議会報告

  • 2018年03月08日
    予算・決算特別委員会

    2018年度予算特別委員会 公安 いそみ恵子

    風営法と「解釈運用基準」等について

    ■いそみ恵子■ 私は、西宮選出の日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。

    早速、質問に入りたいと思う。

    風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律と、いわゆる風営法と「解釈運用基準」等の見直しについて質問をさせていただく。

    昨年から、札幌すすきのなど、全国で、また県内でも、神戸市内でスナック店主、ママが逮捕され罰金が科せられる事案が起こっている。逮捕理由とされているのが、風営法の許可を取らずに接待をしたというものである。

    風営法では、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことを接待と定義し、そして、警察庁作成の「解釈運用基準」が接待に当たる行為を具体的に示している。

    例えば、解釈運用基準の第4、接待についてのところであるが、その3、接待判断基準(1)談笑、お酌等であるが、特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手をしたり酒などの飲食物を提供すると、これは接待。しかし、お酌をしたり水割りを作っても、すぐ、すぐです、その場を立ち去り、儀礼の挨拶や若干の世間話は接待に当たらないとしているが、ここでいう特定少数とは何人なのか、それから若干の世間話とはどれぐらいを指すのか、まずお答えいただきたいと思う。

    ■生活安全部長(有田幸司)■ 委員ご指摘のように、接待については警察庁が出している風俗営業等規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用についてという通達により定められている。これについては、一般の方にも公開をされている。

    その中に、委員が先ほど言われたように、それぞれこの接待というのは基準があるが、この解釈運用基準の入っているのは最も行われやすい行為について示していたものであり、その中にはなかなか限定しにくいものもある。

    先ほど言われていたように、特定少数とはということであるが、特定の客、または客のグループをいうが、これについては、なかなか具体的に人数を示すというのが難しいところである。

    例えば、体を密着させる行為というのは接待に当たるが、その場合であれば、体に接する者といえば1人、または2人ということになるが、ここでゲームのようなことをする場合には、これは相手方が5人であろうが6人であろうが一緒にゲームができる。また、個室のようなものであれば、そのグループが10人であっても接待というのは可能だということで、具体的な人数というのは示すことができないところである。

    また、時間的な関係についても、この例示にもあるように、お酌をしたり水割りを作った後に速やかにその場を離れるときに儀礼的に行われる挨拶、あるいは若干の世間話ということが設定には、これは当たらないということであるので、この時間についても、なかなか特定して何分はだめとかというのは難しいと思われる。

    ■いそみ恵子■ 私、人数もお聞きしたが、若干の世間話、これはどれぐらいを指すのかということについてもお聞きをしたが、これは先ほどお答えがなかったということで、この点については難しいだろうなということを思い、このまま進んでいく。

    それで、先ほどご答弁があったとおり、大変曖昧である、この人数の特定だとか。例えば、スナックに、今、本当に不況だから、なかなかお客さんが入らなくて、1人だった場合、お客さんが、そういう場合に談笑したりとかお酌をしたりとか、ほったからしにはできないよね。そういう場合にも、やっぱり接待というような状況も出てくるから、大変曖昧だなというふうに思った。

    それから、続いて同じ解釈運用基準、この両囲みの3であるが、歌唱――つまり歌うことである――これについては、接待の定義はやっぱり出てくる。特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、客の歌に手拍子をとり、拍手をし、褒めはやす行為、それから客と一緒に歌う行為は接待に当たると。これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、または不特定の客かカラオケの準備の依頼を受ける行為、または伴奏のため楽器を演奏する行為等は接待に当たらないと、こういうふうに書かれているところである。

    カラオケに拍手すること、それから談笑すること、そして、こういうことがわいせつな行為の発生を招くのかと、談笑をしたりお酌をしたり拍手などというのは、社会通年上、私は当然の行為として認めるべきだと、このように考えている。

