議会報告

  • 2024年02月27日
    本会議

    第366回本会議 一般質問 久保田けんじ

    1.2024年度当初予算(案)について

    日本共産党県議団、西宮市選出の久保田けんじです。

    一問一答形式で質問します。

     

    2月8日、齋藤知事は、2024年度当初予算案を発表しました。一般会計は前年度を207億円下回る2兆3390億円となっています。人口流出が深刻化するなか、人口減への対応、若者・Z世代支援として高等教育の負担軽減や不妊治療支援、子育て世帯の転入・定住促進など若年層への対策を強化する施策を大きく打ち出しています。

    しかし、一方で足元の経済はどうか。毎月勤労統計による兵庫県での実質賃金は、2023年は、11カ月中8カ月が前年比減、年平均でも2022年は前年比減、2023年も前年比減見込みとなり、コロナ禍、物価高の中、いっそう深刻な状況です。また、東京商工リサーチによると兵庫県の2023年の倒産と休廃業・解散を合わせた「退出企業」は、2005件で2013年以降はじめて2,000件を超え、負債総額は6900億円と過去20年間で最大となっています。この中には、兵庫県が多額の産業集積促進補助金を投じたパナソニック液晶ディスプレイ姫路工場の5,836億円が含まれています。大企業を中心に呼び込みを目的とした補助金は、県内の経済を好循環させるどころか、打撃を与えるものにしかなっていません。一方で、県民の暮らしや、ゼロゼロ融資などの返済のうえ、物価高などで打撃を受けている中小、小規模事業者への直接的な支援施策はほとんどありません。

     昨年、都市計画素案の説明会で、高砂市内の小中学校の上など住宅地を通るルートが示され、住民から反対の声が大きく上がっている播磨臨海地域道路事業には、7300万円の調査費がついています。全国道路・街路交通情勢調査では、播磨臨海地域道路の設置理由となっている姫路・加古川バイパスの交通量は、2005年をピークに減少しており必要性の是非も問われています。この播磨臨海地域道路事業も含め、県内の高規格道路ネットワーク事業に大きく予算が計上されています。

     大阪・関西万博の準備がすすめられ、会場の兵庫県ゾーンの展示制作や空飛ぶクルマの離発着場、会場外駐車場となる尼崎フェニックス事業用地での楽市楽座のためにインフラ整備をする予算なども計上されています。

    1月1日に発生した能登半島地震により、石川県では、241人が亡くなり、いまなお1万人以上の方が厳しい避難生活を強いられ、家屋被害は7万戸、断水は2万戸、道路の復旧や土砂の撤去の目途もたっていません。

     昨年、香美町では台風豪雨による災害が発生し、自宅に戻れず住宅撤去費の持ち出しも発生する方もいらっしゃいます。兵庫県内の土砂災害防止のための砂防関係施設整備状況は約3割、県管理河川の改修率は約6割で、香美町での被災は、必要な整備がなされてない崖や河川で被害が起こりました。

    兵庫県当初予算において、産業立地補助金など大企業支援、不要不急の高速道路などゼネコン型の投資事業、大阪・関西万博関連事業の推進ではなく、阪神淡路大震災を体験した県として、能登半島地震被害からの復旧・被災者支援を抜本的に強化し、県民の暮らしや中小企業への直接的支援、公共事業は、防災・減災事業を最優先することを求めます。

    【知事答弁】

     厳しい財政状況の中、歳入歳出両面で見直しをする一方、未来への投資を躊躇せず、個の可能性を広げ、地域の持続可能性を高めることを基本に新年度予算案を編成させていただきました。

     特に、重点を置きましたのが、議員ご指摘いただきました、若者・Z世代の応援でございます。重い奨学金返済の負担をはじめ、出産・子育て・住まいなど多くの不安を抱える若い世代に対しまして支援をしていくというものでございます。県立大学の授業料等の無償化、奨学金返済支援制度の拡充、不妊治療支援の強化、そして、子育て世帯への住宅施策など、幅広い分野で若い世代を直接応援する施策を展開してまいります。

