議会報告

  • 2024年03月04日
    予算・決算特別委員会

    2024年度予算特別委員会 財政状況 庄本えつこ

    ○委員(庄本えつこ)  日本共産党県会議員団、庄本えつこである。どうぞよろしくお願いする。

      まず、財政状況について、財政の役割についてお伺いする。

     私たちは、財政の本来の役割は、一つは、国民の暮らしと営業を守ること、二つは、負担能力に応じた税制と社会保障制度による所得の再分配で、格差の是正を図ることにあると考えている。その上で、兵庫県予算を見ていきたいと思う。

     まず、県税収の在り方についてである。

     24年度予算案における県税収は、全体で8,159億円で、前年度比77億円、前年度見込みからも13億円の増額となっている。増額の主な要因は、堅調な企業業績に伴う増とし、定額減税の実施による県民税所得割の減や、輸入額の減少に伴う地方消費税の減などを補うものである。しかし、個人県民税、法人関係税、地方消費税の主な税収のうち、2024年度も依然最大なのが、構成率32.1%の地方消費税で、グラフ①にあるように、2019年の10%への増税後、2020年度からは5年連続で最大税収項目となっている。

     そこで、地方消費税収は、輸入額の減少による貨物割が減となっている一方、国内消費などに関わる譲渡割は61億円の前年比で増額となっている。この増の要因について、どのようにお考えか教えてください。

    ○税務課長(佐藤嘉晃)  譲渡割払込額は、国内消費に影響される。税収を見込む際は、地方財政計画等を参考にしているが、増収の主な要因としては、昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行による社会経済活動の正常化に伴い、外食、観光や宿泊などのいわゆる外出型消費の需要が回復するとともに、円安を背景としたインバウンドの増加など、国内消費の増と考えている。

    ○委員(庄本えつこ)  今の理由などで多少消費が戻ったのではと言われるけれども、果たしてそうか。グラフ②は、2022年と2023年の神戸市の家計消費支出の推移である。行動制限がほとんどなかった2023年が2022年を上回っているのは、比較できる11ヵ月中6ヵ月でほとんど変わらない。

     さらにお聞きしたいと思う。国内消費に係る地方消費税の払込額の消費税を10%にした2019年の翌年、2020年度からの譲渡割の払込額推移をお答えください。

    ○税務課長(佐藤嘉晃)  2020年度は、決算額で1,072億円、同じく2021年度は1,188億円、2022年度は1,077億円である。

     2023年度は2月補正後予算額で1,078億円、2024年度は当初予算額で1,129億円としている。

     以上である。

    ○委員(庄本えつこ)  お答えいただいた。グラフ③にあるように、この間のピークは、コロナ禍でもある2021年の1,188億円で、来年度は1,129億円と十分戻ったとは言えないと思う。依然厳しい状況が続いていると言わざるを得ない。さらに、グラフ④にあるように、物価上昇に賃金上昇が追い付かず、兵庫県でも実質賃金は大きく引き下がり、家計も苦しくなっている。

     そして事業者はどうか。東京商工リサーチ神戸支店の調査によると、2023年の企業の倒産・休廃業・解散となる退出企業は、2,005件に上り、2013年以降で、最高となっている。

     昨年10月から実施されたインボイス制度により新たに消費税の課税が必要となった個人事業主、これは全国の数字である。兵庫県が出ないので、全国の数字申し上げる。142万事業所となっているが、消費税は、こうした事業者への足かせにもなり、退出企業を増やす要因ともなっているのではないか。

     政府が行う定額減税は、1回きりでその後の増税などが懸念される中、識者からも、所得減税と消費減税5兆円の効果を比較すれば、消費税のほうが2倍以上になるとの指摘もあり、減税するなら消費税だという声が高まっている。

     自治体の財政の役割は本来、国民の暮らしと営業を守ること、負担能力に応じた税制と社会保障制度による所得の再分配で格差の是正を図ることである。その立場からも、国に対し、消費税をせめて法人関係税と逆転した2014年以前の5%に減税し、財源は莫大な内部留保をためている大企業を中心に法人税、法人事業税などでの応分の負担を求めるべきだと考えるが、いかがか。

    ○税務課長(佐藤嘉晃)  消費税は、社会保障の充実や幼児教育・保育の無償化を支える財源であり、安定的な税収を確保することは、今後の日本の財政構造の安定化に必要であると考えている。財政の健全化と社会保障の安定財源の確保を同時に達成することを目指す観点から、消費税率の引下げは困難なものと考えている。