    警察庁の解釈運用基準は、政令でも省令でもなく、先ほど言われたとおり、通達である。それで、解釈運用基準をやはり今の時代に合う規制に見直すことを、私は現場から警察庁に声を上げいってほしいということを考えているが、その点についていかがであろうか。

    ■生活安全部長(有田幸司)■ この解釈運用基準については、善良な風俗と正常な風俗環境を保持し、少年の健全育成に障害を及ぼす行為を防止するという風営法の目的を達成するために、全国統一的な基準で示されているものである。

    このようなことから、この解釈運用基準の見直しについて、本県警察独自に判断できるものではないということをご理解していただきたい、このように思っている。

    ■いそみ恵子■ 独自に判断できるものではないというのは分かるが、しかし、事件はやっぱり現場で起こっている。だから、こうした曖昧な解釈運用基準で、これは接待に当たるよということで、先ほど冒頭に申し上げたとおり、風営法違反だと、風営法の許可を得ていない無許可だということで逮捕されているというような状況があるから、私はこういう曖昧なこの解釈運用基準、これはやっぱり見直さなければいけないのではないかと思っている。

    つまり、現場でこれに当たっている、本当に現場で苦労をされている、そういう皆さんが私は声を上げていっていただきたいなということで、これについては要望させていただく。

    それから、先ほど解釈運用基準のことで読み上げをさせていただいたが、カラオケに拍手もない、それから談笑もない、こんなスナックへ行きたくないよね。それで、決してこういう店は繁盛をしないと思う。

    それで、風営法の許可を取ったらと、こんなふうに言われるが、店を借りているオーナーさんが風俗と思われて嫌がるとか、あるいは、この風営法の許可を取ったら中小業者というか中小企業の概念から外されて、信用保証協会の融資を借りようと思っても、なかなかこれは認められず受けられないということで、ママさんたちからもお聞きをしたので、二の足を踏むんだということも言っておられる。やはり、ここはこの接待を定義する解釈運用基準を時代に見合う、そういう規制に見直すことが必要だと思う。これについては、強く要望させていただく。

    それから、続いて警察が料飲業者に昨年まで提出を求めていた、このアンケート形式の確認書について、お聞きをする。それで、各警察署ごとの確認書、これについて実績――数――これについてお聞きをする。

    ■生活安全部長(有田幸司)■ お答えする。

    この委員ご指摘の確認書については、風俗営業者の方が風営法違反を惹起させないために、接待を含めた営業上の注意事項について、分かりやすいように書面を提示して説明に用いていたものである。

    この確認書については、営業者の方が説明の内容を理解された場合にはチェックをしていただき、承諾を得られた場合に限り、あくまでも任意で書面にサインをしていただいたものである。平成27年の9月から昨年の3月まで使用をしていた。

    この確認書については、冒頭言ったように、違反を防止するためのものであるので、特にこの使用件数、枚数について把握する必要がないので、把握をしていないということである。

    また、この確認書については、現在は使用はしておらず、もう少し分かりやすく、理解してもらうためにということで、今は啓発チラシという形に変えて運用をしているところである。

    ■いそみ恵子■ この確認書、これについては把握をしていないと、必要がないということで言われているが、実際に各警察署ごとにいろいろアンケート形式でとられていっているから、これについては、ぜひ、もう既になくなったということであるが、だけどやっぱりその点については数をつかんでいただきたいなということで思っている。

    それで、このまず確認書、これを見てみると、接待を定義している解釈運用基準にはない、例えば、お客さんにお絞りを手渡すことなども接待行為に該当すると、このように明記がされている。これについて確認したいと思うが、既に使っていないということであるが、先ほど冒頭に申し上げた事件との関わりだとか、そういう点もあるので、この点についてはどうであろうか、確認したいと思う。

    ■生活安全部長(有田幸司)■ お答えをする。

    先ほど来、出ている解釈運用基準の接待の判断基準というのは、最も行われやすい行為が示されているものであり、その例示の中には、ただいま指摘のあったお絞りを手渡す行為というのは入っていない。

