議会報告

  • 2023年06月19日
    本会議

    第363回本会議 請願討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、まず、上程されている請願、第1号、第3号について不採択ではなく採択を求め、その主な理由を述べます。

    請願第1号「インボイス制度の実施延期を求める意見書提出」の件についてです。

    現在、年間の売上高1000万円以下の業者は、消費税の納税を免除されていますが、インボイス制度が実施されれば、中小・零細業者に対し、インボイスを発行するために課税業者になることを迫り、消費税を販売価格に転嫁することが困難であっても、赤字経営でも身銭を切って消費税を納めなければならないなど新たな税負担が強いられます。

    また、現行では、課税業者が免税業者から仕入れた場合、消費税がかかっているとみなして控除できます。インボイス導入後はインボイスのない仕入れ税額控除は認められないため、免税業者からの仕入れにかかった消費税を差し引くことができず、納税額が膨らみます。これを避けるために免税業者との取引停止が増える恐れがあります。その結果廃業が増え、地域経済がますます疲弊してしまいます。

    あるフリーランスの方は「インボイスを発行するために課税事業者になり、重い税負担を強いられるか、取引から排除される不安を抱えながら免税事業者のままでいるか、『地獄の二択』を迫られている。インボイス制度は、一言で表すならば消費税の増税であり、新たに発生する消費税を誰かが必ず負担しなければならず、弱い立場の人たちが税負担を押し付け合わなければならない理不尽なもの」と憤りの声を上げています。

    個人タクシー業者、シルバー人材センターで働く70万人の会員、9割が免税業者の農家や、ウーバーイーツの配達員など単発で仕事を請け負うフリーランス、文化・芸術・イベント分野で働く人たちだけでなく、請願趣旨にもあるように、太陽光パネルを設置して売電している家庭や敷地に飲み物などの自動販売機を設置している家庭にもインボイス発行事業者登録せよとの働きかけが行われています。インボイス制度は税率変更を伴わない消費税増税です。

    全国商工団体連合会やアニメ・声優・漫画・演劇などエンタメ4団体、日本俳優連合、脚本家、児童文学者、シナリオ作家など文芸・美術6団体、日本映像職能連合などさまざまな団体や日本商工会議所、中小企業家同友会全国協議会、日本税理士連合会などもインボイス制度実施の中止・延期を求めています。

    今やるべきことは、インボイス制度の実施ではなく、世界の100以上の国、地域が行っているように消費税を減税することです。

    よって、「インボイス制度の実施延期を求める意見書を政府に送付することを求める」本請願の採択を強く主張します。

    次に請願第3号「学校給食への公的補助を強め、給食無償化の推進を求める」件です。

    学校給食の無償化は切実であり、その声は益々たかまっています。

    国の第4次食育推進基本計画では「学校給食を『生きた教材』として活用することで食育を効果的に推進する」とし、学校給食は学校教育の重要な柱の一つです。

    学校生活にとって給食は欠かせない存在です。栄養補給だけでなく一緒に食べることでコミュニケーションが豊かになり、社会性を身につけるなど心身の成長につながります。給食の食材やそれに関わる人、調理方法など、地域の伝統や日本の食文化を伝えることも食育として大切です。

    学校給食は、人間として豊かに生きるために必要なことを、食べる体験を積み重ねて学ぶ教育の場です。

    また、貧困によって、朝食、夕食をとることができず、給食が唯一の栄養源という子どもたちもいます。成長期の子どもたちの健康と人間的発達を保障する学校給食の役割はますます重要になっています。

    しかし、給食費は小学校で年間5万円、中学校で6万円と大変な負担です。子どもが3人いたら年間15万円以上にもなり保護者負担は大変なものです。

    これまで、公立小中学校の給食費の保護者負担については、子育て支援や定住しやすい環境づくりを目的に、自治体が全額補助する制度や、一部を助成する制度が、全国で広がってきました。今、全国的には250以上の自治体が給食費を無償化しています。