     また、大企業に対する税負担の在り方については、国において様々な角度から適切に検討されるべきものであると考えている。

     今後とも国、地方の安定財源の確保のため、所得・消費・資産のバランスのとれた税制の構築を国に求めていく。

    ○委員(庄本えつこ)  減税するなら消費税だというのは、本当に求められていることだと思う。今、107ヵ国、地域で消費税に値するものが減税されている。消費税が減税されると、毎日の買物で減税である。そして、インボイス制度の理由とされている8%、10%というものが、5%にすればインボイス制度も必要もなくなっていくから、中小企業支援にも大きく貢献する。ぜひその立場でお願いしたいと思う。

     続いて、県内産業・中小事業者等支援についてである。

     県財政を立て直すためにも中小企業、小規模事業者への直接的な支援が必要となっていると考える。

     同じ東京商工リサーチの調査で、県内の倒産企業数は、過去10年で最高の526件となった。さらに負債総額は6,900億5,300万円と前年比の1,251.88%となっている。この要因は、パナソニック液晶ディスプレイ株式会社の特別清算5,836億円というものである。

     パナソニック液晶ディスプレイには、県のかつての産業立地集積補助金をトータル70.5億円もつぎ込んでいる。県民の税金を体力のある大企業に投資したものの、倒産、巨額の特別清算金を生み出していることに対し、どう反省・総括し、どのような教訓を導いているのか教えてください。

    ○地域産業立地課長(三宅堂之)  ものづくり県兵庫の産業構造や地域特性を生かした産業立地を促進することにより、産業の活性化と新たな雇用の創出を図ることが重要である。

     平成14年度の産業集積条例施行から令和4年度までの間に、累計で211社に対し272億円の補助金を交付した。それらの企業による設備投資額が総額で1兆2,890億円、また、操業開始時の雇用創出で1万9,840人の直接効果がある。これに加え、令和4年度の生産投資活動に伴う付加価値誘発額は8,239億円で、これは県内GDPの約3.6%に相当するなど、本県の経済雇用の活性化に大きな効果を上げていると考えている。

     パナソニック液晶ディスプレイ株式会社が、液晶ディスプレーの製造拠点として新設をした姫路工場は、設備補助金を交付したものの、操業から約12年が経過をした令和3年12月に撤退をしたが、10年以上にわたり雇用を創出するなど、地域経済の活性化に寄与してきたことを踏まえると、一定の目的を果たしたものと認識している。

     企業立地は雇用創出や付加価値誘発等により地域経済にもたらす効果が大きいことから、今後とも、経済情勢を踏まえた戦略的な産業立地を促進していく。

    ○委員(庄本えつこ)  県の経済に役割を果たしたとおっしゃっているが、パナソニックは、私の選出されている尼崎でも7年間で撤退をした企業である。本当に県民の税金をつぎ込んで、しかし撤退してしまうということについての反省がないと感じた。そして、その失敗の反省もなく、パナソニックとトヨタの合弁企業、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社に2020年から2023年まで合計約4億円の産業立地促進補助金を支出している。県が補助金を出していた大企業が倒産し、それに反省もなく、その関連企業に更に補助金を支出していることについて、県民からは到底納得や理解は得られないと考える。

     そして、来年度予算でも、産業立地補助金については約15億円と、例年と同水準の予算が計上されているが、大企業への補助を中心としたこの制度は見直し、ゼロゼロ融資の返済や物価高騰で体力が奪われ、経営継続が困難となっている中小企業、小規模事業者などへの支援に充てるべきではないか。いかがか。

    ○地域産業立地課長(三宅堂之)  産業立地条例に基づく立地支援において、令和4年度は補助実績40件のうち、28件7割が中小企業への支援である。

     また、令和5年4月の産業立地条例の改正では、設備補助に係る投資額要件を中小企業については全県で1億円に引き下げ、中小企業が投資しやすい環境づくりを行った。

     この見直しにより、改正前の制度では設備補助の対象とならなかった中小企業の立地案件を既に4件事業確認しており、効果が現れていると考えている。

     また、令和5年度の事業確認件数においても、この7割を中小企業が占めており、地域経済を下支えする中小企業に広く活用されている状況である。

     兵庫経済にとって中小企業は重要な存在である。今後も、市町やひょうご産業活性化センターなど産業支援機関と連携しながら、しっかりとサポートを行い、成長産業への重点支援などを通じ、更なる発展を促進していきたいと考えている。

    ○委員(庄本えつこ)  中小企業に対しては本当に直接支援いろいろしていかなければならないと私も考えているが、大企業は補助金目当てで事業の場所を選ぶのではなく、もうかるかどうかが基準だというふうに大企業自身が言っている。だから、もうからなければ撤退をしていく。再度この制度の見直しを求め、中小企業に直接支援の拡充を求めて、次の質問に行く。

     