     ご指摘の、産業立地の促進は、地域の雇用を創出し、地域経済を活性化させるために重要な取組でございます。播磨臨海地域道路をはじめとする高規格道路ネットワークは、地域産業の活性化、そして、緊急時の輸送機能の確保など県民生活に密接に関係する必要な社会基盤でありまして、整備を推進してまいります。2025年の万博関連事業は、関西で50年ぶりとなる特別な機会を、兵庫の子どもたちのふるさとを想う気持ち、いわゆるシビックプライドの醸成や地域内の経済循環の構築にもつなげる好機でございまして、取組を加速させていきたいと考えています。

    一方で、1月1日に発生しました能登半島地震の復旧復興、そして、被災者支援では、現地ニーズを踏まえた人的・物的支援の継続、そして、ボランティア活動の支援を強化してまいりたいと考えております。物価高騰に直面する県民、そして、中小企業の皆様への支援では、これまで数度にわたります補正予算でしっかり対応するとともに、ご指摘のゼロゼロ融資を受けた事業者向けの金融機関の伴走型支援も継続してまいります。投資事業では、山地防災・土砂災害対策など暮らしの安全安心基盤を確立する事業を別枠で確保するとともに、今回補正予算でも計上させていただいておりますけれども、横断歩道、そして、道路区画線、消えかかっているところが大変多いので、その引き直しなどを重点的に行うことで、県民の命と暮らしを守ってまいりたいと考えております。

     

    2.県行政のあり方について

    公務員や公共サービスに求められるものは憲法15条「全ての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」地域社会全体に奉仕する公共性、公務員の存在理由である共同性と権利性です。

    しかし現場では人員不足や業務多忙により、相談者に寄り添い、住民らが生活する上での様々な困難を自ら把握し、具体的な助言や提案、必要な支援や給付が何かを考え、実際の支援や給付を行う環境が整っていないことが見受けられます。コロナ禍に就職した公務員はリモートワークが推奨される中で、十分な教育支援を受けられず、業務多忙で休職しているという事例をいくつか聞きます。兵庫県においてはこれまでの10年間の行革で県職員は3割減らされており、土木職員、保健所職員など現場で対応にあたる職員の削減が天神川氾濫対応、コロナ禍での保健所対応など災害時や感染症発生時に大きな問題を起こしてきました。こうした職員削減が県民サービスの低下をもたらしています。

    職員削減のカバーをICT導入やアウトソーシングで行うという説明をこれまで聞いてきたが、対人援助サービスにおいては対人援助技術といった専門性のある感情労働力と公共性、共同性、権利性が必要であり、ICTやアウトソーシングで全てをカバーすることはできません。

    ①県職員4割出勤を前提とした県庁舎再編について

    更なる県職員削減が懸念される中、職場内で行う知識、技術、道徳の継承そして企画力、分析力、柔軟力、発想力等々と専門性を現場で培うOJT不足が明らかな県庁舎再編、県職員4割出勤は県職員業務が複雑、煩雑、多量になること、それにより県民サービスの低下につながるものであります。県職員4割出勤の方針を見直し、すべての職員の適切な職務スペースを確保するための県庁舎整備計画などの検討が必要だと考えます。当局の見解を訊ねます。

    【答弁】

     従前の計画でも県庁舎の建替えがございました。昨今の建設費の高騰を踏まえますと、おそらく1,000億を超えるという極めて大規模な投資プロジェクトになっていたというところがポイントでございます。私は、それは現在の県財政状況や、それによる影響を踏まえますと、県民の皆さんの理解はとても得られないということで、一旦立ち止まるという形にさせていただいております。

    今後、3号館等の既存庁舎を活用して、4割出勤を目指した働き方改革の取組を進めていく中で、生じた課題への対応、財政状況も考慮に入れながら、今後の庁舎のあり方を議論していきたいというふうに考えております。

