声やルート案に対して反対との声もあったところである。

     いただいたご意見に対しては、来年度にインターチェンジへのアクセス道路についての説明会の開催を予定しているので、その中でルート案の選定の考え方など、丁寧に説明していく。なお、ルートの決定については、説明会の後も公聴会や環境影響評価準備書に係る説明会、都市計画審議会での審査などを経た上で決定していくものである。

    ○委員(庄本えつこ)  ちょっと時間がないので、さくさくと行く。再質問である。

     住民の不安の中には、予定ルートになっているところは埋立地であり、地盤が緩く、高規格道路など巨大な構造物を設置するには相当の地盤の強化が必要で、費用も更に大きくかかるのではないかとの懸念も示された。ルートを決定するに際し、地盤調査などは行われているのか。さらには、事業費とされる5,900億円の中には地盤強化のための費用なども含まれているのか、お答えください。

    ○道路企画課長(草野真一)  播磨臨海地域道路のルート案では、一部、例えば姫路市の大塩地区であるとか、白浜地区などで埋立地、昔の塩田だったなどと思われるが、そのような箇所を通る案となっていることは承知している。一般的に事業化前の計画段階では、地質に関する文献や既存の地質調査結果などをもとにルート検討を進めていくものである。事業着手してから現地ボーリングなどの詳細調査を行って、把握した地質の状況、最新の技術基準に基づいて詳細設計、例えば橋脚の基礎の深さなどといった詳細設計を行うことになる。

     技術基準は、平成7年の阪神・淡路大震災、平成28年の熊本地震などを踏まえ、より地震に強い構造に、また、損傷したとしても速やかな復旧が可能となるよう適宜更新されているものである。播磨臨海地域道路においても、地震などに対する安全性が確保された道路として、今後、設計・建設されるものである。

     なお、委員から事業費についてあったが、ルート帯が決められたときに5,900億円というふうになっているが、あくまで、それは現在決まっているものであって、また、今後事業化後に当たっての第三者委員会などで示されるものかと考えている。

    ○委員(庄本えつこ)  小学校、中学校、また高校も通るというので、本当に住民の反対、そして不満の声にも真摯に向き合っていただいて、中止、事業の再検討も含めた見直しを求めたいと思う。

     次に行く。

     事業主体についてである。

     さらに、住民の皆さんの不安の中には、事業主体が決まっていない曖昧なもとで、都市計画や環境アセスなどにかけていくのは極めて無責任ではないかというものがある。一旦決まれば5,900億円、さらには物価高騰や新たな費用なども見込まれ、1兆円を下らない事業になることは容易に考えられる。そのような事業を進めるのに、事業主体者も明確にしないまま都市計画や環境影響評価を行うこと自体が責任を曖昧にさせることになるのではないか。設計を誰が決めるのか、工事を誰が発注し管理するのか、苦情は誰が聞くのか、そういう点では主体を決めずに進めていることは無責任になると考えている。その点について、当局の認識を伺う。

    ○道路企画課長(草野真一)  まず、播磨臨海地域道路であるが、学識者などで構成される国土交通省の審議会において、道路整備の必要性が確認されており、令和2年11月に概ねの位置を示すルート帯が決定されている。その後、国により詳細ルート、構造が検討され、そのルート計画案が令和4年11月に県に手交されているところである。

     現在、次のステップである都市計画、環境影響評価の手続を、都市計画決定権者である県が実施しているところである。まちづくりの観点から当該道路について住民意見も聞きながら、環境への影響も踏まえて決定するものであり、県が責任を持って手続を進めているところである。

     また、事業化に当たっては、各事業主体において、学識者などで構成される第三者委員会にて投資事業の必要性や効果などを客観的に評価し、事業実施の適否の判断を受けた上で、事業に着手するものである。

     このように、各段階で各機関が責任を持って判断を行っており、責任の所在が曖昧となっていることはなく、ルールに基づいて播磨臨海地域道路の手続を適切に進めているところである。

    ○委員(庄本えつこ)  今、ご説明があったが、住民の皆さんは事業主体が決まっていないということなども含めて大変不安に思っている。必要性に対する再度の見直し、検討もされない、住民からは大きな反対の声が広がっているのが現状である。播磨臨海地域道路計画については、一旦中止することを再度求め、質問を終わる。ありがとうございました。

     

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