議会報告

  • 2024年03月05日
    予算・決算特別委員会

    2024年度予算特別委員会 総務部・財務部・危機管理部 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員  共産党議員団の庄本えつこである。

     まず、災害対策についてお聞きする。

     1月1日に発災した能登半島地震から2ヵ月がたった。改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りし、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思う。

     石川県では今も1万1,000人以上が避難所で生活している。また行政がつかんでいない避難者は、2月半ば時点で約1万人と推定される。発災後、テレビに映し出された避難所の様子は、29年前の阪神・淡路大震災のときと同じで愕然とした。29年の間、政府は何をしてきたのだろう。

     阪神・淡路大震災以降、いろんな災害があった。特にここ数年は最大の、いや記録的なという言葉が頭につくような自然災害が多発している。地震などによる被害が発生するたびに対策の遅れが指摘されており、こうした課題を克服することなしに住民の安全はあり得ない。

     阪神・淡路大震災を経験した兵庫県として住民の命と安全を守るために教訓を生かし、今後にしっかりと備えることが必要である。

     それを踏まえての質問である。

     震災で、最初はとにかく命である。そして復旧に向けて希望を持って生きていくことができるよう、行政が支えていくことである。

     そこで、能登半島地震支援、特に避難所等に対し、今後に生かすことについて質問する。

     能登半島地震支援、避難所支援で兵庫県として学んだこと、不足していると感じられた問題などについて教えていただきたい。例えばトイレや段ボールベッドなどが足りないとの報道もあったが、県の備蓄品についてはどうだろうか。お答えいただきたい。

    ○災害対策課長(藤本剛司)  備蓄についてのご質問である。

     発災時適切に避難者に物資を配布できるよう、平時から非常時を想定をした物資の確保対策を行うことが重要であると考えている。

     県では阪神・淡路大震災時の最大避難者数約30万人を想定をして、発災3日分について、市町が2日分、県が流通での備蓄を含めて1日分相当量を備蓄することとしている。

     避難所での生活に必要な物資としては、アルファ化米などの食料はもとより仮設やあるいは携帯のトイレ、間仕切り、生理用品、液体ミルクなどについて、三木の広域防災拠点等6ヵ所に現物で備蓄をしている。

     また、流通での備蓄として食品製造業や小売業などと災害時における物資調達に関する協定を、物資に関しては146件締結している。このうち段ボールベッドについては、県でパイプ式の簡易ベッドを含めて約9,000台を備蓄するとともに、平成29年には西日本段ボール工業組合と、平成30年には紙製の間仕切りなどを調達をされるNPO法人であるが、ボランタリー・アーキテクツ・ネットワークと災害時の供給協定を締結しているところである。

     今後も適切に避難者に物資が供給できるよう、民間事業者と協力をして、一層の物資の確保充実に努めてまいる。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員  冒頭にも申し上げたけれども、体育館などの避難の様子は、毛布1枚の雑魚寝状態である。寒さと恐怖に震えるような避難生活の過酷さは仕方がないのだろうか。災害時のTKBが大事だと言われている。トイレ、キッチン、ベッドの略である。

     イタリアの例を申し上げる。イタリアでは避難中でも一定水準の暮らしの質が保たれる。1980年、約3,000人が亡くなったイルビニア地震の2年後に災害対応を集中させた国家組織が発足した。ボランティアの組織化も早くから行われ、警察などとともに、国の市民保護システムの一部に組み入れられている。イタリアでは、災害支援のためのオペレーションセンターが州の各地域にあり、市民保護局のボランティアが運営している。ボランティア団体は自治体からの請負収入で活動をしている。そして国は有休ボランティア活動を保障している。

     2016年のイタリア中部のアマトリーチェ地震では、発災の約半日後、避難所に長さが10メートル以上あるボランティア団体のキッチンカーが来て、大型テントにテーブルを並べた食堂を直ちに設置、できたての食事が提供された。また、家族単位で避難ができる大型のテント、ベッド、エアコン、トイレなども各地に備蓄されており、およそ2日間で概ね避難者に行き渡ったとのことである。

     イタリアのように、国や県が安心できるトイレ、温かい食事、ベッドをすぐに届けられるような取組が求められるが、考えをお聞かせいただきたい。

    ○災害対策課長(藤本剛司)  答弁申し上げる。

     災害時に迅速かつ円滑に避難者が必要とする物資を調達、配布して避難所における生活の安定を図ってまいることは非常に重要と考えている。

     県においては全県域を対象とする物流拠点を三木総合防災拠点に整備するとともに、県内5ヵ所に物資の集積、配送、備蓄物資を有するブロック拠点を整備している。

     またトラック協会、倉庫協会に加えて物流事業者3社、航空事業者6社と災害時における物資の緊急措置に関する協定等を締結するなど、輸送手段、輸送拠点の運営体制等の確保に努めている。