    現在、モデルオフィスでトライアルを進めている新しい働き方改革は、組織のパフォーマンスを最大化し、県民本位で質の高いサービスを実現することを目標としております。

     モデルオフィスでのアンケートでは、「ワークライフバランスが充実した」という意見もございました。一方で、「コミュニケーションがしづらい」という課題、そして人材育成に関する課題というものもあげられるということです。こうした人材育成などの課題にも対応するために、来年度は県民局に設置するサテライトオフィスの拡充等を行った上で、グループ単位で積極的に活用するトライアルも実施いたします。あわせまして、テレワークを踏まえたOJTマニュアルの整備、管理職のマネジメント研修も実施して参ります。

     

    ②会計年度任用職員の処遇改善と正規化について

     公務員のスキル獲得と発揮のためには雇用の継続と生活の安定的保障、適切な労働条件と環境(ディーセントワークとアメニティー環境の保障)が必要にも関わらず、雇用の継続と安定性がことごとく侵害されるのは会計年度任用職員の雇用であります。会計年度任用職員の雇用は人件コストカット政策であり、こうした自治体の企業化、公共サービスの市場化、営利化は公務員の専門性を形骸化、空洞化させています。

    全産業と同じように自治体職員も非正規が増えており、官製ワーキングプアと呼ばれる方たちが増えています。兵庫県の会計年度任用職員数は2,021年から294人増えて2023年4月1日において6079人であります。(県政改革方針実施状況報告書R5.9月)兵庫県での任用期間は2回を上限に再度の任用を行う場合があり3年を限度、一部、専門的な知識・経験が必要な職は5年であります。責任を持ち重要な勤務にあたる職員を非正規の形で雇用するのではなく、正規職員化を進めるべきであります。また現会計年度任用職員の処遇の改善が必要であります。当局の見解を訊ねます。

     

    【答弁】

     県政の運営に当たっては、時々の行政課題への対応など行政需要の変化に的確に対応するため、正規職員を適正に採用し配置しているところでございます。会計年度任用職員は、正規職員の業務を補完する役割を担っていただいておりまして、一時的な業務の増加や育児休業取得職員の代替、定型業務などに配置しているところでございます。

     会計年度任用職員の処遇については、令和2年度の制度導入時に、正規職員と同様に期末手当の支給や育児休業の対象としております。それ以降も、産前産後休暇や不妊治療休暇を充実したほか、令和6年度からは、正規職員に準じた月数により勤勉手当を支給していくといった改善を図ってきたところです。 

     正規職員を補完する職員として、引き続き地方公務員法にも則って、会計年度任用職員の任用が必要と考えておりますが、今後も会計年度任用職員の処遇改善を含め、すべての職員が働きやすい環境づくりに努めてまいります。

     

     

    3.福祉職員の処遇改善について

     厚生労働白書によると2021年の医療福祉分野の就業者数は891万人で全就業者の約 8 人に1人、医療福祉分野の就業者数について高齢者人口がピークを迎える2040年には1070万人が必要となるのに対し、確保が見込まれるのは974万人に留まり、96万人が不足すると推計。 人材確保のためと思われる地域包括ケアでは、公助を投げ捨て、本人努力に任せる自助、ボランティアや家族や近所の方や関わる人による互助や共助を謳っているが、専門職の支援は必要不可欠であります。

     介護や保育分野の有効求人倍率は全職業の平均より依然として高い水準で推移。県内全体の有効求人倍率0.94倍(令和3年3月時点)、福祉関連は2.77倍、中でも介護関係では3.21倍。 介護補助者や外国人労働者を雇用するが、それでもなお究極の人手不足に陥っています。また人材派遣会社に多額の費用を支払って経営破綻に陥った事業所もあります。

     福祉従事者を充足するためには賃金引き上げを含めた処遇の改善が必要であります。これまで処遇改善加算やベースアップ等支援加算が創設されてきたが、基準を満たさない事業所は算定できないため、介護労働実態調査によると算定した事業所は75%、基本給引き上げは4割、ケアマネジャーや栄養士やリハビリ職員や事務職員などに加算が適用されないという問題がありました。来年度は処遇改善加算を1本化、介護報酬改定率が1.59%の微増となる見込みだが、これでは全産業に比べて1か月の賃金が7万円少ない介護職員の賃金引き上げにはなりません。昨年倒産件数最多の67件にのぼった訪問介護や定期巡回・随時対応型サービスの基本報酬は下がります。