    県内では、相生市、加西市が小中とも無償に、明石市、たつの市が中学のみ無償、一部補助をあわせると17市町が負担軽減を行っています。

    全国的には今年度から、葛飾区をはじめ東京都では8つの区、千葉県市川市など無償にします。都道府県単位では、千葉県が第3子の給食費無償化を実施するのをはじめ、京都府は今年度予算で、3億円の「子どもの教育のための総合交付金」を創設し、府内の自治体が実施する給食費の無償化などへ府が支援することに踏み切りました。

    憲法は第26条で、教育基本法は第4条で、学校教育法は第6条でそれぞれ義務教育の無償を定めていますが、授業料と教科書を除き、教材費、制服、体操着、学用品、給食費、修学旅行積立金などを保護者が負担しています。

    約70年前の1951年、文部委員会での日本共産党参院議員の義務教育の無償についての質問に対して、政府は学用品、学校給食費などを含め「できるだけ早く広範囲に実現したい」と答弁しています。

    2018年12月には、参院文教科学委員会で共産党の質問に対し、学用品、学校給食費、できれば交通費等、義務教育の無償化をできるだけ「早く広範囲に実現したい」と答弁し、51年当時の政府の認識を継承していることが確認され、食材費については、文部科学大臣が「自治体等が一部補助だけでなく全額補助することも否定しない」と答弁しています。さらに、2022年10月の臨時国会において共産党の代表質問に対し、岸田首相も「自治体が補助することを妨げるものではない」と認めています。県当局は、学校給食法第11条を盾にしますが、この間の国会論戦で学校給食法が「保護者負担補助を禁止するものではない」ことが明確になってきています。

    兵庫県議会は、昨年の6月議会で日本共産党議員団が提案した「学校給食の無償化を求める意見書」を全会一致で採択しました。

    「食育」という教育を行うのに必要不可欠である学校給食費については国を待つのではなく、県として「給食費助成制度」などを創設し公的補助を強め、給食費無償化を推進するべきです。

    よって「兵庫県は、学校給食への公的補助を強め、給食無償化の推進を求める」本請願に賛同し、強く採択を求めます。

    最後に請願第2号「こどもの医療費を所得制限なしに18歳まで無料にすることを求める」件について、採択を進める立場で継続審査に賛成し、意見を述べます。

    日本共産党県会議員団が「子どもの医療費無償化」を求め続けてきた中で、県は、2013年に対象年齢を中学3年生までにするなど、制度を拡大してきました。現在県下では41市町中37市町、約9割の市町が、県の制度に上乗せし、中学3年まで通院・入院とも無料となっています。

    群馬県では、2023年10月から所得制限なしで医療費の無償化を高校3年生まで拡充します。鳥取県は、2024年から18歳までの医療費完全無料化を決めています。医療費助成は18歳までというのが当たり前になってきています。

    兵庫県下では高校3年生まで通院・入院とも無料なのは西宮市、明石市、加西市、多可町など17市町に広がっています。宝塚市では、現在18歳までの医療費無料化について議論がされているとのことです。県内でも大きな流れになっているのです。

    しかし、兵庫県は「受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定的なものとするため」とし一部負担金も所得制限もある上、県行革で所得判定が世帯主所得から世帯合算所得へと、全国的に最も厳しい条件に強化されました。子育て支援が最も必要な共働き世帯などが受けられない事態が多くみられ「所得制限をなくしてほしい」との訴えが多く寄せられています。

    県下では、25市町が所得制限をなくしています。尼崎では昨年7月から入院については、18歳まで所得制限なしで無料になり、今年7月からは未就学児の医療費が所得制限なしで無料になります。

    「子どもはよく熱を出す、病気になる、けがをするのは当たり前。それを乗り越えることで丈夫な体をつくるのだ」とは、ある小児科医の言葉です。本当にその通りです。だからこそ、兵庫県のどこに住んでいても、18歳までお金の心配なく子どもが必要な医療を受けられるようにすべきです。

    低所得者、貧困対策という福祉的支援の考え方をあらため、所得に関係なく、子どもの人権を尊重し、一人ひとりの子どもの命と健康を守ることが必要です。

    よって、本請願の採択を進める立場で継続審査に賛成するものです。

    以上、議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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