    どのような行為が接待に当たるかについては、この解釈運用基準を踏まえ、個別具体的な事情に応じて判断するということで、例えお絞りを手渡す行為であっても、特定の客の横にはべるなど、歓楽的雰囲気を醸し出すように行われるものについては、その場の状況により該当する場合があるということである。

    例えば、これは飲食店の中でよくされる行為であるが、客がトイレに立った際に、トイレまでエスコートをし、トイレの前で待機をして、トイレから出てきたお客さんにお絞りを渡す行為、これについては接待に該当するということであるので、お絞りを渡す行為であっても、その状況によって該当することがあるということである。

    ■いそみ恵子■ 今ね、具体的な事例を申されたが、私はやはりお絞りを渡す、こういう行為については、おもてなしの心を持ってお客さんに対して渡すということはあり得るわけであろう。だから、風営法の接待に当たるということで、警察庁が示す解釈運用基準にも確認書には規定されていない。だから、その確認書で料飲業者から提出を求めながらということでやっておられる、ここに私は解釈運用基準、この恣意的な解釈がやっぱり行われていくという可能性が示されているというふうに思った。

    それで、解釈運用基準、また確認書に基づいて、冒頭に申し上げたように、神戸市内でスナック店主のママが、この風営法違反で事前に注意を受けるとか、それから指導をされるとか、そういうこともなく、いきなり警察に踏み込まれて逮捕された。結果、21日間拘留され、略式起訴をされ50万円の罰金を支払ったということもお聞きをしている。

    それから、スナックのママたちにお話をお聞きした。そうすると、ママさんたちにもお話を聞いたが、自分たちも同じような目に遭うのではないかと、本当に不安だと、怖いということを口々に言っておられた。

    それで、風営法改定の際に、衆議院、そして参議院両院で附帯決議が行われている。古いものであるが、1984年7月5日付の衆議院での決議では、この本法の運用に当たっては、表現の自由、営業の自由など憲法で保障されている基本的人権を侵害することのないよう慎重に配慮すること。警察職員の立ち入りに当たっては、職権の濫用や正当に営業している者に無用の負担をかけることのないよう適正に運用すべきであり、その旨、都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底することと明記されている。この附帯決議に私は明らかに逸脱していると言わざるを得ない。この附帯決議のやはり立場に立つ、このことを求めるが、いかがであろうか。

    ■生活安全部長(有田幸司)■ 昭和59年の法改正の際に、衆参両議院で、先ほど委員がおっしゃられたような附帯決議が行われていることについては十分承知をしている。

    このことを踏まえ、解釈運用基準においても、立ち入りは調査の手段であり、その実施に当たっては国民の基本的人権を不当に侵害しないよう注意する必要があるとされており、本県警察において立ち入りを実施するに当たっては、これらに定められた具体的な手続、方法により適切に実施しているところである。

    ■いそみ恵子■ 適切に実施をされているということで、今、ご答弁があったわけであるが、私はやっぱりこの附帯決議の立場に立って、立ち入りに当たっては、職権の濫用だとか正当に営業している者に無用の負担をかけるこのないよう適正に運用するために、このことを第一線の警察職員の皆さんにぜひ周知徹底をしていただきたいと、このように思っているので、この点だけ、最後、ちょっとお聞きをしておきたいと思うので、よろしくお願いしたいと思う。

    ■生活安全部長(有田幸司)■ 先ほどお答えしたように、本県警察においては、この附帯決議に基づいて適正に行っているところであるので、引き続き適正な運用に努めていきたいと、このように考えている。

    ■いそみ恵子■ 適正に運用されているというご答弁だったが、私は、この附帯決議の立場に立って、第一線の警察職員の皆さんも含めて、これを周知徹底していただくということで、今後、先ほど冒頭に申し上げたような事案が起こらないように、起こすことのないようにということを強く求め、質問を終わらせていただく。

    ありがとうございました。

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