     次は、国保事業特別会計予算についてである。

     財政の役割として、社会保障制度による所得の再分配で格差の是正を図ることとの関係で、国保財政などについて伺う。

     2018年の都道府県化から5年たった。依然高過ぎる国保料に県民も苦しんでいる。

     その一つとして、国保滞納者や保険料の実態について伺う。

     2023年6月1日現在の国保加入世帯数と滞納世帯数、2022年度の延べ差押え数と差押え金額をお答えください。

    ○国保医療課長(髙田久葉)  本県各市町における、令和5年、2023年6月1日現在の国保加入世帯数は69万7,138世帯、滞納世帯数は7万2,180世帯、また、令和4年、2022年度の延べ差押え数は8,136世帯、差押え金額は約20億9,550万円となっている

    ○委員(庄本えつこ)  滞納世帯数は加入者の10.3%にもなっている。高過ぎる国保料が暮らしに深刻な影響を及ぼしているということではないか。国保料をせめて協会けんぽ並みにというのが多くの県民の声である。

     しかし実際はどうか。都道府県化される以前の2017年度と2023年度の1人当たり保険料調定額は、幾つの市町で値上げとなっているかお答えください。

     また、2024年度は既に各市町に標準保険料率を示していると思うが、各市町がそれどおりにすると、前年度、2023年度比で幾つの市町の保険料額が引き上がるかお答えください。

    ○国保医療課長(髙田久葉)  平成29、2017年度と令和5、2023年度の被保険者1人当たりの調定額を比較すると、41市町中27市町で増加している。

     また、令和5年度において、標準保険料率による保険料賦課を実施しているのは2市のみであるが、仮に令和6、2024年度に各市町が県の示した標準保険料率による賦課を行ったとすれば、令和5年度の保険料と比べると、年収400万円の4人世帯をモデルとした場合、40市町で増加することとなる。

    ○委員(庄本えつこ)  私たちも計算をした。今お答えいただいたように400万円、4人世帯で40市町、そして240万円単身世帯では38市町と引き上がるということになっている。県がほとんどの自治体に対し、保険料の引上げを誘導しているようにも見える。

     1点だけ確認させていただく。

     標準保険料率は制度上参考値であり、最終的に保険料率を決めるのは市町である。そこだけお答えお願いする。

    ○国保医療課長(髙田久葉)  標準保険料率であるが、制度上、標準的な水準を示すという数値である。全市町合意のもと、目指す保険料水準の統一に向け、各市町において、その標準保険料率を参考に過去の保険料率や市町の基金の保有状況等総合的に判断をされ、計画的に料率を決定されるものと認識をしている。都道府県単位化後も保険料率を決定し、保険料を賦課する主体は市町である。

    ○委員(庄本えつこ)  ありがとうございます。

     さらに、改定されようとしている兵庫県国民健康保険運営方針案では、3年後の2027年に標準保険料率の統一、2030年には市町保険料率の完全統一を目指すとされている。そうなった際の1人当たり保険料は、2017年度比でどのくらいの自治体の保険料が引上げになるのか、また、各市町で独自に行われている保険料を減免する制度などはどのようになるのか教えてください。

    ○国保医療課長(髙田久葉)  保険料水準の統一にかかわらず、医療の高度化等に伴う医療給付費等の増加により、保険料負担も増加していくものと見込まれるが、統一後の保険料については、今後の医療費の推移とか診療報酬改定、また、全世代型社会保障制度の構築に向けた取組の進捗など、国保制度を取り巻く各種の状況を見通すことが困難であることから、具体的にはお示しできない。

     なお、保険料水準の統一に向けては、被保険者の急激な負担増とならないよう、県の財政安定化基金を活用して、今年度から、一つには、令和13年度までに総額105億円を投入して、納付金全体の引下げを行うとともに、二つには、統一の影響を大きく受ける市町へは、令和11年度までに総額約12億円の個別の支援策を講じることとしている。

     また、保険料減免については、保険料水準の統一に当たっては、減免に要する費用も県全体で支え合うことが必要であることから、令和9年度の統一基準による実施を目指すことで、全市町が合意しているところである。

    ○委員(庄本えつこ)  いろいろお答えいただいたが、更なる保険料の引上げが懸念されているところである。各市町の独自の減免制度もできなくなるということで、国の都道府県化の狙いというのはここにあるんだなと思っている。

     冒頭に言ったとおり、県の財政の基本は、所得の再分配により格差を是正することにもあると思う。この方針は、逆の方向に進んでいると私たちは考えている。公費投入増額で高過ぎる保険料の引下げを求めたいと思っている。

     全国知事会や全国市長会などは、公費投入で高過ぎる構造問題を解決すると訴えており、国が1兆円の支出を増やすなら、協会けんぽ並みに引き下げることができるとしている。都道府県化で保険料の統一を進めるのではなく、国からの公費負担を引き上げることを求めること、さらに、県としても独自の事業費補助金などを増やして、子供の均等割減免を拡充するなど、高過ぎる国保料の引下げに努めるべきだと考えるが、いかがか。