     発災時には早期に協定締結事業者から、在庫管理から搬入搬出調整までのノウハウを身につけておられる専門職員を派遣いただくとともに、物資供給協定事業者から必要な物資の調達を行って、迅速かつ円滑な物資の供給を行ってまいる。

     また被害の程度に応じて、市町の物資集積拠点を介さず直接避難所に送付する仕組みも活用してまいる。

     今後とも円滑な輸送体制を平時より構築することで迅速な避難者支援が行えるよう、能登半島地震での対応状況などを踏まえて、引き続き物資供給体制の整備、そして訓練による実践力の向上に努めてまいる。よろしくお願いする。○庄本えつこ委員  本当に過酷な、ただでさえ過酷な避難生活なので支援をしていかなければならないと思う。

     避難生活については、それ以外でも福祉避難所、ペット同行の避難所の整備、それから自宅避難、二次避難所問題など、まだまだ課題があると思っている。ぜひ県として、国に対し、ジェンダーの視点を持って、命を守り、人権と尊厳を保障する避難生活が送れる対策をするよう提言も含め、求めていただきたいと思うが、いかがだろうか。

    ○災害対策課長(藤本剛司)  被災者支援に当たって、在宅やペット同行など多様な避難方法やニーズに対応していく必要があると考えている。

     このため地域防災計画や避難所管理運営指針に避難所以外での在宅等で避難をされる方に対応するため、物資の配布や健康相談などの配慮について、またペット同行で避難される方には、家庭動物のためのスペースの確保などについて定めて、市町を訪問する際に周知などを行っているところである。

     国に対しては円滑に被災者支援を行うため、災害救助法の運用において各種支援の前提となる罹災証明書の発行に必要な家屋被害認定調査を対象に加えること、またみなし仮設等の単価の引上げなど、国の財政措置の拡充を求めているところである。

     現在国において避難所以外の避難者の増加など、避難の多様化に伴う環境変化に対応した支援策について検討会を立ち上げて議論が進められていると承知している。

     今後は国の検討会等の動向を踏まえつつ、能登半島地震において顕在化した避難や避難所の課題等を整理をして、今後設置をする有識者検討会での検討、提言を踏まえて避難者支援の更なる充実について取り組むとともに、国に対してもしっかりと働きかけてまいりたいと考えておいる。以上である。

    ○庄本えつこ委員  地元ではまだまだいろいろ問題が、問題があるというか、復興がなかなか進まないけれども、特に被災者生活支援金とか義援金などの手続に必要な罹災証明書の発行が遅れているということである。もとに戻りたいという被災者の支援のために、これからも長い支援が必要だと思うが、人的派遣も含めて更なる支援をお願いしたいと思う。

     続いて県庁舎再整備についてである。

     1号館、2号館を解体、当面緑地に。職員は4割出勤を目指すとの発表は昨年の一斉地方選挙の直前で私も唐突感を覚えた。

     私たちは災害に備えての耐震改修や建替をすることに反対するものではないが、4割出勤を前提にしていることについて大変違和感を持っている。

     コロナ禍、密を避ける必要から、県職員は4割出勤を必死に真面目に頑張った。しかし、県職員から話を聞くと、業務が回らなかったことも事実である。

     県庁舎再整備費用について700億から1,000億円は県民の理解は得られないと言うが、県庁舎が県民サービスの拠点であることを踏まえれば、適切に業務ができるスペースがある庁舎は必要だと考える。もっと安価で安心できる庁舎整備について、有識者などの意見、助言も含め徹底的に検討したのだろうか。お答えいただきたい。

    ○元町再開発課長(新井隆浩)  県庁舎再整備についてお答えする。

     県民の理解を得られないと申し上げたのは、1,000億円以上かかると推測される従前計画における庁舎の建替を行った場合のことである。

     コロナ禍でテレワークが浸透し、働き方が大きく変化したことから、新しい働き方の進展を踏まえた庁舎の在り方の検討が必要であると考えている。

     今後、1号館、2号館等を撤去し、3号館等の既存庁舎を活用して、県民サービスの向上、災害時への備えを踏まえながら、4割出勤の取組を進めてまいる。その中で生じた課題への対応とか財政状況も考慮に入れながら、庁舎の在り方を議論してまいる。

     引き続き、県議会はじめ職員とか県民の意見も十分聞きながら議論を深めてまいる。

    ○庄本えつこ委員  4割出勤では職員の業務率低下、コミュニケーション不足、技術の継承や若手育成の困難などが生じ、結局県民サービスの低下を招くだけでなく、災害時には県民の命を守ることができなくなると考える。そういう意見が多い。

     県庁舎は県民全体の財産である。4割出勤にこだわるのではなく、県民サービスを遂行できる業務スペース、確保などができる新たな庁舎建設も含めた再整備計画にすることを求めて質問を終わる。

     ありがとうございました。

     

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