議会報告
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○庄本えつこ委員 共産党議員団の庄本えつこである。兵庫県地域医療構想についてお伺いをする。
まず、三田市民病院と済生会兵庫県病院の統廃合についてである。小問2問でお伺いする。
2022年6月、兵庫県地域医療構想に基づくとされる三田そして北神地域の急性期医療の確保に関する基本方針を策定、同12月に基本構想も策定された。2023年3月には、両病院と三田市長、神戸市長の間で統合を進めるという基本協定書が交わされた。
しかし、両市民などからは大きな反対の声が広がり、2023年7月実施の三田市長選挙では、再編統合計画の白紙撤回を公約に掲げた田村氏が当選、一旦は統合凍結となったが、田村市長は2023年11月、この白紙撤回の公約を一転撤回させ、統合を推進。2024年1月に、改めて基本協定書における合意内容に基づき再編統合を進めていくという確認書を、4者で締結している。
この田村市長の目まぐるしい転換、公約違反に、多くの市民は怒りの声を上げ、リコールも辞さないという立場で運動を広げている。市民はなぜこんなに怒りの声を上げているのだろうか。一言で言えば、両市の地域医療が、統合によって壊されるからではないだろうか。
そこで、まず病床についてお伺いする。
現在、三田市民病院は、高度急性期7床、急性期293床。済生会兵庫県病院は、高度急性期9床、急性期213床、回復期46床。両病院の高度急性期・急性期病床を合わせて、522床となっている。
しかし、統合される新病院の病床の規模は400から450床であり、全部を急性期、高度急性期にしたとしても、統合前よりも大幅に削減される。
基本方針や基本構想などで確認されている三田・北神地域の急性期医療の確保からはほど遠い新病院の姿になっている。そういう点に、多くの市民の反対の声が上がっているのではないだろうか。
この点について、県の認識をお聞きしたいと思う。
○医務課長(波多野武) 三田市民病院と済生会兵庫県病院は、少子・高齢化の進展や人口減少に伴う医療提供体制の見直し、医師確保、施設の老朽化等、共通の課題を解決し、北神・三田地域の急性期医療を将来にわたって確保するため、両病院の再編・統合について検討を進めてきた。
これまでの当事者間における検討委員会等での議論では、新病院の必要病床数は、現在の医療機能を維持した場合に必要な病床数に、新病院における医療機能向上に伴う患者数の増加等を加味し、400から450床必要であると推計していると聞いている。
限られた医療資源を有効活用するため、需要の減少が見込まれる急性期病床を集約しようとするものであり、地域の実情を十分に踏まえ、関係者の合意のもと進められており、地域医療構想の趣旨に沿った取組が進められていると考えている。
県としては、救急や周産期をはじめとした、北神・三田地域における必要な医療が安定的に確保され、住民が安心して必要な医療が受けられるよう、検討が進むことを期待している。
○庄本えつこ委員 今のお答えでは、この三田・北神地域の急性期医療の確保という打ち出しと、統合・再編計画自身が大きく矛盾していると考える。
さて、統廃合による新しい病院は、神戸市に設置されるとして閉鎖されようとしている三田市民病院に対し、三田市の方々は、市内唯一の赤ちゃんを産める病院、また高齢化の中での救急医療に対応してほしいなど、存続の声が大きく広がっている。
さらには、まだ場所も決まっていないようであるけれども、新しい病院への交通の便なども考えなければならないなど、地域医療に対して大きな損失をも生む統廃合計画だと言わざるを得ないのではないかと、私は考えている。
医師不足が指摘されているけれども、それこそ県の責任で医師確保に努めるべきではないだろうか。そういう努力を含め、県として三田市民病院については、地域医療確保の観点から廃止の認可を見送り、存続のための意見を県として示すべきではないだろうか。4者が確認している基本協定には、疑義や協定の変更の条項もある。
そこでお聞きする。県の意見を踏まえ、4者で再検討されることもあると思うけれども、県としての意見をお願いする。
○医務課長(波多野武) 現時点で、4者での再検討という話は、我々は聞いていない。基本的に、まず両者間、関係者間で、地域の中でしっかりと議論いただいて、どうやって地域の医療を守るのか、その結論をまず、関係者間でしっかり出していただく。三田市民病院、それから済生会病院、それから神戸市さんも含めて議論いただいて、結論を出していただくというようなことで、県としては、その合意に基づいて必要な支援をしていく。
○庄本えつこ委員 私が申し上げたのは、再検討されるということではなく、されることもあるということで、県がしっかりと三田市民の意を酌んでやってほしいということだ。三田市などの地域医療の存続と、県全体の必要医療確保の観点から、ぜひ統廃合撤回の方向で、県が旗を振ることを求めているものである。
次に、地域医療構想の撤回・中止、新たな地域医療確保計画についてお伺いする。
県が2025年の医療需要予測により、急性期病床が1万床過多、回復期が約1万2,000床不足、全体では662床が過多となるという地域医療構想を策定し、8年が経過し、2025年の推計年度まであと1年となっている。
実際には医療需要予測も、また病床数もその推計どおりに行っていないと考える。その間に、新型コロナウイルス感染拡大などによる、病床が大きく不足する事態も起こっている。
新興感染症の流行などに備えた余裕のある医療提供体制を確保するというのがコロナ禍の教訓であり、現在の地域医療構想では、県民が求める地域医療確保の願いには応えられないと考える。
急性期病床など、大きく削減する現在の地域医療構想は中止し、コロナ禍の教訓も生かした地域医療確保のための新たな計画の策定が必要だと考えるが、県の所見をお聞かせください。
○医務課長(波多野武) 地域医療構想は、2025年に向け、住民が住み慣れた地域で生活しながら、状態に応じて適切で必要な医療が受けられるよう、病床の機能分化・連携、在宅医療の充実等、地域完結型医療体制を整備し、良質かつ適切な医療を確保することを目的としている。
県では、高齢化による医療需要の増大に対応し、限られた医療資源を有効活用するため、地域の実情を十分に踏まえ、関係者の合意のもと行われる病院の統合や機能の連携、病床の集約化や機能転換など、構想の実現に向けた取組を推進してきた。
今後、医師や看護師等、限られた医療人材を適切に配置し、有効活用するため、先ほど申し上げたけれども、需要が減少する急性期病床を集約し、不足する回復期病床に転換する地域医療構想は、必要と考えている。
国では、残り2年となった地域医療構想を総括し、確認・分析を行い、新型コロナ対応等を含めて、高齢者人口が最大となる2040年を見据え、次期地域医療構想に向けて検討を進めている。
県では引き続き、医療需要の変化に対応し、県民が安心して必要な医療が受けられるよう、病床の機能分化・連携や在宅医療の充実、医療人材の確保等、地域医療構想を推進していきたいと考えている。
○庄本えつこ委員 限られたという言葉をいつもお使いになるけれども、県民、また市民が望んでいる医療体制ということについて、限られたという言葉でくくってはいけないと思う。
本当にこの新型コロナ禍で、私たちの教訓というのは、ふだん、平時も余裕を持って、何があっても受け入れることができる、そういう医療体制だと思う。そのことを申し上げて、私の質問を終わる。ありがとうございました。