    ○国保医療課長(髙田久葉)  国民健康保険制度については、制度の設計者である国の責任において、長期的・安定的な運営の確保が図られるべきと考えており、県としても、国に対して財政基盤の確立を図るための更なる財政措置や子育て世帯の経済的負担軽減のための高校生世代以下の子供に係る均等割保険料の廃止、こちらを要望しているところである。

     また、委員ご指摘の県単独の国民健康保険事業費補助については、全国的には実施していない県が半数近くある中、全国でも上位の水準となっていること、また、保険料の引下げのための法定外繰入は国保制度改革、また、都道府県単位化の趣旨の観点から実施すべきではないと考えている。よって県が法定外繰入により更なる支援を行うことは考えていない。

     保険料水準の統一は、国保制度が抱える構造的な課題に対応し、安定的な財政運営を図るという都道府県単位化の趣旨を深め、将来にわたり持続可能な制度とするために必要であると考えている。今後も、引き続き国に対して必要な要望を行うとともに、財政運営の責任主体として、医療費適正化の取組などを通じた被保険者負担の軽減に努めつつ、市町と丁寧な協議を重ねながら、保険料水準の統一に向けた取組を進めていく。よろしくお願いする。

    ○委員(庄本えつこ)  ぜひ、協会けんぽ並みに引き下げることができるように、まず、1兆円の支出を国に求めていただきたいと思う。更なる支援をお願いしたいと思う。

     次に、地域整備事業についてである。

     今年2月、企業庁経営評価委員会は、地域整備事業の在り方検討について、将来、帳簿上の収益を得られる可能性が低い資産があるなど、実質的には債務超過状態にある可能性が高く、事業会計の持続可能に懸念があるとし、2023年度から2038年度までの間に、償還が必要な企業債768億円について、何も対策を講じない場合は、2025年度に、一般会計との貸借関係を優先的に整理したとしても、2028年度には資金ショートが見込まれるとし対策を求めた。

     我が党は、地域整備事業に対し、かねてからその課題性や採算性に疑問を呈し、プロジェクトごとの会計や経営実態や未成事業の実態などを県民に明らかにし、問題点の是正と過大、不採算なプロジェクトの中止などを求めてきた。

     第一に、多額債務と広大な未成地の原因・反省点について伺う。

     経営評価委員会は、社会経済情勢の大きな変化の中で厳しい経営状況を迎えたとしているが、私たちは、この要因は社会経済情勢の変化にとどまらず、兵庫県の過大な開発への思惑により土地購入等を推し進めた結果であると考ええる。

     改めて、地域整備事業がこのような事態となった原因や反省点がどこにあるのかお答えください。

    ○企業庁総務課長(葉山 琢)  地域整備事業は、本県産業の基盤づくりや産業振興、県土の均衡ある発展、震災からの創造的復興、乱開発の防止に貢献してきた。その一方で、公益性を重視し、従来のスキームのまま事業を継続したことにより、多額の債務が累積し、現在の厳しい経営状況に至ったことは事実である。

     また、地域整備事業会計の経営の実態を分かりやすい形で公開し、県民の皆様と共有しようとする姿勢が十分ではなかったことが、このような事態を招いてしまったものと認識しているところである。

    ○委員(庄本えつこ)  私たちは、経営評価委員会では、オープンな議論と正しい情報の発信ということをうたっているが、私たちは一貫して、プロジェクトごとの会計収支、資本的、収益的収支を明らかにすることを求めてきた。しかし、来年度の予算書においても、阪神、播磨、淡路地域整備事業での収支しか明らかにしていない。県政改革方針の変更の中では、経営状況の評価・検証として、事業ごとに策定する投資・財政計画や評価指標などに基づき、中長期的な視点も含め、経営状況の評価・検証を行うとあるが、その前提としてプロジェクトごとの収支を明らかにすることを改めて必要だと考える。それを求めたいと思う。

     プロジェクトごとの収支全体は明らかにした上で、問題点対策を検討し、解消に向けて県民の負担が発生しないようにすることも求める。

     地域整備事業の課題は、県が肝煎りで進めてきた事業の結果であり、問題は企業庁だけでなく県の責任が問われている課題である。そして問題の根本には、過大に事業開発を進めた、あるいは進めようとした県の姿勢にあると考えている。そうした点では、私たちが指摘している総事業費5,900億円、物価高騰などの状況を踏まえれば1兆円かかるとも危惧され、そして、その必要性そもそもが問われている播磨臨海地域道路など過大な高速道路事業も、一度立ち止まって再検討する必要があると考えている。失敗の教訓を直ちに生かし、県民に優位な県政運営を行うことを求めて、質問を終わる。ありがとうございました。

     

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