     東京都は勤続5年以内の介護職員、ケアマネジャー、障害者福祉事業所の介護福祉職員に月2万円、6年目以降月1万円支給すると表明しているところであります。国に対して国の負担を増やして介護報酬等を増やす改定を求めつつ、県として、介護、障害分野のすべての福祉職員の賃上げ支援を行う必要があるが、当局の見解を訊ねます。

    【答弁】

     福祉人材確保は重要な課題であり、国において段階的な処遇改善の取組が行われ、介護職員では平成21年度から92,000円程度の改善がなされたところでございます。

     令和6年度の介護報酬改定でも、+1.59%の改定のうち0.98%が介護職員の処遇改善分とされました。この部分につきましては、6月の報酬改定に先立ち、2月分から前倒しで月額平均6,000円程度引き上げられる措置が講じられます。また、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果などにより増収効果として、+0.45%相当が見込まれています。また、障害福祉サービス等報酬改定では+1.12%の改定率で介護分野並びの処遇改善が行われます。

     このため、県では、セミナー開催や社会保険労務士の助言・指導などによります加算取得促進のほか、介護福祉士取得のための研修受講料補助を行っております。また、来年度は、研修での代替職員確保につきまして、直接雇用に加えて派遣職員も補助対象とし、更なる上位の加算が取得できるよう支援を強化してまいります。

     ご指摘の処遇改善のための補助を本県独自で行いますことは、多額の財政負担を伴いますことから慎重に検討すべきであると考えております。

     県としては、報酬改定などの影響も注視しつつ、処遇改善加算の対象外となっておりますケアマネージャーを含む全ての介護、障害分野の人材の処遇改善につきまして、引き続き必要な要望を国に行ってまいります。

     

    4.名神湾岸連絡線について

     西宮地域の阪神高速と湾岸線をつなぐ2.7kmの地元住民が乗り入れできない連絡道路として名神湾岸連絡線が国の直轄事業で計画されています。目的として周辺地域の交通渋滞の解消や交通安全、沿岸環境の改善を図るとあります。当初2018年の計画段階評価資料の650億円が、2021年の新規事業評価資料では1050億円と経費が膨らんでいます。

     名神湾岸連絡線が建設予定されている地域には700世帯以上の住民が住み、ホームセンター、酒造会社、小学校があります。すでに阪神高速、国道といった大きな道路が縦横しており健康被害も出ています。工事が着工されれば完成まで、環境影響評価準備書に記載の作業工程では8年間、今津東線の中央に橋脚を建てるための掘削が始まり、無数の工事車両が往来し、工事をすることで渋滞が予測されます。安全性が確保されず今津東線は今津小学校の児童の登校下校コースであり危険である。酒造会社で行われる酒造の仕込みに粉塵が混入すれば生産に大打撃を与えます。

     環境影響評価準備書の2020年年11月4日の兵庫県知事の審査意見書には「事業実施にあたり、事業の詳細な計画の検討や決定の段階から、地元住民等への十分な説明や情報提供を行い、要望及び苦情がある場合は適切に対応を行うこと」とあるにもかかわらず、事業主体の国交省近畿地方整備局兵庫国道事務所が開催した2021年10月から11月にかけての説明会は個別説明であり住民全体への説明となっていないため、地域住民に十分な情報提供ができていません。地元住民が説明会開催を要請しても「自治会を通じて」との理由から応じていません。

     環境影響評価については、事業範囲が環境影響評価概要書より環境影響評価準備書で広がった今津二葉町の一部、甲子園洲鳥町、甲子園高潮町の騒音、大気汚染、振動の調査をしていません。下水道ガス管等の埋設物について、電線や配管について、宮水や井戸水について各関係機関との協議内容が公表されていません。季節によって風向きの変化、気候によって状況が変動するにも関わらず環境影響調査は年2回で2週間のみであります。又健康被害調査は行われていません。健康調査を含めた環境影響調査は年間通して行うべきであります。

    大気汚染や騒音や振動による健康被害、今津小学校児童の登下校時の危険性、井戸水が枯渇すれば災害時井戸使用ができなくなること、景観が壊され資産価値が下がること、そもそも周辺地域は渋滞をしておらず、人口減とトラック運転手不足により、商用車の保有台数は2020年の15,179千台(1千5百17万9千台)から2030年には13,626千台(1千3百62万6千台)に減ることが予想されており(三菱総合研究所)、渋滞解消という目的は必要無く建設の意味をなしていないこと、以上を考えれば国に対して中止を求めるべきであります。当局の見解を訊ねます。

     【答弁】

    名神湾岸連絡線については、全国ワースト1位の阪高神戸線の渋滞緩和、西宮市内の生活道路に入り込んでいます大型車の流入抑制、また、臨海部と名神高速の直結によりますベイエリアの活性化などの効果が期待できる道路です。

     環境については、国が約3年かけまして騒音等14項目について環境アセスメントを実施しています。例えば、騒音では今津東線周辺など計20地点におきまして、開通後の騒音予測をシミュレーションしています。高さ1~3mの遮音壁を設置することで騒音レベルを61~69dbに抑えて環境基準を全てクリアすると考えていまして、また、現況の53~68dbが現況の騒音ですが、これと比べても大差ないという予測となっています。また、宮水を含みます地下水についても水位変動は生じることはなく、粉塵、景観その他の全項目におきましても、必要な措置や事後モニタリングにより、健康被害や酒造業等への影響は最小化できると考えています。

     また、工事中の通学を含めました沿道の交通安全につきましても、警察や通学生が通ります学校の意見も聴きまして、交通誘導員の増員や工事用車両の通行ルートの工夫等により必要な措置をとるよう事業者である国へ働きかけていきます。

     また、地元への情報提供については、環境アセスメントや事業の流れ等について、これまでに計41回の説明会を実施しています。今後も、国や地元西宮市と連携しまして、地元の不安解消に向け丁寧な説明に努めていきます。

     また、将来交通量については、国が人口やGDP等を考慮しまして推計しています。これによりますと、令和12年、2030年の発生集中交通量は平成27年の1%減にとどまり、人口の8%減よりも小さいと予測しています。従いまして、名神湾岸連絡線の必要性については変わりが無いものと考えています。

     

    【再質問 答弁】

    災害時の道路対策ですが、2点ございまして、まずはダブルネットワークが必要と考えています。道路は例えば高潮、津波被害で海岸部が被災した際に陸上部から物資等を供給するということで、ダブルネットワークを作っていくことが非常に大事であると考えています。

     2点目は被害の起こった後、例えば、道路の上には土砂や家屋の倒壊がありますので、それを撤去して道路を使えるようにしていく、道路啓開の対策が必要です。南海トラフ地震に関しましては、この道路啓開計画を既に作成しておりまして、どの道路でどの業者がどこを撤去していくかという担当まで、内々で検討しておりまして、十分な対策がとれています。今回の議会でも答弁しておりますが、南海トラフ地震以外の地震につきましてはこの計画はまだありませんので、今後、全地域についての啓開計画の策定についても検討が必要であると考えています。

    5.高校統廃合について

    県教育委員会は、県立高等学校教育改革第3次実施計画に基づき全日制県立高校を125校110校にする統廃合を進め、2025年には14校が6校に統合、その新高校名も発表されました。統廃合の理由は少子化により学級数が減り、小規模校では教師の人数が少なくなり多様な学びが展開できません。また、生徒数が少ない学校では、活気ある学校行事や活発な部活動ができないというものです。

    この統廃合について、中学生や高校生、保護者、地域の方々から「いきなり統合といわれた。計画策定前に住民の声を全く聞いていない」など怒りや不安とともに「県立高校をなくすのではなく少人数学級の実現で子どもたち一人ひとりに丁寧な教育を」等の要望が多数寄せられています。

     県教委は、有識者会議において「6~8学級がのぞましい高校の規模」と定めたとしますが、文部科学省は「教育的検証はされていない」と言っており全く根拠はありません。部活についても人数が少ないところは他校との合同チームをつくるなどの工夫で活発に行っている小規模校の実例もあります。学校行事も工夫次第でその学校らしいものができるはずです。

     私の地元西宮では、西宮甲山高校と西宮北高校の統合が進められています。

     なぜこの2校なのか。両校は小規模化しており、地理的位置も近いことから統合に適していると県教委は言います。しかし、高校増設が必要だった1980年代以降に、県教委が西宮市北部地域に高校を設置しないまま、2015年の学区拡大により、西宮市内の公立中学校卒業者数に対する市内の公立高校収容定員割合が61.2%から55.2%まで引き下がり、西宮甲山高校は4学級に、西宮北高校は5学級になりました。小規模化は県教委の意図的な引き下げの結果によるものと言わざるを得ません。小規模化しているとはいえ西宮甲山高校には、西宮北部だけではなく西宮南部、尼崎、宝塚からも生徒が来る高校であり、統合するべきではありません。

     今県教委がやるべきことは、「統廃合ありきの姿勢」をあらため、生徒、保護者、地域住民、教職員の意見を聞く場を設け、出された声を尊重することです。そして40人学級を国に先駆けて実施、さらに35人学級も県独自で小学校4年生まで実施してきた県として、中学校、高校も少人数学級にすることです。知事も「30人学級」を公約としていました。「少人数学級」であるほど学習意欲が積極的になり子どもたちの人格形成や人間的成長にとっても効果があることは世界的にも実証されており、世界の標準は20人~25人です。

    「少子化だから統廃合」ではなく、少子化だからこそ少人数学級を実現するべきです。統廃合計画を見直し、少人数学級へ踏み出すことを求めます。

     

    【答弁】

    「県立高等学校教育改革第三次実施計画」に基づく発展的統合に向けては、計画策定までに、県下の市町教委や中学校長、小・中学PTAの意見聴取、市町長等への個別訪問による意見聴取とともに、計画策定後も学校毎にPTA・同窓会代表、生徒集会での説明、保護者への周知、また基本計画検討委員会での公開審議、市町議会や地域自治会の要請に応じた説明会等丁寧に進めています。

     高校の適正規模については、公立高等学校の標準法において、「県は、高校教育の普及・機会均等を図るため、公立高校の配置・規模の適正化に努めなければならない」とされており、本県でも、有識者会議「ひょうご未来の高校教育あり方検討委員会」で議論を重ね、望ましい規模を定めています。

     募集定員につきましては、地域の中学卒業者数の増減と進学希望調査の結果等に基づいて毎年定めております。市内対象校2校の小規模化は、西宮市内中学卒業者数の減少等が直接的要因であると考えております。なお、西宮市を含む第2学区の中学卒業者数に対する募集定員の割合は、学区再編前後で同程度であり、そのうえで、西宮市内からの進学者の割合は、R5年度でございますが、西宮甲山89%、西宮北98%であるなど、西宮市内中学生の公立高校進学先は確保している状況でございます。

     少人数学級については、一斉授業におけるよりきめ細かな指導に効果はあるものの、高校全体の生徒数が増えませんので、発展的統合の目的である学校全体の活力維持に対する効果は見込めないと考えております。また、多額の人件費の財源が必要となるため、引き続き、国の制度としての定数改善と財源措置を要望していきます。

     昨年12月には、発展的統合の実施計画を公表し、新しい学校への中学生の期待が高まる中、来年4月の、魅力と活力ある新しい学校の開校に向けて、今後とも、中学生・保護者等への広報を含む必要な準備を着実に進めてまいります。

     

    【再答弁】(知事)

     事前通告されているか不明だが、少人数学級の重要性は理解している。一方で、財政的な問題、教員が不足している問題等がある。それらを考慮しながら、今後、対応を考えていきたい。

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